ITコンサルタントになるには?役立つ資格や向いている人の特徴

最終更新日:2024年7月23日

ITコンサルタントとは、ITに関する専門知識に加え、経営的な視点を用いて顧客の課題を解決する職種です。ITコンサルタントになるには、まずSEを経験するのが一般的ですが、企業によってはIT業界未経験者にも門戸が開かれています。転職活動では、各企業が求めるスキルや経験を理解した上で、自身の強みが活かせる求人に応募する必要があります。

この記事では、ITコンサルタントを目指す上で求められるスキル・知識・経験や、同職種のキャリアパス、スキルアップにつながる資格、年収、求人例などを解説します。

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この記事のまとめ

  • ITコンサルタントになるには、学歴よりもITの幅広い専門知識とスキル、エンジニアの経験が求められる
  • IT未経験者がITコンサルタントになるには、技術営業として経験を積み、段階的に目指す方法がおすすめ
  • ITコンサルタントは顧客にスケジュールを左右されたり、最新の知見を学び続けたりする業務背景から、激務といわれがち

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ITコンサルタントとは

ITコンサルタントは、ITと経営の両方の知識を持ち、クライアント企業の課題を解決する職種です。ITの知識が土台となるため、SEからステップアップしてITコンサルタントの仕事に就くケースが多いです。

SEとITコンサルタントは、ITのスキルが必要な点は共通ですが、仕事内容は大きく異なります。ここでは、ITコンサルタントの仕事内容や他職種との違い、就職先を解説しながら職種について深掘りしていきます。

ITコンサルタントの主な仕事内容

ITコンサルタントは、クライアント企業の経営者などから、その企業が抱える問題を丁寧にヒアリングし、ITを活用してその問題を解決するのが主な仕事です。

クライアントが抱える問題は企業ごとに異なります。ITコンサルタントはITの専門家ですが、問題の解決に必要な知識はIT分野にとどまりません。経営、財務、人事、生産などの一般的な知識に加えて、クライアント企業の業務に関する知識も必要です。

問題を丁寧にヒアリングしたあと、IT戦略の策定やソリューションの提案、システムの要件定義などを行います。よりクライアント企業に近い視点で問題を捉え、その問題を解決するためのITプロジェクトを推進する必要があります。

関連記事:ITコンサルタントとは?仕事内容や必要なスキル・年収を紹介

ほかの職種との違い

ITコンサルタントは、さまざまな種類のコンサルタントやITエンジニアと比較されます。具体的には、 経営コンサルタントや戦略コンサルタント、 財務・人事・労務コンサルタント、SE(システムエンジニア)、SIerなどです。特にITコンサルタントは、ほかのコンサルタント職種と混同されがちなため、誤った認識をしないよう確認しておきましょう。

ここでは、ITコンサルタントとよく比較されるほかのコンサルタントや、IT業界の職種との違いについて解説します。

SE(システムエンジニア)

SE(システムエンジニア)は、システムの設計や開発、改修を行う職種です。クライアントからヒアリングし、要望に沿ったシステムの設計・開発を行います。システム開発では、決められた予算や納期に合わせて臨機応変に対応することが重要です。

システムエンジニアがシステム開発の実装面に近い仕事であるのに対し、ITコンサルタントはシステム開発の上流工程や、クライアント企業に近い立場での仕事が中心です。

経営コンサルタント

経営コンサルタントは、企業の経営戦略を中心に、財務、人事、ITなどの経営全般を幅広くコンサルティングします。クライアント企業の担当者や多くの専門家と連携しながら仕事をするため、優れたコミュニケーション能力が必要です。

ITコンサルタントはクライアントへのヒアリングや分析を行い、ITによる課題解決の手法を見い出す役割を担います。一方、経営コンサルタントは、クライアントが望む成果を上げる点を重視しており、現状の人員や設備などを最大限に活かした施策を提案するプロです。

戦略コンサルタント

戦略コンサルタントは、経営戦略に特化したコンサルタントです。特に大企業のクライアントが多く、事業承継なども含めて経営トップ層の問題解決が主な業務です。クライアントの経営方針全体から、会計や人事など専門分野まで幅広く対応します。戦略コンサルタントには、幅広い視点で課題を捉え、最適な提案をする能力が求められます。

