PMOの役割とは?ポジション別・職種別に一覧で解説

最終更新日:2024年5月10日

ITプロジェクトの推進において、重要視されるのがQCD(品質、コスト、納期)です。プロジェクトの完遂とQCDの目標達成がプロジェクトの成功基準といっても過言ではありません。

QCD管理の主担当はプロジェクトマネージャーですが、打ち合わせなど拘束時間の長い業務も多く、目標達成は容易ではありません。そこで、プロジェクトマネジメントにおける情報の収集、整理、分析、調整などの実務を担当し、QCDの達成を支援するPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)が活躍します。

PMOは様々なプロジェクトで取り入れられてきていますが、現場によってはPMOの役割が今ひとつ理解されていないことも多いようです。PMOは、ITプロジェクトの舵取りを行う重要なポジションで、さまざまなビジネススキルが必要な職種でもあります。

本記事では、PMOに興味を持ちキャリアパスの選択肢として検討するエンジニアに向けて、PMOの担う役割を複数の視点から解説します。キャリアプランの作成にお役立てください。

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この記事のまとめ

  • PMOとはITプロジェクトにおいてプロジェクトの管理(マネジメント)を支援するエンジニアのこと
  • PMOの主な業務内容はプロジェクトチームの支援やコンサルティング、判断基準や手法の開発と維持が挙げられる
  • 未経験からPMOを目指す場合はSEを経験してから目指すのが一般的
  • PMOは求められるスキルは「システム開発スキル」「マネジメントスキル」「ドキュメント作成スキル」「ビジネス・IT知識」「プレゼンテーションスキル」など多岐にわたる

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PMOとは

PMOの役割


PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは、大まかに言えば、ITプロジェクトにおいてプロジェクトの管理(マネジメント)を支援する職務です。プロジェクトマネジメントの主担当はPM(プロジェクトマネージャー)ですが、多忙なことが多く、細やかなプロジェクトマネジメントができない場合があります。そのような場合にプロジェクトマネージャーの担当する予定だったプロジェクトマネジメントの実業務部分をPMOが実施します。

関連記事:PMOの仕事内容や役割とは

PMOを導入する必要性

大規模な開発プロジェクトになると、複数のチームが編成されることも少なくありません。さらにプロジェクトの規模が大きくなればなるほど、チームを構成する人員が数十人から数百人となることも多く、PMが一人でまとめ上げるのは難しくなります。

そこでチームごとの進捗や品質管理、労務管理などを行う担当としてPMOが設置されます。規模の大きい開発現場になると、PMの配下に複数のPMOが設置されるケースも多く見られます。複数のチームから成り立つプロジェクトを統制し、組織としての機能を維持するためにも、PMOは必要不可欠な存在といえます。

ただし、すべてのプロジェクトに必ずしもPMOが存在するとは限りません。小規模な開発プロジェクトにおいては、PMがPMOの役割を兼任するケースも多いです。

PMOとPMの違いとは

PMもPMOもプロジェクトマネジメントを担当する職種です。両者の違いは、プロジェクトにおけるポジションにあります。

PMはプロジェクト全体の現場の責任者にあたります。一方、PMOはプロジェクトの一メンバーとして職務に取り組みます。プロジェクト体制上、PMが上位のポジションとなることが一般的です。

なお、後述しますがPMOはPM配下の場合とプロジェクトオーナー配下の場合があります。

PMOとコンサルの違いとは

PMOとITコンサルタントは、役割が異なる点が最も大きな違いです。PMOはプロジェクトマネジメントの支援を担当します。一方、ITコンサルタントは企業のITに関する業務を幅広くサポートする役割を果たします。具体的には、IT戦略の策定支援やシステム構想策定、DX推進支援などがあります。

場合によっては、ITコンサルタントがPMOの役割を担うこともあります。たとえば企業内のIT人材が不足している場合や大規模なプロジェクトで一時的に人員が必要な場合に、ITコンサルタントに支援を依頼することがあります。こうした需要は近年増加しています。

総括すると、PMOとITコンサルタントは異なる概念ですが、ITコンサルタントがPMOの立場で企業の支援を行うケースも存在します。

PMOを導入するメリット

PMOはPMのプロジェクトマネジメント業務を補佐・サポートし、プロジェクト推進を実現します。PMの目の届かないきめ細やかな部分までも管理し、品質の高いプロジェクトマネジメントが可能なことが大きなメリットです。

