ゲームテスターとは
ゲームテスターとはゲームをプレイしてバグを発見する職種です。基本的にはバグの発見、報告までが業務範囲で、バグの修正は他の担当者に依頼する場合が多いでしょう。テスト仕様書に従ってテストを進める作業が中心ですが、操作性やデザインなどテスト項目にないような部分も判断する場合があります。ゲーム業界での最初のキャリアとして選ばれることも多いでしょう。
ゲームテスターとデバッガーの違い
ゲームテスターはゲームのテストを担当する職種で、バグの修正は別の担当者が行うということでした。デバッガーも概ねゲームテスターと同じですが、バグの修正までが業務範囲に含まれる場合があります。バグの修正を行わない場合はゲームテスターもデバッガーもほぼ同じですが、デバッガーはプロジェクトによってはバグの修正も行うということです。
ただしゲームテスターが一部バグの修正を行っているプロジェクトもあるので、この場合実態としてはデバッガーに近いと言えます。求人を見る際はゲームテスター、デバッガーという職種名だけでなく、実際に何の業務を担当しているのか確認することが重要です。
ゲームテスターの仕事内容
ゲームテスターの仕事はゲームのテストを実施することですが、細分化すると複数の仕事に分けられます。また厳密にはプロジェクトや企業によってゲームテスターの業務内容、テストを進める流れは異なります。最終的にはそのプロジェクト、企業に合わせる必要がありますが、大枠では共通しているので以下で紹介します。
ゲームの仕様確認
ゲームの仕様が正しいかどうかをテストすることは、ゲームテスターのメインの業務です。ゲームの仕様書からテスト仕様書・項目を作成し、順に確認していきます。テスト結果を資料にまとめ、プログラマーなどの修正担当者に共有する場合が多いでしょう。
ゲームの操作性やUIのチェック
テスト項目にはないゲームの操作性やUIのチェックもゲームテスターの業務に含まれます。ざっくりと操作しやすいか、デザインは見やすいか、といった項目は設けられるかもしれませんが、どうしても抽象的な書き方にはなるでしょう。そのため、ゲームテスター自身が考えて判断する必要があります。
バグや修正点の報告と再テスト
ゲームテスターはテスト結果を報告書にまとめ、担当者にバグの修正を依頼します。担当者がバグを修正したら、再テストを実施して問題ないかを確認します。報告書の作成方法はプロジェクトや企業によって異なり、ExcelでまとめることもあればBacklogなどのプロジェクト管理ツールでまとめることもあるでしょう。再テストでは修正した箇所だけでなく、修正によって影響を与える箇所を網羅的に再テストすることが重要です。
未経験からゲームテスターになれる?
ゲームテスターは未経験からでも目指しやすい職種です。ゲーム業界やIT関連職種の経験がまったくない状態からでも採用してもらえる可能性は高いでしょう。正社員ではなくアルバイトの募集も多い職種なので、アルバイトであればさらに採用されやすいはずです。参入のハードルが低いので、ゲーム業界での最初のキャリアとしてゲームテスターを選ぶケースも多いでしょう。
未経験からゲームテスターになる方法
未経験からゲームテスターになる方法は複数あります。最初から正社員としてゲームテスターになれれば良いですが、難しい場合もあるでしょう。ゲームテスターは専門的なスキルは求められにくい傾向がありますが、正社員を狙う場合はゲームテスターとしての経験がある人や、ITスキルを有する人に負けてしまう可能性が考えられます。そこでハードルを下げて、アルバイトや派遣を視野に入れた計画を立てるのがおすすめです。
関連記事:ゲームテスターへ正社員で転職する方法とは?年収や将来性も紹介
アルバイトや派遣で経験を積んでから転職
アルバイトや派遣であれば未経験者への門戸がさらに広くなるので、まずはアルバイトや派遣でゲームテスターになるのがおすすめです。そしてアルバイトや派遣で経験を積めば未経験ではなくなるので、経験者募集の求人に応募できるようになります。まずは一定期間アルバイトや派遣で経験を積んで、スキルを身につけてから転職する戦略は再現性がかなり高いでしょう。
アルバイトや派遣から正社員登用
アルバイトや派遣で経験を積んだのち、そのまま同じ企業、プロジェクトで正社員になれる可能性もあります。ただし正社員への登用が可能かどうかは本人の頑張りだけでなく、企業やプロジェクト方針にもよります。たとえば予算的なことや組織体制的なことで正社員登用を行っていない場合などもあるので、転職も含めて臨機応変に考えると良いです。
転職する場合も正社員登用を目指す場合も、今後のキャリアアップを見据えてスキル習得することが重要になります。ゲームテスターからいずれはゲームプログラマーなどに成長してほしいと考える企業も多いので、自身でスキル習得に励んでいることをアピールできると採用にも有利になるはずです。
