QAエンジニアに役立つ資格は?おすすめの勉強法も紹介

最終更新日:2024年10月28日

QAエンジニアはソフトウェアの品質保証に関わる職種です。QAエンジニアの仕事に必須の資格はありませんが、ソフトウェア品質に関する資格を取得しておくと役立つでしょう。

ソフトウェア品質やIT知識に関する資格の中でも、多くのQAエンジニアが取得している代表的な資格として、「JSTQB認定テスト技術者資格」や「ソフトウェア品質技術者資格認定」などが挙げられます。

この記事では、スキルアップを目指す現役QAエンジニアやQAエンジニアへの転職を検討している方へ向けて、QAエンジニアの仕事に役立つ資格の概要や取得のメリット、勉強方法について解説します。

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この記事のまとめ

  • QAエンジニアに役立つ資格として「JSTQB認定テスト技術者資格」「ソフトウェア品質技術者資格認定」「IT検証技術者認定試験(IVEC)」などが挙げられる
  • 資格を取得すると、客観的にスキルの証明ができるため、転職時にアピールできたり、年収アップにつながったりするメリットがある
  • 資格取得に有効な勉強法として、書籍やオンラインサービスの利用がおすすめ

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QAエンジニアとは

QA(Quality Assurance)エンジニアは、品質保証エンジニアとも呼ばれ、開発したシステムやソフトウェアの品質保証のためにテストやレビューを行うエンジニアです。クライアントからの要件・仕様に基づいて開発された製品が、正しく動作するか品質管理を行います。

システムエンジニアやプログラマーといった開発者が設計・開発したシステムやソフトウェアは、開発者自身のほか、テストエンジニアがテストを行います。QAエンジニアはそのようなテストで見つかった問題を集計・分析し、開発プロセス全体の問題点の指摘や改善を行う役割を持つ職種です。

これにより、開発しているシステムやソフトウェアの品質を改善するだけでなく、今後の開発における品質改善に繋がります。

関連記事:QAエンジニアとは?仕事内容や将来性を解説

QAエンジニアの仕事内容

QAエンジニアは製品の品質を保証するためのテストを設計し、実行します。また、テスト結果を分析し、次回以降の品質改善につなげていくことも業務の1つです。

以下では、QAエンジニアの仕事内容を「テストの設計・企画」「テスト実行・検証」「結果分析・フィードバック」の大きく3つに分けて、詳しく解説していきます。

品質保証のテスト設計・企画

製品の要件・仕様を確認し、品質を保証するためのテスト計画を立案します。さらに、作成したテスト計画から、テスト技法に基づき、具体的な手順を設計します。開発工程の途中で仕様変更や機能追加が発生した場合、その内容についても確認し、漏れがなくテストが実施できるようテスト計画に組み込むのも仕事です。

また、テスト工程は製品のリリース開始予定に近いことも多いため、スケジュール管理にも気をつけなければなりません。トラブルに備えて、余裕を持ったテスト計画を行う必要があります。

テスト実行・検証

設計した計画をもとに、テストを実施します。実施するテストは、製品が想定通り動作するか確認する「動作テスト」や、十分な性能を維持できるか確認する「耐久テスト」、脆弱性がないか確認する「セキュリティテスト」などがあります。問題を発見した場合、再現手順も検証した上で開発者に結果報告が必要です。また、QAエンジニアが発生した問題を修正する場合もあります。

結果分析・フィードバック

テスト結果の集計・分析を行い、開発者に結果を報告します。また、その内容をもとに改善案を作成し、プロジェクトマネージャーなどのステークホルダーに提案することも業務の1つです。QAエンジニアは製品の品質を担保するだけでなく、品質改善や向上も検討しなければなりません。改善が正しく行われ、品質向上につながるようフォローすることも大切です。

QAエンジニアとテストエンジニアの違い

QAエンジニアとテストエンジニアはどちらもテストを行いますが、対象や内容が異なります

QAエンジニアは、開発工程で実施されるテストではなく、完成した製品そのものに対して品質のテストを行う職種です。テスト内容としては、先述した動作テストや耐久テストなどがあげられます。また、テスト後の結果を分析し、プログラムや開発工程などの問題を抽出し、改善を図ることも業務に含まれます。

