認定スクラムマスターの代表的な資格3選!難易度や費用・選び方まで解説

最終更新日:2025年6月13日

近年の開発プロジェクトは「スピード」と「柔軟性」が求められます。こうした状況下で急速に広まった開発手法が「アジャイル開発」です。スクラム開発はアジャイル開発のひとつであり、要件変更に対応しながらもコア部分をスピーディーに開発するという特徴を持っています。

スクラムマスターはスクラム開発における要職であり、知名度・地位ともに向上していくことが予想されます。本記事では、スクラムマスターとしてキャリアを積みたいと考えている人に向けて、スクラムマスターの役割や資格の必要性、資格制度の詳細について解説します。

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この記事のまとめ

  • スクラムマスターはスクラム開発においてチームの調整役を担う職種
  • 代表的資格として「CSM®」「CSP®-SM」「PSM」などがある
  • スクラムマスター関連の資格を取得するメリットがわかる

スクラムマスターとは

スクラムマスターとは、スクラム開発においてチームの調整役を担う職種です。スクラム開発は、チームで密に協力しながら臨機応変に開発を進める体制になります。ウォーターフォール開発ではなくアジャイル開発に分類されるので、アジャイル開発をより密にした開発で調整する仕事と考えるとわかりやすいでしょう。

ちなみにウォーターフォール開発は各工程を計画通りに上流から下流に進める開発手法で、アジャイル開発は各工程を行ったり来たりしながら進めていく開発手法です。

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代表的なスクラムマスター認定資格の種類

代表的なスクラムマスター認定資格として以下が挙げられます。

資格名 内容 費用 必要勉強時間
CSM® スクラムの役割や
責任について
20万円〜
30万円程度
(2年に1度更新
費用100ドル)
30時間〜
60時間程度
A-CSM® CSM®の上位資格 税込33万円
(更新費用100ドル)
30時間~
60時間程度
CSP®-SM A-CSM®の上位資格 税込3200ドル
(追加費用150ドル、
更新費用100ドル)
30時間~
60時間程度
PSM スクラムについて
の座学や研修
税込22万円程度 20時間程度
RSM スクラムについて
の研修、テスト
税込22万円程度 20時間程度

Scrum Alliance®主催のスクラムマスター認定資格

Scrum Alliance®は2001年に設立された非営利団体であり、世界で最もメジャーなスクラム関連資格を提供しています。3つの認定団体の中でも最も歴史が古く、日本での受講者・認定者数が多いことが特徴です。

認定スクラムマスター®(CSM®)

認定スクラムマスター®(CSM®)を取得するには、グループワーク形式を交えた研修を受講する必要があります。試験の結果だけでなく、研修受講の姿勢や内容も加味されるという特徴があります。費用は下記の通り、研修実施団体によって異なります。

  • ・研修の受講が必要で、講義やグループワークが含まれます。

    ・費用は20万円〜30万円程度で、研修実施団体によって異なります。

    ・研修費用に認定試験の受験費用が含まれています。90日以内に2回まで受験が可能です。

    ・試験を受験するための資格は、研修への姿勢が考慮されます。

資格名 認定スクラムマスター®(CSM®)
問題形式 四者択一(日本語も可)
試験時間 60分
問題数 50問(合格基準:37問)
試験範囲 ・アジャイルとウォーターフォールの違いとは
スクラム3つの役割と責任
・スクラム5つのイベントとはスクラム3つの
作成物の作り方
・管理方法 バックログアイテムの見積もり
納期の予測
・スプリントの実践継続的な改善とチームワーク
認定スクラムマスター試験対策
難易度 スクラムマスター関連資格の中では易しい
費用 税込20~30万円程度が相場
(更新費用100ドル)
有効期限 2年間
おすすめの人 スクラムマスターの中でもっとも知名度が
高い資格を取得したい人

上級認定スクラムマスター®(A-CSM®)

上級認定スクラムマスター®(A-CSM®)は、認定スクラムマスターの上位資格です。認定スクラムマスターではスクラムマスターの役割や責任を学びますが、A-CSM®ではより実践的なスキルを学びます。

