クラウドエンジニアへの未経験転職は可能?必要スキルと資格を解説

最終更新日:2024年7月4日

近年、多くのITシステムは、オンプレミスからクラウドへの移行が進んでいます。クラウドの設計や構築、保守・運用を行うのはクラウドエンジニアです。AWS、Azure、GCPなどのIaaSパブリッククラウドを導入する企業が拡大するにつれて、クラウドエンジニアの需要は高まると予想されます。その中で、未経験からクラウドエンジニアを目指したいと考えている人も多いでしょう。本記事では、未経験からクラウドエンジニアを目指す方法やクラウドエンジニアになるためのステップ、未経験でクラウドエンジニアになるためのポイント、仕事内容やキャリアパスについて解説します。

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この記事のまとめ

  • 未経験からクラウドエンジニアへの転職は可能。しかし、クラウドエンジニアに必要な知識とスキルは膨大で難易度はかなり高い。
  • クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は増加傾向でクラウドエンジニアの需要も高まっている。
  • 未経験でも転職できる求人は一部あるが、多くは即戦力が求められるため、自己研鑽と実務経験を積むことが重要。

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未経験からクラウドエンジニアを目指す方法

以下の3つの状況からクラウドエンジニアを目指す場合の難易度や方法について、解説します。


  • ・エンジニア未経験で他業種から転職する場合

    ・エンジニア経験があり、他分野から転職する場合

    ・インフラエンジニアから目指す場合

エンジニア未経験で他業種から転職する場合

エンジニア未経験からクラウドエンジニアの転職は可能ではありますが、難易度はかなり高いです。エンジニアはチームで動くため、もし、他業種でプロジェクト管理やビジネス分析などの経験があれば活かせる場合もあるでしょう。

しかし、クラウドエンジニアに必要な知識とスキルは膨大です。また、エンジニアとして知識を習得するための学習法を確立できていないため、効率も悪くなるでしょう。

企業によっては育成カリキュラムを設けており、未経験の採用を行っている企業もありますが、現在では縮小傾向です。需要が高いのはやはり即戦力となるクラウドエンジニアです。そのため、インフラエンジニアでキャリアの基盤を作った後、クラウド領域に特化したエンジニアに転職するのも1つの方法です。

エンジニア経験があり、他分野から転職する場合

クラウドエンジニアの必要スキルにはプログラミングスキルが含まれているため、システムエンジニア経験がある場合、培ったスキルを活かせます。

しかし、クラウドエンジニアにとってメインとなるのは、クラウドサービスやサーバー、ネットワークの知識です。そのため、クラウドエンジニアに必要な知識とスキルを理解して学習する必要があります。

システムエンジニアとして働いているうちに、同じチームのクラウドエンジニアやインフラエンジニアが担当する領域の作業を分担させてもらい、少しずつ実務経験を積んで転職することも考えられます。

インフラエンジニアから目指す場合

クラウドエンジニアは、インフラエンジニアの経験を活かし、より専門的な領域に特化した職種とであり、転職が多い職種と言えます。インフラエンジニアの業務領域の中にはクラウドエンジニアに求められるノウハウが多いため、転職は有利に進められます。

現在はオンプレミス環境からクラウド環境への移行案件が主流であるため、インフラエンジニアで培ったスキルは転職後も活かすことができ、比較的スムーズに転職できるでしょう。

少しでも実務経験を積んでから転職したい場合は、インフラエンジニアとしての経験を活かしながら、クラウドを扱うプロジェクトに参加しましょう。実務経験を積むことができ、転職活動では、クラウド環境での実際の課題に対処する能力をアピールできるようになります。

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未経験からクラウドエンジニアになるためのステップ

クラウドエンジニアとしてのキャリアを成功させるためには、技術的スキルや知識、資格が必要です。ここでは、キャリア構築に役立つステップを解説します。

クラウドエンジニアとして必要なスキルセットを身につければ、市場で競争力のあるプロフェッショナルになるための土台となるでしょう。ステップごとに学習が必要なポイントを以下にまとめました。