一方でITコンサルタントはITに特化したコンサルティングを行う職種です。ITコンサルタントも事業戦略に関わるコンサルティングを行う場合がありますが、戦略コンサルタントのようにそれだけを専門領域としていない点が違いといえます。

業務コンサルタント

業務コンサルタントの仕事は、業務全体の効率化を目的とし現状の業務フローを改善するためのコンサルティングです。クライアントの事業戦略に沿い、各部署の役割や部署同士の関係性などを理解した上で業務の効率化につながる方法を提案します。

ITコンサルタントも業務効率化のための提案を行いますが、その場合はあくまでIT分野の専門家として、ITを活用した手法を提案するケースです。ITコンサルタントは業務効率化だけに限らず、マーケティングを考慮した売上アップやクラウド移行の提案、セキュリティ強化体制の構築など幅広い領域で活躍します。

財務・人事・労務コンサルタント

財務、人事、労務などの経営戦略以外の業務を担当するコンサルタントもいます。こうした業務の豊富な経験を持つ方が、財務、人事、労務などを専門とするコンサルタントになるのが一般的です。たとえば、財務コンサルタントであれば、会計士や税理士資格の保有者がなることが多く、人事、労務コンサルタントは社会保険労務士資格の有資格者などが活躍しています。

ITコンサルタントがITを専門とするように、財務・人事・労務コンサルタントはそれぞれ高い専門性と経験を持つ方がコンサルティングを行います。特化する領域が大きな違いといえます。

SIer

SIerとは、顧客から開発を請け負い、システム開発や保守運用を行う企業を指します。システム規模が大きく、プロジェクトに在籍する人員の数が多いのが特徴です。SIerは、下請けになればなるほど企業が受け取る利益が少なくなる多重請負が問題になる場合が多いです。

ITコンサルタントは「職種」、SIerは上記の事業を行う「企業」を指します。SIerで経験を積むことでITを含む幅広いスキルを身につけ、そこからITコンサルタントに転職する人が多いです。またITコンサルタントが最上流工程でプロジェクトを発足させ、開発をSIerが行うプロジェクトも多々あります。

ITコンサルタントの種類

ITコンサルタントは、課題解決方法や導入支援に関わるITツールなどによって、職種が細分化されています。具体的には、SAP、ERP、SCM、CRMなど、特定のIT商品/ツールに特化したコンサルタントが挙げられるでしょう。ここでは、これらのITコンサルタントの種類と仕事内容について、具体的に解説します。

SAPコンサルタント

SAPコンサルタントは、ドイツのソフトウェア企業であるSAP社のERPパッケージ専門のITコンサルタントです。SAPの専門知識を活かして、クライアント企業の経営効率化を目指します。多くの大手企業が経営効率化のためにSAPを導入しており、SAPコンサルタントの需要も増加しています。

ERPコンサルタント

ERPコンサルタントは、ERPパッケージの導入支援を行うITコンサルタントです。Oracleなどベンダー各社が開発したERPパッケージの専門家として、クライアント企業の経営課題の解決のために最適なERPパッケージを提案します。ERPコンサルタントには、経営や税務、法務、コスト管理などの知識も求められます。

SCMコンサルタント

SCM(Supply Chain Management)コンサルタントは、サプライチェーンの分野から企業の経営課題の解決やコスト削減を提案するITコンサルタントです。サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、販売、消費までのプロセスを指します。SCMコンサルタントは、サプライチェーンを管理するシステムの効果予測や調査分析をし、システムの選定や導入、運用の提案を行います。

CRMコンサルタント

CRM(Customer Relationship Management)コンサルタントは、顧客管理システムや顧客管理ツールを専門とするITコンサルタントです。CRMコンサルタントは、クライアント企業に最適な顧客管理システムの選定や導入、運用の提案を行います。CRMコンサルタントには、マーケティングやITトレンド、セールスに関する知識も求められます。

主要な就職先

主要な就職先としては、コンサルティングファームが挙げられます。コンサルティングファームと一口でいっても、得意とする業務や業種は異なります。仕事の進め方や待遇も企業により大きく違う場合があります。そのため、ITコンサルタントになるには就職先の選定が重要です。

