データアナリストとは
データアナリストとは、データの分析を行うスペシャリストです。企業や組織が保有する大量のユーザーデータや業務システムの実績データ、外部のデータなどを活用したデータ分析により、経営層の意思決定やビジネス上の課題解決などを支援することが重要な使命となります。
データアナリストには、データ分析を行うためのデータの収集および蓄積に向けたスキル、クライアントに課題解決策を提案するための高度なデータ分析に関するスキル・知識、統計学的な知見とビジネスに対する知見が求められます。また、分析結果をまとめるドキュメント能力や提案力も必要です。
ここでは、データアナリストの具体的な仕事内容と、混同されやすいデータサイエンティストとの違いについて紹介します。
データアナリストの分類
データアナリストの仕事内容は多岐にわたります。データマイニング(構築されたデータベースから情報を抽出し、パターンや相関を見出す技術体系のこと)などで得られた分析結果を、どのように業務で活かすかで「コンサル型」と「エンジニア型」の2種類に分類できます。
「コンサル型」と「エンジニア型」には下記にあげる違いがありますが、これら2種類の業務領域に明確な線引があるわけではありません。求められる役割は企業によって異なるため、一人のデータアナリストが両方の業務を務める場合もあります。
コンサル型
コンサル型のデータアナリストは、言葉のとおりデータ分析で得られた結果をもとに、課題解決のための現場施策のコンサルティングを行います。クライアントが抱える課題に対して仮説を立て、具体的な解決案の提案や、施策実施後の検証などを行います。
主な活躍の場は、コンサルティングファームやマーケティング会社などが挙げられます。
なお、クライアントの課題は表面化しているとは限らず、本質的な課題の抽出から仕事に含む場合もあります。
エンジニア型
エンジニア型のデータアナリストは、データ分析結果をもとにサービスの品質向上を目的としたシステム構築や改善を行うことが主な業務です。プログラミングスキルを活かして、自らシステムの実装に携わることもあります。主な活躍の場は、Webメディアの運営企業やアドテクノロジー企業などが挙げられます。
WebサービスやWebメディア運営を行うITエンジニア職の延長線上にある仕事といえます。
データサイエンティストとの違いはデータ分析モデルの構築の有無
データサイエンティストは、ビッグデータからビジネス上の課題を解決する上で必要な情報を切り出し、解決に向けてデータの加工・分析を行う職種です。企業課題を解決するための戦略を立案し、実行に必要なデータ分析と分析モデルの構築が主な仕事となっています。
例えば、機械学習モデルにおけるハイパーパラメータや特徴量の選び方の工夫や過学習しないための工夫など、データ分析の最適化を行うための業務が主です。すなわち、データサイエンティストはデータ分析の最適な手法を作り上げる職種といえます。
これに対して、データアナリストは主に既存の分析モデルの中で、消費者の行動や規則性といったデータの分析をしています。データ分析はツールとして活用する立場といえるでしょう。
具体例としては、ある事業の売上に課題があった場合、データアナリストはデータ分析の知見を活かし、売上改善のための施策提案や施策実施後の効果分析を行い、マーケターなど他職種のメンバーの意思決定を支援します。これに対して、データサイエンティストは売上を伸ばすための戦略を立案した上で、これに必要な技術を開発し、データ分析や課題解決のための提言などを行います。
関連記事:データアナリストとデータサイエンティストの違いは?