また、PMOは特定顧客のプロジェクトに限らず、様々なプロジェクトの現場を経験していることが多いです。外部プロジェクトに携わった経験から、役立つ事例を提案できることもメリットとなります。

PMOを導入するデメリット

PMOを導入した場合、当たり前ですがPMO人材分のコストが発生します。PMOは設計や開発といったプロジェクトの実務を担当するわけではないため、プロジェクトにPMOだけを追加投入しても作業進捗はあがりません。プロジェクトの収支で考えると、PMOへのコストは成果の見えづらい部分となり、デメリットに映ります。このため投入には見極めが必要で、一定以上の規模のプロジェクトで適切な人数を配置することが重要です。

良いPMOと悪いPMOの違い

一元的に「良いPMO」「悪いPMO」と区別することは難しいのですが、一般的には次のように考えられています。

良いPMOとされる特徴

・メンタリングやコーチングを通して、現場との信頼関係を築く
・問題解決のため場を設たり、適切なアドバイスをするなど現場の状況を理解してフォローする
・マネジメント層と現場の橋渡し役として、報連相やエスカレーションの場を用意し、他組織と連携する
・プロジェクトマネージャーに足りないマネジメント能力を補い、プロジェクトマネージャーを育成する

悪いPMOとされる特徴

・形式主義にとらわれ、現場を無視した指標やルールを押し付ける
・書面主義にこだわり、負荷の高い測定管理や成果物の作成を要求する
・管理屋・取締屋としての役割に偏り、現場の知見を持っていない

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PMOの役割とは

PMOの役割について確認しておきましょう。大まかに言うと、PMOはシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクト管理(マネジメント)の支援が主な役割です。

また、プロジェクト内での立ち位置によっても多少違いがあるため、それぞれの役割の違いについても説明します。

プロジェクトの成否を担っている

プロジェクトマネジメントの主担当であるPMは、クライアントの事業部や情報システム部門担当、競合他社のエンジニアチーム、その他の関係者との打ち合わせに費やす時間が非常に多いです。このため、プロジェクトマネジメントに必要な情報収集や整理、調整、分析などの実務に時間が割けない場合がでてきます。

このPMの手の回らないプロジェクトマネジメントの実業務部分をPMOは担い、プロジェクト推進を支援します。PMOの仕事はプロジェクト成否に大きく関わる大切な業務なのです。

ポジションからみたPMOの役割

PMOはプロジェクト内のポジションによっても役割が変わります。主に以下の2つのケースが挙げられます。

PM(プロジェクトマネージャー)の直下にPMOを置く場合

PMの補佐的な役割に徹し、単純な「事務局」として機能するケースです。後節でも解説しますが、このケースではPMOがPMの配下に置かれ、事務作業のアシスタントやプロジェクトの窓口業務を担当します。特にPMが意思決定や予算・人員管理までを担う小規模~中規模のITプロジェクトや、自社内だけの開発プロジェクトでは、このような人員配置が多いです。

プロジェクトオーナーの直下にPMOを置く場合

SIerやコンサルティングファームが参画する大規模なITプロジェクトでは、プロジェクトオーナー(クライアント企業)直属の組織として、PMOが設置されることもあります。このケースでは、クライアント企業の経営戦略や事業企画に参画する傾向が強まるでしょう。

この配置の場合、PMOはクライアント企業の戦略をITプロジェクトに反映させるための「ハブ」として機能します。PMらで構成する開発チームとは少し違った立場で、クライアントのメリットを優先する立場として働きます。進行中のITプロジェクトに重大な問題が発生したとき、クライアント企業に対してPMOが説明責任を負うのもこのケースです。

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プロジェクトにおけるPMOの機能と役割

PMOの仕事内容

本項ではプロジェクト全体において、PMOは具体的にどのような機能と役割を果たしているのか詳しく解説します。

プロジェクトチームの支援

プロジェクトチーム全体に対して支援を行うことは、PMOの代表的な業務の一つとして挙げられます。以下、支援業務を細かく解説していきます。

スケジュール管理・報告書作成

プロジェクトメンバー内の誰がどのような業務を行うのか、納期に間に合うようにスケジュールを管理することはPMOの代表的な業務のひとつです。PMに対して、チームの進捗や作業内容などを逐次報告する役割も担っており、プロジェクト全体を円滑に進めていく上では管理塔的なポジションでもあります。

