システムエンジニアがポートフォリオを作成すべき理由
システムエンジニア(SE)がポートフォリオを作成することに対する必要性を疑問視している方もいらっしゃるのではないでしょうか。以下では、採用担当者から見たポートフォリオの重要性について解説します。
未経験で書く内容がない方は、「エンジニア未経験者向けのポートフォリオの要素例」の章をご確認ください。
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・応募者のスキル・知識を把握するため・応募者の制作物・成果物を把握するため
・応募者の過去の経験を把握するため
応募者のスキル・知識を把握するため
ポートフォリオは、履歴書や面接だけでは伝えきれないスキル・知識をコードやプログラムで補足できるツールです。使用技術や言語の実例を掲載することで、採用担当者が応募者のスキルを評価しやすくなります。
応募者の制作物・成果物を把握するため
ポートフォリオは、制作物や成果物を通じて、応募者の実績を具体的に示すことができます。取り組みの工夫をエピソードに記載することで、採用担当者が成果をイメージしやすくなるでしょう。
応募者の過去の経験を把握するため
過去の職務経験や成長について記すことで、入社後に実務経験がどう活かされるかをイメージできます。また、成長意欲やスキルアップの具体例を記載することも、採用担当者へのアピールにつながります。
システムエンジニアのポートフォリオの構成要素
次に、システムエンジニアのポートフォリオを作成する際に記載すべき項目とその理由について解説します。
項目 | 詳細内容 |
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プロフィール | 氏名、連絡先、自己紹介を記載します。自己紹介に専門分野を盛り込むことで、採用担当者がポートフォリオ作成の指標を掴みやすくなります。 |
スキルセット | プログラミング言語やフレームワーク、ツールの一覧を記載します。スキルごとにレベルや経験年数を示せば、即戦力となることをアピールできます。 |
これまでに関わったプロジェクトの一覧 | プロジェクトの名称や概要、担当した役割や技術スタック、成果などを記載します。特に、問題解決に向けた取り組みや実績を具体的に示すと、経験してきたことが伝わりやすくなります。 |
成果物・コードサンプル | 実際の成果物やコードの一部を示し、具体的な技術力を証明します。GitHubリンクなどを使用すると、採用担当者がコードの質を確認しやすくなります。 |
保有資格 | IT関連の資格を記載します。資格はスキルの信頼性を補強する役割を果たします。 |
技術ブログやドキュメント | 技術ブログへのリンクを掲載し、継続的な学習や情報発信への姿勢をアピールします。 |
採用担当者が最初に目にする冒頭には、応募者の強みや代表的な成果物を配置して第一印象をよくしましょう。また、プロフィールで自己紹介と得意分野を伝え、スキルセットと保有資格で専門性を強調します。プロジェクト一覧などで実務能力を示し、技術ブログで成長意欲をアピールすることで、魅力的なポートフォリオを作成できます。
システムエンジニアのポートフォリオの作り方
ここでは、システムエンジニアがポートフォリオを作成する際の手順を5つのステップに分けて解説します。
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・掲載する成果物・作品例を決める・掲載するプラットフォームやサイトを決める
・自己PRやキャリアの成果を具体的に書く
・自身のスキルセットを整理する
・わかりやすいデザインと構成にする
掲載する成果物・作品例を決める
採用担当者が評価しやすいプロジェクトや成果物を中心に掲載しましょう。システム設計書や機能のデモ、テスト設計など具体的な成果を提示するのが効果的です。守秘義務がある場合は概要を抽象化して記載するとよいでしょう。
掲載するプラットフォームやサイトを決める
GitHubならコードの品質を直接アピールでき、Webサイトなら視覚的に整理された成果物を提示できます。目的や企業ニーズに応じて、適切なプラットフォームを選びましょう。
自己PRやキャリアの成果を具体的に書く
プロジェクトでの課題解決や成果を数値で示し、どのように企業に貢献できるかを明確に伝えます。
関連記事:SE(システムエンジニア)とは?仕事内容・年収・役立つ資格などをわかりやすく解説
自身のスキルセットを整理する
スキルごとのレベル感を示します。学習中のスキルも加えれば、成長意欲をアピールできるでしょう。
わかりやすいデザインと構成にする
セクションを明確化し、箇条書きや見出しを活用しましょう。シンプルで直感的なデザインを心がけることが大切です。
システムエンジニアのポートフォリオの要素例
