Javaとは
Javaは、1995年に登場した歴史あるプログラミング言語です。Googleが開発に用いることが多い三大言語(Java・C++・Python)の一つで、世界中で使用されています。
Javaが人気の理由として、汎用性の高さが挙げられます。Web系の開発から組み込みシステム開発まで、幅広い分野に対応可能です。
Javaの特徴
Javaの主な特徴について解説します。
オブジェクト指向
Javaはオブジェクト指向言語です。オブジェクトとは1つのモノを表し、プログラムをモノとしてみる考え方を基本としています。プログラミングは、上から順番に処理していくものです。あらかじめ使いたいモノの属性や動作を定義しておき、それを操作するという考え方です。
オブジェクト指向は、プログラムがモノとして分類されているため、複数人で開発する際も作業効率がよく、ソースコードの再利用や機能追加、修正などを簡単に行えるメリットがあります。そのため、さまざまな企業のシステム開発に使用されています。
また、メインの処理が複雑にならないため、可読性の向上につながり、バグの発生も容易に抑えられます。
ガベージコレクション
Javaには、ガベージコレクションという機能があります。ガベージコレクションとは、プログラムが確保したメモリ領域のうち、不要になったものをだけを自動的に解放してくれる機能です。
プログラムが動作するには、プログラム処理に使用する情報をメモリ上に読み込むステップが必要です。この読み込まれた情報は、処理が終了すると不要になります。つまり、何もしなければメモリ上にゴミが残された状態になるのです。
このゴミが溜まり続ければ、使用できるメモリを消費し尽くしてしまい、プログラムが動作不可能な状態に陥るおそれがあります。
しかし、Javaが持つガベージコレクション機能により、メモリ管理を常に意識する必要がなくなり、プログラミングの敷居が低くなりました。
技術的に安定している
Javaは1995年に登場し、現在(2023年1月)の最新バージョンはJava 19です。現在も新機能の追加をはじめとして活発なアップデートが行われています。
長い歴史をもつJavaは、世界中で高いシェアを誇っており、バグが発生しても修正しやすく安定しています。
OSにかかわらず実行できる
Javaは、OSにかかわらず実行できる言語です。Javaが登場する前は、実行するコンピュータやOSごとに別々のプログラミング言語でプログラムを実装する必要がありました。Javaはさまざまな環境で動作するように作られているため、WindowsやMac、LinuxのWebサーバでも、冷蔵庫や洗濯機など家電の組み込みコンピュータでも動作します。
処理速度が速い
コンパイル言語であるJavaは、登場したばかりの頃は処理速度が遅いと言われていました。しかし、年々改善されており、今では主要言語のなかでもかなりの処理速度を誇ります。
また、JITコンパイルの導入やコードの解析機能が言語に追加されたことによって、Javaの性能は大きく向上しています。
ライブラリが豊富にある
豊富なライブラリがあることもJavaのメリットです。ライブラリとは、プログラムを再利用可能な形で提供するもので、ほとんどのライブラリが無償で提供されています。ライブラリを活用すれば、作業効率の向上やコスト削減につながり、開発をスムーズに進められます。
Kotlinとは
Kotlinは、2011年に開発されたプログラミング言語で、Androidアプリ開発の公式言語として採用されています。
Androidアプリ開発をより簡単に行えるよう、Javaを改良して開発されました。
KotlinはJavaと同じ静的型付けのオブジェクト指向言語のため、JavaやC#を扱うプログラマーやエンジニアにとっては比較的なじみやすい言語です。
Kotlinの特徴
Kotlinの特徴について解説します。
Googleが正式言語として採用している
Kotlinは、Androidアプリ開発の公式言語です。2011年に登場した比較的新しいプログラミング言語ですが、Google社がAndroidOS向けのアプリケーション開発の公式言語として採用したことにより、注目が高まっています。
Javaとの互換性がある
Kotlinは、Java仮想マシン上で動作するJVM言語であるため、Javaとの相互利用が可能です。Javaで開発されたアプリに、Kotlinで新しく機能を追加し、実装後Javaに変換することもできます。
安全性が高い
Kotlinは、もともと産業利用を目的として開発された汎用言語のため、安全性に優れています。また、コードが簡潔であることも安全性の高さにつながっています。可読性が高いため、自然とバグが発生しにくい構造になるでしょう。
スピーディに開発できる
KotlinはJavaと比べてシンプルにコードを記述できるため、スピーディなアプリ開発につながります。トレンドなどを考慮して、市場への参入を早めたい場合などに重宝される言語です。
KotlinとJavaの違い
KotlinとJavaの違いについて解説します。
関連記事:Kotlinとは?Javaとの違いや年収、学習方法について解説
開発できるものを比較
Javaでは、以下のようなものを開発できます。
-
・Webサービス開発・Webアプリ開発
・PC向けアプリ開発
・Androidアプリ開発
・基幹システム開発
・組み込みシステム開発
・ソフトウェア開発
・IoT開発
Javaは、安定した品質を保てることや、開発者を確保しやすいことがメリットです。そのため、大規模開発向けのプログラミング言語といわれています。
一方でKotlinは、以下のようなものを開発できます。
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・サーバーサイド開発・Webアプリ開発
・Androidアプリ開発
