CTOの役割とは?必要なスキルや混同されやすい役職との違いも解説

最終更新日:2024年9月27日

CTOは、企業の技術面での責任を負う重要なポジションです。システムやサービス開発における技術とあわせて経営戦略にも関与し、最適な技術戦略を生み出す役割として技術指導型企業に注目されるようになりました。

また、企業の存続の鍵になるといわれている観点「MOT(技術経営)」を体現したポジションとしても重要視されています。

この記事では「CTOを目指したい」と考えている方向けに、CTOの役割にフォーカスして解説します。CTOの仕事内容や求められるスキル、なるための方法などについても紹介するので、キャリアパスの参考にしてください。

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この記事のまとめ

  • CTOは最高技術責任者と訳されるビジネス上のポジションで、企業における技術面での責任を負う役割を担う
  • CTOの詳細な役割は、企業規模や会社の成長フェーズによって異なる
  • CTOには、「経営的な視点」や「スキルと技術に関する知見」の両方が必要
  • CTOになるには、「現職で経験を積む」、「CTO候補の求人に応募する」、「起業する」などの方法がある

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CTOとは

CTOは「Chief Technology Officer」、あるいは「Chief Technical Officer」の略で、日本語に訳すと最高技術責任者となります。企業におけるビジネス上の幹部の役割を担う役職の一つであり、技術面での方針策定と最終的な意思決定者です。経営層の一部に組み込まれる場合が多く、技術的な立場から経営に関与します。各種のIT企業などではCIO(最高情報責任者)と兼務する場合も珍しくありません。

CTOは1980年代にアメリカで登場し、アメリカでは執行役員の役職の一つです。日本国内では、法的な規定がないため、企業内部での呼称にあたります。

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CTOの役割

CTOとは、「最高技術責任者(チーフ・テクノロジー・オフィサー)」の名の通り「企業における技術面での責任を担うこと」が大きな役割になります。技術面での責任を担うための役割をより具体的に挙げれば、技術的な意思決定や方針策定、新規技術の研究開発に向けた管理・監督、技術面を担う人材の確保・育成などです。企業における技術的なアドバンテージをあらゆる方面から確保する立場といえるでしょう。

IT業界および製造業界など技術力が要となる技術指導型の企業においては、CEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)と並んで重要な役割を持ちます。

会社の規模別でみるCTOの役割

CTOは大企業とベンチャー企業など規模感によって役割が異なります。ベンチャーやスタートアップといった、中規模~大企業の場合のそれぞれの役割や責任の違いを解説します。

ベンチャー・スタートアップ企業

ベンチャーやスタートアップ企業では、事業の枠組みがおおよそ決定されている大企業と異なり、CTOは比較的現場に近い距離での役割を担います。たとえば、以下の役割が挙げられます。

  • ・プロジェクトマネジメント

    ・技術開発チームの施策出し

    ・技術開発チームの運営

CTOは技術開発のトップ責任者ですが、ベンチャー・スタートアップ企業だとプレイングマネージャーとしての仕事も多い傾向にあります。CTO自らプログラムを書くことも珍しくありません。ときには、エンジニアの採用担当となり面接・選考を行う場合もあります。

ベンチャー・スタートアップ企業では、経営方針や事業内容が変化する可能性も高いです。思い描くビジョンを叶えやすい環境とも捉えられますが、CTOにはタイミングを見極める力と臨機応変に業務をこなす能力・知識が必要となります。

中規模~大企業

中規模から大規模の企業の場合、CTOには自社のビジネス戦略に沿った運営・役割が求められます。たとえば、以下の業務に携わるケースが多いです。

  • ・技術方針の策定

    ・投資の意思決定

    ・システムの構築/運用

ベンチャー・スタートアップと異なるのは、規模の大きな企業ほどCTOは現場運用に関わることが少ない点が挙げられます。

大企業のCTOは「経営上層部」というニュアンスが強まります。企業の技術開発に関して影響力を持つポジションであり、相応の責任も持つ立場です。現場をまとめるリーダーシップ、技術面のあらゆる決定を行う思考力など、深い専門知識だけでなく全体を率いるための能力も求められるでしょう。