ITコンサルタントとしてのその後のキャリアパスも含め、就職する際には企業研究を行った上で慎重に検討しましょう。

大手企業

ITコンサルタントは、コンサルティングファームだけでなく、一般的な大手企業でも活躍している職種です。たとえば、SIerに在籍する場合もあります。業務プロジェクトを得意とするITコンサルタントは、SIerプロジェクトの最上流工程を担当することが多く、その手腕によって業務の流れがスムーズになります。また、ITとは無縁に見える業界のIT部門にも在籍する場合もあります。

ベンチャー企業

ベンチャー企業は業務内容が多岐にわたるため、在籍しているメンバーの職種も多種多様です。IT系のベンチャー企業であれば、ITコンサルタントが多く在籍しています。たとえば、自社開発したサービスを他社に売り込む際、ITコンサルタントがいると顧客企業とのやり取りがスムーズになります。IT系のベンチャー企業でなくても、ITは重要なツールとなっているため、ITコンサルタントが在籍している場合が多いです。

スタートアップ企業

スタートアップ企業にITコンサルタントが在籍するケースもあります。この場合、ITコンサルタントの役割は自社のIT環境の整備などです。つまり、自社に対してITコンサルを行うイメージです。社員として在籍している場合もあれば、外部の顧問コンサルタントのような形で契約している場合もあるでしょう。

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ITコンサルタントになるには

 

ITコンサルタントになるためのキャリアパスについて解説します。最近では、人材の多様化が進み、ITコンサルタントになるための方法も1つではありません。前段としてSEを経験するルートが一般的ですが、異業種から目指す人もいるでしょう。また、ハードルは高くなりますが、IT業界未経験でも、ITコンサルタントを目指すことは可能です。本章では、ITコンサルタントになるための方法を解説します。

関連記事:ITコンサルタントのキャリアパスの描き方は?年齢別の転職市場価値

ITコンサルタントがいる企業に就職・転職する

ITコンサルタントになるには、ITコンサルタントがいる企業に就職・転職するのが近道です。ITコンサルタントには、大規模なITプロジェクトの経験が欠かせません。ITコンサルタントがいる企業は、コンサルティングファームやIT系の大手ベンダー、SIerなどがあります。このような企業で、経験を積み、社内でITコンサルタントを目指すのも良いでしょう。

SEから目指す場合のキャリアパス

SEの経験を持つ人がITコンサルタントを目指す場合、まずはプロジェクトマネージャーなどになってシステム開発の上流工程を経験し、その後転職するケースが多いです。SEとして3〜5年程度の要件定義や基本設計、プロジェクトマネージャーなどの経験があれば、ITコンサルタントになることは決して難しくありません。しかし、上流工程の経験がない場合は、いきなりITコンサルタントを目指すのは現実的ではないでしょう。

また、ITコンサルタントになるには、転職せずに社内公募や昇進によっても目指せます。この場合、資格取得による知識やスキルの証明や、社内での優れた成績が重要です。

IT未経験から目指す場合のキャリアパス

IT未経験の場合は、技術営業からITコンサルタントを目指す方法もあります。技術営業は、ITの専門知識を活かして顧客へ営業活動をする職種です。ITの知識をもとにして、顧客に最適な提案を行う部分に関しては、ITコンサルタントの仕事と重なります。

未経験から技術営業になるには、システム開発などの業務を理解できるレベルの知識や経験が必要です。また、技術営業はハードウェアやソフトウェア、OS、プログラミング、インフラ環境などの幅広い知識が求められます。

関連記事:未経験からITコンサルタントになるには?書類選考・面接対策も解説

異業種からの転職も可能

ITコンサルタントへの転職は、専門分野の知識があれば異業種からでも可能です。たとえば、医療関係のクライアントが多いコンサルティングファームでは、医療関係者など医療現場の知識があると重宝されます。特定の業界の知見があると、それを活かした業務課題やIT活用の提案ができるからです。

また、金融サービス業界で、金融サービスとIT技術を結びつけたフィンテックに関わった経験がある方も、ITコンサルタントへの転職が可能です。顧客資産を預かるオンラインバンキングやキャッシュレス決済などは、セキュリティ対策が必須になります。経験を活かせれば、ITを活用したセキュリティの提案ができるITコンサルタントを目指せるでしょう。