  • ・CSM®の資格保有とA-CSM®の認定コースを修了することで、A-CSM®の認定資格を取得できます。

    ・過去5年間以内にスクラムマスターの役割に特化した12か月以上の職務経験が必要です。

    ・A-CSM®の認定コースでは、基礎的なスキルに加えてファシリテーション、コーチング、
    チームダイナミクスにまで拡張される技術やスキルを習得できます。

資格名 上級認定スクラムマスター®
(A-CSM®)
試験範囲 非公開
難易度 実践レベル(CSM受講後1年以上
のスクラムマスターの経験が必要)
費用 税込33万円(更新費用100ドル)
有効期限 2年間
おすすめの人 CSM®からステップアップしたい人

認定スクラムプロフェッショナル®(CSP®-SM)

認定スクラムプロフェッショナル®(CSP®-SM)は、Scrum Alliance®主催のスクラムマスター認定資格のうち最高レベルに位置しています。CSP®-SMでは、スクラム開発における複雑な課題を解決するためのスキルや知識を証明します。

  • ・A-CSM®の資格保有とCSP®-SMの認定コースを修了する必要があります。

    ・過去5年間以内にスクラムマスターの役割に特化した24か月以上の職務経験が必要です。

    ・A-CSMの認定コースでは、プロダクトオーナーや開発チームに還元できる技術やスキルを習得できます。

資格名 認定スクラムプロフェッショナル®
(CSP®-SM)
問題形式 オンライン(日本語も可)
試験時間 60分
問題数 80問(合格基準:正解率
85%以上)
試験範囲 非公開
難易度 認定スクラムマスター
よりは難しい
費用 税込3200ドル(追加費用150ドル、
更新費用100ドル)
有効期限 2年間
おすすめの人 A-CSM®からステップ
アップしたい人

Scrum.org™主催のスクラムマスター認定資格

Scrum Org™はScrum Alliance®と同じく、米国の非営利団体です。Scrum Org™主催の資格は、Scrum Alliance®の資格よりも費用が安く、事前研修(トレーニング)への参加が必須ではないという特徴があります。

PSM(Professional Scrum Master)

PSM(Professional Scrum Master)は、難易度別に3つの段階(PSM1、PSM2、PSM3)が用意されています。また、上位のレベルを受験するためには下位レベルの試験に合格する必要があります。資格を取得する方法は以下の2通りあります。


  • ・公認トレーナーによる研修受講後に受験する

    ・試験のみ受験する


PSMの認定資格の取得手順は以下のとおりです。(公認トレーナーによる研修受講の場合)

  • ・外国人講師を招いた講義やグループワークが含まれた研修(ただし、ITプレナーズでは日本語同時通訳コースを提供しています)。

    ・費用は、ITプレナーズの場合、税込みで約22万円程度です。

    ・研修費用には2回分の試験費用が含まれています。

    ・研修修了後、受験パスワードが配布されます。

    ・最初の試験は、研修修了後14日以内に受験する必要があります。

    ・1回目に不合格の場合、2回目の受験は追加料金なしで可能です(期限はありません)。

    ・2回目も不合格で、3回目を受験する必要がある場合は、Scrum.orgのサイトで受験パスワードを再購入する必要があります。

資格名 PSM(Professional
Scrum Master)
問題形式 オンライン(英語のみ)
試験時間 60分
問題数 80問(合格基準:
正解率85%以上)
試験範囲 ユニット1:Introductions
ユニット2:理論と第一原則
ユニット3:スクラムフレームワーク
ユニット4:完成と未完成
ユニット5:スクラムを使った
プロダクトデリバリー
ユニット6:人とチーム
ユニット7:スクラムマスター
ユニット8:クロージング
難易度 IT系資格の中でも難しい部類
費用 22万円(税込み、追加費用25ドル、更新費用50ドル)
有効期限 なし
おすすめの人 研修の参加を避けたい、
費用を少し抑えたいといった人

