- DTPオペレーターの現状と将来性
- DTPオペレーターが生き残るにはデザインスキル・経験が必要
- DTPオペレーターからのキャリアチェンジ候補
- DTPオペレーターとキャリアチェンジ候補先との年収比較
- DTPオペレーターがキャリアチェンジする際に習得しておくべき要素
- DTPオペレーターからの転職ではポートフォリオが重要
- DTPオペレーターからの志望動機の例文
- DTPオペレーターに関するよくある質問
- まとめ
DTPオペレーターの現状と将来性
DTPオペレーターの需要は以前まではありましたが、現在は需要がなくなってきています。現在では紙媒体のデザインの需要が低く、圧倒的にWebデザインの需要が高いためです。DTPオペレーターの求人は少なく、ほかの職種に飲み込まれている状況です。主に、WebデザイナーがDTPオペレーターやDTPデザイナーの役割も担っています。DTPデザイナーは、DTPソフトを使いチラシやポップなどの紙面上にデザインを行う職種です。
これらの理由から、DTPオペレーターの将来性は低いといえるでしょう。
関連記事:DTPオペレーターの仕事内容は?必要スキルや適性、資格も解説
DTPオペレーターの将来性は厳しい
かつてはDTPデザイナーとDTPオペレーターは業務内容が分かれていましたが、近年はWebデザイナーがメイン業務であるWebデザインとともに両職種の業務を兼任しています。そのため、DTPデザイナー・DTPオペレーターともに求人は少なくなっており、将来性はかなり厳しいといえます。
単にDTPの操作(図面修正やレイアウト配置、PDF化など)がひととおりできるレベルであれば、すぐに仕事はなくならないにしても将来的にやっていけるスキルとはいえません。
実際の求人では「DTP+Webデザイン」といった内容が増えており、DTPオペレーター専業では評価されにくい時代になっています。
フリーランスの需要も縮小傾向
長年続くデフレや業界全体でDTPオペレーターの仕事が減っていることからフリーランスの需要も年々減少しているといえるでしょう。そのため、正社員の年収が下がっていることもあり、フリーランスを選択し活躍しようと選択する人が減少しています。今後はDTPオペレーターだけで生計を立てていくのは難しいでしょう。
DTPオペレーターの将来性は厳しいと言われる理由
DTPオペレーターの将来性が厳しいと言われる理由を知ることで、厳しさを乗り越えても目指そうと思えるかの判断材料になり、自身の目指す方向性を考えることができるでしょう。ここでは、厳しいと言われる理由をより詳しく説明しています。
Webが主流になり印刷媒体の業界が縮小している
今は紙媒体の印刷物は減少している時代です。広告費の中心もテレビからインターネットに移行しており、「2019年 日本の広告費解説」によると、2019年にテレビの広告費をインターネットの広告費が上回っていることがわかります。
このようにネット全盛の時代なので、印刷媒体の業界は縮小しています。そして、今後もこの傾向は続くでしょう。
知識や技術がなくても印刷物が作れる
今の時代は、無料のテンプレートを使用したり、安い業者に発注したりして簡単に印刷物が作れるようになっています。高度なものでなければ、あえてDTPオペレーターを雇って制作しなくても良いということです。
海外に外注(オフショア)をする企業が増えてる
ある程度クオリティの高い印刷物を大量に制作する場合、海外に外注するという選択肢があります。そして、実際このようにしている企業が増えています。あえて国内の単価の高い人に依頼するよりも、人件費の安い国の人に依頼した方が良いという発想です。同じ技術力なら、人件費の安い国に依頼した方がコストを抑えられます。
DTPオペレーターが生き残るにはデザインスキル・経験が必要
DTPオペレーターの将来性は厳しいといわれており、活躍し続けるのは難しくなっていくことが予想されます。しかし、DTPオペレーターではなくてもDTPのスキルを活かして働くことは可能です。たとえば、WebデザイナーがDTPオペレーターの業務を兼任しているように、デザイン関係の職種であればDTP関連のスキルを活かせるでしょう。
このようにDTPスキルを活かせるデザイナーなどのスキルを磨き経験を積んでおくと、この先も生き残りやすくなり、もしもの時のキャリアチェンジもしやすくなるでしょう。デザイナー関連のスキルや知識を磨いたり仕事に携わったりしておくことをおすすめします。
DTPオペレーターからのキャリアチェンジ候補
DTPオペレーターからのキャリアチェンジ候補には、どのような職種があるのでしょうか。需要や将来性が低いといわれているDTPオペレーターですが、スキルを活かせる職種を知るとそのために必要な行動を起こせるようになるでしょう。ここでは代表的な職種を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Webデザイナー
Webデザイナーは、DTPオペレーターからのキャリアチェンジ候補として王道です。どちらも「デザイン」を土台とする職種であり、DTPで培ったデザインの知識が活かせるからです。近年は、紙媒体とWeb媒体を同時に制作するケースも増えており、紙媒体のデザインをWeb媒体向けにリファインする人材として重宝されるでしょう。