会社の成長フェーズ別でみるCTOの役割

会社の成長フェーズによってCTOの役割はさまざまです。事業が拡大するにつれ業務内容も大きく変化していくため、CTOへの転職を希望している場合は会社の各段階に応じて求められるCTOの役割・責任を理解しておく必要があります。以下では会社の成長フェーズ別に役割を解説します。

シード(準備期間)フェーズ

ベンチャー企業が事業として確立する前には、まずプロダクト開発を行います。準備段階ではビジネスに強い起業家と技術力のあるエンジニアが共同創業者となる場合が多いです。メンバーもしくは個人で事業アイデアを出し、理解・実験を繰り返します。この時点の開発チームの人数は1〜3人と少数です。

技術開発面を支えるCTOは各アイデアが技術的に実現できるかどうかを評価し、より良いプラットフォームを選択する責任を持ちます。技術だけでなく企業を立ち上げるビジネスモデルにも理解が必要です。

アーリー(創業期)フェーズ

事業の立ち上げ段階に入ると、CTOの役割はスピーディな製品開発や反復的な問題改善に変化します。どの段階と比べてもより開発に注力できる時期であり、ビジネスメンバーとのコミュニケーションも大切です。

創業期は大きなリスクもなく、内部アイデアの衝突も少ないでしょう。しかし、この時期の意思決定に誤りがあると、その後何年にもわたる負債となる可能性も生まれます。CTOには人をまとめる力よりも、技術力・思考能力・判断力が問われるフェーズです。

ミドル(事業成長・拡大期)フェーズ

事業がある程度進行すると、メディアならトラフィックが増加・安定し、ビジネスならクライアントが増え始める時期を迎えます。業績が上がり始める事業成長期では、前提にしていた事業の基本を転換する必要があったり、事業を進める上で今ないものを作る段階に入るでしょう。

CTOにはこうした転換のポイントでいかに早く意思決定ができるか、開発スピードを上げられるかが求められます。場合によっては、CTOがエンジニア採用を担当したり小規模な開発チームを新たに作ったりするケースもあります。

レイター(事業発展)フェーズ

事業やサービスが成長するに伴い、CTOの役割は事業発展フェーズで大きく変化します。事業規模へ対応するために多くの人材採用が必要になったり、仕組み作りやチーム外とのやり取りが増えたりするのもこの時期です。事業の拡大によっては複数チームを束ね、チーム間のコミュニケーションを円滑にする能力も求められるでしょう。

このフェーズでは、業界や製品の特徴や企業の在り方によって役割が異なります。研究開発を主とする専門性の高い事業ではCTOが製品開発に携わる機会も多く、生産プロセスが重視される業界なら管理に注力する場合が多いです。

CTOの年収相場

2024年6月13日時点で、レバテックキャリアの職種「CTO候補」の募集中の求人・転職情報は8件あります。この情報から、年収の最低値と最高値の中間の平均をとりCTOの想定年収を算出しました。この算出方法では、CTOの年収は約914万円と想定されます。企業の規模やフェーズによって年収の上下は大きく、最大では1,800万円とする案件もありました。重責を負う立場である分、一般のエンジニア職種よりも年収は高く設定されています。