一方で、テストエンジニアは、開発段階の製品のプログラムに対してテストを行う職種です。プログラムに不具合がないか、正常に作動するかなどを単体テストや結合テストを実施し、確認します。

しかし、企業によってQAエンジニアとテストエンジニアの境界線が曖昧であるため、求人に応募する際には注意が必要です。

関連記事:テストエンジニアとは?仕事内容ややりがいについて解説

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QAエンジニアが資格を取得するメリット

資格がなくとも、QAエンジニアになることは可能です。しかし、QAエンジニアとしてのスキルを証明する方法として資格は非常に有効です。また、資格を持っていることにより、資格手当や収入アップにつながることもあります。

以下では、QAエンジニアが資格を取得することのメリットを詳しく解説します。資格取得を検討中の方は参考にしてみてください。

転職活動でのスキル証明になる

資格は、一定の知識・スキルを持っていることの証明となるため、転職活動で役立ちます。品質管理について一定のスキルを持っている証明になる資格を取得していることは、QAエンジニアとして大きな強みです。資格によっては、ある程度の業務経験が必要とされる難易度の高いものもあるため、取得することでスキルのアピールに繋がります。

資格手当の支給や評価により収入アップが期待できる

企業によっては、昇給や昇格の評価対象として、資格の取得を含めている場合があります。資格を取得した際、継続的な資格手当や一時金が支給される場合もあります。

また、QAエンジニアとして案件を請け負う際、経験値が同じであれば、資格を持っていない人より、資格を持っている人のほうが信頼度が高いといえるでしょう。多くの案件を請け負えるようになり、結果的にQAエンジニアとしての評価、年収アップにつながります。

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QAエンジニアに役立つ資格

現役QAエンジニアやQAエンジニアを目指す方におすすめの資格として、「JSTQB認定テスト技術者資格」「ソフトウェア品質技術者資格認定」「QC検定」などがあります。それぞれの資格ごとに、出題範囲や難易度が異なるため、自身が習得したい知識やスキルに合わせて取得を検討しましょう。

以下では、QAエンジニアに役立つ資格を6つ紹介します。概要や試験形式について詳しく見ていきましょう。

JSTQB認定テスト技術者資格

JSTQB認定テスト技術者資格は、JSTQB認定テスト技術者資格はソフトウェアテストに特化した資格です。テストの必要性やテスト技法、テストツールといった、ソフトウェアテストに関する問題が幅広く出題されます。

JSTQB認定テスト技術者資格は、ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織であるJSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)が主催し、一般財団法人日本科学技術連盟が実施しています。各国のソフトウェアテスト認定組織が加盟しているISTQBを通して、相互認証を行っているため、国際的に通用する資格です。

ISTQBにはFoundation Level、Core、Specialist、Agileの4つの分類があり、日本ではFoundation Level、Core、Specialistの一部のみが受験できます。詳しくは公式サイトをご確認ください。

試験は全国各地のテストセンターで随時行っており、自分の都合の良い日時と会場を予約して受験することが可能です。

試験名 受験料(税込) 出題形式 出題数 試験時間
Foundation Level 22,000円 多肢選択式 40問 60分
Advanced Level
(テストアナリスト)
多肢選択式 40問 120分
Advanced Level
(テストマネージャ)
多肢選択式 65問 180分
Specialist
(テスト自動化エンジニア)
非公開 90分
Specialist
(自動車ソフトウェアテスト担当者)
60分

ソフトウェア品質技術者資格認定

JCSQEソフトウェア品質技術者資格認定は一般財団法人日本科学技術連盟が主催している資格試験で、ソフトウェアの品質向上を目指して実施されています。ソフトウェア品質の定義から品質を作り込むための技術、AI、IoT、クラウドなどの応用領域まで、ソフトウェア品質に関する問題が幅広く出題されます。

初級、中級、上級(今後新設予定)の3つのレベルがあり、初級に合格していなくても中級を受験可能です。初級は年に2回(6月、11月)、中級は年に1回(11月)開催されています。

ソフトウェア品質技術者資格認定の取得を推奨している企業や昇格の必須資格としている企業もあるため、取得しておいて損はないでしょう。

試験名 受験料 (税込) 出題形式 出題数 試験時間
初級 15,400円  多肢選択式 40問 60分
中級 20,900円  選択式 / 記述式 選択式25問、記述式17問 120分
上級 未定 未定 未定 未定