関連記事:Webデザイナーとは?仕事内容や他職種との違い、未経験からの目指し方も紹介
マークアップエンジニア
マークアップエンジニアは、WebデザイナーによるデザインをWebサイト内に適用するために、HTMLやCSSでコーディングを行う職種です。HTMLやCSSのようなマークアップ言語は、ITに対する知見がない人材でも比較的習得しやすいという特徴があります。また、SEO(検索エンジン最適化)の知見も備えてWebサイト運用・管理を担えるようになれば、より付加価値が高い人材として重宝されるでしょう。
グラフィックデザイナー
広告媒体全般のグラフィックデザインを担うグラフィックデザイナーも有望なキャリアチェンジ候補です。グラフィックデザイナーの仕事内容は「クライアントの要求に応じたコンセプトの立案」「デザイン企画・考案」などであり、DTPオペレーターよりも上流の工程を担っています。DTPオペレーターとしての経験をもとにアシスタントとしてグラフィックデザインを学びつつ、Adobeが提供するクリエイター資格を取得して基礎を身につけるというルートなどが考えられます。
関連記事:未経験でグラフィックデザイナーになるには?求められるスキル
DTPオペレーターとキャリアチェンジ候補先との年収比較
厚生労働省の統計によるとDTPオペレーターの全国の平均年収は423.5万円です。また、レバテックキャリアの求人では、各職種の平均年収がWebデザイナーが480~650万円、グラフィックデザイナーが450~700万円、マークアップエンジニアが450~650万円です。DTPオペレーターよりもデザイナー関連の職種の方が平均収入が高いことが分かります。
DTPオペレーターは正社員で働いている人が多いのに対し、ほかの職種は自営業やフリーランスといった就業形態の人が多いため、平均収入の高さに反映されているといえるでしょう。
DTPオペレーターがキャリアチェンジする際に習得しておくべき要素
DTPオペレーターから他職種に転職するためのスキルアッププランを考えてみましょう。DTPオペレーターの経験やスキルだけでなく、ほかの知識や技術を習得することは転職をする際自身のアピールに繋がります。ここでは、「デザインスキル」「UI・UX関連のスキル」「プログラミング言語のスキル」を具体的に紹介します。
関連記事:Webデザイナーに必要なスキル・スキルマップとは
デザインスキル
デザインスキルは「基礎」や「原則」を身につけると評価されやすいパターンの手札を増やすことが可能です。DTPオペレーターから転職を目指す場合は、まずPhotoshop®やIllustrator®など、メジャーなデザインソフトの使い方をおさえておくと良いでしょう。
ちなみにPhotoshop®とIllustrator®については、資格取得によってスキルを身につけていく方法もおすすめです。ここでは具体例として、「Photoshop®クリエイター能力試験」と「アドビ認定アソシエイト」の概要を紹介します。
Photoshop®クリエイター能力試験
Photoshop®クリエイター能力試験は、難易度別に「スタンダード」「エキスパート」の2試験が提供されています。スタンダードでは、「ファイル操作」「カラーの選択」「環境設定」「選択ツールの使い方」「カラーモードと色調補正」といった基本的操作が中心の内容です。
これに対しエキスパートは、「フィルターの応用」「画像の入出力」「Web用画像の作成」「アクションと自動処理」「DTP/Webデザインの基本知識」など実務寄りの内容が出題されます。いずれも実技試験を伴うことから、実践的なデザインスキルの習得に役立つでしょう。
アドビ認定プロフェッショナル
アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)は、Photoshop®やIllustration®といったアドビ製品に対して一定の知識を持つことを証明する資格試験です。デザインスキルを磨くのであれば、「Visual Design using Adobe Photoshop CC 2020」や「Graphic Design & Illustration Using Adobe Illustrator CC 2020」の取得をおすすめします。
UI・UX関連のスキル
近年のプロダクト設計では、UI・UXが必須となっています。UIとは「ユーザーとプロダクトとの接点」、UXとは「UIから得られるユーザーの体験」を指す単語です。プロダクトの性能や仕様よりもユーザーにどのような体験を提供できるかが重視される今、UI・UXは普遍的なスキルとして注目されているといえます。
UI・UX関連のスキルを磨く方法には「多くのデザインパターンに触れる」「優れたUIを持つWebサイト・サービスを模倣する」「メジャーなIT企業が公開しているリファレンスに触れる」などがあります。特にGoogleの「マテリアルデザイン」やAppleの「HIG(ヒューマンインターフェースガイドライン)」は、UI・UXの基礎を学べる教材のため是非チェックしてみましょう。
マークアップ言語、軽量スクリプト言語のスキル
