テストエンジニアに役立つ資格4選!取得のメリットも解説

最終更新日:2024年6月26日

テストエンジニアは、ソフトウェアなどの品質保証や品質向上を担う重要なエンジニアです。ソフトウェア開発が盛んな昨今、高度なテスト設計スキルや品質改善スキルを持つエンジニアには高い需要があります。

テストエンジニアを対象とした資格には「JSTQB認定テスト技術者資格」「IT検証技術者認定試験」など、さまざまなものがあります。これらの資格を活用することで、スキルアップをしたりスキル証明をしたりすることができます。

この記事では、テストエンジニアとしてスキルアップしたいテストエンジニアや業界未経験の方に向け、テストエンジニアの仕事やスキル証明に役立つ資格を解説します。

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この記事のまとめ

  • テストエンジニアの仕事やスキル証明に役立つ資格を解説。ソフトウェアテストはAIの開発が進んできており、近い将来AIが担当する時代がくることが予想される
  • そうなったとしてもAIにどのようなテストを行わせるかを考えたり、改善策を立案したりするのは現時点では人間の仕事
  • テストエンジニアはテスト検証スキルだけでなく、テスト設計スキルやテストアナリストスキルを身につけていく必要がある

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テストエンジニアとは

テストエンジニアはシステムのテストに特化したエンジニアです。システムの中でもハードウェアではなくソフトウェアのテストを行うのが一般的です。ひとことにテストエンジニアと言ってもプロジェクトによって立ち位置は様々です。

たとえば新入社員やアルバイトの方がプログラマー見習いのような形でテストから担当する場合もあれば、テストを重要視しているプロジェクトでテストのプロフェッショナルとして参画する場合もあります。

関連記事:
テストエンジニアとは?仕事内容ややりがいについて解説
テストエンジニアの将来性はない?やめとけと言われるも解説

テストエンジニアの仕事内容

テストエンジニアの仕事内容は、「テスト設計」「テストの実施」「プログラマーやエンジニアへの情報共有」「テスト結果レビュー」などです。またテストは規模ごとに、単体テスト、結合テスト、システムテストなどに分けられます。

テストを行う目的はバグなどの問題の排除で、テスト結果に問題があった場合はプログラムの修正が必要です。そのため、テストを実施するだけでなく、エンジニアやプログラマーとコミュニケーションを取って連携することが重要です。

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テストエンジニアの仕事に役立つ資格4選

テストエンジニアの仕事に役立つ資格には、次の4つがあります。


  • ・基本情報技術者試験

    ・JSTQB認定テスト技術者資格

    ・ソフトウェア品質技術者資格認定

    ・IT検証技術者認定試験(IVEC)


これら4つの資格はテストエンジニアに求められる基本的なスキルを認定するものです。テストエンジニアに求められるスキルとは、例えばITに関する全般的な知識に加えて、テストの工程に関する知識、ソフトウェアの品質評価に関する知識、テストの実装や設計に関する知識などです。

この記事では、これら4つの資格の概要について詳しく解説します。

1.基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、ITエンジニアに求められる基礎知識を幅広く習得することができる資格です。ハードウェアやネットワークの仕組み、ソフトウェア開発手法、テスト技法などが範囲に含まれており、テストエンジニアに求められる基礎知識を身につけることができます。ITエンジニアの登竜門的な資格であり、どのような職種のエンジニアも取得しておきたい資格です。

概要/所要時間
試験は午前と午後に分かれて実施されます。試験時間は午前が90分、午後が100分です。

参考:基本情報技術者試験(FE) ~ ITエンジニアの登竜門 ~ (2024年1月26日アクセス)

問題形式

午前・午後ともに多肢選択式です。午前は出題数60問解答数60問、午後は出題数20問解答数20問です。

資格勉強に役立つ書籍

キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和06年(きたみりゅうじ、技術評論社)
コンピューターの仕組みなど、各試験内容をイラスト付きで解説している参考書籍です。主に午前試験の対策として役立つでしょう。

令和06年 基本情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集(山本 三雄、技術評論社)
19回分の過去問の演習ができる問題集です。問題と解説が見開き構成となっており、解答した問題の正解がすぐに分かるようになっています。

2021 基本情報技術者 午後試験対策書(アイテックIT人材教育研究部、アイテック)
午後試験に特化した問題集です。出題の比重が高い「情報セキュリティ」と「アルゴリズム」を詳細に解説しており、ほかの分野の問題についても、階段を一歩ずつ上がっていくように学習できます。

