ITコンサルタントの将来性
ITコンサルタントの将来性は大いに期待できる状況です。なぜなら、今後も多くの企業でIT化が推進され、企業のIT化に対応するために、ITコンサルタントの需要はさらに増加すると予測されているからです。本章では、ITコンサルタントの将来性について解説します。
ITコンサルタントの需要は高く将来性もある
ITコンサルタントは、需要が高く将来性もある職種であるといわれています。その理由として、以下の3つが挙げられます。
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・DXの高まりに伴う需要の拡大
・ITコンサルティングサービスを提供する企業の増加
・海外移転や業務の自動化を図る企業の増加
以下では、ITコンサルタントの需要が高く将来性があるといわれる理由について詳しく解説します。
DXの高まりに伴い需要拡大が予想される
事業戦略として、ITを用いて抜本的に業務や企業のあり方を変えるDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増えているため、ITコンサルタントの需要も増えると考えられます。情報処理推進機構(IPA)のDX動向2024によると、DXに取り組んでいる企業の2023年度の割合は73.7%と公表されており、DXが着実に浸透していることを示しています。
また、経済産業省が公表したDXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開〜によると、DX推進に対応できるIT人材の不足は今後も拡大するとの予想です。
DXの高まりに合わせ、企業のDX推進に関する支援のニーズも特需的に高まっているため、ITコンサルタントの需要は継続するといえるでしょう。
ITコンサルティングサービスを提供する企業も増える見込み
企業のDX推進のニーズに対応するため、SIerや経営戦略コンサルティングファームも、ITコンサルティング事業へ進出するケースが増えています。
たとえば、メーカー系SIerの大手企業では、ITコンサルティング部門の立ち上げに伴い、ITコンサルの質の向上と人材拡充のためにITコンサルタントの認定制度を設けています。
ITコンサルタントの活躍の場の拡大や、大手企業のITコンサルティング事業への注力から、ITコンサルタントは今後の発展が見込める職といえるでしょう。
事業のグローバル展開に向け海外移転や業務の自動化を図る企業も
企業の競争力を維持し、グローバル化に対応して成長するには、国内での事業と併せて海外へ拠点を移したり、新たに拠点を設ける企業も出てくるでしょう。物理的に遠く離れた拠点と連携し、効率的に業務を遂行するには、ICTの利活用が欠かせません。
また、世界の企業と対等にビジネスをするためにも、一層の業務効率化および自動化を実現する必要があります。どのようなシステムやサービスを活用すれば効率化や自動化が実現できるのか、企業の業務全体を俯瞰して分析し、数多の選択肢の中から最適解を導き出すには、ITコンサルタントの力が不可欠となります。
アピールポイントがないと仕事を獲得できない恐れもある
ITコンサルタントの人気と需要の高まりにより、ITコンサルタントへの転職を希望する人が増えています。今後、ITコンサルタントの人材が増加することで、仕事を取り合う可能性があります。そのため、仕事を依頼してくれる企業に「この人に任せたい」と思わせるような、ほかのITコンサルタントとの差別化につながるアピールポイントが必要です。
アピールポイントがないと、ITコンサルタントとしての仕事が獲得できない恐れもあります。また、ITコンサルタントとして活躍し続けるためにも、最新の技術や知識を身につけたり、専門性を高めたりするなど、アピールポイントを身につけましょう。
そもそもITコンサルタントとは
ITコンサルタントは、クライアントに対して、経営課題を解決するためのIT施策を提案する職種です。ITを用いて企業にメリットをもたらすことが、ITコンサルタントの特徴ともいえます。
企業への提案が承諾された際には、システム開発のプロジェクトに関わることも少なくありません。プロジェクトでは、ITコンサルタントは最上流工程を担い、クライアントの経営課題のヒアリングや、IT戦略の策定などを行います。
関連記事:ITコンサルタントとは?仕事内容や必要なスキル・年収を紹介
ITコンサルタントの仕事内容
ITコンサルタントの仕事内容は、クライアントの経営課題を分析し、数あるITサービスやシステムの中からどのようなものが必要かを分析し、最適なソリューションを提案することです。具体的な作業として、「IT戦略の策定支援」「システムの要件定義」「システム導入支援」「システム運用設計支援」「IT分野のアドバイス全般」などが挙げられます。
