スクラムマスターの資格一覧とその勉強方法

最終更新日:2024年3月8日

近年の開発プロジェクトは「スピード」と「柔軟性」が求められます。こうした状況下で急速に広まった開発手法が「アジャイル開発」です。スクラム開発はアジャイル開発のひとつであり、要件変更に対応しながらもコア部分をスピーディーに開発するという特徴を持っています。

スクラムマスターはスクラム開発における要職であり、知名度・地位ともに向上していくことが予想されます。ここでは、スクラムマスターとしてキャリアを積みたいと考えている人に向けて、スクラムマスターの役割や資格の必要性、資格制度の詳細について解説します。

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この記事のまとめ

  • スクラムマスターはスクラム開発のリーダーや進行役を担っていて、IT技術だけでなくプロジェクトへの理解が重要
  • スクラムマスター関連の資格は複数あり、資格を取得することで実戦的なスキルアップ、評価アップにつながる
  • 資格よりも経験やスキルが重要だが、資格取得は補助的にスキルアップ、スキル証明に役立つ

スクラムマスターとは?

スクラムマスターとは、役割やタスクを分散しつつチームで複雑な開発プロジェクトを推進するフレームワークである「スクラム開発」のリーダー・進行役として、チームメンバー全員がスクラム開発の原則を理解し実践できるようサポートする役割のことです。チームで最大限の成果を生み出すため、プロジェクトの円滑な進行に注力します。

スクラムマスターを説明するにはスクラム開発という概念を理解する必要があるので、まずスクラム開発について簡単に解説してからスクラムマスターの役割について詳しく解説します。

スクラム開発とは

冒頭でも触れたように、スクラム開発はアジャイル開発の一種です。

スクラム開発は「ウォーターフォール開発」のように「上流」「下流」の区別がなく、顧客要望を優先度にしたがって並べ、順次開発を進めていきます。

さらに、数人程度の少数精鋭でチームを構築し、1~4週間程度を1単位として開発フェーズを区切り、その中で計画を立てるという特徴があります。

少数精鋭のメンバー同士が綿密に連携しあう様が「スクラムを組む」行為に似ているため、スクラム開発と呼ばれるようになりました。スクラム開発では、いわゆるPMやPLのようなポジションは存在せず、メンバー同士がプロジェクトの状況や進め方を確認しあいながら、開発を進めていきます。

スクラムマスターの役割

スクラムマスターの役割


スクラムマスターはスクラム開発における「コントローラー」的な役割を担うポジションです。ただし、PMやPLのように意思決定を行うわけではありません。どちらかといえば「チームの潤滑油」としての役割が大きく、プロダクトオーナーと開発チームの意思疎通がスムーズに進むように調整・チェックを行います。

スクラム開発はウォーターフォール開発のように「中央集権」ではないため、司令塔よりもコーディネーターやネゴシエーターのようなポジションが重宝されます。この点が、従来のPMやPLとの大きな違いです。

具体的なスクラムマスターの仕事には次のような内容が含まれます

  • ・スプリント計画の進行

    ・デイリースクラムの開催

    ・スプリントレビューの開催

    ・スクラムチーム内外の問題解決

    ・プロダクトバックログの改善

スクラムマスターの年収

日本においてアジャイル開発が浸透していないため、スクラムマスターの求人はまだまだ少ないです。そのため、平均年収を算出するのは困難ですが、500万円以上の求人が多く見られます。稀に、上限が1000万円を超える求人もあります。

2023年5月14日現在のレバテックキャリア上のスクラムマスターの求人例をご紹介します。

【業界】
◆IT・通信
◆サービス

【業務内容】
■iOSアプリケーションの開発
・弊社サービスのスマートフォン向けアプリのスクラム開発にスクラムマスターとして参加していただきます。
アプリのフロント(iPhone/Android)とBFF(バックエンドフォーフロント)のスプリント計画、継続的改善・ポイント管理・品質維持を担当していただきます。

