Linuxとは?
Linuxは、オープンソースのOSで、1991年にフィンランドのヘルシンキ大学に通う大学生だったリーナス・トーバルズ氏が開発しました。当時利用されていたMinixというOSの機能が不足していたことから、ターミナルエミュレータを自作し完成したのがLinuxです。
LinuxはUNIXとはソースから全く別物ですが、構築時にUNIXを参考にしているため、コマンドなどの点で似ています。また、Linuxは商用コンピューターOS「Unix」の互換OSとして開発されているので、Unixの派生OSとする見方もあります。しかし、歴史的な背景からすると厳密にはUnixを参考にしつつ、ゼロから作り直されたOSであり、全く別のOSといえるでしょう。
OSの核であるカーネルは無償で公開されており、誰でも自由に利用可能です。また、有志がカーネルを利用しながら独自の開発を行うことで、さまざまな派生バージョン(ディストリビューション)が生まれています。主要なディストリビューションとしては、「Redhat系」や「Debian系」などがあります。
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Linuxの将来性は?
サーバーOS市場は今後も伸び続けると予測されているため、Linuxの将来性は「高い」といえるでしょう。
Linuxは、ライセンスに縛られないオープンソース方式を採用したことで1991年にLinux version 0.02がリリースされて以降、爆発的に世界中に広まりました。1995年以降に、HPやIBM、インテルなどのプログラマーも参加したことや、2000年代になると、欧州で政府機関に取り入れられていく動きもあり、徐々に既存OSのシェアを奪い取っています。実際に2011年から2014年までの期間で、企業におけるLinuxの普及率は65%から79%にまで増しており、現在の需要も高いです。
Linuxの将来性に期待できる理由について詳しくみていきましょう。
Linuxに将来性があるといわれる理由
仕事でLinuxに関わる方にとっては、今後の需要や将来性がどのように変化していくのか気になるところでしょう。Linuxに将来性があるといわれる理由として、以下が挙げられます。
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・需要の高いサーバーOS市場
・クラウド化と親和性が高い
・コストパフォーマンスが高い
・柔軟性はサーバーOSの中で随一
Linuxの将来性の高さを裏付ける理由について、1つずつ解説していきます。
需要の高いサーバーOS市場
IT関連の市場調査を専門とするIDC Japanの調査では、サーバーOS市場はすでに大規模なものになり成熟しているため、今後も安定すると示されています。
コロナ禍の影響もあり、2020年は前年比で縮小し、2022年頃まで落ち込みましたが、その後勢いを取り戻しました。2023年のサーバーOS市場は、前年比4.2%増となる6,179億円でした。IDC Japanによると、2024年は前年比0.3%減、さらに2025年から2026年にかけても若干の減少する見込みですが、サーバーOS市場が大きく落ち込むような影響はないと予測されています。
また、サーバーOS市場における中小企業からの需要は、コロナ禍以前には戻っていません。そのため、クラウド化やインボイス制度に伴う電子帳簿の導入などに合わせた提案をしていくことで、さらなる市場拡大の後押しになると示唆されています。
このように、サーバーOS市場は微減の傾向がある一方、その影響はほとんどありません。供給が行き届いていない部分も見られるため、市場拡大の余地があるといえます。サーバーOS市場を支えるLinuxの将来性も同様に期待できるでしょう。
クラウド化と親和性が高い
AWSやGCPといったIaaS製品の大半がLinux環境を想定しているため、Linuxはクラウドプラットフォームと相性が良いOSです。「動作が軽い」、「開発環境を構築しやすい」などの特徴も理由として考えられます。また、クラウドエンジニアの必須スキルとしてLinuxが挙げられる場合が多いです。クラウド化が普及していく中で、親和性の高いLinuxの知見を持つ人材の需要も高まっていくでしょう。
コストパフォーマンスが高い
企業がITシステムを構築・運用するコストは「TCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)で表されます。このTCOを抑制するためには、ライセンス料などランニングコストの削減が欠かせません。Linuxはオープンソースゆえに安価に維持しやすく、コストパフォーマンスが高いOSといえるでしょう。
柔軟性はサーバーOSの中で随一