これらのデータは「CTO候補」であり、あくまでCTOの年収ではありません。経営陣として企業内で上位のポジションとなるため、実際の年収はより高くなるでしょう。

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CTOの仕事内容

「CTOの役割」を果たすため、CTOが行う仕事内容について、代表的なもの7つを紹介します。

  • 1. MOT(技術経営)の方針策定

    2. 有効な技術戦略を生み出しチームを導く

    3. 経営戦略、技術開発、研究開発を全体的に統括する

    4. エンジニアの採用や教育

    5. 技術面におけるカルチャー醸成

    6. 技術開発チームの運営

    7. 自社内で利用する技術の選定・意思決定

1. MOT(技術経営)の方針策定

CTOは技術面から経営を支え、企業の方向性やビジョンを実現する役職です。その中でも重要となるのが、MOT(技術経営)の方針策定です。

MOTとはManagement of Technologyの略称であり「技術的な知識をベースに、研究開発を実際の製品やサービスに結びつけ経済的価値を付ける経営」を意味します。技術経営は製品開発の根幹であり、自社の企業戦略や存続に欠かせないものです。

こうした技術経営の方針を決定するCTOには、技術内容を整理してどのように管理経営するかを見極める力が求められるでしょう。自社の企業戦略を理解した上で、新たな価値を創出しなくてはなりません。

2. 有効な技術戦略を生み出しチームを導く

CTOは、企業のビジョンや戦略を把握した上で、適切な技術施策を打ち出さなければなりません。そのため、最新技術を日頃からキャッチアップし、現段階での技術の限度や将来性を加味した上で、製品やサービスのクオリティを最大化できる技術戦略を考えることが重要です。

またチャレンジングな技術戦略を生み出す中で、開発チームのモチベーションを保ち導く役割も果たします。

3. 経営戦略、技術開発、研究開発を全体的に統括する

実際のところ、CTOの持つ役割は企業によって一般的な定義と異なる場合があります。国内ではCTOの肩書きでも、1つの分野に特化した技術・研究開発部門のトップとして扱われる事例もあるようです。

しかし、それでは経営戦略と並行して技術・研究開発を同時に統括する役割は果たせません。特にグローバル展開を行う技術指導型の企業では、海外に遅れをとることに対する懸念が高まっており、経営戦略や技術・研究開発などを総括的に見るポジションとしてCTOが重要視されています。

近年では、多くの企業がCTOのポジションを設置し、CTOとしてのスキルを身につけるための人材育成やキャリアパスの見直しも図られるようになってきています。

4. エンジニアの採用や教育

CTOは自社の企業目標を達成するため「現在の技術開発チームに欠けているもの」という視点からエンジニアの採用や教育を行ったり、教育方針を策定したりする役割を持ちます。同時に自社の技術開発チームが抱える問題点を洗い出す必要もあるでしょう。

経営戦略や技術開発に関わる以上、CTOにはエンジニア採用に積極的にコミットする姿勢が求められます。採用活動が始まると「求める人物像」を人事部に伝えたり、CTO自身が採用面接に赴いたりする場合もあるでしょう。

エンジニアの採用・育成を成功させるためには、社員の巻き込みも大切です。CTOは新規エンジニアに適切な情報を伝え、技術開発として何を求めているのか、どのような方針で人材育成を進めていくのかを的確に示す役割も担います。既存・新規エンジニアの双方が同じ方向性で進めるよう、教育し導くのも重要な仕事です。

5. 技術面におけるカルチャー醸成

技術面におけるカルチャーを作り現場の雰囲気を高めるのも、CTOの持つ大切な役割の1つです。このカルチャーとは、具体的に以下のような慣習を指します。

  • ・チーム内の価値観を揃える

    ・マインドセットを行う

    ・共通言語を設定し周知する

カルチャーをチーム内で浸透させると、方向性が整い一体感を生み出せるでしょう。

技術面におけるカルチャー、チームの雰囲気作りはメンバーに「自分の役割」を考えさせる習慣にもつながります。結果的にパフォーマンスの向上が期待でき、事業促進へと導けるでしょう。企業全体にもこうした独自文化は存在するケースが多いのですが、CTOは技術開発チーム向けに言語化し通達する役割が求められます。

6. 技術開発チームの運営

技術開発部門のリーダーとして、CTOがチームの運営に直接携わる場合もあります。主にスタートアップや小規模企業などでよく見られ、プロジェクトの進捗管理からコードレビュー、チームのマネジメントや顧客とのやり取りまで果たすこともあります。プロジェクトの成果や改善点を次に活かせるチームを運営するのも、CTOに求められる仕事の1つです。