Webデザイナーやマークアップエンジニアへの転職では、マークアップ・プログラミング言語を身につけることが重要です。特に「HTML」「CSS」「JavaScript」の3つは、Webサイト制作で頻繁に使用される言語です。HTMLとCSSは初心者でも比較的習得しやすいうえ、常に需要があります。JavaScriptはこれらの言語と比べるとやや難易度が高いものの、習得できれば仕事の幅が一気に広がります。DTPのデザイン経験とプログラミング言語のスキルを備えることで、転職先の選択肢はかなり増えるでしょう。
関連記事:デザイナーとして就職するためには?職種と必要なスキルを解説
DTPオペレーターからの転職ではポートフォリオが重要
ポートフォリオとは、これまでの実績やスキルなどが分かる制作物をまとめたものです。過去の作品を選考時に見てもらうことで、就職してから活躍できると技術面やスキル面で証明しやすくなります。
Webデザイナーへの転職では、Web上にポートフォリオサイトを作って見てもらうことが多いです。オフラインでの面接時には、紙に印刷しファイリングして持ち込むこともあります。作品ごとに工夫した点や使用可能なソフトなどをまとめておくことも忘れないようにしましょう。
DTPオペレーターからの志望動機の例文
ここでは、DTPオペレーターからWebデザイナーに転職する場合の志望動機の例文を紹介します。
私はWeb業界に起きている日々の変化に関わりたいと考え、Webデザイナーを志望します。
これまでの5年間、DTPオペレーターとしてデザインや印刷技術を学んできました。しかし、紙媒体に大きな変化はなく、今後も似た業務を続けていくことに限界を感じています。一方でWeb業界は常に進化し続け、新しい技術やトレンドが次々と誕生しています。デザインに限定してもLP構築からWeb広告デザイン、メタバースなどの3D空間デザインとさまざまです。
これらのデザイン作成に、私のDTP業務での経験や知識は力になります。また、貴社の作成するユーザーを魅了するデザイン作成へも紙媒体で培った知識ならではの視点で一助になると考えております。貴社に入社後は、2DのWebデザインやWeb広告デザインから3Dのオブジェクトデザインや空間デザインに挑戦していきたいです。
関連記事:
Webデザイナーの志望動機の書き方|書き方のポイントを例文つきで紹介
グラフィックデザイナーの志望動機!未経験向けの例文も紹介
DTPオペレーターに関するよくある質問
DTPオペレーターに興味を持つ方の中には、将来性や年収、デザイナーとの違いなどが気になる方が多いようです。ここではDTPオペレーターに関するよくある質問に答えています。似たような疑問を持つ方は参考にしてみてください。
Q1. DTPデザイナーの将来性は?
DTPオペレータの将来性は低いといえます。なぜなら、WebデザイナーがDTP業務を担当している紙媒体デザインの需要が下がり、Webデザインの需要が上がっているからです。
今後も需要の上昇を見込めないため、Webデザインの技術を身につけるなどの対策が必要です。
Q2. DTPオペレーターの年収は?
厚生労働省の調べによると、Webデザイナーの平均年収480~650万円に対してDTPオペレーターの平均年収は423.5万円となっています。また、Webデザイナーは62.3%が自営業やフリーランスなのに対して、DTPオペレーターは80.0%の方が正社員です。雇用形態や要求スキルなどの理由からWebライターの年収のほうが高い傾向にあります。
Q3. DTPオペレーターとDTPデザイナーの違いは?
DTPデザイナーはチラシやポップなどのデザイン作業を行う職種で、DTPオペレーターは文字サイズ・レイアウトの調整などを行い、印刷できる形式に調整する職種です。一般的にはDTPオペレーターは技術的なスキルと正確な作業を、DTPデザイナーは創造性やクリエイティブな側面に重点をおいている職種といえます。
Q4. DTPオペレーターってどんな仕事?
DTPオペレーターの仕事内容は、デスクトップパブリッシング(DTP)ソフトウェアを使用して、印刷物や出版物を制作することなどです。DTPデザイナーが作成したデザイン案を基に、文字詰めやレイアウトの調整、画像の編集、色の管理などを行い、デザインを印刷可能な状態に仕上げます。
Q5. 「DTPオペレーターはやめとけ」といわれる理由は?
DTPオペレーターはやめとけといわれる理由には、将来性が厳しく活躍し続けることが難しいといわれていることが挙げられます。また、抱える仕事量が多くなりがちで激務になりやすい、黙々と作業をする業務が多いためデスクワークが苦手な人には不向きなことなども理由です。
まとめ
DTPオペレーターは、主に紙媒体においてデザインを担当する職種です。出版不況、活字離れ、Web移行などにより、DTPオペレーターの需要は低下傾向にあります。しかし、DTPオペレーターとして培ったスキルを活かすことで、他職種への転職は可能です。具体的にはWebデザイナー、マークアップエンジニア、グラフィックデザイナーなどが候補として挙げられます。デザインスキルやマークアップ言語のスキルを習得しておくことで、将来の仕事の幅が広がるでしょう。
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