データサイエンティストの転職|各業界の需要や求人例も紹介

最終更新日:2024年3月8日

社会の情報化が進み、蓄積されていく膨大なデータにどのような価値を見出し、活用するかは、企業経営の今後を左右する大きな課題です。

DX推進の一環として、データ分析のスペシャリストであるデータサイエンティストの必要性は多くの業界で提言されています。このような時代の流れを察知し、データサイエンティストへのキャリアチェンジを検討しているエンジニアも多いのではないでしょうか。

本記事では、転職によるキャリアアップを図りたい現役データサイエンティスト、データサイエンティストへのキャリアチェンジを検討するITエンジニアの方に向け、データサイエンティストの年収や転職者の傾向、必要なスキルについて解説します。

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データサイエンティストの転職で知りたい各業界の需要

ビックデータを活用したビジネスが盛んとなりつつある昨今、データサイエンティストの求人ニーズはとても高くなっています。データサイエンティストは、エンジニアとしての開発だけでなく、企画・マーケティングなど様々なフィールドでの活躍を期待されている職種です。

データマイニングなどの高度なスキルを持っていれば、転職の選択肢は飛躍的に広がります。しかし、必ずしもエンジニアとして経験豊富で、技術レベルが高い人材だけが、求められている職種ではありません。データベース系言語の経験がなくても、データ分析のスキルに長けた人材やITコンサルティング経験者は採用される可能性があります。

データサイエンティストの需要状況は業界によっても異なります。ここでは7つの業界におけるデータサイエンティストの需要状況について詳しく紹介します。また、データサイエンティストという職種について詳しく知りたいという方は、以下の記事もご覧ください。

関連記事:データサイエンティストとは?仕事内容や必要なスキルを解説

不動産業界

不動産業界では、不動産テックと呼ばれる不動産とテクノロジーを融合させた取り組みが進んでいます。不動産売買や賃貸の履歴をビッグデータとして収集し、不動産査定価格を決めたり、物件の価格推移のデータを提供したりするサービスなどが次々と登場している状況です。その不動産テックの推進を担う存在として、データサイエンティストの需要が高まっています

また、不動産会社の営業支援にもビッグデータが活かされています。例えば、賃貸物件の賃料の査定は、立地や間取り、築年数や仕様など様々な条件を考慮して決められます。経験豊富な営業マンであれば、スムーズに査定できるかもしれませんが、若手の営業マンにとって、適切な賃料査定額をスムーズに決めるのは困難でしょう。

そこで、賃貸物件のビッグデータがあれば、その分析結果を活かして、コンピュータによる賃料査定が可能です。Webサイトと連携させれば、物件を探している顧客データも合わせて、より顧客にふさわしい物件を提案することもできます。営業マンが不要になるため人件費も削減できます。このようなシステムを構築できる人材として、不動産業界でもデータサイエンティストの需要が高まっているのです。

金融業界

金融業界においてもデータサイエンティストの需要があります。特に金融とITを掛け合わせた「Fintech」と呼ばれる言葉が普及しているように、ITと金融の親和性は高く、ビッグデータやAIを活かしたこれまでにないサービスも展開されています。

例えばアメリカでは、ビッグデータ解析を利用することで即時に与信審査を行い、低金利かつスピード融資を実現したサービスがあります。日本におけるフィンテックの事例は、ロボアドバイザーと呼ばれる人工知能を活用したAI投資が有名です。既に多くの証券会社で展開されており、投資に詳しくない個人にとって、少ないリスクで投資にチャレンジできるサービスとして人気があります。

また、POSのデータやクレジットカードなどの決済データ、SNSやニュースサイトのテキストなど、これまで投資判断には使われていなかった様々なデータをビッグデータとして集約し、活用する動きもあります。これにより市場や経済の状況を多面的に俯瞰できるようになり、マーケティングやユーザー体験に活かそうとする企業もあります。

製造業界

製造業界の要となるものづくりの現場では、製品品質の管理とものづくりの効率化が大きな課題と長年言われています。その一方で、他業界や他先進国と比べてもデジタル化・DX化が遅れているのが現状です。経済産業省が発表している「2023年版ものづくり白書」によると、製造業においても収集・蓄積したデータを有効活用するべくデータサイエンティストの育成に力を入れる企業が増えているとされています。

