Webディレクターとは
Webディレクターとは、Web制作の現場においてプロジェクトの指揮や監督、管理をする職種です。Web制作の現場の責任者として、予算管理やプロジェクトメンバーのマネジメント、コンテンツの品質管理などさまざまな業務を担います。
案件によってはWebプランナーの業務を兼務することもあり、その場合、Webサイトのコンテンツに関する企画発案やクライアントへの提案も行います。そのため、要件定義や企画書の作成、取材・撮影のディレクションも業務範囲です。
関連記事:Webディレクターとは?仕事内容や求められるスキルについて
Webディレクターの仕事内容
Webディレクターは、クライアントの要望をまとめて制作スケジュールを設計し、プロジェクトの進行・品質管理なども担います。納期・予算の設定や各方面への指示出し、新サービス立案など対象範囲は幅広く、求められているクオリティを保ちながらWebサイトをリリースすることを目標にチームを導く仕事です。
企業や業界、プロジェクトによってWebディレクターの役割は違い、企画や設計からスタートする場合もあれば、運用のみを管理する場合もあります。ここではWebディレクターの仕事を大まかに5つにわけて紹介します。
ヒアリング
顧客や関連部署からWeb制作の目的や要件の聞き取りを行います。制作の目的や要件によって、今後のアウトプットが変わってくるため、Webディレクターの手腕が問われる工程の1つです。中にはクライアントの要望が抽象的な案件もあり、ヒアリングスキルによって具体的なプロジェクトのビジョンを共有できるかが重要になります。
企画
ヒアリング結果に応じて、Webサイト全体の方針、コンセプトを明確化・文書化します。市場調査を通じたユーザーの行動パターン分析、競合サイトから差別化できる要素調査、年齢や職業などを含めたペルソナの設計なども対象です。
設計
デザイナーやライターなどサイト制作を行うポジションと話し合い、Webサイトの構成をまとめます。各ページ間で遷移する流れを構造化したサイトマップや、画面の枠組みを簡易的に表現したワイヤーフレームの作成を指示するのがWebディレクターの役割です。
また、作成された成果物を関係者に説明し、作業範囲やスケジュールについての了承を得るのもWebディレクターの仕事となります。
開発
開発作業にはエンジニアやデザイナー、ライターなど、さまざまな職種が携わっており、Webディレクターは各メンバーの状況を把握し、チームを牽引する役割を担います。
Webディレクターはコーディングやデザイン、コンテンツ制作のそれぞれについて、進捗が計画どおり進んでいるか、成果物の品質が基準を満たしているか確認し、状況に応じて改善策をとります。
運用
Webディレクターは、SEOやアクセス解析の作業を通じ、Webサイト開発後の改善案の考案・実行を任される場合があります。Webサイトは開発したあとも成果を継続して上げられるよう、改善を続けていくことが求められるからです。この改善方法の提案や策定も行う場合があります。
事業会社と制作会社におけるWebディレクターの役割の違いとは
Webディレクターの役割は、データ分析やコミュニケーション能力、マネジメントスキル、Webの仕組み、デザインに関する知識などを活かしてプロジェクトを円滑に進めることです。しかし、求められる役割は、業界によって違いがあります。
Webディレクターが働く業界は、自社企業のWebサイトやECショップなどを運用する「事業会社」と他企業のWeb制作を請け負う「制作会社」の2つに大きく分類できます。事業会社と制作会社それぞれの違いをチェックしていきましょう。
事業会社のWebディレクター
事業会社とは、自社のWebサイトやWebサービスを運用する企業を指します。事業会社でのWebディレクターは「アクセス数」「問い合わせ数」「離脱率」といったKPI (重要評価指標)を分析し、Webサイトの改善案を導き出す役割を持ちます。
Webサイトが持つ機能やUI(ユーザーインターフェース)、UX(ユーザー体験)、マーケティング施策などを、複数の部署と連携しながら幅広く検討し、チームとしてWebサイトの成果を向上させるのが大切です。Web制作において比較的幅広い範囲を担当するため、企業によってはWebプロデューサーに近い役割を担う場合もあります。
事業会社のWebディレクターは1つのプロジェクトに長期的に携わります。特定の分野に特化した働き方がしたい人、単独のメディアに対して専門性を高めたい人などが向いているでしょう。
制作会社のWebディレクター