Scrum Inc.主催のスクラムマスター認定資格

Scrum Inc.はスクラム手法の提唱者Jeff・Sutherland氏が創業した企業です。日本ではKDDI株式会社や永和システムマネジメントとの合弁会社が設立されており、今後知名度があがっていくかもしれません。

RSM

RSMを受験するためには、Scrum Inc.が実施する2日間の事前研修の受講が必須です。研修はZoomで実施されます。また2回目の受験までは費用に含まれていて、1回目の受験で不合格だった場合、90日以内であれば2回目の受験ができます。3回目以降の受験では追加費用が発生します。

RSMの認定資格の取得手順は以下のとおりです。

  • ・Scrum Inc.主催の2日間の前提研修を受講する必要があります。研修はZoomで実施されます。

    ・費用は、約22万円(税込)です。

    ・研修費用には認定試験の受験費が含まれています。ただし、研修受講後30日以内に試験を受ける必要があります。

    ・初回の試験に不合格の場合は、90日以内であれば無料で2回目の受験が可能です。

    ・3回目以降の受験には追加費用が必要です。

資格名 RSM(Registered Scrum Master)
問題形式 オンライン(日本語も可)
試験時間 60分
問題数 30問(合格基準:正解率75%以上)
試験範囲 非公開
難易度 不明
費用 22万円(税込み、追加費用25ドル、
更新費用50ドル)
有効期限 1年間
おすすめの人 実務経験が少なく、まずはインプット
を重視したい人

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スクラムマスターに求められる3つのスキル

スクラムマスターには、以下3つのスキルが求められます。

スクラムの実行力

スクラムマスターには、スクラム開発を円滑に前に進める実行力が求められます。スクラム開発のフレームワークや用語の知識は当然必要ですが、それをチームに合わせて柔軟に適用していく必要があるでしょう。たとえば単に教科書通りにフレームワークを当てはめるだけでなく、チームの状況に合わせてあえて型を崩すような対応も重要です。このように、スクラムを実行できて初めてスクラムマスターの役割を果たしたと言えます。

計画策定スキル

スクラムマスターには計画策定スキルも必要です。状況に応じて臨機応変に対応する必要はありますが、あくまでも計画に合わせて軌道修正する役割だからです。たとえば場当たり的にチームを動かすのではなく、事前に見積もった工数や日程に合わせてチームを導きます。スクラムマスターが策定した計画は、プロジェクトの成否に大きく影響するでしょう。

コーチングスキル、コミュニケーション能力

スクラムマスターには、コーチングスキルやコミュニケーション能力が必須です。スクラムマスターは個々のメンバーやチームに対して働きかけ、プロジェクトを成功に導く役割を担っているからです。たとえばスクラムマスターの頭の中に適切なプランがあり、それを各メンバーにうまく伝えることで初めてプロジェクトは円滑に進みます。またスキルやマインドが不足しているメンバーに対してコーチングを行うこともあるので、コーチングスキルとコミュニケーション能力が必須になるのです。

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受験するスクラムマスター認定資格の選び方

受験するスクラムマスター認定資格の選び方を未経験者と経験者に分けて紹介します。まずそれぞれのおすすめ資格は以下です。

スクラム未経験者 CSM®
PSM
RSM
スクラム経験者 A-CSM®
CSP®-SM

スクラムマスター認定資格の中でも難易度の低いものは未経験者向け、難易度の高いものは経験者向けと言えるでしょう。ただしスクラムマスターの定義自体が曖昧なものではあるので、たとえばプロジェクトマネージャーの経験者が最初から難易度高めのスクラムマスター認定資格を受験するようなケースもあるでしょう。

関連記事:スクラムマスターとは?役割や必要なスキル、転職方法を解説!

