SREエンジニアとは?DevOpsとの違いや役割について解説

最終更新日:2024年11月14日

SREとは、「Site Reliability Engineering」の略称です。Googleが提唱したシステム管理とサービス運用に対する概念であり、信頼性をシステムの重要な機能の1つと位置付けているのが特徴です。

SREエンジニアはSREを担うエンジニアのことです。Webサービスの開発・運用スキルに加え、サーバーやネットワーク、データベースに関するスキルも求められます。本記事では、SREの基本概念やSREエンジニアの仕事内容、求められるスキル、キャリアパス、将来性について解説します。

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この記事のまとめ

  • SREエンジニアは、サイトやシステムを最適に運用するためのエンジニアで、開発と運用の両方の実務経験とスキルが求められる
  • システムの自動化や運用業務の環境整備などを行い、SREを実行する
  • SREエンジニアは関わる領域が広いため、技術職だけでなく、経営職のキャリアパスも存在する

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SREエンジニアとは

SREとは、「Site Reliability Engineering(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)」を略した言葉です。サイトやシステムの信頼性を向上させるための取り組みを行うことを指します。

SREエンジニアは、サイトやシステムを最適に運用するエンジニアです。システムやアプリの開発と運用、両方の実務経験やスキルが求められます。プロジェクトではSREエンジニアが数人のチームを組み、チーム単位で参画します。

たとえば、新機能を追加する際は、運用面も考慮し、変更を加えてもサービスの稼働に問題がないかを確認します。また、本番環境の運用に問題がないかを常にチェックし、問題があれば改善するのも業務です。

SREの目的

サイトやシステムの信頼性を向上させることがSREの目的です。たとえば、システムの運用業務において自動化や効率化を図ります。

これらを通して、サービスやシステムのダウンタイムでのバッファを最小限に抑える、システム改善や新機能の追加を継続的に実施するなどが実現します。このような安定した運用の実現により、サイト・システムの信頼性を高めることが目的です。

従来、開発チームと運用チームの連携がとれておらず衝突が起きることがありました。その原因は、運用時のサービスの安定した稼働への考慮が二の次になっていたことです。

1日でも早いサービスのリリースを優先するあまり、運用視点での考慮がされていませんでした。しかし、運用後の体制やトラブルの早期改善、安定した稼働、ダウンタイムを最小限に抑えることの重要性が再認識され、SREの概念が登場しました。

DevOpsとの違い

DevOpsは、開発を意味するDevelopmentと運用を意味するOperationsを組み合わせた造語です。SREとDevOpsはどちらも、開発チームと運用チームが連携をとる共通点がありますが、以下のように目的が異なります。

SRE インフラの整備や自動化ツールの開発を通じて、サイトやシステムの信頼性を高める
DevOps 開発チームと運用チームの連携により、リリースサイクルの最適化を図る

SREはサービスの信頼性の向上に重点を置き、DevOpsは開発と運用プロセスの自動化に重点を置いた方法論であることが分かります。SREを提唱したGoogleは、SREとDevOpsの関係性について「class SRE implements DevOps(DevOpsの概念を実現する方法がSRE)」としています。

関連記事:DevOpsエンジニアとは?年収や将来性、おすすめの資格も紹介

SREエンジニアとインフラエンジニアの違い

SREエンジニアは、インフラエンジニアと混同されることがあります。インフラエンジニアは、ITインフラの設計や構築、運用までを担う職種です。

一方で、SREエンジニアもシステムの設計から運用までを担いますが、その範囲はより幅広くなります。SREエンジニアの目標は、サイトやシステムの信頼性を向上させることです。このように、SREエンジニアとインフラエンジニアとでは明確な違いが見られます。

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SREエンジニアの仕事内容

SREやSREエンジニアについてより深く知るには、仕事内容を把握しておくことが欠かせません。就職や転職を考える際にも、仕事内容を知らなければ、自分に向いている職種なのかわからないでしょう。

SREエンジニアの仕事内容としては、システムやクラウドの開発や運用が挙げられます。また、システムの自動化も業務のひとつです。

さらに、運用業務の環境整備も行います。そして、システムトラブルの対応も欠かせません。本章では、SREエンジニアの仕事内容について解説します。

システムやクラウドの開発・運用

安定したシステムやクラウドを開発し運用することが主な業務です。これにより、開発チームに安定した開発環境を提供します。ミドルウェアのパフォーマンスが向上しているか、サーバーが最適化されているかといった面も注視しながら進めます。

