Go言語エンジニアの転職で知っておきたいこと

最終更新日:2024年6月27日

Go言語は2009年にGoogle社が開発したマルチパラダイム型言語です。「Golang」とも呼ばれており、主に大規模なWebサービスの開発に使用されています。シンプルな記述で生産性が高く、高速に動作する点が特徴です。フリーライセンスでオープンソースと利用上のメリットも高いです。比較的若い言語であることから、日本ではGo言語に対応したIT人材が少なく、希少性の高さも相まって高年収を狙いやすい言語となっています。

しかし、普及度合いもそれほど高くないことから、Go言語だけを前面に押し出した転職は簡単ではありません。Go言語を習得したIT人材の転職では、周辺スキルとの組み合わせが成功の鍵を握ります。

本記事では、Go言語(Golang)の需要に興味がある方や習得を検討しているエンジニアに向けて、Go言語の概要から転職に必要なスキル・経験・実際の年収例などを紹介します。

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この記事のまとめ

  • Go言語は2009年にGoogleによって開発されたプログラミング言語で、多くのメリットを持つため需要が増加している
  • Go言語の求人数は増加傾向にあり、レバテックキャリアでは7番目に人気の言語
  • 高い性能を持ち、今後もGoogle社がバックアップしていくことから、将来性が高い言語
  • マルチプラットフォーム対応、シンプルな記述、高速な動作、並列処理に強い、メモリ使用量が少ないなどの特徴が挙げられる
  • Web開発、スマホアプリ開発、業務システム、サーバーサイド開発などで活用されている

未経験でもGo言語エンジニアに転職できる?

Go言語は、シンプルな文法で記述でき、標準ライブラリも豊富という特性を持ちます。そのため未経験者であっても、比較的習得のしやすい言語です。プログラミングの基礎を習得し、プログラミング経験があれば、エンジニア経験がない人でもGo言語エンジニアへの転職は可能といえます。

また、Go言語以外のプログラミング言語JavaやRuby、C#などは、Go言語と構文が似ています。これらの言語でのエンジニア経験を持つ方であれば、新しくGo言語を習得するのも容易でしょう。

関連記事:C#とは?特徴やメリット、C言語やC++との違いを解説

Go言語エンジニアの転職市場

Go言語エンジニアへの転職を検討する方にとって、Go言語エンジニアの転職市場は気になる要素です。「Go言語エンジニアは、どの程度の需要が存在するのか、その将来性はどれほどあるのか」と考える方も多いでしょう。本章では、Go言語エンジニアの需要と将来性について、データによる現状分析と考察を記載しています。

Go言語エンジニアの現在の需要

Go言語は、YouTubeやDockerなど大規模かつ複雑(並列処理が多い)なWebサービス開発に向いている言語です。日本でも徐々に案件が増えており、特に大規模Webサービス開発の分野では、サーバーサイド言語として広く普及し始めています。また、Go言語を扱えるエンジニアは希少性が高いため、「高年収を狙いやすい言語」の代名詞的存在となっています。

レバテックキャリアにてプログラミング言語「Go」の求人・転職情報を検索してみると、2024年3月20日時点で2,186件が該当しました。単一言語での募集件数ではないものの、全体でも7番目に募集中の求人・転職情報が多い言語となっています。Go言語より多くの募集件数があったのはJava、JavaScript、Python、PHP、C#、Rubyであり、全てGo言語よりも先行して登場した言語です。Go言語はそこに追随する形で人気が高まっており、需要も高いといえるでしょう。

Go言語エンジニアの将来性

Go言語は誕生から10年強と歴史こそ浅いものの、シンプルな文法、高いセキュリティ性能、並列処理や処理速度に優れる言語です。今後はWebサービスやクラウドサービスの開発を中心に需要はさらに伸びると予想されます。特にGoogleのサービスと親和性が高いことから、Googleのサービス拡張に伴い継続的な需要が発生するでしょう。

たとえば、Googleがオープンソースとして公開している機械学習ライブラリ「TensorFlow(テンサーフロー)」や、クラウドサービスである「Google Cloud Platform(GCP)」では、Go言語を使った開発が行われています。

Googleによる継続的な支援が見込まれることや、レバテックキャリアでの求人・転職情報の状況から、Go言語エンジニアの増加や、企業や組織での利用が進むことが想定されます。そのため、Go言語エンジニアは将来性が高いといえるでしょう。

