Webデザイナーの市場需要と将来性は高い
Webデザイナーの市場需要は高まっています。その理由の1つとして、デジタル市場の高まりが挙げられます。
経済産業省が行った「令和4年度電子商取引に関する市場調査」によると、令和4年度のBtoC(消費者向け電子商取引)の市場規模は22.7兆円(前年比9.91%増)、BtoB(企業間電子商取引)の市場規模は420.2兆円(前年比12.8%増)という結果でした。
インターネット上での取引は今後も増加していくと予想でき、同時にWebデザインの仕事やWebデザイナーの活躍の場は広がると考えられます。
もう1つの理由は、デジタル広告の市場拡大です。株式会社電通が2024年2月に発表した「2023年 日本の広告費」では、インターネット広告費は3兆3,330億円(前年比107.8%増)と、広告業界の顕著な成長が示されています。Webデザイナーは、Web制作だけでなく、広告のデザインも手掛けます。そのため、インターネット広告費の増加は、Webデザイナーの将来性に期待できる根拠といえるでしょう。
企業のデジタルシフトが進んでいる
Webデザイナーの将来性が明るいとされる背景には、企業のデジタルシフトが進んでいることが挙げられます。
昨今は、インターネットの普及によって、Webを通じた事業展開が活発になり、サービスや商品の販売経路としてWebコンテンツが欠かせない時代です。特にWeb広告市場は大きく成長しています。販売促進のため、企業では積極的に取り入れられており、デジタル化のニーズは大きくなっています。
これらのことは、Webを主戦場とするWebデザイナーには、追い風になっているといえるでしょう。
それでもWebデザイナーの将来性がないといわれる理由
Webデザイナーの市場需要は、今後も需要が高まると予測されています。その反面、「Webデザイナーはやめとけ」と将来性を危惧する声もあります。特に、ただ単純にWebサイトのデザインができるだけのWebデザイナーの需要は、今後衰退していく可能性が高いです。
デジタル市場は拡大していますが、すべてのWebデザイナーの将来性が明るいとはいえません。将来性がないといわれる理由をチェックしてみましょう。
Webデザイナーが多すぎて競争が激化している
Webデザイナーが増加したことにより、Webデザイナー間での競争が激化しています。需要と供給により価格は決まるため、スキルの高いWebデザイナーが増えれば、駆け出しのWebデザイナーなどにとっては厳しい状況になるでしょう。具体的には、スキルの低いWebデザイナーの仕事の減少や報酬の低下が起きやすくなります。
副業Webデザイナーの増加
Webデザイナーを副業としている人が増えていることが、同職種の競争激化に拍車をかける要因になっていると考えられます。Webデザイナーを本業とする人・副業とする人同士が、仕事を取り合う中で、将来性が明るいのは市場価値が高い人材でしょう。
今後も副業Webデザイナーは増加していき、競争が激化することが予想できます。
ノーコードなど制作・デザインツールが進化している
ノーコードやローコードによるWeb制作・デザインツールは進化し続けています。これらは、Webデザインやプログラミングのスキルを必要としない、初心者向けのツールです。しかし、利便性の高いツールの普及が、Webデザイナーの専門性の価値低下につながるとの見方もあります。
AIによるWebデザイン制作の簡素化
AI技術によって、人の手によらないWebデザイン制作が可能な時代になりました。とはいえ、クライアントの要望を正確に汲み取り、それをデザインに反映させられるかという点では、まだまだWebデザイナーのほうが優勢です。また、より自由度の高いWebデザインを作成するには、人間がコードを書く必要があります。
しかし、これらのAIツールは進化を続けているため、将来的にWebデザイナーの仕事がなくなる可能性は否定できません。
きつい・年収が低い・離職率が高いといったイメージがある
Webデザイナーは「きつい・年収が低い・離職率が高い」などのイメージがあるために、将来性がないと思い込んでる人は少なからずいるでしょう。
ただし、仕事がきつい・年収が低いというイメージに関しては、スキルに依存したものと考えられます。同じ業務でも、個々のスキルによって進捗具合や質に差が生じます。求められるレベルに合ったパフォーマンスを発揮するまでには、きつく感じることが多いのは当然です。また、年収はスキルを身につければ徐々に上げていけます。
離職率が高いというイメージは、Web業界の高負荷な働き方が原因と考えられます。実態としては、企業で見直しや改善が進んでおり、状況は良くなりつつあるといえるでしょう。