制作会社とは、他企業からWeb制作を請け負いクライアントの要望に合わせてWebサイトなどを代行制作する企業です。多種多様なWebサイトを構築するため、制作会社のWebディレクターには顧客の要望を聞き取り計画的な納品ができるマネジメントスキルが強く求められます。
さまざまなメディアと携われるため、分野をまたいでWeb全体の仕事に関わりたい人には向いているでしょう。また、Webディレクターの上位職であるWebプロデューサーとも一緒に仕事することが多く、さらにWeb制作現場でのキャリアパスを考えている人にもおすすめです。
Webディレクターは未経験可の求人が存在する
Webディレクターへの転職は経験者が有利といわれていますが、未経験でもチャンスはあるでしょう。実際に2024年11月時点でレバテックキャリアに掲載されている求人情報のうち、未経験可のWebディレクターの求人は存在しています。
【想定年収】
400~700万円
【業務内容】
・コンテンツ企画、構成作成
・コンテンツ制作の進捗管理
・全体の校正、修正依頼などとりまとめ
・コンテンツ分析から改善
・ライターの管理、育成
・オペレーション改善など
【求められるスキル】
・営業経験
・アパレル業界などの顧客折衝経験
・コンテンツ制作業務未経験可能
上記の未経験可能求人でもわかるように、Webディレクターは専門性の高さよりもプロジェクトを牽引していく力のある人が求められる傾向にあります。また、専門的な能力が必要な工程は専門職に任せ、そのほかのディレクション業務ができる素養が求められます。
これまでプロジェクトリーダーを行った経験や、数人規模でもリーダーとしての経験があると、より転職に有利といえるでしょう。ただし、未経験で応募できるとしても、最低限の業界知識は身につけておく必要があります。
Webディレクターの求人・転職情報>
関連記事:Webディレクターへの転職|未経験からの目指し方や年収・求人例
未経験からWebディレクターになるには
未経験からWebディレクターになる場合には、Web業界経験者とはアプローチの方法が異なります。Webディレクターになるのに、学歴や特別な検定資格は必要ありません。ただし、Webサイト構築に必要な基礎知識や市場リサーチの際に使うマーケティングスキルは大切です。
この点を踏まえ、それぞれの方法を見ていきましょう。
Web業界経験者の場合
Web業界経験者の場合は、キャリアアップの選択肢の1つとしてWebディレクターを目指すことができます。WebデザインやITシステム、アプリケーションのプロジェクトに携わった経験があるなど、Web業界の仕事の流れを把握できていることは、就職・転職において有利に働く点といえます。
ここでは、Web業界経験者がWebディレクターに転職する場合のよくある2つのパターンを解説します。
デザイナーやコーダーから転身する
デザイナーやコーダーとは比較的学習コストの低い専門職であり、Web業界のキャリアスタートとして選ばれやすい職業です。Webディレクターへの転身を考えている場合、まずはWebデザイナーやコーダーを目指すのも一つの手段です。
メリットとしては、Web業界に在籍しているあいだにWebディレクターの動きが分かるので実際の業務の流れが把握しやすくなります。また、Webディレクター養成講座やWebディレクションについて学べるスクールを活用すれば、体系的かつ効率良く知識とスキルの習得が可能です。
営業職から転身する
企業の営業職からWebディレクターへの転身者もいます。勤務先でWeb系の仕事に携わったことをきっかけに、営業の経験を活かしてWebディレクターを目指すケースなどです。
営業とWebディレクターの共通点は、顧客とのコミュニケーションをとる機会が豊富にあることです。営業職で培える洞察力や論理的に説明する力といったスキルは、Webディレクターの仕事に十分に活用できます。さらに、Webディレクターになりたい熱意をアピールすれば、Webディレクターの未経験者でも採用される可能性はあるでしょう。
Web業界未経験者の場合
Webディレクターは未経験可の求人は存在するものの、プロジェクトの管理者としてさまざまなスキルが求められるポジションのため、必要なスキルや経験値の幅が広いです。3〜10年程度の業界経験や即戦力となるスキルの提示が必要となるでしょう。
まずは、何かしらのWeb制作や開発案件に携わり、業界経験やスキルの習得を目指しましょう。Web業界未経験者がWebディレクターを目指すプランとしては、以下の2つがあります。
まずはWeb業界でWeb関連職種の経験を積む
Webディレクターは業界経験が求められるため、採用されやすいWeb業界の職種を経験してからWebディレクターを目指すのが望ましいです。