Go言語エンジニアへの転職で活かせるスキル・経験

Go言語エンジニアへの転職で活かせるスキル・経験としては、プログラミングスキルや要件定義・設計のスキル、フレームワークに関するスキル、プロジェクトマネジメントスキルなどがあります。

本章では、Javaなどのほかのプログラミング言語での開発経験を持つエンジニアが、Go言語エンジニアへの転職で活かせるスキルや経験を紹介します。

プログラミングスキル

ほかのプログラミング言語のスキルがある場合、Go言語の習得は比較的容易で、スムーズにGo言語エンジニアになれるでしょう。Go言語の開発環境を構築し、実際にプログラムを書いて実行することで、Go言語での開発のイメージがつかみやすくなります。

Go言語と同じくサーバーサイド言語として広く使用されているRubyのスキルを習得していると、評価を得やすい傾向にあります。近年は特に、Rubyで実装されている処理をGoにリプレイスし、処理速度の高速化やハードウェアリソースの有効活用につなげる開発事例が増えているためです。

要件定義・基本設計・詳細設計のスキル

システム開発には、プログラミング以外にもさまざまな工程があります。上流工程である要件定義から、基本設計、詳細設計などのスキルは、プログラミング言語に依存しない普遍的なスキルです。要件定義・基本設計・詳細設計のような上流工程に向けたスキルを持っていれば、Go言語エンジニアへの転職後も役立てることができます。

関連記事:【難易度順】プログラミング言語一覧|職種別のおすすめも紹介

フレームワークに関するスキル

フレームワークとは、プログラミング言語固有の土台のようなものです。たとえばPHPであれば、LaravelやCakePHPなどが有名ですし、JavaであればStrutsやSpring Frameworkが知られています。

Go言語においても、GinやRevelを始めとした、いくつかのフレームワークが公開されています。

フレームワークを利用するメリットは生産性の向上です。プログラミング言語の標準機能だけでもアプリケーションの開発は可能です。しかし、よく利用する機能や複雑な機能をパッケージなどでまとめ、開発のテンプレートとしたフレームワークを活用することでシンプルなプログラムを実装でき、開発効率も格段に向上します。

フレームワークの使い方はそれぞれ異なりますが、フレームワークの考え方や概念には共通する点も多くあります。これまで別の言語のフレームワークを使っていた方なら、新しくGo言語のフレームワークを使うことになってもスムーズに覚えられるでしょう。

プロジェクトマネジメントスキルおよび折衝スキル

通常、アプリケーション開発はプロジェクトとして進められるため、プロジェクトマネジメントスキルや折衝スキルがあれば、Go言語エンジニアへの転職時にも活かせます。特に実務経験が5年以上ある方や、30代以上の方に対しては、リーダー職としての役割が求められることも多く、プロジェクトマネジメントスキルや折衝スキルが期待されます。

プロジェクトマネジメントスキルや折衝スキルは、プログラミング言語に依存しないスキルです。ほかの言語を使ったアプリケーションのマネジメントスキルがあれば、Go言語で開発されるアプリケーションのマネジメントにも活かせます。

そのほかの評価されやすい経験

そのほかの評価されやすい経験としては、次のような経験を持っていると転職活動時に評価されやすいです。

  • ・Webアプリケーション開発の経験

    ・チームリーダーやプロジェクトリーダーなど小規模チームのリーダー経験

    ・AWSやAzure、GCPなどパブリッククラウド環境を使ったシステム構築経験

    ・大規模ユーザーを持つアプリケーションのサーバーサイドの開発/運用経験

    ・アジャイル開発の経験

    ・マイクロサービス化されたアプリケーション構築経験

Go言語を採用した案件は、Webサービスのサーバーサイド開発などで増加傾向にあります。ただし、Rubyで開発しているプロダクトの一部をGo言語に置き換えるなど、部分的な適用となるケースも散見されます。そのため、Go言語と併せて複数のスキル(RubyやAWS、Dockerなど)を習得しておくと、活躍の場を広げることが可能です。

