- SIer系企業とWeb系企業の6つの違い
- そもそもSIer系企業とWeb系企業とは
- SIerからWeb系への採用面接でアピールすべきポイント
- SIerからWeb系への転職時に見直すべき3つのこと
- Web系へ転職したら身につけるべき考え方
- SIer系とWeb系企業に関するよくある質問
- まとめ
SIer系企業とWeb系企業の6つの違い
SIer系とWeb系の違いは仕事内容や求められるスキルのほか複数あるため、転職を検討する場合は注意が必要です。SIer系とWeb系の違いを知らずに転職してしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうことにもなりかねません。
また、年収や将来性といった点の違いも転職を考える上では重要な要素でしょう。
SIer系企業とWeb系企業の違いは代表的なものとして6つあります。以下で具体的に解説していくので、違いをよく理解しましょう。
1.プロジェクトの規模と開発スピードの違い
開発スピードが異なる点は大きな違いの1つといえます。
Sler系は大規模なプロジェクトが多いため、膨大なタスクが発生します。そのため、1人の役割が細分化・明確化されているのがSler系の特徴です。また、規模が大きいために納期が1年を超える長期的な設定となることも珍しくありません。
その反面、Web系は比較的プロジェクトの規模が小さいため、開発のスピード感が重要視されます。開発やテストの工程では、1人が複数タスクを担当することもあるため、関わる領域は広く円滑なコミュニケーションが欠かせません。
2.開発手法の違い
SIer系とWeb系では開発手法も大きく違います。SIer系は上流工程から下流工程まで順を追って進めていくウォーターフォール型が主流です。一方で、Web系は速度感に重点が置かれるため、おおまかな仕様かつ短期間で開発・テストを反復するアジャイル型が多く用いられます。
とはいえ、SIer系企業でアジャイル型が採用される場合もあります。
3.使用する言語・技術の違い
Sler系は、確実にプロジェクトを成功させるため、既存の言語・技術で開発を進めることが多く、新たな技術を採用する場面はそれほど見られません。使用するプログラミング言語はJavaやC#などが多いです。
その反面、画期的なサービスを追い求めるWeb系では、最新技術に前向きな傾向が見られます。扱う言語はさまざまですが、PHPやPython、Rubyなどが人気です。
4.求められるスキルの違い
SIer系とWeb系では求められるスキルにも違いがあります。担当する役割が明確化されているかいないか、納期に余裕はあるか、重視する点は何か、といったさまざまな面での違いがあるためです。
Sler系からWeb系に転職するのであれば、それまでに培ったスキルが役立つ場面も多々ありますが、転職後に求められるスキルも事前に知っておくと良いでしょう。
SIer系とWeb系でそれぞれ特に求められるスキルを解説します。
SIer系で求められるスキル
Sler系は、上流から下流工程に至るまでの過程でその都度、目的と手段を理解し確実にタスクをさばいていくことが求められます。比較的プロジェクトの規模が大きいため、1つのミスが全体の進捗に悪影響を及ぼす可能性もあります。
SIer系ではプログラミングやシステムの仕組みへの理解、プロジェクトを管理するマネジメント力も必要です。
また、クライアントの意向に沿ったプロジェクトを遂行するためには、チームメンバーやリーダー・マネージャーとの関係性を築くことも大切です。
Web系で求められるスキル
Web系はスピード重視のため、マルチタスクスキルと高いコミュニケーション能力が求められます。納期に追われることが多いため、正確な状況把握と周囲との意思疎通が重要といえます。
Webデザイナーやインフラエンジニアなどの職種の場合、プログラミングスキルに加えてデザインスキルも必要です。
Web系は1人で複数業務をこなすケースも多々あり、そのためには幅広い知見と全体を俯瞰する観察力が求められます。どのような状況でも冷静に判断し、状況に応じてチームメンバーと相談しながら進めていかなくてはいけません。
5.年収の違い
SIer系とWeb系の年収を比べると、大規模プロジェクトを手掛けることの多いSIer系のほうがやや高い傾向が見られます。ただし、給与面での条件は採用元の企業によっても異なるため、一概にはいえません。
SIer系は下請け構造が受注金額に大きく影響するため、元請けとなれる企業のほうが年収も高くなりやすいです。一方で、Web系は実力主義が多い傾向なので、スキル次第で高収入を目指しやすいでしょう。
