TypeScriptの将来性は?特徴やメリット、習得方法を解説

最終更新日:2024年9月24日

インターネット利用の普及によりWeb系の開発ニーズが高まっています。Web開発における代表的なプログラミング言語であるJavaScriptの上位互換「TypeScript」に興味を持つエンジニアは多いでしょう。

TypeScriptの習得を検討している場合には「TypeScriptでは何ができるのか」「JavaScriptとの違いは何か」などを知り、言語の将来性を見極めることも大切です。

本記事では、TypeScriptの習得を目指すエンジニア向けに、TypeScriptの概要、JavaScriptとの関係性、将来性、特徴、求められる知識・スキル、未経験での学習方法について解説します。

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この記事のまとめ

  • TypeScriptは、以前からWebで多く活用されるJavaScriptと互換性のある新しいプログラミング言語
  • TypeScriptエンジニアの将来性は高く、その理由としてWebサイト開発のニーズの高さや大企業に採用されていることなどが挙げられる
  • TypeScriptを習得するにはJavaScriptの知識があるとスムーズなので、初心者はまずJavaScriptから身につけるのがおすすめ

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TypeScriptとは

TypeScriptとは、2012年頃にMicrosoft社がリリースしたプログラミング言語です。

JavaScriptの「大規模開発に適さない」課題点を補う目的で開発され、JavaScriptのスーパーセット(上位互換)にあたり、互換性が高いです。それゆえTypeScriptは、JavaScriptの後継にあたるプログラミング言語として一般的に認識されています。

またTypeScriptは、JavaScriptと同じく、主にWebサイト・Webアプリケーション開発といったフロントエンド開発に使用されているプログラミング言語です。リリース以降、Googleをはじめとした国内外のさまざまな企業がTypeScriptをシステム開発に採用しており、注目されています。

関連記事:TypeScriptとは?JavaScriptとの違いなどを解説

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TypeScriptとJavaScriptの違い

TypeScriptと聞くと、真っ先に比較対象となるのがJavaScriptでしょう。TypeScriptをこれから学んでいくエンジニアとして、JavaScriptとの違いを理解するのは大前提です。

TypeScriptは、JavaScriptの上位互換のため共通する部分は多いものの、違いも存在しています。そこで、「静的」もしくは「動的」といった言語の分類やインターフェースなどの視点から、TypeScriptとJavaScriptの違いについて解説します。

TypeScriptは静的型付け言語、JavaScriptは動的型付け言語

静的型付け言語とは、変数や関数の引数などの型を明示する必要がある言語です。一方、動的型付け言語は、型の明示は不要で、コンパイラなどが自分で型を予測して実行します。

詳細は後述しますが、この違いによってメリットや使い方にも差がでます。

インターフェースとクラスの定義が可能

TypeScriptは、C#やJavaなどのオブジェクト指向言語と同様に、インターフェースとクラスの定義が可能です。インターフェースとは、メソッドの引数・戻り値を定義したものです。JavaScriptではインターフェースとクラスの概念そのものが存在しませんでしたが、ECMAScript2015よりクラスの定義ができるようになっています。

関連記事:JavaScriptとJavaの違いとは?特徴やできることも解説

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TypeScriptの特徴

TypeScriptはJavaScriptの課題点を補う目的で開発されており、そのために複数の特徴を持っています。JavaScriptの不都合を改善し、より利便性の高さを備えた言語がTypeScriptといえるでしょう。プログラミングはソースコードの可読性が重視されますが、データの型を宣言するTypeScriptでは、分かりやすさ、読みやすさにより配慮できます。

以下では、TypeScriptの主な特徴3つについて解説します。

1. JavaScriptの上位互換言語である

TypeScriptは、JavaScriptとの互換性が高いです。TypeScriptで記述されたプログラムをコンパイル(トランスパイル)すると、JavaScriptのプログラムを生成し、JavaScriptとして実行可能です。そのため、従来JavaScriptを利用していた多くの企業が、言語変更によるハードルを感じずにTypeScriptの導入を進めています。