未経験からゲームテスターに転職する際の注意点
ゲームテスターは未経験からでも目指しやすい職種ということでしたが、転職する際には注意点もあります。特に市場動向や、企業がゲームテスターについてどのように考えているのか、ライバルはどのような状況なのか、といったことは把握しておいた方が良いでしょう。当然すべてを正確に把握することは不可能ですが、少なくとも今後の方針を誤らないように以下の点は押さえておいてください。
正社員求人が少ない
まずゲームテスターは他のゲーム関連職種に比べて正社員求人が少ないです。そこまで高いスキルが求められず、また繁忙期のみゲームテスターが必要といったケースも多いでしょう。そのため、アルバイトや契約社員で期間を設けてゲームテスターを集めている企業、プロジェクトも多い状況です。このような状況を把握したうえで、自身のキャリアプランを考えてください。
事前準備が必要
ゲームテスターは未経験に対しても門戸が開かれていて、またそこまで高いスキルは求められないということでした。しかし応募者の中には一定のスキルを有する人が混ざっている可能性があり、その場合に比較されると自分は不採用になってしまいます。
アルバイトや契約社員の枠で応募しても不採用になる可能性は十分にあるので、他の応募者のレベルが高い可能性があることも想定して事前準備をしてください。ゲーム業界での経験やITスキルがなくても、たとえば前職での経験などで結び付けられる部分があればアピールすると良いでしょう。
ゲームテスターに必要なスキル
ゲームテスターに特別なスキルが必須というわけではありませんが、根本的な適性に近いスキルがあると採用されやすく、またある程度専門的なスキルがあるとより有利にはなるでしょう。採用可否に関わらず、そもそも自分自身がゲームテスターを続けられるかどうかにも影響してくるはずです。以下の内容を参考に、ゲームテスターを目指すべきかどうかご検討ください。
集中力・洞察力・忍耐力
ゲームテスターに必須の実務スキルはありませんが、集中力・洞察力・忍耐力といった根本的な適正に近いスキルは重要です。ゲームテスターの仕事は単純作業かつ長時間労働になることも多く、向き不向きがあるでしょう。
単純作業が長時間続くと集中力を欠いてしまいそうですが、ゲームテスターは責任が大きくバグを見落とすわけにはいきません。こういった環境下でパフォーマンスを発揮するには、集中力・洞察力・忍耐力が必要ということです。
論理的思考力
ゲームテスターは機械的にテストをこなしていくだけでなく、バグの原因や再現性などを考察する必要があります。そのため思考停止で手を動かすだけでなく、論理的に思考しながら作業を進めるということです。今後ゲームプログラマーやゲームプランナーを目指すのであれば、より論理的思考力は重要になるでしょう。
品質管理の知識
品質管理の知識があるとゲームテスターとしての評価は大幅にアップするでしょう。具体的には、QAエンジニアなどシステムの品質を担保するための経験があれば評価されます。また今後テストのプロを目指す場合、ゲームテスターになってからも品質管理の知識を身につけるとキャリアアップにつながるはずです。
テスト技法の知識
テスト技法の知識があると、ゲームテスターとして即戦力で活躍しやすいでしょう。テスト技法とは、境界値分析、状態遷移テスト、ストレステストといったものです。ゲームテスターとして働くにあたって基本知識の説明はあるはずですが、事前に知識習得しておくと評価につながる可能性もあります。
未経験からゲームテスターへの転職に役立つ資格
ゲームテスターに必須の資格はありませんが、資格を取得することでスキルアップ、評価アップにつながります。特にゲームテスターとしての経験がない場合はアピールできる要素が少ないので、資格の取得はより効果的でしょう。以下ではゲームテスターとしてのスキルが評価されやすい資格を紹介します。内容を把握したうえで、取得するかどうか検討してください。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)はマイクロソフトオフィスに関するスキルを問う資格試験です。具体的には、Excel、Word、PowerPointが該当します。特にゲームテスターはテスト結果をExcelでまとめることが多く、使いこなせると作業効率がアップします。
基本的な操作はもちろん、関数を使いこなせたり、より上を目指すのであればVBAも扱えると他のゲームテスターから一歩秀でたスキルを保有した状態になれます。