データアナリストの年収・給料
データアナリストの年収は、所属する企業や担当する業務領域によって大きく異なります。レバテックキャリアが公開しているデータサイエンティスト・データアナリストの求人・転職情報を参照して平均的な年収を算出してみました。
2024年09月14日時点で職種「データサイエンティスト」KW「データアナリスト」に該当する求人・転職情報は292件が公開されています。また、このうち募集中の求人・転職情報は101件でした。この情報をベースとして、30件を抽出し、年収の最低額と最高額の中間値の平均値をとり平均年収を予測しました。
算出されたデータアナリストの平均年収は約758万円となりました。他のエンジニア職と比較しても高い年収を得られる職種となっています。また、最高年収が1,000万円、2,000万円という求人・転職情報もあり、高スキルの場合には非常に高い年収を望むことが可能です。
データアナリストの求人・転職情報>
関連記事:データサイエンティストの平均年収は高い?年収を上げる方法や将来性を解説
データアナリストは将来性がある職種
データアナリストの仕事は、政府が掲げる各産業でのDX推進において重要な役割を担っています。その一方で、業務を担当できる人材は少なく需要に対して供給が足りていない状態が続いており、データアナリストとして必要なスキルを身につければ「将来性は高い」と言える職種です。
経済産業省が2019年に発表したIT人材需給に関する調査の結果によると、日本におけるIT人材の需給ギャップは、2030年には最大で約79万人まで拡大すると予測されており、今後ますます人材不足が深刻化すると見込まれています。
また、同調査では、ITの活用は様々な産業の生産性向上や、人口減少時代の社会課題を解決する鍵になるとも報告しています。なかでもAIやビッグデータを使いこなし、第四次産業革命に対応した新しいビジネスを創出・拡大できるような高度 IT人材の需要は、ますます高まると予想されています。データアナリストもその一員として、今後の日本社会にとって必要不可欠な存在です。
関連記事:データサイエンティストの将来性ー10年後はどうなる?
データドリブンの適用分野が広がっている
データに基づいて経営的な意志決定を行うデータドリブンという手法は、ビジネスの中でも経営やマーケティングの分野で活用されてきました。その有効性の浸透やデータ分析に向けた基盤の普及により、これまでに活用されてきた分野以外でも活用する動きが広まっています。例えば、人事や営業業務での利用でもデータドリブンを活用するということです。
データドリブンの活用が広まる状況は、データアナリストにとっては活躍の場が広まることを意味します。データ分析による意思決定の支援は、用途が限られているわけではないため、さらなる需要が期待できます。
「データアナリストはやめとけ」といわれる理由
データ分析の領域においては、合理的かつ効率的であることが求められ、AIの活用が非常に活発な分野だとされています。定型的業務やツールにより代替可能な業務は減少していく傾向があるため、レポーティング業務は、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールによって自動化されていくでしょう。
そういった流れから、データアナリストは売り手市場にも関わらず将来性を不安視され、「データアナリストはやめとけ」という声がインターネット上などで広がっています。
従来BIツールはデータアナリストやデータサイエンティストなど、データの扱いに長けた人物が業務に活用する目的で使われることが多いツールでした。しかしツールの進化に伴い、より使いやすくなったことでデータ分析にそこまで詳しくない人でも気軽にデータの解析ができるようになっているという現状です。
今後、データアナリストの価値は分析作業ではなく「分析結果をいかに利活用するか」という部分にシフトしていくことが予想されます。そのため、データ分析が好きだからデータアナリストを目指す、という動機に対しては「データアナリストはやめとけ」という声が挙がるのも理解できる範疇です。
データアナリストに向いている人
データアナリストはデータと向き合い続ける専門性の高い職種です。専門性の高さを支えるスキル習得にはある程度の適性があります。これからデータアナリストを目指す場合には、自分が向いているかどうかを確認しておきましょう。
データアナリストに向く人、適性のある人の特徴には下記があげられます。
-
・論理的に考えられる人
・ビジネスとして物事を捉えられる人
・コミュニケーション能力が高い人
論理的に考えられる人
データアナリストはデータと向き合い、そこからビジネスに役立つことを見つけ出す仕事です。考え方も行動も常に論理的、客観的に行う必要があります。論理的思考ができ、それに基づいた行動ができる人は、データアナリストには向いているといえるでしょう。