Webデザイナーの現実
近い将来にWebデザイナーの需要がなくなるのは、考えにくいでしょう。デジタル市場の拡大に伴って、広告業界は飛躍的な成長を遂げており、Webデザイナーの活躍の場が増えているのは確かです。しかし、そういった時勢とともに、Webデザイナーに求められるスキルが変化してきています。
Webデザイナーの現実を知る上で注目すべきは、個々のWebデザイナーが対応可能な仕事の範囲です。エンジニアがシステムの全体を構築するのに対し、WebデザイナーはWebサイトの表面を主に制作します。デザイン面ではない技術的なスキルは、一定レベルになると頭打ちになる可能性があります。
そのため、Webデザイナーとしての市場価値を高めたり、ほかの職種に視野を向けてキャリアパスの選択肢を広げたりすると良いでしょう。
関連記事:Webデザイナーとは?仕事内容や他職種との違い、未経験からの目指し方も紹介
時代によって求められるスキルが変化する
簡単なデザイン制作は、利便性の高いツールやAIなどの最新技術によって、供給が行き届いている状況です。
今後Webデザイナーとして生き残るには、業界のトレンドを捉え、スキルをアップデートし続けなければなりません。これまでのスキルで通用していた仕事がAIなどに代替されれば、これからのWebデザイナーにはスキル面での軌道修正が必要です。
デザイン制作ができるだけのWebデザイナーは、徐々に需要が減少していくと考えられます。そのため、デザイン業界で注目されている分野や技術に目を向け、それらにまつわるスキルを習得していく必要があるでしょう。
他職種との比較から見るWebデザイナーの将来性
Webデザイナーの将来性は、Web業界にまつわるほかの職種と比べると、イメージしやすいでしょう。同じ業界に携わっていると、トレンドなどの変化によって同じような影響を受ける場合が多いからです。
たとえば、1件のWebサイト制作において、プログラマーがコーディングを担当し、Webデザイナーがデザインを担当する場合、Web制作自体がなくなれば、双方が仕事を失います。
つまり、Webデザイナーと同業界の職種の将来性を比較すれば、より納得できる根拠が得られるでしょう。Webデザイナーとの関連職種として、プログラマーやグラフィックデザイナー、Webディレクター、UI/UXデザイナーが挙げられます。
ここからは、それぞれの関連職種と比較しながら、Webデザイナーの将来性について解説します。
プログラマーとの比較
Webアプリケーションやソフトウェアの開発を担う職業がプログラマーです。IT人材が不足しているため、プログラマーの需要は、これからも増加するでしょう。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、2018年を起点とし、今後のITの需要の伸び率に応じて、2030年には約16~79万人のIT人材が不足すると試算されています。この調査から分かるように、今後もプログラマーの需要が続くと考えられます。
プログラマーは、Webデザイナーと同様にHTMLやCSSの知識が必要であり、Webサイト制作には欠かせない職種です。Webデザイナーとプログラマーは、仕事内容に明確な違いがありますが、どちらも需要があるため、将来性があるといえます。
グラフィックデザイナーとの比較
WebデザイナーがWebサイトのデザインを行うのに対して、グラフィックデザイナーはチラシやパンフレットなど、紙媒体のデザインを主に扱う職種です。グラフィックデザイナーの紙媒体での活躍の場は、減少してきています。
公益社団法人全国出版協会の「日本の出版販売額」によると、書籍、月刊誌、週刊誌の推定販売金額は1996年をピークに下落が続いており、印刷物の需要低下がうかがえます。一方、電子出版の販売金額は増加傾向が見られます。
このようにグラフィックデザイナーの将来性は安泰とはいえないものの、今後も紙媒体が完全になくなるとは考えにくいでしょう。また、主な活躍の場が、紙から電子媒体へシフトしていく期待も少なからずあります。
グラフィックデザイナーは、Webデザイナーの仕事を補完する役割としての需要もあるため、Webデザイナーの需要がある限り、一定の需要は残ると考えられます。
Webディレクターとの比較
Webディレクターは、今後も需要が見込まれます。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、国内のインターネット付随サービスの売上高は、2018年は約1兆6,500億円でしたが、2023年には約2兆4,300億円にまで増加しました。