製品品質管理では、これまで目視による確認で品質を見定めていました。しかし、製品の画像や動画があれば、それをAIに読み取らせて品質を確認できます。精密機械である半導体などでは、安定した環境での目視による確認が困難であり、AIの活用が進んでいます。

また、既存の製品の改良や新製品の開発などのものづくりの効率化においては、これまでの開発経験で得られたデータを効率良く分析することで、開発期間の短縮も可能です。

このように、製造業界でのデータサイエンスの活用には、現場と一体となって取り組むことが重要です。そのためデータサインティストは自身の専門性に加えて、現場を理解しようとする姿勢と、コミュニケーション能力が必要不可欠です。

電力業界

電力業界では、発電所内で発生する異常の早期検知、火力発電でのボイラー炉内のドローン点検、ガスの需要想定など、データを活用して、データサイエンティストが活躍する場面は多岐にわたります

例えば、発電所の稼働において「正常時」「異常時」それぞれの膨大なデータをプログラムに蓄積し、そのデータをもとにAIを構築することで、発電所の稼働状況をリアルタイムに把握することができます。

また蓄積したこれらのデータを分析することで、「異常」となる予兆を早期に発見したり、故障を予測し事故を未然に防いだりと、データを活用することで効率的かつ安全なDX化を期待できます。

化学業界

化学業界においても、化学プラントに起こる現象をデータを用いて解析したり、プラントの状態を予測するモデルを構築したりできる人材が求められています。たとえば、合成ゴム材料の製造ラインにおいて製品の品質を予測する機械学習モデルを作ることができれば、検査頻度を減らしコスト削減につなげられます。

各種機器や生産工程から得られた、ビッグデータによる多面的かつ深い解析ができる能力をもつ人材が求められています。

広告業界

広告業界では企業I、ユーザー情報、サイトへのアクセスログなどの細かいデータを扱う場面が多く、これらのビッグデータを巧みに活用することがマーケティング戦略や売り上げアップなどの成功への鍵となります。

ビッグデータは、ターゲットに最適な広告を掲載・配信するにあたり非常に重要な要素なので、広告業界においてもデータサイエンティストは重宝されます。

コンサルティング

コンサルティングの現場でもデータサイエンティストの活用が進んでいます。

クライアント企業をコンサルティングするときに、営業支援やマーケティング戦略、販売促進活動や広告、アンケート、市場調査など、様々なデータを分析する必要があります。ITやインターネットの普及でこれらを膨大な量のデータとして取得し、ビッグデータとして分析できる環境が整ってきました。

データサイエンティストとして直接クライアント企業のコンサルティングを行う会社・求人もありますが、コンサルティングの支援職種としてもデータサイエンティストが求められているのです。

そもそもデータサイエンティストとは

データサイエンスとは

データサイエンティストは企業や組織の持つデジタルデータを活用し、統計学の手法を用いて課題解決を行うITエンジニア職種です。データを収集して、分析を行うことで所属組織に有用な知見をもたらします。

業務上の課題抽出、課題の優先順位付け、目標設定の明確化、仮説の立案と検証による課題解決など経営戦略に貢献するデータサイエンスの専門家です。

データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストは統計学的な手法を用いて業務を行います。仮説をたてて、データの収集、分析を行い、結果を検証し、そこからでた成果を経営層などへ提言する、という流れです。大まかにまとめると、下記の仕事を担います。

関連記事:データサイエンティストの仕事内容を解説!必要なスキルも紹介

経営課題の分析・把握と戦略立案

所属組織における課題の洗い出しから業務が始まります。洗い出した課題に対し、優先順位を付け、ターゲットとする課題を明確化します。

その後、課題の解決に向けて仮説をたてます。の仮説が以降の業務での検証対象です。営利企業の場合には、経営課題の把握と戦略の立案にあたります。

データ分析基盤環境の構築・運用

各種の業務システムやSNS、オープンデータなどから、仮説の検証に必要なデータを収集し、整理、蓄積、分析が行いやすいように加工します。データを格納する環境として、データベースなどを用いたITシステムを利用するためITエンジニアとしてのスキルが必要な業務です。

データが準備できたら分析を実施し、有用な傾向を探します。データの分析に向けてもプログラムやITツールなどを活用します。

仮説検証・レポート作成・提言

分析結果をもとに、仮説の検証を行います。仮説を裏付けることができたら、レポートにまとめて提言に繋げます。

データ分析の結果、仮説が正しくないと判断したら、再度仮説の設定とデータの分析を行います。成果につながるまで繰り返し行うことで、効率的に課題の解決を図ることが可能です。