ビジネスとして物事を捉えられる人
データアナリストはデータから導いた分析結果や傾向を、自社やクライアント企業のビジネスに活かす役割があります。データの分析結果をまとめて、経営層にコミットするためには、ビジネスとして物事を捉えられる人が向いています。
また、データアナリストになる前に別の仕事をしていた場合には、現場業務の経験を生かせる場合があります。例えば、マーケティング領域の経験があれば、データの分析結果からマーケティングで役立つ仮説を立てやすいです。
コミュニケーション能力が高い人
データアナリストの分析した結果はクライアントや自社企業に伝えて、その後に利用することが前提です。クライアントのニーズを引き出し、意図を明確に伝えるためには高度なコミュニケーション能力が必要となります。
つまり、コミュニケーション能力に長けた人はデータアナリストに向いているといえます。
データアナリストに役立つ資格と各難易度
データアナリストに必須の資格はありませんが、資格の取得は知識やスキルを身につける上でも役に立ちます。ここでは、データアナリストに役立つ資格と各難易度について解説します。
また、各資格の概要や試験範囲、受験料について表にまとめています。まずは以下に紹介する資格から、取得を目指してみましょう。
資格・試験名 | 概要 | 試験範囲 | 受験料(税込み) |
---|---|---|---|
統計検定® | 統計に関する知識や 活用力を認定する 検定試験 |
基礎統計学の知識と 問題解決力など (検定種別によって 異なる) |
1級「統計数理」: 6,000円 1級「統計応用」: 6,000円 統計検定1級 「統計数理」と「統計応用」 の同時受験: 10,000円 準1級:8,000円 2級:7,000円 3級:6,000円 4級:5,000円 統計調査士:7,000円 専門統計調査士:10,000円 データサイエンス基礎 (DS基礎):7,000円 データサイエンス発展 (DS発展):6,000円 データサイエンス エキスパート (DSエキスパート) :8,000円 全て学割制度あり |
情報処理 技術者試験 |
情報処理技術者 としての知識や 技能を認定する 国家試験 |
試験区分によって異 なるため、シラバス より確認ください |
7,500円 情報処理技術者試験 の各試験は税込、 情報処理安全確保 支援士試験は非課税 |
データベース スペシャリスト 試験(DB) |
データベースに 関するスキル・ 知識を証明する 資格試験 |
「データベース設計」 「SQL」 「物理データベース 設計」を中心に出題 |
7,500円 |
ORACLE MASTER | Oracle Databaseの 管理スキルを証明 する資格試験 |
Bronze: DBの基礎知識 Silver: 日常の運用管理 と基本的なSQL操作 Gold: マルチテナント環境、 バックアップ、 リカバリ、 インストールの知識 Platinum DBA:Oracle Database 技術の体系 的な知識、応用力、 実装力 Silver SQL:SQLの 知識全般 |
Bronze:37,975円(税抜) Silver:37,975円(税抜) Gold:37,975円(税抜) Platinum DBA実技:255,750円 Platinum DBA移行:255,750円 Silver SQL:37,975円(税抜) |
OSS-DB技術者 認定試験® |
オープンソースデータ ベースの技術者の技術力 を認定する試験。 「PostgreSQL」を基準 のRDBMSとして採用 |
Silver:データベース システムの設計・ 開発・導入・運用 Gold:データベース の運用管理・性能監視・ パフォーマンスチュー ニング・障害対応 |
Silver:16,500円 Gold:16,500円 |
Python3 エンジニア 認定データ分析試験 |
データ分析を行う Python技術者向けの 資格試験 |
基礎構文、データ 分析、数学、 ライブラリ (pandas)など |
11,000円 学割制度あり |
G検定・E資格・ Generative AI Test |
G検定・E資格はディープ ラーニングの知識・ スキルが問われる試験。 Generative AI Testは 生成AIに関する知識、 活用リテラシーを 問う試験 |
シラバスより、 JDLA認定 プログラム修了 レベルの出題 |
G検定一般:13,200円 学生:5,500円 ※受験日から2年以内 の場合は半額 E資格一般:33,000円 学生:22,000円 会員:27,500円 Generative AI Test 2,200円 |
アクチュアリー 資格試験 |
保険業界の高度専門職 「アクチュアリー」に なるための資格試験 |
数学、生保数理、 損保数理、年金数理、 会計・経済・ 投資理論、生保1 生保2、損保1、 損保2、年金1、 年金2 |
