Python + 統計学を身につけて、より付加価値の高いエンジニアを目指そうPythonで統計学を学ぶメリットは?学習手順を含めて解説

最終更新日:2020年10月27日

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業界・業態を問わずデータ活用が重視される中、IT業界でもデータ分析に関する知見を持つエンジニアが求められるようになっています。特に統計学の知識は、今後ITエンジニアの必須教養となる可能性があります。そこで注目すべきなのが「Python」です。Pythonは統計学の学習に適した言語とも言われています。Pythonの実務経験があるエンジニアであれば、統計学の知識を身に着けることで、自身の付加価値を高めることができます。ここでは、統計学とPythonの関係性や、学習ステップなどを紹介します。

1. ITエンジニアが学ぶべき「統計学」とは?

まず、統計学の必要性と統計学の概要、ビジネスでよく使われる統計学を解説します。

エンジニアに統計学が求められる理由

現代はデータがビジネスの成否を左右する時代と言われています。データからビジネス課題の解決方法や、ビジネスの成長のヒントが得られるからです。しかし、取り扱うデータの量・種類共に増大が続く今、単純な集計だけではビジネスに活用できるデータを読み取ることが難しくなっています。

そこで注目されているのが統計学です。統計学は、ビッグデータを複数の観点から分析し、経営方針の決定などに役立つ意味のある情報を見つけ出すことに適した学問です。つまり、統計学を身につけることで、「データを分析してビジネスに活用できる人材」へとスキルアップできるのです。

また、今後は統計学をベースとした分析がより一般化していくと予想されます。一般的に統計はITツールとともに用いられるため、両方の知見・スキルを持った人材は付加価値が高いのです。

統計学の基礎

統計学は「過去の事実(データ)から特徴を見つけ出し、未来に対する推測を行う学問」であり、主に以下2つの分野で構成されています。

記述統計
記述統計は、収集したデータの統計量(平均、分散など)を計算して分布を明らかにし、データの「傾向」や「性質」を知る分野です。また、「特定データに対して、そのデータの特徴をわかりやすく表現する」ことを目的としています。

例えば、ある母集団の「平均身長」や「平均年収」などは、記述統計の典型例と言えるでしょう。これらは母集団に属する人間の数値を並べただけでは特徴がわかりにくいものです。そこで「平均」という考え方に沿って特徴をあぶりだし、異なる集団との比較などに使用します。ただし、記述統計には非常に大規模なデータの分析や、将来の推測などには不向きという弱点があります。

推測統計
推測統計は推計学とも呼ばれており、採取したデータ(標本・サンプル)から母集団の性質を確率統計的に推測します。記述統計学よりも後に登場し、前述したような記述統計学の弱点を補うことができるという強みがあります。

推測統計では、「データはある母集団の一部分である」という考え方がベースに分析を進めます。そのため、限られたデータ(標本・サンプル)から母集団(実際には得られていないデータ)を推測することができます。例えば、「今年の高校3年生の模試結果から本試験の結果を推測したい」というテーマがあるとしましょう。推測統計を使えば、「卒業生の模試結果と本試験の結果の関係性」を分析し、今年の高校3年生の本試験結果を推測することができます。これは「回帰分析」と呼ばれ、ビジネスの現場でも良く使われる手法のひとつです。

このように推測統計は記述統計よりも実用的な側面があり、データサイエンス領域でも頻繁に使用されています。

ビジネスで良く用いられる統計学

では、実際のビジネスでよく使われる統計学を具体的に見ていきましょう。

確率分布
「確率変数」の値と、その値がどの程度の確率で発生するかを分布状態で表す手法です。
変数による確率の違いを視覚的に捉えたい時などに活用されます。

相関関係
相関関係とは、あるデータ同士の関係性を数値化したもので、「-1~+1」の間で表現する手法です。あるデータ同士の関連性を数値で表す際などに活用されます。

統計的検定
単に「検定」とも呼ばれます。サンプルデータから母集団に関する仮説を検証する際などに活用される手法です。

回帰分析
ある変数を別の変数の変動によって説明・予測するための手法です。「目的変数」と「説明変数」を使い、目的変数の動きを説明変数によって予測することが可能です。また、説明変数がひとつの場合は「単回帰分析」、2つ以上の場合は「重回帰分析」と呼ばれ、重回帰分析はより高度な分析が可能です。