WebエンジニアやWebデザイナーはWeb関連業種の経験がなくても転職しやすい職業です。また、プログラミングやデザインはスクールやオンライン上の学習ツールが豊富であり、卒業生を対象とした就職サポートを行っているサービスも多くあります。このようなサービスを利用してWeb業界に入り、経験を積んだあとにWebディレクターへのステップアップを目指しましょう。
アシスタントとして経験を積む
アシスタントとしての経験を積んでからWebディレクターを目指すプランです。アシスタントとは、Webディレクターの指示に従って企画書や提案書の作成、進捗管理表といった各種資料の更新などを行う職種です。Webディレクターとともに商談に同席する場合もあります。
アシスタントは、Webエンジニアなどほかの職種と比較すると求人数は少なめですが、業界経験を問わないケースもあるようです。とはいえ、まったくWeb業界の知識がないと厳しいので、Webディレクションを学べるスクールなどで知識を身につけておくと良いでしょう。
未経験からWebディレクターを目指す際の転職活動のポイント
未経験からWebディレクターを目指す場合は、転職に向けて独自に得た知識やスキルを証明することが大切です。実務経験の少なさを意欲や自身の強みなどでカバーし、採用担当者にどれだけポジティブな印象を与えられるかがポイントとなります。応募の際に提出することとなる履歴書の志望動機や職務経歴書の書き方などを工夫し、ほかの応募者との差別化を図るのがポイントです。
そこで、未経験からの転職活動のポイントをまとめました。1つずつ見ていきましょう。
キャリアの棚卸しをする
自身の経験してきた業務や業務上で得た知識・スキルなどを振り返り、何を自分の強みとしてアピールすべきかを検討しましょう。Webディレクターに求められるマネジメントやコミュニケーション力の高さが伝わる経歴があると、転職において有利に働きやすいです。
志望動機(転職理由)を明確にする
未経験からWebディレクターを目指すには、その動機を示すための志望動機が重要となります。まずは自分の気持ちに素直になることが大切ですが、それだけでは自分本位の動機となり十分とはいえません。志望動機には、なぜその会社を選んだのか、どのように貢献できるかなど、採用する企業側のメリットになる点に触れるのも大切です。
また、志望動機の例文やテンプレートをそのまま書き写すのではなく、自分の言葉を使って志望動機を作成しましょう。
効果的な職務経歴書を作成する
職務経歴書には、過去に所属していた企業での業務内容や職位、実績をアピールします。資格やスキルをアピールする場合は、できるだけWebディレクターの仕事に役立つものに絞り込むと効果的です。特に、書ききれない場合は、Webディレクターの仕事に活かせそうなものを優先して記載すると良いでしょう。
記載事項は簡潔にまとめ、分かりやすさや見やすさを意識して作成するのもポイントです。
志望先に合わせた自己PRを作成する
自己PRは、やみくもに自分をアピールするのではなく、応募先の企業に関連した内容を記述することが重要です。そのためには、求人の応募条件やその企業の社風、代表者挨拶などをヒントに書くと、的を射た内容になるでしょう。入社後、数年先にどのようなことがしたいか、どのような姿になっていたいなど具体的なビジョンも添えると、期待感を感じてもらいやすいです。
面接対策をする
面接では、ほとんどの場合志望動機など定型的な質問に加え、受け答えの内容に応じてイレギュラーな質問も想定されると考えておきましょう。ここでは、Webディレクターへの転職面接に対する対策をいくつか解説します。
Webディレクターとしてどのような仕事をしたいか伝える
未経験でWebディレクターに応募する場合でも、入社後にどのようなWebディレクターを目指しているのか、積極的にアピールしましょう。ここで重要なのが、応募先企業が求めているWebディレクターと自分のしたい仕事が上手くマッチしているかです。未経験者でも、積極的に仕事を覚えていく姿勢を見せると効果的です。
会社の志望理由を伝える
未経験のWebディレクターを採用している会社の中でも、なぜこの企業に応募したのか、その理由を聞かれる場合があります。社風や企業理念、代表者の挨拶などをあらかじめ調べて、自分が共感できる部分を経験に絡めて上手く回答できれば、説得力のある応募理由になるでしょう。
転職エージェントを活用する
未経験でWebディレクターを目指す場合、転職エージェントを活用するのが効果的です。専門のキャリアアドバイザーの意見を参考に、転職できそうな会社や希望する条件の会社に絞れば、効率的に転職活動を進められます。スキルの棚卸しや転職の相談もできるため、積極的に転職エージェントを利用するのも1つの手です。