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格はテストの技術を問う資格試験です。ゲームだけでなくシステム全般のテストに役立つスキルが身につきます。JSTQB認定テスト技術者資格はFoundation LevelとAdvanced Levelの2つのレベルが設定されています。Advanced Levelを受験するためにはFoundation Levelに合格している必要があり、また3年以上の実務経験も応募条件になっています。そのため必然的にFoundation Levelから受験することになります。
ゲームテスターの年収
レバテックキャリアではゲームテスターの求人はありませんが、類似職種であるゲームデバッガーの求人はあります。下限平均と上限平均の中間値を算出すると、平均年収は約460万円です。またjobtagにはデバッグ作業の平均年収が記載されており、557.6万円となっています。
ただしjobtagの数字はデバッグを担当する職種全般が含まれているので、たとえばプログラマーやシステムエンジニアも対象になっているでしょう。そのためゲームテスターの平均年収としてはレバテックキャリアの数字の方が実態に近いはずです。
アルバイトや契約社員も含むと、ゲームテスターの平均年収は上記の数字よりも低くなると考えられます。
ゲームテスターの求人例
レバテックキャリアで募集されているゲームデバッガーの求人例を紹介します。
【想定年収】
300~450万円
【業務内容】
・運営、開発中タイトルにつき、バグチェックにより不具合を探す
・テストプレイによる、ゲームバランス調整サポート
・発見した不具合を開発スタッフへの報告
・修正された不具合をゲームプレイによる修正確認
【必要な経験・スキル】
・オンラインゲームのプレイ経験
・Excel、Word、PowerPointでの資料作成経験
ゲームテスターの将来性
ゲーム業界の市場規模は右肩上がりに推移していて、ゲーム制作にゲームテスターは必須です。そのためゲームテスターは将来性があると言えるでしょう。しかしテスト作業がAIに代替されていく可能性は高く、代替されやすい作業のみを担当しているゲームテスターの仕事はなくなっていく可能性があるでしょう。
市場で生き残るためには、AIに代替されにくいテスト設計・計画・分析など深いスキルを身につけることや、ゲームプログラマーやゲームプランナーなど上流工程の職種を目指す戦略が有効です。
ゲームテスターのキャリアパス
ゲームテスターのキャリアパスには、ゲームプログラマーやQAエンジニアがあります。まずゲーム業界でゲーム制作を行いたい人は、ゲームプログラマーを目指すと良いでしょう。ゲームテスターとして働きながらプログラミングスキルを身につけて、転職や社内登用を狙う流れです。
テストに特化して幅広いシステムのテストをしたい人は、QAエンジニアを目指す選択肢もあります。キャリアパスに正解はないので、市場動向や自身の目標、好みを考えて検討してください。
ゲームテスターに関するよくある質問
ゲームテスターに関するよくある質問と回答を紹介します。ゲームテスターには特殊なスキルや経験は求められにくいですが、万人に務まる職種というわけではありません。具体的なスキルというよりは性格や考え方などによって向き不向きがあると言えるでしょう。ゲームテスターが自身に合う仕事かどうかを検討し、最終的に目指すか決めてください。
Q1. ゲームテスターに向いている人の特徴を教えてください
ゲームテスターに向いている人の特徴として、ゲームが好き、根気強い、ゲームやプロジェクトのために頑張れる、といったものが挙げられます。特に単純作業が長時間続くことに耐えられるかどうかは人によるので、その点はよく考えた方が良いでしょう。
Q2. ゲームテスターになるにはどのようなスキルが必要ですか?
ゲームテスターになるのに必須のスキルはありませんが、集中力・洞察力・忍耐力といった根本的な能力、適性は重要です。また今後のキャリアアップを考えるなら、プログラミングスキルや専門的なテストスキルを身につけるとより良いでしょう。
まとめ
ゲームテスターは未経験からでも目指しやすい職種です。ゲーム業界での最初のキャリアとしてゲームテスターを狙うケースも多いでしょう。ゲームテスターはそこまで高いスキルを求められないので、正社員ではなくアルバイトや契約社員での募集が多いです。
まずはアルバイトや契約社員でゲームテスターになり、そこから正社員登用や転職をする方法もあります。ゲームテスターは今後も需要が続くと考えられますが、一部の業務はAIで代替されていく可能性が高いです。
市場で生き残るには、AIで代替できないより複雑な思考が伴うテストスキルを身につけることや、ゲームプログラマーなどの職種を目指してプログラミングスキルを身につけるのが有効です。ゲームテスターとして就職したら安泰というわけではないので、常に市場動向を把握していくことや、スキルアップのための努力を続けることが重要です。
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