品質管理・保証

プロジェクトの成果物に対し品質を確認し、保証することもプロジェクトマネジメントの重要な業務です。成果物のレビューを計画、推進し、結果の分析から問題点の横展開などを行います。また、プログラムのソースコードに対し、チェックツールを用いた品質確認を行う場合もあります。

コスト管理

プロジェクト内のコストも管理業務の対象です。人的リソースの投入量や経費を取りまとめ、かかったコストと見通しを把握し、状況をPMと共有します。コストが不足する場合にはクライアントやベンダー企業に相談するため、コスト状況をまとめた資料を作成する場合もあります。

ソフトウェア操作

PMOはプロジェクトチームを支援していく過程において、工程管理や人員管理などを行うためにさまざまなソフトウェア、ツールを活用する必要があります。

不特定多数の開発担当者が管理用のツールにアクセスして操作してしまうと、誤入力や誤操作が発生し、大きなトラブルに発展する危険性が高まります。このようなリスクを軽減させるために、管理に使用するツールの操作はPMOに一任する場合が多いです。PMOも責任をもって管理業務を遂行することが求められます。

プロジェクトメンバーの負荷軽減

プロジェクトチーム内での作業の割り振りやスケジュール管理において、特定のメンバーにタスクが集中し負荷がかかってしまうケースが見られます。その際にプロジェクトにかかわるメンバーの特性を見極め、作業が集中しないように配慮することもPMOの重要な役割です。

プロジェクトが特定の担当者に頼りきりになっていると、不具合が起きた場合に他メンバーでフォローができない恐れがある上に、頼られる本人も不満を抱いて開発現場を離れてしまうことが考えられます。もしプロジェクトチーム全体の業務負荷が増えている場合は、メンバー全体の負荷を軽減するためにも人員の増強を依頼する必要があります。

コンサルティング業務

開発プロジェクトの内容によって、コンサルタントのような存在としてPMOを設置するケースもあります。代表的な業務内容として以下の3種類が挙げられます。

プロジェクト開始作業のサポーティング

プロジェクトを開始するにあたっては、数多くの業務をこなす必要があります。PMOはこれらの作業のサポーティング要員として位置されることがよくあります。

具体的な仕事例として、スケジュールの作成支援が挙げられます。開発経験が浅いメンバーが揃っている現場では、プロジェクトのスケジュール見積もりが甘く納期に遅れを生じるケースが考えられます。そこで経験豊富なPMOをコンサルティングメンバーとして招き入れ、適切な開発スケジュールを作成するための支援を行います。

スケジュールの作成以外にも、メンバーのアサインや説明資料の作成、キックオフミーティング準備などさまざまな作業が求められます。これら全てをPM一人で行うことは物理的に難しいため、PMとPMOが協力して行うケースが通常です。

リスク評価

プロジェクトを進めるにあたっては、手戻り発生による納期遅れや仕様変更など、さまざまなリスクが考えられます。

PMOは具体的にどのようなリスクが考えられるのかを抽出し、そのようなリスクが顕在化した場合の対策もあらかじめ検討しておきます。リスク評価とその対策には豊富な経験が求められるほか、あらかじめ予見できるリスクは可能な限りピックアップしておく必要があります。

またリスク評価の内容はPMとも事前に共有しておき、トラブルが発生した場合の対策も擦り合わせておくと理想的です。

リカバリー対応の提案

システム開発の現場では、納期に間に合わずスケジュールのリカバリー対策が必要なケースも多くあります。当初予定していたスケジュールに対して遅れそうになる場合、PMOはチーム内のメンバーと具体的なリカバリー策を検討し、それをもとにPMに報告する役割を担います。

リカバリー対応はスケジュール管理と密接に関わる部分であり、有効なリカバリー対策が取られていないと納期に間に合わずクライアントからの信頼を損ねてしまう結果に繋がりかねません。

基準や手法の開発と維持

PMOの役割はスケジュール管理や準備といった事務的なものだけではなく、開発成果に直結する重要な役割も担います。

開発実施手順の取り決め

開発プロジェクトを開始するにあたって、どのような開発手法を採用し、どのような開発プロセスで進めていくのかを決めるのはPMOの重要な役割です。PMOが設定した実施手順に誤りや抜け漏れがあるとプロジェクト全体に影響が波及してしまいます。開発手順を取り決める役割をこなすには、システム開発における豊富な経験が求められます。