CTOは人の上に立ち育成や運営に関わる役職なので、チームをまとめるリーダーシップが求められるでしょう。トップダウンによるチーム運営ではなく、エンジニア同士のコミュニケーションが円滑にとれるような配慮も大切です。

企業規模が大きくなった場合、CTOの役割は「技術開発チームの運営」から「企業全体の統括」にシフトするケースも見られます。

7. 自社内で利用する技術の選定・意思決定

IT業において、技術の選択は非常に重要な意味を持ちます。今後の製品やサービスの形態、制限などが採用する技術に大きく左右されるためです。

この重要な技術の選択は経営層により意思決定されますが、経営陣の各メンバーが技術的なバックグラウンドを持つとは限りません。CTOは経営戦略、事業戦略策定の中で、専門的な知見に基づいて企業の方針とリスク、コストなどを含めた検討を行い、採用する技術の選定を行います

選択した技術が新規事業や既存事業の業務効率化に用いられ利益を生み出すように、技術開発部門への浸透を図るのもCTOの役割です。技術に関する社内の方針決定から、その浸透までを責務とします。

IT技術に関する基礎知識を持ち、プログラミング言語やプラットフォームなど個別の技術のトレンドも押さえた上で、長期的に利益を生む最適な選択をするには、幅広く深い知見が求められます。

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CTOと似た肩書の意味と違い

CTOとCIOなど英語略称で表現される場合、フルスペルでの認識をしておらず、意味や違いを混同しやすい肩書がいくつか存在します。特にCTO、CIO、CDOなどは業務面でも重なる部分が多く、ポジションにどのような責任があるのか判断が難しいケースも少なくありません。

本項ではCTOと混同しやすいCIO・CDO・VPoEなどとの違いを解説します。紹介するのは各役職が担う役割を一般的な視点から見た場合の違いで、実態は企業によって異なる点に注意しておきましょう。

関連記事:CTOの仕事内容とは?役員ではない?求められる役割を解説

CIO(最高情報責任者)

CIOはChief Information Officerの略で、日本語訳すると最高情報責任者です。社内向けのITや基幹システム管理が主な役割です。CTOとCIOは同じIT部門を担う責任者ではありますが、CIOは内部情報のマネジメントに特化しています。CTOと比べると責任を負う範囲は狭いといえるでしょう。とはいえ、情報戦略の策定・実行など経営陣営の一部として重要な役割を持ちます。

CDO(最高デジタル責任者)

CDOはChief Digital Officer の略で、日本語訳では最高デジタル責任者と呼ばれる役職です。CTOが既存業務や社内ITの研究開発責任者であるのに対し、CDOは組織を横断し改革を進める責任者といえます。幅広いデジタル戦略の知見や経験が求められ、社内だけでなく顧客や競合相手も視野に入れておく必要があるでしょう。

従来型の企業ではIT部門のトップとしてCIOを据える傾向がありました。しかし、近年ではIT需要の増加に伴って部門の在り方が見直され、「CDOとCIO双方を導入する」「CIOの代わりにCDOを設置する」企業もあります。

CEO(最高経営責任者)

Chief Executive Officerを略したのがCEOで、日本語訳では最高経営責任者にあたる役職です。経営層の中でもトップにあたり、企業の経営方針や事業計画などに責任を負う役割を果たします。

CEOは経営上の責任者、CTOは技術的な責任者である点が両者の違いです。

CEOもCTOと同様にアメリカでは法律的な定義があり、法的な権限を持ちます。一方、日本国内ではあくまで呼称にあたり、法的な後ろ盾はありません。代表取締役や社長と同様の意味で使われるケースもありますが、厳密な定義とは異なるため注意が必要です。

CFO(最高財務責任者)