こうした統計学の手法は、座学だけでは身に付きにくいものです。ITエンジニアならば、実際の活用シーンを想定しながら、Pythonを使って学習すると良いでしょう。

2. Pythonで統計学を学ぶメリット

では、Pythonで統計学を学ぶメリットを見ていきましょう。
Pythonは科学計算処理に必要なライブラリが充実しています。Pythonのライブラリには、統計で用いられる専門的な計算式が内包されており、基礎的な考え方さえ理解していれば、具体的な計算式を知らずとも実践的な統計を実行できるようになっています。もちろん読書や座学でも学習は可能ですが、Pythonを利用することで「煩雑な計算の理解」に時間を取られずにすむため、「統計を使ってできること」をダイレクトに理解し易くなるでしょう。また、データの可視化も容易ですから、直感的・感覚的な理解も進みます。

さらに、「Jupyter Notebook」のように、統計学の学習に適したツールもあります。Jupyter Notebookは、「ノートブック」と呼ばれるファイルに対し、「プログラム本体」や「プログラムの説明」「実行結果」などをまとめておけるようになっており、PC上に統計学の学習環境を構築することができます。

近年は実際の統計業務をPythonで行うケースが増えたことから、Web上のノウハウや書籍が充実しています。したがって、統計学の知識が乏しい状態でも、Pythonを切り口として学習を進めやすい時代になっていると言えるでしょう。

3. Pythonによる統計学学習の手順

では、実際にPythonを使った統計学の学習方法を紹介します。

基礎知識・用語の習得

まずは統計学の基礎知識や用語について学習します。
このとき、Pythonのライブラリの知識も同時に習得していきましょう。

環境構築

次に環境構築です。環境構築は「統合開発環境」と「ライブラリ」のセットで行います。
Pythonで統計学を学習するには、以下を併用して環境を構築すると良いでしょう。

統合開発環境

  • ・Jupyter Notebook

OSSのWebアプリケーションであり、実行可能なソースコード、説明の文章、実行結果などをまとめて管理することができます。
 

  • ・Anaconda

Python本体とデータサイエンス用ライブラリがセットになったパッケージです。1500以上のデータサイエンスパッケージを利用でき、統計学の学習に必要なライブラリはほぼ網羅されています。

ライブラリ

  • ・pandas

統計量の可視化・グラフ化などを得意とするライブラリです。データ読み込み・並べ替え・欠損値の補完・といった「データの下処理」を行う機能も搭載されています。

 
  • ・NumPy

数学的な計算に特化したライブラリです。「行列」「微分」「三角関数」といった計算を容易に活用できます。

 
  • ・Matplotlib

「描画」に特化したライブラリです。線グラフや棒グラフ、3Dグラフなどが手軽に作成できるため、推測値の視覚化などに活用することができます。

 
  • ・SciPy

NumPyよりも高度な科学計算が可能なライブラリです。統計用のモジュール「stats」を利用できるため、Pythonを使った統計学の学習ではぜひ取り入れていきましょう。

身近なデータを用いた統計処理の実装

準備が整ったら、次のような作業を行い、実際に学習を進めてみてください。

データ収集と要約統計量の算出
分析したいデータを収集し、一覧化します。その後はPythonを使ってデータの特徴を抽出します。ここでは、個別のデータよりも「全体の特徴」を理解することに努めます。

可視化
次に、細かくデータを分析するための可視化(ヒストグラム化)を行います。ヒストグラム化は、データ同士を区間で区切り、その区間に含まれるデータの数・割合を可視化するものです。ヒストグラム化によって、個々のデータの特徴・傾向が直感的に理解できるようになります。

散布図作成
可視化が完了した後は、多変量解析を行ってみましょう。多変量解析は、異なるデータ項目間の関係性を確認する方法です。前述したPython用ライブラリ「NumPy」には、多変量解析に必要な「行列演算」の処理が含まれているため、ぜひ活用してみてください。

4. まとめ

データがあらゆるビジネスで重視される中で、IT業界でもデータ分析に関する知見を持つエンジニアが求められつつあります。特に統計学の知識は、データサイエンスやAI開発において必須と考えられるでしょう。特にPythonは、開発言語の中でも統計学の学習に適しています。すでにPythonで実務経験があるエンジニアであれば、統計学の知識を身に着けることで自身の付加価値を高められるかもしれません。ぜひ学習を検討してみて下さい。

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