仮説が検証できたら、成果から導き出された施策を経営層などに提言します。KPIの設定を行い、次の施策の実施とその検証を繰り返すことで、経営課題の改善サイクルを生み出します。

データサイエンティストの転職求人例

レバテックキャリアが保有するデータを元に、データサイエンティストの求人例を2つ紹介します。現在募集中の求人を見たい方は、「データサイエンティストの求人・転職情報一覧」のページをご覧ください。

データサイエンティストの求人・転職情報>

企業内のデータドリブン化を担うデータサイエンティスト求人例

■業界
出版・印刷

■業務内容
・デジタルメディアの運営における収集、加工などのデータ処理
・デジタルサービスにおける課題の把握とKPIの設定
・各サービスの課題に対する対策状況のレポーティングと改善への提言
・データ分析の結果から予測モデルやMLOpsの構築

■求められるスキル・経験
・AWS、GCPなどのクラウド利用に関するスキル、経験
・BIツールを用いた業務経験
・データサイエンティストとして、環境構築やデータ加工プログラムの作成経験
・自ら課題把握を行い、ソリューション提案ができる方

■想定年収
700万円~900万円

■勤務地
東京都

ポテンシャル採用枠のデータサイエンティスト求人例

■業界
IT・通信

■業務内容
・ECサイトの顧客分析
・ドライブレコーダー動画分析
・バス需要予測システムの開発
・Web広告データ分析
・自動運転AI開発/支援ソフトウェアの開発
・機器予防保全ソリューション構築

■求められるスキル・経験
・プログラミング実務経験一年以上
・データサイエンスに興味を持ち、新しいフィールドにチャレンジする意志を持った方
・チームへの貢献を考え、協調性と柔軟性をもって業務に取り組める方
※最大合計1年間の座学、実務演習、OJTなどによる研修期間あり

■想定年収
350~450万円

今後データサイエンティストは飽和する?

2010年頃に誕生したとされるデータサイエンティストという職種は、ビッグデータや機械学習(ディープラーニング)分野への注目も重なったことで「データサイエンスブーム」と呼ばれるほどの注目を浴びることになりました。

2022年全米の職業人気ランキングでは7年連続で3位以内に入っており、今でも人気の職種であることは間違いのない職種です。しかし、元々データサイエンティストの業務内容とされていたデータ準備やモデル構築の自動化が進んでいるほか、簡易的な統計解析ができるBIツールの登場などに伴い、今後のデータサイエンティストの需要については「飽和するのでは?」といった悲観的な声があるのも事実です。

現在の需要に陰りは見られず、スキルのあるデータサイエンティストは引く手あまたです。しかし逆をいえば、簡易的な統計解析やモデル構築しかできないというようなデータサイエンティストの需要は前述の理由により下がります。

経営知識×データサイエンス、マーケティング知識×データサイエンスのように付加価値を掛け合わせるなど、データサイエンティストとして生き残るためにはどうするかを個々人が考えるべき時期ともいえるでしょう。

関連記事:データサイエンティストの将来性について - 10年後はどうなる?

データサイエンティストに転職する人の動向

ここまでの内容ではデータサイエンティストの需要についてご説明しました。それでは、どのような人がデータサイエンティストに転職しているのでしょうか?ここではデータサイエンティストに転職する人の動向について解説します。

大学から機械学習などを学んできた人が圧倒的に多い

データサイエンティストに転職する人の多くが、大学や大学院でAIや機械学習、ビッグデータなどのデータサイエンス関連のスキルを学んできた経験を持つ人たちです。これらのスキルにはプログラミングなどのコンピュータのスキルに加えて、高度な数学や物理学などの知識が要求されます。

そのため、ゼロから独学で学習する難易度が高く、大学や大学院で専門教員の指導のもと、スキルを身につけた人がデータサイエンティストになる傾向が強いのが現状です。

データサイエンティスト転職の年齢制限

データサイエンティストに限らず、転職の際に年齢制限にかかり不採用になってしまうことはありえます。例えば同じようなスキルをもつ2人の応募者がいた場合、企業としてはどうしても若いほうの応募者を採用する傾向があります。