求人を見極める
未経験でWebディレクターへ応募する場合、新卒や第二新卒を対象としたWebディレクターの求人にも注目しておきましょう。この場合、異業種からの転職者とは異なり、それほど高いスキルは要求されません。
また、Webディレクターの求人に応募する際は、入社後に担当する仕事内容や研修・OJTが充実しているか、自分の希望するキャリアを歩めるかなどよく検討しましょう。もちろん事業内容や募集背景、業務の詳細などの基本情報を把握するのも大切です。求人をしっかり確認することで、企業側がどのような人材を求めているのかが分かるため角度の高い面接対策ができます。
Webディレクターに求められるスキルと知識
Webディレクターといっても業務には幅があり、それぞれ専門的な領域によって仕事の内容は変わります。Webディレクターに求められるスキルと知識は多いと感じる人もいるでしょう。しかし、社会人として働いていく中で身につくスキルと知識もあり、すべてがWeb業界に特化しているわけではありません。
そこで、必要となるスキル・知識を、Webディレクターのすべての業務に共通するものと、企画やデザイン、テクニカル、営業系といった専門領域に大別しまとめました。
コミュニケーション能力
顧客だけではなく、エンジニアやデザイナーといった専門職のチームメンバー、営業やマーケティングといった異なる知識・役割を持った人と一緒に仕事を進めるのがWebディレクターの仕事です。そのため、円滑に業務を進めるにはコミュニケーション能力が求められます。これまでに実施してきたプレゼンテーションやヒアリングの経験はアピールポイントになります。
企画力
Web制作会社などのWebディレクターでは、どのようなWebサイトやサービスにするかといった企画力も求められます。また、Web制作における進行上で全体の方向性を報告するためにプレゼンする機会も多いです。積極的な企画力はWebディレクションにおいて強みになるため、過去に経験した企画スキルが活かされる場面をエピソードとして整理しておくと役立つでしょう。
リーダーシップ力
プロジェクトでは多くのメンバーを取りまとめるため、リーダーシップを発揮しメンバーが積極的に活動していけるような環境を整える必要があります。各種施策やWebサイトの目的を把握し、すべての人々と力を合わせられる体制を作らなくてはいけません。
プロジェクト管理能力
計画どおりに仕事が進んでいくよう、チームをまとめて管理するスキルは、多くの仕事に共通するものです。納期・品質・予算といったトレードオフの関係にある要素を管理しながらプロジェクトの目的を完遂した経験があると、高い評価を受けられるでしょう。
調整力・交渉力
Webサイト制作などのプロジェクトはクライアントの要望をもとに進めますが、納期・品質・予算などを守るためにすべてを受け入れられない場合もあります。叶えられない要望をどう調整するか、クライアントとの交渉を行うスキルもWebディレクターにとって重要なスキルの1つです。
マーケティングに関する知識
Webサイトはターゲットとなるユーザーにアピールできるほど価値が高まります。そのため、Webサイトへの集客をするマーケティングの知見はWebディレクターにとって不可欠です。たとえば、SEOやリスティング広告、リターゲティング広告、SNSなどのWebマーケティング手法をそれぞれ理解し、運用できるスキルと知識を身につけておきましょう。
制作スキル
Webディレクターの主な業務はディレクションですが、プロジェクトを理解するためにもWebコンテンツ制作ができるのが望ましいでしょう。コーディングやデザイン、プログラミングといったスキルを持っていれば、急な修正にも対応でき、メンバーとのやりとりもスムーズになります。
経営関係のスキル
予算を調整したり売上の目途を立てたりするなど、経営者目線で物事を考えるスキルです。クライアントや自社の経営状態を理解し、それに合わせてどういった利益が得られるのか、マーケットにどのような影響をおよぼすのかなどを提案できると良いでしょう。
マルチタスク能力
Webディレクターのポジションは、プロジェクト進行中にはクライアントやチームメンバーといった関係者のあいだに立つものです。関係者それぞれに役割や課題などがあり、Webディレクターはそれらの支援・管理をほかの業務と並行して行います。複数の仕事を同時に抱えても、並列的に進めるマルチタスクな能力が要求される仕事です。
俯瞰力
Webサイトをはじめ、制作物を作成する場合、細部にこだわることは大前提ですが、それ以上に重要となるのがWebサイトの全体像です。デザインやコンテンツの統一感がない場合や、サイト内で確保するクオリティなどが一定に達していない場合には、細部に良いところがあっても注目されません。