システムエンジニアのポートフォリオの要素例を未経験者の場合と経験者の場合に分けて紹介します。それぞれポイントも解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
・エンジニア未経験者向けのポートフォリオの要素例
・経験者向けのポートフォリオ例
エンジニア未経験者向けのポートフォリオの要素例
未経験者向けのポートフォリオは、学習過程や個人プロジェクトを中心に構成するのがポイントです。シンプルなプロジェクトでも、基礎的なスキルを保有していることを伝えられます。さらに、学習内容や具体的な習得スキルを示し、成長意欲をアピールすることが重要です。
例として、ポートフォリオには以下を含めるとよいでしょう。
・プロフィール
名前 | 田中太郎 |
連絡先 | tanakataro@sample.email |
自己紹介 | 未経験からシステムエンジニアを目指して学習中です。特にPythonやデータ可視化に興味があります。基礎からスキルを習得し、Webアプリケーションやツールを開発しています。 |
保有資格 | 基本情報技術者 |
技術ブログ | https://tanakataro.blog.sample.com |
成果物(GitHub) | https://github.com/sample/tanakataro |
・スキルセット
プログラミング言語 | Python、HTML/CSS、MySQL |
利用経験のあるツール | Git、Excel、Tableau |
学習中の技術スタック | JavaScript、Django |
・これまでに作成してきたアプリケーション・ツール
ツール名 | タスク管理アプリケーション |
概要 | タスクの登録、完了状態の管理が可能なアプリケーションを実装 |
役割 | フロントエンドとバックエンドの設計・実装を担当 |
使用技術 | Python、HTML/CSS、MySQL |
成果 | 基本的なCRUD操作を実現 |
未経験の場合、課題やプロジェクトに取り組むプロセスを文章で詳しく説明し、問題解決能力や学習プロセスを強調することも有効です。
経験者向けのポートフォリオの要素例
経験者向けのポートフォリオ例として、特定分野に特化した例やチームでの協働力をアピールした例などをいくつか紹介します。
特定分野に特化
経験者向けのポートフォリオでは、特定の分野に特化したスキルや実績を明確に示すことが効果的です。また、使用したアーキテクチャの図解や運用改善に成功した具体例を記載することで、専門性を強調できます。
例として、ポートフォリオには以下を含めるとよいでしょう。
・プロフィール
名前 | 田中二郎 |
連絡先 | tanakajirou@sample.email |
自己紹介 | クラウドインフラやシステム設計に特化した経験を持つシステムエンジニアです。運用改善やコスト削減を得意とし、プロジェクト全体を効率化する役割を担ってきました。 |
保有資格 | AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト 応用情報技術者 |
技術ブログ | https://tanakajiroublog.sample.com |
成果物(Github) | https://github.com/sample/tanakajirou |
・スキルセット
プログラミング言語 | Python、JavaScript |
クラウド技術 | AWS(EC2、S3、RDS)、Azure |
インフラ管理ツール | Terraform、Docker、Kubernetes |
CI/CDツール | Jenkins、GitHub Actions |
データベース | MySQL、PostgreSQL |
・これまでに携わったプロジェクト一覧
1. クラウド基盤の設計・構築
概要 | EC2、S3を活用したコスト効率の高いクラウドインフラの設計と構築 |
役割 | インフラ設計、Terraformによるインフラ自動化、リソース監視設定 |
使用技術 | AWS(EC2、S3)、Terraform、Docker |
成果 | リソースのコスト削減を20%達成 |
2.マイクロサービスアーキテクチャへの移行
概要 | オンプレミスからクラウドへの移行とマイクロサービス化の推進 |
役割 | マイクロサービスの設計、クラウドリソースの最適化、チームリーダーとしての進捗管理 |
使用技術 | Kubernetes、AWS Lambda、API Gateway |
成果 | システム稼働率を99.9%に向上 |
チームでの協働力を強調
採用担当者は、技術だけでなくチームでの協働力も重視します。そのため、チームプロジェクトでの役割や貢献をポートフォリオに含めると効果的です。