このことから、WebサイトやWebコンテンツの制作にあたるWebディレクターには、将来性があるといえます。
しかし、Webサイトの作成においては、従来のようにデザインを含めて一から作ることは減り、CMSの活用が普及してきています。そのため、Webディレクターは、Webの仕組みとコンテンツをその時々で最適な形で生み出せるように、スキルセットを変えていく必要があるでしょう。
WebデザイナーもWebディレクターもWebを軸とする仕事のため、需要はまだ続くでしょう。
UI/UXデザイナーとの比較
Web業界のUI/UXデザイナーは、比較的新しい職種です。ユーザーが直接的に利用するユーザーインターフェースや、利用のための導線などWebサイトによるユーザーエクスペリエンスをデザインします。
UI/UXデザイナーは、従来のWebデザイナーの仕事の、ユーザーの利用しやすさ、分かりやすさといった部分の高い専門性が求められる職種です。より高いスキルや経験が必要とされ、その分ツールやCMSでは簡単に代替できない仕事といえます。
また、UI/UXはすべてのデザインに応用できるため、WebデザイナーよりもUI/UXデザイナーのほうが業務領域が広いです。専門的で高いスキルを持つUI/UXデザイナーの将来性は明るいでしょう。
Webデザイナーはやめとけといわれる理由
Webデザイナーを目指そうとする方がいる一方で、「やめとけ」といった声もあります。Web業界は労働時間が長く厳しい世界といったイメージがあり、「専門職であるために難しい仕事」といわれがちです。こういった声もあるため、事前にWebデザイナーの実情を知っておくと、転職後のミスマットを防ぎやすくなります。
ここでは、Webデザイナーがやめとけといわれる理由を解説します。
トレンドの移り変わりに対応する必要がある
Webデザイナーは、トレンドをデザインに反映する必要があります。しかし、トレンドは次々と変化していくため、それに対応していくには努力を続けなくてはなりません。ルーティン化された仕事を続けたい人や自分の好きなデザインを磨きたい人は、その潮流に取り残されるでしょう。
特に、Webデザイナーはクリエイティブ職なので情報のブラッシュアップが求められます。これが、Webデザイナーはやめとけ、といわれる理由の1つです。
クライアントに振り回されやすいから
クライアントから無理な要望があっても、なるべく対応していかなければならないため、それを苦に感じる人は少なからずいるでしょう。Webデザイナーは、クライアントの要望を的確にデザインに反映させなければなりません。そのためには、クライアントと複数回にわたって意見を交わしたり、修正を重ねたりしながらデザイン制作を進めていく必要があります。
無理な要求に対して、自分の意見を述べられない人には、つらく感じるでしょう。
適性を見極める必要がある
Webデザイナーには適性があるため、それを見誤ると想像以上に業務がつらく感じる可能性があります。Webデザイナーには、デザインスキルやセンス、ヒューマンスキル、営業力・企画力などが必要で、デザインが得意なだけで務まる仕事ではありません。
「デザイン制作がしたい」という憧れや興味だけでWebデザイナーになると、スキル不足で業務をスムーズに進められず、大変な思いをするでしょう。
高年収、かつ生き残るWebデザイナーになるために
Webデザイナーを取り巻く環境は日々変化が大きく、市場のニーズに合わせてスキルを磨かなくてはなりません。多くのWebデザイナーが活躍している中で、自身の価値を見い出していくには、視座を高めて行動に示していく必要があるでしょう。
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、令和2年国勢調査の時点で、Webデザイナーは国内に約20万人いるのが分かっています。需要があるとはいえ、これだけ多くの現職がいて、今後も新たにWebデザイナーが増えていくとすれば、スキルが低い人材は徐々に淘汰されていくでしょう。
そこでWebデザイナーとして高い年収をより現実的なものにし、今後も長く活躍をするために必要となる取り組みについて紹介します。
最新情報やトレンドの情報収集を欠かさない
Webデザイナーは、Web業界全体での最新情報やトレンドに関した情報収集を欠かさないことが大切です。Webデザインの常識は、業界の動向やユーザーニーズの変化によって塗り替えられていきます。将来に渡って生き残っていくには、それらの変化を自分の仕事にどのように取り込むかを考える必要があります。つねに最新情報をチェックし続け、スキルをブラッシュアップしていくと良いでしょう。