WebディレクターはWeb制作全体を一歩引いた位置から俯瞰し、冷静に意見を述べることが求められます。
臨機応変な対応力
Web制作プロジェクトではクライアントの都合による変更や技術的な制限、関係者が多い場合に生じやすいコミュニケーションロスなど、さまざまな課題やトラブルに見舞われるでしょう。
問題が発生した場合でも、納期や予算の達成というWebディレクターのミッションは変わらず、制作を進行させるために、あらゆる手段を検討して課題解決に導かなくてはなりません。その時々で最適な課題解決方法を探す臨機応変さもWebディレクターに必要とされるスキルです。
トレンドに敏感な姿勢
Web制作に関する技術やデザインは、日進月歩で進化しています。Webディレクターは、Web制作に携わる立場であるため、最新の技術やデザインに積極的に触れる姿勢が求められるでしょう。普段から業界ニュースを閲覧したり、Webディレクターの勉強会などに参加したりして、最新情報を追いかける習慣をつけましょう。
Webディレクターの仕事で活かせる資格
Webディレクターとして活躍するためには、特定の資格が必須となるわけではありません。しかし、転職活動などにおいて、自身のスキルや知識を客観的に証明するためにも資格は保有しておいたほうが有利といえます。
また、未経験や経験が浅い状態から目指す場合には、どうやってスキルを習得すべきか迷うこともあるでしょう。そのような人は、資格を活用して体系的に学ぶのがおすすめです。
ここではWebディレクターにおすすめの資格を紹介します。
Webディレクション試験
Webディレクション試験は、総合試験運営サービスJ-Testingによって運営・実施されている民間の検定試験です。公式テキストの中から多くの問題が出題され、Webディレクターやプロジェクトマネージャー、コンテンツディレクターなどを対象とした検定試験となっています。
試験はPCを使用したCBT方式で行われ、試験時間は90分で65問が出題されます。正解率70%以上で合格です。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が運営している技能検定です。Webデザインに関する問題が出題され、難易度別に3級から1級までのランクが存在します。学科試験および実技試験があるためそれぞれ対策が必要です。
ウェブ解析士
ウェブ解析士は一般社団法人ウェブ解析士協会による、ウェブ解析によるデジタルマーケティングスキルを認定する資格です。公式テキストに基づいた学習と試験、レポート提出が資格取得には必須となります。上位の資格として上級ウェブ解析士、ウェブ解析士マスターが存在しているため将来的に目指すのもおすすめです。
Webマーケティングスキルは、Webディレクターの業務において利用機会が多く、Web制作を成功に導くことから意義のある資格となります。
Webアナリスト検定
Webアナリスト検定は一般社団法人日本Web協会(JWA)によるGoogle Analyticsを用いたWebサイトのアクセス分析に関するスキルを認定する資格です。この認定試験は講座による学習とテストがセットになっており、基礎からWeb解析のスキルを身につけられます。
合格することで、Webディレクターの主な業務であるWebサイト制作、運営に必要となるアクセス解析のスキルを身につけられるため、仕事上で役立つ資格といえます。
Google アナリティクス個人認定資格
Google アナリティクス認定資格はGoogle社による、Google Analystics(GA4)に基づくデータ分析とマーケティングに関する知識・スキルを認定する資格です。Google Analysticsは多くの企業で利用されるWebサイトのデータ分析ツールです。Webディレクターの業務とも密接に関わるツールのため、実際に運用するために有用な資格となります。
Googleスキルショップにアクセスすれば、無料でオンライントレーニングとオンライン受験ができます。学習コストをかけずに、スキルの習得と資格の取得に挑戦できるので積極的に活用しましょう。
Google広告認定資格
Google広告認定資格とは、Googleが提供する広告に関する知識・技術を評価するための資格試験です。
Google Adsに関する基礎的な知識から、高度なスキルまで9種類の試験があります。試験に合格することで、Google広告の知識とスキルを証明できます。そのためビジネスやクライアントから信頼される、広告に対する専門性の高さを共有できるでしょう。
