AWSエンジニアの将来性が高い理由は?求められるスキルや資格も解説

最終更新日:2024年7月10日

DX対応やクラウドファースト、クラウドネイティブの流れをうけ、クラウドサービスを利用する企業が増えています。特にクラウドプラットフォーム最大手のAWSは、多くの企業や団体が採用しており、高い知名度とシェアを誇ります。

クラウドエンジニアを目指すならば、AWSの需要と将来性にも留意しておくべきでしょう。本記事では、AWSの将来性があるか知りたいエンジニアに向け、AWSの将来性や需要、AWSエンジニアの将来性について解説しています。

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※2023年1月~2024年3月実績

この記事のまとめ

  • AWSは世界最大手のクラウドプラットフォームで、企業のクラウド化などが追い風となり、今後も発展が見込まれる
  • AWSエンジニアは、IT・Web業界やゲーム業界、広告業界、メディア業界を中心に需要があり、将来性が高い職種と言われている
  • AWSエンジニアを目指すなら、AWS認定資格やCCNA、LinuCなどインフラ関連の知識を得られる資格取得がおすすめ

AWSの将来性は高いといえる理由

世界中で利用されているAWSの将来性は高いと言われています。主な理由としては、企業のクラウド利用が増加しているためです。

また、AWSの需要予測は今後もユーザーが増加するため高いと見込まれています。さらに、IaaS市場は分散化の動きもありますが、シェアが高い優位性は揺るがないと考えられます。

そして、AWSのサービス内容の多様化も将来性が高まる要素です。本章では、AWSの将来性が高いといえる理由について解説します。

関連記事:AWSでできること|メリット・デメリットや主要サービスを解説

企業のクラウド利用が増加

JUAS(一般社団法人 日本情報システムユーザー協会)の調査結果では、IT予算の増減を確認できます。IT予算の増減について「増加した」と回答した企業は45.5%にものぼります。(※1)

今後は運用保守費を抑えつつ徐々にクラウドへ移行していくことでしょう。実際に、世界最大手のAWSを筆頭にIaaSの普及が拡大しており、この傾向はしばらく続くと推測されます。IaaSはハードウェアの調達費用を最小化しつつ、スピーディーにITインフラを構築できるサービスです。また、利用シーンやビジネスの規模に応じて簡単にスケールできる点も評価されています。

※1引用元:企業IT動向調査報告書 2023 JUAS(一般社団法人 日本情報システムユーザー協会)

AWSの需要予測は高い見込み

AWSのシェアは非常に大きいです。海外の市場調査会社Canalys社のクラウドサービスに関する調査結果Canalys Newsroom - Worldwide cloud service spend to grow by 23% in 2023によると、2023年のクラウドサービスにおけるAWSのシェア率は32%でトップ(※2)です。シェア率が高いと利便性の観点からより利用者が増えていくので、今後もAWSを導入する企業は増えていくでしょう。

※2引用元:Canalys Newsroom - Worldwide cloud service spend to grow by 23% in 2023 Canalys

IaaS市場は分散化の動きもあるがAWSの優位性は揺るがない

クラウドプラットフォームは「IaaS」に属するサービスです。そこで、IaaS市場についてみていきましょう。

IaaS市場の主要各社の動きを見ていくと、各社が頻繁に買収を行っていることが分かります。AWSは2015年にイスラエルの半導体メーカー「アンナプルナ・ラボ」を買収しており、機械学習サービスの基盤を構築しました。また、IBMはLinuxで有名なRed hat社を、Google社はクラウドストレージ企業の買収を実行しています。

AWSは、すでにAmazon全体の営業利益の6割強を占める事業に成長しており、今後もAWSに注力することは想像に難くありません。

IaaS市場にはこれまでと異なった動きも見られます。AWSが突出してトップを維持する一方で、2位以下のシェアは徐々に分散しているのです。この流れが続くことでAWS以外のサービスが成長し、AWSへの一極集中が緩和する可能性も否定できません。

ただし10年未満のスパンで見れば、AWSの優位性は揺るがないと考えられます。なぜなら、クラウド化の最初のステップとして、知名度の高いAWSを使用する可能性が高いからです。

AWSにおけるサービス内容の多様化

AWSのサービスは拡大し続けており、今後もAWSにおけるサービス内容の多様化が進むことが高い将来性につながると考えられています。2024年3月時点でAWSが提供しているサービスは240種類を超えています

さらに、今後もサービス内容の増加が予定されています。AWSは現時点でもシェア率1位を獲得していますが、サービスの追加や改善でより利用者が増えていくことでしょう。

AWSエンジニアも需要に対し人材が不足し将来性が高くなっている

AWSエンジニアの需要は非常に高いですが、現状エンジニアの供給が追いついていません。AWSの利用者が増えれば増えるほど、需要と供給のギャップは広がりますので、今後も将来性が高いと言えるでしょう。