しかし、データサイエンティストに必要とされるのは、仕事に必要な専門性です。また、現在の職種から、なぜデータサイエンティストに転職したいのか、その理由についてしっかりと答えられれば、面接時のアピールポイントになります。

IT職種未経験からの転職ハードルは高い

データサイエンティストとして未経験でも転職は可能でしょうか。すでにエンジニアとしてIT関連の仕事をされていた場合と、完全に未経験の場合とでは、転職の可能性が変わってきます。

需要が高い職業ですが、未経験でも応募可能な募集は少ない状況です。逆にいえば、経験者であれば高い確率で採用される職種です。もし未経験の場合は、以下のスキルを習得した上で転職活動を行った方がよいでしょう。

データサイエンティスト未経験者の転職に求められるスキル

データサイエンティスト未経験で転職した人の場合でも、大学で機械学習を勉強していたなどの土壌があるほか、以下のスキルを身につけているケースが多いです。
 

  • ・BIツールやR・Pythonなどの専門知識がある

    ・SQLの知識があり、MySQLなどが使える

    ・微分積分、線形代数、確率統計などの知識がある

    ・データマイニングの知識があり分析ツールを活用できる

    ・実務ではWebエンジニアとしての経験が1~2年以上ある


結論として、データサイエンティストのハードルは高い傾向にあります。

関連記事:
未経験からデータサイエンティストを目指す方法を徹底解説
データサイエンティストになるには?目指し方や必須スキルを解説
データサイエンティストの転職で知っておきたいこと

データサイエンティストの年収レンジ

データサイエンティストの需要が高いといっても、求められるスキルや年収が気になるかと思います。ここでは、レバテックキャリアを利用して転職に成功した方の実績を参考に、データサイエンティストの年収を解説します。

高いスキルレベルが求められるデータサイエンティストは、経験者として採用されれば年収は700~800万程度と高い水準です。別職種のエンジニアとして働いた後、データサイエンティストにジョブチェンジした場合は400万円程度が目安となりますが、未経験採用という点を考慮すると比較的高い年収が提示されているといえます。

関連記事:データサイエンティストの年収は高い?他職種との比較

データサイエンティストに必要な5つのスキル

データサイエンティストを目指すには、技術スキルは当然としてそれ以外にも様々な周辺知識の習得が必要となります。ここでは、データサイエンティストに求められる重要なスキルを5つに絞って解説します。

プログラミングスキル

実業務を行う上で、特定の言語に対するプログラミングスキルは必須となります。統計解析や機械学習に特化したR、データ分析や解析、機械学習と相性のいいPython、DBの操作や定義を行うのに必要になるSQLなどがそれに当たります。企業によってはSASやSPSSのスキルを求めてくる場合もあります。

Pythonは、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営している資格試験があります。試験は、「Python 3 エンジニア認定基礎試験」と「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」の2種類があります。Pythonのスキル証明に活用すると良いでしょう。

関連記事:
データサイエンティストを目指す上で必要な勉強
データサイエンティストに求められるプログラミング言語と学習方法

データベース系業務ツールの活用スキル

業務ツールとしては、BIツールやETLツールなどを用いた業務がスタンダードである傾向が強いです。Tableauのほか、マイクロソフト社が提供しているPower BIなどが多くの企業から支持を得ています。

多くのツールは有償となっており独学で触りながら勉強しようとすると大変ですが、初心者の方は無料のBIツールであるLooker Studioを触りながらBIツールの機能やデータ連携の方法などを勉強することも1つの手です。

統計学/機械学習の知識

データサイエンティストは、統計学/機械学習の深い知識が求められます。統計学においては、近年のBIツールにはあらかじめ統計手法を選べるようになっているものがほとんどですが、実現したいことに応じて最適な統計手法を自ら選ばなければなりません。

また、機械学習に関しても近年はscikit-learnなどの機械学習ライブラリなどが充実しており、アルゴリズムの実行自体は容易となってきています。ただし、既成のライブラリではうまく予測できない事象に直面した際や、ライブラリに組み込まれていない新しい手法の適用などを行う際には、専門的な知識が必要となります。

統計学/機械学習ともにある程度数学の知識(主に線形代数や微積分)を持っていないと独学での学習は難しい領域です。統計学については、以下の資格制度がありますので活用してみると良いでしょう。

