QAエンジニアとは?仕事内容や役立つ資格、年収・求人例などを解説

最終更新日:2024年12月3日

QAエンジニア(quality assurance engineer)・品質保証エンジニアとは、ソフトウェアの品質保証を目的とした品質計画の立案や動作テスト、品質管理を行うエンジニアです。近年では、仕様通りの機能が備えられていることやユーザーの使いやすさの確保以外にも、セキュリティ担保の観点からもQAエンジニアの需要が高まってきています。

この記事では、QAエンジニアへの転職を検討している方に向け、概要やテストエンジニアとの違い、求められるスキル、キャリアパス、将来性、役に立つ資格について解説します。QAエンジニアをキャリアパスに組み入れる判断材料としてご利用ください。

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この記事のまとめ

  • QAエンジニアとは、製品の動作確認やサービスの品質保証をミッションとした、テストやレビューなどをメインに行うエンジニア
  • 業務の流れとして「テストの計画/設計」「仕様の確認と設計上の問題の抽出」「テスト実行/結果分析」「結果報告と改善案の作成」の順で行う
  • 品質担保はどのような製品でも必ず必要とされ、AIやIoTなどの先端技術分野での開発でも重要な要素のためますます需要が高まると考えられる

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QAエンジニアとは

QAエンジニアはソフトウェアやシステムの品質を保証するために、テストの設計、実行、管理を行うエンジニアです。システムやアプリケーションが仕様に沿った動作をしていることや、ユーザーが使いやすく作られていることを検証し、ソフトウェアの品質を高めることが業務のミッションです。

QAエンジニアはソフトウェア開発の中でもレビューやテストにより機能やユーザビリティを確認し、開発者に問題点をフィードバックしてソフトウェアの品質を確保します。ISO9001などの品質管理に関連した規格にも精通し、プロダクトに高い品質を保証する役割も担っています。

QAエンジニアのQAは、Quality Assuranceの頭文字で「品質保証」を表す言葉です。そのため、品質保証エンジニアとも呼ばれます。

QAエンジニアの役割

ITシステムやアプリケーションはSEやプログラマーなどのITエンジニアにより設計・開発が行われます。QAエンジニアは、開発されたシステムやアプリケーションが設計通りに作られ期待通りに動作するかを確認し、問題がある場合は是正に繋げることが役割です。

また、ソフトウェア製品にはユーザーが存在し、ユーザーが利便性を得られることが重要な目的です。このため、ユーザーにとってわかりやすい仕組みや見た目であることを確保することもQAエンジニアの大切な役割となります。

品質の確認はレビューやテストという形で行います。単にプログラムとしての問題を見つけるだけでなく、発生した問題を集計、分析して、開発プロセスそのものにおける問題点も指摘します。

QAエンジニアとテストエンジニア(テスター)の違い

QAエンジニアが行う動作テストは、開発工程で実施される単体テストや結合テストのように単体のプログラムや一部の機能に対して行うのではなく、完成したソフトウェア全体に対して行うことが一般的です。完成品に対するテストであり、ユーザー環境を構築して行う動作テストや耐久テスト、動作仕様テストなどが主な試験種類となります。ただし、ソフトウェア製品の完成前に品質に問題があることが予見される場合は、この限りではありません。

一方のテストエンジニアは、プログラムが正常に動作するか、不具合がないかといった観点でテストを行うことが業務です。ソフトウェアのテストを中心に行い、繰り返しながら不具合やバグを見つけます。そのため変数の戻り値やクラスの動作を確認する単体テストや、関数同士の連携や動作を確認する結合テストといった業務が主です。

このような点が、QAエンジニアとテストエンジニアの違いです。

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QAエンジニアの仕事内容

QAエンジニアの仕事内容は、ITシステムやサービスなどのソフトウェア製品の品質を保証することです。

QAエンジニアはシステム開発において、「品質計画(テスト設計)」「動作テスト」「品質管理」「品質改善」「品質保証」などの作業・工程を担当します。テスト後はその結果をまとめて分析し、集中的に対応が必要な問題を抽出することも業務の一環となります。

一般的にシステムやソフトウェアは規模が大きいほど複雑化し、想定外のエラーや動作が発生しやすくなります。そのため、開発したシステムやソフトウェアの品質保証を行うQAエンジニアが強く求められるでしょう。