そもそもGo言語とは

Go言語の概要について確認しておきましょう。

Go言語(Go、Golang)はGoogleから2009年にリリースされたマルチパラダイム型の汎用言語です。パラダイムとはプログラミング言語の手法や考え方を指しており、具体的には「オブジェクト指向型」「手続き型」「関数型」などが該当します。つまりGo言語は、複数の言語の手法・考え方を併せ持つ言語になります。

Go言語の特徴・強み

Go言語は主要OS(Windows、MacOS、Linux)すべてに対応しているだけでなく、スマートフォン向けのOSであるiOS、Androidにも対応するなど、多くの環境で利用可能です。 また、シンプルな記述で軽量かつ高速な動作を実現できます。以下では、Go言語の特徴や強みについて、具体的に解説していきます。

初心者でも習得しやすい

Go言語はシンプルな記述を目指して開発されています。もともとの開発目的に、既存言語の複雑さや属人性の高さといった問題を解決することが設定されているため、シンプルで可読性の高いソースコードが一つの特徴となります。初心者でもソースコードが読みやすく、学びやすいプログラミング言語の一つです。

プログラム実行の動作が早い

Go言語は機械語への変換ができるコンパイラ型のプログラミング言語で、その特性から高速なプログラム実行が可能です。これは、PHPやRubyなどのインタープリタ型の言語と比較すると、明確な強みです。プログラム実行の動作が早いため、Go言語は効率的なシステム開発に対応できます。Go言語のパフォーマンスは、多くの開発者から高い評価を受けています。

高速で並列処理ができる

高速で並列処理できることも、Go言語の強みになります。Go言語は「goroutine」や「channel」といった独自機能により、高速な並列処理が可能です。大規模なWebサービスでは膨大な量の並列処理を頻繁に実行することから、Go言語の強みをおおいに活かすことができます。

拡張性が高い

Go言語は作成した機能を複数組み合わせることで、新しい機能を作ることが可能です。たとえば、過去に作った検索機能と文字列チェック機能を合わせて、入力された文字列が正しいかチェックしてから検索するといった新しい検索機能を簡単に作ることができます。このことから、Go言語は拡張性が高い言語として知られています。

また、開発中のOSとは別のOSで動作するコード生成も可能です。Windows環境で開発していても、Linux上で動作するソースコードを生成できるわけです。

リソースのコストパフォーマンスが高い

Go言語は、リソースのコストパフォーマンスが高いプログラミング言語です。リソースのコストパフォーマンスが高いことは、Go言語の強みです。Go言語は、Javaの約30分の1のメモリ量で、ほぼ同等の処理を実行できるといわれています。ハードウェアリソースが制限されている環境でも、高速処理を実現しやすいというメリットがあります。

スマートフォン用OSにも対応できる

Go言語ではGo mobileというツールを用いることにより、スマートフォン用OS(Android、iOS)向けのアプリを作成することが可能です。Go言語によるネイティブアプリおよびほかの言語から呼び出せるライブラリが対象となります。

コンパイル言語のため実行時エラーを避けやすい

Go言語はコンパイラ言語です。プログラムの実行の前にはコンパイルを行い、機械語への翻訳を行う必要があります。

コンパイル時にソースコードに文法上の問題などがある場合には、問題点はコンパイルエラーとして通知されます。実行前に問題点を指摘してくれるため、プログラム実行時に発生するエラーを抑止してくれます。

Go言語を学ぶメリット

Go言語は汎用性が高く、Webサービスやスマホアプリ、API開発など幅広いアプリケーション作成が可能です。Go言語を習得することにより、エンジニアの活躍領域を拡げることにつながります。

最近は、Go言語をメインのプログラミング言語として採用する、開発プロジェクトも増えています。Go言語を用いた開発プロジェクトに参加できれば、Go言語の開発経験を積むことができ、大きなメリットになります。

また、Go言語は言語的な特性を活かし、外部のライブラリやAPI、マイクロサービスを作る言語としても活用できます。ソフトウェア開発において、多くの選択肢を取れるようになることもGo言語習得のメリットです。

Go言語については「Go言語とは?特徴やできること、需要・将来性について解説」の記事でも解説しています。

Go言語でできること

Go言語でできる開発としては、業務システム開発やアプリケーション開発、Webサービス開発、サーバーサイド開発、APIサーバ開発、IoT開発などがあります。本章では、業務システム開発やアプリケーション開発などGo言語を使った、さまざまな開発について解説します。