統計検定®
ビジネス統計スペシャリスト

ライブラリやフレームワークの活用スキル

データサイエンティストはプログラミング言語を用いて、データ収集や解析の基盤を作るのですが、常に一からプログラムを作成するわけではありません。データの収集や分析のために各種の言語にはライブラリやフレームワークが用意されており、これらを用いることで効率的にデータサイエンスのためのプログラムを作成することが可能です。

特にPythonとNumPyやPandas、scikit-learn、Keras、TensorFlowなどの組み合わせがメジャーです。

コンサルティングに関するスキル

データサイエンティストの仕事は、企業のデータ活用をサポートする職種であり、提案力が求められます。データ抽出や集計が目的ではなく、データをもとに次のアクションを提案することが役割です。いわば、社内コンサルティングとも言えます。

データから導き出した情報を基にコンサルティングを行うため、ロジカルシンキングなどのビジネススキルが身についていると転職に有利になるでしょう。

データサイエンティストの転職で有利な資格

データサイエンティストとして転職する際に有効な資格について紹介します。データサイエンティストに資格は必須ではありませんが、ITに関する一定レベルのスキルを示したり、データサイエンス領域の知識保有などを示すことが可能です。

情報処理技術者試験

情報処理技術者試験とは、情報処理推進機構(IPA)が実施する、ITに関連する国家資格で、情報処理技術者としての知識やスキルが一定以上のレベルにあることを経済産業省が認定します。

ITを活用する社会人全般を対象としたITパスポートをはじめとし、専門性の高いITストラテジスト試験やシステムアーキテクト試験など、合計13種類もの試験が用意されています。

統計士・データ解析士

統計士データ解析士は一般財団法人実務教育研究所が実施する講座を修了することで得られる資格です。受験資格などはなく、統計士は「現代統計実務講座」、データ解析士は「多変量解析実務講座」を受講し、単元ごとの課題を提出し修了することで資格取得できます。

統計などのデータリテラシーを身に着ける内容としても初心者向けのため、これからデータサイエンティストを目指す方におすすめの資格といえるでしょう。

統計検定2級

統計検定は日本統計学会が公式に認定している資格で、4級から1級までの5つのレベルがあります。データサイエンティストとして活躍するために、必要な最低ラインは2級です。2級を取得することで、統計学の基礎知識を証明できます。

データサイエンティストには「データを分析した結果、そのデータを活用して、目の前の課題をどうやって解決できるか」という見解が求められます。そのため、統計検定の勉強を通じて、課題に対して統計の活用力を身につけられるという点がメリットです。

Python3エンジニア認定基礎試験

Python3エンジニア認定基礎試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施している民間の認定試験です。Pythonを使用したデータ分析に関する基本的な知識が問われます。データサイエンティストとして活躍していく上で、Pythonは必須ともいえるプログラミング言語のため、学習しておくことをおすすめします。

G検定・E資格

G検定・E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施しているAI技術に関する試験です。機械学習やディープラーニングに関する知識や技能を認定する内容となっています。ジェネラリスト向けのG検定とエンジニア向けのE資格があり、E資格を受験するためには、協会が指定する講座を事前に受講する必要があります。

データサイエンティストとして活躍できる企業

データ流通が盛んである現代で、データサイエンティストとして活躍できる場は数多くあります。主な市場としてはBtoC企業やWebサービスを提供する企業が多い傾向にありますが、海外ではデータサイエンティストは既に一般的な職種となっています。他の領域においても今後国内でも需要は伸びていくでしょう。

しかし、せっかくデータサイエンティストとして転職しても、データサイエンスに対する社内の理解が十分に得られていないと活躍の場が限られてしまう可能性があります。以下では、転職者目線でデータサイエンティストとして活躍しやすい企業の特徴を2つご紹介します。求人を選ぶ際の参考になれば幸いです。

DX推進に積極的な企業

ここまでの内容でも触れた通り、DXの推進にはデータ基盤が不可欠であり、データ基盤を構築・活用することがデータサイエンティストの重要なミッションです。

とはいえ、仕事は一人で進められるわけではなく、関係部署との連携や上層部のデータ基盤に関連する設備(ツール)投資への理解などが必要になる場面が出てきます。DX推進を全社プロジェクトとして位置づけ、上層部を始めとした各社員がそのことを認識している企業はデータサイエンティストとして仕事がしやすい環境と言えるでしょう。