ここでは、QAエンジニアの仕事内容について具体的に説明します。

テストの計画・設計

QAエンジニアの仕事はITプロダクトの開発プロジェクトにおけるテストの計画から始まります。早ければプロジェクト計画の起案段階から、プロダクトの特性を考慮したテスト計画を立案します。テストの観点や確認内容は早い段階で洗い出し、テストの準備として機器や人的リソースの手配も行ないます。

テスト計画時の観点に基づき、確保すべき品質を確認できるテスト設計が求められます。

仕様の確認と設計上の問題の抽出

QAエンジニアは、プロジェクトによっては設計工程の品質チェックを行う場合もあります。仕様書のレビューでは、プロダクトの機能やユーザビリティを確認し仕様の抜け漏れや誤りがあれば正すことが必要です。レビューによる品質確保は、以降の工程での成果物の品質を高めることに繋がります。

また、仕様が確定すると確認すべきテストの観点や項目も定まります。これらをまとめたテスト仕様書に対しても、QAエンジニアはレビューを実施します。本来確認すべきテストが抜けていた場合は、あとの工程になって再テストが必要になる可能性もあるため注意が必要です。

テスト実行・結果分析

開発やテスト工程が進み、システムが出来上がってきたタイミングで、QAエンジニアは計画・設計に沿ったテストを実行します。テストは「仕様書に沿っているか」や「ユーザーが快適に使えるか」、「セキュリティが確保されているか」など多角的な視点でのチェックが必要です。テストの実施後は速やかに結果の集計を行い、開発者にフィードバックします。

また、集計結果からテスト時点のソフトウェア品質の評価をはじめ、課題の共通点、強化に必要なポイントの抽出と対策の立案を行うことも業務の一つです。

結果報告と改善案の作成・提出

テストを実施した後、結果の分析内容と問題点および改善案をプロジェクトマネージャーや開発チームのリーダーなどのステークホルダーに報告します。結果に応じて、開発現場へのフィードバックおよびソフトウェアの品質改善を促す必要があるでしょう。プロジェクト全体に同じような障害や品質問題がある場合には情報の展開が必要となるため、そのフォローも重要な業務です。

テスト自動化の検討

Webサービスなどのプロダクトでは継続的な機能のリリースが求められ、その結果開発に求められるスピードも速まっています。開発の一工程としてのテストにもスピードが求められる傾向は同様です。

そこで利用する機会が増えているのがツールによるテスト自動化です。テストを効率化することで、最終的にはソフトウェアの品質向上につながります。

また、テストプロセスの品質向上にも有効な手段です。自動化ツールなどによりテストの再現性を高めることで、テスト実施者のスキルによらず高品質なテストが実現できるためです。

QAエンジニアはこれらのメリットを得てソフトウェアの品質を高めるため、テスト自動化の検討を行います。テスト自動化ツールを使うことだけが必ずしも正解ではないため、他の手段と比較してプロジェクトに適した方法であることを確認し、必要に応じてツールの導入などを行います。

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QAエンジニアに求められるスキル

QAエンジニアに求められるスキルは多岐にわたります。

QAエンジニアは、「品質保証」という責任がある職種のため、一般的には未経験からなることは難しい職種です。プログラマーやSEなどを経験してスキルを習得した後に、キャリアアップ先の一つとして選択肢にのぼってきます。

ここでは、技術に関するスキルとヒューマンスキルに分けて解説していきます。

QAエンジニアに必要な技術に関するスキル・知識

QAエンジニアには技術的なスキルや知識が必要不可欠です。QAエンジニアは品質保障に深く関わり、プログラムの問題を見つけるだけでなく、発生した問題を集計、分析する必要があります。

求められる技術的なスキル・知識としては「プログラミングスキル」「テスト技法の知識」「ソフトウェア開発の知識」「品質マネジメントの知識」などが挙げられます。

以下では、QAエンジニアに必要な技術に関するスキル・知識について詳しく解説しますので、参考にしてみてください。

プログラミングスキル

ソフトウェアに実装されている各機能の品質保証に際し、機能仕様や設計内容に関してレビューや評価を行うのもQAエンジニアの仕事です。単体テストや結合テストの結果と照らし合わせ、ソフトウェアの評価を行います。開発資料を読み解くためには、開発に使用されている言語を理解する必要があります。

