未経験からテストエンジニアになるには
採用において、エンジニア職は実務経験者が優遇されやすい傾向にありますが、テストエンジニアは未経験者を受け入れる企業が比較的多い職種です。未経験からテストエンジニアを目指すには、エンジニアに必要な知識を身につけることや派遣やアルバイトなどで業務経験を積むなどが効果的でしょう。ここでは、未経験からテストエンジニアになるために何をすべきか解説します。
関連記事:テストエンジニアになるには?仕事内容や求められるスキルを紹介
エンジニアに必要な知識を身につける
テストエンジニアはほかのエンジニア職に比べて未経験者にも門戸が広がっていますが、仕事が簡単というわけではありません。テストエンジニアの業務にもさまざまなレベルがあり、テスト内容によってはOSに関する幅広い知識やプログラム言語の理解が必要になることもあります。
テストエンジニアとして企業に入ってから、OJTで身につけることも可能ですが、何も準備せずに転職してしまうと仕事についていけず困るケースも想定されるでしょう。また、選考においても知識の習得を行っていることは、ポジティブな要素となります。
派遣やアルバイトなどで業務経験を積む
テストエンジニアとして転職する前に、派遣やアルバイトとしてテストエンジニアやその他エンジニア業務に携わっておくことも未経験から目指す方法の1つになるでしょう。
派遣やアルバイトの場合は、就業する際に必要とされるスキルはより少ないため、業務経験を積みやすいです。テストエンジニアやほかのエンジニア職として実務経験がある場合には、テストエンジニアへの転職においても評価の対象となります。
【未経験者向け】テストエンジニアの志望動機の書き方
未経験で志望動機を書くのであれば、これまでの業務経験からどういった能力やスキルがあるのかをアピールすると良いでしょう。その際にアピールすべきことは、テストエンジニアに求められる能力に近いものを選ぶことです。
仮に事務作業などの経験があれば、テストレポート作成で必要になるWordやExcel、PowerPointなどの操作スキルをアピールできます。未経験であっても転職に役立つ能力やスキルはあるはずなので、徹底的に自己分析をしてみてください。
転職エージェントを活用する
未経験からテストエンジニアになるためには、転職エージェントを活用する方法もあります。
転職エージェントは、登録しないと知ることのできない非公開求人があり、条件の良い求人と出会える可能性があるでしょう。また、登録するとエージェントに自身の条件に合う求人を提案してもらえ、面接対策や企業との日程調整なども行ってもらうこともできます。1人で転職活動が不安な人は利用するのがおすすめです。
未経験者でもテストエンジニアを目指せる理由
テストエンジニアは、IT業界での転職に適した職種として注目されています。その主な理由は、テストエンジニアの多くの求人が未経験歓迎である点です。未経験者は、ユーザーに近い視点でテストが可能なため、開発サイドからも重宝されます。
開発工程の下流工程に位置するテストは、製品がユーザーに届く前の重要な工程です。未経験者は、ユーザーとしての視点からフィードバックできますが、システム開発者は構造を把握しているため、意外なバグを見落とすこともあります。このような背景から、未経験者への求人が増えているといえるでしょう。
テストエンジニアとは
ソフトウェア製品や電子製品は、開発工程で「意図した通りに動作するか」「脆弱性がないか」「パフォーマンスに問題がないか」などさまざまなテストを行います。より高い品質を保証するため、品質を担保するテストの実施にあたるのがテストエンジニアです。
万が一でも製品の品質に問題があった場合、リコールや損害賠償が発生することもあります。このような不測の事態が発生しないよう、テストエンジニアはさまざまな作業工程を通して品質を担保します。
関連記事:テストエンジニアとは?仕事内容ややりがいについて解説
テストエンジニアの仕事内容
テストエンジニアの仕事内容は、テスト設計や実施、管理です。ここでは一連の流れを把握できるよう、具体的なテスト工程について説明します。
なお、本記事ではテスト工程について、単体テスト、結合テスト、総合テストの名称で記載しています。プロジェクトや企業ごとに名称が異なる場合や、テスト工程をさらに細分化している場合もあるため、ご了承ください。
テスト設計
テストエンジニアの主たる業務は、製品やサービスの品質を確認するためのテストを行うことです。テスト設計ではどのようなテストを行うか考え、抜け漏れがないようテストケースを設計します。
リリース後に見つかるバグの多くは、テストケースが漏れていなければ拾えているものです。テストの設計は、テストの成果をあげる最も重要な工程といっても過言ではありません。