2.JSTQB認定テスト技術者資格

JSTQB認定テスト技術者資格は、テスト設計やテスト設計の分析、テスト工程のマネジメントなどの知識を習得できる資格です。ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)と連携しているため、海外でも通用する資格となっています。

レベルについて

基礎的な内容の「Foundation Level」と応用的な内容を問われる「Advanced Level」に分かれています。さらに、Advanced Levelはマネジメントスキルを問われるテストマネージャと、分析スキルを問われるテストアナリストの2種類に分かれています。

Foundation Level試験の出題範囲は、「ISTQBテスト技術者資格制度Foundation Levelシラバス」に準拠しています。試験時間は60分です。

Advanced Level試験の出題範囲は、「ISTQBテスト技術者資格制度Advanced Levelシラバス」および「ISTQBテスト技術者資格制度Foundation Levelシラバス」に準拠しています。テストマネージャ試験の試験時間は180分、テストアナリスト試験の試験時間は120分です。

問題形式

Foundation Level試験とAdvanced Level試験はともに、複数の選択肢から正解を選ぶタイプの問題です。出題数は、Foundation Level試験が40問、Advanced Level試験は、テストマネージャ試験が65問、テストアナリスト試験が40問です。

参考:JSTQB認定テスト技術者資格(2024年1月26日アクセス)

資格勉強に役立つ書籍

ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版 シラバス2018対応(大西 建児 他、‎翔泳社)
「Foundation Level」の対策書です。最新のシラバスに対応しており、重要用語を章ごとにまとめてチェックできるため効率的な学習を行うことができます。

[改訂3版]演習で学ぶソフトウェアテスト 特訓200問 ――JSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level対応(正木 威寛、技術評論社)
Foundation Levelシラバス2018(Version 2018.J03)に対応した問題集です。試験対策としてだけでなく、テスト技術者やプロジェクトマネージャー、プログラマーなど、多くの開発者にとって習得すべき知識を身に付けられる一冊です。

3.ソフトウェア品質技術者資格認定

ソフトウェア品質技術者資格認定は、ソフトウェアの品質向上技術に関する知識を習得することができる資格です。出題内容は「ソフトウェア品質 知識体系ガイド」をシラバスとし、ソフトウェアの品質全般に関する知識が問われる内容となっています。

具体的には、品質の概念やソフトウェア品質モデル、品質マネジメント、セキュリティ、リスクマネジメント、レビューマネジメントなど非常に幅広い内容が出題されます。どちらかというとリーダーやマネージャー向けの内容ですが、テスト実施者が学ぶことでリーダー職以上へのキャリアアップを目指す際に役立ちます。

レベルについて

「初級ソフトウェア品質技術者資格試験」と「中級ソフトウェア品質技術者資格試験」の2つの区分で実施されています。初級ソフトウェア品質技術者資格試験の試験時間は60分、中級ソフトウェア品質技術者資格試験の試験時間は120分です。

初級ソフトウェア品質技術者資格試験のレベルは、ソフトウェアのテストについて基本的な概念を把握して説明できることが求められます。テストエンジニアにとって基本的な用語や概念の理解が問われます。

中級ソフトウェア品質技術者資格試験はより実践的なスキルが問われます。具体的には、テストマネジメントやリスクマネジメントなど、品質向上に必要な管理についての問題が出題されます。

問題形式

「初級ソフトウェア品質技術者資格試験」は、40問の選択問題です。「中級ソフトウェア品質技術者資格試験」は、25問の選択問題と、穴埋め・説明・解説の3種類の記述式問題が17問出題されます。

参考:ソフトウェア品質技術者資格認定(2024年1月26日アクセス)

資格勉強に役立つ書籍

ソフトウェア品質知識体系ガイド(第3版): SQuBOK Guide V3(SQuBOK策定部会、オーム社)
ソフトウェアの品質を体系的かつ網羅的に整理して解説した書籍です。第2版にAIやIoTなどトピックスを大幅に加筆しました。ソフトウェアの品質とはどのようなもので、どうやって確保するのか、その方法を知るための最初の一冊にふさわしい本でしょう。

ソフトウェア品質保証入門―高品質を実現する考え方とマネジメントの要点(保田 勝通 他、日科技連出版社)
ソフトウェアの品質保証を組織でマネジメントする方法について書かれた書籍です。品質保証が初めての方でも理解できるように、基本的なことから丁寧に解説されています。