ITコンサルタントは、開発の実作業に関わることは少ないですが、プロジェクトの進行から納品までのサービスに責任を負います。
ITコンサルタントと他職種の違い
ITコンサルタントに興味がある方は、類似の職種についても知っておくと良いでしょう。類似職種との違いを知ることで、比較検討がしやすくなります。ITコンサルタントと比較されやすい職種として、SE(システムエンジニア)やPM(プロジェクトマネージャー)、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)があります。
以下では、ITコンサルタントとSEやPM、PMOの違いについて、それぞれ詳しく解説するので参考にしてみてください。
SE(システムエンジニア)との違い
ITコンサルタントは経営課題の解決を提案する職種です。たとえば「慢性的な長時間労働をITシステムを活用して改善したい」「業務の工数を◯%削減するためにはどうすれば良いか」などといった経営課題に対して、さまざまなITを活用した提案を行います。
一方、SEはシステムの設計や開発、テストなど、一連の開発作業を行います。ITコンサルタントの提案や営業職の獲得した商談などにより新規に発足した開発プロジェクトに対し、開発の実作業を担う役割がSEです。
ただし、ITコンサルタントとSEの対応業務が明確にルール化されているものではなく、それぞれの業務内容が重複する部分や協力しながら進める作業もあります。
PM(プロジェクトマネージャー)との違い
PM(プロジェクトマネージャー)もITコンサルタントと混同されやすい職種です。PMとは、プロジェクトの管理者のことを指します。PMとITコンサルタントは、担当する工程や役割が異なります。
具体例としては、クライアントから「工数を削減したい」と相談を受けた場合、ITコンサルタントはクライアントの状況を細かく分析し、最適な経営課題の提案を行います。ITコンサルタントの仕事は、基本的に分析から提案までの範囲です。
提案が了承された後には、プロジェクトが発足します。プロジェクトにおいて、システム構成や開発計画を立て、プロジェクトチームを管理するのはPMの仕事です。ITコンサルタントはクライアントに提案を行い、課題解決の方向性を見出し、PMは課題解決のためのプロジェクトを管理するという違いがあります。
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)との違い
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは、PMを補佐する役割です。プロジェクトの進捗状況などをPMに報告したり、プロジェクトメンバーに対して連絡事項を周知したりといった役割を行う職種です。大規模な開発案件ともなれば、多くの開発担当者が携わることになります。プロジェクトメンバーが大人数の場合、PMだけではチームをまとめ上げるのが困難です。そのため、PMOがサポート役として必要になります。
ITコンサルタントとPMOの違いは、プロジェクトの運営に直接的に関わるか否かという点です。しかし、実際の開発現場では、ITコンサルタントがPMOの役割を兼任することもあります。
職位別に見るITコンサルタントの役割
ITコンサルタントの職位は、大まかには「アナリスト」「コンサルタント」「マネージャー」の3つに分けられます。ITコンサルタントの役割は、職位によってどれほどの違いがあるのでしょうか。ここでは、職位別に見るITコンサルタントの役割を「アナリスト」「コンサルタント」「マネージャー」の3つの職位別に具体的に解説していきます。
関連記事:ITコンサルタントのキャリアパスは?年齢別の転職市場価値
アナリスト
アナリストは、クライアントに対しビジネス目標や業務上の課題のヒアリングと分析を行います。そして、目標達成や課題解決に向けて、ソリューションのための最適な提案を行う役割を担っています。
最適な提案をする役割を果たすためには、コミュニケーション能力はもちろん、最適な提案をするための引き出しとしてIT業界のトレンドや最新技術の知識も必要です。自分のスキルを総合的に活用し、クライアントの課題解決に向けた道筋を示すのがアナリストの重要な役割です。
コンサルタント
コンサルタントは、クライアントの要件整理やプロジェクト調整などをメインで行う職位です。クライアントや社内の開発部隊とのコミュニケーションが多いポジションであるため、論理的思考力やコミュニケーション能力、スケジュール管理能力が求められます。どのような提案が最適か、どうすればプロジェクトが円滑に進行するか、といったことを検討して実行につなげます。
マネージャー
マネージャーはアナリストとコンサルタントの成果を確認し、最終調整と最終意思決定をする役割を担います。またプロジェクトが発足した後は、プロジェクトの統括役にもなります。