単体テスト/結合テスト
ソフトウェア開発の初期段階ではモジュール単位でテストを行います。それぞれ個別のモジュールごとにテストを行うため、単体テストと呼ばれるのが一般的です。単体テストではプログラムコードを1行ずつ実行して、基本動作に問題がないかを確認します。
単体テストで問題がなければ、次はモジュールをつなげて動作確認を行います。この工程を結合テストと呼び、モジュール間の連携処理などを確認することが重要な目的です。
単体テストや結合テストにおいて不具合が発生した場合、事象を説明して担当のプログラマーなどに修正を依頼します。
総合テスト
総合テストは開発側において最終段階となるテスト工程です。出来上がった製品が全体的に正常に動作するかを検証します。この総合テストの結果をもって、最終的にシステム開発の完了を判断することになります。
受託開発の場合は総合テストの終了後、ユーザー側で行う受入試験という工程もあります。
品質管理
テストで発生した不具合や問題は、プロジェクトごとに決められたルールで管理されます。「障害管理表」や「バグ管理表」と呼ばれる、不具合やトラブルが再発しないよう原因や障害内容をまとめた帳票を使うのが一般的な方法です。
帳票では、バグの回数なども記録するため、バグ発生率を計算することができます。
ユーザー目線では「バグが出ない(またはバグが極端に少ない) = 品質が高い」と考えられます。しかし、品質管理では「バグが出ない(またはバグが極端に少ない) = テスト設計が悪い」と判断されるケースが多いです。
バグの多寡に関しては、ソフトウェア開発データ白書などを参考として算出します。。製品の規模からプログラムのステップ数を算出すれば、指標を利用して、ある程度は発生すべきバグ件数の目安が導き出せます。
各テスト工程でテストが完了しても期待するバグ件数に満たない場合は、テスト設計からやり直すといったケースもあるでしょう。
テスター・QAエンジニア・デバッガーとの違い
テストエンジニアとは別に、テスターやQAエンジニア、デバッガーという職種もあります。企業によって、これらの職種を同じように扱ったり、役割に違いを持たせたりすることもあるでしょう。テスターは、テスト計画に基づいてテストを実行する役割が多いです。
一方、QAエンジニアは、テスト計画の策定、実行を行うほか、結果分析をもとに製品品質を向上させる役割を担います。デバッガーはテスト実行と、そこで見つかった不具合の修正を行うことが主な仕事です。
未経験からテストエンジニアを目指すために必要な知識とスキル
テストエンジニアとして高度な仕事をこなすためには、ITに関する幅広い知識とスキルが必要です。テストエンジニアになる際にすべてを習得しておかなくてはならないというわけではなく、OJTなどで徐々に身につけていくこともできるでしょう。
ただし、未経験であっても求められるスキルは事前に習得することが可能です。これからテストエンジニアを目指す場合に、一部でも習得していれば有利となる知識やスキルについて解説します。特にプログラミングの知識とスキルに関しては、基礎だけでも習得していることが望ましいでしょう。
テスト技法やテストツールの知識
テストエンジニアには、テスト技法とテストツールの知識が欠かせません。テストには多様な技法があり、これらを学ぶことが仕事の基礎となります。また、テストツールは、テスト作業を効率化する専用ソフトウェアです。大規模なシステムのテストには、自動化テストツールが用いられます。
リスクマネジメントスキル
リスクマネジメントスキルもテストエンジニアには、必要なスキルです。テストエンジニアは、製品の不具合から生じるリスクを判定します。この業務にはリスクを管理し、重要度を正確に判定するスキルが必要です。リスクの大きさによっては、開発計画に大きな影響を与える決定に関わることもあります。そのため、リスクマネジメントを行える人材は重宝されます。
ドキュメンテーションスキル
テストエンジニアの業務では、テストの結果などをドキュメントにして提出します。プログラムの不具合や問題点を、開発者チームに正確に伝えるためには、ドキュメンテーションスキルが重要です。ドキュメンテーションスキルは、テスト分野に限らず、ビジネスで広く役立つスキルといえます。分かりやすいドキュメント作成は、スムーズな業務進行に必須の要素です。
プログラミングの知識とスキル
高度なプログラミングスキルは必要としませんが、テストエンジニアにはプログラミングの知識と基礎スキルが求められます。単体テストや結合テストではプログラミングコードを解析しながらテストを行うため、プログラムの文法や設計されたソース構造を理解していないと困る場合もあるでしょう。