CFOはChief Financial Officerの略で、日本語に訳すと最高財務責任者です。財務の責任者として企業内の金銭の管理に責任を負います。さらに、財務は経営とも切り離せない関係のため、経営にも深く関わり、経営戦略をもとにした財務戦略の立案・遂行にも責任を負います。CTOとの違いは、責任対象が財務であることです。

COO(最高執行責任者)

COOはChief Operating Officerの略で、日本語訳すると最高執行責任者となります。名前のとおり企業の業務の執行に対し責任を負うポジションです。

CEOやCOOについては、アメリカ式のコーポレートガバナンスが大きく関係しています。コーポレートガバナンスは、企業を所有する株主の代理者である取締役会がCEO、COOなどの執行役員を任命・監督し、株主や取引先の不利益とならないよう監視する仕組みです。企業の透明性を確保することで株主や市場の評価を高め、企業価値の向上につながっています。

このコーポレートガバナンスにおいて、実業務の責任者としてCEOやCOOが置かれます。コーポレートガバナンスのもとでは、透明性を高めるため実業務の中でも「経営」と「業務の執行」を分離しており、それぞれの責任者としてCEOとCOOを任命します。すなわち、企業の未来を決める経営においてはCEOが責任者、企業の日常業務の執行に対してはCOOが責任者です。

COOとCTOでは、責任対象が異なります。

VPoEは開発部門の組織マネジメントを行う責任者

VPoEはVice President of Productの略で、プロダクトの最高責任者と訳されます。企業の持つプロダクトに向けたチームのマネジメントを担う役割を持ち、プロダクトの品質向上に向けた技術力のために採用や指導、社内の環境改善などを行います。WebサービスなどのITプロダクトを提供する企業においては、プロダクトチームはエンジニアで構成されるため、エンジニアチームの責任者にあたることが多いです。

CTOとは「エンジニア部門での責任者」という共通点があります。ただし、CTOが企業の継続・発展のために技術力向上を目指すのに対し、VPoEはプロダクトチームの能力をアップするために採用や育成を行ったり環境改善をしたりするのが異なる点です。

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CTOに求められるスキル

企業の技術を駆使し存続・発展を進めるCTOの役割は、企業にとって重要です。一般的な技術職社員のスキルでは務まらず、圧倒的な技術力は当然としてさまざまな要求に答えていかなくてはならないでしょう。つまり、CTOには企業の経営・技術面を俯瞰する目を持ち、効果的な施策を打つための知識や高いスキルが求められます。ここではCTOの役割を考えた上で、求められるスキルを紹介します。

ビジネス面での柔軟性

どれだけ優れた人材でも、困難やトラブルに直面し行き詰まることもあります。こういったケースは、目の前の事象にとらわれすぎる固定観念が1つの原因として考えられるでしょう。大切なのは幅広い視点でものごとを捉える柔軟性です。

特にCTOは重要な意思決定を行う場合も多いため、ビジネス的な思考力や柔軟な対応は必須スキルともいえます。柔軟性があれば企業の転換期、いわゆるピボットの段階でも正しい方向にチームを導いていけるでしょう。

事業・経営面も含めたマクロな視点

エンジニアの場合、開発技術に関するスキルや知識があれば、開発業務にあたることは可能です。一方で、CTOはエンジニアとしてのスキルは大前提で、マクロな視点を持って運用に関するコストや納期、不確実性などさまざまな要素を同時に考えていかなくてはなりません。一部に注視するのではなく、総括的・将来的な思考を持つことも求められます。

技術運用・活用に関しての知識と思考力

技術に関する深い見識はもとより、技術を運用・活用して経営戦略を実現し、利益を生み出すための知識、思考力もCTOには求められます。技術の活用にはコストやリスクなどの要素が複雑に絡むので、これらについても考慮しなくてはいけません。