業務システム開発

Go言語は汎用性が高いため、各種の業務システムの作成が可能です。Go言語によるネイティブアプリとしての利用と、Go言語が得意な処理をライブラリ化してほかの言語のプログラムから呼び出す利用方法の両者が考えられます。

軽量、動作が高速、メモリ消費が少ない、並列処理に強いといった特長を活かしたい場合には、業務システム作成においてGo言語が選択肢となり得ます。

アプリケーション開発

Go言語では、iOSやAndroidなどのスマートフォンで動作するアプリケーションが開発できます。スマートフォンアプリ開発用のツールを集めたGo Mobileを使うことで快適な開発が可能です。このような特性は、Go言語がさまざまな開発環境で活用できる大きな特徴といえます。

Webサービス開発

Go言語の開発時にターゲットとされた用途の一つが、Webシステム開発です。ブラウザを用いてPCやスマートフォン、タブレットなどにWebサイトを表示するWebアプリケーション、Webサービスの開発もGo言語の得意とするところです。

また、GinをはじめとしたWebフレームワークが数多く提供されている点でも、Webサービス開発に適しています。

サーバーサイド開発

Go言語にはデフォルトで多くの機能が組み込まれており、またバイナリファイルで動作することでパフォーマンスに優れているため、サーバーサイドの開発にも使われています。HTTP通信やルーティング、データベース操作などを高速に動作させることが可能であり、スタートアップ企業が新サービスの立ち上げ時のサーバーサイド開発言語に採用するケースも多いです。

APIサーバ開発

Go言語ではAPIサーバの開発も可能です。APIとはサーバの機能をクライアントに提供するための窓口のようなものです。クライアントは主にブラウザが担いますが、ブラウザのユーザーがAPIにリクエストを送信して、サーバでそのリクエストを処理して、クライアントへ結果を返却します。Go言語ではこのようなAPIサーバ開発も実現可能です。

IoT開発

Go言語はロボットやドローンのようなIoT、組込ソフトウェア開発にも活用できます。Go言語用のIoTフレームワークである、Gobotを使えば、Raspberry Piを始めとした小型コンピュータやロボットを高度に制御できるプログラムが簡単に実装可能です。軽量でメモリ消費が少ない言語特性も、IoT、組込ソフトウェア向けの開発言語に適しています。

Go言語エンジニアの仕事内容

Go言語エンジニアは主にサーバーサイド開発を担当し、Webサービスのバックエンド処理や解析を行います。また、スマートフォンアプリの開発では、Android関連の開発が中心となります。大規模なプロジェクトでは、チームでの作業が一般的で、プロジェクトによっては要件定義や設計などの上流工程も担当することがあります。さらに、ほかのプログラミング言語の経験や、上流工程の経験、チームマネジメントの経験があるGo言語エンジニアは、特に価値が認められ、高い年収を得る可能性があります。

Go言語エンジニアの平均年収・求人例

Go言語を扱う転職を検討している人にとって、平均年収は非常に重要な要素です。Go言語エンジニアの年収を知るには、実際の求人を確認するのが良いでしょう。求人情報を見ることで、年収だけでなく、業務内容や形態、求められるスキルなども把握できます。

本章では、レバテックキャリアに掲載されている実際の求人・転職情報より、Go言語エンジニアの平均年収と求人例を紹介します。

Go言語エンジニアの平均年収

レバテックキャリアにて2024年3月20日時点で募集中のプログラミング言語「Go」の求人・転職情報より、Go言語エンジニアの平均年収を算出しました。該当の求人・転職情報より30件を抽出し、年収の最低値と最高値の中間の平均から、Go言語エンジニアの平均年収は約739万円でした。言語別では非常に高い平均年収といえます。

Go言語人材が高年収を狙うには、「マイクロサービス開発の経験」「RubyやPHPなど他言語のスキル」「アジャイル・テスト自動化(CI/CD)の経験」などを備えておくと良いでしょう。近年ではReactととの組み合わせもトレンドです。要件定義など上流工程の経験もあるに越したことありませんが、ほかの言語に比べるとスキル要件になっていないことが多く、優先度は低いです。