QC検定

QC検定は品質管理検定とも呼ばれ、一般財団法人日本規格協会(JSA)が主催している比較的新しい資格試験です。

品質管理に関する問題が出題され、QC7つ道具をはじめとした基本的な品質管理手法の理解度が問われます。4級と3級はこれから企業への就職を予定している学生が対象で、2級と1級は実務経験がありリーダー的な立場にある方が対象となりますが、受験資格に制限はありません。

2022年5月から、1級試験において一次試験(マークシート)で基準点を超えた受験者を「準1級合格者」とし、さらに二次試験(論述)で基準点以上を獲得した受験者を「1級合格者」と認定すると変更されました。「準1級合格者」は、合格した回の直後に実施される検定試験に限り、申し込みの際に申告することで1級試験の一次試験を免除されます。

試験の開催時期は毎年3月と9月の2回で、4級から2級までは90分、1級は120分の試験時間で行われます。

レベル 受験料 (税込) 出題形式 試験時間
1級 11,000円  マークシート / 論述 マークシート90分 / 論述30分
2級 6,380円  マークシート 90分
3級 5,170円  マークシート 90分
4級 3,960円  マークシート 90分

IT検証技術者認定試験(IVEC)

IT検証技術者認定試験(IVEC)は、一般社団法人IT検証産業協会(IVIA)が認定するテストエンジニアの認定試験です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定した組込みスキル標準(ETSS)のフレームワークをベースとしており、テストの現場における実務を重視した問題が出題されます。

「アシスタント」「テスター」「デザイナー」「アーキテクト」「エバンジェリスト」の5つのキャリアレベルが設定されています。受験資格に制限はありませんが、最上位レベルの「エバンジェリスト」は申し込み後に応募理由や専門領域、テスト関連の活動履歴や発表論文などの実績について事前審査があるため注意が必要です。

レベル 受験料 (税込) 出題形式 試験時間
アシスタント 7,700円  インターネットでのPCによる解答 60分
テスター 17,600円  試験会場でのPCによる解答 120分
デザイナー 19,800円  試験会場でのPCによる解答 120分
アーキテクト 22,000円  試験会場でのPCによる解答 120分
エバンジェリスト 27,500円  論文審査 メールによる論文提出のため
制限時間なし

基本情報技術者試験・応用情報処理技術者試験

基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施しているITエンジニアの基礎的な知識と実践的な活用能力を問う国家資格です。ITエンジニアの登竜門ともいわれており、QAエンジニアにとっても基盤となる知識であるため、取得しておくと役立つでしょう。

応用情報処理技術者試験は、同じくIPAが実施している国家資格で、ITエンジニアとしてより深い知識を問われる試験です。合格率は例年20%前後で基本情報技術者試験と比べると難易度が高いです。しかし、取得することで、ITにおける応用的な知識が身についたエンジニアであると証明できるため、QAエンジニアとしての評価も上がるでしょう。

試験名 受験料 (税込) 出題形式 出題数 試験時間
基本情報技術者試験 7,500円  多肢選択式 科目A : 60問
科目B : 20問
科目A : 90分
科目B : 100分
応用情報処理技術者試験 7,500円  多肢選択式、記述式 午前 : 80問
午後 : 5問
午前 : 150分
午後 : 150分

ITパスポート

ITパスポート試験は、IPAが実施しているすべての社会人に向けたITの基礎的な知識を問う国家資格です。出題範囲はITに関する基本的な考え方や概要がほとんどのため、基本情報技術者試験より初心者向けの資格です。しかし、ITの総合的な知識を幅広く取り扱うため、IT業界に従事する者として取得しておいて損はないでしょう。

試験名 受験料 (税込) 出題形式 出題数 試験時間
ITパスポート試験 7,500円  多肢選択式 100問 120分

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QAエンジニアの資格の勉強方法

QAエンジニアに役立つ資格取得を目指す際に、効率的な勉強方法を知りたいと思う方も多いでしょう。知識が身につかなければ、資格取得は目指せません。自分に合った勉強方法を知ることが重要です。

以下では、QAエンジニア向けの資格取得に向けて、どのような勉強方法が効果的なのか解説します。また、独学で合格を目指す方のために、おすすめの書籍とオンラインサービスをそれぞれ紹介します。