また企業のクラウド化の推進もAWSエンジニアの人手不足に影響しています。クラウド化の推進によってAWSエンジニアへの需要は伸びるからです。

総務省の発行している令和5年度版 情報通信白書によると、2022年のクラウドサービス市場規模は前年比29.8%増の2.2兆円(※3)です。このように近年、企業のクラウド化は急速に進んでおりAWSには強い追い風となっています。

※3引用元:令和5年度版情報通信白書 総務省

AWSエンジニアの需要が特に高くなっている業界

AWSエンジニアの需要は、さまざまな業界で高まっています。AWSエンジニアの需要が特に高くなっている業界には、IT・Web業界やゲーム業界が挙げられます。

また、広告業界やメディア業界でもAWSエンジニアの需要が高まっています。本章では、AWSエンジニアの需要が特に高くなっている業界について、それぞれ解説していきます。

IT・Web業界

IT・Web業界ではクラウド環境の利用が進んでいて、シェアの大きいAWSが使われるケースは多いです。そのため、AWSエンジニアの需要が伸びています。

AWSの技術を活かして開発環境構築や開発を行うことはもちろん、マネジメントポジションでも需要があります。AWSエンジニアが増えれば、マネジメントを行う人材も必要になるからです。

ゲーム業界

AWSエンジニアの需要が特に高くなっている業界のひとつとして、ゲーム業界が挙げられます。ゲーム業界では、AWSを利用する傾向が増加しています。

その理由はオンラインゲームの増加により、ゲーム配信インフラとしてAWSが採用されるケースが増えてきたためです。そのため、ゲーム業界ではAWSエンジニアの需要がますます高まると予測されています。

広告業界

広告業界のビジネスは幅広いですが、一部ではAWSの利用が進んでいます。たとえば、広告の自動配信サービス、マーケティングなどの分野でAWSが使用されています

結果的に、AWSエンジニアの需要が伸びています。他にも、自社のプラットフォーム構築のためにAWSを使用するケースもあります。

メディア業界

メディアも広告業界同様ビジネス展開の幅が広く、デジタル化に力を入れている企業もあれば、そうでない企業もあります。デジタルコンテンツに力を入れている企業では、AWSの普及も進んでいます。

その主な理由としては、AWS環境を使ってコンテンツ作成や配信をするためです。そのため、AWSエンジニアへの需要が高まり続けています。

関連記事:AWSとは?特徴や資格、サービスを初心者向けに解説

将来性の高いAWSエンジニアになるためのスキル

需要が高いAWSエンジニアですが、将来性が高い高いAWSエンジニアになるためにはスキルの習得が必須です。将来性の高いAWSエンジニアになるためには、インフラやセキュリティ全般のスキルが重要になります。

また、ネットワーク仮想化に関するスキルやコンテナ関連のスキルなども欠かせません。本章では、将来性の高いAWSエンジニアになるためのスキルについて解説します。

インフラ・セキュリティ全般のスキル

AWSエンジニアには、インフラやセキュリティ全般のスキルの習得が将来活躍するために役立ちます。AWSエンジニアは、クラウドサーバーの知識だけでなく、オンプレミスサーバーやデータベース、ネットワークなどの設計と構築能力も必要とされます。

また、インフラを整える過程でセキュリティに関する相談が求められる場合もあるため、セキュリティ知識も重要です。インフラとセキュリティに関する知識とスキルを積極的に学び、AWSエンジニアとしての専門性と価値を高めることが将来の活躍につながります。

ネットワーク仮想化に関するスキル

AWSエンジニアには、ネットワーク仮想化に関するスキルが求められます。ネットワーク仮想化に関するスキルとしては、ネットワーク仮想化のコア技術である「VLAN」、仮想ネットワークをソフトウェアで動的に制御する「SDN」などが挙げられます。

これらのネットワーク仮想化に関するスキルを習得することで、AWSエンジニアとしての仕事の幅が広がります。

コンテナ関連のスキル

コンテナ関連のスキルも将来性の高いAWSエンジニアになるためには、習得しておくべきスキルのひとつです。Dockerをはじめとしたコンテナ型仮想化技術は、Infrastructure as Codeを前提とした環境構築に無くてはならない技術です。

AWSの著名サービス「ECS」でも採用されているため、ぜひ身に着けておきましょう。

CI/CD

CI/CDのスキルを習得することで、AWSエンジニアとしての将来性が高まります。CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)は、単一のスキルではなく自動化を取り入れた開発手法全体を指す言葉です。

