スクラムマスターの資格一覧!効率のよい勉強方法をマスターしよう

最終更新日:2023年5月1日

近年の開発プロジェクトは「スピード」と「柔軟性」が求められます。こうした状況下で急速に広まった開発手法が「アジャイル開発」です。スクラム開発はアジャイル開発のひとつであり、要件変更に対応しながらもコア部分をスピーディーに開発するという特徴を持っています。

スクラムマスターはスクラム開発における要職であり、知名度・地位ともに向上していくことが予想されます。ここでは、スクラムマスターとしてキャリアを積みたいと考えている人に向けて、スクラムマスターの役割や資格の必要性、資格制度の詳細について解説します。

この記事のまとめ

  • スクラムマスターはスクラム開発のリーダーや進行役を担っていて、IT技術だけでなくプロジェクトへの理解が重要
  • スクラムマスター関連の資格は複数あり、資格を取得することで実戦的なスキルアップ、評価アップにつながる
  • 資格よりも経験やスキルが重要だが、資格取得は補助的にスキルアップ、スキル証明に役立つ

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スクラムマスターとは?

スクラムマスターとは、役割やタスクを分散しつつチームで複雑な開発プロジェクトを推進するフレームワークである「スクラム開発」のリーダー・進行役として、チームメンバー全員がスクラム開発の原則を理解し実践できるようサポートする役割のことです。チームで最大限の成果を生み出すため、プロジェクトの円滑な進行に注力します。

スクラムマスターを説明するにはスクラム開発という概念を理解する必要があるので、まずスクラム開発について簡単に解説してからスクラムマスターの役割について詳しく解説します。

スクラム開発とは

冒頭でも触れたように、スクラム開発はアジャイル開発の一種です。スクラム開発は、「ウォーターフォール開発」のように「上流」「下流」の区別がなく、顧客要望を優先度にしたがって並べ、順次開発を進めていきます。さらに、数人程度の少数精鋭でチームを構築し、1~4週間程度を1単位として開発フェーズを区切り、その中で計画を立てるという特徴があります。少数精鋭のメンバー同士が綿密に連携しあう様が「スクラムを組む」行為に似ているため、スクラム開発と呼ばれるようになりました。スクラム開発では、いわゆるPMやPLのようなポジションは存在せず、メンバー同士がプロジェクトの状況や進め方を確認しあいながら、開発を進めていきます。

スクラムマスターの役割

スクラムマスターはスクラム開発における「コントローラー」的な役割を担うポジションです。ただし、PMやPLのように意思決定を行うわけではありません。どちらかといえば「チームの潤滑油」としての役割が大きく、プロダクトオーナーと開発チームの意思疎通がスムーズに進むように調整・チェックを行います。スクラム開発はウォーターフォール開発のように「中央集権」ではないため、司令塔よりもコーディネーターやネゴシエーターのようなポジションが重宝されます。この点が、従来のPMやPLとの大きな違いです。

スクラムマスターの認定資格が注目されている理由

スクラム開発を導入した企業では見よう見まねでスクラムマスターを任される担当者がいます。
しかし、やってみたところ「どのようにサポートしたらいいかわからない」などの声が聞こえてきます。

そのため、スクラム開発およびスクラムマスターに対しての正しく、体系的な知識のある人材が求められています。

資格を取得した人材であれば、より効果的なスクラム開発が実現できると期待されているため、スクラムマスターの認定資格は注目されています。

スクラムマスター認定資格一覧と難易度

最後に、スクラムマスター関連の資格と勉強方法を紹介します。スクラムマスター関連の資格は複数の団体から発行されており、それぞれ制度が異なります。ちなみに2020年時点では、認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)」が最もメジャーであり、次点で「LSM(Licensed Scrum Master)」の知名度が高いという状況です。では、主催する団体ごとにスクラムマスター関連の資格を見ていきましょう。

Scrum Alliance®主催の資格

Scrum Alliance®は2001年に設立された非営利団体であり、世界で最もメジャーなスクラム関連資格を提供しています。

認定スクラムマスター

認定スクラムマスターを取得するには、グループワーク形式を交えた研修を受講する必要があります。試験の結果だけでなく、研修受講の姿勢や内容も加味されるという特徴があります。費用は下記の通り、研修実施団体によって異なります。

試験範囲 アジャイルとウォーターフォールの違いとは
スクラム3つの役割と責任
スクラム5つのイベントとは
スクラム3つの作成物の作り方管理方法
バックログアイテムの見積もり納期の予測
スプリントの実践
継続的な改善とチームワーク
認定スクラムマスター試験対策
難易度 スクラムマスター関連資格の中では易しい
費用 税込20~30万円程度が相場(更新費用100ドル)
認定資格の有効期限 2年間
試験概要 試験形式:オンライン
問題形式:四者択一
試験時間:60分
問題数:50問
合格基準:37問
言語:日本語も可
A-CSM℠

A-CSM℠は認定スクラムマスターの上位資格です。認定スクラムマスターではスクラムマスターの役割や責任を学びますが、A-CSMではより実践的なスキルを学びます。

試験範囲 非公開
難易度 実践レベル(CSM受講後1年以上のスクラムマスターの経験が必要)
費用 税込33万円(更新費用100ドル)
認定資格の有効期限 2年間
試験概要 非公開
CSP®-SM

CSP®-SMもグループワークを交えた研修を行います。研修受講後に受験パスワードを受け取り、受験します。研修費用のみで2回受験できます。1回目が不合格だった場合は追加費用なしで2回目の受験が可能、3回目以降は追加の費用が必要です。