Go言語エンジニアの求人例

レバテックキャリアに公開中の転職・求人情報より、Go言語エンジニアの求人例を紹介します。

【業界】
IT・通信
インターネット

【具体的な業務内容】
・GoによるWebアプリケーションの新規機能の開発や既存機能のリプレイス
・Kubernetesを用いたコンテナアプリケーションの開発
・要件に基づいたアーキテクチャの設計、ミドルウェアの選定
・品質向上のための効果測定とサービス改善施策の実施
・プロダクトマネージャと協力した新規サービス仕様の策定

【求められるスキル・経験】
・Go言語を利用したサービスの開発経験
・各種フレームワークを使用した開発、運用経験
・RDBMSやKVSなどのスキーマ設計や最適なクエリの設計
・Webアプリケーションのセキュリティ知識

【想定年収】
400~1,000万円

【勤務地】
東京都

Go言語の勉強方法

Go言語を習得するには、どのような勉強方法が良いのでしょうか。Go言語の習得を目指す学習方法としては、プログラミング学習として定番の「学習サイト」「スクール」「書籍」を利用する方法があります。本章では、これらの3種類のGo言語を学習する方法について解説していきます。

関連記事:30代未経験でプログラマーになれる?勉強方法や学ぶべき言語

学習サイト

Go言語は比較的新しく、Google社によって開発された言語です。このため、公式サイトにてチュートリアル「A Tour of Go」が掲載されており、ここから学習を始めるのが最も一般的な学習方法です。

最も初歩は公式ページの入力欄にコードを記述し、ページ上で実行結果を出力することです。ページに従ってそのまま、ダウンロードや環境構築に進める作りとなっています。

また、オンラインのプログラミング学習サイト「ドットインストール」「Progate」においても、Go言語のレッスンがあります。2024年3月時点で、ドットインストールでは「はじめてのGo言語」の動画が一部無料公開されています。またProgateでは全4レッスンの内、最初のGo言語のレッスンが無料で利用可能です。

スクール

Go言語の学習サービスを提供しているスクールとして、下記の2つがあげられます。いずれもオンラインでの月額制のサブスクリプションサービスです。


これ以外にも、カスタマイズ型のカリキュラムを組めるスクールでGo言語を選択するという方法もあります。

書籍

Go言語学習に向けた書籍を利用して学習するのも一つの方法です。ただし、ほかのプログラミング言語と比較して、プログラミングの初心者に向けた書籍は少ないため注意が必要です。ほかのプログラミング言語を習得している場合には、有効な選択肢となります。

実際にコードを記述・実行しながら、学習を進めることで理解を深めましょう。公式サイトのチュートリアル「A Tour of Go」などと組み合わせて利用すると効率的です。

『Go言語 ハンズオン』(秀和システム、掌田津耶乃 (著))
Go言語を実際にプログラムをハンズオンで作成しながら学習するための書籍です。Go言語の環境設定、基礎文法から始まっているため初めてでも取り組み易く、ハンズオンを経ながら学習することで理解を深められます。

『初めてのGo言語 ―他言語プログラマーのためのイディオマティックGo実践ガイド』(オライリージャパン、Jon Bodner(著)、武舎 広幸(翻訳))
本書ではGo言語を扱う上で知っておくべきイディオム(慣用句)を簡潔に学べます。ほかのプログラミング言語スキルを持つエンジニアがGo言語を習得する際に、ほかの言語とイディオムを差し替える形で利用すると効果的です。

Go言語エンジニアとして活躍する際に役立つ資格

2024年3月20日時点で、日本国内でGo言語に関する知識やスキルを証明するための資格は見当たりませんでした。このため、Go言語エンジニアとして、転職やキャリアアップを目指し資格を取得する場合には、プログラミング言語を特定せずソフトウェア開発やIT戦略などのスキルを示せる資格を取得することが有効です。

本項では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格「情報処理技術者試験」より、Go言語エンジニアにも役立つ資格を紹介します。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、ソフトウェア開発者として応用レベルのスキルを保有することを示す資格です。ソフトウェア開発で利用言語に関わりなく必要となる、IT戦略、システム企画、要件定義から、設計、開発、運用などの技術と知識が示せるため、Go言語エンジニアとしての転職でも役立ちます。

試験は午前、午後の二部形式で、午前は選択式、午後は記述式での回答が必要です。午前と午後の両方に合格する必要があります。

合格率は毎回25%未満となっており、難易度の高い試験といえます。IT未経験や初心者の人は、応用情報技術者試験の下位試験である、基本情報技術者試験の取得を目指すと良いでしょう。

