- プロジェクトリーダー(PL)に必須の資格はない
- プロジェクトリーダーに必要なスキル
- プロジェクトリーダーとプロジェクトマネージャーの違い
- プロジェクトリーダーのスキル習得に役立つ資格
- プロジェクトリーダーへのキャリアパス
- プロジェクトリーダーの資格に関するよくある質問
- まとめ
プロジェクトリーダー(PL)に必須の資格はない
プロジェクトリーダーは責任者としても重大なポジションにある職種です。プロジェクトの成功に多大な影響を与えるこの職種に必要な資格はどのようなものでしょうか。
実は、プロジェクトリーダーになるために特定の資格を取得する必要はありません。 これは企業にもよりますが、資格を持っていなくてもプロジェクトリーダーに選ばれる可能性があります。
プロジェクトリーダーには、エンジニアとしての実務経験や管理職としてのマネジメントスキル、強力なリーダーシップが求められます。これらは特定の資格を有しているからといって無条件に適性があると判断できるものではないため、慎重な人選によって決められているのです。
そのため、プログラマーとして入社した新入社員は、次のキャリアとしてSE、さらに上のプロジェクトリーダーを目指すケースが多いようです。
プロジェクトリーダーに必要なスキル
プロジェクトリーダーはプロジェクトの開発工程においてさまざまな調整や管理業務を担っています。そのため、技術的なスキルのみならず、マネジメントに関わるスキルも強く求められます。以下では、プロジェクトリーダーに必要な知識とスキルを具体的に説明します。
高度なIT知識
プロジェクトリーダーはプログラマーやSEの上流にあたる役割である以上、プログラミングスキルをはじめ高度なITスキルが不可欠です。開発担当者とコミュニケーションをとる際も、技術的なスキルが身についていないと具体的に何を話しているのか理解することができません。
また、知識が不足していることでほかのプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーとも正確な意思疎通ができず、リーダーとしての信頼性や資質を問われてしまうことも懸念されます。さらに、グループ内の開発担当者から相談を受けた際には、適切なアドバイスができず信頼関係が崩壊することも考えられるでしょう。
プロジェクトリーダーにとって、チームメンバーとの信頼関係は非常に重要であるため、関係構築のためにも技術的なスキルは最低限身につけておくべきです。
マネジメントスキル
管理全般に関わるマネジメントスキルは、プロジェクトリーダーに限らず多くの企業で重視されるものです。しかし、マネジメントという言葉は漠然としていて、具体的に何を指しているか分からない場合があります。
ここからは、プロジェクトリーダーの仕事に必要なマネジメントスキルについて具体例とともに解説します。
スケジュール管理力
プロジェクトを成功させるには、スケジュールの遵守は基本項目です。スケジュール通りに納品できるように、人員の補充や作業工程の見直しなど、前もって有効な対策を検討する能力が求められます。
具体的なスケジュール管理タスクとして、リソースの適切な配分とタスクの優先順位付けが挙げられます。リソースの作業量を適切に見極め優先度を設定することでスムーズな進捗を確保します。プロジェクトのさまざまな局面に合わせてリソースの調整やスケジュールの再評価、タスクの再割り当てなど、適切な判断を下すことが求められます。
スケジュール管理力は、プロジェクトの成功に直結します。計画の見直しや緊急対応によって、目標の達成を実現することができます。そのため、プロジェクトリーダーには常にスケジュールを見守り、柔軟かつ効果的な管理を行う能力が求められます。
人員管理力
開発工程は人間による作業である以上、担当者の生産性や能力にも大きく左右されます。モチベーションが低下しているメンバーがいると、それがほかのメンバーにも波及しチーム全体に悪い影響を与えてしまうことも考えられます。
メンバーとコミュニケーションをとりながら、不満・不安に感じていることを聞き、モチベーションの管理につなげていくことが重要です。また、技術的な能力を見たときに明らかに相応でない業務に従事しているメンバーがいる場合は、役割を変更するなどの対応も求められます。
さらに、育成という観点からリーダーシップとコーチングの能力も求められます。プロジェクトリーダーは、メンバーの能力向上や成長をサポートする役割を担います。個々の強みやスキルを認識し、適切なトレーニングや教育プランを提供することで、メンバーの成長を促進します。