受験勉強におすすめの書籍

資格取得に向けた勉強方法として、書籍の活用がおすすめです。まずは、専門用語など分からないことがあっても、全体に目を通し、大まかに理解します。何度も読み返し、疑問点を徐々に潰していくのが良いでしょう。

資格試験対策の参考書は、取得したい資格について体系的に知識を身につけられます。QAエンジニアに役立つ資格ごとにおすすめの参考書を紹介します。

JSTQB認定テスト技術者資格

『ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第5版 シラバス2023』(翔泳社、大西建児・湯本剛・町田欣史・福田里奈・角田俊・藤原考功・大段智広 著)
JSTQBの公認書籍としても認定されている1冊です。学習すべき内容や重要な用語が単位ごとに詳細に記載されています。また、それぞれのポイントごとに練習問題や過去問題も出題されているため、どこの部分でつまづいているのかが把握しやすくなっています。

高校生や専門学校生、大学生など、品質管理の分野を初めて学ぶ方におすすめです。

JCSQEソフトウェア品質技術者資格認定

『ソフトウェア品質知識体系ガイド(第3版)-SQuBOK Guide V3-』(オーム社、飯泉紀子・鷲崎弘宜・誉田直美 著、監修/SQuBOK策定部会 編)
ソフトウェア品質技術者資格認定試験の参考書籍としても指定されている1冊です。ソフトウェア品質技術の基本から最新技術ついても網羅されており、国際規格の改訂などもバージョンアップされています。

『初級ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)問題と解説【第3版】』(日科技連出版社、渡辺喜道・鷲﨑弘宜・笹部進・辰巳敬三 著、SQiPソフトウェア品質委員会 編)
初級問題集としておすすめなのが『初級ソフトウェア品質技術者資格試験(JCSQE)問題と解説【第3版】』です。こちらの書籍もソフトウェア品質技術者資格認定試験の参考書籍の1つです。『ソフトウェア品質知識体系ガイド(第3版)-SQuBOK Guide V3-』に準拠した問題が多く収録されており、これら2冊をベースとして学習することが合格への近道といえるでしょう。

『ソフトウェア品質保証 入門 高品質を実現する考え方とマネジメントの要点』(日科技連出版社、保田勝通・奈良 隆正 著)
上記の2冊に加えて、副参考書籍として指定されているのが『ソフトウェア品質保証 入門 高品質を実現する考え方とマネジメントの要点』です。参考書籍だけでは分かりづらい内容も、初めての方でも分かるように丁寧に解説されています。

QC検定

『過去問題で学ぶQC検定シリーズ』(日本規格協会、QC検定過去問題解説委員会 著、仁科健 監修)
QC検定の書籍としては、『過去問題で学ぶQC検定シリーズ』として級別に過去問題とその解答・解説が収録されたテキストが販売されています。1級のテキストには2022年9月から2024年3月までの4回分の試験問題が、2級、3級のテキストには2021年3月から2023年9月までの6回分の試験問題が収録されています。さらに過去の問題を振り返って学習する場合には、遡ってほかの問題集も購入してみましょう。

受験におすすめのオンラインサービス

資格取得のための勉強方法として、オンラインサービスの活用もおすすめです。オンラインサービスを利用することで、通勤時などのスキマ時間を有効活用できたり、不正解の問題を効率よく復習できたりします。

代表的な資格勉強オンラインサービスとして「テス友」「公式サイトの過去問」「過去問解説アプリ」などが挙げられます。自分に合ったサービスを活用し、資格取得を目指しましょう。

テス友

テス友はソフトウェアテスト技術者試験対策のオンラインサービスです。JSTQB認定テスト技術者資格(Foundation Level)、JCSEQソフトウェア品質技術者資格認定(初級)、IVEC(テスター)に対応しており、オリジナルの模擬問題が400題以上掲載されています。さらにすべての問題に解説と関連シラバスおよび用語集を完備し、出題傾向も「ランダム」「間違えた問題」など複数のパターンから選択可能です。

PCやスマートフォンなどデバイスを選ばずに利用できるブラウザ版と、iPhoneおよびAndroidに対応したモバイル版アプリから選択でき、いずれも無料で手軽に利用できます。