2. エラーを発見しやすい

TypeScriptは、静的型付けの言語です。変数宣言時にデータの型を宣言しておけば、実行前にエラーを発見でき、開発効率の向上につながります。

一見すると、型の記述を省ける動的型付け言語のほうが効率的に思えますが、型を明示することによりソースコードを読み手に分かりやすくなるメリットがあります。また、統合開発環境等では、型の明示された変数に対して格納する値などについてチェックを行う機能を持ち、コンパイル前にエラーを検出できる点も大きなメリットです。

特に大規模開発では、ソースコードの可読性の高さが重要です。そのため、静的型付け言語のTypeScriptは大規模な開発に向いています。

3. クラス、インターフェースを作成できる

TypeScriptはオブジェクト指向言語のため、JavaScriptと異なりクラス、インターフェースの定義が可能です。クラスを使うとコードが読みやすくなり、JavaScriptでは冗長になりがちだったソースコードを読みやすく改善できます。

一方、JavaScriptの最新バージョンECMAScript2023では、クラスの定義は可能となっていますが、インタフェースについては2024年6月18日時点でも実装されていません。

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TypeScriptは将来性が高い!

TypeScriptはJavaScriptの上位互換にあたり、JavaScriptからの移行も容易なため、将来性は高いといえます。これを裏付ける背景として、まずWeb開発の需要が続いている市場状況が挙げられるでしょう。また、Googleなどの大手企業に採用され言語のサポートが推進されている、JavaScriptの課題であった大規模開発にも対応している、などの理由からTypeScriptの将来性への期待はますます高まっていくと考えられます。

本項では、TypeScriptの将来性についてより詳細に解説します。

関連記事:JavaScriptの将来性とは?需要状況を解説

Webエンジニアの需要が高い

近年のスマートフォン・インターネットの普及でWebサイト・Webアプリケーションなどの開発ニーズが高まり、Webエンジニアの需要はますます高まっています。

特にTypeScriptについては、人気が上昇しています。Stack Overflowによるプログラミング言語の人気調査でも、2021年は30.19%の開発者が利用し7位、2022年は34.83%で5位、2023年は38.87%で5位と、TypeScriptの人気が高く普及度合いも進んでいるのが分かるでしょう。

現在、Web開発のフロントエンドで使用されるプログラミング言語は、HTML、CSS、JavaScriptなどが主流です。今後は、JavaScriptに並行もしくは変わるかたちでTypeScriptが使われていくと考えられます。

TypeScriptの人気が高まるにつれて、TypeScriptエンジニアの需要も高まっていくでしょう。

既存システムのJavaScriptからの移行が考えられる

TypeScriptはJavaScriptをベースに開発されており、高い互換性があります。そして、既存のフロントエンドシステムの多くはJavaScriptで作られているため、改修や追加、新規開発において、今後はTypeScriptが採用されるケースが増えると考えられます。

また、大規模開発に適している点もTypeScriptの将来性が期待できる理由の1つです。今後は新規の大規模開発に積極的に採用されるでしょう。

世界的大手企業(Google)が社内の標準開発言語として採用

2017年に、世界的な大手企業であるGoogleが、社内の開発標準言語としてTypeScriptを採用し、大きな話題となりました。また、JavaScriptのフレームワークであるAngularは、TypeScriptで使われることを念頭に開発されました。

Vue.jsやReactなどのフレームワークがTypeScriptのサポートを開始したのも、こうした動きがきっかけです。その結果、さまざまな国内外の企業がTypeScriptを積極的に採用しはじめています。

大手企業がTypeScriptを採用する事例が増えているため、将来性も明るいといえるでしょう。

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TypeScriptのメリット・デメリット

どのプログラミング言語にも、魅力もあれば不便な点もあるものです。特にデメリットについて理解しておくと、何か不都合が生じたときでも迅速に対応策を検討するなど、柔軟に対応できるでしょう。ここでは、TypeScriptをWebのフロントエンド向けのプログラミング言語として選択する場合の、メリット・デメリットを説明します。JavaScriptとの関係性や比較がポイントです。

