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【CTOの職務経歴書】ロックミュージシャンから華麗なる転身!? 経験ゼロからCTOに|株式会社DMM.comラボ取締役 兼 CTO システム本部長 城倉 和孝氏

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「CTOの職務経歴書」シリーズは、レバレジーズ(現レバテック)のアナリスト兼営業マンがインタビュー取材を通して注目企業のCTOに迫る企画です。

今回の「CTOの職務経歴書」は、DMM.com ラボの取締役 兼 CTO、システム本部長を務めていらっしゃる城倉和孝氏が登場。 ロックミュージシャン時代の思い出から、コンピューター業界に足を踏み入れた意外なきっかけ。そして4年前にDMM.com ラボに入社し、さまざまな改革を行ってきた経緯を語っていただきました。

DMM.com ラボとは?
動画やオンラインゲーム、電子書籍などのデジタルコンテンツから、英会話やFX、3Dプリントサービスなどを展開する総合エンタテインメントサイトDMM.com。DMM.com ラボでは、DMM.comのシステム開発や運営、 ネットワークインフラの提供、そしてWebマーケティングを行っている。
http://labo.dmm.com/

コンピューターとは無縁のロックに夢中な高校時代

―まずは城倉さんの学生時代についてお話を伺います。当時はどんなことに興味を持たれていたのでしょうか?

城倉氏:高校時代はギターに熱中して、バンド活動にハマっていました。そして、大学への進学もやめてプロのミュージシャンを目指すことに。当時は「サラリーマンなんてくそくらえ!」という感じでしたね(笑)。

卒業後は都内の有名なライブハウスで演奏したりと、精力的に音楽活動に励んでいましたが、やはり金銭面では苦しいものがありました。でもバイトを探すにも、当時はロン毛の人間なんてロッカーかサーファーくらいで。雇ってくれる場所がないわけですよ。

困っていたら、八百屋でバイトをしていたバンドのベースの友人が、隣の肉屋で求人していることを教えてくれて。肉屋では「髪の毛は結べばいいよ」と快く採用してくれました。

仕事は店頭販売、配達、惣菜作りなどなんでも担当しました。そのうち「店を継がない? 肉の専門学校に行かせてあげる」と店長に言われて、「これはヤバい」と思って辞めたんですけど。

ただ、生活は苦しくて、ミュージシャンとして3年頑張ったところで「そろそろ潮時かな?」と思いまして。「サラリーマンでもやろうかなぁ?」と考えるようになりました。

―ちなみに当時はコンピューターに興味があったのでしょうか?

城倉氏:いえ全然(笑)。当時はパソコンもPC 98があったかどうかの時代ですし。今ではパソコン用にシーケンサーソフトがありますが、当時はシーケンサーの専用機があって、それを扱っていたくらいで、全く無縁でした。

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ロックに夢中だった10代の思い出をユーモアたっぷりに語る城倉氏

「営業はなんとなく嫌!」「コーヒーがただで飲める!?」軽いノリでIT業界へ

―そんななか、なぜIT業界に足を踏み入れたのでしょうか?

城倉氏:いざ就職を考えたとき、当時はバブルの終わりだったので、分厚い就職情報誌に求人がわんさか載っていました。でもよくよく見ると募集職種が営業職かコンピューター系しかない。そして、「なんとなく営業は無理かなぁ?」という消極的な理由でコンピューター系を選びました。

あとは、神奈川県に住んでいたので、横浜の会社だったら近くていいなぁとか(笑)。本当、お気楽な性格でしたね。

そして1社目で、簡単な試験を受けただけで、内定をもらいました。未経験にもかかわらず合格だったことで調子に乗って、ほかの会社を検討することなく決めてしまいました。

あと当時は本当に世間知らずで。喫茶店でもないのに面接でコーヒーが出てきて、タダで飲めたことに、「会社ってすげー所だ」とえらく感動しました(笑)。帰りがけに「ごちそうさまでした」と言ったら会社の人に笑われたくらいです。

―では本当に、パソコンを使ってなにかやるのかな?くらいの気持ちだったわけですね。

城倉氏:そうですね。でも当時はパソコンではなく、メインフレームを扱っていました。メーカー系のFとかNとかIといったコンピューターですよね。そしてCOBOLのプログラマーとしてスタートすることになりました。

ただ、今でこそネットでJavaでもPHPでも調べられますが、当時はHow to本でさえどこにも売っていませんでした。プログラミングのお作法とか、キレイな書き方とか、本当にゼロから上司に教えてもらいましたね。

でも、意外と向いていたのか、始めたら結構楽しくなってきたんですよ。

―プログラミングのどんなところが楽しかったのでしょうか?