SNSで積極的に人脈強化に取り組む
Webデザインに関連する人脈を作れるよう、SNSやコミュニティでWebデザイナーや関連職の人と交流を図りましょう。人脈強化を図ると、困ったときに相談できたり、仕事に誘ってくれたりする利点があります。その結果、Webデザイナーとして対応できる仕事の幅が広がり、場合によってはチャレンジできる機会にも恵まれるでしょう。案件が途切れるリスクが少なくなり、生活の安定にもつながりやすくなります。
ほかのWebデザイナーとの差別化要素を作る
Webデザイナーとして生き残っていくには、ほかのWebデザイナーよりも市場価値が高い人材になる必要があるでしょう。ほかのWebデザイナーと同じことしかできないままだと、将来的に高収入には期待できません。
自分の強みとなる専門領域を作る、他社より1営業日速い納期に対応できるなど、付加的な価値を提供できると高年収で今後も活躍することが可能です。
また、Webデザイナーは見た目の美しさと共に、企業価値や売上の向上に寄与するデザインを考える能力が求められます。トレンドやユーザーニーズをキャッチし、それをデザインに反映するというような、プラスアルファのスキルを身につければ、将来的にも活躍できるでしょう。
Webデザイナーがプラスアルファで習得すべきスキル
Webデザイナーとしてより高みを目指すには、既存スキルのブラッシュアップだけでは不十分です。
Web業界はトレンドの変化が激しいため、今のスキルが数年後に古くなっている可能性は否定できません。
スキルアップを検討する際は、自身のキャリアパスや将来性のあるスキルに着目してみると、どのスキルを磨いていくべきかが定まりやすいです。むやみに複数のスキルを習得しようとすると、キャリアパスの実現までには遠回りになる可能性があるので、計画的に取り組んでいくのが望ましいです。
ここでは、Webデザイナーが自身の将来性を高めるために有効な、デザインに付加価値を与えるスキルをチェックしていきましょう。
関連記事:Webデザイナーに必要なスキル・スキルマップとは
ディレクションスキル
ディレクションとは、企画や編集、制作などWebサイトに関わる業務を円滑に進めるため、スケジュール管理や顧客との調整、チームのマネジメントなどを行うことです。ディレクションスキルを向上させると、プロデューサーやディレクターなどのマネジメント職を目指せます。
ディレクションスキルがあれば、Webサイト制作の全工程を俯瞰したり、ほかのクリエイターと意思疎通したりすることができます。
UI/UXに関するスキル
Webデザイナーにとって、UI/UXに関するスキルは、デザインの有用性を高めるための重要なスキルです。昨今では、ユーザーとの接点であるUI(ユーザーインターフェース)を使いやすいものにし、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させるサイトを設計するスキルが求められています。
ユーザーの行動を分析するスキルや、より良い価値体験を設計するスキルを身につけると、デザイナーとしての付加価値を高められるでしょう。
Webマーケティングスキル
WebデザインにWebマーケティングのスキルを組み合わせると、ユーザーの興味を惹くためにはどのようにコンテンツを配置すべきかが理解できるようになります。マーケティング情報を読み解くスキルは、企業の売上貢献につながる効果的なWebデザインを制作するのに役立ちます。
フロントエンドのスキル
Webデザインとフロントエンドの技術は密接に関係しています。フロントエンドとは、Webサイトの見た目の部分を指しますが、デザインよりも機能に近い概念です。
たとえば、スライド画像を次々と表示する「カルーセル」のデザインは、JavaScriptによって実現されています。デザインスキルに加えてフロントエンドのスキルがあれば、フロントエンドエンジニアの業務にも携われます。HTMLやCSSのコーディングが得意なWebデザイナーにとっては、身につけておきたいスキルといえるでしょう。
ブランディングに関するスキル
企業や製品の高い価値を体感できる状態をブランディングといいます。Webデザインは、ブランド力を高め、顧客に指名してサービス・プロダクトを購入してもらうための戦略の1つです。この考え方を理解し、Webデザインに取り込むと、Webサイトの付加価値を高められるでしょう。
プログラミングスキル
プログラミングとデザインの両方ができるWebデザイナーは重宝されます。WebデザインスキルのみのWebデザイナーと比べると、どちらもできるほうが人材としての価値が高いといえます。ただし、簡単なプログラミングはAIやITツールなどで代用できる時代に変化してきているため、需要の高いプログラミング言語の習得を目指すと良いでしょう。