Kotlinは主にアプリ開発の場面で活躍しており、Web上のアプリケーションやスマートフォンのアプリケーション開発を行うためのサーバーサイド言語としても使用できます。これまでJavaで開発されてきたアプリケーションが、続々とKotlinに移行している動きがみられます。加えて、Webサービスの開発も可能です。
関連記事:Kotlinでできることは?特徴や事例を中心に徹底解説
難易度で比較
JavaとKotlinは、どちらもオブジェクト指向言語であるため、習得の難易度に大差はないでしょう。ただし、コードの書き方には違いがあり、Kotlinのほうが短くてシンプルなプログラムで実装できる利点があります。
Javaで数行必要だったコードも、Kotlinでは1行で済むこともあります。コード量が減ればエラーの削減にもつながるため、初めてAndroidアプリ開発をする人にはKotlinがおすすめです。
言語仕様の比較
JavaとKotlinの言語仕様を比較してみましょう。
型推論
Kotlinでは、型推論が可能です。型推論とは、必要最小限の型を指定すれば、そこから推論できる型は自動的に指定してくれる機能です。すべての変数や関数に型を指定する必要がなくなり、エラーを早期にチェックできるメリットがあります。
・変数宣言のJavaの例
String str = “test”;
final int value = 0;
・変数宣言のKotlinの例
var str = “test”
val value = 0
文字列結合
Kotlinでは、文字列リテラルの中に式を入れることができます。
・Javaの例
String name = “Sato”;
int age = 20
String text = “あなたの名前は” + name + “さん。あなたは来年” + (age + 1) + “になります。”;
・Kotlinの例
var name = “Sato”
var age = 20
var text = “あなたの名前は$nameさん。あなたは来年${age + 1}になります。”
オプショナル
Kotlinにはオプショナル型の考え方があります。Null安全になるように設計されており、デフォルトではNullが許容されていません。
以下の例では、コンパイルエラーとなります。
var a: String = null
もし、Nullを許容したい場合は、型の後ろに「?」を付与します。
var a: String? = null
オプショナル付きで定義された変数にアクセスする場合は、必ずNullチェックが入ります。以下はJavaとの比較です。
・Java
String a = null;
a.contains(“hoge”); //Nullのため、エラーで落ちます
・Kotlin
var a: String? = null
a.contains(“hoge”) //コンパイルが通らない
Androidアプリ開発でKotlinを利用するメリット・デメリット
Kotlinを利用するメリットとデメリットについて解説します。
関連記事:Kotlinの将来性が高いと考えられる3つの理由|学習するメリット・デメリット
Kotlinを利用するメリット
Kotlinを利用するメリットについて解説します。
可読性の高いコードで実装できる
前述したように、Kotlinはコードの記述が簡潔になる言語仕様がいくつもあります。
簡潔な記述は、安全性・安定性の向上につながります。Kotlinの元となったJavaと比較してコードがシンプルでわかりやすいため、システム構築の負担を軽減できるでしょう。
エラーを減らすことができる
Kotlinを利用すると、エラーを減らすことができます。Kotlinは、Nullを許容する型とNullを許容しない型がわかりやすく区別されています。
「Null Safety」という仕様があり、Nullを参照した際に発生するエラーが発生しません。Javaで作られたコードをKotlinに置き換える際、Null許容とNull非許容の不整合があっても自然と防げる状態になり、高い安全性を保てます。
学習コストが低い
Kotlinは、文法がシンプルであることから、学習の難易度が比較的低いと言われています。
とくにJavaを習得している人は、文法も似ている部分が多いためスムーズに習得できるでしょう。
Javaと共存できる
Javaとの相互運用性が高い点もKotlinのメリットです。KotlinからJavaを呼び出すことができ、その逆も可能です。相互に呼び出すことで、効率のよい運用につながります。
言語のサポートが充実している
KotlinはGoogleがAndroidアプリ開発の公式言語に採用したことで、Androidアプリ開発者向けにGoogleからの手厚いサポートが受けられるようになりました。
Googleでは、Androidアプリ開発を行っているKotlinエンジニアの経験値を向上する活動を行っており、Android Studio 3.2でLintサポートやオンライン学習できる講義などを提供しています。
また、Jet Brainsが開発元であることもサポートが充実している理由の1つでしょう。
Kotlinを利用するデメリット
一方で、Kotlinには以下のようなデメリットもあります。
日本語の情報が少ない
KotlinはJavaに比べると、参考にできる日本語の情報が圧倒的に少ない状態です。
例えば、Amazonで「Java 入門」と検索すると1,000件以上の書籍がヒットするのに対して、「Kotlin 入門」ではわずか243件です(※2023年1月現在)。これはインターネット上の情報やドキュメントも同様です。
Javaに比べてまだ活用事例が少ない
Kotlinは2011年に登場したばかりで比較的歴史が浅いため、まだそれほど多くの現場では使用されていません。転職情報を掲載しているレバテックキャリアの求人数を見てみると、Javaが約6,100件あるのに対して、Kotlinは約1,400件です(※2023年1月現在)。
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