高いスキルと実力があれば、評価につながりやすく、年収にも直結しやすいです。実力主義のスタンスをとる企業が多くなってきているため、成果が認められればSIer系でもWeb系でも高い年収を得ることが可能といえます。
6.将来性の違い
Sler系企業は官公庁や金融業界などのクライアントを持っているケースが多々あるため、規模の大きいプロジェクトになることが多く、業績も安定しやすいといえます。ただし、クラウド技術の進歩によってSler系の市場規模が縮小していくことが懸念されているのも事実です。
Web業界の市場規模は拡大を続けており、特にSNSやオンラインサービスの普及が進んでいます。今後もさらにWeb系の需要は高まっていくと考えられています。しかし、Web系はトレンドの移り変わりが非常に早い業界です。一般的に求められるWeb系のスキルを身につけていても、新しい技術や変化に適応していく力がなければ活躍し続けるのは難しいといえます。
関連記事:SIerの将来性は?今後なくなると言われる理由と市場価値
そもそもSIer系企業とWeb系企業とは
SIer系企業とWeb系企業の違いは、誰のために開発するかという点においても明白です。Sler系はクライアント、Web系はWebサービスのエンドユーザーのために必要なシステムの構築を手掛けます。
Sler系とWeb系の違いを把握し、さらに、それぞれに分類される職種や向いている人の特徴を知れば、違いをより明確にできます。
以下でSler系とWeb系の定義や職種、向いている人の特徴を確認していきましょう。
SIer系企業とは
「Sler」とは、クライアントからの依頼により要望に沿うシステムを構築する企業のことをいいます。システムの設計をはじめ開発、導入、運用・保守のすべてを請け負い、クライアントの課題解決を実現します。
クライアントとしては官公庁や金融、製造、不動産、保険など業界はさまざまです。プロジェクトの受注金額がSler企業の売上に直結し、大規模案件が多いために経営は安定しやすいといわれています。
SIer系企業で活躍することの多い職種
Sler系企業で活躍できる代表的な職種は以下のとおりです。
-
・プログラマー
・システムエンジニア
・インフラエンジニア
・プロジェクトリーダー/プロジェクトマネージャー
・ITコンサルタント
まずはプログラマーとして経験を積み、その後システムエンジニアとなり、さらにプロジェクトリーダーを経てプロジェクトマネージャーとなるのがSler系の一般的な流れです。また、Sler系はクライアントの経営戦略や経営課題を解決することも重要であるため、ITコンサルタントとしての活躍も期待できます。
SIer系企業に向いている人の特徴
Sler系は将来的にプロジェクトを牽引していきたいリーダー志望の人に向いているといえます。プログラマーやシステムエンジニアはシステム開発に関わることが多いですが、キャリアアップの過程でチームをまとめたり、全体の管理を担う仕事内容にシフトしていきます。
また、Sler系企業はクライアントの課題解決のために、寄り添い、いかに要望に沿ったシステムを提供できるかが重要です。そのため、プロジェクトを円滑に進めるためのリーダーシップやマネジメントスキル、社内外との高いコミュニケーションスキルを持つ人が向いています。
Web系企業とは
Web上で展開する自社サービスを開発するのがWeb系企業です。主に、スマートフォンなどから誰でも気軽にアクセスできるオンラインサービスやWebアプリケーションなどを開発します。
自社サービスであるため、企画から開発、リリース後の運用はすべて自社で手掛けるのが特徴です。また、納期の調整も自社で行えるため、融通が利きやすいといえます。Web系企業は開発したサービスの運用が自社の売上になります。
Web系企業で活躍することの多い職種
Web系企業では、以下のような職種が活躍できます。
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・Webデザイナー
・Webディレクター
・インフラエンジニア
・プロダクトマネージャー
・Webマーケター
Web系はさまざまなサービスのデザインも手掛けるため、プログラミングスキルをはじめ、トレンドに合わせたデザイン・マーケティングスキルがあると活躍の場が広がりやすいです。また、複数スキルを身につければフルスタックエンジニアとして活躍する道も考えられます。
Web系企業に向いている人の特徴
Web系はユーザーの視点に立ってサービスを開発したい人に向いています。また、Web系はスピードおよびマルチタスクが求められることが多いため、冷静かつ臨機応変に進められる人はより適しているといえます。