Webライティングスキル
WebデザインとWebライティングは相性の良い性質を持ちます。たとえば広告バナーを作成する場合、ライティングのスキルもあればコピーライティングとデザインを同時に行えるでしょう。
ライティングとデザインの両方の訴求ができるWebデザイナーはまだ少ないため、周りとの差別化や付加価値を上げるためにもWebライティングを勉強しておくのはおすすめです。
動画編集スキル
Webデザイナーが動画編集スキルを持っていると、活躍の場が広がりやすいです。Webサイトや広告などと同様に、デザインが与える視覚効果は動画の再生数にも影響します。今後、YouTubeのサムネイルや動画で差し込まれる画像など、動画制作の一部としてデザインを依頼されるケースが増えるでしょう。
動画広告市場の急速な成長によって、YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツの需要が高い状態が続いています。サイバーエージェントが2024年2月21日に発表した「サーバーエージェント 2023年国内動画広告の市場調査を発表」によると、2023年の動画広告市場規模は、前年比112%増の6,253億円でした。また、2027年までには、1兆228億円に達する見込みです。
動画広告市場が大きくなれば、その分動画コンテンツも増加していくと考えられます。そのような中、Webデザイナーが動画編集スキルを習得すれば、規模の大きい動画広告市場でも存在感を示せるでしょう。
SEOの知識
SEO(検索エンジン最適化)とは、検索エンジンで上位表示させるための手法です。Webサイトの閲覧者を増やし、成果につなげるためには、SEOの知識が重要になります。たとえば、画像の軽量化や見やすいレイアウトは、訪問者の離脱を防ぎ、SEOに良い影響を与える手法の1つです。SEOの考え方を理解すれば、Webデザインに活かせます。
情報収集スキル
Web業界はつねに変化するため、情報感度と情報収集スキルは重要です。デザインのトレンドや最新技術、ビジネスにおけるデザインのあり方など、Webに関わる最新情報は定期的にチェックしましょう。
また、著名デザイナーのSNSや関連書籍、セミナーへの参加も有効です。幅広く情報収集をすることで、Webデザイナーとしてより多角的な視点を持つことができます。
数多くの情報の中でも、信頼できる内容をいかに早くキャッチアップし、自身の仕事に落とし込めるかが大切です。
デザイン思考スキル
デザイン思考スキルは、ユーザーの潜在的なニーズを探求し、仮説を立てて実践する能力です。デジタルツールの進化で、ユーザーのニーズが細かく分かるようになりました。そのニーズを汲み取り、最新かつニーズにマッチしたものを提供するには、デザイン思考スキルが必要です。
Webデザイナーとして活躍し続けるためにも、現状に満足せず、デザインを刷新していく思考を身につけましょう。
調整力・提案力
Webデザイナーは、クライアントの利益につながるデザインを制作することが求められます。そのためには、利益につながるデザインを追求しつつ、柔軟に調整しながら求めるデザインに着地させる調整力が必要です。さらに、全体を見渡し、課題解決のために複数のデザイン案を提案する力も大切です。調整力や提案力は、クライアントとの関係性を築くためにも大切なスキルといえるでしょう。
Google Analyticsを用いた数値分析スキル
Google Analyticsは、アクセスの多い・少ないページやコンテンツの閲覧時間、離脱率、コンバージョン率など、Webサイト訪問者の行動を細かく分析できるツールです。WebサイトのデザインやWeb広告などを改善していくためにも役立ちます。
デザインセンスが良くても、成果に結びつかなければビジネスとして成功とはいえません。そのため、Webデザイナーは、作成したデザインが成果にどれほど寄与しているかを把握することが大切です
Google Analyticsの使い方をマスターすれば、感性だけでなく、データ分析にもとづいたデザイン制作が可能になります。
未経験からWebデザイナーを目指す方法
Webデザイナーは知識と技術があれば未経験からでも目指せます。本業としてではなく、副業としてWebデザイナーをする人も多く、比較的踏み込みやすい職業といえるでしょう。
ただし、未経験の状態から専門知識を身につけ、デザインツールをビジネスレベルで扱える状態までスキルアップする必要があります。Webデザインの知識を勉強する方法はありますが、そのメリットとデメリットを知った上で自分に合う方法を選びましょう。