会社を技術面でけん引するリーダーシップ

人の上に立つCTOだからこそ、部下をまとめチームが同じ目標に進むためにけん引する力が求められます。トップダウンのみの経営を避けるためにはチーム内の意見をまとめ、企業幹部に伝えなくてはなりません。また、企業の考えや決定を部下に正しく通達する必要もあります。

業務で必要なコミュニケーションに加えて、チームを束ねるリーダーシップを発揮するのは重要です。プロジェクトマネジメント・プロダクトマネジメント両方の理解を深めることで、バランスよく臨機応変に対応できるようになるでしょう。

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企業の成長フェーズ別にCTOに求められる適性

企業の成長フェーズによって、CTOに求められる役割が変化するように、求められる適性も変わってきます。そのため、現時点でCTOになるのは難しいと感じていても、企業のフェーズによっては十分選択肢に入れられる可能性もあるでしょう。

適性がもっともあると思えるフェーズの企業でCTOを目指すのが望ましいといえます。以下では、成長フェーズごとの適性を解説するので、自身と照らし合わせながらCTOに求められる姿を考えてみてください。

シード(準備期間)

起業前の準備段階であるシードでは、プロダクトを開発してビジネスを始めることが最優先されます。シードのフェーズでは、CTOはプロダクトの開発に率先して取り組み、プロダクトの完成を目指すのがミッションです。そのため、マネジメント力よりも開発スキルの高さが求められます。ビジネスの開始にこぎつけるためのプロトタイプを完成させ、技術スキルの向上も図れる人物が適しているといえます。

アーリー(創業初期)

事業が立ち上がったアーリーにおいては、プロダクトを継続的に改善・リリースして、品質を高めるのがCTOの主な役割です。また、継続的な成長に向けて、プロダクトの方針を定め、開発の方式・ルールを定める基盤づくりも大切な役割となります。

これらの役割を果たすために必要とされるのは、エンジニアのマネジメントを行うスキルです。将来にわたって企業が事業を続け、成長を継続する基盤となるチームを作り上げるために、エンジニアと綿密なコミュニケーションを行える人材が適しているといえます。

ミドル(事業拡大期)

事業の拡大・成長を図るフェーズでは、事業の根本を見直し、既存の技術基盤に転換が必要か否か、新たに必要なものは何かといった判断がCTOの重要な役割です。この役割を果たすために求められるスキルは、ここまでのフェーズよりも経営に関する比重が高まります。このフェーズでは、経営戦略やブランド形成など、経営に特異したスキルを発揮できることがCTOの適性といえます。

レイター(事業発展期)

事業が発展したレイターでは、ほかのフェーズと比べてCTOに求められる役割が大きく異なります。事業規模に合わせて企業に技術を確保するためには、人材の採用や教育、ルールの制定などの技術の周辺を支えるCTOの役割が重要です。

大きくなった企業の組織間を円滑に動かすため、エンジニアと事業部門のコミュニケーションハブとしての役割も期待される場合もあります。さらに、事業の核となる新たな技術の研究開発を求められるケースもあるでしょう。

このフェーズで求められるCTOの適性はさまざまですが、新たな技術の芽を育てる意味では、企業の将来を見据え、より経営に寄った素養を持っていることが適性となります。

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CTOになるには

IT部門への注目が高まる昨今では、CTOを新たに設ける企業やCTO導入を検討する企業が増加しています。CTOは技術的な責任を負う役割なので、エンジニアなどのIT技術職のキャリアパスとしても考えられるポジションです。たとえばエンジニアとして専門性を高め、長年経験を積んだあとに経営層に抜擢されるケースもあるでしょう。また、他社へ転職するのも1つの手段といえます。

ここでは、CTOになるための手段について解説します。

現職で技術・業務経験を積む

現在勤務する会社にCTOが設けられている場合、現在の環境で経験を積んで昇進を目指す方法もあります。CTOになるには技術能力はもちろん、業務経験も大切です。ただし、CTOは経営層の一部であるため、単純にスキルアップだけでなれるほどハードルの低いポジションではありません。幅広い知識や多角的な視点、教養を身につけた上で、人間力を高めておく必要があるでしょう。