また、ユーザーに効果的な印象を与えるためのクリエイティブな資質も大切です。Web業界で必須となるデザインスキルやマーケティングスキルがあり、最新トレンドにも適応していければ活躍しやすいでしょう。
SIerからWeb系への採用面接でアピールすべきポイント
どのような職種であっても、採用面接で効果的なアピールができなければ意欲もスキルも伝わりにくく、せっかくの機会を逃すことになりかねません。転職を成功させるためには、事前の下調べや対策を十分に行い、面接時のポイントも押さえておくと良いでしょう。
ここでは、SIer系からWeb系へ転職する場合に面接でアピールすべきポイントを解説します。
新しい技術をキャッチアップする姿勢
技術やスキルの程度は採用面接で重要とされる要素です。面接では伝わりづらいソースコードの分かりやすさといった技術スキルの程度や日々の学習成果をアピールするには、GitHubやQittaを活用すると効果的です。
GitHubはオンライン上で自分のソースコードを管理でき、面接官にアカウントを共有することでスキルを評価してもらえます。また、ログも閲覧可能なため、自己学習にどれだけコミットしているかも証明できます。
Qittaは、エンジニアとしての知識を記録したり共有したりできるサービスです。エンジニアの情報共有が主な目的とされていますが、学習のアウトプットとしても有効です。Qittaのアカウントを公開すれば自分が投稿した内容を評価してもらうことが可能です。
ユーザー目線での課題発見・解決力
Web系ではエンドユーザーに対し、いかに良いサービスを提供できるかが重要となります。ユーザー目線で分析し課題を見つけたり、サービスの魅力や利便性を高めるためのアイデアを伝えたりする提案力が評価されます。また、それに伴うコミュニケーションスキルも必須です。
Slerでの具体的な経験を挙げ、課題解決のための提案力やコミュニケーション力を示せると良いでしょう。
継続的な運用ができるような開発意識
Web系は開発スピードが重視され、あらかじめリリース後の修正・変更が前提とされていることが多いです。そのため、Web系で求められるスタンスを理解し、その流れを想定できることをアピールできると良いです。
Sler系の経験で効果的にアピールできる具体例としては「誰が見ても分かりやすく見やすいソースコードが書けるか」といったことなどが挙げられます。自分だけが分かれば良いという考えではなく、修正・変更する人がスムーズに作業できるように配慮することが大切です。
関連記事:SIer・SESや未経験からWeb系企業への転職を成功させるには
SIerからWeb系への転職時に見直すべき3つのこと
Sler系企業からWeb系企業へと転職する場合には、SIer系で当たり前だったことや考え方がWeb系では適さないこともあります。転職後も引き続き活躍していくためには、Web系企業との違いや特徴を踏まえた上で、見直すべきこともあるでしょう。
ここでは、Sler系からWeb系へ転職を考える人が見直すべき3つのことについて解説します。
設計書に凝りすぎる
Sler系では、設計書はプロジェクトの内容を理解するための重要な資料であり、多数の担当者の目にも触れるため、その内容は正確でなければなりません。それゆえ、設計書の質に執着しすぎてしまうエンジニアも見られます。
一方で、Web系では設計書が簡易的であったり必要とされなかったりするケースが多いです。また、開発担当者の入れ替えはほとんどなく関わる人数も少ないため、その都度、必要事項をやり取りしながらスピーディーに進めていくスタンスをとっています。結果として、設計書はそれほど重要視されていません。
Web系ではSler系のような設計書への強いこだわりは必要ないといえます。Sler系から転職する際は、Web系のスタンスに柔軟に適応できるよう不要なこだわりを捨てましょう。
バージョンアップを敬遠するマインド
Web系はデザインなどのトレンドや取り入れる技術の移り変わりが早い業界です。扱うプログラミング言語の種類も多く、最新技術にも敏感である必要があります。それゆえ、自分のスキルを過信せず、常に向上心を持って取り組んでいくマインドが大切です。Sler系で身につけた技術が活用できる場面もあれば、逆にそういった機会が少なくなることも考えられます。
いずれにせよ、Web系に転職するのであれば、Web系に求められるスキルや知識に重点を置き、積極的に新しい技術や知識を養っていく必要があるでしょう。
愚痴のための飲み会
SIer系の懇親会では、プロジェクトのPMや上司などに関する日頃の業務の不満が多くなりがちです。「飲みニケーション」は懇親を深める上で大切であり、本音を語るには良い機会といえます。