ソフトウェア品質管理の知識
テストエンジニアのメイン業務となるのが「ソフトウェアの品質管理」です。採用されている品質管理の手法はプロジェクトごとに異なりますが、前もって体系的に学んでおくと良いでしょう。品質マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO9001」などについても理解が大切です。
SDKやデバッグツールの知識とスキル
ソフトウェアの品質管理において開発ツール(SDK)や、デバッグツールの利用が不可欠です。ツールを活用するためのスキルを身につけることは、テストエンジニアの仕事を効率化するうえで必須となります。ツールを使いこなす難易度は高くないので、自主学習をして習得しておき、業務に従事しながらより深く学んでいくことも可能です。
コミュニケーションスキル
テストを行う場合には、その対象のプログラムが存在し、それを作成したプログラマーが必ずいます。テストの実施結果をプログラマーにフィードバックし、ソフトウェアの品質を高めることがテストエンジニアの重要なミッションです。プログラマーなどのほかのエンジニア、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーとのコミュニケーションスキルも重要視されるスキルといえるでしょう。
未経験可のテストエンジニアの求人例
実際に未経験でもエントリーできるテストエンジニアには、どのような求人があるのか気になる方も多いでしょう。レバテックキャリアに掲載された求人事例をもとに、具体的な業務内容や求められるスキル・経験を含めて詳しく紹介します。実際にどんな業務内容でテストエンジニアが募集されているのか確認してみてください。
金融アプリケーションのテスト実行など
金融アプリケーションは個人情報に関する処理や決済処理など、テスト工程がとても重要となるシステムです。運用を想定したシナリオテストでは、正常系だけでなく異常系や被災したケースを想定するなど、テスト項目が多岐にわたります。運用段階で不具合などが生じた場合は社会に及ぼす影響も大きいため、テスト設計がより重要な工程といえるでしょう。
【業界】
・IT/通信
・ソフトウェア/インターネット
・サービス/コンサルティング
【業務内容】
グローバルに実行される金融アプリケーションに対してのテスト実行など、おもに金融アプリケーションに関わっていただきます。
【求められるスキル・経験】
・Linux/Windows
・Linux shell commands
・Excel formulas/macros
・Database and SQL
・TOEICで700程度のスキルをお持ちの方
・日本語能力試験でN2または同様レベルのスキルをお持ちの方
・変化に柔軟に対応し、能動的に動くことができる方
・コミュニケーション能力をお持ちの方
【想定年収】
400~600万円
【勤務地】
東京都
システムソフトウェアのテスト項目検討および進捗管理
システムソフトウェアのテスト項目検討では、仕様書をもとにテスト設計を作成して具体的な検証項目を洗い出します。一方の進捗管理は検証項目がどれだけ進んでいるか、テスターとプロジェクトマネージャーやプログラマーなどの、その他のエンジニアのあいだをつなぐ業務です。テスト作業というよりも開発部門との折衝や、検証項目の調整などがメインの業務になるでしょう。
【業界】
・IT/通信
・ソフトウェア
・メーカー
・電気、電子、機械、半導体
【業務内容】
主な業務は、システムソフトウェアテストにおけるテスト項目の検討と進捗管理です。
<具体的な業務内容>
・ソフトウェア仕様書からの検証項目の抽出
・開発部門との折衝および検証項目の調整
・検証の進捗管理や調整の提案など
【求められるスキル・経験】
・社会人経験1年以上
・品質でお客様を笑顔にしたい方
・コミュニケーションを通した信頼関係構築に喜びを感じられる方
・検証を通し、製品の品質の確保に尽力できる方
・JSTQB FL以上
・英検準2級以上
【想定年収】
300~450万円
【勤務地】
京都府
ゲーム制作のテスター業務全般
テスター全般業務は実際のテスト作業にとどまらず、バグの原因調査や報告書などドキュメント作成も含まれることが想定されます。ゲームに興味や関心があれば、デバッグ作業もイメージしやすいでしょう。テストエンジニアの業務を通じて、開発やプランナーといった業務へのステップとすることも可能です。
【業界】
・メディア
・エンターテイメント
・コンシューマーゲーム
【業務内容】
ゲーム制作のテスター業務全般をお任せします。
<具体的な業務内容>
・試行
・動作確認
・バグ調査
・ドキュメント作成など
【求められるスキル・経験】