品質管理力
納期ばかりを優先させた結果、完成したシステムに大きなバグが残っていたり、エラーが頻発したりしたら意味がありません。品質の良し悪しは企業の信頼性に直結し、品質が悪いとその後の受注に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
一般に品質と納期はトレードオフの関係になることが多いといわれています。トレードオフとはどちらかを向上させるともう一方が犠牲になるという関係性です。品質を向上させるためにある程度の作業期間をかければ、一方で納期が遅くなってしまうということです。
そのような場合、顧客と調整して品質と納期の落としどころを決める必要があります。役割分担としてはプロジェクトリーダーが対応案を作成し、プロジェクトマネージャーが顧客と交渉します。
最終的に方針を決めるのはプロジェクトマネージャーおよび顧客です。その前段としてどのような選択肢があるのか、かかるコストやリスクは何があるのかを正確かつ詳細に整理できるかどうかがプロジェクトリーダーの腕の見せ所です。
関連記事:プロジェクトリーダーに必要なスキルとは?資格や年収相場も紹介
危機管理力
プロジェクトでは原因不明のエラーが頻発したり、開発担当者が病気やケガで出勤できなくなったりと、不測の事態はつきものです。それでも、変化する状況に適応しながら進めなければならないため、あらゆる場面に対応していく危機管理力が必要です。
過去の経験から納期の遅れにつながる要因を予測し必要な対策を講じておけば、いざという場面でも冷静に対処できるでしょう。予測不可能な問題が起きたとしても、適切に迅速な対応ができることはプロジェクトリーダーとしての評価にもつながります。
プロジェクトリーダーとプロジェクトマネージャーの違い
プロジェクトリーダーもプロジェクトマネージャーも管理者的な立場であり、プロジェクトを進める上で重要な役割を果たします。似たような職種ではありますが、プロジェクトにおける役割や業務範囲に違いがあります。プロジェクトリーダーとプロジェクトマネージャーのそれぞれの仕事内容を見ていきながら役割の違いを理解しましょう。
プロジェクトリーダーの仕事内容
プロジェクトリーダーの担当業務範囲は「1つのチーム内」です。
大規模な開発プロジェクトでは、通常複数のチームで分担して開発を行いますが、チームの分け方にはいくつかのパターンがあります。機能によってチームを分けたり、システムの処理レイヤーで分けたりすることもあります。たとえば、フロントエンド、バックエンド、データベースなどです。
プロジェクトリーダーの役割はチームの代表としてメンバーをまとめ、かつ現場責任者としてプロジェクト推進のために適切な計画を立て、問題があれば解決へ導くことです。メンバーに対しリーダーシップを発揮しながら、プロジェクトを進めていく要となる立場です。
プロジェクトリーダーはメンバー個々のスキル・適性・モチベーションを把握していなければなりません。チームとして最大のパフォーマンスを出せるように、メンバーのモチベーションを高めるのもプロジェクトリーダーの役割です。
プロジェクトリーダーはチームの成果物についても詳細な部分まで責任を持ちます。そのため、メンバーから上がってきた成果物のレビューは重要です。
プロジェクトマネージャーの仕事内容
プロジェクトマネージャーの担当業務範囲は「プロジェクト全体」です。
プロジェクト全体の進捗管理・課題管理・品質管理・予算管理などを行います。また、顧客との交渉の窓口となります。
プロジェクトマネージャーの役割はプロジェクト全体を取り仕切ることであり、実務レベルの開発作業は担当しません。マネジメントに重点をおいた立場です。
プロジェクト開始時には、プロジェクト計画の作成や組織、チームの編成を行い、開始後は全体の進捗管理やリソースの管理を行います。プロジェクトが計画通り進行しているか常に気を配り、問題が発生したときには何らかの対処を行います。
プロジェクトマネージャーはプロジェクトリーダーと比べて直接メンバーに関わることは少ないです。基本的にはプロジェクトリーダーを通して全体のプロジェクトを管理していくことになります。
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プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違いは?