システムの自動化

システムを自動化し、開発チームの手作業分の負担が軽減できるようにします。目的は、開発効率の向上です。自動化の具体例としては、ログの自動解析ツールやスプレッドシートの自動更新ツールがあります。

ただし、SREエンジニアの仕事は、信頼性向上に向けたシステム運用の最適化です。開発チームがSREエンジニアに依存する事態は避ける必要があります。開発チームが自立しつつも、スムーズに動ける仕組みを提供することが重要です。

運用業務の環境整備

運用業務を安定して行えるよう、環境を整備します。運用業務そのもののやりやすさはもちろん、不具合発生時のスムーズな対応などについても考慮します。

たとえば、使用するOSやミドルウェア、セキュア情報保護、脆弱性に関するチェックをし、どういった対応が必要かを洗い出し備えておくといった作業です。

システムトラブルが発生したときの対応

何らかの問題が発生した際の対応も行います。完成したWebサイトやサービスがある場合、公開前に想定されるトラブルがあれば解消しなければなりません。

たとえば、アクセス集中によりサービスが応答できなくなるなど、リリース後にシステムが利用できなくなれば、大きな損失が生まれます。

そのため、SREエンジニアはリリース前に検知できる不具合をできる限り取り除きます。不具合発生時には、即座に対応し障害を取り除けるように備えておきます。

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SREエンジニアに求められる知識・スキル

SREエンジニアとして仕事をする上では、開発と運用についての幅広い知識とスキルが必要です。もし習得していない知識やスキルがあれば、これから身につけていくと良いでしょう。

具体的な知識やスキルには、Webサービス開発・運用スキルやクラウドサーバーの構築・運用スキル、ネットワーク・IP・データベースに関する知識などが挙げられます。本章では、SREエンジニアに求められる知識・スキルについて解説します。

Webサービス開発・運用スキル

SREエンジニアの業務には、Webサービスのシステム運用を最適化することが含まれます。そのため、Webサービスの開発と運用スキルが必要です。

Java、PHP、RubyなどWebサービス開発で使用される主要なプログラミング言語や、SQLなどのデータベース言語をはじめ、OSに関するスキルも必要です。また、SREエンジニアになるためには、開発や運用の実務経験が必要とされるケースも多いです。

クラウドサーバーの構築・運用スキル

クラウドサーバーを適切に使用することでWebサービスの品質向上に貢献できるため、クラウドサーバーの構築や運用のスキルが必要です。具体的には、AWSやAzure、GCPなどのクラウドサービスに関するスキルです。

近年では、システム開発にクラウドサービスを導入する企業が増加しています。そのため、SREエンジニアに限らず、クラウドの知識は非常に価値があります。

たとえば、AWSのEC2やRDSを使用し可用性の高いシステムを構築した経験や、GCPのBigQueryを使用して大量のデータを高速で分析した経験は、市場価値を高めるでしょう。

ネットワーク・IP・データベースに関する知識

SREエンジニアはWebサービスを構築・改善するため、ネットワーク設定やIP、データベースの知識も必要です。たとえば、運用時にトラブルが発生した場合、発生した原因はネットワークなのかミドルウェアなのか問題を切り分ける必要があります。

ネットワークについては、ネットワークプロトコルに関する知識や LAN構成、パフォーマンス改善などの知識が必要です。

セキュリティに関する知識

SREエンジニアの業務内容には、サービスの保守は含まれていません。しかし、Webサービスは、基本的にネットワークを経由します。そのため、Webサービスの最適化を役割とするSREエンジニアは、サイバー攻撃や情報漏洩などのリスクに関しても理解が必要です。

また、セキュリティの信頼性が高いシステムを構築する方法を提案することが業務に含まれることもあります。

パフォーマンスチューニングの経験

SREエンジニアの役割の中でも特に重要なスキルの1つとして位置付けられています。パフォーマンスチューニングを行うためには、システムやアプリケーションの動作速度を最適化するための技術や手法を熟知していることが求められます。