4.IT検証技術者認定試験(IVEC)

IT検証技術者認定試験は、ソフトウェアの検証に関する知識を習得することができる資格です。

レベルについて

エントリーレベル、ミドルレベル、ハイレベルの3つのレベルが用意されています。各テストの試験時間は180分あり、出題数はかなりのボリュームです。IT検証技術者認定試験(IVEC)の試験として実施されているのは、エントリーレベルに含まれるレベル1・レベル2試験、ミドルレベルに含まれるレベル3・レベル4試験、ハイレベルに含まれるレベル5試験の5つです。

ステップアップで知識習得できるようになっているので、まずはエントリーレベルから取得を目指すと良いでしょう。

エントリーレベル
テスト実施者向けのレベルです。テスト実行計画、テスト環境準備、テストケース準備、テスト実行、不具合報告などが出題されます。

ミドルレベル
設計者向けのレベルです。テスト詳細設計、テスト実装、テスト報告などが出題されます。

ハイレベル
アナリスト向けのレベルです。テスト要求分析、テストアーキテクチャ設計、テスト評価などが出題されます。

問題形式

問題形式はレベル1からレベル5まで全てPCを使った記述式となっています。公式サイトに各レベルの過去問と解答例が公開されているので、受験する前に確認しておくと良いでしょう。

参考:IT検証技術者認定試験(IVEC)(2024年1月26日アクセス)

資格勉強に役立つ書籍

IT検証技術者認定試験(IVEC) 知識試験 テキスト(IVEC知識試験テキスト制作委員会、BCN)
IT検証技術者認定試験(IVEC)のテキストです。ソフトウェアテストの業務を理解し、テスト中のさまざまなシチュエーションに対応する方法が記述されている一冊です。

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テストエンジニアが資格を取得するメリット

テストエンジニアに必須の資格はありません。テストエンジニアに限らず、IT業界の仕事に資格が必要なものはありません。では、テストエンジニアが資格を取得することでどのようなメリットが得られるのでしょう。

関連記事:テストエンジニアになるには?仕事内容や求められるスキルを紹介

スキルを客観的に証明できて転職に有利になる

資格を取得することで自身のスキルを客観的に証明でき、転職活動においても有利になります。
特にテストエンジニアは他のエンジニアと比較してやや知名度が低い印象で、また技術力がないからテストだけを行っている、といった認識を持っている人もいるでしょう。

そこで、資格を取得することで「スキルを持ったうえでテストを行っている」「テストに力を入れている」というアピールにもなります。このように、資格を持っていることでスキルをアピールすることができるので、転職活動で有利に働きます。

年収アップに繋がることもある

資格が年収アップに繋がる可能性があります。テストエンジニアが資格を取得していることで、資格を考慮した単価が提示されたり、高単価の案件に応募できたりといったことがあります。これは会社員でもフリーランスでも同様です。

またテストエンジニア以外のエンジニアとしてプロジェクトに参画することがある場合、その際にも資格を持っていることが年収アップに繋がる可能性があります。

キャリアアップの可能性が高まる

資格をキャリアアップの足掛かりとして活用することもできます。例えば、テストエンジニアがプログラミングの資格を取得することで、開発エンジニアに転身できる可能性があります。

また、資格取得によって専門性を高め、自己啓発に励む姿勢をアピールすることで、職場内での評価も上がる可能性があります。

資格取得で身につけた知識やスキルを仕事に活かして磨き続けることで、キャリアアップに繋がるといえるでしょう。

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転職時に評価されるテストエンジニアのスキルと知識

転職時に評価されるテストエンジニアのスキルと知識は、大きく分けてテクニカルスキルとビジネススキルに分けることができます。テクニカルスキルはテスト手法やテストツール、プログラミング知識などの技術的なスキルです。ビジネススキルは業務知識や文書作成能力などの業務一般に関わるスキルです。テクニカルスキルとビジネススキルは車の両輪のようなものでどちらも重要なスキルです。

テクニカルスキル

まずはテクニカルスキルです。これはプログラミングやソフトウェア、システムなどに関するスキルのことです。

ソフトウェアのテストの各工程に関する知識

ソフトウェアのテストには手法によって「単体テスト」「結合テスト」「システムテスト」などの種類に分類されます。まずはそれらのテストの各工程の中身を理解することがテストエンジニアの必須スキルです。