作成ドキュメントの作成基準の策定

開発プロジェクトにおいて、システム開発の周辺作業として各種設計書などのドキュメント作成にも多くの工数が費やされます。

社外に納品するものである以上、文体や体裁が統一され読みやすいドキュメントである必要があります。しかし、統一したルールやフォーマットを持たずに複数の担当者が個別に作成すると、統一感のない読みづらいドキュメントになってしまう恐れがあります。

このような問題を起こさないために、事前にドキュメント作成時の仕様を定め、体裁や文体などの基準を設けることもPMOの役割の一つです。

使用ソフトウェアの基準策定

ドキュメントのほかに、プロジェクト内で用いられるソフトウェアの基準を定めることもPMOの重要な役割のひとつです。同じテストを行ったとしても、使用しているソフトウェアが異なっていると結果もバラバラで正確な評価ができません。システムの開発およびテストの段階において、一定の品質基準を確保する意味でも、使用されるソフトウェアの基準を定め、チーム内で統一させることが重要です。

プロジェクト内で利用するツールの選定、作成

開発手順上で必要となるツールを用意することもPMOには求められます。既存のツールの活用や必要に応じてVBAなどでツールを作成する場合もあります。システム開発の効率化と品質向上を実現するためには、可能な限りの手段を尽くすことが必要です。

ベストプラクティスの把握と実行

ベストプラクティスとは「効率の良い方法やプロセス」という意味を指す言葉です。ある目的のためにシステムを開発しようと考えたとき、それを達成する手法は必ずしも一つではありません。複数の開発手法を比較しながら、効率よく最適な方法を選定し実行に移すこともPMOの役割の一つに挙げられます。

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担当業務からみたPMOの機能と役割

プロジェクト全体を俯瞰した場合のPMOの役割について紹介してきましたが、ここからはPMOの立場から業務ごとに求められる役割を見ていきましょう。

PMOアドミニストレータ(事務担当)

スケジュール管理やプロジェクト開始に関わる事務的な準備などの業務を担当するのがPMOアドミニストレータです。具体的には会議体のコーディネートやメンバーの労務管理、経費の処理などが挙げられます。また勤務時間の終わりにプロジェクト内の各チームを巡回して、毎日の進捗状況を吸い上げることも職務の一つです。

大規模な開発プロジェクトになると、全体でのミーティング以外にも分科会のようなチームに分かれてミーティングが開かれることもあります。必要に応じて他のPMOやPMと連携しながら、関連のあるチームと情報を共有したり、相談ができる場を設けるのも重要な職務です。

PMOエキスパート(情報分析、ルール策定)

PMOエキスパートは、PMOアドミニストレータが収集した情報(ドキュメント)を分析し、さまざまな施策(標準化やルール策定、開発手順への反映)へとつなげます。

使用するソフトウェアの選定やベストプラクティスの選定、ドキュメント基準の策定などプロジェクトを進行するうえで必要な情報を収集します。そして収集した情報を基に、ルールや標準化の策定を行い、進捗と品質を安定させます。プロジェクト全体の業務に向けて、効率化と品質の向上が図れる策を打ち立てる役割です。

PMOエキスパートになるには事務的なスキルだけではなく、エンジニアとして豊富な開発経験も求められます。

PMOマネジャー(PM補佐)

PMOとして自身のチーム内だけではなく、他のPMOと連携しながらPMを補佐していくのがPMOマネージャーの役割です。いわゆる「PMOというチームのまとめ役」になります。

PMOとして経験が豊富でプロジェクト全体を俯瞰して見られるようになると、PMからの高い信頼も獲得し、補佐する役割を担うこともあります。具体的にはプロジェクトにおける予算管理やメンバーの教育、プロジェクトを安定化するためのPMへの提言などが挙げられます。さらに、PMとプロジェクトオーナー(クライアント)の間に立ち、両者のコミュニケーションが円滑になるよう取り持つことも珍しくありません。

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具体的なケースにおけるPMOの役割

この章では具体的なプロジェクトを例に、PMOが実際にどのように関わっているのかについて解説します。

システム導入プロジェクト

システム導入プロジェクトでは、複数の企業で連携する場合があります。以下の例を確認しましょう。

1. システムの発注者であるプロジェクトのオーナー
2. システムを受注し、プロジェクトを請け負うベンダー(1次受注者)
3. システムを開発する情報システム会社(2次受注者)
4. さらにシステムを開発する情報システム会社(2次受注者or3次受注者)

