- クラウドエンジニアが「やめとけ」といわれる6つの理由
- クラウドエンジニアとインフラエンジニアとの比較
- 「やめとけ」だけではない!クラウドエンジニアとして働く6つのメリット
- クラウドエンジニアに向いているタイプ
- クラウドエンジニアの市場動向
- クラウドエンジニアとして活躍するためのスキルや知識
- クラウドエンジニアが「やめとけ」は人による
クラウドエンジニアが「やめとけ」といわれる6つの理由
まずは、クラウドエンジニアがやめとけと言われる6つの理由について解説していきます。
いつ発生するかわからない障害対応
クラウドベースのサービスは一般的に24時間365日稼働しています。そのため、障害が発生した場合、早朝や深夜・休日を問わずに早急な対応が求められます。
障害の発生は珍しいものではありません。AWSが発表している障害履歴では、2021年9月2日の早朝7時半に発生した東京リージョンでの障害が、6時間程度続いたと報告されています。
技術の進歩が速く、フォローが大変
クラウドテクノロジーはIT技術の中でも進化のスピードが速い分野であり、継続的な学習が欠かせません。
例えば、AWSは2021年~2023年の間に90以上の新サービスをリリースしています。
仕事の責任やプレッシャーが大きい
クラウドプラットフォームは、保守作業などのミスによりサービスの提供が停止するリスクがあります。2019年に発生したGCPの障害では、誤ったネットワーク設定により、北米全域でYouTubeやGmailなどの主要サービスが数時間にわたり停止しました。
高い可用性が求められるシステムやサービスを運用する場合、ミスに対する精神的な負担は少なくありません。
幅広い知識・スキルが必要とされる
クラウドプラットフォームの知識だけでなく、セキュリティ、ネットワーク、自動化、データ分析、ミドルウェアなど幅広い知識が必要です。
クライアントから仕事を請け負う場合には、コミュニケーション能力や提案力も求められます。例えばクライアントの社内システムをクラウド環境へ移行する場合、管理者だけでなく、現場レベルへのヒアリングのスキルも必要となるでしょう。
技術や知識がプラットフォームに依存しがち
クラウドのプラットフォームはAWS・Azure・GCPなどさまざまな企業が提供していますが、サービスの利用方法やできること、各種設定方法、用語などは独自に設定されています。
例えば、インフラストラクチャをコードで管理するIaCツールはAWS CloudFormationやAzure Resource Managerでインフラ自動化の手法が異なっており、同じように使うことはできません。
このように、1つのプラットフォームで覚えた知識や技術は、その他のプラットフォームで応用しにくいため、仕事の幅を狭めてしまうおそれがあります。
クラウドエンジニアとインフラエンジニアとの比較
自社で保有するインフラ環境の構築・保守・運用を担当するインフラエンジニア(オンプレミス)との違いから、クラウドエンジニアの業務内容をチェックしてみましょう。
主な業務内容 | 想定年収 | 平均年収 | 中央値 | |
---|---|---|---|---|
クラウドエンジニア | クラウドプラットフォーム上でシステムを 構築・保守・運用する。 |
350~1,400万円 | 659万円 | 613万円 |
インフラエンジニア(オンプレミス) | 自社に設置されたサーバーやネットワーク機器など ITインフラを構築・保守・運用する。 |
300~1,200万円 | 647万円 | 650万円 |
クラウドエンジニアは、クラウドプラットフォームで提供される最新の技術を使用するため、学習負荷が高い一方で、オンプレミス環境でのインフラエンジニアは、特定のハードウェアや仮想化技術にフォーカスできるため、学習負担は小さい傾向にあります。
また、クラウド環境ではネットワークを介してデータをやり取りするため、データの暗号化やアクセス管理など、クラウド特有のセキュリティ要件が重要視されます。オンプレミス環境は物理的なセキュリティに重点を置いているため、クラウド環境よりもセキュリティ要件は限定的です。
費用の面でも大きな違いがあります。クラウド環境は使用したリソースに応じた従量課金制のため、クラウドエンジニアは常にコストを意識しておく必要があります。オンプレミスは、初期コストは高いものの、運用コストに関してのプレッシャーを感じるケースは少ないでしょう。
両者の想定年収に大きな差はないため、自身のスキルや市場ニーズに応じてキャリアを選択することが大切です。
「やめとけ」だけではない!クラウドエンジニアとして働く6つのメリット
クラウドエンジニアは特有の大変さがある一方で、需要や年収の高さなど多くのメリットがあります。ここで、具体的なメリットについて解説します。