また、QAエンジニアは膨大なデータを扱うテストを行うため、業務効率化のためテスト自動化ツールをプログラミングして作成する技術もあると良いでしょう。

テスト技法の知識

QAエンジニアは、テスト技法に基づいたテスト計画の立案と実行、品質管理を行います。テスト計画を立てるには、開発内容に応じてどのようなテストを行うべきかの判断が必要です。つまり、幅広いテスト技法の知識が必須となります。

テスト技法には、ブラックボックステスト、ホワイトボックステストの大きな区分けがあり、さらには境界値分析、状態遷移テスト、負荷テストなど複数の種類がありますが、すべてのケースや組合せをテストすることはリソース的に難しい場合が多いです。そのため、リソース内で実行できる設計が求められます。

ソフトウェア開発の知識

QAテストエンジニアには、ソフトウェア開発の知識も求められます。

たとえば、テストから得られた結果をもとに、不具合の再発防止策の提案を行うためにはソフトウェア開発に対する知見が必要です。また、テスト結果を報告する際には、開発プロセスの問題点、改善ポイント、工程の見直しを開発プロジェクト全体にフィードバックする必要があります。

QAエンジニアはプログラマーやSEを相手に仕事を行うため、ソフトウェア開発の知識がそれらのエンジニアと同等に必要となります。

品質マネジメントの知識

ソフトウェアの品質管理や品質保証を行う上で、品質マネジメントの知識が必要となります。QAエンジニアの仕事は品質保証に直結しているため、各工程での品質管理や保証のプロセスの質をマネジメントし向上させることも業務の一環です。

また、開発内容によっては、ISOなどの品質保証規格の認証取得が必須となっていることもあります。ISOの品質マネジメントの7原則などを取り入れて、システムの品質保証の業務に活かせれば、QAエンジニアとしてより高レベルな仕事ができるようになるでしょう。

ちなみに、ISOの品質マネジメント7原則は以下の通りです。

ISOの品質マネジメント7原則

  • 原則1:顧客重視

    原則2:リーダーシップ

    原則3:人々の積極的参加

    原則4:プロセスアプローチ

    原則5:改善

    原則6:客観的事実に基づく意思決定

    原則7:関係性管理

QAエンジニアに必要なヒューマンスキル

QAエンジニアには、技術的なスキルだけでなく、ヒューマンスキルも必要です。

QAエンジニアに必要なヒューマンスキルは「コミュニケーションスキル」「品質以外のマネジメントスキル」「文書作成スキル、プレゼンテーションスキル」などが挙げられます。

ヒューマンスキルは、意識を変えるだけで身につけることができるものも多いため、参考にしてみてください。

コミュニケーションスキル

QAエンジニアにはコミュニケーションスキルも必要です。品質保証の仕事は一人で黙々と進めることをイメージしがちですが、実際にはシステムを開発担当のエンジニアや、ほかの部門のスタッフとのコミュニケーションが求められます。たとえば、業務の対象となるシステムが、どのような機能を持つのか確認したり、品質保証のためのテスト結果をエンジニアに伝えたりなど、コミュニケーションが必要となる場面が多々あります。

エンジニアの中では、プログラマーなどよりもコミュニケーションを取る機会は多いです。QAエンジニアを目指すのであれば、身につけておきましょう。

品質以外のマネジメントスキル

QAエンジニアにはマネジメントスキルも欠かせません。納期までに作業を終えるためのスケジュール、品質管理チームやテスト担当者などのリソース、コスト、リスクなどの管理業務が発生するためです。特に多くの人員を束ねる立場になる場合には強く求められるスキルとなります。

文書作成スキル、プレゼンテーションスキル

QAエンジニアには、レポート作成やプレゼンテーションのスキルが必要です。QAエンジニアが行ったテストの結果やそこから得られた知見は、システム開発プロジェクトにフィードバックします。そのため、表計算ソフトや文書作成ソフト、プレゼンテーションソフトを用いて結果をまとめ、レポートを作成し、プロジェクト関係者に内容をプレゼンテーションするスキルが必要です。

