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【CTOの職務経歴書】|(株)Aiming 最高技術責任者 小林俊仁氏【前編】京大大学院時代にオンラインゲーム開発に出会い、バイトに新幹線通勤。20代で取締役、そして中国で起業へ

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今回の「CTOの職務経歴書」は、株式会社Aimingの小林俊仁氏に話を伺った。スマートフォンの進化を見越して2011年5月に設立された株式会社Aimingの現CTOだ。京都大学在学中からゲーム開発に携わってきた小林氏。前編では、オンラインゲーム黎明期にコミュニティーエンジン社でエンジニアとしてのスタートを切り、中国で起業を試みるまでの歩みについて語っていただいた。

株式会社Aimingとは
「スマホオンラインゲーム世界一」をミッションに掲げ、主にスマートフォン向けオンラインゲームの企画・プロデュース・開発・運営を行う会社。代表作に、「剣と魔法のログレス いにしえの女神」「ロードオブナイツ」「幻塔戦記グリフォン」など。 2015年3月に東証マザーズに上場を果たす。
http://aiming-inc.com/ja/

音楽イベントを主催したことがマネジメントの原点

――まずは、小・中学校や高校の頃の学生生活について教えてください。

小林氏:小中学生の頃は、本を読み漁ったりテーブルトークRPGをやったりしていて、内向的な趣味にハマっているグループにいた気がします。 あと、中学生まで自分はイケていないと認識していましたが(笑)、高校生になると結構社交的になったように思います。

――それはどういうきっかけで?

勉強をしだすとそれなりの成績が取れたりして、クラスのイケてるグループのメンバーからも、勉強を教えてほしいと言われるようになりました。それが自己肯定感につながって、少しずつ社交的になっていった記憶があります。 あとはオタクな趣味を隠さなくなったことですかね。

部活は、運動系はハンドボールとかボートとか、あまりメジャーではない部活をそれなりにやりましたが、最終的にはボートで腰を壊したのをきっかけに軽音楽部に落ち着いて、ギターを弾いていました。音楽は大学に入っても続け、このときの経験が現在の自分を形成している大きな要素だなと思います。

もともと内向的だった小林氏は中学、高校へ進むにつれて社交性を身につけたという

――それはどういった点でしょうか。

小林氏:僕が所属していた音楽サークルのOB・OGが集まって、年に一度、屋外ライブイベントを開催していました。僕はそのイベントの大将をやっていた時期があって、それが今の自分の仕事に通ずるところがあると感じています。

イベント開催には、ステージ設営や音響設備などでお金がかかりますよね。でも、ライブ自体は無料だったので、どこから費用を出すかというと、飲食の販売なんです。つまり、観客には食べたり飲んだりしてもらわないといけない。

ショボいバンドが演奏してると綺麗にお客さんがいなくなるんですね。 なので良いバンドに出てもらって、人に滞留してもらうことで、飲食販売につなげていく。今にして考えると、これはまさにfree-to-playのビジネスモデルですよね(笑)。

それから、初めて自分がリーダーになってみると、役割が180度変わるということも実感しました。ステージを片付けていた時に、初代の大将から「お前が作業をやってどうするんや。指示を出せ!」と怒られたんです。

リーダーは作業をがんばらないといけないと考えていた自分にとって、リーダーになるとあえて作業を手放さなければならない場合もあるということを、この時、強烈に認識させられました。僕のマネジメントの原点と言える経験でしたね。

新幹線で"通勤"し、オンラインゲームの開発に携わる

――なるほど。もともと内向的だった小林さんが、大学生になるとすっかりリーダーとして活躍されていたんですね。小林さんは大学院にも進まれていますが、音楽サークルに打ち込むかたわら、勉強や研究の方ではどのようなことをされていたのでしょう。

小林氏:大学では、工学部の電気電子工学科で低軌道衛星を利用した通信アルゴリズムを研究し、大学院は情報学研究科に進みました。初めて自分のパソコンを買ったのは、大学に入って少し経った頃、Windows95の時代です。当時、テレホーダイのサービスが始まったこともあり、夜中には『ICQ』と『東風荘』ばかりやっていました。

プログラミングには、音楽サークル向けにPerlで掲示板を作ってみたことがきっかけで、のめり込んでいきました。研究室に入るとプログラミングに詳しい先輩がいたので、いろいろ教えてもらいながら、研究室のLANで『Age of Empires』をするためにネットワーク管理をしたり、ウェブページを作ったり……。研究というよりも、自分が好きなことをやっていたという方が近いかもしれません(笑)。