AWSでは「CodePipeline」というサービスを使って実現することが多いため、CI/CDのスキルを習得することはAWSエンジニアの仕事に役立ちます。

DevOps

DevOpsに関する知識も、将来性の高いAWSエンジニアになるためには、必要なスキルと言えるでしょう。DevOpsは開発と運用の連動を示す考え方であり、近年のITシステム開発・運用では主流になりつつあります。

AWSにはDevOpsに関する資格「AWS Certified DevOps Engineer」があるため、取得を目指してみるのも良いでしょう。

Infrastructure as Code

Infrastructure as Code(IaC)は、ITインフラの構築・運用を手動のオペレーションではなくコードで行うという考え方です。インフラ構築・運用・移設などが自動化される反面、エンジニアには高いスキルが求められます。

将来的にインフラエンジニアの必須スキルになる可能性が高いため、できるだけ早急に学習を進めたいところです。

関連記事:インフラエンジニアにAWSスキルが求められる理由

ミドルウェアに関するスキル

AWSエンジニアには、ApacheやNginxなどのウェブサーバー、MySQLやPostgreSQLなどのデータベースを含むミドルウェアの管理と設定にも熟知していることも望まれます。ミドルウェアはAWS環境内で広く使用されており、それらの運用と最適化に関する深い知識は、AWSエンジニアとして活躍するために役立ちます。

AWSエンジニアを目指すうえで役立つ資格

AWSエンジニアを目指すうえでは、AWSエンジニアの仕事に関連する資格の取得がおすすめです。AWSエンジニアを目指すうえで役立つ資格には、AWS認定資格が役立ちます。

また、CCNA(Cisco技術者認定試験)やLinuC(Linux技術者認定試験)といった資格を取得をすることで、転職活動の場で知識やスキルのアピール材料として活用できます。本章では、AWSエンジニアを目指すうえで役立つ資格について解説します。

関連記事:
AWSの勉強方法|初心者も無理なく身につけられる手順を紹介
AWS認定資格で年収アップは可能?転職における市場価値とは

AWS認定資格

AWS認定資格とは、AWSサービスの知識が問われる試験です。そのなかでも「AWS Certified Cloud Practitioner」は、AWS認定資格における最も基礎的な内容を問われる試験です。AWSの基礎だけでなく、クラウドに関する知識など広い範囲から出題されます。

AWS認定資格は営業職や管理職の取得も推奨される試験です。言い換えれば、技術者の資格としてはそこまで評価は高くありません。2024年3月時点でAWS認定資格は12種類展開されています。

CCNA(Cisco技術者認定試験)

CCNA(Cisco Certified Network Associate)とは、シスコシステムズ社によって運用されている認定試験です。シスコ社の商品知識だけで無く、ネットワーク技術の知識証明にもなります。国内のIT関連資格では「基本情報技術者試験」が有名ですが、世界基準ではCCNAが最も有名な試験と言っても過言ではないでしょう。

LinuC(Linux技術者認定試験)

LinuCとは、特定非営利活動法人LPI-Japanによって運用される認定試験です。Linuxサーバーの構築や運用、クラウドのセキュリティやオープンソースに関する知識の証明として役に立ちます。LinuCは3レベル展開されており、レベル1に合格するとレベル2、レベル2に合格するとレベル3に挑戦できます。

AWSエンジニアの仕事内容

AWSエンジニアは、AWSプラットフォームに関する広範な知識と専門技術を駆使して、多岐にわたる業務を行います。AWSエンジニアの主な仕事内容は、クライアントのニーズに応じたAWSベースのシステム環境の設計、これらのシステム環境の構築、その後の運用・維持・管理が含まれます。本章では、AWSエンジニアの仕事内容について解説します。

関連記事:AWSエンジニアの仕事内容とは?転職におすすめの資格も紹介

設計

設計は、AWSを用いたサーバー環境をどのように構築するか全体設計を行うことです。用途を考えてどのような契約を選択すべきか、サーバー上のどこにどのデータを置くか、といったことを考え、矛盾や問題が生じないように設計していきます。

構築

設計に基づいて構築作業を進めていきます。設計に問題がなければ、構築作業はスムーズに進みます。逆に設計に問題があれば、構築の段階で設計上不可能な点や非効率な点が見つかります。

またプログラミングのように開発段階で細かいリサーチや記述は発生しにくいので、AWSを含むインフラ側は設計がよりプロジェクト成功のカギを握っています。

運用・維持・管理

AWS環境が構築されたら、安定稼働のために運用・維持・管理を行います。AWS環境の場合はハードウェアの監視は不要で、クラウド上のシステムをチェックします。チェック対象は、メモリ容量、
CPU使用率、仮想サーバー台数などです。

