PMに向いている人の特徴
日本の開発現場では、開発スキルのあるPG(プログラマー)やSE(システムエンジニア)がそのままPMにステップアップしていくケースがあります。しかし、これによりプロジェクトがうまくいかないケースも多々あります。つまり腕が良いPGやSEが、PMとしての能力も高いとは限らないということです。ではどのような人がPMに向いているのでしょうか。ここでは、PMに向いている人の特徴を紹介します。
積極的にコミュニケーションがとれる
PMにとってコミュニケーションは業務の中心なので、積極的に関係者と交流や連絡を取ることは必須です。必要最低限のコミュニケーションを取れば良いというわけではありません。プロジェクトを推進し成果物のクオリティを上げるためにも、積極的にコミュニケーションを取る必要があります。
コミュニケーションをとるタイミングは決められていないため、自分から必要に応じて関わりにいく判断力も重要です。
論理的に物事を考えられる
論理的思考力はPMだけでなくSEやPGにとっても重要ですが、プロジェクトに与える影響度の大きさには違いがあります。PMが論理的に物事を考えられることによってプロジェクトが円滑に進み、無駄な手戻りやクライアントとのトラブルなども減ります。また論理的に考えた内容をプロジェクトメンバーやクライアントに分かりやすく伝えることも必須です。
責任感が強い
PMはプロジェクト全体の責任者です。SEやPGのミスによってシステムに不具合が生じたり、クライアントとの間でトラブルになったりするケースもあります。しかしこれもすべてPMが責任をもって処理しなければなりません。
PMはプロジェクト全体を把握して各制作メンバーのスケジュールや作業状況に問題がないかも確認し、プロジェクトをゴールに導く責任があります。
ストレスに耐性がある
PMはプロジェクトに関係する人とコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進める必要があり、またプロジェクトの結果はそのままPMの責任になります。そのため、PMはストレスがかかりやすい立場といえるでしょう。
こうした環境下においても、ストレスを感じにくかったり、うまく発散できたりする特徴があると、PMを続けやすいといえます。
マネジメントが得意
PMはコミュニケーション、情報共有、メンバーやクライアントへの配慮、論理的思考、などいろいろな要素を使ってプロジェクトやプロジェクトメンバーをマネジメントします。臨機応変に動きながらプロジェクトを成功に導くということです。マネジメントスキルが高くないと、務まらない職種といえます。
PMに向いていない人の特徴
PMに向いていない人の特徴は、概ね上で挙げたPMに向いている人の特徴の逆です。ただしPMに向いていないからといって、すぐに諦める必要はありません。「開発作業に従事したい」といった気持ちが強い場合には難しいものの、内容によってはPMに必要な要素を育てていけるからです。
まずは、どんな特徴があるとPMに向いていないと考えられるのか、確認していきましょう。
直感や主観で判断して物事を進める
PMはプロジェクト全体を見て、論理的に考え物事を進める必要があります。直感や主観で判断しているとプロジェクトが円滑に進まず、プロジェクトメンバーやクライアントに迷惑をかける可能性が高いでしょう。PMは臨機応変に行動する必要はありますが、場当たり的に行動するのではなく、先を見通して計画を立てたうえで臨機応変に行動する必要があります。
できれば他人に任せず自分で作業をしたい
PMは自分自身で設計、プログラミング、テストなどの工程を担当する職種ではありません。各担当者に作業を割り振り、進捗状況や結果の確認、各メンバーやクライアントへの共有などを担当します。そのため、他人に割り振るのではなく自分自身で作業をしたい人はPMよりも直接制作する職種の方が向いているでしょう。
技術力を磨いていきたい
開発作業に従事したいのと同様に、自分自身の技術力アップを目指す場合には向いていません。PMは直接手を動かして制作する職種ではありませんが、技術力があった方がプロジェクト内での状況把握や成果物のクオリティ担保に役立ちます。
しかし、技術に特化したいのであればPMではなく制作側の職種の方が合っているでしょう。PMは技術動向に目を向けて技術を把握しつつも、マネジメント業務の方を重要視する必要があるからです。
複数人の前で話すのが苦手
PMはプロジェクトメンバーやクライアントに情報共有する必要があり、その手段のうちの一つとして複数人の前で話す機会があります。そのため、複数人の前で話すのが苦手だとPMに向かない可能性があります。
現状苦手でも今後練習して改善していく意志があれば良いですが、そうではなくなるべく人前は避けたいという考えだと、人前で話す機会が少ない別の職種の方が良いでしょう。
PMの役割と仕事内容
ここでは、PMの役割と仕事内容をより細分化して解説していきます。現在、PGやSEとして働いている方の場合、PMが身近にいるため確認する必要はないと思う方もいるでしょう。しかし、詳細な仕事内容は、ただ接しているだけでは分からないものです。
具体的な業務内容や役割はプロジェクトによって異なりますが、大枠ではどのプロジェクトでも同じなので、以下の内容を把握しておいてください。