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ITコンサルタントに必要なスキル・知識・経験

クライアントの経営課題を見つけ出し、ITを用いた経営課題の解決を提案するITコンサルタントには、さまざまな「スキル」「知識」「経験」が求められます。これらを得るためには、長期間に及ぶ自己研磨や業務経験が必要でしょう。自身の現状と比較し、足りないものを補っていくことで着実にITコンサルタントに近づけます。ここでは、 ITコンサルタントに必要なスキル・知識・経験について紹介していきます。

関連記事:ITコンサルタントに必要なスキルを基礎・領域別に紹介

必要なスキル

ITコンサルタントになるためには、さまざまなスキルが求められます。具体的には、IT戦略立案・課題解決・マネジメント・コミュニケーション・英語力など幅広い分野のスキルが必要になります。ここでは、ITコンサルタントに必要なスキルを解説していきます。

関連記事:ITコンサルタントに必要なスキル

論理的思考力

ITコンサルタントは、クライアントの経営課題を整理し、解決策を提示し納得させる役割を担います。この過程で、論理的思考力が非常に重要です。論理的思考力とは、因果関係を順序立てて考え、複雑な内容を分かりやすく説明する能力です。論理的思考力を養うには、日常から理由を深く掘り下げて考える習慣が効果的です。

IT戦略立案力

IT戦略とは、情報システムを活用して経営ビジョンを実現するための方針です。IT戦略の立案は、ITコンサルタントの重要な仕事の1つです。

企業にとって、IT導入は「投資」と考えられることが多く、場合によっては膨大な費用がかかります。しかし、その費用が投資と見合った成果をもたらすとは限りません。そのため、投資の判断に至るまでには経営レベルでの戦略が必要となり、企業はIT導入時に経営とITの双方に強いITコンサルタントを活用して、IT戦略立案支援を依頼します。

課題解決力

経営にはさまざまな課題が付きものですが、自社の人材や資源だけですべてを解決するのは困難です。多くの課題は複雑であり、中には解決の糸口すら見つけられない場合もあるでしょう。そのような解決困難な課題への対応として、ITコンサルタントの活躍が期待されます。

企業が抱える課題がほかの複数の企業と共通点を持つ場合もあります。しかし、類似する課題でも同じような手法で解決できるとは限りません。ITコンサルタントは企業ごとに課題の本質を見極め、解決のためのシナリオを作成して、課題を解決するスキルが求められます。

マネジメント力

ITコンサルタントはプロジェクトの進行に携わることもあるため、プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント力が必要です。ときにはクライアントとなる経営者を含め、多くの利害関係者を巻き込んで人員を動かしていかなければいけません。人材の配置やスケジュール管理など、プロジェクト全体を滞りなく進められるマネジメント力が必要不可欠です。

コミュニケーション力

ITコンサルタントは、経営の中枢を担う経営者や企業内で働いている一般社員など、さまざまな立場の方と接する機会があるため、コミュニケーション力が求められます。また、課題を洗い出すにはクライアントへのヒアリングが欠かせず、意図や必要な情報を捉える傾聴力が重要です。傾聴力はコミュニケーション力に含まれるスキルで、これが十分でないとクライアントと認識の相違が起きたり、意図が理解ができず問題点の特定ができなかったりする可能性があります。

それぞれ社内での立場は異なりますが、ITコンサルタントは課題を解決するために、さまざまな立場の方と適切なコミュニケーションを取るスキルが求められます。

英語力

ITコンサルタントに英語力が求められることは少ないです。とはいえ、英語が必要になるかは、コンサルティングファームによって異なります。大手コンサルティングファームでは、海外進出やグローバルな案件もあるため、英語が必須になります。あらゆる案件で活躍できるITコンサルタントになるためにも、英語力を身につけておくと有利でしょう。

必要な知識

ITコンサルタントには、クライアントの経営課題を解決するための豊富な専門知識が必要になります。ITコンサルタントに必要な知識で代表的なものは、 ITに関する知識や経営・業務に関する知識などです。もちろん、これらの知識以外にも携わる業界・業種によって、習得するべき知識は多くあります。ここでは、ITコンサルタントに必要な知識について解説します。

IT知識

ITコンサルタントは専門家として豊富なIT知識が必要です。たとえばシステム開発では、上流工程から下流工程までを俯瞰できるIT知識が必要であり、IT業界で話題の新技術やサービスなどの情報を敏感に察知して取り入れるための知識も必須です。