スクラム開発 未経験者の場合

スクラム開発未経験者にはCSM・PSM・RSMがおすすめです。いずれもスクラム開発に特化した資格で、主催団体や内容が異なります。この中でもっともメジャーなのはCSMですが、費用が高いことや研修を受けなければならないなどの大変さがあります。資格の詳細については後述するので、比較検討してください。

スクラム開発 経験者の場合

スクラム開発経験者の場合、A-CSM・CSP-SMがおすすめです。A-CSMもCSP-SMもCSMの上位資格に当たります。そのため、CSMから段階的にステップアップしていくと良いでしょう。CSMを保持していることや実務12ヶ月以上であることが要件になるので、最初にPSMやRSMを取得した場合改めてCSMを取得する必要があります。

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スクラムマスター認定資格の勉強方法

スクラムマスター認定資格の勉強方法として、以下が挙げられます。

スクラムの概念を理解する

まずはスクラムの概念を理解することが重要です。日本の開発現場でもスクラムという考え方は浸透していない場合があり、概念理解から始める必要があるからです。たとえばThe Scrum Guide(公式)サイトなどで学ぶと良いでしょう。まずはスクラムの概念理解から始めてください。

スクラムへの理解を深める

スクラムの概念をある程度理解できたら、次に理解を深めてください。概念を理解しただけでは、スクラムマスター認定試験合格には足りないためです。スクラムへの理解を深めるためには、以下の書籍での学習がおすすめです。

『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』(西村 直人)
スクラム開発の基礎を学ぶのに適した本です。資格取得や即実践につながるというわけではありませんが、スクラムへの理解を深めるという点では適しているでしょう。また具体的な状況について漫画で記載されているため、解説の内容をイメージしやすいはずです。

『アジャイルサムライ−達人開発者への道』( オーム社、Jonathan Rasmusson)
本書は絵が多くイメージしやすく、なおかつ掘り下げた内容で実戦的です。ボリュームがあり読むのに時間がかかりますが、アジャイル開発について基礎から実践まで網羅的に学びたい人には合っているでしょう。

試験の問題に取り組む

書籍で一通り学習したら、試験問題に取り組んでください。試験に合格するには問題への慣れも重要だからです。たとえばオンラインで模擬テストを受けたり、書籍に掲載されている予想問題を解いたりすることで問題に慣れることができます。知識を習得したら、問題慣れも意識して試験対策してください。

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スクラムマスターの資格を取得するメリット

スクラムマスターの資格を取得することで、以下のようなメリットを得られます。

スクラムの理解が進む

スクラムマスターの資格を取得することにより、スクラムに対する理解を深めることができます。スクラムマスターには、「チームや組織にスクラムを普及させる」という役割がありますので、スクラムの原則やフレームワークを正しく理解することは非常に重要です。

資格を取らなくても書籍やネットでスクラムについて理解することは可能ですが、資格試験やカリキュラムの内容は体系化されているので短時間で必要な情報を学べるでしょう。

自信をもって実践できるようになる

資格を取得することで、正しいノウハウを習得しているという自信を持ってプロジェクトを進行できるようになるでしょう。また、他の人々からの信頼も増し、チームや組織からは安心して任される存在として認められるはずです。

チームの開発効率が向上する

スクラムマスターの資格を取得して知識を身につければ、チームの開発効率が向上します。スクラムマスターはチームをリードし、メンバー間のコミュニケーションを円滑にする役割を担うからです。たとえば、スクラムマスターが適切に業務分担を行うことで各メンバーの手戻り作業が減ります。スクラムマスターのスキルアップは、チームの開発効率向上につながります。

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まとめ

スクラム開発はアジャイル開発の一種です。スクラム開発では、各工程を計画通りに進めるだけでなく、状況に応じて臨機応変に行ったり来たりします。その中で、スクラムマスターはプロダクトオーナーと開発チームの意思疎通がスムーズに進むように調整・チェックを行います。

資格の取得は必須ではありませんが、異業界や異分野からスクラムマスターを目指す場合は、スキルと知識を証明する手段の一つとして資格取得を検討すべきでしょう。またプロジェクトマネージャーなどのマネジメント職種の人にとっても、スクラムマスターの資格取得はメリットがあります。

この記事の監修

レバテックキャリア編集部

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