このように、3社から4社のプロジェクト体制が考えられます。
大規模なプロジェクトではPMOは受注者と契約する場合も、受注者と契約する場合もあり、契約した組織のプロジェクトを推進します。

新規事業開発プロジェクト

新規開発プロジェクトの場合、多くの企業ではなく様々な部署で連携するケースが多いです。以下の例を確認しましょう。

1. プロジェクトの責任者(プロジェクトマネージャー)
2. 開発部や営業部など、多くの部門スタッフ(プロジェクトメンバー)

このように、様々な部署が連携するプロジェクト体制が考えられます。
この場合PMOの主な役割はプロジェクトマネージャーへのマネジメント知見の支援やプロジェクトメンバーへのフォローです。

組織改革プロジェクト

組織改革プロジェクトでは、様々な部署に加えて、経営人や執行役員と連携して進めるケースがあります。

1. 経営層
2. 執行役員(プロジェクトマネージャー)
3. 各部門の事業部部長

このようなプロジェクト体制が考えられます。
この場合PMOは、プロジェクトマネージャーのサポートとして入ります。さらに、プロジェクトに関わる複数の各部門の事業部長のサポートを担当する場合があります。

PMOは、時には上位レイヤーと現場レイヤーで併存し、PMO同士が連携しながらプロジェクト全体の整合性をとり、成果へとつなげていきます。

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PMOに向いている人

この章ではPMOに向いているのはどのような人材なのか、その特徴について解説します。

任務を最後まで遂行する忍耐力がある

PMOの仕事で重要となるのが進捗管理です。納期の遅れやコスト超過を防ぐため、常に情報収集を行って各プロジェクトの進捗状況を正確に把握しなければなりません。また問題が起きた場合には問題内容を可視化し、状況に応じて課題の洗い出しやリスク予測を行い、適切な対応策を導き出すことも必要です。このような作業をプロジェクト開始から終結まで行い続ける必要があるため、プロジェクト成功に向けて考え続けられるような忍耐力を持つ人材がPMOには向いていると言えるでしょう。

きめ細やかなフォロー力がある

PMOはプロジェクトマネージャーやプロジェクトメンバーとのコミュニケーションだけでなく、クライアント企業との交渉や進捗報告なども行います。

そのためプロジェクトマネージャーやメンバーが困っている場合に支援やアドバイスを行いプロジェクトがスムーズに進められるように尽力したり、クライアントの意見をより良くして落とし込む必要があります。そのため、場面に応じて適切なフォローができる人材もPMOに向いています。

システムの開発経験に裏打ちされた進捗把握力がある

システム開発経験がない場合現場の実作業が想像し辛く、進捗状況をうまく捉えられないため、現場とPMOの間で認識の差異が生まれやすくなります。そのためシステム開発経験を持ち、現場の作業内容や進捗状況をイメージできるような人材はPMOに向いています。

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PMOになるには

ITエンジニアの中でもプロジェクトマネジメントを専門とするPMOという職種は特殊です。どの様に目指せばよいのか、代表的なキャリアパスを紹介します。

エンジニア未経験の場合はまずSEを目指すのが王道

PMOの主な仕事であるプロジェクトマネジメントを行うには、ITプロジェクトの進め方、流れを知る必要があります。エンジニア未経験でプロジェクトの実情を知るのは難しく、この場合まずはSEなどのエンジニア職を経験してからPMOを目指すキャリアパスが一般的です。

エンジニア職種の中でも未経験で挑戦しやすく、なおかつITプロジェクトの広範囲に携われる仕事につき、プロジェクトの全体像を知ることから始めます。職務経験を積みながらプロジェクトマネジメントスキルを身に着けることで、PMOへの道が開けてきます。

SEからPMOになるには

SEなどのエンジニア職種からPMOを目指す場合には、プロジェクトマネジメントに関する知識・スキルの向上がポイントとなります。プロジェクトマネジメント手法などを体系的に学び、エンジニア業務で積極的に実践することでスキルの向上を図りましょう。

プロジェクトマネジメントスキルを高めることで、社内でのPMOのポストに移ったり、PMOへの転職が可能です。その際には、プロジェクトマネジメントに関する資格の取得・保有によりスキルを示すのも有用です。