城倉氏:ただ書くというよりは、自分でこだわって書いたものが動いたときがうれしかったです。きれいに書く、直しやすく書く、効率よく書く、といったこだわりですね。

入社当時は22歳くらいだったのですが、すぐにSE職を経験させてもらうことになりました。そして2年後には某テレビ局の人事システムの入れ替えを、サブシステムのリーダーとして担当することに。まさかの大抜擢ですよね。

当時の上司には、「ちょっとやってみるか?」という感じで、早い段階からいろいろな仕事に挑戦させてもらえました。いい上司に恵まれていたと思います。

今、自分が「部下にいろいろな経験をさせてあげたい」という思いがあるのは、当時の上司の影響もあるのかもしれません。

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経験ゼロからスタートするも、すぐにエンジニアとしての頭角を現していった

―未経験から2年でそこまで登りつめたとなると、それなりの苦労もあったのではないですか?

城倉氏:今はSEといえばWeb系が主ですが、当時は生産管理とか人事、販売管理などの業務系がメインなんですよ。でも、経験もないから、会社の業務についてなにも知りませんでした。かつ若造だからって、なめられちゃいけないと思って(笑)。よく知ったかぶりをしていました。

例えば、顧客との生産管理の打合せで「歩留り(ぶどまり)」という用語が出てきて、分からないのですが、「ほ~う。なるほど。ブドマリですね~」って言っておくんです。で、帰りに本屋で生産管理の本を読んで必死で調べるみたいな。そんなことの繰り返しでした。

※製産ラインで生産される製品から、不良品を引いたものの割合。

メインフレーム系からオープン系へ 時代の波を感じて転職を決意

―転職して次の会社に行ったきっかけは何だったのでしょうか?

城倉氏:当時よく日経コンピューターなどといったパソコン雑誌を読んでいて、記事の内容がメインフレーム系からオープン系に変わっていきました。それで、WindowsやUNIXの全盛期がきそうな空気を感じました。ちょうど次に入る会社と一緒にオープン系システムを提案する機会があり、オープン系の面白さに目覚めたのです。

それまでいた会社は基本的にメーカーなどの孫請けの会社だったので、メインフレーム以外のことはできないと思いました。だから転職することに決めました。

―オープン系の会社に転職したとなると、さまざまな言語に触れることになったかと思います。得意だった言語は何でしょうか?

城倉氏:Webの時代が来るのはもう少し後でした。やっぱり僕が当時ゴリゴリ書いていたのはクラサバ(クライアントサーバー)の時代なんです。フロントはVB、バックはOracleサーバ、ミドルウェアをCで書いて3階層クライアントサーバーなどを開発していました。

ただそこからは、開発部門にいながらもプロマネSEや、営業業務が中心になっていきました。「自分のところの仕事は自分でとってこい」というスタンスの会社だったので(笑)。

結果的に大小あわせて50以上の業務系システム開発に携わる事ができ、経営感覚も身につけることができたので、本当にいい経験ができたと思っています。

そんななか次第にプロダクト系のビジネスに興味を持つようになって、パッケージを作るように。正確に言うと、パッケージを作って販売していたのですが、その販売代理店に出資の話をいただいて、ジョイントベンチャーというかたちで部門を独立しました。そこで取締役兼CTOになりました。

―実際に独立してCTOになったときの気持ちは?

城倉氏:肩書きが付いたたけで、業務的には変わりませんでした。だから、気持ちにも大きな変化はありませんでした。ただ、分社化したことで私が技術の責任者になり、別の人間が営業を担当するようになったので、もう「全部やらなくていいんだ」「技術に専念できる」と思ったくらいです。

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システムエンジニア、プロジェクトマネージャーを経て、CTOになった

―そんななか、再び転職しようと思ったのは?