・PCの基本スキル(Word/Excel/PowerPointを含む)が備わっている方
・デバック作業を抵抗なくこなせる方
・ゲームに興味関心がある方
・ゲーム好きな方
・向上心を持ち続けられる方
・常時、優先度を意識できる方
・地域密着型の企業で働くことに魅力を感じる方
・長いスパンでのキャリア形成を目指している方
【想定年収】
300~700万円
【勤務地】
福岡県
テストエンジニアの年収相場
レバテックキャリアに掲載されているテストエンジニアの求人・転職情報をもとに算出した場合、テストエンジニアの平均年収はおよそ300~770万円となります。
下限は228万円、上限は2000万円と、かなり年収の幅が広いのがテストエンジニアの年収相場の特徴です。プログラミングスキルやテスト自動化、マネジメントスキルなどの高度な専門スキルがあれば年収が高く、デバッグ作業のみであれば比較的年収が低い傾向にあります。転職で高年収のテストエンジニア求人を狙うなら、マネジメントスキルは必須といえるでしょう。
テストエンジニアで年収をアップするには
テストエンジニアは習得しているスキルによって年収に幅があり、高いスキルを身につけることで年収アップが狙える可能性があるでしょう。具体的な年収アップ方法としては、適切なツールや検証項目などをデザインするスキルを身につけることや、仕様書への理解を深める、エンジニア業務の経験を積むなどがあります。
また、複数のプログラミング言語の習得や資格の取得も効果的です。ここでは、テストエンジニアで年収をアップするための方法について解説します。
適切なツールや検証項目などをデザインするスキルを身につける
テストエンジニアの基礎となるテスト業務におけるスキルを磨くことは、年収アップに向けた最もベーシックな取り組み方です。テストで利用するツールに精通、習熟し、言語やプロジェクトの特性に合わせて適切なツール選定ができることが挙げられます。
また、テストにおける検証項目を設定する能力も高めておきたいポイントです。テスト項目の設定は、単体テスト、結合テストといったテスト工程により観点が変わります。テスト項目の設定に関する能力を向上させるためには、プログラムやソフトウェアに関する知見を深める必要があるでしょう。
仕様書への理解を深める
テストは、プログラムが設計工程において作成された仕様書に沿って作成されていることを確認する作業です。このため、テスト項目の設定やテストの実施においては、仕様書の読み取り能力が重要となります。
本来ならば、仕様書には過不足なく誰が読んでも同じプログラムが作成できるよう仕様が定められているべきです。しかし、作成者のみがわかるような仕様書になってしまう可能性も存在します。他者も目を通すことを頭にいれておくことが必要です。テストエンジニアは、仕様書からプログラムが満たすべき機能、性能を読み取り、テストによってその品質を確保することが重要な業務といえるでしょう。
エンジニア業務の経験を積む
テスト以外にもシステム開発プロジェクトにはさまざまな工程や業務が存在します。システム開発プロジェクトの全般に対して理解を深めることで、テストエンジニアとしてプロジェクトへの貢献度を高めることが可能です。
また、システムへの理解を深めてエンジニア業務を積むと、スキルや習得できるプログラミング言語も増えます。将来の選択肢を広げることができるため、スキルアップや収入の向上にもつながるでしょう。
複数のプログラミング言語を習得する
プロジェクトで採用されるプログラミング言語は、システムの特性や開発技術者の確保、リリース後の運用などさまざまな要素を踏まえて決定されます。特定のプログラミング言語しか扱えない場合には、参加できるプロジェクトが限られてしまうことになるでしょう。
テストエンジニアとしてより活躍することを考えた場合、業務領域は広げたほうが良いです。プログラミング言語を多数習得し、活躍できるプロジェクトの幅を広げておくことは年収向上にプラスに働くでしょう。
資格を取得する
テストエンジニアのスキルを示す資格や、エンジニアとしての幅広いスキルを示す資格を取得することで、スキルのアピールが可能です。
資格取得のためには学習が必要なので、知識やスキルを磨くことができます。さらに、自己成長の姿勢をみせることもできるでしょう。業務の成果を出すことはもちろん評価される対象になりますが、資格を保有しているとより具体的なスキルの証明になります。個々のエンジニアとしては自分でアピールすることも必要です。
資格を取得することは、スキルのアピールにも役立ち、結果として評価にもつなげることができる方法の一つといえます。
テストエンジニアの仕事に役立つ資格