Linuxの生みの親であるトーバルズ氏は、Linuxの最も大きな強みとして「柔軟性」を挙げています。無償で公開されているLinuxカーネルを中心としつつ、さまざまな開発者が独自の機能を付与し、誰もが自由に利用できることがLinuxの特徴です。こうした柔軟性の高さは、変化の激しい現在のビジネス環境にマッチしています。また、オープンソースのため、特定ベンダーに依存しないこともメリットの1つです。
Linuxの将来性に対する懸念
Linuxの将来性を評価する材料は複数ありますが、その一方で懸念も存在します。たとえばLinuxをターゲットにしたウィルスの増加です。LinuxはWindowsに比べてシェアが小さく、ターゲットにされにくいOSといわれてきました。また、Linuxは「権限(パーミッション)」を管理するOSなので、外部からの不正アクセスは容易ではありません。
こうしたことから、Linuxはウィルスに感染しにくいとされてきましたが、Linuxの普及に伴って徐々にウィルスが増加する可能性もあります。そのため、セキュリティ対策コストの上昇が懸念されるでしょう。
さらに、ディストリビューションが独自に提供しているアップデートが終了する、もしくは有償化する可能性もあります。これにより、サーバーOSの変更を余儀なくされたり、ランニングコストが増加したりといった事態が想定されます。
Linuxが利用されている分野
Linuxは、サーバー用途やWindowsOSやMacOSと同じくPC全体を制御・管理する用途として利用されています。ほかにも、Linuxはさまざまな分野で利用されていますが、コスト面やカスタマイズ性、安定性などの特徴から、システム開発においてもLinuxは欠かせない存在です。では、実際にどのような分野で利用されるのか、具体的に解説します。
アプリケーション開発
業務用アプリケーションでもWebアプリケーションでも、開発現場のサーバーOSとしてLinuxが使われているケースは多いです。コスト面、豊富なデバイスドライバやミドルウェア、一般的に使用されている分多くのエンジニアが扱いに慣れている、といったメリットがあるからです。Linuxは、開発環境の構築が容易で無償の開発ツールも多いため、アプリケーション開発の利便性を高められます。
組み込み系システム開発
組み込み系システム開発でも、サーバーOSとしてLinuxが使われていることが多いです。また、開発時に使うサーバーOSだけでなく、家電や医療系機器などの製品にも組み込み系システムとしてLinuxが使われている場合があります。身近な具体例は、スマートフォン、テレビ、プリンター、デジカメ、カーナビなどです。
サーバー構築
サーバー構築において、Linuxは定番です。企業のあらゆる情報やアプリケーション開発、システム開発のデータなどを保管・管理するためにはサーバー構築が欠かせません。Linuxは、Webサーバー、メールサーバー、データベースサーバー、FTPサーバーなどすべて構築可能です。そのため、アプリケーション開発や組み込み系システム開発のサーバーOSはLinuxの場合が多いです。
Linuxの特徴、メリット
Linuxが多くの場で採用されているのは、その特徴やメリットがユーザーの需要にマッチしているからといえます。WindowsOSやMacOSなどを長年扱っていたり、サーバー用途としてLinuxを利用した経験がなかったりする方にとっては、なぜ選ばれるのかが理解しにくいでしょう。
そこで、Linuxの特徴とメリットを解説します。普段使用しているOSと比較しながら、Linuxの特徴をつかむための参考にしてみてください。
Linuxの特徴
Linuxには大きく以下の3つの特徴が挙げられます。用途によってLinuxを利用すべきか否か判断が分かれる場合もありますが、多くのユーザーの要望を満たしているからこそLinuxは人気があります。つまり、これらの特徴がLinuxの将来性を高めているといえます。ここでは1つずつ詳細に解説していきます。
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・オープンソースのOSで無料で使える
・多数のディストリビューションがある
・軽量・安定で動作する
無料で使えるオープンソースのOSである
Linuxはオープンソースのオペレーティングシステムであり、誰でも自由に無料でダウンロードして使用できます。ほかのOSの場合にはライセンス費用がかかる一方で、Linuxは無料で使用できるため、企業や個人の予算に負担をかけることなく利用できます。このような開放性が、Linuxが多くの人々に支持され、多くの企業や機関に採用される理由の1つです。
多数のディストリビューションがある