スクール
未経験がWebデザイナーを目指す場合、対面型・オンラインのWebスクールを利用して、必要なスキルを習得することができます。兼業向けのカリキュラムを用意するスクールもあるため、仕事をしながらスキルを磨くこともできます。
スクールで学ぶメリット
分からないことがある場合には、講師やほかの受講生からのアドバイスを得られます。IT技術の学習過程でつまづき、解決方法が見つからないと、効率良く学習を進められません。そのような事態を、避けられるのは大きなメリットです。
スクールで学ぶデメリット
スクールのカリキュラムに合わせて時間を作る必要があり、場合によっては通学をしなくてはなりません。オンラインスクールでも、自主的に学習を進めていかなければ意味がないため、ある程度のストイックさが必要です。柔軟に通学時間が作れない人や自分の好きなやり方で学習を進めたい人にとっては不向きといえます。
すでに知っている知識とカリキュラムの内容が重なるケースもあるため、その場合はデメリットに感じるでしょう。講義内容はしっかりチェックし、自分に合うスクールを選ぶ必要があります。
独学
Webデザイナーに必要なスキルは、独学で身につけることも可能です。書籍や技術情報を活用して知識とスキルを身につけ、実際に自分でデザインしたWebサイトなどの成果物を作ってスキルを高めましょう。ポイントは、完成するまでやり遂げることです。試行錯誤を繰り返しながら、モノを作り上げることでスキルは向上します。
独学するメリット
スクールやオンライン講座での学習と違い、自分のペースで好きな時間に始められます。また基礎知識がある人は応用的な部分から学べるため、一から学ぶスクールと比較すると費用が抑えられるでしょう。
独学するデメリット
独学は、疑問に思ったことを質問できる環境が整っていないため、挫折につながりやすいのが大きなデメリットといえます。Webデザインに限らずIT分野では専門用語や複雑な概念が多く、初心者や業界未経験者は不明点が出やすいです。また、独学だとどのくらい勉強にコミットするかは自分次第なのでモチベーションの維持が難しく、意欲と根気が特に必要です。
ポートフォリオを作成する
未経験者が知識と技術を証明するためには、作品をまとめたポートフォリオが役立ちます。Webデザイナーとして、現在制作できるデザインのクオリティやプラスアルファのスキルを示せるため、自身の実力の根拠になります。逆に、スキルを証明するものがないと、正しく評価してもらえない可能性が高いでしょう。
未経験でもポートフォリオがあれば、十分業界への興味・意欲と技術のアピールになるので、まずは作ってみることをおすすめします。
副業にチャレンジする
Webデザインは副業やフリーランス向けの求人も多いため、未経験でも、求められるスキルセットを満たしていれば始められます。転職・就職する前に、副業で実績を得ておくのも1つの方法です。
副業で仕事を受注するためにはポートフォリオが役立ちます。副業が安定すれば、その経験を活かしてWebデザイナーに転職したりフリーランスとして活動したりすることもできるでしょう。
取得しておくと役に立つ資格
Webデザイナーになるために、必須の資格はありません。しかし、資格の取得のための学習は、体系的な知識やスキルを得られる良い機会となります。また、転職活動においても、資格は一定のスキルを示せるメリットがあります。
ここでは、Webデザイナーの仕事に役に立つ資格を3つ紹介します。
1. ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、厚生労働省指定の特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会により実施されています。
実技および学科試験により、Webデザインに関する知識・技能、実務能力等が問われるため、Webデザイナーにとってスキルを示せる有用な資格です。3級から1級までのレベルに分かれており、上位であればあるほど高いスキルを証明できます。
2. Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、世界的なWeb技術の標準化を図るために設立された非営利団体「W3C」に完全準拠した、マークアップスキルを測定する認定試験です。2005年に開始された認定試験で、サーティファイによって運営されています。認定基準は、スタンダードとエキスパートの2つです。