システムアーキテクト試験

システムアーキテクト試験は、システム全体のアーキテクチャの設計や、要件定義、基本設計といった上流工程を担当するシステムエンジニアに向けた資格です。Go言語エンジニアとして上流工程のスキルを持つことは大変有益であり、システムアーキテクト試験は上流工程の業務を行うのに役立ちます。

試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4部に分かれており、午前Ⅰ、午前Ⅱは選択式、午後Ⅰは記述式、午後Ⅱは論述式の回答方式となります。各分野への試験対策が必要となります。

合格率についても、毎回15%前後であり、情報技術者試験の中でも最も難易度が高い資格の1つです。

Go言語で転職を成功させるコツ

Go言語で転職を成功させるには、どのようなコツがあるのでしょうか。具体的には、以下のような方法が挙げられます。


  • ・IT業界の知識をつける

    ・Web基礎知識・スキルを身につける

    ・クラウドやIoT、5Gなど最新技術に関する知識を身につける

    ・プログラミングスキルを身につける

    ・成果物を作りポートフォリオ化する

    ・経験やポテンシャルをアピールする

    ・転職エージェントを活用する


本章では、これらのGo言語で転職を成功させるコツについて解説します。

IT業界の知識を深める

Go言語で転職するということは、ITエンジニアに転職することになります。そのため、転職する前にIT業界について知識を深めておきましょう。たとえば、以下のような点があげられます。


  • ・ITエンジニアの職種

    ・ITエンジニアの仕事内容

    ・IT業界のトレンド


Go言語はあくまでプログラムをつくるための手段です。どんなプログラムをつくりたいか、どんなITエンジニアを目指すかを明確にすることが大切です。そのためにも、IT業界の知識を深めておくことが、転職を成功させるための第一歩です。

Web基礎知識・スキルを身につける

Web基礎知識やスキルを身につけることは、Go言語で転職するためには不可欠です。Webシステムの構築や通信プロトコルの理解、データベースの操作方法やセキュリティに関する知識など、これらの基礎スキルはエンジニアとしての業務を遂行する上で必要不可欠な要素となります。

具体的には、JavaScript、Pythonなどの汎用性の高い言語や、SQLが挙げられます。ほかにもプログラミング言語以外に、Apache、NginxなどのWebサーバー、MySQLやPostgreSQLなどのデータベースソフトウェア、Git、Subversionなどの構成管理ツールなどの知識も役立ちます。

Web基礎知識・スキルを身につけることで、Go言語エンジニアとしての価値を高め、転職市場での競争力を向上できます。

クラウドやIoT、5Gなど最新技術に関する知識を身につける

Go言語を使ったソフトウェア開発では、Go言語のメリットを活かすことが望まれます。

高速で動作し、軽量であるというメリットは、クラウドと組み合わせることでマイクロサービス、APIなどの開発で活躍します。また、Web通信処理が可能で、必要とするリソースを抑えられることから、組込ソフトウェア開発およびIoT向けの開発でも活躍します。さらに、並列処理にも強いというメリットは、複数の通信を同時に行う大規模なWebサービスとマッチしており、高速通信規格である5Gとあわせて活用することが望まれます。

最新技術にアンテナを張り、Go言語の利活用とその周辺について広く知識を持つことが活躍のフィールドを広げます。事例がないことにもチャレンジし、自分が前例を作るというチャレンジングスピリッツを持つ方も歓迎されるでしょう。

プログラミングスキルを身につける

Go言語そのものを習得しただけでは、効率の良いプログラムを作ることは難しいです。効率の良いプログラムをつくるためには、CPUやメモリといったリソースやアルゴリズムを考慮する必要があります。

そのため、とにかくプログラムを作成し、できるだけ効率の良いプログラムを作れるためのプログラミングスキルを身につけましょう。また、自分だけでなく誰が見てもわかりやすいプログラムを作れるためのスキルも身につけることが大切です。

成果物を作成する

Go言語エンジニアへ転職する場合には、Go言語のスキル習得を行います。しかし、単純に学習を行っただけでは転職先企業にスキルを示すことはできません。Webサービスやアプリケーションなどのプログラムを作成し、成果物として転職先に示すことができれば、明確にスキルを示すことが可能です。GitHubなどのサービスを利用して、成果物を公開していれば、よりスキルを示しやすくなります。