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QAエンジニアの仕事・転職に役立つ資格

QAエンジニアの仕事において役立つ、代表的な資格をいくつか解説します。

資格制度を活用することで、QAエンジニアに求められる知識やスキルを効率的に身につけることが可能です。その結果、QAエンジニアとして転職する際にも役立ちます。

各資格について以下で詳しく解説するので、参考にしてみてください。

関連記事:QAエンジニアに役立つ資格は?おすすめの勉強法も紹介

JSTQB認定テスト技術者資格

JTSQB認定テスト技術者資格は、JSTQ(Japan Software Testing Qualifications Board)が運営している資格認定制度です。Foundation Level、Advanced Levelの2つのレベルが用意されており、レビュー評価やソフトウェアテストに関する知識が問われます。Advancedレベルではテストマネージャ、テストアナリスト、テクニカルテストアナリストとさらに役割別に試験が分かれます。国際ソフトウェアテスト資格認定委員会であるISTQBと連携した試験であるため、世界各国におけるテスト技術者資格と相互認証され、海外でも通用する資格となっています。

ソフトウェア品質技術者資格認定

ソフトウェア品質技術者資格認定は、一般財団法人日本科学技術連盟が運営している資格認定制度です。2024年11月17日時点では初級と中級の2つのレベルが提供されており、品質技術の習得とソフトウェアの品質向上ために必要な知識が問われる内容となっています。主な出題範囲として、ソフトウェア品質の基礎知識、テスト技法、レビュー技法があげられます。なお、両方とも受験資格はなく、初級資格合格者でなくても中級資格試験を受験することが可能です。

QC検定

QC検定は、日本規格協会(JSA)が運営している資格認定制度です。4級・3級・2級・準1級・1級の5つのレベルが用意されており、品質管理の実践と品質管理の手法についての知識が必要です。ソフトウェアの品質保証に限ったスキルではなく、一般的なものづくり全般に関しての品質保証スキルが問われます。品質管理プロジェクトのリーダーやQAエンジニアとしてのスペシャリストは1級の取得を目標とすると良いでしょう。

IT検証技術者認定試験(IVEC)

IT検証技術者認定試験(IVEC)は、一般社団法人のIT検証産業協会(IVIA)が実施・認定しているテストエンジニア向けの資格試験です。

キャリアレベルごとに記述式試験があり、初心者向けのアシスタントから最も難易度が高いエバンジェリストまでの5段階で試験が設けられています。これまでは、上位レベルの試験を受験するには、下位の資格取得が必要でした。ですが、2024年春期試験より受験者の希望したクラスを受験することが可能となりました。

合格すると認定証が発行され、キャリアレベルごとの評価を証明できるのがメリットです。参考書や問題集は少ないですが、IT検証技術者認定試験の公式サイトに過去問が掲載されています。段階的にスキルを証明するには有効な資格です。

TOEIC・TOEFL

TOEIC・TOEFLは日常会話やビジネス英語のスキル証明として、あらゆる業種で人気の資格です。QAエンジニアにおいても、英語で記載された仕様書の理解やエラーメッセージの解読など英語力が役立つ場面も多いでしょう。いずれも高得点を狙うためには文法問題やリスニング対策は重要となります。QAのみならずエンジニア全般においても有効なので、挑戦したい資格の一つです。

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QAエンジニアに向いている人の傾向

QAエンジニアは製品テストの設計や実施が仕事であるため、注意深く、細かく調査できる人に向いているといえます。また、QAエンジニアのポジションは開発と運用のあいだにあるので、上手くコミュニケーションをとることができれば各部署との情報共有に貢献できるでしょう。

ここでは、QAエンジニアに向いている人には、どのような傾向があるのかをさらに深掘りしていきます。

注意深い

注意深いということは、何事にも念入りであり、慎重であるといえます。QAエンジニアの業務では、細かい部分に注視し一定のタイミングや手順でのみ発生する不具合やバグを見逃すわけにはいきません。どんなことにも慎重であったり、丁寧な性格は、QAエンジニアにとってはスキルであり大切な考え方であるといえるでしょう。

調べる習慣が身についている

調べる習慣が身についている人は、QAエンジニアに向いているといえるでしょう。たとえば、調べる習慣がついている人は、バグを見つけたときにすぐに再現方法を調べます。どうすれば不具合が発生するのか根気強く調べることは、QAエンジニアにとって重要なミッションです。再現性はプログラムを修正する際にも必要な情報であるため、何事にも自主的に調査する習慣を心がけることが大切といえます。