メリット

TypeScriptを開発言語として選択する場合のメリットには下記が挙げられます。JavaScriptのメリットを活かしながら、さらなるメリットが得られる点が共通しています。

JavaScriptと互換性がある

TypeScriptはJavaScriptの上位互換です。TypeScriptで作られたプログラムは、実行時にJavaScriptにトランスパイル(変換)されます。つまり、JavaScriptとは互換性があるため、基本的に既存の資産をそのまま移植して利用可能です。また、新たな機能も利用できるため、移行に際したハードルが低い点は大きなメリットといえます。

JavaScriptの知識を活かせる

JavaScriptと互換性があるため、JavaScriptの開発経験があるエンジニアはすぐにTypeScriptの利用を始められます。JavaScriptでの開発で得た知見はそのまま利用できる場合が多く、無駄になりません。

JavaScriptのフレームワークでもReactやVue.jsは、TypeScriptへの対応を行っており、AngularはTypeScriptに向けてAngularJSを作り直したものです。これらのフレームワークに関する知識も、そのまま役立てられます。

デメリット

TypeScriptを選択した場合に、デメリットとなる点については下記が挙げられます。

設定項目が多く難しい

TypeScriptでは、JavaScriptへのトランスパイルのために設定ファイルやコンパイラオプションの指定が必要です。JavaScriptでの開発では携わらない作業で内容も複雑なので、習得のハードルとなる可能性があります。

JavaScriptに変換する手間がある

TypeScriptはソースコード記述後、JavaScriptへのトランスパイルを行った上で実行が可能になります。多少なりとも時間と手間がかかるため、開発効率を低下させる要因となります。

ランタイムのエラー検出は手動

TypeScriptでは静的型付けを採用し、型推論などによるコンパイル時のエラー検出が可能です。ただし、すべてのエラーがコンパイル時に検出できるわけではなく、ランタイムエラー(実行時エラー)についてはJavaScriptと同様に、手動のテストによって検出する必要があります。

大きなデメリットではありませんが、すべてのエラーを事前に検出できると期待していた場合にはデメリットに感じるでしょう。

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【未経験者向け】TypeScriptの学習方法

未経験者向けのTypeScriptの習得方法について解説します。
プログラミング自体が未経験の方は、TypeScriptからではなく、JavaScriptから習得するのがおすすめです。TypeScriptは登場して10年弱とまだ新しい言語のため、1995年から使われているJavaScriptに比べると参考書や学習サイトが多くありません。そのため、疑問点があってもなかなか解決できないなど、学習過程で苦労しがちです。

すでに多くのエンジニアが利用するJavaScriptであれば、未経験向けの参考書や学習サイトが豊富にあるため、スムーズに学習を進められるでしょう。

JavaScriptを含めた他言語の経験がある方は、以下の方法でTypeScriptの習得を目指してみてください。

関連記事:TypeScriptの資格4選!企業が求めるスキルを解説

入門書などの書籍で独学する

TypeScriptに関する書籍は徐々にそろってきており、入門書も複数存在します。未経験者には、全体を把握できるように、基本概念から具体的な環境構築まで解説してある書籍がおすすめです。

スクール(オンライン含む)で学習する

書籍ではなかなか学習が進まなかったり、不明点を解決できなかったりする場合は、スクールを活用しましょう。最近では、オンラインで受けられるスクールも多くあります。リモート環境でもプロの講師の授業やメンタリング、Q&Aなどが可能です。

オープンソースドキュメントを活用する

TypeScriptにはオープンソースのドキュメントTypeScript Deep Diveが存在しています。未経験者でもドキュメントを参考に手を動かしながら学習可能です。たとえば「TypeScript入門&環境構築」の章では、環境構築方法やサンプルコードが記述されているため、初心者でも手順に沿って安心して学習できます。