ポートフォリオを作成する

Go言語を用いたプログラムのポートフォリオを作成することは、Go言語スキルを見せる効果的な方法です。Webサービスやスマートフォンアプリ、APIなど、転職先の業務内容に合わせたポートフォリオを作成することで、Go言語の技術力を具体的に示すことができます。これにより、採用担当者に対してGo言語の能力を直接的にアピールすることが可能となります。

経験やポテンシャルをアピールする

Go言語以外のITプロジェクト従事経験はアピールポイントとして有用です。どのようなプロジェクトで、どのような役割を果たしたかまでを用意して転職先に伝えましょう。

ITエンジニアとしての実務経験がない場合には、ポテンシャルをアピールしましょう。特に自己学習により一定のスキルが身につけられている場合には、ITエンジニアとしてのポテンシャルを示すことが可能です。

転職エージェント・転職サイトを活用する

Go言語は人気は高まっていますが後発のプログラミング言語です。Go言語のエンジニアを積極的に採用している企業、入社後にGo言語スキルを活かせる企業を探すには転職エージェントや転職サイトを活用することが有効な手段となります。

転職エージェントは、キャリアアドバイザーが転職を希望する人と人材を募集する企業のあいだに立ち、マッチングを支援するサービスです。転職サイトは、人材を募集する企業の求人情報を掲載するサイトで、自分で希望する求人を探します。

転職活動に自信がない、転職に詳しい人のアドバイスを受けたいという人は転職エージェント、自分の都合に合わせて転職活動をしたい人は、転職サイトを活用すると良いでしょう。


関連記事:転職エージェントとは?8つのメリットやデメリット、利用の流れを解説

Go言語についてよくある質問

Go言語での転職を考えている方にとって、Go言語に関する質問は多くあります。Go言語についてよくある質問としては「Go言語の難易度は高い?」「Go言語の将来性は?」「Go言語が人気な理由は?」などがあります。

本章では、Go言語についてよくある質問について、それぞれ回答していきます。

Q1. Go言語の難易度は高い?

Go言語は、コードがシンプルで、比較的学びやすい言語です。しかし、スクリプト言語と比較すると、やはり学習の難易度は高めです。そのため、プログラミング初学者には、PythonやPHPのようなスクリプト言語から始め、基本的な知識を得たら、Go言語に進むのが良いでしょう。

関連記事:プログラマーが扱うプログラミング言語|種類別の特徴や選び方も解説

Q2. Go言語の将来性は?

プログラミング言語のシェア率などをランキングしているWebサイト「TIOBE Index」のデータでは、Go言語は2024年3月時点で8位となっています。前年の同月よりもランクアップしており、着実に人気が上昇していることがわかります。このデータからもGo言語の将来性は、高いと考えられます。

Q3. Go言語が人気な理由は?

Go言語は、そのシンプルな構文と高いパフォーマンスから、さまざまな規模の開発に対応できるという特性を持っています。また、初心者にとっても学びやすいシンプルな記述と、コンパイル言語特有の安全性が高いという点も、Go言語が人気を博している理由となっています。

Q4. Go言語は何をするのに向いている?

Go言語はさまざまなOSやプラットフォームに対応していることから、環境に依存しないシステムやアプリケーションの開発に向いています。WebサーバーやAPIサーバーを使用した大規模なシステム開発、一般的なアプリケーション開発のほか、IoTなどの組込み開発も利用できます。

まとめ

Go言語は2009年に発表された比較的新しい言語で、まだ開発者はそれほど多くありません。しかしながら、大規模開発に向いており、シンプルな文法でセキュリティ性の高いコードが書けるなどの特性を持ち、若手エンジニアからも注目が集まっている言語です。また、開発元がGoogleであることから、継続的なサポートが望め、今後の市場拡大も期待されています。

Go言語スキルを活かした転職を検討する場合には、Go言語のスキルに加えて、ほかの言語のスキルも身につけることをおすすめします。そうすることで、他言語と組み合わせた利用や、他言語からのリプレイス業務などにも対応が可能になり、活躍の幅が広がります。Go言語での転職を考えている方は、本記事を参考にGo言語エンジニアへの転職を目指してみてはいかがでしょうか。

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