試験はオンライン受験が可能で、試験時間は75分です。試験に合格すると、認定証とGoogle PartnersのWebサイトに表示される認定バッジが授与されます。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は、Web関連業務の資格として比較的メジャーな試験です。試験内容は世界のWeb規格に沿って作られており、環境を問わず閲覧しやすいWebサイト制作ができることを目指しています。CSSの知識や実際にWebサイト制作をする際に必要な基礎知識が身につけられるので、Webディレクターを目指す人におすすめです。
Webリテラシー試験(Web検定)
Webリテラシー試験とは、Web業界に携わるデザイナーやディレクター、プロデューサーなどの共通知識となる「Webリテラシー」を身につけるための試験資格です。立場の違うメンバー間におけるコミュニケーションエラーを減らすことを目的としており、チームメンバーをまとめるWebディレクターにとって欠かせない能力が学べます。
ネットマーケティング検定
ネットマーケティング検定は、Webマーケティングの基本をおさえそのスキルを証明するための検定資格で、サーティファイが運営しています。Webディレクションに役立つマーケティングのノウハウと基礎知識を学べます。マーケティングスキルを身につけておくと、Webディレクターからのキャリアアップにも活用できるでしょう。
Webディレクターの将来性
Webディレクターは機械やAIへの代替が難しいクリエイティブな領域を手掛ける職種のため、今後の将来性は明るいといえるでしょう。一部の業務がAI化されたとしても、全体をまとめるディレクションはAIに代わることができません。
Webディレクターの仕事は、デザインやコーディング、ライティングといった人としての感性やセンスが問われる分野です。また、デザイナーやエンジニアなどさまざまな担当者とWebサイト・システムを作り上げていくには、高度なマネジメント能力も要求されます。
さらに、今後デジタルネイティブの世代が社会の主役になり、Web業界へのニーズはさらに高まっていくといわれています。そのため、Webディレクターが活躍できる場は、今後も拡大していくでしょう。
Webディレクターの年収相場
2024年11月時点でレバテックキャリアに掲載されている求人を参考にすると、Webディレクターの平均年収は約583万円です。
Webディレクターは業務領域や専門領域の幅が広いことから、年収もスキルや経験が大きく左右します。求人を参考にすると、「経験が豊富」「保有するスキルレベルが高い」「専門性の高い分野の知見がある」などがあると高年収を目指しやすいといえるでしょう。
Webディレクターの求人・転職情報一覧>
Webディレクターの求人例
Webディレクターの求人例をレバテックキャリアから紹介します。未経験でも応募可能な求人も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
オウンドメディアのディレクション
オウンドメディアのディレクション業務を中心としたWebディレクターの求人例です。
【業界】
IT・通信
【想定年収】
550~650万円
【業務内容】
・事業戦略をもとにした、オウンドメディアの新規企画、改善案作成
・エンジニア/デザイナーの進捗、リソース管理
・Webサイトのアクセス解析とコンバージョン改善
【必要なスキル・経験】
・Webサイトの企画、開発、プロジェクト管理、UI/UXデザイン、ECサイト運営など、いずれかの分野で2年以上の経験
・データの分析によるWebサイト改善スキル
・エンジニア、デザイナー、マーケティング、営業をまとめてプロジェクト推進できるコミュニケーションスキル、リーダーシップ
Webサイト制作会社
自社Webサービス製品に関する技術系オウンドメディアやコミュニティの運営、管理全般を行うWebディレクターの求人例です。
【業界】
IT・通信
【想定年収】
600~800万円
【業務内容】
・企画
・Tips記事の作成
・サンプル開発
・SNSへの記事投稿
【必要なスキル・経験】
・プログラミングによるシステムやアプリ開発の実務経験1年以上
・技術的な情報発信経験
【未経験可】顧客企業のDXを推進する企業
Web業界の経験や業務への興味があれば応募可能なWebディレクターの求人例です。
【想定年収】
350~600万円
【業務内容】
・顧客企業のWeb戦略実現のためのヒアリング、提案
・国内外拠点の担当者との調整
・Webサイト構築の進行管理
【求められるスキル・経験】
・日常会話以上の英語コミュニケーション能力