ITコンサルタントの現場業務よりも、コミュニケーションを取って全体をまとめるポジションです。すなわち、マネージャーはアナリスト、コンサルタントよりも上位のまとめ役です。
ITコンサルタント業界が注目している領域
ITコーディネータ協会が2023年12月に発表した2023年度実務活動報告 集計データでは、現役のITコンサルタント(ITコーディネータ資格保有者)が注目しているテーマとして、AIやDX、クラウド、セキュリティなどが挙げられています。業界全体が注目しているトレンドはITコンサルタントの提案力に直結するため、それぞれのテーマについて深い理解が必要です。
ここでは、ITコンサルタント業界が注目している領域について解説します。
AI
機械学習やディープラーニングといった技術の進歩により、AI(人工知能)を使ったサービスの実用化が急速に進んでいます。企業では業務の自動化などによる省力化のニーズが高い状況です。
また、AIによるデータ分析から、新たな事業ニーズの発掘も期待されています。AIを利用したシステムの導入では、利用目的や対象、必要な学習用データの選定・準備といった企画・設計が重要で、多くの企業でITコンサルタントが求められています。
IoT
IoT(Internet of Things)とは、「モノのインターネット」と呼ばれ、自動車や家電などのさまざまな物理的なデバイスがインターネットに接続し情報のやりとりをすることで新たな付加価値を生み出す取り組みです。
近年、IoTを活用した業務の抜本的な改善が推進されています。たとえば、ゴミ箱にIoTを組み込む事で、収集量に至ったゴミのみを回収できるサービスなど、さまざまな業界でIoTが活用されています。
ITコンサルタントは、コスト削減や売上向上といった戦略テーマに沿って、IoTの利活用方法を企画・提案します。
セキュリティ
情報セキュリティは、企業が社会的責任を果たす上で欠かせない要素です。しかし、セキュリティの導入はコストや管理負担の増大を伴うため、適切な範囲と規模で実施しなくてはなりません。
セキュリティの導入で重要な役割を果たすのが、セキュリティ領域に精通したITコンサルタントです。ITコンサルタントは、組織のセキュリティ状況を的確に分析・評価し、最適な解決策を提案することで、情報セキュリティの適切な管理と効率的な運用を実現します。
RPA
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ソフトウェアロボットの利用によって、業務プロセスを自動化する試みのことをいいます。RPA導入の鍵は、自動化の対象となる業務の選定と、RPAを活用したプロセスの再構築、そして投資対効果です。
ITコンサルタントは、業務分析とToBeフローの構築、投資対効果の試算、RPAの選定、RPAの導入支援などを担います。
クラウド
サーバーからCPU、データベース、ミドルウェア、さらにはシステム開発ツールといったプラットフォームまで、幅広い領域のサービスがクラウドで提供されています。
クラウドは、業務の効率化やコスト削減といったビジネスの目標達成において、重要や役割を持つサービスです。従来の主要なスタイルであったオンプレミス型のシステムに比べて、クラウドサービスは保守の手間がかからないため、運用コストの削減が図れる可能性があります。また、主要なクラウドサービスは分散したデータセンターを保持しているため、オンプレミス型と比較して可用性が高い場合が多いです。そのため、自然災害やハードウェア・ソフトウェア的な障害が発生時のダウンタイムを最小限に抑えられ、事業継続性が強化できます。
ITコンサルタントは、このようなクラウドサービスのメリットを活かし、企業の事業戦略に沿った解決策を企画・提案することもあります。
ビッグデータ
ビッグデータとは、従来は扱えなかった大容量かつ多様なデータを意味します。購買データやWeb行動データなどを蓄積し、AIで分析するなどして商品の企画や改善などに活用可能です。
ITコンサルタントは、取得すべきデータの決定、データを蓄積し分析するためのプラットフォームの選定や導入、ビックデータを活用した業務プロセスの立案などを行います。
テレワーク
政府が働き方改革に力を入れていることから、テレワークの導入が盛んです。テレワークに必要なソリューションを提案するのもITコンサルタントの仕事です。
テレワークを実現するには、セキュリティの観点からVPNなどのセキュリティを強化するためのシステムを導入したり、業務上扱う情報の量と質によって仮想デスクトップ(VDI)などのシンクライアント方式を検討したりと多くのハードルがあります。クライアントの業務内容や規模、予算などに合わせたソリューションにまとめ上げる提案力も必要です。
DX
デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、業界を問わず、イノベーション、競争力、生産性の向上を求めるビジネスの世界に広がっています。ITの力を借りて業務改革を進めるDXの動きは、高度なIT知識を持つITコンサルタントの役割を一段と重要なものとしました。
ITコンサルタントは、DXの推進役として、企業のイノベーションを牽引し、新たな価値を創造するための道筋を示す存在として期待されています。
SaaS
SaaS(Software as a Service)は、クラウドサーバー上でソフトウェアを提供し、ユーザーがインターネットを介してアクセスして利用するサービスのことで、クラウドサービスの形態のうちの1つです。
SaaSは、Googleのスプレッドシートやドキュメントなど、日常生活で頻繁に利用されるアプリケーションを含みます。SaaSは、インストールやメンテナンスの手間を省き、どこからでもアクセスできる利便性を提供します。また、コスト効率も高く、企業は必要なソフトウェアを必要な期間だけ利用できるのも、SaaSのメリットの1つです。
ITコンサルタントの活躍の場
ITコンサルタントが活躍できる企業にはどのようなところがあるのでしょうか。具体的には、コンサルタント企業やSIerなどが当てはまります。本章では、コンサルタント企業やSIerといったITコンサルタントの活躍の場について、それぞれを具体的に解説します。
コンサルタント企業
ITコンサルタントが在籍する企業として代表的なのは、コンサルタント企業です。コンサルタント企業は、コンサルティングサービスを提供しており、クライアントに対してさまざまな提案を行います。
コンサルタント企業に在籍するITコンサルタントの役割は、クライアントの経営課題をITを用いて解決することです。ITコンサルタントが提案業務を行い、実際の開発はエンジニアが担当します。
SIer
SIerは、ITコンサルタントが在籍する業界としては、大きな市場になります。SIerは、クライアントから依頼を受けてシステム開発を請け負います。
ITコンサルタントはクライアントのビジネス課題や業務を理解し、最適なITソリューションを提案します。その後、提案からまとめた内容をPMやSEに連携し開発プロジェクトを発足します。プロジェクト発足後も定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて軌道修正を促すのもITコンサルタントも役割の1つです。
長く活躍するためにITコンサルタントが身につけるべきスキル
ITコンサルタントとして就職できたとしても、決してそれがゴールではありません。テクノロジーの進歩が目まぐるしいIT業界において、長く活躍し続けるためにはどのようなスキルを身につけるべきなのでしょうか。
ITコンサルタントが身につけるべきスキルとしては、論理的思考能力や課題解決能力、情報収集・提供力などがあります。以下では、長く活躍するためにITコンサルタントが身につけるべきスキルを紹介します。
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ITコンサルタントに必要なスキル
ITコンサルタントに必要なスキルを基礎・領域別に紹介
論理的思考能力
論理的思考能力は、ITコンサルタントが身につけるべきスキルです。クライアントから経営課題をヒアリングした際に、課題が抽象的で解決すべきポイントが分かりにくいケースがあります。そのようなときでも互いの共通理解を深め共通目標を定められるよう、話の内容を整理し明確に文章化できる論理的な思考力が必要です。そのため、論理的思考能力はITコンサルタントにとって、重要なスキルです。
課題解決能力
ITコンサルタントは、クライアントからヒアリングした内容や業績などのデータから、クライアントの抱えるビジネス状の問題を分析し、根本的な原因を特定します。そして、その問題を解決可能な課題へと細分化し、状況を改善するためのITソリューションを提案します。新しい技術やシステムを導入しても、クライアントの問題が解決しなければ意味がありません。そのため、ITコンサルタントには、当初の問題を見失わず最適な解答を見出し実行へと移していくための課題解決能力が必要です。
また、自分自身の思考を客観的に見つめ直すことも重要で、自分がどのように問題を解決しているのかを理解することで、より効果的な問題解決の方法を見出せます。クライアントに的確に提案をするためにも、課題解決能力を身につけるようにしましょう。
情報収集・提供力
情報収集・提供力も、ITコンサルタントが身につけるべきスキルです。現在IT業界で問題となっている事柄やその対応策、最新の技術を知っておくことは、クライアントに最適なソリューションを提案するのに必要です。
古い情報ばかり参考にした資料を用意したり、業界人であれば当然知っているようなトレンドを知らなかったりすると、クライアントからの信頼を得られず、仕事が受けられない可能性があります。クライアントにとって最適な提案をするためにも、情報収集力を高めましょう。