1科目 8,500円 (2024年度) |
関連記事:データアナリストにおすすめの資格8選!試験勉強に役立つ書籍も紹介
統計検定®
統計検定®は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。4級~1級まで5つのレベル(準1級含む)および統計調査士、専門統計調査士が設けられており、データ分析における基礎的な知識から、データ解析を遂行するために必要な統計専門力まで幅広く評価されます。統計学で得られる知識はデータ分析に欠かせないものなので、取得しておいて損はないでしょう。
また、2021年よりデータサイエンスに関する試験として、「データサイエンス基礎(DS基礎)」「データサイエンス発展(DS発展)」「データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)」が追加されています。
難易度の目安として、求められるスキルレベルは下記の通りです。
-
4級:身の回りの表やグラフを読み取り、それらを用いて論理的な議論ができる
3級:高等学校の必履修科目である数学Ⅰの「データの分析」相当の統計内容の知識と実際にそれらを身近な問題解決に活かすことができる統計的問題解決力
2級:大学基礎科目レベルの統計学の知識
準1級:実社会の様々な問題に対して適切な統計学の諸手法を応用できる能力
1級:定量的なデータ解析に深くかかわるような大学での専門分野修了
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、プログラマーやシステムエンジニアなどのITエンジニア向けとして著名な、情報処理技術者としての知識や技能を認定する国家試験です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営しています。
基礎的なスキルを認定する「基本情報技術者試験」や応用レベルの「応用情報技術者試験」では、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる知識・技能について幅広く出題されます。データアナリストに向けても、プログラミングやIT技術の利用に関するスキルを示せる有用な資格です。
例えば、基本情報技術者試験はITエンジニアのエントリレベルの能力が必要とされる資格であり、対象範囲も広いため、IT職種未経験者では一般に200時間程度の学習時間が必要とも言われています。
データベーススペシャリスト試験(DB)
データベーススペシャリスト試験はIPAの情報処理技術者試験の分野の一つで、名前の通りデータベースに関するスキル・知識を証明できる資格試験です。データベースを活用して業務を行うデータアナリストにとっても、専門的分野の高いスキルを示せる資格となります。
情報処理技術者試験の中でも高度情報処理技術者試験にカテゴリされており、合格率も15%前後と難関の試験です。
ORACLE MASTER
ORACLE MASTERは、情報処理系のベンダー資格では知名度の高い資格体系の一つで、データベース製品ORACLE Databaseに関するスキルと知識が問われます。
db-engines DB-Engines Ranking - Trend Popularityの調査によると、2024年9月時点でOracle Databaseは商業用データベースとしてNo.1のシェアを誇ります。
2020年1月以降から新たな資格体系としてORACLE MASTER2019が採用されました。入門レベルのBronzeをはじめ、Silver、Gold、Platinumまで4段階の積上げ式の資格となっています。さらに、SQLスキルに特化した「Silver SQL」の資格も設けられています。
難易度の目安となるスキルレベルは下記の通りです。
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Bronze:DBの基礎知識
Silver:日常の運用管理と基本的なSQL操作
Gold:データベース管理者(DBA)
Platinum:熟練した経験豊かなトップレベルのデータベース・エキスパート
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験は特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが主催する、オープンソースデータベースに関する技術と知識を認定する資格です。オープンソースなDBの中でも「PostgreSQL」を基準のRDBMSとして採用しています。