関連記事:ITコンサルタントにプログラミングスキルは必要?具体例から解説

経営・業務知識

ITコンサルタントには経営やクライアント企業の業務知識も必要です。経営者と同じ視座で会話できるレベルの経営知識や、クライアント企業の業務知識がなければ課題は解決できません。

具体的には、財務会計、人事管理、販売管理、資産管理などの経営知識が必要です。またクライアント企業の業務知識は、専門家ほどに至らなくても、課題を解決に導けるレベルを身につける努力が求められます。

必要な経験

ITコンサルタントになるにはIT業界での経験があれば有利です。しかし、IT業界の経験がなくても、マネジメント経験や、これまで関わってきた業種における専門的な知識があれば、ITコンサルタントとして採用してもらえるチャンスがあります。

具体的には、システム開発プロジェクトのリーダー経験や金融、物流、公共事業など特定の分野での業務、顧客折衝やマネジメント経験などです。

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ITコンサルタントになるのに必須の学歴はない

ITコンサルタントになるためには、有名大学出身など学歴が必須と思われがちですが、実情は異なります。ITコンサルタントに求められるのは、学歴よりも、深く幅広い専門知識とスキル、経験です。

ITコンサルタントに学歴が重視されない理由としては、IT人材の流動性の高さが関係しています。IT業界は人材不足が顕著であり、多くの企業が頭を悩ませていることでしょう。そのため、学歴を重視するよりも、深く幅広い専門知識とスキル、経験がある人材を即戦力として採用しています。

大学で学ぶと有利な分野もある

ITコンサルタントへの転職を考える上で、大学で学ぶと有利な分野があります。たとえば、コンピュータサイエンスや情報技術、経営に関する分野の学位があると有利です。また、情報マネジメントや分析・解析、プログラミングなどの履修も重要です。これらの分野の修士号を取得できれば、ITコンサルタントへの転職はさらに有利になります。

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ITコンサルタントになるために役立つ資格

ITコンサルタントに必須の資格はありませんが、スキルアップにつながる資格は多く存在します。スキルアップに有効な資格には、大きく分けて国家資格である情報処理技術者試験とその他分野に関する資格があります。

資格を取得すると、所属企業やクライアントに対して、専門知識があることの証明が可能です。言葉だけで知識やスキルを説明するよりも、資格があるほうが説得力が高く、取得に向けた努力が評価される場合もあるでしょう。

ここでは、 ITコンサルタントのスキルアップにつながる資格について解説します。

関連記事:ITコンサルタントの資格16選をスキル別に紹介します

国家資格

ITコンサルタントのスキルアップにつながる国家資格としては、情報処理技術者試験のITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験がおすすめです。どちらも難易度の高い試験ですが、取得することでITを扱う高度人材としてのスキルを証明できます。以下では、これらの試験について解説します。

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験は、IPAが実施している情報処理技術者試験の1つです。ITコンサルタント育成を主眼としており、経営戦略に基づいたIT戦略策定や、事業革新・業務改革へのIT利活用方法などが学べます。合格率は15%前後と難易度の高い資格です。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験も、IPAが実施している情報処理技術者試験の1つです。システム開発におけるプロジェクトマネージャとしてのスキルを評価する資格です。システム開発に必要な、人員、予算、スケジュール、品質などを計画に基づいてマネジメントできる人材の育成を目的としています。合格率は14%前後で難易度の高い資格です。

そのほかの資格

情報処理技術者試験以外でおすすめの資格として、以下が挙げられます。

主に経営に関する資格が中心になりますが、これらの資格で得る知識は、ITコンサルタントとしてスキルアップするためには重要です。以下で、それぞれの資格を解説します。

ITコーディネータ

ITコーディネータ試験は、ITを経営に役立てるために、経営者の立場で助言や支援ができる人材を評価する資格です。SaaSやクラウドなどの最新技術を取り入れ、製造業や小売業、サービス業を始めとしたさまざまな業種で活躍できる人材の育成を目的としています。合格率は60〜70%程度と易しめですが、毎年の更新手続きが必要です。