JCSQEソフトウェア品質技術者資格認定サイト

JCSQEソフトウェア品質技術者資格認定サイトでは、過去に出題された試験問題とその回答が公開されています。初級ソフトウェア品質技術者資格試験は過去4回分、中級ソフトウェア品質技術者資格試験は過去13回分がダウンロードできます。

QC検定 過去問・解説アプリ

QC検定 過去問・解説アプリはQC検定を手軽に学習できるスマートフォンアプリです。2024年9月現在3級、4級が公開されています。過去の試験問題から、一問一答や○×形式で問題に挑戦でき、間違えた問題が簡単に確認できるほか、学習状況も把握できます。

4級の2024年度版は、2021年3月から2023年9月までの6回分の試験の内容を含んでいます。2024年11月までの期間終了予定で、販売終了後はアプリ本体・ダウンロードコンテンツともにダウンロードができなくなるので注意が必要です。3級の2024年度版は、2019年9月から2023年9月までの8回分の試験の内容を含んでいます。

iPhoneおよびAndroidに対応したモバイル版アプリがあり、アプリ自体とサンプル問題が無料で利用できます。過去問題と解説は2回分(計100問前後)ずつセットになっており、学習に必要な分だけを選択し、課金による追加ダウンロードが可能です。

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QAエンジニアに必要なスキル

QAエンジニアの仕事は、品質保証のためのテストや不具合の修正、テスト結果の分析、改善の提案など多岐にわたります。そのため、スキルも幅広く必要です。

QAエンジニアに必要なスキルとして「プログラミングスキル」「テスト技法の知識」「テストツールの知識」「ソフトウェア開発の知識」など7つの要素が挙げられます。以下で詳しく説明していきます。

プログラミングスキル

QAエンジニアは、単体テストや結合テストの結果を組み合わせてソフトウェアの評価を行います。評価する際に、QAエンジニアが直接コーディングすることはないため、高度なプログラミングスキルは必須ではありません。しかし、開発者とのコミュニケーションが円滑になったり、設計書などの資料を読み解きやすくなったりするため、プログラミングスキルは役立ちます。また、テスト業務を効率化するために、QAエンジニアがプログラミングをして自動化ツールなどを開発する場合もあります。

テスト技法の知識

QAエンジニアは、テスト技法に基づいてプログラムに有効なテスト計画を設計する必要があります。一口にソフトウェアのテストといっても、境界値分析や状態遷移テスト、ストレステストなど複数の技法が存在します。ソフトウェアによっても有効なテスト技法は異なり、複数のテスト技法を使い分けられる知識やスキルが欠かせません。

テストツールの知識

QAエンジニアは効率的にテストを行うために、さまざまなテストツールを駆使して業務を遂行します。自動化ツールなどを構築するケースもありますが、ほとんどは「CyPress」や「Selenium」といったテストツールを用いるのが一般的です。QAエンジニアにはこれらのツールの知識を身につけ、使いこなすスキルが必要です。

ソフトウェア開発の知識

プログラミングスキルとも似ていますが、ソフトウェア開発における知識も不可欠です。QAエンジニアは製品の不具合を見つけるだけではなく、製品の開発工程における改善の提案なども行います。そのため、コーディングの能力はもちろんですが、システムエンジニアに求められるようなソフトウェア開発の一連の流れや要件定義に関する知識も身につけておく必要があります。

品質マネジメントの知識

QAエンジニアの本質はソフトウェアの開発というよりも、品質管理や品質を向上させることにあります。プログラミングやシステム開発に関する技術的な知識に加えて、品質管理の分野における知識やマネジメントスキルも不可欠といえるでしょう。QAエンジニアの仕事は品質保証と深くつながっているため、工程ごとに品質の向上を促すことも必要です。

また、国際的な基準であるISO規格についての知識を持っていると役立つ場合もあります。

テストの設計・仕様書作成スキル

システムやソフトウェアに応じてどのようなテストを行うのかを設計し、テスト設計書やテスト仕様書を作成するスキルも求められます。テスト設計書やテスト仕様書は、開発プロセス全体との整合性が取れていることが明瞭でわかりやすい必要があります。システムやソフトウェアが設計通り作動するかや性能がクライアントからの要件を満たしているか、重要なテスト項目が漏れていないかなどがポイントです。