プロジェクトマネージャーとディレクターの違いとは?
プロジェクトリーダーのスキル習得に役立つ資格
プロジェクトリーダーに必要なスキルを身につけるには、資格取得が有効です。資格取得に向けた学習の中で得られる知識や技術を実務に活かせれば、プロジェクトの品質向上につながり、プロジェクトリーダーとしての資質向上も図れるでしょう。
プロジェクトリーダーになるために必須の資格はありません。しかし、客観的にスキルが証明できる資格を持っていれば、転職や独立の際にも有利になることは確かです。以下ではスキル習得に役立つ資格について紹介します。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者試験で、毎年1回、10月に実施されます。IPAが実施している試験の中でも特に難易度の高い「高度情報処理技術者試験」の1つに含まれ、2023年度の合格率はわずか13.5%です。
「プロジェクト全体の計画(プロジェクト計画およびプロジェクトマネジメント計画)を作成し、必要となる要員や資源を確保し、予算、スケジュール、品質などの計画に基づいてプロジェクトを実行・管理する者」を対象者としています。まさにプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーに求められる資格試験といえるでしょう。
資格取得を通じて得た知識やスキルを活かし、プロジェクトを成功に導くリーダーとしての役割を果たすことができます。また、この資格は国家資格であり、IT試験の中でも重要視する企業が多いため、新たなプロジェクトのチャンスや昇進の機会を得られる可能性もあります。
これまでプロジェクトリーダーとして活躍してきた人が、プロジェクトマネージャーへとステップアップする際にも、資格取得は大きな武器になるはずです。
関連記事:プロジェクトマネージャ試験の難易度|勉強方法や時間の目安も解説
PMOスペシャリスト認定資格
PMOスペシャリスト認定資格は一般社団法人日本PMO協会が実施している資格試験で、e-ラーニングを受講後、オンラインでテストを受験します。
PMOスペシャリスト認定資格(PMO-S)はISO21500に準拠した資格で、さらに初歩的な資格試験として「プロジェクトマネジメント・アソシエイト」と呼ばれる即実践型の資格も存在します。
PMOとは「Project Management Office」の略で、プロジェクトマネージャーを補佐する組織です。その役割はプロジェクトマネジメント業務の支援やプロジェクト間のリソース・コストの調整など多岐にわたります。プロジェクトマネージャーの意思決定に必要な情報を収集し、その決定の通りに推進・管理を行います。
PMOスペシャリスト認定資格は、プロジェクトマネージャ試験に比べると難易度は低く、これからプロジェクトリーダーを目指す方におすすめの資格です。いつでも受講できるため、自分のペースで試験に臨むことができます。
まずはこの試験を通じてプロジェクトマネジメントの基礎を習得し、次のステップとして高度情報処理試験などの難易度の高い資格に挑戦すると良いでしょう。
関連記事:PMOにおすすめの資格8選|試験内容や合格率・勉強方法・参考本なども紹介
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、情報処理技術者試験の1つであり、経産大臣に認定された国家資格です。 また、そのほかの高度情報処理技術者試験(ネットワークスペシャリスト試験、プロジェクトマネージャ試験など)を受ける前にこちらの資格を取得すると、一部試験内容が免除されることも特徴です。
試験で問われる内容は、テクノロジー系の知識のほかにプロジェクトマネジメントに関する知識、システム戦略や経営戦略の項目もあります。資格取得の勉強をする中でプロジェクトリーダーに必要な知識も身につきます。
また、リーダーとしてメンバーのスキルアップのために、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験の資格取得を推奨することもあるでしょう。その際にリーダー自身が資格を持っていればより説得力が増し、助言もしやすいです。
応用情報技術者試験は転職時にも十分なアピールポイントとなります。 プロジェクトマネージャ試験の前段として挑戦するエンジニアも多く、プロジェクトリーダーへステップアップする際においても大きな武器になるでしょう。
高度情報処理技術者試験