TypeScriptに初めて触れる方は、基礎的な学習として活用するのがおすすめです。さらに、実際に簡単なWebアプリを作成してみると、JavaScriptとの違いを実感できるでしょう。

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TypeScriptエンジニアの年収

2024年6月18日時点で、レバテックキャリアに掲載されている募集中の求人・転職情報のうち、キーワード「TypeScript」に該当するのは802件です。この中から90件を抽出し、年収の最大値と最低値を考慮して算出すると、TypeScriptエンジニアの平均年収は約827万円と想定できます。

ただし、レバテックキャリアでは、「TypeScriptエンジニア」として募集している求人情報は存在しません。そのため、あくまでもアプリケーションエンジニアやサーバーサイドエンジニア、フロントエンドエンジニアといった、TypeScriptが扱えるエンジニア全般の平均年収として捉えてください。

TypeScriptエンジニアの求人・転職情報>

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TypeScriptエンジニアに求められる知識・スキル

TypeScriptエンジニアとして活躍するためには、TypeScriptだけではなく、ほかのプログラミング言語も含めた幅広い知識を習得する必要があります。TypeScriptは活用できる開発範囲が広く、他言語との連携もしやすいことから、JavaやPython、PHPといったスクリプト言語の知識や開発スキルも求められる可能性があるためです。

なかでも、サーバーサイド開発に関する知識・スキルがあると、広く開発に携われる人材として重宝されます。

また、TypeScriptをサポートするフレームワークも徐々に増えています。たとえば、AngularやVue.js、React、Nest.jsなどのフレームワークが代表的です。さまざまなフレームワークの知識・スキルを身につけておくと、スキルアップにつながるでしょう。

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TypeScriptに関するよくある質問

レバテックキャリアに寄せられる、TypeScriptに関するよくある質問と回答をまとめました。TypeScriptは、JavaScriptとよく比較されるように、双方の言語の関係性や違いが分からないといった声が多いです。また、TypeScriptの将来性への期待から、これから学んでいきたいと考えている方も見受けられます。これから習得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

Q1. TypeScriptが使われている理由は何ですか?

TypeScriptは、JavaScriptの「大規模開発に不向き」という課題解決を目的として作られました。静的型付けの導入などにより、効率的で大規模なWeb開発を実現できる点がよく利用される理由です。また、JavaScriptの知識があれば、低コストでスキル習得に取り組み易いのも理由といえます。

Q2. TypeScriptとJavaScriptの関係性を教えてください

TypeScriptはJavaScriptの後継言語で、作成したプログラムは、実行前にJavaScriptのソースコードに変換されます。そのため、TypeScriptで作成したコードをJavaScriptから呼び出したり、JavaScriptのライブラリをTypeScriptで利用したりできます。

Q3. TypeScriptの欠点は何ですか?

TypeScriptをJavaScriptと比較した場合の欠点として、下記が挙げられます。

  • ・追加している機能の分の学習コストが必要

    ・トランスパイルのための複雑な設定が必要

    ・実行するごとにトランスパイルする一手間がかかる

    ・開発に関連する情報が取得しづらい

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まとめ

TypeScriptは、JavaScriptの上位互換にあたるプログラミング言語で、JavaScriptが大規模開発に適さないという課題を解消するべく開発されました。そして、Webのフロントエンド開発などにおいてJavaScriptの代替になるとして将来性が期待されている言語です。

また、Web開発のニーズは今後も続くと想定されます。そのような状況下で、TypeScriptは、JavaScriptに対して互換性を保ちながら機能の追加を行っています。そのため、技術者のスキル習得や環境面でもハードルが低いといえるでしょう。また、JavaScriptから乗り換えるケースは今後ますます増加すると考えられます。

Google社で開発言語として採用されるなど、言語へのサポートも期待でき、各種のJavaScriptのフレームワークでも対応が行われていることから、将来性は高いです。エンジニアにとっても、TypeScriptのスキルを身につければ高い年収が望めるため、習得したい言語の1つといえます。

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