パフォーマンスチューニングは、応答速度や処理能力を向上させ、ユーザーにとっての利便性や満足度を高めます。具体的には、システムのボトルネックを特定し、適切なミドルウェアの設定変更やリソースの再配分を行うことで、システム全体のパフォーマンスを向上させます。

オペレーションの自動化や効率化の経験

SREエンジニアは、ルーティンワークや手動のオペレーションを減らすことが仕事です。たとえば、Terraformなどを使用してインフラのコード化や自動デプロイを行った経験、Jenkinsなどを使用してCI/CDパイプラインを構築した経験などは、SREエンジニアとして効率的な運用を実現するための重要なスキルです。

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SREエンジニアのキャリアパス

現在は「SREエンジニアになりたい」と思っていても、将来はそのスキルや経験を活かして別の働き方をしたいと考える可能性もあるでしょう。SREエンジニアから目指せるキャリアを知っておけば、将来の選択肢は広がります。

SREエンジニアは、関わる領域が幅広いからこそ、キャリアとしての魅力も多いです。SREエンジニアには以下のようなキャリアパスがあります。

クラウドエンジニア

クラウド領域の専門家がクラウドエンジニアです。クラウド領域のアーキテクチャとツールに精通しています。SREエンジニアは実務経験で、クラウドを通じた自動化やコスト効率化を図ることがあります。この経験を活かせば、クラウドのスペシャリストとして、活躍できるでしょう。

経営職

SREエンジニアには、技術だけでなく経営視点も必要です。そのため、CxOやそれに近いポジションへのキャリアパスもあります。サービスの信頼性向上と効率化を追求し、リスク管理に優れた洞察力を持つSREエンジニアは、CEOやCFO、CTOなどのCxOへの適性があります。

ITアーキテクトやITコンサルタント

SREエンジニアは、システムアーキテクチャや自動化、およびベストプラクティスについての深い洞察を持っています。そのため、ITアーキテクトやITコンサルタントへのキャリアパスもあります。

SREエンジニアの経験を活かし、組織をまとめたり、他組織と繋げたりするポジションを目指せるでしょう。SREエンジニアとしての実務経験があれば、組織やクライアントに対して、信頼性向上に向けた戦略的なアドバイスを提供できます。

ITアーキテクトとしては、システム設計と運用の最適化に貢献できます。

フリーランス

SREエンジニアの需要は高いため、フリーランスも向いています。異なる企業や業界でさまざまなプロジェクトに参画できるので幅広く経験を積め、自己成長に繋げられます。

また、フリーランスは本人とクライアントの合意により報酬を決めます。そのため、本人のスキルや実績次第で高い報酬を獲得できるのも魅力です。

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SREエンジニアの将来性

クラウドの普及やDX推進によって、信頼性の高いサービスの需要は高まっています。SREエンジニアの役割は、各種サービスの信頼性を向上させることです。

この分野での需要は、今後も拡大すると予想されます。本章では、SREエンジニアの平均年収や求人の募集状況、求人例から、この職種の将来性について詳しく見ていきます。

SREエンジニアの平均年収

2024年10月20日時点でレバテックキャリアに登録されているSREエンジニアの求人情報から30件を抽出し、年収の下限と上限から平均年収を算出しました。この計算方法では、SREエンジニアの平均年収は約819.5万円でした。

総務省の「日本標準職業分類」によると、プログラマーやエンジニアはソフトウェア作成者に分類されています。厚生労働省が公表している「令和4年賃金構造基本統計調査」の企業規模計(10人以上)の「きまって支給する現金給与額」によると、ソフトウェア作成者の平均給与は377.1万円でした。1,000人以上では446.9万円です。

また、2017年に経済産業省が発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」には、IT企業で働くエンジニアの職種やスキルレベルごとの平均年収が掲載されています。「高度SE・ITエンジニア(基盤設計担当・ITアーキテクト)」の平均年収は、778.2万円です。「SE・プログラマ(ソフトウェア製品の開発・実装)」の平均年収は568.5万円です。

この結果から、SREエンジニアは高い年収を期待できる職業だといえるでしょう。

SREエンジニアの求人・転職情報>

SREエンジニアの求人の募集状況

2024年10月20日時点のレバテックキャリアに掲載されているエンジニア求人のうち、「SREエンジニア」の求人数は281件でした。SREエンジニアという職種の重要性を考えると、需要は今後高まることが予想されます。