城倉氏:そうですね。そこでの仕事をやり切ったと思う瞬間があったからかもしれません。実際退職してからは2カ月間くらい働きませんでしたね。長い旅に出たり、「今度は外資系への転職もアリかな?」という目論見もあり、英会話スクールに通ったりして(笑)過ごしましたが、色々あって結局はDMM.comラボに入社しました。

―DMM.comラボに入社された経緯を教えてください。

実はモバイル系のベンチャー企業に内定をいただいていました。でも、エージェント経由でDMMの案件が来て、しかも会長に会えると聞いたので、「DMMの会長に会える機会なんてそうそうないぞ!」と思って、ひとまず面接に行ってみることにしました(笑)。

そしたらもう、やられちゃった感じですね。前社でも営業職を経験していましたから、多くのすごい人に会ってきたという自負があったのですが、「こんな人初めてだ!」というくらいの感銘を受けました。

「美しく」「かっこよく」エンジニアにはこだわりを持った仕事をしてもらいたい

―現在CTOとしてどのようなお仕事をされていますか?

城倉:一番上に経営があって、その経営に向けて技術のビジョンを示すのが私の仕事です。技術がどう経営に影響するかを考え、それをもとにエンジニアリングで実現する方向に落としていくことがメインですね。そのため、エンジニアの幹部クラスとは定期的にミーティングしています。

よく部下にレビューとかでシステムの構成などを見せてもらうのですが、あえて「美しくない」とか「もっとかっこいいやりかたがあるんじゃない?」とか言っちゃうんですよ。内心では「かわいそうかな?」と思いながらもね。要件を満たしていて、それなりにできていても、それだけではダメかなと。

―DMMに入社してからはさまざまな改革に取り組んできたと思いますが、なかでも印象的だったのは?

城倉:私が入社したころは事業ドリブンがもっと強くて。うちの会社は真面目で素直な子が多いので、構造などにはこだわらずにとにかく速く作ることに主眼を置いていました。結果よくある話ですが、システムがかなり大きくなり、メンテナンスも大変になってしまいました。

会社が次のステージに行くには、ここを改革しなきゃいけないと感じました。ただ、大きすぎるのでどこから手を付けたらいいのかが課題でしたね。

そのため、何か大きなプロジェクトがあるとそこに乗っかり、ついでにほかの部分も切り離してきた感じですね。その結果、プラットフォームはOpenAPIにほぼリニューアルして、裏側に疎結合で置くことができています。同時に事業のほうもいろいろリプレイスして、だいぶスピード感が出てきました。

―改革には時間がかかりましたか?

城倉:ここまでくるのに3年で、さらにあと1~2年はかかるでしょうね。多少強引にやらないと進まないので、ここはトップダウンで決めました。事業側の理解あってこそ実現できました。感謝しています。

これからの仕事は楽しいサービスを自発的に実現できる後継者を育てること

―採用も担当されているそうですが、仕事を進めていくうえで、どんなエンジニアと一緒に働きたいと思いますか?

城倉:純粋に技術が好きで好奇心があり、つねに広くアンテナを張っているエンジニアさんですね。あとはこだわりのある方。ただ、こだわりのなかにも素直さがあるといいですね。ちゃんと意見を聞くことができる社員は成長が早いので、採用もそういった軸で行っています。

―CTOとしての仕事の醍醐味はどんなところにありますか?

城倉氏: これからの私の仕事は人材の育成であって、後継者を育てることです。会社が存続していくための人材を作らなければならないし、楽しいサービスを自発的にできる人材を育てなければならない。それが自分のCTOとしての存在価値だと思っています。

そんななか、若い子たちが成長する姿を見ると、本当にうれしいですね。

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後進の育成や採用について語る様子は、静かに熱を帯びていた

営業担当

レバテック営業担当「林英司」から一言!

ミュージシャン(時々肉屋でアルバイト)から、SE→PM→CTOと華麗なる転身を遂げてきた経歴を、穏やかに、ときにユーモアを交えながら話してくださった城倉氏。モノづくりへのこだわりを大切にする姿勢、若手への温かい目線はとても印象的でした。
ちなみに、城倉氏は仕事以外にもツーリング、渓流釣り、史跡巡り&御朱印集めなど、多彩な趣味をお持ちだとか。もっともっとお話を伺いたいと思ってしまうほど、人を惹きつける魅力を感じられる方でした。

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