ITIL®認定資格

ITIL®4資格制度は、イギリス政府がまとめたITサービスマネジメントのベストプラクティス集であるITIL®4をベースとしたITサービスマネジメントに関するスキルを証明する資格です。資格には全国のピアソンVUE試験会場、あるいはプロメトリック試験会場で受験できます。試験の合格率は非公開であり、資格の更新制度はありません。

中小企業診断士

中小企業診断士試験は、中小企業が抱える経営課題に対し、診断・助言を行う「経営コンサルタント」養成を目的とした資格です。経営戦略や会計、人事労務、物流、生産などIT以外の知識・スキルを幅広く習得できます。一次、二次試験がありますが、一発合格率は5%前後といわれており高難易度な試験です。

経営士

経営士は、中小企業診断士と共に、経営コンサルタントとしての知識を習得できる資格です。また、経営コンサルティングに関する資格として長い歴史を持ち、習得できる知識レベルは中小企業診断士と同等といえます。合格率は70%程度と比較的高く、受験するには5年以上の経営管理実務経験が必要です。

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ITコンサルタントに向いている人

ITコンサルタントに向いている人は、社会に役立つ活動にやりがいを感じる方や課題解決時に達成感を感じる方などが当てはまります。課題解決のためには、クライアントから必要な情報を正確に聞き取り、総合的に検討して判断する能力が必要です。

その一方で、課題解決には多くのタスクがあるため、ハードな仕事といえます。また、売上目標があるコンサルティングファームの場合では、数字に対するプレッシャーもあるでしょう。しかし、数字を追うことに慣れている方や競争心が強い方にとっては、向いている職種でもあります。

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ITコンサルタントになるための転職準備

ITコンサルタントを目指す過程では、どのような転職準備をしたら良いのか悩む方も多くいるでしょう。

ITコンサルタントになるために必要な転職準備は、「情報を収集する⇒キャリアに関する計画を立てる⇒スキルを身につける⇒志望動機と自己PRを作成する⇒転職サービスに登録する」の流れで進めると良いです。転職サービスへの登録は必ずしも必要ではありませんが、有効活用することで転職活動がスムーズに進むでしょう。

ここでは、ITコンサルタントになるために必要な転職準備について解説します。

関連記事:ITコンサルタントからの転職!辞めたい理由やおすすめ転職先を紹介

業界情報を収集する

ITコンサルタントになるためには、まずIT業界に関する情報収集が必要です。たとえば、話題になっているITサービスや新技術は、ITコンサルタントとしての業務を進める上でのヒントになります。2020年代にはAIやビッグデータ、データサイエンスなどのトピックが注目されているので、これらについては説明できるレベルまで理解しておくのが望ましいでしょう。

ITコンサルタントとしてのキャリアプランを立てる

ITコンサルタントになったあとの将来を見据えたキャリアプランを立て、自分自身の成長を追求することが大切です。ITコンサルタントには、「アナリスト」「コンサルタント」「マネージャー」「パートナー」の4つのスキルレベルがあります。自分自身がどこまでのスキルレベルに成長し、何年で到達したいのか、明確に計画を立てましょう。

また、定年まで同じ会社に勤める必要はありません。自分自身の成長に合わせて、ほかの企業へ転職するのも選択肢として考えられます。特にコンサルティング業界では終身雇用の概念が薄く、定年までにいくつかの会社を渡り歩くのは珍しくありません。

必要なスキルを身につける

ITコンサルタントは、ITや経営に関する深い知識が求められる仕事です。クライアントの経営課題を解決するためには、論理的思考力や課題解決力、マネジメント力などの、ITコンサルタントに必要なスキルや知識を身につけることが重要になります。さらに、過去の業務経験から、ITコンサルタントの仕事に役立つスキルがないか見直すなど、自己分析も大切です。

ITコンサルタント求人向けの志望動機と自己PRを作成する

ITコンサルタントの求人に応募するには、転職先企業の採用担当者が納得できる志望動機と、自分のやる気や能力を上手く伝えられる自己PRの作成が必要です。具体的には、その企業を選んだ理由やITコンサルタントを志した理由、転職後に活かせる知識や経験をアピールします

コンサルタントには論理的思考力が求められるため、志望理由や自己PRの作成には、事実を支える裏付けをしっかりと記載し、ロジカルで分かりやすい文章になるよう心がけましょう。