<具体的な業務内容>
・スプリント計画
・ポイント管理

【求められるスキル・経験】
・スクラムマスターの経験(2プロダクト、または、2年以上のどちらか)
・DevOpsに関する知識
・チケット駆動開発の経験
・10名以上のチームでの開発経験(担当領域は指定しない)
・リーディング力がある方
・エンジニアリングチームのコミュニケーションを維持することが好きな方

【想定年収】
660~1,200万円

【勤務地】
東京都

スクラムマスターの認定資格が注目される理由

スクラム開発を導入した企業では見よう見まねでスクラムマスターを任される担当者がいます。
しかし、やってみたところ「どのようにサポートしたらいいかわからない」などの声が聞こえてきます。

そのため、スクラム開発およびスクラムマスターに対しての正しく、体系的な知識のある人材が求められています。

資格を取得した人材であれば、より効果的なスクラム開発が実現できると期待されているため、スクラムマスターの認定資格は注目されています。

スクラムマスター認定資格一覧と概要

次に、スクラムマスター関連の資格と概要を紹介します。スクラムマスター関連の資格は複数の団体から発行されており、それぞれ制度が異なります。ちなみに2020年時点では、認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster®:CSM®)」が最もメジャーであり、次点で「LSM(Licensed Scrum Master)」の知名度が高いという状況です。では、主催する団体ごとにスクラムマスター関連の資格を見ていきましょう。

Scrum Alliance®主催の資格

Scrum Alliance®は2001年に設立された非営利団体であり、世界で最もメジャーなスクラム関連資格を提供しています。3つの認定団体の中でも最も歴史が古く、日本での受講者・認定者数が多いことが特徴です。

認定スクラムマスター(Certified ScrumMaster)

認定スクラムマスターを取得するには、グループワーク形式を交えた研修を受講する必要があります。試験の結果だけでなく、研修受講の姿勢や内容も加味されるという特徴があります。費用は下記の通り、研修実施団体によって異なります。

CSMの認定資格の取得手順は以下のとおりです。

  • ・研修の受講が必要で、講義やグループワークが含まれます。

    ・費用は20万円〜30万円程度で、研修実施団体によって異なります。

    ・研修費用に認定試験の受験費用が含まれています。90日以内に2回まで受験が可能です。

    ・試験を受験するための資格は、研修への姿勢が考慮されます。

資格名 試験範囲 難易度 費用 有効期限 試験概要
認定スクラムマスター
(Certified ScrumMaster)
アジャイルとウォーターフォールの違いとはスクラム3つの役割と責任
スクラム5つのイベントとはスクラム3つの作成物の作り方管理方法 バックログアイテムの見積もり納期の予測
スプリントの実践 継続的な改善とチームワーク 認定スクラムマスター試験対策
スクラムマスター関連資格の中では易しい 税込20~30万円程度が相場(更新費用100ドル) 2年間 試験形式:オンライン
問題形式:四者択一
試験時間:60分
問題数:50問 合格基準:37問 言語:日本語も可
A-CSM℠

A-CSM℠は認定スクラムマスターの上位資格です。認定スクラムマスターではスクラムマスターの役割や責任を学びますが、A-CSMではより実践的なスキルを学びます。

A-CSMの認定資格の取得手順は以下のとおりです。

  • ・CSMの資格を保有している必要があります。

    ・基礎的なスキルに加えてファシリテーション、コーチング、チームダイナミクスにまで拡張される技術やスキルを得るために、認定されたA-CSM教材の受講が必要です。

    ・認定教材におけるすべてのコンポーネントを修了する必要があります。

    ・過去5年間以内にスクラムマスターの役割に特化した12か月以上の職務経験が必要です。

資格名 試験範囲 難易度 費用 有効期限 試験概要
A-CSM℠ 非公開 実践レベル(CSM受講後1年以上のスクラムマスターの経験が必要) 税込33万円(更新費用100ドル) 2年間 非公開
CSP®-SM

CSP®-SMもグループワークを交えた研修を行います。研修受講後に受験パスワードを受け取り、受験します。研修費用のみで2回受験できます。1回目が不合格だった場合は追加費用なしで2回目の受験が可能、3回目以降は追加の費用が必要です。