Linuxには多数のディストリビューションがあります。これにより、ユーザーに柔軟性と選択肢を提供しています。また、異なるハードウェアやアプリケーション、目的に合わせた設定がされているため、自分のニーズに合うものを選択できます。
さらに、多数のコミュニティによって開発されているため、安定性と信頼性が高いです。安全性の問題やバグなどへの迅速な対応に期待できるほか、継続的にアップデート、パッチの提供が行われています。
主に、次の3つに分類されます。
・RedHat系
商用ディストリビューションとして幅広く支持されています。「RHEL:RedHatEnterpriseLinux」が特に有名です。
・Debian系
派生ディストリビューションが多く、その1つの「Ubuntu」は特に人気が高いです。UbuntuはWindowsとUI(使用感などの画面デザイン)が似ているため、Windowsユーザーにはおすすめです。
・Slackware系
シンプルさが特徴です。実績がある信頼性の高いソフトウェアのみで構成されています。安定性や速度、セキュリティ面において優秀な点も人気の理由です。
軽量で安定して動作する
Linuxは軽量で安定して動作します。LinuxはOSのコンポーネントが最小限に抑えられ、必要な機能だけを実装できます。また、Linuxの開発では多数の開発者が安定性と軽量性を重視したコードを共有しているため、品質が高いといえるでしょう。これらの理由により、Linuxを使用することで、システムが高速で動作し、リソースの消費も少なくなります。
Linuxのメリット
Linuxのメリットは特に低コストでITインフラを構築できるという点です。多くのLinuxディストリビューションではライセンス料が必要ないため、ランニングコストを節約することができます。また、ハードウェアに要求されるスペックも低いため、イニシャルコストの削減にもつながるでしょう。
コスト面以外では、以下のようなメリットも挙げられます。
安定性の高さ
Linuxはサーバー用途を前提として設計されているため、長期間の連続稼働でも問題が生じにくいという強みがあります。クラウド上での動作においても安定性は重要です。Linuxは、クラウドプラットフォームで利用されるケースも多いため、ユーザーにとって快適に使用できる安定性は欠かせない大きな強みといえます。
自由度の高さ
Linuxには多くのディストリビューションがあります。そのため、必要な機能や特徴を備えたディストリビューションを自由に選択できます。便利な機能は多く存在しますが、ときには不必要な機能もあるでしょう。しかし、Linuxなら無駄な機能も省けます。優れたカスタマイズ性によって必要な機能だけを備えられるので利便性が高いです。
高いセキュリティ
Windowsなどに比べるとウィルスが少ないため、セキュリティレベルを維持しやすいでしょう。万が一ウイルスなどに感染した場合、管理者権限が乗っ取られたりサーバー上のデータが破損したりといった事態になりかねません。最近はLinuxをターゲットにしたウィルスも増えているため、セキュリティに対する配慮は必須です。
Linuxエンジニアの仕事内容
Linuxエンジニアの仕事内容は一般的なインフラエンジニアと同じで、工程別に示すと以下になります。
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・要件定義
・設計
・構築
・運用・保守
上流工程から下流工程までがLinuxエンジニアの業務範囲です。1人のエンジニアがすべての工程に携わる場合もありますが、経験を積んだエンジニアは上流工程、逆に経験の浅いエンジニアは下流工程を担当する場合が多いです。
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インフラエンジニアに必要なスキルは?知識、資格まで徹底解説
要件定義
要件定義は、クライアントからのヒアリングやクライアントへの提案を行う工程です。プロジェクトの最初の工程なので、重要度が高いです。要件定義に基づいてプロジェクトは進んでいきます。要件定義がしっかりできているとプロジェクトは円滑に進みやすく、逆に不十分だと後の工程でトラブルが発生します。
たとえば、「クライアントとの認識に相違があり仕様変更が発生する」、「想定の工数や予算と全然違う」、といったことです。要件定義は重要度が高いので経験を積んだエンジニアが担当する場合が多いです。
設計
要件定義に基づいて設計を行いますが、一般的に基本設計と詳細設計に分けられます。プロジェクトによって呼び方は異なりますが、全体の概要設計と、細かい設計とで別々に設計を行うケースが多いでしょう。設計も後の構築に大きく影響するので、ある程度経験を積んだエンジニアが担当するのが一般的です。
構築