ソフトウェア製品の品質を保証するテストエンジニアの仕事は、開発分野のIT技術者とは求められるスキルが少し異なります。そのため品質保証や検証のスキルを評価するための、テストエンジニアに特化した資格というのも存在します。
資格の取得に向けた学習は、知識を体系的に得ることができる効率的な学習方法です。以下でテストエンジニアの仕事に役立つ資格を紹介します。
関連記事:テストエンジニアに役立つ資格4選!取得のメリットも解説
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格はソフトウェアテスト技術者資格認定組織であるJSTQBが実施している認定資格で、国際的にテストエンジニアとしての知識や技術を示す資格です。
認定レベルには「Foundation Level」と「Advanced Level」の2種類があり、 Foundation Levelはソフトウェアテスト全般に対する理解力が求められます。Advanced Levelはソフトウェアテストの分野でレベルの高い人が対象です。また、上級にあたるAdvanced Level を受験するにはFoundation Levelの取得、かつ現場での実務経験3年以上が条件となっています。
ソフトウェア品質技術者資格認定
ソフトウェア品質技術者資格認定(JCSQE)は一般財団法人日本科学技術連盟が主催する、ソフトウェア品質に関する知識を身につけた技術者を認定する資格です。テストエンジニアに限らずプロジェクトマネージャーやシステムエンジニアなど、ソフトウェアに関わる技術者すべてが対象となっています。2種類の認定レベルがあり、基本的なソフトウェア品質に関する内容の初級試験(年2回)と初級よりさらに深い知識が必要な中級試験(年1回)から選択して受験することが可能です。
IT検証技術者認定試験(IVEC)
IT検証技術者認定試験は一般社団法人IT検証産業協会が認定する、テストエンジニアに特化した資格試験です。認定レベルは5段階に分かれており、どのレベルからも受験することができます。テスト現場における実務スキルを習得・証明することを重視しており、問題も実務に近い内容が出題されます。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は独立行政法人情報推進機構(IPA)が主催する、IT分野における国家資格です。テストエンジニアに限らずITエンジニアが共通して理解しておくべき、基本的な知識を体系的に学習できる登竜門的な存在の資格です。これからテストエンジニアとして働きたいと考えているなら、取得しておいて損はありません。
テストエンジニアのメリット・デメリット
テストエンジニアの仕事は、製品の高い品質を担保するためのテストを行うことなどです。テストエンジニアの仕事には、楽しいと感じる部分ときついと感じる部分が表裏一体で存在します。具体例としては、ものづくりの楽しさを感じられる反面、納期のスケジュールが厳しいなどが挙げられるでしょう。ここでは、一般的なテスト業務における、メリットとデメリットの事例を紹介します。
テストエンジニアの楽しい部分
テストエンジニアは開発段階の製品やサービスのテスト工程を担当するので、リリース前から触れられる特別感を得ることができます。また、テスト工程を通してものづくりの楽しさを実感できることも楽しい部分といえるでしょう。以下でそれぞれを詳しく説明します。
リリース前から製品やサービスに触れられる
一般ユーザーの場合は、完成した製品にしか触れることができませんが、テストエンジニアはリリース前の製品やサービスに触れ、製品の完成度を高められます。製品のテスト工程を担当することで品質向上に貢献できるため、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
ものづくりの楽しさを実感できる
テスト工程も製品やサービスというものづくりの一環であり、その過程で新たな発見や問題点の解決に取り組むことが可能です。テストエンジニアは、ユーザーの代わりにユーザー目線でテストを行うことで、ユーザーにとって良いサービスや製品を生み出すという重要な役割があります。
そして、リリース後には多くのユーザーが快適に操作する姿を見ることができ、それがものづくりの楽しさを実感する醍醐味となるでしょう。
テストエンジニアのきつい部分
テストエンジニアの仕事がきついと言われる理由は、納期までのスケジュールが厳しいケースがあることや検証作業が単調であることなどが挙げられます。また、不具合原因の特定が難しいことも、テストエンジニアの仕事がきついと言われる一因です。ここでは、これらのテストエンジニアのきつい部分を具体的に紹介していきます。
関連記事:テストエンジニアはきつい?理由や向いている人の特徴を解説!