エンジニアの需要が高い
クラウドは柔軟性や拡張性など多くのメリットを享受できるため、さまざまな企業でクラウドへの移行が進んでいます。
専門知識を持つエンジニアの需要は高く、レバテックキャリアの求人数を見てみると、約600件がヒットします(2024年5月現在)。
転職により年収アップを狙える
レバテックキャリアの求人の平均年収は659万円、中央値でも613万円となっており、全体的に年収は高めの傾向にあります(2024年5月現在)。
将来性がある
最先端の技術をフォローしているクラウドエンジニアの市場価値は上がり続けており、今後もその傾向が続くことが予想されます。
また、クラウドアーキテクト、クラウドセキュリティスペシャリスト、クラウドプロダクトマネージャーなど、多くのキャリアパスが想定されることも将来性があると考えられる要因のひとつです。
柔軟な勤務形態に対応している
クラウドエンジニアの求人では「リモートワーク」や「フレックス制」を導入している企業が多く見られます。地理的な制限や時間の制約を気にする方、自由度の高い勤務先を探している方にとって、柔軟な働き方の実現につながるでしょう。
継続的な成長機会がある
クラウドの技術は日々進化を続けており、次々と新しいサービスが生み出されています。これまでにないサービスを利用した、これまでにないプロジェクトが多数存在していることも、クラウドエンジニアの特徴です。
このようなプロジェクトに参加することで、自身のスキルアップを図れます。
多様な業務内容
クラウドエンジニアの仕事はクラウド上のインフラ設計、構築・運用・保守など技術面だけではありません。顧客のニーズに合わせたクラウドサービスの提案や開発・改善、データ分析など、ビジネスに不可欠な役割を果たしています。このように会社に貢献する幅広い業務内容は、メリットといえます。
関連記事:クラウドエンジニアの需要が高い理由を解説!将来性や年収も紹介
クラウドエンジニアに向いているタイプ
クラウドエンジニアは障害対応など負担の大きい職種で、向き・不向きがあります。ここでは、どういったタイプがクラウドエンジニアに向いているのかを紹介します。
問題解決が得意
クラウドプラットフォームは次々と新しいサービスを提供するため、情報が少ない中、手探りで開発を進めることがよくあります。問題が発生した場合、自力で解決しなくてはなりません。
また、問題解決のために複雑なシステムの設計・構築を求められることも多くあります。例えばクラウド環境でのネットワークトポロジーの設計や、オンプレミスとクラウド環境が混在するハイブリッドクラウドのセキュリティ対策では、複雑な問題が発生しがちです。AWS、Azure、GCPなどのプラットフォームごとに異なる設定方法や機能を理解し、要件やニーズに応じてさまざまな問題に対処する必要があります。
柔軟性がある
クラウドエンジニアの仕事は多かれ少なかれプラットフォームに左右され、新機能やサービスの刷新によりこれまでの対処法が通用しなくなることもあります。
例えば、AWSでは2023年にVPC(Virtual Private Cloud)エンドポイントのルーティングに関する仕様を変更し、セキュリティポリシーの変更が必要となりました。AzureやGCPでも同様に、技術的な変更が定期的に実施されるので、その都度対応することになります。
また、解決の糸口がつかめない問題に関しては、まったく別のアプローチを試みる、一時的に解決を先送りにするといった柔軟な姿勢も欠かせません。
タフな状況を楽しめる
クラウドエンジニアの仕事は緊急時の対応や24時間稼働するシステムの監視など、心身ともにハードなシーンがあります。こうしたプレッシャーは仕事のモチベーションにつながることもあります。タフな状況での仕事を楽しめるタイプはクラウドエンジニア向きといえます。
顧客や関係者と協力して業務を進められる
クラウドエンジニアは、クライアントやチームメンバーと協力し、ビジネスニーズに合わせたソリューションを提供します。
設計段階ではネットワーク、セキュリティ、データベース、コンテナなど各領域の担当者と連携し、インシデント発生時には原因究明や解決策について他のエンジニアと協力しながら円滑に進めるコミュニケーション能力が欠かせません。
クラウドエンジニアの市場動向
市場・求人・キャリアパスなどクラウドエンジニアを取り巻く環境について具体的に示します。
クラウド市場は急拡大を続けている
総務省の情報通信白書(令和5年版)によると、世界のクラウドサービス市場は、2021年は45兆621億円(前年比28.6%増)となっており、2022年以降も同様のペースで拡大が予想されています。日本国内でも2022年は2兆1,594億円(前年比29.8%増)となる見込みです。