構築は、設計に基づいて進めていきます。特に詳細設計が良くできていれば、設計に従って作業を進めるのでスムーズです。逆に設計に問題があると、構築の段階でうまくいかない事態になります。ただし、多かれ少なかれ構築の段階でトラブルが発生することはあるでしょう。
要件定義や設計の段階ですべてのことを把握できるわけではないので、実際に構築をしてみて実現が難しい部分が出てくるということです。そういった際は、上流工程の担当者と連携して構築を進めていくことになるでしょう。
運用・保守
システムが完成したら、運用・保守を行います。運用・保守は比較的経験の浅いエンジニアが担当する場合が多いです。システム導入後にトラブルが発生した場合の対処やソフトウェアのアップデートなどの定期的なメンテナンスなどを行います。運用・保守はマニュアルに沿って作業を進める場合が多いですが、クライアントに迷惑がかからないよう正確さとスピード感が求められます。
Linuxエンジニアの平均年収
レバテックキャリアの求人によると、Linuxエンジニアの平均年収は約600万円から700万円程度です。インフラエンジニアやサーバーエンジニア、ネットワークエンジニアなどの平均年収と概ね同じと考えられます。インフラのスペシャリストとして提案やマネジメントなどもできる場合は高年収が期待できるでしょう。年収上限2,000万円を提示している求人も存在します。
インフラ側のエンジニアはLinuxを扱うのが一般的なので、Linuxエンジニアとサーバー、インフラ、ネットワークなどのエンジニアは呼び方が異なるだけで実態としては同じです。またインフラを扱っていてLinuxだけしか扱えないケースは少ないので、インフラ側のエンジニアがLinuxを担当すればLinuxエンジニアになる、といったイメージです。
ちなみに、サーバーとネットワークを合わせてインフラなので、インフラエンジニアはサーバーエンジニアとネットワークエンジニアの両方を含みます。まとめると、Linuxエンジニア、サーバーエンジニア、インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、などは同じインフラ側のエンジニアを指しているということです。
Linuxエンジニアになるメリット
Linuxエンジニアをはじめとするインフラ側のエンジニアは、不可欠な存在なので需要が安定しているといえます。また、Linuxが使用されているプロジェクトが多いのでLinuxエンジニアは社会にとって必要な存在であり、今後も需要は続くでしょう。
インフラエンジニアを取り巻く環境の変化として、クラウド化、AI化、ビッグデータの普及などが挙げられます。これらの技術変化に対応していく必要はありますが、Linuxは土台に残ります。
Linuxの技術を土台として、新しい技術変化に対応していけばより需要のあるLinuxエンジニアになれるということです。また技術の変化とは少し異なりますが、社会のセキュリティ意識が年々高まっているため、セキュリティに強いLinuxエンジニアは重宝されます。
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インフラエンジニアの需要・将来性は?今後、役立つスキルも解説
インフラエンジニアのキャリアパスは?将来性や役立つスキルと資格も解説
Linuxエンジニアに必要なスキル
Linuxエンジニアに必要なスキルとして、以下が挙げられます。
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・Linuxに関するスキル
・インフラ開発に関するスキル
・システム開発における上流工程を担えるスキル
・コミュニケーションスキル
Linuxの知識はもちろんのこと、インフラ周辺のサーバーやネットワークなどの知見も欠かせません。また、セキュリティリスクの考慮も大切です。それぞれのスキルについて解説していきます。
Linuxに関するスキル
Linuxに関するスキルは、Linuxエンジニアとして当然必須です。まずはLinuxに関する基礎知識を身につけ、実際に手を動かして構築できるようになる必要があります。基本スキルが身についたら、最新情報を取り入れて知識をアップデートしていきます。一度習得したスキルでも、流行や業界の流れに合わせて知識を補足する必要があり、OSも定期的にアップデートされるからです。
インフラ開発に関するスキル
LinuxはOSなので、インフラのソフトウェアの土台という位置づけです。言い換えれば、OSの下には物理的なハードウェアが存在し、さらにOSの上に複数のソフトウェアが乗っています。Linuxエンジニアであっても、基本的にはインフラ側のエンジニアなのでOS以外の部分も担当できる必要があります。