システムやソフトウェアの品質を保証するためのテストの基盤となる文書なので、テスト設計書や仕様書を作成するスキルも高いレベルが必要です。

コミュニケーションスキル

正確な作業を行うためには、多くの人とコミュニケーションをとらなければいけません。たとえば、製品の要件や仕様を正しく把握するためにはクライアントに確認が必要です。また、製品設計や仕様書の内容については開発者に確認が必要です。ほかにも、QAエンジニアが複数いる場合は、連携が重要になります。

このように、複数の人と関わる機会が多いため、高いコミュニケーションスキルが求められます。

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QAエンジニアに向いている人の特徴

QAエンジニアへの転職を検討している方にとって、適性は非常に気になる点の1つです。

QAエンジニアは細かな不具合や修正点を探し、品質改善を促す仕事です。そのため、細かな作業が得意であったり、ユーザーとしての視点を持っていたりする人は向いているといえるでしょう。業務の幅が広いため、マルチタスクが得意である人にも向いています。

また、品質担保に直結する仕事であるため、不明点を放置せず積極的に相談や学習をする必要があります。

以下では、QAエンジニアに向いている人の特徴4つを詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

細かな作業も集中力を保ってできる

細かな作業が得意で、集中力のある人はQAエンジニアに向いています。

たとえば、テストで不具合や脆弱性が見逃されてしまうと、リリース後、システムが作動せず、クライアントやユーザーからの信頼を失う可能性があります。そのため、細かいところまで注意深くチェックするなど、不具合や脆弱性を見つけるために正確に作業しなければなりません。高い集中力を保って作業できる人は、QAエンジニアに向いているといえます。

不明点を放置せず相談や学習をする姿勢がある

QAエンジニアは、品質保証やテスト技法などの技術的な分野から法律まで幅広い知識が必要です。不明点を放置してしまうと、後から誤りが判明した場合に、作業に手戻りが発生する可能性があります。その結果、プロジェクト全体の進捗が遅延し、成果物の品質に大きな影響を及ぼす可能性もあります。不明点や疑問点も積極的に解決する姿勢を持っている人は、QAエンジニアに向いています。

ユーザー視点で取り組める

製品の品質を確認するには、実際にその製品を使用するユーザーの立場になってテストに取り組むことが大切です。なぜなら、最終的に製品の品質を判断するのはユーザーだからです。そのため、ユーザーの気持ちになって製品を客観的にとらえ、品質管理を行える人は、QAエンジニアに向いているといえるでしょう。

マルチタスクが得意

QAエンジニアは、同時に複数の作業をこなす場合が多々あります。品質管理のための動作テストや結果のまとめと分析、報告資料の作成をする中で、開発者をはじめ、関連部署とのコミュニケーションも行わなければいけません。同時進行で業務をこなしたり、各部署と連携をとったりするマルチタスクを得意とする人は、QAエンジニアに向いています。

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QAエンジニアがきつい・やめとけといわれる理由

QAエンジニアと検索すると「きつい」「やめとけ」といったネガティブなワードがサジェストにより表示され、不安に感じる方も少なくないでしょう。

QAエンジニアの仕事がマイナスなイメージを持つ代表的な理由として、責任が大きいということが挙げられます。サービスや製品の不具合を地道に正確に確認したり、分析したりする作業は単調になりがちです。しかし、この作業が直接的に品質に関わるため、少したりとも気が抜けません。責任が大きい中で繰り返す単純作業を辛く感じる人も少なくないようです。

しかし、裏を返せば、自分の働きがサービスや製品の品質向上に直接的に関わることは大きなやりがいといえるでしょう。

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QAエンジニアの将来性

QAエンジニアは、将来性が高い職種といえます。なぜなら、QAエンジニアは製品の品質に大きくかかわる重要な職種だからです。リリースしたシステムやソフトウェアに不具合が発生した場合、企業は信用失墜に繋がる大きな影響を受けてしまいます。そのような状況を防ぎ、品質を高めるためにも、QAエンジニアの存在は欠かせません。