ステップ ポイント
1. 基本的なコンピューターサイエンスの学習 ・アルゴリズムとデータ構造の理解
・プログラミングスキルの必要性
・問題解決能力の向上
2. Linuxの理解と操作の習得 ・クラウドプラットフォームの基盤
・デバッグとトラブルシューティング
・開発環境の構築
3. ネットワークの基礎知識の習得 ・クラウドインフラストラクチャーの理解
・パフォーマンスの最適化
4. クラウドプラットフォームの学習 ・拡張性と柔軟性
・セキュリティとコンプライアンス
5. コンテナ技術の理解 ・アプリケーションのデプロイメントと管理
6. 自動化やインフラストラクチャーコードの学習 ・効率性の向上
・一貫性の確保
7. セキュリティへの理解 ・データ保護
・脅威対策
・コンプライアンス
8. 実践的経験の獲得やコミュニティへの参加 ・技術スキル向上
・問題解決力の向上
9. 認定資格の取得 ・スキル証明

1. 基本的なコンピューターサイエンスの学習

クラウドエンジニアは、膨大な量のデータを効率的に処理するための仕組みやデータ構造を構築します。また、トラブルシューティングやシステムの最適化など、さまざまな問題に対処する必要があります。

そのため、まずはコンピューターサイエンスの基礎を学習しましょう。コンピューターサイエンスとは、コンピューターの仕組みやデータ処理、アルゴリズム、プログラミングなどITに関連する幅広い分野を指します。

2. Linuxの理解と操作の習得

多くのクラウドサービスは、Linuxベースのインフラストラクチャーを使用しており、クラウド上でのアプリケーションやサービスを構築する際にもLinuxは広く利用されています。

障害や問題が発生した場合にも、Linuxの理解があれば、ログの分析やトラブルシューティングを効果的に行うことができます。

また、クラウドエンジニアは、開発環境やテスト環境を構築し、アプリケーションのデプロイメントやテストを行います。多くの開発者がLinux上で開発しているため、Linuxの理解があれば開発環境の構築がスムーズです。

3. ネットワークの基礎知識の習得

クラウドエンジニアは、クラウドサービス上でアプリケーションやサービスを構築・管理するため、ネットワークの設計や構成に関する知識が必要不可欠です。

ネットワークの基礎知識があれば、クラウド環境でのリソースの配置や通信の最適化がより効果的に行えます。具体的にはDNSやTCP/IP、HTTP、HTTPSなどの知識です。

また、パフォーマンスの最適化を行う際にもこれらの知識が必要です。トラフィックの管理やルーティングの設定など、ネットワークの構成を適切に行うことで、アプリケーションやサービスのパフォーマンスを向上させることができます。

4. クラウドプラットフォームの学習

クラウドエンジニアはクラウドサービスでできることを理解し、最適なクラウドアプリケーションや環境を提供する必要があります。仮想マシン、ストレージ、ネットワーキングなどのリソースを効果的に活用する方法を理解しておきましょう。

主要なクラウドサービスは、AWS、Azure、GCPです。
それぞれのクラウドサービスは、拡張性と柔軟性に優れています。クラウドエンジニアは需要に応じてリソースを迅速に拡張または縮小し、要件に合わせて柔軟に調整する必要があります。

また、クラウドサービス上でセキュリティとコンプライアンスを確保する責任がクラウドエンジニアにあります。AWSやGCPなど複数のクラウドサービスに応じて、それぞれのコンプライアンスを学習することが重要です。これにより、ベストプラクティスやコンプライアンス要件を理解でき、顧客に最適な提案ができるスキルを身につけることにつながるでしょう。

5. コンテナ技術の理解

コンテナは、クラウドサービスになくてはならない技術です。コンテナは、1つの物理サーバー上に、複数のサーバーが存在する状態に近い環境を構築する技術です。

コンテナ技術は、クラウド環境でのアプリケーションのデプロイメントと管理を行う際に、アプリケーションとその依存関係をパッケージ化し、独立して実行できるようにします。クラウドエンジニアはコンテナを使用してアプリケーションをデプロイし、拡張や更新などの管理を行います。