OSだけでなく、物理的なレイヤーからOSの上のソフトウェアまで幅広く扱えるようにしておくとエンジニアとしての需要が高まるでしょう。
システム開発における上流工程を担えるスキル
会社勤めのエンジニアの場合、キャリアを積むと上流工程の役割が求められる場合が多いです。また上流工程を担当すれば、評価アップや年収アップにもつながりやすいといえます。このような事情を考えると、早い段階から上流工程のスキルを意識的に身につけるのが望ましいです。
構築や運用・保守の工程でも上流工程を意識しながら作業したり、プロジェクト内でチャンスがあれば積極的に上流工程に携わったりすると良いでしょう。今割り振られている作業よりも、少し上流工程に近い作業に携われるように行動していく姿勢が大切です。そういった小さな経験を積み重ねて自身のスキルアップを図り、プロジェクト内で上流工程を任せてもらえるようになっていくと良いです。
コミュニケーションスキル
Linuxエンジニアを含むエンジニアはチームで作業を進めるのが一般的で、クライアントや他部署と関わる機会もあります。そのため、円滑に意思疎通を図れるコミュニケーションスキルが必要です。特に認識のズレを防ぐために細かい連携を取る場合が多いので、その際に正確に分かりやすく伝える力、汲み取る力が重要になります。
Linuxの学習方法
Linuxの学習方法は複数あるため、自分に合った方法を選択すると進めやすいです。マイペースに進めたい方もいれば、カリキュラムに沿ってストイックに学習に励みたい方もいるでしょう。
ここでは、Linuxの学習方法を紹介します。Linuxはいくつかの懸念があるものの、将来性の高いOSです。効率良く学習を進め、Linuxのスキルを身につけていきましょう。
スクールで学習する
プログラミングスクールやエンジニア養成スクールでは、Linuxに特化した講座を開講していることがあります。また、スクールはカリキュラムが設定されているので、学習の進捗が管理しやすいです。疑問点などがある場合も質問できる体制が整っているため、安心して学習できます。
スクールを利用すれば、インストール、初期設定、よく使うコマンドなど基本的な操作方法などを短期間で身につけることができるでしょう。
資格を取得する
Linuxに関する業務に携わるなら、資格に挑戦してスキルを習得する方法も有効です。関連資格を持っていると、それ相応レベルの知識・技術があるという確かな証明になります。
たとえば、日本国内でLinuxエンジニアとして仕事をしたい場合は、LPI Japanが提供している「LinuC」の取得がおすすめです。仮想環境やクラウド環境など、現代の需要を加味した内容を踏まえてLinuxの基礎を身につけられます。
Linuxの関連資格は複数あるため、その例をいくつか挙げながら解説します。
Linux技術者認定資格「LinuC」
Linux技術者認定資格「LinuC」は、Linuxの技術者としての能力を認定する資格です。LinuCはLinuxの知識と技術を実践的に学べるので、それを証明する手段としても有効です。
LinuCには3つの段階があり、それぞれに必要な知識や技術が異なります。LinuCレベル1は、Linuxの基本的な知識とコマンド操作ができることを証明する資格です。LinuCレベル2は、Linuxサーバーの設定や管理、ネットワーク構築などの実践的な知識が問われます。LinuCレベル3は、Linuxシステムの設計や構築、セキュリティなど、高度な知識と技術が求められます。
Linuxに関する基礎的な知識から徐々に身につけていきたい人にはおすすめの資格です。
CCNA
CCNAはシスコシステムズが認定しているシスコ技術者認定試験です。CCNAはインフラ側のエンジニアの間では人気、知名度が高く、取得メリットが大きいです。ネットワークスキルの証明になるので、Linuxエンジニアを含むインフラ側のエンジニアは優先的に取得すべきでしょう。取得を義務付けている企業も多い傾向があります。
LPIC
LPICはLinuxに特化した資格です。内容としてはLinuCと重複している部分が多いため、どちらを優先的に取得すべきか議論になる場合もあります。人によって意見は異なりますが、一般的には、LPICは世界的に評価が高く、LinuCは日本国内で評価が高いとされています。どちらを選択してもLinuxの学習方法として間違いではないため、試験内容や難易度などを確認して判断すると良いでしょう。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験はサイバーセキュリティに関する国家資格です。IPAが主催する国家資格のうちの一種になります。レベル4なので難易度は高めです。Linuxエンジニアを含め、インフラエンジニアの中では評価が高い資格といえるでしょう。