CSP®-SMの認定資格の取得手順は以下のとおりです。

  • ・A-CSMの資格を保有している必要があります。

    ・プロダクトオーナーや開発チームに還元できる技術やスキルを得るために、認定されたCSP-SM教材の受講が必要です。

    ・認定教材におけるすべてのコンポーネントを修了する必要があります。

    ・過去5年間以内にスクラムマスターの役割に特化した24か月以上の職務経験が必要です。

資格名 試験範囲 難易度 費用 有効期限 試験概要
CSP®-SM 非公開 認定スクラムマスターよりは難しい 税込3200ドル(追加費用150ドル、更新費用100ドル) 2年間 試験形式:オンライン
試験時間:60分
問題数:80問
合格基準:正解率85%以上 言語:日本語も可

Scrum.org™主催の資格

Scrum Org.は、Scrum Alliance®と同じく、米国の非営利団体です。Scrum Org.主催の資格は、Scrum Alliance®の資格よりも費用が安く、事前研修(トレーニング)への参加が必須ではないという特徴があります。

PSM(Professional Scrum Master)

難易度別に3つの段階(PSM1、PSM2、PSM3)が用意されています。また、上位のレベルを受験するためには下位レベルの試験に合格する必要があります。資格を取得する方法は以下の2通りあります。


  • ・公認トレーナーによる研修受講後に受験する

    ・試験のみ受験する


PSMの認定資格の取得手順は以下のとおりです。(公認トレーナーによる研修受講の場合)

  • ・外国人講師を招いた講義やグループワークが含まれた研修(ただし、ITプレナーズでは日本語同時通訳コースを提供しています)。

    ・費用は、ITプレナーズの場合、税込みで約22万円程度です。

    ・研修費用には2回分の試験費用が含まれています。

    ・研修修了後、受験パスワードが配布されます。

    ・最初の試験は、研修修了後14日以内に受験する必要があります。

    ・1回目に不合格の場合、2回目の受験は追加料金なしで可能です(期限はありません)。

    ・2回目も不合格で、3回目を受験する必要がある場合は、Scrum.orgのサイトで受験パスワードを再購入する必要があります。

資格名 試験範囲 難易度 費用 有効期限 試験概要
PSM(Professional Scrum Master) ユニット1:Introductions
ユニット2:理論と第一原則
ユニット3:スクラムフレームワーク
ユニット4:完成と未完成
ユニット5:スクラムを使ったプロダクトデリバリー
ユニット6:人とチーム
ユニット7:スクラムマスター
ユニット8:クロージング
IT系資格の中でも難しい部類 税込22万円(追加費用150ドル、更新費用なし) なし 試験形式:オンライン
試験時間:60分
問題数:80問
合格基準:正解率85%程度
言語:英語のみ

Scrum Inc.主催の資格

Scrum Incはスクラム手法の提唱者「Jeff Sutherland」氏が創業した企業です。日本ではKDDI株式会社や永和システムマネジメントとの合弁会社が設立されており、今後知名度があがっていくかもしれません。

RSM

RSMを受験するためには、Scrum Inc.が実施する2日間の事前研修の受講が必須です。研修はZoomで実施されます。また2回目の受験までは費用に含まれていて、1回目の受験で不合格だった場合、90日以内であれば2回目の受験ができます。3回目以降の受験では追加費用が発生します。

RSMの認定資格の取得手順は以下のとおりです。

  • ・Scrum Inc.主催の2日間の前提研修を受講する必要があります。研修はZoomで実施されます。

    ・費用は、約22万円(税込)です。

    ・研修費用には認定試験の受験費が含まれています。ただし、研修受講後30日以内に試験を受ける必要があります。

    ・初回の試験に不合格の場合は、90日以内であれば無料で2回目の受験が可能です。

    ・3回目以降の受験には追加費用が必要です。

資格名 試験範囲 難易度 費用 有効期限 試験概要
RSM 非公開 未知 税込22万円(追加費用25ドル、更新費用50ドル) 1年間 試験形式:オンライン
試験時間:60分
問題数:30問
合格基準:正解率75%程度
言語:日本語も可