試験範囲 非公開
難易度 認定スクラムマスターよりは難しい
費用 税込3200ドル(追加費用150ドル、更新費用100ドル)
認定資格の有効期限 2年間
試験概要 試験形式:オンライン
試験時間:60分
問題数:80問
合格基準:正解率85%以上
言語:日本語も可

Scrum.org™主催の資格

Scrum Org.は、Scrum Alliance®と同じく、米国の非営利団体です。Scrum Org.主催の資格は、Scrum Alliance®の資格よりも費用が安く、事前研修(トレーニング)への参加が必須ではないという特徴があります。

PSM

難易度別に3つの段階(PSM1、PSM2、PSM3)が用意されています。また、上位のレベルを受験するためには下位レベルの試験に合格する必要があります。資格を取得する方法は以下の2通りあります。

・公認トレーナーによる研修受講後に受験する
・試験のみ受験する

試験範囲 ユニット1:Introductions
ユニット2:理論と第一原則
ユニット3:スクラムフレームワーク
ユニット4:完成と未完成
ユニット5:スクラムを使ったプロダクトデリバリー
ユニット6:人とチーム
ユニット7:スクラムマスター
ユニット8:クロージング
難易度 IT系資格の中でも難しい部類
費用 税込22万円(追加費用150ドル、更新費用なし)
認定資格の有効期限 なし
試験概要 試験形式:オンライン
試験時間:60分
問題数:80問
合格基準:正解率85%程度
言語:英語のみ

Scrum Inc.主催の資格

Scrum Incはスクラム手法の提唱者「Jeff Sutherland」氏が創業した企業です。日本ではKDDI株式会社や永和システムマネジメントとの合弁会社が設立されており、今後知名度があがっていくかもしれません。

RSM

RSMを受験するためには、Scrum Inc.が実施する2日間の事前研修の受講が必須です。研修はZoomで実施されます。また2回目の受験までは費用に含まれていて、1回目の受験で不合格だった場合、90日以内であれば2回目の受験ができます。3回目以降の受験では追加費用が発生します。

試験範囲 非公開
難易度 未知
費用 税込22万円(追加費用25ドル、更新費用50ドル)
認定資格の有効期限 1年間
試験概要 試験形式:オンライン
試験時間:60分
問題数:30問
合格基準:正解率75%程度
言語:日本語も可

取得するスクラムマスター関連資格を選ぶ際のポイント

スクラムマスターの関連資格は複数あります。そこで、資格を選ぶ際のポイントをご紹介します。

研修・試験内容やタイミング

スクラムマスターは自分自身の評価を高めるという目的もありますが、スキルアップのために受験するという面もあります。そのため、研修・試験内容が自分の身に付けたいスキルと合致しているかどうかは当然重要です。また働きながら受験する場合はタイミングが合わないと研修や試験を受けるのが難しいでしょう。

研修・試験・更新にかかるコスト

コストについては人それぞれ感覚が異なるはずですが、スクラムマスター関連の資格は平均的にコストが高めです。そのため、研修・試験・更新にかかるコストを比較して検討する必要があるでしょう。特に研修費用は高額なので、予算的に厳しい場合もあるかもしれません。

資格維持のための更新頻度

資格維持のための更新頻度も一つの基準です。更新が不要な資格もありますが、1,2年で更新しなければならない資格もあります。更新は費用も労力もかかるため、更新頻度も意識しておいた方が良いです。

スクラムマスターの認定資格を取得するメリット

スクラムマスターの認定資格を取得するメリットをご紹介します。

スクラムへの理解が深まる

スクラムマスターの認定資格は、スクラムを理解するための内容が網羅的に含まれています。そのため、資格を取得することでスクラムの勉強になります。理解を深めることで、実際のプロジェクトでスキルを活かせます。

知識やスキルの証明になる

スクラムマスターの認定資格を取得することで、知識やスキルの証明になります。知識やスキルを身に付けるだけなら、高い費用をかけて資格取得する必要はないとも言えます。勉強をすれば知識やスキルは身に付くからです。スキルを活かすという意味で勉強は必須ですが、費用をかけるという意味では証明になるというメリットが大きいでしょう。

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スクラムマスター関連資格の勉強方法

これまでの内容からもわかるとおり、どの団体の資格も「事前研修(トレーニング)」が非常に重要な位置を占めています。Scrum Alliance®とScrum Incについては、研修と受験がセットになっており、研修内容をしっかりと把握することが最善の勉強方法と言えるでしょう。また、最新の公式ドキュメント(スクラムガイド)を読み込む、無料プレテストを活用する、大手プログラミングスクールが提供する講座で学ぶ、といった勉強方法も有効です。

スクールで学ぶ

すべての資格に対応したスクールはありませんが、Scrum Alliance®とScrum Incでは試験と合わせてオンラインクラスでの研修が用意されています。同じ資格取得を目指す仲間と一緒に学習を進める事ができます。

本で学ぶ

資格取得の一般的な方法です。書籍を元にスクラム開発の基礎からスクラムマスターに求められている役割など試験の全体像をつかむことができます。

練習問題を解く

試験の運営企業が過去の問題を公開していることがありますので、まずは傾向を掴むために練習問題を解きましょう。間違えたところはなぜ間違えたのか、どのように答えればよかったのかを確認して腹落ちするまで反復するようにしましょう。

まとめ

スクラム開発とは、アジャイル開発の一種であり、要件変更に対応しながらもコア部分をスピーディーに開発する手法です。その中で、スクラムマスターはプロダクトオーナーと開発チームの意思疎通がスムーズに進むように調整・チェックを行います。資格の取得は必須ではありませんが、異業界や異分野からスクラムマスターを目指す場合は、スキルと知識を証明する手段の一つとして資格取得を検討すべきでしょう。

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