納期までのスケジュールが厳しいケースがある
テストエンジニアがきついとされる理由の1つに、納期までのスケジュールが厳しい場合があることが挙げられるでしょう。システム開発においてテスト工程は終盤にあたり、開発などが遅れた場合、予定のテスト作業期間を確保できなくなることもあり得ます。上流工程で遅延が発生しても最終的な納期は変わらず、結果的にテスト納期が短くなるので残業で対応するケースも珍しくありません。
単調な検証作業にストレスを感じる人もいる
単調な検証作業もテストエンジニアが仕事をきついと感じる原因になります。テストケースに従ってテストを実施する作業は、条件を変えながら同じ操作を繰り返すなど、単調な作業になりがちです。テストにはコツコツと地道な作業を反復する粘り強さが求められます。単調な検証作業にストレスを感じる場合もあるといえるでしょう。
不具合原因の特定が難しい
テストエンジニアがきついとされる理由には、不具合原因の特定が難しいことが挙げられます。不具合を発見したら再現性を確認、原因の特定を行うこともテストエンジニアの仕事です。膨大なソースコードの中からバグを特定するためには、システムの構造を理解する必要があり、これがきつさと感じられることもあります。
テストエンジニアの将来性
ネット上などではテストエンジニアは、将来性がないという意見も散見されます。その理由として、システム開発におけるテスト工程は単純作業が多いため、AI技術に任せることが多くなる可能性があるからです。また、新人の業務として任されることがあります。複雑な設計仕様を完全に理解していなくても、テスト項目さえあればエラーやバグを見つけることはできるからです。
しかし、新人エンジニアと同じようなテストを業務としていてはスキルアップ、キャリアアップは難しくなってしまいます。さらに、高いソフトウェア品質を求めるためにも、テストエンジニアとしてのスキル・専門性の高さが必要です。
テストエンジニアが将来性を高めるためには、スキルの習得・向上を行い、より高度なエンジニア職として活躍することを目指しましょう。
たとえば、テストエンジニアからキャリアアップ、キャリアチェンジを目指す選択肢には、SEやQAエンジニアなどが挙げられます。
どの道を目指す場合も、ただ業務をこなすだけではなく、資格の勉強やプログラミングができるようになる努力が必要です。より重要とされる業務につき、収入の向上も見込めるため決して無駄にはなりません。
関連記事:テストエンジニアの将来性はない?やめとけと言われるも解説
テストエンジニアに関するよくある質問
テストエンジニアに興味を持つ方や目指している方の中には、テストエンジニアの将来性や向いている人について気になる方が多いようです。ここでは、テストエンジニアに関するよくある質問に答えています。似たような疑問を持つ方はぜひ参考にしてください。
Q1. 「テストエンジニアには将来性がない」って本当ですか?
確かにテスト工程のみを担当するテストエンジニアの将来性は低いという意見もあります。しかし、同じシステムを対象とした複数の案件で経験を積むことで、テスト工程だけでなくシステム全体についての知見を得ることが可能です。スキルの向上と経験を積むことで成長できるテストエンジニアには、将来性があるといえるでしょう。
Q2. テストエンジニアはフリーランスとしても需要がありますか?
短期やプロジェクトごとに契約できるフリーランスの需要は高いと考えられます。テストの自動化ツールを導入している大規模な開発では、以前より需要が減少している傾向にあります。その一方で自動化が難しい部分や、テストツール自体の検証などでは引き続きテストエンジニアが求められるケースも多いです。
Q3. テストエンジニアを目指すのに年齢は関係しますか?
テストエンジニアを目指す歳に、年齢はあまり関係ありません。ただし、収入増加を目指したりキャリアアップを考えている場合、年齢が高いと経験を積むための時間が減少するため、キャリアプランの構築が難しくなるでしょう。
Q4. テストエンジニアに向いている人はどのような人ですか?
テストエンジニアの業務には、反復的な作業が多く含まれます。そのため、集中力と注意力を持ち、地道な作業を苦にしない人が適しているといえるでしょう。さらに、テストはチームでの分担作業が一般的なので、ほかのメンバーと協力するコミュニケーションスキルも重要です。
Q5. テスターとテストエンジニアの違いを教えてください
テスターは、実際にソフトウェアを操作しテストを行い、不具合などを見つけ報告するのが主な仕事内容です。一方テストエンジニアは、計画から改善までテスト全体の業務を行うため、業務内容が違いといえます。ただし、企業によっては仕事内容が同じ場合もあるため、転職の際には事前に確認すると良いでしょう。
まとめ
テストエンジニアの概要や仕事内容、未経験からテストエンジニアを目指す方法について解説しました。
テストエンジニアは製品の品質を担保する上で必要不可欠なため、今後も必要とされる職種です。必要な知識やスキルについても学習しやすい環境が整っているので、未経験でも始めやすいエンジニア職といえます。
IT業界に興味のある方は紹介した内容を参考にしながら、テストエンジニアをキャリアプランに含めて検討してみてください。
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