データドリブンな組織文化

データサイエンティストへの需要は保有データ量の多い大手〜中堅企業に限った話ではなく、IT系ベンチャー企業などでも高い状況にあります。IT系ベンチャー企業の傾向としてデータを基に意思判断を行うデータドリブンな組織文化であることが多く、データサイエンティストという職種やデータ投資の重要性を理解しています。

企業規模だけで判断するのではなく、このような組織文化についても判断材料に含めて求人を探すことをおすすめします。

企業のデータサイエンティスト採用動向

最後に、採用する側の企業サイドにおけるデータサイエンティストの採用動向についてお伝えします。取り上げるトピックとしては、経験者採用の苦戦とデータサイエンスに対する理解の程度の2つです。

経験者採用に苦戦している

データサイエンスブームに伴いデータサイエンティストの数は増えているものの、実務経験がありかつ高スキルのデータサイエンティストは高待遇であるケースが多いことからも、転職市場に中々出てこないというのが現状です。

中途採用という前提で考えると企業の多くは即戦力を求めます。教育制度が整っている職種・職場であればポテンシャル採用という選択肢も出てくるのですが、データサイエンティストのスキル要件が高いことや定着してまだ日の浅い職種であることから、データサイエンティストに対する十分な教育制度が整っている企業はかなり限られているのが現状です。

以上から、経験者採用に苦戦しているという話になります。

データサイエンスに対する理解が不足気味

求人を出すにあたっては業務内容や年収、仕事の魅力などを訴求する必要があります。上の方で「データドリブンな組織文化の方がデータサイエンティストとして活躍しやすい」と述べましたが、データサイエンスに対する理解が不足していると、魅力的な待遇(年収や仕事内容)を求人内容に反映することが難しくなるのです。

また、データサイエンティストとしての求人であっても、業務内容としてはデータアナリストや機械学習エンジニアの領域であるというケースも少なからず存在します。この現象の多くは職種に対する理解不足から起こることで、応募する側の人も注意しておくべきでしょう。

関連記事:データアナリストとデータサイエンティストの違いは?

データサイエンティスト転職に関するよくある質問

データサイエンティストへの転職に関するよくある質問と回答をまとめました。キャリアパスとして検討される際の参考となれば幸いです。

Q1.データサイエンティストの仕事でつらい点は?

地道な作業がある、成果物へのプレッシャーが高い、スキル的に頼れる人がいない…などが良く挙げられるケースですが、一番つらいと感じやすいのはやはり「社内の理解が得られず仕事が進めづらい」というケースです。

Q2.データサイエンティストからの転職先の選択肢は?

同じデータサイエンティストとして転職するという以外にも、より全社的な視野が求められる経営・ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなどの選択肢があります。日本ではまだデータサイエンティストという職種が浸透してから間もないこともあり、今後キャリアパスの選択肢が増えていくことが予想されます。

Q3.データサイエンティストの年収は?

レバテックキャリアに2023年7月12日時点で掲載されているデータサイエンティストの求人・転職情報より、想定年収を算出すると約772万円となりました。(30件を抽出し、想定年収の最大値と最小値の中間の平均より算出)

高スキルや豊富な業務経験が求められる求人からポテンシャル採用の求人までを含めているため参考値程度ではありますが、年収レンジは300万円台から1,500万円を超えるものまで非常に幅広いです。優秀なデータサイエンティストには最大で1,000万円以上の年収を提示する情報も多数存在しています。

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まとめ

統計学的な手法とデジタルデータを活用して、企業に有益な知見をもたらすデータサイエンティスト。DX推進やデータドリブンな経営などに欠かせない存在であり、多くの業界で求められる人材です。

優秀なデータサイエンティストは需要が高く、引く手あまたの状況です。一方で、ツールの進化と普及により参入ハードルは下がったため、バックボーンの弱いデータサイエンティストは淘汰も予測される状況です。

データを扱うためのITに関するスキルと知識、統計手法、そして経営的な目線での判断など、総合的なスキルの向上がデータサイエンティストとしての転職を成功させるポイントです。また、DX推進に力を入れている、データサイエンスに理解のある企業選びも転職では重要視したいポイントとなります。

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この記事の監修

レバテックキャリア編集部

レバテックキャリアは、IT/Web業界のエンジニア・クリエイター向けに特化した転職エージェントです。当メディアでは、エンジニア・クリエイターの転職に役立つノウハウから、日々のスキルアップや業務に活かせる情報まで、幅広いコンテンツを発信しています。

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