認定は2つのレベルに分かれており、データベースシステムの設計・開発・導入・運用スキルを認定するSilverと、大規模データベースシステムの改善・運用管理・コンサルティングができることを認定するGoldの2つに分かれています。Goldを受験するには、受験日から5年以内に「OSS-DB Silver」を取得している必要があります。
公式サイトによると、学習期間はGold、Silverともに「一般的な学習期間の目安としては2週間~1カ月程度」とされています。
Python3 エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験は一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会により運営される比較的新しい資格です。
Pythonの基礎構文に加え、「データ分析」「数学」「ライブラリ(pandas)」など実際の開発業務で頻繁に使用される知識が出題されます。全40問で正答率70%が合格ラインです。Pythonを使った、実践的なデータ分析のスキルを示せる資格です。
ITSS(ITスキル標準)ではスキルレベル1に相当し、Pythonを普段から利用しているITエンジニアには難しくない難易度です。
G検定・E資格・Generative AI Test
G検定・E資格・Generative AI Testは一般社団法人 日本ディープラーニング協会が主催する検定試験です。G検定とE資格はディープラーニングを活用する人材育成を目的としており、事業担当者向けの試験(G検定)とエンジニア向けの資格(E資格)に分類されています。人工知能の定義や機械学習・ディープラーニングの具体的手法が学べる試験となっており、データアナリスト、データサイエンティストの業務領域とも深いかかわりがあります。
難易度について目安となる情報として、G検定は対象のスクールの学習時間が30時間程度となっています。E資格では学習動画が約30時間程度であり、それに加えて試験対策、プログラミング演習があるため200時間程度が必要と考えられます。
Generative AI Testは生成AIの知識と活用リテラシーを問うミニテストで、2023年より開始された新しい試験です。
アクチュアリー資格試験
公益社団法人日本アクチュアリー会により運営されるアクチュアリー資格試験は、保険業界の高度専門職「アクチュアリー」になるための資格試験です。試験内容には「数学(確率・統計・モデリング)」が含まれており、データアナリストにとっても重要なスキルを示すことができます。
全体に難易度は高く、会員となるための全教科合格まで『過去に資格を取得した方々の平均的な受験年数は、準会員が資格取得まで入会時より約5年、正会員が約8年です』と公式サイトのFAQに記載されています。
データアナリストに必要なスキルセット
データアナリストには、どのようなスキルがあるといいのでしょうか。
データアナリストに必要なスキルとしては、数学、統計学の基礎知識やデータベースの知識、ロジカルシンキング、分析ツールを扱うスキル、Pythonなどのプログラミングスキルなどがあげられます。
ここでは、未経験者がデータアナリストを目指す上で身につけるべき知識とスキルを紹介します。
数学、統計学の基礎知識
データアナリストとして活躍するには、大学基礎レベルの数学知識が必要とされています。特に統計、確率、微分積分、線形代数はそのまま業務で活かせるため、知識を深めるといいでしょう。
データ分析の基礎となる統計学の知識を重点的に身につける必要があります。統計学を学ぶことで、データ集計や可視化の技術、検定手法、サンプルの抽出方法などのスキルも習得できます。
データベースの知識
データアナリストは、データベースの中にある膨大な量のデータと向き合います。分析基盤環境の構築や適切なデータ活用のためには、データベースに関する知識が必要不可欠です。データ抽出には不可欠なSQLの知識はもちろん、レプリケーションなどのパフォーマンスに対する知識も習得しておきましょう。
ロジカルシンキング
データ分析のみならず、課題解決のための施策考案もデータアナリストの重要な仕事です。そのため、物事を体系的に整理し、論理的に考えるロジカルシンキングも意識的に身につけましょう。ロジカルシンキングができれば、複雑な課題を適切に分解し、結論にたどりつく筋道を矛盾なく設計することができます。
分析ツールを扱うスキル
統計的手法を用いて効率よくビッグデータを分析するには、複数のツールを使いこなす必要があります。
まず入門レベルとして、Webサイト上のデータを手軽に抽出できるOctoparseやParseなどのWebスクレイピングツールを使ってみるのも方法の一つです。さらに、ビッグデータの分析を手助けするTableauやQuickSightなどのデータ可視化ツールなどの使い方もマスターしておくことをおすすめします。
Pythonなどのプログラミングスキル