とはいえ、不満を共有してばかりではチームの士気が下がってしまいます。メンバーと打ち解けられる機会を有効に活用し、悩みを相談したり最新技術について意見を交わしたりと、ポジティブな場とするほうが圧倒的に生産的でしょう。
Web系へ転職したら身につけるべき考え方
SlerからWeb系に転職した場合、これまでの業務との違いに違和感や戸惑いを感じることもあるでしょう。Sler系とWeb系の違いは多く、それらを転職前に知っておくことで少しでもギャップを埋められます。さらに、転職後に直面するWeb系ならではの考え方や心得も理解しておくとより安心です。
ここでは、Web系へ転職したら身につけるべき考え方について解説します。
「MVP + 拡張性が高い設計」のバランス
Web系ではサービスを短期間で開発・リリースし、その価値を検証するMVP開発のスタンスが大事です。しかし、その反面で長期的な課題となりそうな要件を分析し、低コストで反映出来る設計にできるかを検討する俯瞰の目も必要です。
MVPとはユーザーに対して提供できる最小限のプロダクトを指しますが、価値が評価されたとしてもミニマム過ぎるとその後の追加機能の実装が大変です。
ゆえに、Web系ではMVPとその後の修正や追加機能を考慮したバランスのとれた設計を考えるべきといえるでしょう。
自分で仕事を作ったり、優先順位を決める意志力
Sler系からWeb系への転職直後は基本的に、上司から振られる実装やテストといった仕事を納期に合わせて進めていくことが多いです。やりたい仕事とは違うこともあるかもしれませんが、下積み期間はどのような職種にでもあり、キャリアアップのための土台を作る期間ともいえます。
とはいえ、いつまでも与えられた仕事をこなしているだけでは周囲に追い抜かれてしまうでしょう。ある程度経験を積んだあとは、自分なりの軸を持って仕事をし、自発的に行動していくことが大事です。
デプロイフローまでの仕組み作り、積極的な自動化の仕組み作り
SIerの場合は「QAならこの人」「デプロイならこの人」といったように、専任のポジションが割り振られるケースが多いです。その結果、「メンバーがどういった手順で進めているのかが全く分からない」という状況になりがちです。その場合、状況把握のための無駄なやりとりが発生してしまい、全体の進捗への影響が懸念されます。
したがって、やりとりをショートカットするために、担当業務以外でも何でも積極的に行動したり、ほかの人に任せられる場合は仕組みを作って対応したりするのが望ましいでしょう。
SIer系とWeb系企業に関するよくある質問
Sler系からWeb系へ転職を希望する方から、多くの質問が届いています。Sler系とWeb系を比較すると違いが多く、転職を検討する際には注意が必要です。特に年収や将来性など、企業による部分が大きいものについては一概にいえないため、決断に迷う方も多いようです。
ここでは、Sler系とWeb系企業に関するよくある質問へ回答していきます。
Q1. SIerとWeb系企業の違いは何ですか?
Sler系はクライアントから依頼を受けて要望に沿ったシステムを開発する一方、Web系は自社サービスを開発しユーザーへ提供します。開発手法も違い、Sler系はウォーターフォール型、Web系はアジャイル型で開発するのが主流です。ほかにも、扱う言語やスキル、将来性、年収などで違いがあります。
Q2. SIerとWeb系企業の年収は?
Sler系は大型案件が多く経営が安定しやすいため、それに比例し年収も高めです。ただし、企業が下請けになればなるほど年収も低くなりがちです。
Web系は実力主義の場合が多く、スキルと成果により高収入が目指せます。デザインスキルや先端技術など複数スキルを習得すれば活躍の場が広がり年収を上げていけます。
まとめ
SIerからWeb系へ転職をするためには、違いを理解し、自分の中で重視したい点や優先順位を明確にすることが重要です。また、志望する企業の下調べも十分に行っておくと、よりギャップを少なくできます。
Web系へ転職後は、Slerでの経験が活かせる部分は存分に活かし、Web系の業務スタイルや考え方に柔軟に対応していくことが望ましいでしょう。とはいえ、違いを知った上で、最終的にSlerを続けていく決断に至ったとしても間違いではありません。
キャリアプランは、人生において非常に重要です。Sler企業でキャリアアップを目指すのか、Web系企業へ転職してキャリアを築くのか、自分にとってどちらの選択肢が適しているのか慎重に判断しましょう。
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