コンテナを扱うためには、DockerやKubernetesなどの使用方法を学習しておきましょう。

6. 自動化やインフラストラクチャーコードの学習

繰り返しの作業や手作業の削減を目的として、自動化について学習します。システムのどの範囲を自動化するか、自動化の方法は何を採用するかがクラウドエンジニアの腕の見せ所です。自動化すべき要件や自動化の方法を学習しておきましょう。

また、一貫性の確保を目的として、インフラストラクチャーコード(laC)について学習しましょう。インフラストラクチャーコードを実現するツールには、Terraform、AWS CloudFormationなどがあります。

インフラストラクチャーコードとは、OSやミドルウェアといったITインフラの構築・運用をコード化することです。環境の設定や構成をコードで管理することができ、異なる環境間での一貫性を確保し、バグや問題を未然に防ぐことができます。

7. セキュリティへの理解

クラウドサービスはサービスを提供するベンダーに運用や保守、管理を委託できるというメリットがありますが、セキュリティ対策をベンダーに頼らざるを得ないという課題が生まれます。

現代では企業を狙ったサイバー攻撃が増加しているため、企業から信頼されるクラウドエンジニアを目指すためには、クラウド環境へアクセスする際のID管理やセキュリティポリシーの策定など、セキュリティへの対応や考え方を持つことは特に重要です。

8. 実践的経験の獲得やコミュニティへの参加

即戦力となるクラウドエンジニアになるためには、実践的経験が必要です。個人プロジェクトやインターンシップ、フリーランスの仕事を通じて、実践的な経験を積みましょう。

また、クラウド技術に関するコミュニティやイベントに参加し、現役のクラウドエンジニアと交流しましょう。情報交換や助言を受けることにより、学習のモチベーションが向上する効果が見込めます。

9. 認定資格の取得

未経験であれば特に、スキルの証明のために資格を取得することは効果的です。クラウドエンジニアになるためにおすすめの資格と概要は以下です。

資格名 概要
AWS認定 AWSクラウドに関連する認定資格。
4つのレベルで構成されており、
アソシエイトレベルの資格を取得することで
クラウド構築経験1年以上の知識やスキルを証明できる。
Microsoft Azure認定資格 Azureに関連する認定資格。
AzureはMicrosoft製品との親和性が高く、
日本国内でもWindowsを利用している企業を中心に
活用されているクラウドサービス。
Google Cloud認定資格 GCPの認定資格。
Googleが提供するサービスとの親和性が高いことから
Google関連のサービスを利用している企業を中心に
活用されているクラウドサービス。

クラウドエンジニアとして働く場合、AWS、Azure、GCPいずれかのクラウドサービスを用いたインフラ構築に携わることが多いため、上記の関連資格を取得することをおすすめします。

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クラウドエンジニアの仕事内容

実際の求人をもとに、市場動向や平均年収、勤務条件について解説します。

関連記事:クラウドエンジニアの需要が高い理由を解説!将来性や年収も紹介

市場動向

多くのITシステムは従来のオンプレミスからクラウドへと移行が進んでいます。総務省の「情報通信白書刊行から50年」の特集によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は増加傾向で、2021年時点で70.4%に達しており、今後も普及が進むと考えられています。

しかし、求められるスキルや専門知識も日々変化しています。市場価値の高いクラウドエンジニアを目指すためには、常に最新のトレンドや技術に対応できるよう、継続的なスキルの向上が必要です。

求人状況

レバテックキャリアにて、「クラウド エンジニア」をキーワードに入れた検索結果の求人数は3,682件です。(※2024年5月時点)一方で、「インフラエンジニア」の検索結果は、1,970件です。(※2024年5月時点)