関連記事:SEのキャリアパスとは?キャリアプランの具体例を詳しく解説

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PMOの役割を果たすために必要なスキルセット

PMOに必要なスキル

開発を担当するエンジニアからPMOになるために必要な、プロジェクトマネジメントスキルおよびその他のスキルについて紹介します。

システム開発スキル

これまでのシステム開発で培ってきたスキルはPMOにとって重要です。チーム内のメンバーをフォローする場合や、ベストプラクティスの選定、使用ソフトウェアの基準を定める際にスキルが足りないとメンバーをフォローできずチーム内での信頼を失うことに繋がってしまいます。

ビジネス・IT知識

ビジネスやITの知識についても求められます。コンサルタントとして、企業の経営状況や事業戦略を総合的に把握し、問題点を特定できるビジネスセンスが必要です。PMOは目標の達成を支援する組織ですが、目標の設定段階から参画する場合にもビジネスセンスが求められるでしょう。

またPMO自体がプログラミングやシステム開発などのIT知識を持たないと、エンジニアの問題や要望に対処できません。さらにプロジェクトの要件や進捗状況を経営層に分かりやすく説明するためにも、プログラミング能力や開発知識を持つことは望ましいでしょう。

マネジメントスキル

PMOとしてキャリアを積み、PMとして今後活躍していくためには、エンジニアとしての経験や技術的なスキルだけではなくマネジメントのスキルも必要不可欠です。自身のチームだけを考えるのではなく、プロジェクト全体を見渡しながらPMを補助する役割を担えると良いでしょう。多くのメンバーからの信頼を獲得でき、キャリアアップにもつながっていきます。

ドキュメント作成スキル

PMOはドキュメントの基準策定や報告書作成など、文章作成にかかわる業務が比較的多い職務です。第三者から見たとき、読みやすく内容が理解しやすい文章であることが大前提となるため、文章作成にかかわるスキルは必須だといえるでしょう。

またプロジェクト内での基準や標準となるドキュメントの雛形、フォーマット作成なども担当することがあります。過去の事例などを参考にしてプロジェクト内で広く利用できる品質の高いフォーマットを作成できるレベルのドキュメント作成スキルが求められます。

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PMOの仕事に役立つ資格

PMOに不可欠なスキルを身につけ、今後のキャリアに活かしていくためには、どのような資格が役立つのでしょうか。PMOがぜひ取得しておきたい5つの資格を紹介します。

日本PMO協会認定資格

日本PMO協会認定資格とは、一般社団法人日本PMO協会が主催している資格で「PJM-A」と「PMO-S」の2種類が存在します。

PJM-A

PJM-A(プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格)はプロジェクト参画にあたり、習得すべきプロジェクトマネジメントの知識と技術の基礎を確認する資格です。合計5時間のオンライン動画プログラム(eラーニング)を視聴し、試験に合格することで認定されます。WBSやコスト・リスク管理の基礎知識を身に付けられることが特徴です。

PMO-S

PMO-S(PMOスペシャリスト認定資格)はPMO-SはPMOの業務に特化して基礎知識と技術を学べる資格です。一般的なPMOの役割や導入手法、プロジェクトマネジメント課題の抽出、目標管理指標の策定など、PMOの業務に対する知識と技術を学びます。

PMO-Sは「PMOスペシャリスト(★)」から「PMOスペシャリスト(★★★)」の3段階に分かれており、段階的にスキルを確認することが可能です。「PMOスペシャリスト(★)」の場合、合計4時間のオンライン動画プログラム(eラーニング)を視聴し、試験に合格することで認定されます。
※2023年8月時点で、PMOスペシャリスト(★★★)は公式ページで「現在策定中」とされています。

PMP

PMPはPMI本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。プロジェクトマネジメントに関する手法・ノウハウを体系化した「PMBOK」に基づいて実施されています。プロジェクトマネジメントに関する資格のデファクトスタンダードとして、日本国内外やIT業界以外でも評価や知名度が高い資格のひとつです。