ITが発展していく中で、QAエンジニアは最新技術を用いた製品の品質をしっかり保証できるよう、継続してスキルを高めることが求められます。

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QAエンジニアの平均年収

2024年9月時点のレバテックキャリアに掲載されている求人情報から試算した結果、QAエンジニアの平均年収は約681万円となっています。職業情報提供サイトjobtagにおけるシステムエンジニアの平均年収は約577万円であるため、IT職の中でもQAエンジニアの年収は高い傾向にあるといえるでしょう。また、掲載求人の想定年収幅は300〜2,000万円となっており、スキル・経験によって大きな差があるといえます。

関連記事:QAエンジニアの年収とは?仕事内容やスキル・転職活動のポイントも解説

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QAエンジニアからのキャリアパス例

QAエンジニアからのキャリアパスは、QAエンジニアで培われる品質保証に関する知識やテストに関するスキルと経験を活かして、上位職種にキャリアアップするのが一般的です。

QAエンジニアの上位職種は大きく分けて「シニアQAエンジニア」「マネジメント職」の2つです。以下で詳しく説明していきます。

キャリアパスを知っておくと、将来を検討する際に役立ちます。ぜひ参考にしてみてください。

シニアQAエンジニア

シニアQAエンジニアは、品質保証に関して高い知識とスキルを持つ専門家です。QAエンジニアチームのチームリーダーとしての役割を担い、テスト工程などを指揮します。そのため、QAスキル以外にもリーダーシップやマネジメントといったスキルも必要です。

QAエンジニアとして、専門性を高め、より上のレベルを目指したい方におすすめのキャリアパスです。

マネジメント職

QAエンジニアの上位職として、QAマネージャーやQAコンサルタントなどのマネジメント職があります。

QAマネージャーはQAプロジェクト全体を管理・統括する職種です。テスト戦略の立案や計画の策定、各QAエンジニアの進捗管理などのマネジメントをメインに行います。

QAコンサルタントは、顧客へ品質向上に向けた改善策の作成や提案をする職種です。おもに、最上流工程において経営層に向けて品質向上のための戦略立案、課題解決のための提案などを行います。

なお、QAエンジニアのキャリアパスについては、以下の記事でも解説しています。代表的なキャリアパスに加え、別分野のキャリアパスにおいても詳しく紹介されているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:QAエンジニアのキャリアパスは?スキルマップや役立つ資格も紹介

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QAエンジニアに関するよくある質問

QAエンジニアに興味を持つ方や転職を検討している方にとって、QAエンジニアと他職種の違いやQAスキルについての疑問が多いようです。

以下ではQAエンジニアに関するよくある質問に回答しています。類似の疑問を持つ方は参考にしてみてください。

Q1. QAエンジニアとエンジニアの違いを教えてください

エンジニアとは技術者を表し、IT限らず工学に関する専門的な技術をもった人材のことを指します。エンジニアの中でもITに特化した技術者のことをITエンジニア(IT技術者)と呼び、QAエンジニアも該当します。QAエンジニアはエンジニアという大きな枠の中の1つの職種と考えるとイメージしやすいでしょう。

Q2. QAエンジニアとテスターの違いは何ですか?

QAエンジニアとテスター(テストエンジニア)は、実施するテストや対象が異なります。

QAエンジニアは、開発した製品全体の品質のテストを行う職種です。一方でテスターは、開発段階のプログラムを対象にします。内容としてもQAエンジニアは動作テストや耐久テスト、テスターは単体テストや結合テストを行います。

Q3. QAスキルとはどのようなものですか?

QAスキルとは、品質をチェックし、保証するために必要なスキルです。具体例として、以下のようなものがあります。

  • ・テスト技法の知識

    ・テストツールの知識

    ・ソフトウェア開発の知識

    ・品質マネジメントの知識

    ・テストの設計/仕様書作成スキル

    ・コミュニケーションスキル

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まとめ

ソフトウェアやシステム開発においてバグやエラーの発生は避けられないものです。どれだけテストを繰り返したとしても、リリース後にバグが見つかるケースも少なくありません。ソフトウェアの品質を管理、保証するためにQAエンジニアは不可欠な存在であり、開発現場を裏で支える重要なポジションといえます。

QAエンジニアの仕事に必須な資格はありません。しかし、資格を取得することで、客観的にスキルを証明でき、自身の評価につながります。QAエンジニアの仕事は多岐にわたるため、多様なスキルと深い知識が求められます。スキルや知識の向上のためにも、本記事で紹介したQAエンジニアに役立つ資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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