【2020年7月発表】プログラミング言語別求人案件ランキング

最終更新日:2020年11月18日

ITエンジニア・Webクリエイター専門の転職&フリーランスエージェント「レバテック」では、2019年度にサービス上で新規発生した求人・案件データを調査し、調査結果をもとに「プログラミング言語別ランキング」を作成しました。

レバテックキャリアの法人営業チームリーダー・見谷俊、レバテックフリーランスの事業部長・高橋悠人、レバテック技術顧問・久松剛監修のもと、2018年度の調査結果との比較分析を通して、2019年度のITエンジニア市場動向の考察を行いました。

■調査概要
調査対象
「レバテックキャリア」の正社員向け新規求人データ
「レバテックフリーランス」のフリーランス向け新規案件データ
調査期間
2018年度:2018年4月1日~2019年3月31日
2019年度:2019年4月1日〜2020年3月31日
調査方法
対象期間中に新規発生した求人・案件データを言語ごとに自社のデータベースより抽出

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1. 正社員ITエンジニア市場の動向

2019年度の結果を見る前に、まずは前年度の結果を振り返ってみましょう。

2018年度はITエンジニア求人市場全体が活況でした。Java、PHP、Rubyの3言語がランキングの上位を占め、Pythonの求人割合が大きく増加しました。それに対して、2019年度は引き続き全体需要が拡大傾向にありますが、下半期から製造業を中心とした景気減速の影響に加え、年度末には新型コロナウィルスの流行による経済活動の停滞が追い打ちとなり、後半にかけて需要が少し落ち着きつつあります。

以下では2019年度の詳しい結果を見ていきましょう。

JavaとPHPが求人全体の約50%を占める。Pythonは3位に躍進

 

Java求人は全体の35%近くを占め、昨年度に引き続き1位の座を獲得しています。

PHPは16.43%で2位にランクイン。2017年の調査開始以来安定して高い求人需要を維持しています。

Pythonは前年度の勢いを保ち、ついに3位に躍進。4位、5位にJavaScriptとRubyが続く形になります。

Pythonは需要健在も、R&D分野の投資縮小で今後は成長減速の可能性

最も多い割合を占めているJavaはシステム開発やWeb開発、アプリケーション開発など幅広く使用されており、今年度では主にtoB側の需要が高く、主に金融や製造、物流業界からの求人が多いと見られます。

3位のPythonはAI・機械学習に代表されるデータサイエンス領域で注目され、言語ランキングで人気言語の上位に位置し、世界的にも期待されている言語です。

しかし、経済全体の景気減速に伴い、活況だった投資としてのAI・機会学習市場は2019年度下半期から縮小傾向にあります。データ分析分野においても、ピーク時の集中的な人材育成によって、需要と供給のバランスが人材側に傾斜しつつあります。

したがって、Pythonエンジニアの需要は依然として高いが、今までの勢いを保持できるかどうかは、今後の景気状況に左右される部分が大きいでしょう。

一方、COBOLの求人割合は0.37%と低く、減少していた昨年度からさらに0.1ポイント近く下落しました。2020年春期の「基本情報技術者試験」の出題内容からも除外され、多くの会社はCOBOLシステムからの脱却を図っています。

JavaScriptの求人割合は伸び率1位に。フロントエンド、サーバーサイドでの需要増が主な要因

Webアプリケーションの開発に広く採用され、実行速度の向上が絶えず行われている言語JavaScriptの求人割合は、前年度比34.36%増加し、全言語の中でもっとも求人数の割合が増加した言語となりました。

JavaScriptが拡大している要因としては、主に2つ挙げられます。1つ目は、フロントエンドとサーバーサイドともに対応できる汎用性です。サーバー側で動作するNode.jsを代表とするサーバーサイドJavaScriptの普及によって、言語としての可能性が押し広げられ、JavaScriptはWebアプリケーション開発現場で幅広く使用されています。

また、JavaScriptの上位セットであるTypeScriptも近年需要が増しており、JavaScriptのスキル需要は今後も上昇していくことが予想されます。

2つ目の要因は、Webプロダクトの競争激化に伴い、各企業がUI/UX領域で差別化を図ることに力を入れていることです。それによって、フロントエンドエンジニアの需要が増加し、JavaScriptのライブラリやフレームワークに詳しいエンジニアの求人倍率はさらに高くなるでしょう。