世界規模での急拡大により、クラウドエンジニアは慢性的な人材不足の状況です。技術を持ったエンジニアは市場価値が高く、高めの年収を狙いやすい状況といえます。
幅広い求人がある
レバテックキャリアのクラウドエンジニアの求人によると、さまざまな分野での活動が期待されています。以下に一部を紹介します(2024年5月現在)。
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・サービス運営やデータ分析、AIの開発業務を担当(想定年収600~800万円、一部リモート可)・AWS活用を推進しコストを最適化・セキュリティを強化(想定年収430~1,700万円)
・AWSやAzureを利用したクラウド基盤設計・構築(想定年収600~1,500万円、一部リモート可)
クラウドエンジニアの年収とキャリアパスごとの年収の違い
クラウドエンジニアとして未経験で転職する場合、年収は350万円前後からのスタートとなりますが、経験を積むことで年収を飛躍的に向上させることができます。例えばクラウドアーキテクトへのキャリアチェンジを行うと、年収の上限は2,000万円に達することがあります。
クラウドセキュリティスペシャリストの平均年収は750万円と低く見えますが、セキュリティ分野の需要が高まる中で安定した収入を期待できます。クラウドプロダクトマネージャーの平均年収は849万円と比較的高いため、プロジェクト管理やマーケティングスキルを持つことで高収入を目指せます。
それぞれの想定年収は以下のとおりです。
キャリアパス | 想定年収※ | 想定年収の平均値 | 想定年収の中央値 |
---|---|---|---|
クラウドエンジニア | 350~1,400万円 | 659万円 | 613万円 |
クラウドアーキテクト | 400~2,000万円 | 795万円 | 775万円 |
クラウドセキュリティスペシャリスト | 325~1,700万円 | 750万円 | 730万円 |
クラウドプロダクトマネージャー | 400~2,000万円 | 849万円 | 800万円 |
※レバテックキャリアの求人を元に算出(2024年5月現在)
クラウドエンジニアとして活躍するためのスキルや知識
クラウドエンジニアへ転職するなら身につけておきたいスキルや知識を解説します。クラウドに関する技術は複雑なものが多く習得は簡単ではありませんが、だからこそ価値のあるスキルです。
認定資格を取得する
主要なクラウドプラットフォームであるAWS、Azure、GCPは、それぞれ公式の認定資格試験を実施しています。AWS認定やMicrosoft Azure認定資格、Google Cloud認定資格などの試験は実践的で、転職市場での評価にもつながりやすいため、おすすめです。
クラウド特有の専門スキルを習得する
クラウドでは、仮想ネットワークを利用するのに必要なAmazon VPCや、サーバー構築などに用いられるAmazon EC2、イベントの発生に応じて実行環境を提供するAmazon Lambdaなど、さまざまサービスが提供されています。クラウド特有の用語や使い方を理解することにより、クラウドの理解が深まるでしょう。
また、クラウドに関連して、コンテナ化(Docker、Kubernetesなど)や自動化(Ansible、Terraform)が用いられます。
上記のツールは専門性が高く、使いこなすのは簡単ではありません。これら各種ツールに精通したクラウドエンジニアの需要は高く、転職活動が有利になると考えられます。
クラウドエンジニアが「やめとけ」は人による
クラウドエンジニアの仕事は大変なことがある一方、高めの想定年収や将来性など魅力も多くあります。また、仕事を通し最新技術に多く触れられることは、エンジニアとしてのスキルアップにつながります。必ずしも「やめとけ」ではありません。
クラウドエンジニアへの転職を考えているのであれば、エージェントの利用も検討してみてください。年収などの希望を伝えておけば、条件に合った転職情報のみが提供されるなど、効率的な転職活動が可能です。
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レバテックキャリアのサービスについて
主な業務内容 | 想定年収 | 平均年収 | 中央値 | |
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クラウドエンジニア | クラウドプラットフォーム上でシステムを構築・保守・運用する。 | 350~1,400万円 | 659万円 | 613万円 |
インフラエンジニア (オンプレミス) | 自社に設置されたサーバーやネットワーク機器などITインフラを構築・保守・運用する。 | 300~1,200万円 | 647万円 | 650万円 |