認定試験に合格すると、Webデザイナーに必須となるHTML、CSSのコーディングのスキルを証明できます。また、ChromeやSafari、FirefoxなどのあらゆるブラウザやWindows・MacOSといったマルチな環境でも、柔軟に対応できるWeb制作スキルが習得可能です。
3. アドビ認定プロフェッショナル
アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)は、デザイン用のソフトウェアを提供するAdobe社によって認定された国際資格です。Photoshop、Illustrator、Premiere Proのそれぞれのソフトウェアに向けた試験が存在します。
Webに限らずデジタル技術を利用したデザインでは、アドビ社のソフトウェアがデファクトスタンダードといえるほどに普及しています。そのため、Webデザイナーとしても有効なスキルを示せる資格です。
関連記事:Webデザイナーの資格を難易度別に紹介!取得のメリットや勉強方法
Webデザイナーの平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、令和5年賃金構造基本統計調査の結果をもとにしたWebデザイナーの平均年収は509.3万円です。
また、2024年7月時点でレバテックキャリアに掲載されている求人情報をもとにすると、Webデザイナーの平均年収は約551.5万円でした。こちらは募集中の求人から30件を抽出し、年収の上限と下限の中間値を算出したものです。年収は300万円前後から1,000万円を超えるものまであり、上下の幅が大きいといえます。
Webデザイナーの年収は、スキルや経験によって大きく変わるため、高い年収を目指すならスキルアップが欠かせないでしょう。
Webデザイナーの求人・転職情報一覧>
Webデザイナーのキャリアパス
Webデザイナーとして活躍したあとは、ほかの職種への転職や独立開業などによって、活躍の場を広げられます。主なWebデザイナーのキャリアパスは、WebディレクターやUI/UXデザイナー、フロントエンドエンジニアなどです。また、フリーランスとして活躍する方もいます。本章では、Webデザイナーのキャリアパスについて解説します。
関連記事:Webデザイナーのキャリアパス9選!必要なスキルも紹介します
Webディレクター
Webディレクターとは、デザイナーやコーダー、プログラマー、ライターなど制作に関わるスタッフをまとめ、スケジュール管理や品質管理を行う職種です。チーム内の連携や調整を担う仕事であるため、技術力に加えてコミュニケーション能力が重要になります。
Webディレクターを目指すには、PMP®などの資格制度を活用して、プロジェクトマネジメントスキルを身につけると良いでしょう。Webサービスのディレクションや解析、改善施策の提案といったスキルがあると望ましいです。
UI/UXデザイナー
UI/UXデザインとは、ユーザーにとって使いやすい画面をデザインし、より高い価値を提供するためのWebサイト設計を行う職種です。ユーザー分析やサイト解析、マーケティングなどを行い、ユーザー体験を高めるWebサイトを制作します。近年は、UI/UXに特化したスクールがあるため、活用すると効率的にスキルと知識を身につけられます。
フロントエンドエンジニア
HTML/CSS、JavaScriptなどを用いて、Webサイトのフロント部分を実装するエンジニアです。近年、サーバーに集中していた処理をフロントに持たせる流れが加速しているため、フロントエンドエンジニアの需要が増加しています。
デザインまでできるエンジニアは少ないため、両方ができるとエンジニアとしての価値が高まります。フロントエンドスキルは、スクールやUdemyなどのWebサービスを活用して習得すると良いでしょう。
関連記事:フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違いは?多角的に比較
フリーランスのWebデザイナー
Webデザイナーとして十分な経験があれば、フリーランスとしてのキャリアパスを視野に入れられるでしょう。フリーランスは、企業に所属せず自ら案件を受注して働けるため、自分の采配で仕事がしやすいメリットがあります。複数のプロジェクトを同時並行で進めたり、反対に仕事量を抑えたりでき、調整が利きやすい働き方です。
しかし、案件が途絶えると収入もなくなるため、フリーランスの働き方は不安定な側面もあります。案件を探す際は、フリーランス向けの企業とのマッチングサービスやプラットフォームなど複数の場を活用しましょう。
Webデザイナーになって後悔しない方法
