“石川県を日本のシリコンバレーにしたい。”【DMM.comラボ】CTO城倉氏が語る若手エンジニア育成論

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動画から3Dプリントまで、多彩なサービスを提供する総合エンターテインメントサイト「DMM.com」。DMM.comラボは、そのシステムやアプリケーションの開発、ネットワークインフラ構築などを一手に引き受けるソリューションサービスプロバイダーだ。

同社は現在、エンジニアの育成に注力しており、若手を中心として技術力に加えてビジネスの視点を養うことに取り組んでいる。なかでも研修中の社員だけで作ったスマートフォンアプリが2つのコンテストで受賞するなど、若手エンジニアの成長が著しい。

今回は、若手エンジニアを伸ばす仕組みづくりについて、また、金沢事業所の若手エンジニアが快挙を成し遂げた背景などについて、同社のエンジニアリングを牽引する城倉氏に話を聞いた。

城倉 和孝氏

株式会社 DMM.comラボ 取締役兼CTO システム本部長。

メインフレーム系のソフトハウスに入社し、独立系SIerで企業システムの受託開発、パッケージビジネスの立ち上げなどを担当。2011年にDMM.comラボに入社し現職。

1. 研修中の新卒エンジニアがアプリコンテストに挑戦

「DMM.comは、企業の変革期を迎えています。サービスが会員数1700万人という大規模なものへと進化を遂げた今、より強固なプラットフォームの構築、新たな分野でのサービス事業の強化など、次のステージへ向けた施策を実施しています。その中で人材育成は大きな課題のひとつ。優秀な若手エンジニアを発掘し、技術力だけでなくビジネスの視点も併せ持つ人材に育て上げることが必然となります」(城倉氏)

そうした背景を受けて2014年6月に発足したのが、城倉氏直属の組織、金沢事業所のCTO室だ。先の記事『【DMM.comラボ】が採用するユニークな育成研修─ 新卒&若手エンジニアだけで企画からマーケまで手掛けたスマホアプリがコンテストで連続受賞!』でも紹介した通り、CTO室はもともと研究開発や技術発信を行うR&D部隊として東京を中心に発足。金沢では入社間もない新入社員2名と、3年目の若手社員1名、計3名のエンジニアが配属され、約1年間に渡る特別研修を受けた。

「当社はコンテンツ駆動の事業が多いので、ちょうど技術者視点のアイディアを発信していける組織を作ってみたいと考えているところでした。そんな折に、彼らから北陸新幹線開通にあわせたアプリの提案を受け、アイディアもプレゼンも大変面白いものでした。

今の若い世代はデジタルネイティブということもあり、発想も柔軟で色々な面において器用な才能を感じます。組織へ配属後は分業の中で仕事をすることになりますので、配属前のほぼ真っ白な状態の彼らが、ひと通りの作業を体験することで生み出す成果物に興味がありました」(城倉氏)

ポップな雰囲気の金沢事業所で語る城倉氏の写真

金沢事業所のCTO室に配属された若手エンジニアたちは、期待通りの目覚ましい成長を見せる。スマートフォンアプリの開発未経験ながら、わずか約4ヶ月で『金沢すきま旅』という観光アプリを完成。彼ら自身で企画、制作した成果物が、地元開催の『KANAZAWAスマホアプリコンテスト2014』と、全国規模のコンテスト『アーバンデータチャレンジ2014アプリケーション部門』、2つのコンテストで受賞を果たしたのだ。

「基本的に方針だけを伝えて、後は彼ら主導でアイディア出しから設計、進捗管理、そしてアプリ開発の学習と実装を進めていきました。週一回、金沢と東京をTV会議システムでつないで、レビューと報告を行っていましたね。

金沢のコンテスト決勝では賞を頂いたものの、僅差でグランプリを逃したことを彼らは非常に悔しがっていました。終わった後に声をかけたら、涙目になっていましたよ(笑)。社会人になった彼らが初めて『結果を出す』ということを実感できた、貴重な体験だったと思います」(城倉氏)

猛進する彼らが壁にぶつかっても、城倉氏は助け舟を出すことを極力控えたという。アプリの広告活動もその一つだ。

「本当は、マネタイズを入れることを一番体験して欲しかったのですが、観光アプリというテーマのために止む無く見送りました。儲ける仕組みがない以上、お金をかける方法ではアプリを訴求できません。彼らは当初、PR活動として飲食店にチラシを配るなど、金沢市内で体力勝負の活動を行っていましたが、ダウンロード数は思うように伸びませんでした。