コミュニケーション能力
ITコンサルタントが提案し、実際にクライアントからの依頼を勝ち取るためには、信頼関係を構築する必要があります。そのためには、クライアントの話に真摯に耳を傾けることが大切です。クライアントの抱える問題や潜在的な悩みを聞き出すことは提案の価値を高めることにつながるので、クライアントが心を開き積極的に社内の状況を話してくれるよう、高いコミュニケーション能力が必要です。
英語力
ビジネスで通用する英語力があるITコンサルタントは、今後も長く活躍できるでしょう。なぜなら、海外ベンダーや外国の人材が開発プロジェクトに関わるケースが今後増加すると予測されているからです。
グローバル化は年々加速しており、日本のIT業界もグローバル化の対応に迫られています。そのため、ITコンサルタントとして長く活躍をするには、英語力が必要です。
管理能力
ITコンサルタントには、管理能力も必要です。ITコンサルタントは需要の増加に伴い、業務も多忙になることがあります。業務の進捗や残タスク、スケジュールなどを適切に管理できないと、プロジェクト全体に支障が出てきます。もちろん、自身の健康もしっかりと管理しなくてはいけません。活躍の場が増えたときこそ、これらの管理能力が問われます。
ビジネス知識
ITコンサルタントには、幅広いビジネス知識が必要です。ITコンサルタントの役割は、ITの専門知識だけでなく、クライアントのビジネス構造やニーズも理解して、ビジネスの成長や競争力の強化につながるITソリューションを提案することにあります。そのため、さまざまな産業分野や市場についてのビジネス知識が求められます。
ITコンサルタントの仕事に役立つ資格
ITコンサルタントになるために、必須の資格はありません。しかし、ITストラテジストやITコーディネータ、中小企業診断士などの資格は、IT知識や経営の専門知識を有する客観的な証明となるため、ITコンサルタントの仕事に役立つでしょう。以下では、これらの資格について詳しく解説していきます。
関連記事:ITコンサルタントの資格16選をスキル別に紹介します
ITストラテジスト
ITストラテジスト試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験の1つで、春期に実施されます。この試験は、ITを活用した事業戦略の策定から提案、推進までを担う人材を対象としています。試験範囲にはIT 動向(IoT、ビッグデータ、AIなど)も含まれるため、最新の技術動向を調査・分析する能力も問われます。
試験に合格することで、その能力が証明され、企業のIT戦略をリードする重要な役割を果たすことが期待されます。試験の難易度は高く、情報処理推進機構(IPA)が実施する情報技術者試験の中の最難関とされています。
関連記事:ITコンサルタントにプログラミングスキルは必要?具体例から解説
ITコーディネータ
ITコーディネータ試験は、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会が実施する資格試験で、経済産業省の推進資格として位置づけられています。この試験は、企業のIT化を推進し、その支援を行う能力を証明するもので、合格率は60~70%前後とされています。
ITコーディネータとして認定されることは、ITの専門家としての信頼性とスキルを証明するために重要です。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題を解決するための専門家として、高い専門性とスキルが求められます。国家資格であるこの試験は難易度が高く、経営コンサルタントを目指す人のあいだで人気がある資格です。
合格者は、企業の経営課題の改善提案や助言を行う能力を証明し、その結果としてコンサルタント業務における信頼性と信用性を高められます。この資格は、経営の専門知識を深め、中小企業の経営改善に貢献したいと考える人にとって、非常に価値のあるものとなっています。
ITコンサルタントになるには
ITコンサルタントになる方法としては、SEから転職する方法やITコンサルタントのいる企業に就職することが一般的です。ほかにも、未経験から目指す方法や、異業種からキャリアチェンジする方法も存在します。
ここでは、ITコンサルタントになる方法の代表的な例として、SEから目指す方法やITコンサルタントのいる企業に就職することを詳しく解説していきます。
関連記事:ITコンサルタントになるには?役立つ資格や向いている人の特徴
SEから目指す
SEからキャリアをスタートさせて、知識や経験を積んだ後にITコンサルタントを目指す方法があります。SEからITコンサルタントへ転職する際には、面接で業務知識や過去のプロジェクトマネジメント経験などが問われるでしょう。