CTO候補の求人に応募する

すぐに実践できる方法は、CTO候補の求人に応募することです。現職にCTOがいない場合は将来的に設立される可能性はありますが、すでにポジションが用意されている企業への転職のほうがより早道でしょう。

CTOは重要な役割を担うため、企業側は慎重に採用を進めている場合が多いです。転職エージェントなどを利用して、キャリアアドバイザーからサポートを受けながら求人を探すのが万全といえます。

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起業する

現職の企業でのCTOとは違う役割を持ちたい、もしくは転職先に求める業務がない場合は自分で企業を立ち上げるのも有効な手段です。スタートアップに必要なメンバーを揃えて起業すれば、自身がCTOの役割を選択できます。

起業は収入の安定性や経営の将来性に不安を持つ方も多いですが、ビジョンや成し遂げたい思いが明確にある場合は、選択肢の1つとして十分に考えられるでしょう。

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CTOに関するよくある質問

CTOについて、よくある質問と回答をまとめました。CTOという表記に馴染みのない方もいるでしょう。また、英語の略称が用いられる役職名は複数存在するため、CEOやCFOなど、ほかと混同しがちといえます。多く寄せられる質問は、CTOの意味や役割などについてです。以下で回答しているので、CTOを目指す方は参考にしていただければ幸いです。

Q1. CTOとはどのような意味ですか?

CTOとは「最高技術責任者(チーフ・テクノロジー・オフィサー)」を指します。CEOが最高経営責任者やCFOが最高財務責任者を指すのと同様に、CTOは企業における技術部門のトップにあたる役職であり、技術面と経営面の両方に携わる重要なポジションの1つです。

Q2. CTOの組織における役割は何ですか?

最高技術責任者の名の通り、「企業における技術面での責任を担うこと」がCTOの主な役割です。また、企業の経営戦略上で最新技術の研究開発は重要な課題の1つです。国内外のライバル企業に技術競争で打ち勝っていくためにも、CTOには技術的・経営的知見を駆使し事業を率いていく役割が求められます。

Q3. どのような会社にCTOが必要ですか?

経営の立場から技術部門をマネジメントするMOT(技術経営)が多くの企業で重要視されています。そのため、CTOはMOTを重んじる企業には欠かせないポジションです。経済のグローバル化によって海外企業との激しい競争が求められる現在、CTOは特定の大企業だけではなく、中小企業でも必要とされています。

Q4. CEOとCTOはどちらが偉いですか?

CEO(最高経営責任者)は経営部門、CTO(最高技術責任者)は技術部門のトップであり、「どちらが偉いか」は企業内での扱い方によってさまざまです。CEOとCTO両方を置く企業だと責任範囲が異なり、「最終的な決定をするほうが偉い」といえます。双方がその企業でどのような責任があるかを考えましょう。

関連記事:CTOとは?CEOとの違いや各役職の役割について解説

Q5. CTOを目指すにはどうすれば良いですか?

CTOを目指すには現職でCTOに昇進する、転職する、起業しCTOの役割を持つ手段が考えられます。CTOは経営層にあたるため闇雲に目指してなれるものではなく、まずは「自分が何を成し遂げたいのか」というビジョンを明確にすることをおすすめします。

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まとめ

CTOは技術進化が注目される中で、事業展開する企業にとっては重要な役割を担うポジションです。責任を負う範囲は広く、技術力だけでなく経営知識や経営手腕、深い思考力も求められます。

ただし、企業の成長フェーズによって、CTOに求められる役割や適性は異なる点には注意が必要です。そのため、転職で目指す場合はその企業のCTOの役割を把握するのがマストでしょう。

大変な役職だからこそ、その役割を成し遂げたときの達成感もまた大きなものです。企業で実現したいことがある方や明確な将来のビジョンを持つ方は、CTOを目指してはいかがでしょうか。

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