求人数の差から、インフラエンジニアよりもクラウドエンジニアの需要が高いことがうかがえます。

多くの求人では、クラウドエンジニアやインフラエンジニアの実務経験があることを求められているため、いずれも未経験での転職は難易度が高いでしょう。

しかし、一部の企業では、以下の案件例のようにクラウドの実務経験がなくてもインフラエンジニアの経験があれば応募を受け付けています。このような企業は、社内や社外の研修、OJTによって新人クラウドエンジニアを育成する環境が整っていることが多いです。

平均年収

レバテックキャリアに掲載されているクラウドエンジニアの平均年収や中央値は、以下の通りです。

平均年収 578.5万円
中央値 577.5万円
想定年収 400~1,050万円

上記の平均年収程度を獲得するスキルのレベルとしては、3~5年程度の実務経験が求められます。

勤務条件

レバテックキャリアに掲載されている実際の求人を3件紹介します。それぞれ仕事内容・魅力・年収をまとめたので、転職活動の参考にしてみてください。

案件名 仕事内容 魅力 年収
【クラウドエンジニア】
自社クラウドサービス
「クラウド工房」の
導入支援
/プライム市場
/プライム99%
・AWSやAzureを用いた独自クラウドサービス「クラウド工房」の導入支援
・AWSやAzureの設計、構築、移行など
・高度な技術力
・グローバル展開
・資格取得支援制度
400~600万円
【クラウドインテグレーションエンジニア(大阪)】
プライム市場上場
/プライム案件がほぼ
100%を占める自社内開発
・自社内での開発業務
・クラウド導入や移行
・自社内開発、エンドユーザーとの直接取引
・専任のトレーニングチームによる研修あり
400~840万円
【クラウドエンジニア】
DX推進エンジニア
/平均年収637万円
/年収1000万エンジニアも在籍
・要求理解~企画~調査
※当社PMを通じて関わる余地あり
・要件定義~設計~構築~テスト
~本番環境への移行・移行後対応
・各種自動化に関する環境構築
(クラウドサービスや、Ansible、
Jenkin、sCircleCIなどを使用)
・運用設計・構成管理
・キャリアの選択肢がある
・インパクトの大きいサービスに携わることができる
600~800万円

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クラウドエンジニアのキャリアパス

クラウドエンジニアのキャリアパス例を紹介します。向いている人の特徴や年収は以下の通りです。

職種 向いている人の特徴 平均年収 中央値 想定年収
クラウドエンジニア
スペシャリスト
深い技術的関心、強い探究心を持つ人 601.25万円 550万円 350~1,000万円
クラウドコンサルタント ビジネスに対する理解と関心が深い人 848.57万円 750万円 350~1,500万円
管理職 リーダーシップと
チームマネジメントへの意欲にあふれた人
842.5万円 875万円 402~2,000万円

それぞれの業務内容について詳しく解説します。

クラウドエンジニアスペシャリスト

主な業務内容は、特定のクラウドプロジェクトやシステムのアーキテクチャー設計を行うことです。高いパフォーマンスとセキュリティを確保する役割であり、技術のトレンドやベストプラクティスを常に把握し、最新の技術を導入して業務の効率化や革新を促進します。

スペシャリストを目指すことによりエンジニアとしての価値を高められるので、エンジニアとして現場で技術を磨き続けていきたい人におすすめです。

クラウドコンサルタント

クラウドを使用したシステム提案を専門にしているコンサルタントです。

クラウドエンジニアとして培った技術と知識に加え、経営やビジネスの知識、提案力が必要です。開発経験があれば、納期や必要な作業人数など大体の事情が理解できるため、クライアントとの打ち合わせもスムーズに行えるでしょう。

管理職

プロジェクトの進捗管理や品質管理、メンバーの育成がメインの仕事です。専門職と比べ、より経営層に近い視点で仕事を行う必要があります。

実務経験を重ねていくと、プロジェクトを推進する力が身につくため、より大きなプロジェクトを達成するためにも管理職が求められています。

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この記事の監修

レバテックキャリア編集部

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