関連記事:ITコンサルタントの志望動機の書き方!経歴や業界別の例文も紹介

ITコンサルタント求人がある転職サービスに登録する

転職サービスに登録する際は、ITコンサルタントの求人を多く扱う転職サービスを選びましょう。一般的な転職サービスでも、ITコンサルタントの求人情報は掲載されていますが、その件数は少ない可能性があります。そのため、自身が望む求人が見つかる可能性は低いといえます。

しかし、エンジニア専門の転職サービスであれば、ITコンサルタントの求人情報が多く掲載されているため、複数ある中で比較検討でき、希望する求人情報が見つかりやすいでしょう。また、転職サービスのキャリアアドバイザーからは、転職活動に役立つ情報やノウハウなどのアドバイスが受けられます。プロからのアドバイスが得られるのは大きなメリットなので、転職サービスを利用するのは1つの手です。

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ITコンサルタントの求人例

企業のIT化が進むことでITコンサルタントの需要が高まっています。では、実際の求人状況はどのようになっているのか確認してみましょう。

求人情報を見てみると、仕事内容や求められるスキルが分かるだけでなく大体の年収相場なども把握できるため、転職活動の参考になります。たとえば、ITコンサルタントは、年収に幅のある職種ですが、マネージャー職経験やプロジェクトマネジメント経験が豊富なほど年収が高くなる傾向が読み取れます。

ここでは、 ITコンサルタントの求人の傾向と実際の求人例を紹介していきます。

第二新卒

第二新卒に対してITコンサルタントの求人が出されている場合もあります。ITコンサルタントは基本的に経験者向けの求人が多いですが、たとえば外資系のコンサルティング会社では間口を広げています。そのため、未経験でもやる気があれば採用され、成果を残せばそれに見合った高収入を得られるでしょう。

中途入社

中途入社の場合、ITコンサルタントの経験があるかどうかで採用枠が変わってきます。ITコンサルタントの経験があれば、選択肢は豊富です。またIT業界の別の職種の経験がある場合は、同業種でITコンサルタントを目指すと採用されやすいでしょう。

独立系コンサルティングファーム

2024年6月時点でレバテックキャリアに掲載されている求人情報から、独立系コンサルティングファームの求人例を紹介します。

  • 【具体的な業務内容】

    ・情報戦略/IT戦略/デジタル戦略の策定、実行の支援

    ・DX推進やIT運営機能、組織(情報子会社を含む)の変革支援

    ・デジタル人材戦略立案、育成計画、実行支援

    ・デジタル/IT投資、コスト管理手法の構築支援

    ・統合リスクマネジメント態勢の構築支援

 

  • 【求められる経験や知識】

    ・企業のデジタル変革(DX)や情報システム部門の運営改革プロジェクトをリーダーとして完遂した経験

    ・情報戦略や情報化に関する中長期計画の立案にて中核的な役割を果たした経験

    ・デジタルビジネスやデジタルサービスの企画、開発にて中核的な役割を果たした経験

    ・顧客の問題と課題を見極めた上で、解決策を提案し実行を推進できる能力

    ・多様なステークホルダーを調整、合意形成し、共にビジネスを推進するコミュニケーション能力


【年収】
600~1,400万円

【勤務地】
東京都

大手自動車メーカーや金融・損害保険子会社

大手自動車メーカーや金融・損害保険子会社の求人例を紹介します。

  • 【具体的な業務内容】

    ・複数プロジェクト間の調整

    ・個別プロジェクトのモニタリング

    ・プロジェクトマネージャー支援など

 

  • 【求められる経験や知識】

    ・開発プロセスを把握してマネジメントする必要があるため、システム開発の経験を有する方

    ・もしくはSIer、ITコンサルティングファームでのPM経験者

    ・ビジネスレベルの英語力


【年収】
500~800万円

【勤務地】
東京都

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ITコンサルタントの年収

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag(日本版O-NET)」によると、2024年6月3日時点のITコンサルタントの平均年収は660.4万円でした(出典:令和4年賃金構造基本統計調査)。所属する企業や専門分野・領域にもよりますが、ITコンサルタントの年収はほかのITエンジニアと比較すると高い傾向にあります。