――今、『Age of Empires』という対戦ゲームのお話が出ましたが、ゲームはずっとやられていたのでしょうか。

小林氏:ゲーム自体は子供の頃からやっていましたが、エポック社の『スーパーカセットビジョン』や親が持っていたNECの『PC-8801 mkII FR』で遊んでいたので、 あまりメジャー路線ではないですね(笑)。

ファミコンは、もっぱら友人の家でやっていました。 88では『ザナドゥ』とか『信長の野望・全国版』とかをやりながら、雑誌に載っていた『N88-BASIC』のプログラムを打ち込んで、ゲームをやったりしていました。これが小学4年生くらいの頃ですね。

大学時代には、先輩にプログラミングを教わりながら、サーバー管理をしたり掲示板を作ったりしていたという

――小林さんは、大学在学中からオンラインゲームの開発に関わっていらっしゃいますよね。そのあたりの経緯をお聞かせください。

小林氏:僕がオンラインゲームの開発に関わるようになったきっかけは、日本のオンラインゲーム制作の草分けとも言えるコミュニティーエンジン社を立ち上げた中嶋謙互との出会いです。実は、僕が学生時代にやっていたバンドのキーボーディストが彼の妹で、彼女から「お兄ちゃんが会社を作ったんだけど興味ない?」と誘われたのが始まりです。

実際に会ってみると、彼はとてもイケてるプログラマーで、同時に世の中に一石を投じてくれそうな雰囲気がありました。「新幹線代を出すから東京に来てよ」と言われたので、週に3日ほどオンラインゲームを作るために京都から東京に通いだしました。

でも、支給されたのは本当に新幹線代だけで、宿泊費も出ませんでした。だから会社に泊まりこんで、ひたすらゲームをやってコードを書いていました。今から考えるとすごいことですが、めちゃくちゃ楽しい時期でしたね(笑)。 とにかく楽しかったので、就職活動もせずにそのまま同社に就職してしまいました。

社会心理学的な視点でオンラインゲームを見ていた

――コミュニティーエンジン社といえば、オンラインゲームの黎明期を牽引したと言ってもいい会社ですよね。小林さんにとって、オンラインゲームがそこまで魅力的だったのはなぜなのでしょう。

小林氏:僕は社会ネットワーク分析やグラフ理論、社会心理学などに興味があって、オンラインゲームがたまたまその延長線上にあった、という感じですね。

僕は76世代のご多分に漏れず、ソーシャル・ネットワークに強く興味を持っていて、何かできないかなと漠然と思っていました。それで海外のサービスを調べまくったりして、「人間の関係性をデータとして持っているのはどこか」「ICQかMSN Messengerか…」などと考えていたところ、ふと「オンラインゲームがあるやん」とひらめきました。

オンラインゲームにはすでにフレンドリストやギルドがあって、会話もしていて、人間関係がゲームに反映される。きれいなグラフィック表現などよりも、「人の関係性をデータ解析して、コミュニティーを可視化できないかな」といったことを考えていました。当時、SNSは無く、神の視点が得られる手近な題材としてオンラインゲームに惹かれたんです。

――その後、小林さんは20代半ばでコミュニティーエンジン社の取締役に就任され、さらに北京で子会社を設立されますよね。かなり大きな変化が次々と訪れたという印象なのですが…。

小林氏:コミュニティーエンジン社の取締役になったことについては、特に大きな変化ではありませんでした。大きな会社でもありませんでしたし、普通に手も動かしていましたから。

でも、中国での子会社設立は、大きなターニングポイントにもなり、得た教訓も大きかったですね。そもそも中国に子会社を作ろうという話になったのは、コミュニティーエンジン社の業務拡大が関係しています。

当時、コミュニティーエンジン社では、『gumonji』というオンラインゲームや、VCEというオンラインゲーム用の通信エンジンを提供していて、それらを中国で展開するほか、対日開発のオフショア拠点にしたいという思惑もありました。

ただ、実際に行ってみると、中国の国外で制作されたゲームを国内向けにするには、様々な規制や参入障壁があって上手くローンチできず、現地の開発会社も外部のエンジンは使わず自前主義でやっている制作会社がほとんどだったため、ミドルウェアは売れませんでした。残ったのはオフショア開発拠点としての機能ですが、これだけでは意義が薄く、結果的には3年半での撤退となりました。

知恵もノウハウもないまま、現地パートナーを探すなどのステップを踏まずにいきなり現地法人を立ち上げるという高リスクを背負った上に、撤退基準もしっかり決めていなかったので、早めの損切りもできませんでした。今ならこんなことはしませんけどね(笑)。

「段階を踏まず、一足飛びに現地法人を設立したのは反省点です」と話す小林さん

後編を読む何でも言い合える風通しの良い組織作りにこだわることが、結果的に良いゲーム作りにつながっていく

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