「Webデザイナーはやめとけ」「将来性がない」といったネガティブな声があるのは事実です。特に、適性を見極めないままWebデザイナーに転職すると、のちに後悔したり不満を感じたりしやすいでしょう。後悔しないためには、会社選びが重要といえます。そこで、以下ではWebデザイナーになって後悔しないための方法を紹介します。
働きやすい会社を選ぶ
Webデザイナーになって後悔しないために大切なのは、自分に合った会社選びです。Webデザインは、納期前に残業が発生する可能性があります。しかし、業務はルーティン化できないので、案件それぞれに合わせて異なるスキルを発揮しなくてはなりません。
こだわればこだわるほど作業は長引き、ライフワークバランスが崩れやすくなります。そのため、企業の福利厚生の充実度や家庭と仕事が両立できる環境かは、必ずチェックしておきましょう。
自社サービスを持っている会社を選ぶ
Web制作の「請負のみの企業」と「自社サービスの運営を行う企業」であれば、後者がおすすめです。その理由は以下のとおりです。
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・Webデザイナーのスキルをプロモーションに利用できる
・自分のこだわりをデザインの仕事に反映できる
・自社サービスの展開から他関連業務に携わることもできる
自社サービスに携わる仕事のほうが、納期や意見などの融通が利きやすいです。一方で、請負のみだと、クライアントの要望に応えるのが仕事なので、納期の調整が利きにくく提案や意見が通らない可能性があります。
Webデザイナーに関するよくある質問
Webデザイナーに関するよくある質問をまとめ、本記事を総括します。Webデザイナーに関する質問としては、職種の将来性や年収、離職率に関するものが多く寄せられます。また、Webデザイナーの離職率についても興味がある方が多いです。
ここでは、Webデザイナーに関するよくある質問について、それぞれ回答していきます。
Q1. Webデザイナーに将来性はある?
スキルの高いWebデザイナーの将来性は十分高いといえるでしょう。デジタル市場が拡大傾向にあり、広告手段もWebサイトだけでなくSNSや動画を使用するなど多角的な展開を見せています。そのためWebデザイナーの活躍の場は広がると考えられます。
Q2. Webデザイナーの年収はいくら?
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagでは、Webデザイナーの平均年収は509.3万円とされています。一方、レバテックキャリアに掲載されている求人情報から算出すると、約551.5万円です。年収は、企業や本人のスキル・経験によるところが大きいといえます。
Q3. Webデザイナーの離職率は高い?
厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、Webデザイナーを含む情報通信業の離職率は11.9%で、他業種と比べて高いとはいえないでしょう。また、この中には完全離職ではなく、企業から独立したフリーランスWebデザイナーも存在するため、決して離職率が高い職業ではありません。
まとめ
Webデザイナーは、スキルを磨いたり増やしたりしていけば活躍の場が広がり、キャリアパスも多様に考えられます。したがって、将来性は十分期待でき、長く続けられる仕事といえるでしょう。特に、Webサイトや動画における広告市場は大きく成長しているため、広告業界でのWebデザイナーの需要はまだまだ続くと予測できます。
長く活躍できるWebデザイナーになるには、デザインスキルに加えてプログラミングやライティング、マーケティングといったスキルも必要です。つねに学ぶ姿勢と意欲を持ち続け、唯一無二のWebデザイナーを目指しましょう。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通しており、現状は転職のご意思がない場合でも、ご相談いただければ客観的な市場価値や市場動向をお伝えし、あなたの「選択肢」を広げるお手伝いをいたします。
「将来に向けた漠然とした不安がある」「特定のエンジニア職に興味がある」など、ご自身のキャリアに何らかの悩みを抱えている方は、ぜひ無料のオンライン個別相談会にお申し込みください。業界知識が豊富なキャリアアドバイザーが、一対一でさまざまなご質問に対応させていただきます。
「個別相談会」に申し込む
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※転職活動を強制することはございません。
レバテックキャリアのサービスについて