マルチタスクが得意

QAエンジニアは、品質管理の業務もありますが、テストの分析結果を取りまとめたり、項目書や報告書の作成を行うことも業務の1つです。多岐に渡って作業があるため、臨機応変に対応する必要があります。マルチタスクが得意であれば、これらの作業をスムーズに行うことが可能でしょう。また、検証作業においても迅速な対応ができれば、業務に貢献できるといえます。

ユーザー視点で物事を考えられる

ソフトウェアの利用者の視点で物事を考えられる人は、QAエンジニアに向いています。

すべてのソフトウェア製品において大切なことは、ユーザーにとって使いやすく役立つソフトウェア製品であるということです。テストや検証といった工程では開発側の目線になりがちですが、常にユーザー目線で物事を考えることは本来の目的を見失わないためにも大切な思考といえるでしょう。

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QAエンジニアの需要と将来性

QAエンジニアはITの需要の高まりを背景に品質管理も広く求められることから、あらゆる分野で必要とされる職種です。また、開発部門と運用部門のあいだの橋渡しとしての役割も担います。需要も将来性も高いといえるでしょう。

QAエンジニアへの転職を検討している方にとって、市場がどのようになっているかはとても気になる点です。現在の需要と将来性について詳しく説明しますので、確認しておきましょう。

QAエンジニアの現在の需要

複雑で高度なソフトウェア製品ほど、バグや不具合が発生する確率が高く、発見するのは困難です。QAエンジニアはそのようなソフトウェア製品における、品質管理のスペシャリストとして、多くの企業において需要が高まっています。

また、ユーザーの目が肥えたことによるソフトウェア製品へ期待される完成度の高さ、繰り返しリリースを行う場合のテスト頻度向上などもQAエンジニアの需要を支える要因です。

さらに、IT業界全体で人材不足が常態化しているため、QAエンジニアの需要は今後も高まり続けると考えられます。

レバテックキャリアにて、2024年11月17日時点で職種「QAエンジニア」で公開されている求人・転職情報の件数は597件(募集中307件)でした。エンジニア職種の一つとしてQAエンジニアに向けた需要が一般化していることがわかります。

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しかし需要があるからといって、すべてのQAエンジニアが活躍できるわけではありません。ソフトウェア開発の手法は今後も進化し、新しい技術も登場します。企業から求められるQAエンジニアであり続けるためには、最新の開発手法や技術の勉強を続ける必要があります。

ユーザー満足度が重視される傾向が強くなっている

ITが広く普及したことによりユーザーのソフトウェアに対する評価は厳しさが増しています。比較対象も増えているため、よりユーザーが満足できる品質が求められていることもQAエンジニアの需要を高める要因です。

ソフトウェアの提供者である企業などは、ソフトウェアの利用という体験を通してユーザーの満足度を高めることを重視しています。ユーザーの体験(User Experience)もあらたな品質の基準に加えられるため、QAエンジニアの必要性が高まります。

開発手法の多様化によりテストの回数が増加している

近年、ソフトウェアの提供形態として広まっているのがWebサービス(SaaS)です。利用者はネットワークに接続できる環境を用意するだけで使えるため利便性が高く、サブスクリプション形式などのビジネスモデルを採用している場合も多いです。サブスクリプション形式では、期間ごとの契約のためユーザーに常に新たな機能を提供することが競走上必要となります。

このような事情を背景にWebサービスを含むプロダクト開発では、アジャイルなどの手法を用いることが増えています。短いスパンで機能の実装とリリースを繰り返すスタイルではテストの頻度が高まるため、QAエンジニアによる効率化が必要とされます。

QAエンジニアの将来性

品質担保はどのような製品でも必ず実施されるものです。よって、QAエンジニアの仕事がなくなることは現時点ではないといえます。AIによる自動化により、代替される可能性もありますが、すべての仕事を代替することは難しいでしょう。テスト設計やユーザー視点での提案など、QAエンジニアにしかできない業務を提供することができれば将来性は高くなります。