また、面接時のやり取りで、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力もチェックされると考えられます。これらのスキルを求める基準は、企業によって異なります。
関連記事:未経験からITコンサルタントになるには?書類選考・面接対策も解説
ITコンサルタントのいる企業に就職する
ITコンサルタントのいる企業に就職することは、ITコンサルタントになる近道ともいえます。ITコンサルタントが所属する企業は、コンサルタント企業やSIerなどがあります。
大規模なプロジェクトを担当するコンサルタント企業では、ITコンサルタントとして必要な経験を積むことができるでしょう。
ITコンサルタントの年収
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtag(日本版O-NET)によると、ITコンサルタントの平均年収は684.9万円となっています。
また、2024年10月1日時点でレバテックキャリアにて公開中の求人・転職情報のうち30件をもとにして、ITコンサルタントの想定平均年収を算出したところ約882万円でした。下限は300万円から上限は2,000万円台の求人情報もありました。
関連記事:ITコンサルタントの年収は?仕事内容や年収が高い理由を解説
ITコンサルタントの求人例
以下では、ITコンサルタントの求人例を紹介します。
【業界】
ITコンサルタント
【業務内容】
コンサルタントクラス
・業務ヒアリング(As-IS、To-BE業務フロー)、要件定義、設計、開発
・顧客対応、ミーティング資料作成/ファシリテーション
・最新技術の習得、チームメンバーへの情報共有
マネージャークラス
・アカウント/クライアントリード
・大手企業を顧客とするプライム案件のプロジェクトマネージメント
・次世代リーダ(ITコンサルタント、PM)の育成
【求められるスキル・経験】
コンサルタントクラス
・コンサルティング会社またはシステム開発におけるプロジェクトアサイン経験(2年以上)
・プログラミング能力、課題解決力
マネージャークラス
・コンサルティング会社またはシステム開発におけるリーダ経験(2年以上)
・コミュニケーション力、リーダーシップ力
【想定年収】
500~1,200万円
【福利厚生】
健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/通勤手当/慶弔休暇/年末年始/有給休暇
【勤務地】
兵庫県
ITコンサルタントに関するよくある質問
ITコンサルタントの職業に関心がある方や、転職を考えている方は、ITコンサルタントについてのさまざまな疑問や質問を持つでしょう。よくある質問としては、ITコンサルタントの将来性やITコンサルタントに向いている人、ITコンサルタントはやめとけといわれる理由などがあります。本章では、ITコンサルタントに関するよくある質問について解説していきます。
Q1. ITコンサルタントの将来性は高いですか?
ITコンサルタントの将来性は明るく、DXの高まりや企業の海外移転、業務自動化により、更なる需要の拡大が見込まれます。IT人材不足により、貴重な職種ともされています。
Q2. ITコンサルタントに向いている人はどのような人ですか?
ITコンサルタントに向いている人は、論理的思考力と問題解決能力を持ち、新しいテクノロジーに対する好奇心が強い人などです。また、コミュニケーション能力も重要で、クライアントのニーズを理解し、ニーズを具体的なITソリューションに変換する能力が求められます。
関連記事:ITコンサルタントからの転職!辞めたい理由やおすすめ転職先を紹介
Q3. ITコンサルタントはやめとけといわれる理由を教えてください
ITコンサルタントはやめとけといわれる理由としては、長時間の労働や新しい知識や技術を学び続けなくてはいけないことなどが挙げられます。その一方で、年収が高いことや幅広い知識やスキルを習得できるメリットもあります。
まとめ
本記事では、ITコンサルタントに興味があるエンジニアの方に向け、ITコンサルタントの将来性や業界が注目する領域、仕事内容や年収、求められるスキルについて解説しました。ITコンサルタントの将来性は、企業のIT化が推進されているため、需要が増加傾向にあり、大いに期待できる状況です。
ITコンサルタントは、最新のITサービスに関する知識や経営知識を持つことが前提となるため、ITコンサルタントとして長く働いていくためには、常にトレンドを把握して知識をアップデートし続ける必要があります。
ITコンサルタントに興味がある方は、本記事を参考にITコンサルタントを目指してみてはいかがでしょうか。
関連記事:ITコンサルタントの志望動機の書き方!経歴や業界別の例文も紹介
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