・Web業務に関する興味や経験
【未経験可】化粧品などのEC通販
ECサイトなどの運営経験があれば未経験でも応募できるWebディレクターの求人例です。
【想定年収】
400~600万円
【業務内容】
・商品開発
・販売企画、立案、実行
・サイト制作
【求められるスキル・経験】
・楽天市場やAmazonなどのモール運営の経験
・責任と自信を持って仕事に取り組める
・自分で考えて行動できる
Webディレクターに向いている人の特徴
Webディレクターを目指す上で、自分が向いているか気になる人もいるでしょう。Webディレクターは市場全体の動向をチェックし、素早くWeb戦略を立てて他メンバーに的確に伝える縁の下の力持ちの役割を担うことが多いです。ここでは、Webディレクターの仕事を踏まえて、向いている人の特徴を1つずつ解説します。
関連記事:Webディレクターに必要な20のスキル!役立つ資格も紹介
新しいもの・ことが好き
IT業界は日々進化する市場であり、Web業界に関しても流行の移り変わりは早いです。トレンドが数年経てば古い状態になる場合も珍しくなく、リバイバルしたムーブが新しい姿になって登場することも多いでしょう。
最新のトレンドを取り入れつつ、柔軟に新しいもの・ことを取り入れると顧客への提案力につながります。情報のキャッチアップを毎日行い、その理解・習得に対して前向きに受け取れる人はWebディレクター向きといえます。
細かいことにも気を配れる
Webディレクターの業務であるディレクションは、ルーティン化できない細かい作業が多いです。広範にわたるチェックや修正依頼・指示など、人と関わりながら問題を解決していく必要があります。
こうした作業に真摯に取り組める人は、Webディレクターの仕事に向いているといえるでしょう。また、ほかのメンバーのタスク管理も業務範囲に含まれるため、小さなことにも気づける人は適性があります。
Webディレクターに向いていない人の特徴
Webディレクターは一人で黙々と作業できる仕事がしたい人や、人と関わることに苦手意識を感じる人には向いていないといえるでしょう。Webディレクターが手掛ける仕事はクライアントやデザイナー、エンジニアなど社内外の多くの関係者が携わり、頻繁にコミュニケーションをとる必要があります。向いていない人が勢いでWebディレクターに転身すると、こうした業務を続けていくのがきつい、つらいと感じる要因になりかねません。
早期退職を防ぐためにも、向き不向きの適性チェックは大切です。
Webディレクターのやりがい
Webディレクターは直接Webサイトやサービスを利用する顧客の声をチェックできるため、制作物に対してのリアクションからやりがいを感じやすい仕事です。Webディレクターのやりがいには、具体的に以下が挙げられます。
-
・多くのメンバーと関わりながら仕事できる
・自分が携わったWebサイトを多くの人に利用してもらえる
・努力やこだわったが数字として結果で見えやすい
・大きなプロジェクトに携われるチャンスがある
・目標値をクリアした、想定以上の反響があった際に大きな達成感を味わえる
Webディレクターのキャリアパス
Webディレクターとして経験を積んだあとに考えられるキャリアパスには、Web業界でのキャリアチェンジや企業に雇われずに活動していく働き方が挙げられます。Webディレクターに求められる知識・スキルは多岐にわたり、チームで1つのものを作り上げる経験などは重宝されやすいため、キャリアパスの選択肢が豊富です。
ここでは、Webディレクターが目指せるキャリアパスをそれぞれ紹介します。
Webプロデューサー
WebディレクターがWebサイト制作の実務を管理するのに対し、Webプロデューサーは事業の計画や予算の策定、並びにチーム編成など総合的な部分を手掛ける仕事です。企業によってこれらの役割分担は変わってきますが、より経営的な役割へのキャリアアップとして、WebディレクターからWebプロデューサーへの転身は現実的といえます。
エンジニアやデザイナーなどの専門職
エンジニアやデザイナーなど専門職の仕事を兼務するWebディレクターも存在します。一方で、ディレクションの仕事を離れ、WebデザイナーやHTML/CSSコーダーなどへの専門職へキャリアチェンジするのも可能です。ただし、年収としてはWebディレクターのほうが高い傾向があります。
Webマーケター
SEOやアクセス解析を使ったWebサイトの運営・改善の経験を積んだWebディレクターは、サイト制作よりも、オンライン集客に力を発揮するようになる人もいます。たとえば、マーケティング部門に異動したりほかの企業へ転職したりして、マーケターとして歩むキャリアが考えられるでしょう。