前年度好調だったC++が昨対増減率マイナス60.4%と、最も需要が減少した言語となりました。オブジェクト指向で実行速度が高く、大規模開発に多用されるC++は、製造業から大きく支持されており、前年度まで順調に割合を増やし続けてきました。しかし、2019年度下半期の景気不振に伴い、産業界からの需要が落ち着いたことから、新規求人案件が減少したと考えられます

2. フリーランスITエンジニア市場の動向

続いて、フリーランスITエンジニア市場の動向を見ていきましょう。

2018年度では、JavaとPHPの案件が全体の約43%を占め、JavaScriptが12.9%のシェアで第3位にランクインしました。2019年度では、フリーランス市場全体の傾向は前年度と大きく変わらず、引き続き大型言語の独走状態が続いております。一方、需要が大きく増減した言語もあり、変化の多い年度でもありました。

JavaとPHPが全体の約45%を占める。Pythonはランク外


フリーランス市場では、JavaとPHPの需要が依然として高く、全体の約45%を占めています。

一方、求人側で人気のPythonはランク外。C#/C#.NETはJavaScriptを抜き、3位にランクインし、上位5言語が全体シェアの70%近くを占める形になりました。

Python需要は情報流出への懸念から求人側に傾く

シェア1位のJavaは根強い人気を誇り、昨年度に引き続き、SIerなどが扱う大規模toBシステムなどで採用されています。2位のPHPは昨年度より需要が減少したものの、Web開発の現場で広く使用されており、景気不振に伴うコンサバティブな言語への市場の回帰によって、需要が盛り返すことが期待されます。

求人側のPython人気と異なり、フリーランス市場ではPythonは4%のシェアにとどまっています。データサイエンスの現場で活躍するPythonエンジニアは、対象データの機密性と情報セキュリティの観点から、業務委託より正社員としての採用で多く募集されています。

また、経験の浅い若手人材の需要が一定数ある求人市場と異なり、即戦力が求められるフリーランス市場では案件数が限られていることも要因の1つに挙げられます。

C#/C#.NETはWindows案件を中心に需要増。Rubyは均衡崩れで大きく縮小

C#/C#.NETは2.27ポイントの上昇で、伸び率1位となりました。機械制御などにも利用されDXを支えているWindowsシステムに多く使われていることが、需要増に大きく寄与したと考えられます。

COBOL言語は、新規プロジェクトでの採用があまり見かけない一方、長年金融機関や政府機構の大規模システムに使用されてきたため、保守や改修工程の需要は健在しています。正社員としての雇用ニーズは落ち着いたものの、案件側の需要はしばらく続くでしょう。

一方、前年度までは増加傾向だったRubyの需要が減少し、伸び率マイナス1.53ポイントと全体に占める割合が大きく縮小した形になりました。

Rubyが縮小している要因としては、主に以下の2つが挙げられます。1つ目は過去3年間の採用ラッシュ時に未経験人材を採用し育成に成功してきたことから、実務経験のない若手への需要が落ち着いたことです。長く続いた売り手市場が終わり、2017年度、2018年度と比較して、Ruby人材に対するスキルジャッジが厳しくなっています。

2つ目の大きな要因は、Rubyを取り入れる企業数そのものが減少したことが挙げられます。Web系の開発にRuby on Railsを使用していた一部の企業はPython、PHPにリプレイスする傾向が出てきており、Rubyの案件数減少の追い風となったと考えられます。

3. 今後注目される言語・技術

最後に、今年度の調査ではまだ増加傾向がはっきり現れていないものの、今後注目されている言語・技術を紹介します。

人手不足の深刻化に伴う業務自動化が重要課題

2019年度に引き続き、2020年度も産業界全体における人手不足に伴う業務自動化が課題になりそうです。そのため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのテクノロジーとして、UiPathなどのRPAツールを使いこなせる人材への需要は高まるでしょう。また、Java、C#.NETといったDXと相性の良い言語に、さらなる注目が集まることが期待できます。

開発側ではGo言語が期待の星

API基盤の開発などに使われるGo言語について、フリーランス側では案件割合が昨年度と比較して0.2ポイント増加にとどまっていますが、Web開発を中心に案件数が着実に増える見通しです。Googleが提供するクラウドサービスGAEをはじめ、各種クラウドサービスでGo言語はデフォルトとして利用できるなど、クラウドで活躍する言語としても存在感を高めています。

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この記事の監修

レバテックキャリア編集部

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