また、近年では、先端技術での開発が増えてきているので、これらの技術に強いQAエンジニアはますます需要が高まると考えられます。

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QAエンジニアの経験を活かしたキャリアパス

QAエンジニアへの転職を検討している方は、その後のキャリアパスについて知っておくと、より明確に将来を検討できるでしょう。

QAエンジニアの代表的なキャリアパスとして、「QAコンサルタント」「QAマネージャー」「シニアQAエンジニア」「テストアナリスト」「フリーランスとして独立」などが挙げられます。

以下では、5つのキャリアパスについて詳しく説明します。ぜひ参考にしてください。

QAコンサルタント

QAコンサルタントとは、ソフトウェアや製品の品質リスクをヒアリングし、品質戦略を提案する職種です。QAエンジニアの仕事の中でも上流工程に特化した職種といえるでしょう。

QAコンサルタントになるには、ソフトウェア開発やテスト技法に関するより深い知識と発想力、プレゼンテーションスキルが必要です。

QAマネージャー

QAマネージャーとは、テスト要求からテスト実施までの管理を行う職種です。QAエンジニアの中でプロジェクトリーダーのような役割を担います。工程全体のマネジメントではなく、テストのマネジメントに特化しているといえるでしょう。

QAマネジャーになるには、マネジメントスキルはもちろん、周りとの連携をとるコミュニケーションスキルが必要になります。

シニアQAエンジニア

シニアQAエンジニアとは、深い知識と高い技術力を持つQAエンジニアのスペシャリストです。QAエンジニアとしての経験を積み、さらにレベルの高いQAエンジニアが到達する職種といえます。

チームメンバーの管理やプロジェクトのマネジメント業務にも携わることもあるため、マネジメントスキルやコミュニケーション能力も必要になるでしょう。

テストアナリスト

テストアナリストは、システムの不具合分析や分析結果のフィードバックを行う職種です。アナリストとは、分析における専門家のことで、QAエンジニアの中でもテストの分析工程に特化しています。

テストアナリストになるには、高い分析力とソフトウェア開発に関する知識が必要です。

フリーランスのQAエンジニア

フリーランスのQAエンジニアには大きな需要があります。自社内にQAエンジニアの役職を設けている企業もありますが、そうではない企業も多々あるからです。スキルのある外部のQAエンジニアに依頼し、「システムのクオリティを高めたい」「問題を排除したい」「トラブル回避しつつユーザー満足度の高いサービスを提供したい」と考える企業は少なくありません。

システム開発においてアイデアを出すことやそれを形として実現することは非常に重要といえます。しかし、それと同じくらい成果物の穴をなくしていくことも大切です。QAエンジニアはいわばシステム開発において守備側の立場で、多くの企業の弱点になっている部分でもあります。そのため、QAエンジニアを持たない企業に、フリーランスのQAエンジニアは需要があるといえるでしょう。

関連記事:QAエンジニアのキャリアパスは?スキルマップや役立つ資格も紹介

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QAエンジニアの平均年収

2024年11月17日時点でレバテックキャリアに掲載されている公開中の転職・求人情報より、職種「QAエンジニア」の情報から平均年収を試算しました。30件を抽出し、年収の最高値、最低値の中間の平均を平均年収とすると、QAエンジニアの平均年収は約726万円です。総合的にスキルの必要な職種のため、高い年収に繋がっていると考えられます。

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QAエンジニアの求人例

以下は、レバテックキャリアで扱っているQAエンジニアの求人例です。

【業界】
IT・通信
サービス

【業務内容】
自社サービスの品質保証業務
顧客へのソフトウェア品質確保に対する提案
プロダクトの品質保証に向けた施策の提案、実行、支援
テストプロセスの設計と運用
サービスの企画や設計のレビュー

【求められるスキル・経験】
ソフトウェア開発のプロジェクトリード経験(PMまたはPdM)
チームや職種をまたいだコミュニケーションスキル

【想定年収】
600~800万円

【勤務地】
東京都

関連記事:QAエンジニアの年収とは?仕事内容やスキル・転職活動のポイントも解説

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未経験からQAエンジニアになるには

IT業務未経験からQAエンジニアになることは、一般的には難しいとされています。

QAエンジニアは、製品の品質に直結する責任が大きい職種です。未経験から目指すためには、まずはプログラミングスキルを身につける必要があります。

ここでは、未経験からQAエンジニアになるにはどのように勉強や転職活動をすれば良いか解説します。

プログラミングの勉強をする

QAエンジニアには、プログラミングを含むITスキルが必要です。

品質を保証するためにはほかのエンジニアが作ったプログラムを読んで理解し、必要であれば修正を行う、もしくは修正を指示する場面があります。そのため、開発に使用される言語の理解が必須です。プログラミングが分からなければ、どこを改善すべきか指摘することができません。