スクラムマスターの資格を取得するメリット

スクラムマスターの認定資格は、実務で必須ではありませんが、3つの主なメリットがあります。以下では、それらのメリットについて詳しく説明します。


  • ・スクラムの理解が進む

    ・自分の足りない知識やスキルを身に付けられる

    ・自信をもって実践できるようになる

スクラムの理解が進む

スクラムマスターの資格を取得することにより、スクラムに対する理解を深めることができます。スクラムマスターには、「チームや組織にスクラムを普及させる」という役割がありますので、スクラムの原則やフレームワークを正しく理解することは非常に重要です。

自分の足りない知識やスキルを身に付けられる

資格取得のための学習や研修によって、スクラムマスターに関する包括的な知識を習得することができます。これにより、自分に必要なスキルを特定し、不足している部分を補うことができます。その結果、スキルアップに繋がるでしょう。

自信をもって実践できるようになる

資格を取得することで、自分自身に対して自信を持って役割を遂行することができるようになります。また、他の人々からの信頼も増し、チームや組織からは安心して任される存在として認められるでしょう。

スクラムマスター関連資格の勉強方法

これまでの内容からもわかるとおり、どの団体の資格も「事前研修(トレーニング)」が非常に重要な位置を占めています。Scrum Alliance®とScrum Incについては、研修と受験がセットになっており、研修内容をしっかりと把握することが最善の勉強方法と言えるでしょう。また、最新の公式ドキュメント(スクラムガイド)を読み込む、無料プレテストを活用する、大手プログラミングスクールが提供する講座で学ぶ、といった勉強方法も有効です。

スクールで学ぶ

すべての資格に対応したスクールはありませんが、Scrum Alliance®とScrum Incでは試験と合わせてオンラインクラスでの研修が用意されています。同じ資格取得を目指す仲間と一緒に学習を進める事ができます。

本で学ぶ

資格取得の一般的な方法です。書籍を元にスクラム開発の基礎からスクラムマスターに求められている役割など試験の全体像をつかむことができます。かかる費用が低く、自分のぺ学習を進められるのも利点です。

また、試験の運営企業が過去の問題を公開していることがありますので、まずは傾向を掴むために練習問題を解くことも有効な勉強方法です。間違えたところはなぜ間違えたのか、どのように答えればよかったのかを確認して腹落ちするまで反復するようにしましょう。

スクラムマスターに関するよくある質問

最後に、スクラムマスターに関するよくある質問に回答していきます。

Q1. スクラムマスター認定とは何ですか?

スクラムマスターは、スクラム開発のリーダー・進行役として、チームメンバー全員がスクラム開発の原則を理解し実践できるようサポートする役割のことです。チームが仕事に集中できるように障害を取り除いたり、スクラムチームと連携してスクラムプロセスを管理することで、チームがより効果的に実行できる環境を設定します。

Q2. CSMスクラムマスターの資格は?

CSM®は、スクラムマスターの認定資格で、2001年に設立されたScrum Alliance®によって提供されています。複数の研修実施団体によって講座が提供されており、3つの認定団体の中でも最も歴史が古く、日本での受講者・認定者数が多いことが特徴です。

Q3. スクラムマスターの勉強時間は?

スクラムマスターの資格取得に必要な勉強時間の目安は、30時間〜60時間程度、学習機会は週5時間〜6時間程度であれば1ヶ月半〜3ヶ月程度で取得が可能と考えられます。一方でこれまでの実務経験や基礎スキル次第では必要な勉強時間に個人差があるため、余裕を持った学習スケジュールで取得を目指すことをおすすめします。

まとめ

スクラム開発とは、アジャイル開発の一種であり、要件変更に対応しながらもコア部分をスピーディーに開発する手法です。その中で、スクラムマスターはプロダクトオーナーと開発チームの意思疎通がスムーズに進むように調整・チェックを行います。資格の取得は必須ではありませんが、異業界や異分野からスクラムマスターを目指す場合は、スキルと知識を証明する手段の一つとして資格取得を検討すべきでしょう。


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