データ分析をもとにした施策の提案にとどまらず、自ら手を動かして開発に携わるデータアナリストもいます。PythonやR言語、SQLなどの言語スキルを習得したり、GCPやAWSなどのパブリッククラウドに慣れ親しんでおくと、活躍の幅が広がります。
関連記事:データサイエンティストに求められるプログラミング言語と学習方法
データアナリストになるためのおすすめ勉強方法
データアナリストになるためには、どのような方法で勉強をしたらいいのでしょうか。データアナリストになるためのスキル習得方法では独学とスクール・講座を利用する方法が考えられます。
ここでは、データアナリストになるための勉強方法として独学、スクール・講座について解説します。また、独学をする場合のおすすめ書籍・参考書についても記載します。
独学
データアナリストになるためのデータ分析に関するスキルは独学でも学ぶことが可能です。特にPythonを使ったデータ分析の学習では、Webサイトや書籍などのコンテンツが充実しているため、PCとインターネットを用意すればすぐにでも始めることができます。
おすすめ書籍・参考書
データ分析について独学での学習を行うのにおすすめの書籍を紹介します。
『データ分析人材になる。 目指すは「ビジネストランスレーター」』(日経BP、木田 浩理、伊藤 豪、高階 勇人、山田 紘史)
「ビジネスで活かせるデータ分析の進め方」をテーマに、前知識がなくとも習得できる独自の方法論(フレームワーク)を用いたデータ分析の方法が解説されています。ツールだけに頼らないデータ分析人材になりたいという人におすすめの本です。
『Pythonによるデータ分析入門 第3版 ―pandas、NumPy、Jupyterを使ったデータ処理』(オライリー・ジャパン、Wes McKinney、翻訳:小林 儀匡、瀬戸山 雅人)
Pythonによるデータ分析では、先人の作ったNumby、pandas、Jupyterといった数学・科学計算用のライブラリを活用します。本書はpandasの開発者によって記されており、基本的なデータ分析の行い方をレクチャーしてくれます。開発環境、手順とリンクして記載されているため、実際に手を動かしながら理解を深めることができます。
スクール・講座
プログラミングや数学・統計学に関する学習は、独習することは簡単ではありません。独習が難しいと考える場合、スクールや講座を利用してスキル習得を行う方法もあります。コストはかかりますが、スクールやオンラインスクール、講座等を利用することで、講師による解説と問題が発生した場合のサポートを得ることができます。
データアナリストが活躍する領域
データアナリストは、どのような業界や企業で活躍しているのでしょうか。
データアナリストが活躍する領域は、大きく二つに分類できます。クライアントワークでの活躍領域とインハウスでの活躍領域の2種類です。
ここでは、データアナリストが活躍する領域について、クライアントワーク・インハウスに分けて解説していきます。
クライアントワークでの活躍領域
クライアントワークとは、クライアントの課題を解決することを目的とした企業で働くことです。つまり、クライアントワークの場合は所属する企業ではなくクライアントに向けてデータ分析を提供します。
データアナリストが活躍するクライアントワークでの活躍領域は以下のような業界があります。
-
・マーケティング
・Web制作
・アドテクノロジーなど
自社でデータ解析ができないクライアント企業からの依頼で、データ解析や課題解決を行います。また、クライアント企業の業界は多種多様です。
インハウスでの活躍領域
インハウスとは、自社でデータ解析を行う企業で働くことを指します。データ解析技術やノウハウがある企業で、自社の事業に向けてデータ分析を提供する形態です。
データアナリストが活躍するインハウスでの活躍領域は以下のような業界があります。
-
・金融
・製造
・医療
・大学など
データアナリストが活躍するインハウスでの活躍領域は、専門性がある業界が多い傾向があります。
未経験からデータアナリストになるには
データアナリストは将来性の高い職種です。収入の向上やキャリアアップのためデータアナリストを目指そうと考える方もいるでしょう。データアナリストは専門的なスキルが必要となりますが、どのようにすればそのためのスキルを身につけてデータアナリストになれるのでしょうか。また、未経験から転職することはできるのでしょうか。
条件次第では未経験からでもデータアナリストへの転職は可能と言えます。未経験から目指す場合、ITエンジニアやマーケター、コンサルタントなどの関係職種からの転職と、全く異なる分野からの転職では状況が異なります。データアナリストを目指す上で特別な資格は必要ありませんが、データの収集スキルや分析能力、幅広いIT知識、論理的思考力などが求められるためです。
ここでは、未経験からの転職可能性を状況別に解説します。
関連記事:
データサイエンティストに必要な勉強は?学習ロードマップを解説