セキュリティの重要性は年々増しているため、今後より需要が伸びる資格と考えられます。国家資格なので評価も高く、インフラエンジニアだけでなくアプリケーション側のエンジニアが取得するケースも多いでしょう。
書籍などで独学する
書籍を用いた独学でもLinuxの知識を身につけられます。ただし、具体的な構築・操作スキルを身につけるためには、実機を用いて手を動かしながら学習することをおすすめします。実機の構築にはOSのインストール、初期設定、パッケージアップデートといった作業が必要になるため、初学者にはややハードルが高めです。IT業界での実務経験を持つ方におすすめの方法です。
[試して理解]Linuxのしくみ ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】
Linuxの基礎的な仕組みや仮想化技術について解説する入門書です。
初学者にも分かりやすい説明と実践的な内容が特徴です。実際に手を動かしながら学べるように、豊富な図解とサンプルコードが提供されており、Linuxや仮想化技術に関する理解を深めることができます。
また、改訂版では最新のLinuxカーネルや仮想化技術にも対応しており、より実践的な内容が追加されています。そのため、Linuxに興味がある初心者から上級者まで、幅広い読者におすすめできる書籍です。
Linuxをマスターしたい人のための実践Ubuntu
Ubuntuを使用したLinuxの基礎から応用までを学べる実践書です。
Ubuntuを使って、コマンド操作やシェルスクリプト、セキュリティ対策、Webサーバ構築、仮想化、クラウドサービスの利用など、さまざまなテーマを扱っています。
また、本書はUbuntuをベースにした内容であるため、Linux初心者でも比較的簡単に理解できるでしょう。Ubuntuはデスクトップ版とサーバー版があるため、幅広い読者にとって役立つ内容となっています。
Linuxブートキャンプ サーバ操作/OSのしくみ/UNIXネットワーク
Linuxに関する初心者向けの入門書です。
OSの基本的な機能から、コマンドライン操作、ネットワークに関する内容まで、幅広く扱っています。図解や実際の画面写真が多く用いられており、理解しやすい点も魅力です。
Linuxのみならず、周辺知識としてサーバ操作やネットワークに関する知識も併せて習得したい初心者におすすめの一冊といえます。
Linuxに関するよくある質問
Linuxの将来性に期待し、Linuxエンジニアを目指す方も珍しくありません。Linuxの知見は、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアなどのほかのエンジニアにとっても欠かせないため、多くの方が関心を持っています。Linuxに関するよくある質問と回答をまとめたので、知識の補足や疑問解決のための参考にしてください。
Q1. Linuxに将来性はある?
Linuxは将来性があります。現状、サーバーOSとして一般的で、市場が十分に成長していることや利便性の高さから今後も使われるでしょう。クラウド化、AI化などが進んでも、Linux自体は使われる可能性が高いため、Linuxには将来性があるといえます。
Q2. なぜLinuxはプログラミング向きなのか?
Linuxは無料で使え、また軽量で利便性が高いです。そしてプログラミングのサーバーとして使われることが多いため、多くのエンジニアはLinuxに慣れています。その結果、開発プロジェクトではLinuxの使用が一般的になっています。
Q3. Linuxの優れているところは?
Linuxの優れているところは、安定性・自由度・セキュリティの高さなどです。Linuxは開発用に改良が重ねられていて、機能も豊富です。定期的にセキュリティのアップデートも行われているため、トータルで優れたOSといえます。
Q4. Linuxのメリットとデメリットは?
Linuxのメリットは、「導入コストがかからない」「デバイスのスペックに依存しない」「機能が豊富」などが挙げられます。一方でデメリットとしては、「トラブルなどの保証がない」「機器やソフトウェアによってはLinuxに対応していない」などが挙げられます。
まとめ
この記事では、Linuxの将来性や、それを裏付ける特徴などについて解説した上で、Linuxの学習方法について紹介しました。LinuxはオープンソースのOSであり、軽量・安定で動作するのが特徴的です。
サーバーOS市場の成熟度やクラウド化との親和性の高さ、コストパフォーマンスの高さなどから、今後もシェアが拡大していくと予想されます。そのため、システム開発に従事する方はLinuxに関するスキルを習得しておくことをおすすめします。
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