そのうち彼らは、『すきま時間』を活用するターゲットが都市部の出張者であり、そうした人々へのアプローチが必要だという『気づき』を得ました。そして、SNSでの拡散や全国規模のコンテストへの参加など、PR活動の方法を変えることで、ダウンロード数を伸ばしていったんです。

ホワイトボードに貼られた多くの付箋に目を通す城倉氏の写真

そうした彼らの気づきと行動は、私にとってコンテストの受賞以上に嬉しいものでした。この研修で得た経験と自信を糧にして、配属された事業で大きなパフォーマンスを発揮してくれることでしょう」(城倉氏)

他にも、DMM.comラボでは若手エンジニアのアイディアを採用したり、実戦の場へ投入したりして、積極的に挑戦の機会を与えているという。しかし、当然だが若手エンジニアはベテランと比べて、どうしても経験値や技術力に乏しいのが現実だ。それが現場で失敗の原因になったり、ひいては事業へのダメージを招くということも考えられるだろう。リスクを伴う試みを続ける理由とは、何か。

2. 亀山会長の精神が息づく、“挑戦する文化”

DMM.comグループには、“挑戦する社員により高い評価を与える”企業文化があるという。城倉氏はそのバックグランドについて、次のように語る。

「DMM.comでは色々なビジネスに挑戦し、それらを会社の軸となる事業へと育てて、そこから生まれた利益をもとに新たな投資をするスパイラル経営を行っています。従って、挑戦し続けることがDMM.comのコアコンピタンスであり、創業会長である亀山のフロンティアスピリットが社内に根付いている証だと言えます。

新規のビジネスでは黒字化するまでに時間がかかるので、単純にプロフィットの数字だけで評価してしまうと誰もチャレンジしなくなってしまいます。すでにできあがった土俵を守るよりも、そこで生まれた利益をもとに立ち上げる事業で成功することのほうが、ずっと難しい。

挑戦による困難や失敗をリスクやダメージだと捉えずに、しっかりと評価をしていくことが、新たなサービスの創造につながっていくと確信しています」(城倉氏)

身振り手振りを交えて話す城倉氏の写真

金沢事業所 CTO室での特別研修はまさに、若手エンジニアにそうした果敢なチャレンジ精神を促進する場として、また城倉氏自身がそれを実践する場として大きな意義を果たしたと言えるだろう。

3. 石川県を若手エンジニア育成の中心地に。ITのハブにしたい

城倉氏は今後、石川県をエンジニア育成の中心に据えていくことを考えているという。同社は国内や海外に複数の拠点を構えているが、そのなかでなぜ石川県を舞台に選んだのだろうか。

「石川県は、DMMグループ発祥の地です。亀山は地元、石川県でレンタルビデオショップを始め、事業の礎を築きました。役員をはじめ社員には、北陸の出身者が非常に多いんですよ。そこで優れたエンジニアを育てて、北陸エリアのIT技術発展に少しでも寄与したいという想いがあります。

でも石川県には、東京と比べて圧倒的に情報量が少ない。若者がエンジニアリングに興味を持って勉強をしたとしても、より良い環境を求めて就職で上京してしまうことが多いんです。

例えば、金沢の事業所でプログラマー職に応募してきた就職活動中の大学生を面接しているときに、当社と並行で受けている企業について尋ねてみたりします。すると、それが地元の銀行の総合職だということも、珍しくはありません」(城倉氏)

いっぽう、北陸新幹線の開通に伴って、石川県の大学では在京の大手メーカーやソフトウェア会社などとの産学連携が活発化してきている。DMM.comラボも、そのなかの一社だ。

「石川県には、情報工学系に強い大学や大学院が複数存在します。そうした大学と協力して、エンジニア向けのイベントを開催したり、共同で研究開発を行っていきたいと考えています。

東京との情報格差をなくして、地元の若者がエンジニアとして働ける場を提供する。そして、優れたエンジニアに育てて、石川県のエンジニア文化の発展に貢献する。石川県がITのハブになるようなお手伝いをしていくことができればいいですね。

石川県は自然も豊かで、クリエイティブに働きやすい環境です。いつか石川県が日本のシリコンバレーとして知られるようになったら、加賀にルーツを持つ企業としてこんなにうれしいことはありません。」(城倉氏)

今後について語る城倉氏の写真

かつて石川県で産声をあげ、誰もが知るコングロマリットへと躍進を遂げたDMM.comが、今度は石川県でエンジニアの育成に注力し、地域の技術発展や雇用に貢献する。城倉氏が描いた青写真は、DMM.comが企業としてすでに成熟の域に足を踏み入れたことを、物語っているのかも知れない。

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