環境を変える必要があれば、随時対応します。また不具合が生じた場合に速やかに対処できるよう、事前に体制の整備やマニュアル化を進めておくことも重要です。

AWSエンジニアの平均年収

レバテックキャリアの求人では、AWSエンジニアの平均年収は650万円程度です。ただしAWSの単体スキルだけではなく、インフラ構築、設計、マネジメントなどのスキルが求められる案件が多いです。スキルによって年収に幅があり、1,000万円を超える案件もあります。スキルアップに応じて年収が上がりやすい状況です。

関連記事:AWSエンジニアの年収は?将来性や年収アップのポイントも解説

未経験からAWSエンジニアになるには

AWSエンジニアへのキャリアパスは、未経験者にも開かれています。未経験からAWSエンジニアを目指すには、大きく分けて2つの方法が考えられます。

ひとつは、独学で知識を得てからAWSエンジニアの求人に応募する方法です。もうひとつの方法は、インフラエンジニアとしてインフラの基礎を学んだ後に転職する方法になります。本章では、未経験からAWSエンジニアになる方法について解説します。

関連記事:未経験でAWSエンジニアになる方法は?認定資格などを含めて徹底解説

独学で知識を得てからAWSエンジニアの求人に応募する

AWSエンジニアは高い需要から、未経験可能な求人も散見されます。そのため、最低限の知識を独学で得てから挑戦することが可能です。

AWSは需要が高いサービスであるため、AWSサービスを学習するための教材は多く存在します。具体的には、書籍やインターネットを通じた学習などが挙げられます。

独学でAWSの知識を身につけてから、AWSエンジニアの求人に応募することにより、未経験からでもこの分野にチャレンジすることが可能です。

インフラエンジニアとしてインフラの基礎を学んだ後に転職する

AWSは様々なサービスを展開していますが、その多くはインフラ関係です。そのため、インフラエンジニアとしてサーバーやネットワーク、セキュリティなどの知識を身につけると転職しやすくなります。当然AWSの学習も必要ですが、ITの知識を実務で身につけてから挑戦できるのでおすすめです。

AWSに関するよくある質問

AWSエンジニアを目指す方からは、AWSに関するさまざまな質問や疑問が寄せられます。AWSに関するよくある質問には、AWSエンジニアの将来性やAWSでできること、そしてAWSが業界で高く評価される理由などが含まれます。本章では、これらのAWSに関するよくある質問にそれぞれ回答します。よくある質問と回答をAWSエンジニアへの転職の参考に役立ててください。

Q1. AWSエンジニアの将来性を教えてください

複数の要因から、AWSエンジニアの将来性は高いと言えます。具体的には、企業のシステム化推進、クラウド移行、セキュリティの重要性が増している、といったことが挙げられます。これらの要因が絡み合い、IT技術自体の需要増加や変化が加速していて、技術力やマネジメント力のあるAWSエンジニアに需要が集中している状況です。

関連記事:AWSエンジニアとは|年収やキャリアパス、転職に役立つ資格も紹介

Q2. AWSでは何ができますか?

AWSはレンタルサーバー、データベース、データ保存、画像認証などの機能を持ちます。これらの機能を活用して、Webサービス構築、データバックアップ、ビッグデータ活用、基幹システム構築、といった目的で使用されることが多いです。

Q3. AWSがすごいと言われる理由を教えてください

AWSは安定稼働していることはもちろん、サービスの種類、コストパフォーマンス、処理スピード、などといった観点で優れています。たとえばサーバーやデータベースを構築する際に、あらかじめ用意されている機能からクリックだけで希望通りのものが作れます。

他にも、サーバーやデータの監視システムなどもあらかじめ用意されているので、必要な機能を選択して組み合わせるだけでセキュリティ強化などが可能です。

関連記事:
AWSのEC2とは?利用するメリット、需要の高さを解説
AWS Amplifyとは?特徴や料金、メリットなどを解説

まとめ

AWSは利便性が高くコストパフォーマンス、安定性にも優れているため、今後より普及していく可能性が高いです。普及率が上がればそれだけ扱えている人が増え、システム同士の互換性の観点からもより普及は加速すると考えられます。

AWSが普及するということは、AWSエンジニアへの需要も大きくなるということです。特にインフラエンジニアやサーバーエンジニアにとっては汎用性の高いスキルになるので、AWSの扱いには慣れていくのが良いでしょう。

ただしAWSの単体スキルだと業務範囲をカバーできない可能性が高いです。サーバー、ネットワーク、データベース、マネジメントなどのスキルとAWSを組み合わせることで、相乗効果が生まれます。

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