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プロジェクトの責任者としてチームを統括する
PMはプロジェクトの責任者です。PMはプロジェクト全体を把握し、責任をもってチームを統括します。作業の割り振りや進捗管理をし、何か問題が発生したらすぐにPMに相談できる環境を作るのもPMの重要な役割です。
プロジェクト計画の策定・立案
PMはプロジェクトの発足段階からプロジェクトに携わります。具体的には、システムの最終目標、システム規模、予算、スケジュール、必要人員などの策定、立案を行います。今後PMを目指す人は目の前の開発だけでなく、システム全体の規模、予算、人員などより広い視点をもっておくのがおすすめです。
プロジェクトの進捗を管理する
プロジェクトの進捗管理はPMの日常業務です。どのように管理するかはPMが決めますが、プロジェクト進行中であっても、随時管理体制などを変える場合もあります。
PMが配置されるようなプロジェクトは長期間にわたるケースが多く、開発途中で便利なツールが出てくることもあれば、より良い管理体制に変えられることもあるからです。ただし効率性を求めるあまりに管理体制の変更を繰り返すようなことがあるとプロジェクトに混乱を招きます。日々の管理をただ行うだけでなく、効率やプロジェクトメンバーの状況も考えて随時提案を行うということです。
プロジェクトメンバー、経営層とのコミュニケーション
プロジェクトメンバーと日々コミュニケーションを取るのはマネジメントのために当然として、経営層とコミュニケーションを取る機会もあります。経営層から状況報告を求められてコミュニケーションを取るようなこともあれば、PMから提案することもあるでしょう。
プロジェクトメンバーと経営層の認識や主張が食い違い、PMが板挟みに合うようなことも多々あります。この場合どちらかに肩入れするのではなく、双方の思考や状況を読んでバランスを取りながら最適なかじ取りをしていくことが重要です。
単に状況報告やマネジメント業務を行うだけでなく、全体を考えて戦略的にコミュニケーションを取れるとより良いでしょう。
PMに必要とされるスキル
PMの業務内容は幅広く、SEやPGと比べるとスキルの明確化はしにくいでしょう。そのためPMのスキルについてはある程度抽象的な表現になり、スキルレベルの判断も厳密には不可能です。ただし必要スキルを知って日々意識することで底上げされていくはずなので、以下に紹介するスキルを日々意識しておいてください。
コミュニケーションスキル
PMがプロジェクトメンバーやクライアントと適切にコミュニケーションを取ることで初めてプロジェクトは円滑に進みます。
コミュニケーションスキルの明確化は不可能ですが、まずは積極的にコミュニケーションを取るように心がけましょう。どうすればプロジェクトを円滑に進められるのかを考えてコミュニケーションの内容をブラッシュアップしていけば、PMに必要なコミュニケーションスキルは高まっていくでしょう。
リーダーシップ
PMはプロジェクトを牽引していく立場なので、リーダーシップは欠かせません。しかし、同じ優れたPMであっても、先頭で引っ張るようなタイプのPMもいれば後方支援を得意とするようなPMも存在します。
PM自身の性格やプロジェクトメンバーの性格もあるので、臨機応変にリーダーシップの発揮方法を変えていくと良いでしょう。意識して改善していくことで、あらゆる場面で適切なリーダーシップを発揮できるようになるはずです。
論理的思考力
PMには論理的思考力も必須ということでした。論理的思考力についてはフレームワークがあるので、勉強してプロジェクト内の課題や解決策を当てはめていくことが重要です。場当たり的なマネジメントをしていると自分の仕事を振り返ることも難しいので、論理的に考えたうえで計画を立ててプロジェクトを進めることが重要です。これを繰り返すことで論理的思考力は高まっていくはずです。
リスクマネジメント
プロジェクトにはリスクがつきものなので、リスクマネジメントも必須です。ポジティブに考えることは重要ですが、ネガティブな結果も含め、将来の予測は複数パターンに分けて考えることが重要です。複数パターンに分けて予測したうえであらかじめ対策を考えておけば、臨機応変に対応できるでしょう。臨機応変な対応は場当たり的に行動するということではなく、リスクマネジメントに基づいているということです。
問題解決能力
システム開発のプロジェクトでは問題が発生します。たとえば、納期に間に合わない、人が抜けてしまった、クライアントが要件の変更を希望してきた、などが挙げられるでしょう。
こういった問題が発生した際に、解決策を考えて実行するのもPMの役割です。問題解決は経験を積めば過去の類似する体験から精度が高まっていくはずですが、なるべくなら問題を事前予測することで最初から失敗を避けた方が良いです。
PMになるための方法
PMはシステム開発において上流工程を担う職種です。IT業界で最初からスタートすることは稀です。多くの人は別のIT職種の経験を経てからPMにステップアップしていきます。ではどうすればPMになることができるのか、具体的な方法、道筋について解説します。