【2024年最新】未経験からデータサイエンティストを目指す方法を解説
ITエンジニアやマーケティング経験者は転職しやすい
現職や前職がITエンジニアやコンサルタント、マーケターの場合、自身が保有しているスキルやこれまでの経験を業務に活かしやすいため、転職成功の確率は高まります。この場合、ITエンジニア経験者はマーケティングの知識を、コンサルタントやマーケター経験者はプログラミングなどのITスキルを、不足するスキルを補う形で身につけるとより有利です。
一定以上のスキルを習得できれば、他分野からの転職も可能
全く異なる分野からデータアナリストを目指したいと考えている方もいるでしょう。基本的に、どのような職種からでもデータアナリストになることは可能です。
ただし、中途採用では即戦力としての活躍が期待されるため、実務未経験であっても一定以上の知識・スキルが求められるでしょう。就職活動に備え、プログラミングスキルや統計学の知識、データ解析ツールの使い方などを身につけたほうが、転職活動をスムーズに進められます。
また、まずはマーケター、リーサーチャーへの転職を目指し、データの収集や分析、施策提案の経験を積んでからデータアナリストへとキャリアチェンジする方法もあります。
30代~40代で未経験だとデータアナリストの転職難易度は高い
一般的に未経験者採用は今後の成長に期待したポテンシャル採用であることがほとんどです。さらにデータアナリストは専門性の高いスキルも求められます。このため、30代未経験からデータアナリストを目指すのは非常に難易度が高いです。
それでも挑戦したい場合は、実務経験者と同レベルのデータ解析スキルやプログラミングスキルを習得した上で、スキルを証明するための成果物を作成しましょう。
最近ではデータ分析のコンペティションであるKaggleなどで実力を示すことも可能です。ただし、20代と比較して採用基準が高く、これらのスキルを習得するには比較的長い時間がかかるため、目指すのであれば1日でも早い学習の開始を推奨します。
新卒、第二新卒でデータアナリストを目指すには
ポテンシャルを重視する新卒採用では、専門スキルがない状態でもデータアナリストとして就職することは可能です。大学で数学や情報科学など理系分野を専攻している場合は、データアナリストの業務と親和性が高く有利な傾向があります。また、文系分野でも計量経済学や心理統計学などを専攻している場合は、データアナリストに関連するスキルを持ち、有利に目指すことができる場合があります。
ただし、若手の育成体制が整っている大手企業の場合、採用側は実務に直接活かせるスキルよりも、物事の考え方に適性があるか、学習意欲があるかなど、今後活躍できる素質を持っているかどうかで採用を判断する傾向にあります。
また、データアナリストとして就職することにこだわらず、他職種での選考も視野に入れるとよいでしょう。マーケティング職は一般的にユーザーのデータを扱うことが多いため、業務内で分析を行うこともあります。関係職種の経験を積んでからキャリアチェンジすることも十分に可能です。
データアナリストの転職市場
2024年09月14日時点で、レバテックキャリアのデータアナリストの公開求人件数(募集中)は101件です。ITリテラシーの高いベンチャー企業や、DX推進を進めているメーカーなどからの求人が出ています。
数年前と比較すると、採用は落ち着き「新たにデータ解析部署を新設する」というニーズよりも「データ解析部署を増員する」というニーズが増えている印象です。とはいえ求められるスキルセットが高いのは変わらず、完全未経験でもエントリー可という求人は非常に稀です。
データアナリストの求人・転職情報>
関連記事:【2024年最新】データサイエンティストの転職!各業界の需要や求人例も紹介
データアナリストの転職求人例
レバテックキャリアに公開されている求人・転職情報よりデータアナリストの求人の例を記載します。
【業界】
IT・通信
【業務内容】
ゲームやサービスに蓄積された大量のデータを駆使した改善業務
・SQLを用いたデータ集計、レポート作成
・データ解析による課題発見、施策検証
・社内の各分野スタッフに対する助言、提案
・分析ツールを用いたデータの可視化と運用
・数値指標の発見、提案
【求められるスキル・経験】
・データ分析業務の経験
・業務を遂行に必要な成果物を実装できるエンジニアリングスキル
・自発的に業務を遂行する能力
・ゲームやデジタルコンテンツへ強い関心
・論理的思考力と客観的視点
【想定年収】
400~1,000万円
【勤務地】
東京都
データアナリストの未経験OKの転職求人例
第二新卒者、未経験者可のデータアナリストの求人・転職情報の例を記載します。
【業界】
IT・通信
【業務内容】
顧客の保有するデータの分析と活用を行うデータアナリスト
・顧客保有データの分析実施
・データ利活用施策や新規サービス企画の提案に係る調査/分析