ただし、現時点のSREの求人数は、プログラマーやSEなどの一般的なエンジニアと比較すると少数です。これはSREが認知されてからの期間が長くないためです。

SREエンジニアは幅広い分野で活躍できる可能性を持つ職種です。そのため、SREエンジニアの求人数が今後増加していくことは十分に考えられるでしょう。

SREエンジニアの求人例

SREエンジニアの仕事内容は、所属する企業や業界によって異なります。そのため、実際の求人例を見ることで、SREエンジニアの仕事のイメージがしやすくなるでしょう。

具体例として、レバテックキャリアで募集されている、プロジェクト管理ツールの開発や運用改善業務に関するSREエンジニアの求人例を紹介します。

【想定年収】
600~1,100万円

【業務内容】
・プロジェクト管理ツールの開発・運用改善

■基盤の設計構築に関する業務
・ストレージの耐障害性向上
・サービス信頼性の観点でのアプリケーションアーキテクチャの支援
・インフラのアーキテクチャの継続的改善と最適化
・セキュリティ向上のための継続的改善
・運用·監視体制の継続的改善

■全社共通的な取組に関する業務
・自社サービスを安定して運用ができるようなチームの構築·維持
・プロダクト連携によるナレッジの共有·展開

【必須スキル】
・Webアプリケーションの継続した課題抽出 / 改善・効率化活動 / 運用経験(5年以上)
・Amazon Web Service(AWS)などのクラウドを活用したサービスの設計・構築・運用スキル
・IaCを使ったインフラ管理経験
・ステークホルダーを巻き込んだプロジェクトのリーダー経験やマネジメント経験
・英語によるコミュニケーション(主に読み書き)が可能な方(翻訳ツールの利用可)

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SREの事例

SREエンジニアの仕事に興味がある方にとって、SREの事例を知ることは大切な機会です。今回は、株式会社メルカリと株式会社エウレカのSREの事例を紹介します。

株式会社メルカリのSREの事例
株式会社メルカリでは、ユーザー同士の交流が盛んなフリマアプリを管理しています。このサービスの停止時間を最小限に抑えるべくSREを取り入れました。

また、金融サービスのメルペイは多くの利用者を抱えており、個人データの保護と高い信頼性が必要でした。これらの課題を解決する目的で、メルカリはSREチームを結成しました。

株式会社エウレカのSREの事例
マッチングアプリ「pairs」を手がける株式会社エウレカでは、2016年にSREチームを立ち上げました。SREチームは、クラウド化やサーバー負担の軽減、通信状況の確認、トラブル対策、緊急時の手順作成など、システム基盤の課題に取り組みました。

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SREエンジニアに関するよくある質問

SREエンジニアに興味がある方にとって、SREエンジニアに関するよくある質問とその回答は転職活動などに役立ちます。よくある質問には、SREエンジニアの職種についてやSREの意味、QAとの違いなどが挙げられます。

本章では、これらのSREエンジニアに関するよくある質問と回答を紹介します。今後の転職活動などにお役立てください。

Q1. SREエンジニアとはどのような職種ですか?

SREエンジニアとは、サイトの信頼性を向上させることを担うエンジニア職のことです。主な業務はシステムの自動化やシステムやクラウドの開発・運用、運用業務の環境整備です。また、システムトラブルが発生したときの対応も担当します。

Q2. SREとは何ですか?

SRE(Site Reliability Engineering)とは、サイト信頼性エンジニアリングという意味です。稼働中のシステムを自動化などで効率よく監視・運用し、サービスの安定性を高める方法を指します。

Q3. SREとQAの違いを教えてください

SREはシステム全体の信頼性を高めるため、自動化や監視を活用して安定した運用を目指します。一方で、QAはソフトウェアの品質保証に焦点を当て、さまざまなテストでバグを見つけ出し、仕様通りに動作することを確認します。

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まとめ

SREエンジニアとは、サイトやシステムを最適に運用するための職種です。通常、複数名でチームを組み、プロジェクトに参加します。

主な仕事内容は、システムやクラウドの開発・運用やシステムの自動化、運用業務の環境整備です。さらに、システムの不具合発生時の対応も担当します。

そのため、システムやアプリの開発と運用、双方の経験とスキルが必要となります。SREエンジニアに興味がある方は、本記事を参考にキャリアパスの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修

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