効率良くテストを実施するスキル

ソフトウェアのテストに割り当てられるスタッフや工期には限りがあります。そのためソフトウェアの機能の全てを網羅的にテストすることは困難でしょう。機能の重要度やバグが発生しやすい箇所などに絞って、効率良くテストを実施する必要があります。

ソフトウェアの品質管理のスキル

ソフトウェアの品質には、ソフトウェアとして当然にできることを担保する「当たり前品質」と、ユーザーにとって魅力的な機能を有しているかどうかを担保する「魅力的品質」の2つがあります。テストエンジニアは、これらの品質の違いをよく理解して、ソフトウェアの品質管理を行う必要があります。

テスト自動化ツールの知識

ソフトウェアのテストを効率良く進めるために、テストを自動化させるツールがあります。このようなテスト自動化ツールの知識を身に付けておくことで、短期間で高品質なテストが実施できます。

ビジネススキル

ビジネススキルとは、テストエンジニアに求められるビジネス全般のスキルのことです。

ソフトウェアの仕様や機能を正しく理解するスキル

テストを効率的かつ正確に実施するためには、テスト対象のソフトウェアの仕様や機能を正しく理解するスキルが必要です。これにはITに関するスキルだけでなく、テスト対象のソフトウェアを動作させる業務の知識も欠かせません。例えば、ソフトウェアを開発したエンジニアから、直接仕様や機能をヒアリングしたり、資料の中身を正しく読み取ったりするスキルのことです。

ドキュメント作成やプレゼンテーションのスキル

テストが完了すると、テストエンジニアはテスト結果のレポートや品質改善のための提案などのドキュメントを作成することがあります。このような資料を作成するために、WordやExcel、PowerPointなどのOffice製品のスキルが必要です。正確で分かりやすいだけでなく、見栄えを整えて相手に伝わりやすい資料を作成することがポイントです。

問題解決能力

テストエンジニアには高い問題解決能力が求められます。テストエンジニアは、テストで検出された不具合の内容から不具合の原因を分析し、同様の不具合を防止する対策を講じる必要があります。また、テスト作業の効率化のためには、テストを改善する提案や作業の問題点を解決していくような問題解決スキルも必要になってきます。このように、問題解決能力はテストエンジニアに必要不可欠なスキルと言えます。

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テストエンジニアに関するよくある質問

テストエンジニアに関する質問として、テスターやQAエンジニアとの違いについて問われることが多いです。それぞれの質問について解説します。自分自身が疑問に思っていることに近い質問があれば、ぜひ参考にしてみてください。

Q1. テストエンジニアとテスターの違いは?

テストエンジニアはテストの計画、テスト設計、テスト実施、品質評価とテスト工程全般に携わるのに対して、テスターは作成されたテスト仕様やテストケースに従ってテストの実施のみを行います。
このようにテストエンジニアとテスターでは業務の範囲が大きく異なります。

Q2. テストエンジニアとQAエンジニアの違いは?

テストエンジニアは、テスト計画やテストケースの作成、テスト実施、バグや不具合の報告や追跡、テスト自動化の検討など、テスト工程に関わる作業を行います。一方、QAエンジニアは、テスト計画やテストケースの策定、テスト実施の監視・管理、品質改善の提案など品質管理全般に関わる業務を実施します。

Q3.テストエンジニアの役割は何ですか?

テストエンジニアの役割は、システム開発における下流工程であるテスト計画の策定、実施、結果報告、品質改善の提案などです。基本的にはテストを担当するので裁量はそこまで大きくありませんが、システムに対する提案などもできます。

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まとめ

この記事では、テストエンジニアの仕事やスキル証明に役立つ資格を解説しました。ソフトウェアテストはAIの開発が進んできており、近い将来AIが担当する時代がくることが予想されます。ただし、そうなったとしてもAIにどのようなテストを行わせるかを考えたり、改善策を立案したりするのは現時点では人間の仕事です。

よって、テストエンジニアはテスト検証スキルだけでなく、テスト設計スキルやテストアナリストスキルを身につけていく必要があります。今回紹介した資格にテスト設計やテストアナリスト領域が含まれている資格がありますので、これらを活用してスキルアップを目指してみてください。

関連記事:未経験からテストエンジニアになるには?求人例や年収相場も紹介

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