・データを活用したサービスの技術検証、システム化支援
【求められるスキル・経験】
・社内メンバーとのコミュニケーションが取れるスキル
【想定年収】
400~500万円
【勤務地】
東京都
データアナリストのキャリアパス
データアナリストを目指す場合には、その後のキャリアパスも視野に入れておきましょう。
データアナリストが目指せるキャリアパスには、データ分析チームのマネジメントポジション、プレイヤーとして活躍を続けるパス、所属組織から独立してフリーランスとして活躍するパスなどがあります。
ここでは、データアナリストとして活躍する場合に、目指すべきキャリアパスについて解説します。
マネジメントとしてのキャリア
データアナリストが目指すべきキャリアパスの一つが、データ分析チームをマネジメントするポジションです。データ分析に関する戦略の策定やデータ分析対象の決定といった大きな方針の判断と、チームメンバーのデータアナリストを組織としてとりまとめ、より大きな成果をあげることが求められます。データ分析に関する知識・スキル以外に、プロジェクトマネジメントのスキルが必要となります。
プレイヤーとしてのキャリア
データアナリストがプレーヤーとしてキャリアを高める場合には、より領域を広めてデータサイエンティストの業務にも対応できるようになるキャリアパスが一般的です。データ分析を行うためにデータを収集、蓄積、加工するデータモデリング、機械学習を用いたプログラムの作成といったスキルが必要となりますが、活躍できるシーンは大幅に広げることが可能です。
フリーランスとしてのキャリア
一つの選択肢として、フリーランスを目指す方法もあります。現在の売り手市場の状況を活用し、データアナリストを必要とする相手とコネクションを作り、プロジェクトごとのアサインを行うフリーランスとしての活躍が見込めます。フリーランスとなる場合には、データ分析に対する提案などのスキルも必要となってくるでしょう。
また、フリーランスとして独立する前の試金石として「副業にチャレンジする」という選択肢もあります。正社員人材の中でもコロナ禍を経て副業への意向が全体的に強まっており、週末や平日夜で稼働できるような副業案件も増えてきています。
データアナリストに関するよくある質問
データアナリストへの転職を検討している方にとって、データアナリストに関する疑問はいくつもあるでしょう。今後のキャリアパスとして目指すにあたっては、以下の質問と回答や本記事の内容を活用して自分の持つ疑問を解決し、迷いなく取り組んでください。
データアナリストに関するよくある質問としては、データアナリストの勤務時間や平均年収、職種としての強みなどがあります。ここでは、データアナリストに関するよくある質問についてお答えします。
Q1. データアナリストの勤務時間はどのような場合が多いですか?
就業時間は9:00〜18:00前後としている職場が多いです。夜勤や変則勤務が発生する職業でもないため、日々規則正しい生活を送れます。 また、 1日中データの収集や整理を行う時期もあれば、データ分析だけを行う時期もあります。
Q2. データアナリストの平均年収を教えてください
2024年09月14日時点のレバテックキャリアの求人情報から職種「データサイエンティスト」KW「データアナリスト」の求人情報を30件を抽出し、年収の最低額と最高額の中間値の平均値をとり平均年収を算出したところ、データアナリストの平均年収は約758万円となりました。
Q3. データアナリストの強みを教えてください
データアナリストの強みは、経営課題の収集や分析など上流工程の仕事であることです。AIの進歩により代替することは容易ではなく、むしろAIを活用する立場といえます。データアナリスト人材が持つ豊富な経験や知見が必要な業務のため、今後も求められる職種です。
まとめ
IoTによるデータの収集やビッグデータを持つことが一般的になってきた企業にとって、その活用となるデータ分析は経営戦略上の重要な位置を占めています。データドリブンな意思決定を実現するためにも活躍が期待される職種が、データアナリスト・データサイエンティストです。
データアナリストの主な仕事は蓄積されたデータから、統計学的な手法を用いて有用な傾向を導き、企業のビジネスのかじ取りを支援することです。このためには基礎となる数学・統計学の知識、プログラミングスキル、論理的思考などが必要なスキルとなります。
データアナリストは未経験でもポテンシャル採用やマーケターなどの前職の経験を生かした転職が可能です。その際にはスクールやオンラインコース、書籍などを用いてスキルを身に着けることが前提となります。データアナリストの仕事に興味がある方は、この記事を参考にデータアナリストへの転職を目指してみてはいかがでしょうか。
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