例として、ポートフォリオには以下を含めるとよいでしょう。
・プロフィール
名前 | 田中 三郎 |
連絡先 | tanakasaburou@sample.email |
自己紹介 | 大規模プロジェクトでのチームリーダー経験を持つシステムエンジニアです。API設計やチームマネジメントを通じて、開発効率や納期管理の改善を実現してきました。 |
保有資格 | 応用情報技術者 Java Silver |
技術ブログ | https://tanakasaburoublog.sample.com |
成果物(GitHub) | https://github.com/sample/tanakasaburou |
・スキルセット
プログラミング言語 | Java、JavaScript |
フレームワーク | Spring Framework、Node.js |
プロジェクト管理ツール | JIRA、Confluence、Slack |
その他 | API設計、CI/CDパイプラインの構築、アジャイル開発手法 |
・これまでに携わったプロジェクト一覧
大規模ECサイトの機能拡張プロジェクト
概要 | 既存のECサイトに新機能を追加するプロジェクト。主にAPI設計とタスク管理を担当し、効率的な開発を推進しました。 |
役割 | チームリーダーとしてタスクの進捗管理、メンバーサポート、API設計を担当 |
使用技術 | Java, Spring Framework |
成果 | プロジェクトの期間を10営業日前倒しして完了、開発効率を30%向上 |
継続学習・自己研鑽を強調
経験者の場合でも、成長意欲をアピールすることは重要です。最近学んだ新技術や個人での実験的なプロジェクトを掲載することで、スキルアップへの意欲を示すことができます。
例として、ポートフォリオには以下を含めるとよいでしょう。
・プロフィール
名前 | 田中 四郎 |
連絡先 | tanakataro@sample.email |
自己紹介 | システムエンジニアとして、新技術の学習と現場への応用を重視してきました。個人プロジェクトとして、AIモデルの構築に取り組んでいます。 |
保有資格 | Python 3 エンジニア認定データ分析試験 |
技術ブログ | https://tanakashiroublog.sample.com |
成果物(GitHub) | https://github.com/sample/tanakashirou |
・スキルセット
プログラミング言語 | Python |
フレームワーク | TensorFlow |
クラウド技術 | AWS |
データベース | MySQL |
その他 | Docker |
・これまでに個人で進めてきた実験的なプロジェクト
概要 | TensorFlowを使った簡易な画像分類モデルを開発 |
役割 | データ収集と前処理、AIモデルの構築 |
使用技術 | Python、NumPy、Pandas、TensorFlow |
成果 | 機械学習の基礎コースを修了し、その内容を元に個人開発を進めプロトタイプを作成 |
ポートフォリオをブラッシュアップする方法
ポートフォリオは作成して終わりではなく、定期的に修正と更新が必要です。ここでは、一度作成したポートフォリオをよりよいものにしていくための方法を解説します。
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・プロのアドバイザーの添削を活用する
・ChatGPTなどの生成AIを活用する
プロのアドバイザーの添削を活用する
ポートフォリオを効果的なものにするには、転職エージェントや現役エンジニアからのフィードバックが有効です。特に、IT分野に特化したレバテックキャリアは、採用担当者視点の具体的な改善案を提供してくれます。技術的な不足やデザインの改良点を把握することで、即戦力としての印象を強化できるでしょう。
関連記事:エンジニアの最適な転職タイミングは?成功させるポイントも解説
ChatGPTなどの生成AIを活用する
生成AIツールは文章の質向上や構成改善を提案し、ポートフォリオの具体性向上に役立ちます。効率的なフィードバックを活用し、ポートフォリオのブラッシュアップを図りましょう。
参考:ChatGPT
まとめ
システムエンジニアのポートフォリオについて解説しました。システムエンジニアにとってポートフォリオは、転職に欠かせないツールの1つです。スキルやこれまでの実務経験をまとめ、キャリアアップに活用しましょう。もしフィードバックが必要だと感じた際は、レバテックキャリアの活用がおすすめです。採用担当者視点の具体的な改善案を提供してくれます。工夫を施して質の高いポートフォリオを作成しましょう。
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