在籍する企業によってはPMまでの道筋をあらかじめ用意してくれている場合もありますが、そうでない場合も自分でキャリアプランを考えて転職などをすればPMになることが可能です。
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ITスキルを磨く
PMは直接的に手を動かして開発することは少ないですが、ITスキルが不要というわけではありません。ITスキルを身につけ、開発について理解していることで初めて良いプロジェクトマネジメントができます。
そのため、まずはPGやSEなどの職種でITスキルを身につけることが重要です。幅広いIT知識を身につけると同時に、実際に自分で手を動かして設計やプログラミングの工程を行ってください。
PMは自分ができないことをSEやPGに依頼しているのではありません。技術面を理解した上で、適切な人員に作業を割り振ってスケジュールを作成し、自分はマネジメントに徹している、というイメージです。
チームリーダーや管理職など、マネジメント業務に挑戦する
PMになる前であっても、マネジメントの経験を積むことが可能です。マネジメント経験を積むことでPMに必要なスキルが身につき、転職活動の面接でアピールできます。
PGやSEの中でもチームリーダーや管理職は存在するので、まずはそういったポジションを目指し、積極的にマネジメント経験を積んでいきましょう。リーダーポジションを任されるのを待つのではなく、自分から積極的に交渉して担当するのがおすすめです。
待っていても任されるとは限らず、また自分から手を挙げた方がキャリアアップまでの期間が短くなります。
資格取得でスキルアップを目指す
PMに必須の資格はありませんが、資格を取得することでスキルアップや評価アップにつながります。PMのスキルは抽象度が高めなので、資格によるスキル証明は効果的です。
PGやSEでのリーダーポジションを目指しつつ、同時に資格取得を通してPMに近づいていくと良いでしょう。具体的な資格としては、「プロジェクトマネージャ試験」や「PMP®」などが挙げられます。
特にプロジェクトマネージャ試験は国家資格で評価が高い傾向があります。難易度は高いのですが、取得を目指して勉強する価値は大きいでしょう。
関連記事:プロジェクトマネージャーに役立つおすすめの資格と難易度を解説
PMに関するよくある質問
PMに関するよくある質問と回答を紹介します。PMは万人に向いているというわけではなく、SEやPGとしての能力が高くてもPMには向いていない場合もあります。無理にでもPMを目指すべきというわけではないので、まずはPMについて把握し、自分のキャリアプランを考えていくことが重要でしょう。たとえばPMではなく技術のスペシャリストを目指す道もあります。
Q1. プロジェクトマネージャーに向いている人は?
プロジェクトマネージャーに向いている人の特徴は複数あります。具体的には以下のようなものが挙げられるでしょう。
-
・積極的にコミュニケーションがとれる
・論理的に物事を考えられる
・責任感が強い
・ストレスに耐性がある
・マネジメントが得意
Q2. プロジェクトマネージャーは誰でもできる?
プロジェクトマネージャーには適性があるので、誰でもできるというわけではありません。SEやPGには向いていても、PMには向いていない人もいるでしょう。性格的に合っていなくてもPMになることは可能かもしれませんが、PMよりも別職種に魅力を感じる場合、無理に目指さなければならないわけではありません。
Q3. プロジェクトマネージャーになるには何歳くらいがよい?
プロジェクトマネージャーになるのによい年齢は特にありません。最短ルートで経験を積めば30代前半くらいでプロジェクトマネージャーになれるでしょう。それより年齢が高くても問題ありませんが、年齢が高くて経験がないと、プロジェクトマネージャーを任せてもらいにくくなります。
関連記事:プロジェクトマネージャーの平均年齢は?何歳まで目指せる?
Q4. プロジェクトマネージャーの給料はいくら?
2024年5月時点のレバテックキャリアの求人を参考に算出すると、プロジェクトマネージャーの平均給料は年収で750万円程度と考えられます。SEやPGと比較すると、100万円以上は平均年収は高いでしょう。スキルがあれば1,000万円以上の提示も珍しくありません。
まとめ
PMの仕事には適性があります。IT業界で経験を積めば誰でもPMになれるというわけではありません。SEやPGとしての能力が高くても、PMには適さない場合もあるでしょう。逆にいえばSEやPGとしてはそこまで能力が高くなくても、PMとしては優秀という場合もあります。
PMに向いている人は、コミュニケーションやマネジメントを得意としていて、特に対人関係でストレスを抱えにくい傾向があるでしょう。性格的にPMに向かなそうな人でもスキル習得や経験を積んで、良いPMになれる可能性はあります。
しかし、本人にその意志がなかったり、意志はあってもストレスを抱えて続けられなくなってしまったりといったことも考えられます。絶対にPMを目指さなければならないというわけではないので、自身の適性を踏まえてキャリアプランを考えるのがおすすめです。
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