まずはプログラミングの勉強から始めましょう。

資格取得でスキルを証明する

QAエンジニアに関連した資格を取得することで、QAエンジニアとして転職する際に役立ちます。ただし、QAエンジニアに必須の資格はないため、資格を取得することでQAエンジニアとしての転職が保証されるわけではありません。

実務経験とスキルが重要なため、資格取得はQAエンジニアとしてのスキルを証明するための補助的な位置づけになります。

未経験可の中途採用求人を探す

未経験からQAエンジニアを目指す場合は未経験可の求人に応募しましょう。

同じQAエンジニアでも、求人によって業務内容に幅があります。テスターに近いようなQAエンジニアであれば、未経験可の求人も存在するでしょう。ただし、品質保証というよりはテスト業務が中心になる可能性が高いです。テスト業務に従事する中でスキルアップを図り、より上流工程を目指すなどのキャリアプランを持っておくことをおすすめします。

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QAエンジニアに関するよくある質問

QAエンジニアに興味がある方、転職を検討している方の中では、仕事の概要や求められるスキル、役立つ資格や将来性について気になる方が多いようです。また、将来性についてもよくある疑問として挙げられます。

ここではQAエンジニアに関するよくある質問に答えているので、類似の疑問を持つ方は参考にしてみてください。

Q1. QAエンジニアとはどのような職種ですか?

QAエンジニアは、ソフトウェア製品の品質管理や動作仕様の確認を行うエンジニアです。主に、テストの設計や実施、テスト結果の分析や改善の提案などを行います。製品が仕様書通りにプログラムされており、動作するか、ユーザーは使いやすいか、セキュリティが確保されているかなど多角的な視点が必要です。

Q2. QAエンジニアに求められるスキルについて教えてください

QAエンジニアに求められるスキルには「プログラミングスキル」「テスト技法の知識」「ソフトウェア開発の知識」「品質マネジメントの知識」「コミュニケーションスキル」「品質管理以外のマネジメントスキル」「文書作成、プレゼンテーションスキル」が挙げられます。ISOの品質管理基準の知識が必要な場合もあります。

Q3. QAエンジニアに役立つ資格はありますか?

JSTQB認定テスト技術者資格は、国際ソフトウェアテスト資格認定委員会と連携した資格であるため、海外でも通用する資格となっています。また、ソフトウェア品質技術者資格認定、QC検定、IT検証技術者認定試験(IVEC)などもQAエンジニアの仕事に役立つでしょう。

Q4. QAエンジニアの将来性について教えてください

品質担保はどのような製品でも必ず必要なため、QAエンジニアの需要はなくならず、将来性は高いと考えられます。近年では、AIやIoTといった先端技術での開発が増えてきているので、これらの技術に強いQAエンジニアはますます需要が高まるでしょう。

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まとめ

この記事では、QAエンジニアの概要やテストエンジニアとの違い、求められるスキル、キャリアパス、需要、将来性、役立つ資格などについて解説しました。

QAエンジニアはソフトウェア開発において、品質担保と品質向上の役割を担う重要なエンジニアであり、品質の良い製品を作り出すために必要不可欠な存在です。開発者側の視点とユーザー側の視点を持ち、あらゆる角度からソフトウェア製品の品質を高める役割を果たします。ITそのものの需要の高まりや品質管理が求められる状況は変わらないこと、ユーザー満足度の重視、短い期間での繰り返しのリリースに対するテスト効率化などの理由から需要が続くと考えられるため、将来性がある職種といえるでしょう。

ただし、QAエンジニアにはソフトウェア開発に関する知識などが必要なため、IT業界未経験の状態から目指すことは簡単ではありません。未経験可の求人では、テスター寄りの業務になる可能性が高いため、プログラマーやSEとして実務経験を積み、スキルを身につけてからキャリアアップしていくルートがおすすめです。

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