PMOの知識や手法はPMBOKをチェック

PMP試験を受験する際には、必ず「PMBOK®ガイド」をチェックしておきましょう。これは「Project Management Body of Knowledge」の頭文字をとったもので、その名の通りプロジェクトマネジメントのナレッジ(知識)やノウハウが集約されたものです。数年ごとに改訂されており、2023年8月時点での日本国内最新版は、「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準」(2021年10月に初版販売)です。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は情報処理推進機構(IPA)が運営し、経済産業省が認定している国家資格のひとつです。情報処理技術者試験の中で最も難易度の高いスキルレベル4に相当し、主にシステム開発のプロジェクト責任者を対象としています。試験範囲は数学やプログラミング、データベース、ネットワークからプロジェクトマネジメントに至り、PMOに必要な知識・スキルを示すことができます。

MOS資格

マイクロソフトオフィスの実務的なスキルを証明する資格として、株式会社オデッセイコミュニケーションズによる「MOS資格」があります。WordやExcel、PowerPointなどのソフトウェアを使用する機会が多いPMOにとっては、スキルアップのためにもおすすめの資格といえます。

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PMOの年収について

複数のエンジニアの業務やスケジュールを管理する業務のため、PMOは大きな職責を持つ職種です。その対価となる年収について紹介します。

信頼できる情報元のデータとして、厚生労働省の職業情報サイト(日本版O-NET)jobtagの公開しているデータがあります。これによると、PMOが含まれる「プロジェクトマネージャ(IT)」(職業分類:情報処理プロジェクトマネージャ)の年収は733.6万円でした(出典:令和3年賃金構造基本統計調査)。

また、レバテックキャリアにて2023年08月で公開中の求人・転職情報より職種「PMO」を条件に求人情報を30件抽出し、年収の最大値と最小値の中間の平均より平均年収を算出しました。この算出方法では、PMOの平均年収は686万円となります。

エンジニアとしての数年の実務経験とPM、PL、PMOなどでの経験が前提条件となることが多く、スキルの高いPMOが望める年収の一例と考えることができそうです。

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PMOの求人例

レバテックキャリアの求人・転職情報より、PMOの求人例を紹介します。

PMOの求人・転職情報

事業立ち上げ支援/ドローン関連技術

【業界】
■IT・通信
SIer

【業務内容】
■ドローン関連事業への業務支援におけるPMO業務
・事業の立ち上げ支援
・サービス開発支援
・ドローンを使った実証実験
ドローンを使った各種事業の立ち上げに対し、要件定義やハードウェア選定、各種サービス設計等を行う事業部にてPMOポジションでの業務を行います。クライアントと自社プロジェクトチームを結び、プロジェクト推進を担う人材を求めています。

【求められるスキル・経験】
・PM、PMO業務従事経験1年以上
・クライアントとの直接的業務を行うポジションでの実務経験

【想定年収】
450~550万円

【勤務地】
東京都

品質保証活動全般/開発プロセスの策定や指導など

【業界】
■IT・通信
SIer、ソフトウェア開発

【業務内容】
■自社の抱えるプロジェクト/プロダクトに対し、開発プロセスとアウトプットの向上、品質保証を行います。
・PM支援
・品質保証活動
・社内開発プロセスの策定と更新、指導
・アジャイル、スクラム開発プロジェクト支援
・オフショア開発プロジェクト支援

【求められるスキル・経験】
・PM・PL実務経験3年以上

【想定年収】
500~700万円

【勤務地】
東京都

最上流ITコンサルティング~設計構築・運用/システム構築のプロジェクト

【業界】
■IT・通信
ITコンサルティング

【業務内容】
■ITコンサルティングと提案採用後のプロジェクト推進支援(PMO業務)
システム開発とITインフラの両技術領域におけるITコンサルティングを行います。
また、クライアントに提案を採用いただいた後は、プロジェクトの上流工程設計、ベンダーによるプロジェクト推進のコントロールなどPMOとしてプロジェクトを支援します。

【求められるスキル・経験】
・システム開発プロジェクト従事経験3年以上
・クライアントとのスムーズなコミュニケーションスキル

【想定年収】
400~600万円

【勤務地】
東京都

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まとめ

本記事では、業務内容や職責、必要なスキルなどさまざまな観点からPMOについて解説してきました。

PMOはプロジェクト運営上のルールの作成やプロジェクト内の会議運営、データ分析、各種指標の策定など、さまざまな業務に携わります。プロジェクトのQCD達成に大きく影響する職種のため、幅広い知識とスキルが求められますが、資格制度や書籍、研修など学習環境は整っています。

目指したい人、興味がある人は、これらを活用しながらプロジェクトマネジメントスキルを身に着け、PMOを目指しましょう。

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