独立
Webディレクターとしての業務経験を活かし、フリーランスとして活動したりWebサービス関連の事業を立ち上げて独立したりする人もいるでしょう。このような働き方を目指す場合は、自分の采配で仕事をする時間や休日が決めやすい一方で、オンとオフの区別がつきにくく自己管理能力が求められます。
フリーランスで案件を受注
制作会社でさまざまな案件を手掛けたWebディレクターが、独立してフリーランスとして働くケースは増えてきています。近年、働き方が多様化してきているため、経験を積みスキルを磨いたあとにフリーランスを目指す選択肢は珍しくありません。ただし、活動していく上での営業活動や事務作業はすべて自分で行う必要があるため、安定して活動していく難しさがあるでしょう。
事業会社を立ち上げる
事業会社でWebサイトの企画や運営に関する経験を積んだ人は、独自のアイデアでWebサービスを1から構築するスキルを習得している場合があり、独立を目指しやすいケースといえます。事業会社とは自社メディアやWebサービスを運用し、これを企業として立ち上げる独立方法を指します。
Webディレクターとしてエンジニアやデザイナー、営業などのメンバーを統率してきた経験は、Webサービス事業を始める上で役に立つでしょう。
制作会社を立ち上げる
制作会社とは、Web関連の案件をクライアントから請け負い制作を行う企業の携帯です。Web制作プロダクションを作り、Web制作や運営を企業から受託する形の独立も、Webディレクターからのキャリアパスの1つです。Webディレクターとして働く中で培ったスキルとコネクションを活かし、自分のチームを作って運営していくことは、これまでの集大成ともいえるでしょう。
Webディレクターの未経験転職に関するよくある質問
Webディレクターへの未経験からの転職に関してよくある質問と回答をまとめました。Webディレクターは未経験・経験者問わずに目指せる職種のため、レバテックキャリアには多くの質問が寄せられます。また、20〜40代など幅広い年齢層の方がWebディレクターの仕事に興味を持っているようです。ここでは、Webディレクターの未経験転職について特に多い質問に回答します。
Q1. 正社員と派遣で業務の違いはありますか?
正社員のWebディレクター求人の傾向としては、顧客企業のWebサイトのディレクションを任される場合が多いです。派遣のWebディレクター求人は、自社内のWebサイトのディレクションサポートとして正社員のサポート役を担当する仕事が多く、業務内容や責任範囲も限定的な傾向があります。
Q2. 30代未経験でもWebディレクターになれますか?
30代未経験でもWebディレクターになれますが、20代ほど易しい道のりではありません。しかし、過去に顧客との折衝やプロジェクトマネジメントの経験があると評価される場合があります。転職後もWebディレクションを積極的に学ぶ姿勢をうまくアピールできれば、未経験でも採用される確率は高まるでしょう。
Q3. 40代未経験でもWebディレクターになれますか?
40代の場合、未経験でいきなりWebディレクターに転職するのは難しいですが、Web業界で管理職などのポジションを担当した経験があれば、業界未経験者に比べて有利になりやすいです。業界未経験の場合、まずはWeb関連の職種に転職したあとWebディレクターへの転身を目指すのが現実的でしょう。
Q4. Webディレクターに必要な資質は何ですか?
Webディレクターには新しいもの・ことが好きで、細かい部分に気を配れる人が向いています。そのためには、トレンド・新技術への対応力や細かい作業・修正などにひたむきに取り組める姿勢が求められます。単に事務的に業務を行うだけでなく、より良いものを作るために積極的に行動することが重要です。
まとめ
この記事では、Webディレクターの仕事内容や必要なスキル、未経験から目指すための転職のポイント、年収、将来的なキャリアパスなどを解説しました。
Webディレクターは、Web業界の職種の中でも幅広い知識とスキルを求められる職種です。必要なスキルを身につけるのは簡単ではありませんが、Webディレクターとして経験を積めば、その後のキャリアパスとしてWebプロデューサーや独立などを目指せます。
未経験から転職を目指す場合は、Webディレクターの中でもどの分野で活躍したいのかを明確にすることが第一歩となります。そして、まずはアシスタントやWebエンジニア・Webデザイナーからキャリアをスタートさせてみてはいかがでしょうか。
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