クライアントの規模や専門分野によりますが、実力次第で年収1,000万を超える方もいます。特にSAPコンサルタントやERPコンサルタントは年収が高い傾向です。

関連記事:ITコンサルタントの年収が高い理由や転職活動のポイントを徹底解説

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ITコンサルタントがやめとけといわれる理由

ITコンサルタントへの転職は、「激務だからやめとけ」という声を聞くことがあります。よくいわれる背景としては、最新の知見を学び続ける必要があったり、顧客にスケジュールを左右されたりすることが挙げられるでしょう。ここでは、ITコンサルタントの仕事はやめとけといわれる理由や激務のイメージにつながる要因について解説します。

最新の知見を学び続ける必要がある

学び続けることに、激務と感じてしまうITコンサルタントは少なくありません。IT業界は日々進化しているため、最新の技術やトレンドも目まぐるしく変わります。また、社会情勢も激しく変化しており、企業のビジネスもそれに対応すべく変化し続けていくでしょう。このような動きに対応できないITコンサルタントは、時流から乗り遅れて淘汰されます。そのため、ITコンサルタントは最新の知見を学び続ける必要があります。

顧客にスケジュールを左右される

ITコンサルタントは、クライアントからのさまざまな要望に柔軟に応える必要があります。クライアントの都合によるスケジュール変更にも対応するため、自分のペースで仕事を進めるのが困難といえます。マイペースで仕事を進めたい人や、スケジュール変更が負担に感じる人にとっては、ITコンサルタントの仕事は苦痛でしょう。

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ITコンサルタントに関するよくある質問

ITコンサルタントになるには、仕事内容や求められるスキルを把握しておくのは必須であり、関連する質問も多く寄せられます。そのほか、学歴が転職においてどのように判断されるのか気掛かりな方が多い傾向が見られます。また、ITコンサルタントの将来性やほかの職種との違いもよく寄せられる質問です。

以下では、このようなITコンサルタントに関するよくある質問と回答を紹介します。

Q1. ITコンサルタントになるには大学の何学部で学べば良いですか?

ITコンサルタントになるためには、情報学、数学、物理学などの学部を卒業することが望ましいです。とはいえ、IT関連の知識やプログラミングスキルがあれば、学部や専攻などは問われません。したがって、ITコンサルタントになるには、理系でも文系でも、必要な知識・スキルなどを見につければ学部関係なく目指せます。

Q2. ITコンサルタントに将来性はありますか?

ITコンサルタントの将来性は、明るいと予測されます。ITコンサルタントは、DXが進む多くの企業の問題解決のために欠かせない専門家として需要が高まっています。業界によって需要は異なりますが、今後もDXの流れは継続すると予測され、さらにITコンサルタントの活躍が期待されるでしょう。

関連記事:ITコンサルタントの将来性とは?仕事内容や年収も紹介

Q3. ITコンサルタントの仕事内容を教えてください

ITコンサルタントは、クライアント企業が抱える問題をヒアリングし、ITを活用して解決へ導く職種です。主にIT戦略の策定やソリューションの提案、そしてシステムの要件定義などを行います。課題解決のために、経営、財務、人事、生産などの一般的な知識に加え、クライアント企業の業務に関する知識が必要です。

Q4. ITコンサルタントとコンサルタントの違いは何ですか?

ITコンサルタントは、営業や経理、人事、製造などにおける経営課題の解決に導く提案をIT技術を用いて提供します。一方で、コンサルタントは経営全般に関わるコンサルティングや支援などが主な業務です。ITコンサルタントはITを活用した解決策を見い出し、コンサルタントは経営の全体面をコンサルティングします。

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まとめ

この記事では、ITコンサルタントを目指している方に向けて、同職種に求められるスキル・知識・経験やキャリアパス、スキルアップにつながる資格、年収、求人例などを解説しました。

ITコンサルタントは、「IT」と「経営」の両方の知識を持ち、クライアント企業の経営課題を解決する職種です。深いIT知識が必要なため、SEなどITエンジニアとして経験を積み、その後ステップアップしてITコンサルタントに転職する方が多いです。

ITコンサルタントになるには必須の学歴はなく、学歴よりもITの深く幅広い専門知識とスキル、経験が求められます。ITコンサルタントへの転職に興味がある方は、この記事を参考に目指してみてはいかがでしょうか。

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