高度情報処理技術者試験は、スキルレベル2の基本情報技術者試験(FE)、レベル3の応用情報技術者試験(AP)の、さらに上位のレベル4と定義され、専門的で高度なIT知識や技術を問う資格試験です。プロジェクトマネージャ試験を含む、以下の8つの試験が該当します。
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・ITストラテジスト試験
・システムアーキテクト試験
・プロジェクトマネージャ試験
・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験
・ITサービスマネージャ試験
・システム監査技術者試験
これらの試験対象者は、専門分野を持ち指導的な立場にあるエンジニアなので、プロジェクトリーダーの立場に近いといえます。
試験はいずれも難易度が高く長丁場で行われるため、事前の十分な学習はもちろん、受験時の時間配分についてもシミュレーションが必須となります。
資格を取得すればITにおける高度人材として大きなアピールポイントとなります。プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへの昇進、転職の際にも極めて大きなアドバンテージになるでしょう。
PHP5技術者認定上級試験
PHP5技術者認定上級試験は、実務経験が3年程度あるエンジニアが対象となる資格試験です。PHPに関する実践的なコーディング能力が試されるため、プログラミング実務にも携わりたい方やPHPに関わるプロジェクトに参画する方におすすめの資格です。
内容は、プログラミング言語をはじめ、実務で用いるスキルが問われます。 PHPに関する知識や技術だけでなく、データベースの操作、セキュリティ対策、パフォーマンスチューニングなど、幅広い領域にわたる知識が求められます。結果はスコアとして出され、スコア毎にレベルに分類される仕組みです。
この資格の取得によって、エンジニアとして高度かつ実用的なプログラミング技術を身につけていることが証明できます。さらに、現場目線の視点も持つプロジェクトリーダーとしての信頼を得やすいのもメリットです。
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プロジェクトリーダーへのキャリアパス
プログラマー、そしてシステムエンジニアを経験してからプロジェクトリーダーになるのが一般的なキャリアパスです。
プロジェクトリーダーはプロジェクトを管理する重要な役割を担うため、現場経験がない人やIT知識・技術、そのほかの必要なスキルがない人は十分に業務を遂行できません。また、チームメンバーを率いるためのリーダーシップは、現場経験や自己学習で養われていくスキルであり、長い時間と経験の積み重ねで身につくものです。
まずは与えられた業務を確実にこなしながら、資格取得による知識と技術の向上を図りましょう。また、身近なプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーにフィードバックをもらったり、メンバーと積極的にコミュニケーションをとったりしながら、足りないスキルを養っていく意識も大切です。
プロジェクトリーダーの資格に関するよくある質問
プロジェクトリーダーを目指す過程で、資格取得は大きなアピールポイントとなります。ITに関わる資格は種類も数も豊富ですが、プロジェクトリーダーの業務に関わるものに絞って取得していくのが効率的です。
プロジェクトリーダーについて寄せられる質問の中では「資格」に関する内容が多く、キャリア形成においても資格の有無が重要視されている傾向がうかがえます。ここでは、プロジェクトリーダーの資格に関するよくある質問に回答していきます。
Q1.プロジェクトリーダーになるには?
プロジェクトリーダーになるには、開発プロジェクトにおいて経験を積む必要があります。プログラミングやシステムエンジニアリングの分野でさまざまなプロジェクトに参加し、積極的に幅広い業務に携わると良いでしょう。また、応用情報技術者試験や高度情報処理試験などの資格取得でスキルを養うのも有効な手段です。
Q2.プロジェクトリーダーになるには何のスキルが必要ですか?
プロジェクトはチームで取り組むため、プロジェクトリーダーにはリーダーシップが必要です。また、高い技術力も必要で、技術力がなければ指示やトラブルへの対応ができず信頼を得ることもできません。そのほかにも、メンバーへのヒアリング力、危機管理力、スケジュール管理力などのスキルも求められる職種です。
Q3.プロジェクトリーダーの平均年収はいくらですか?
レバテックキャリアの求人情報からプロジェクトリーダーの平均年収を算出すると、約520万円となります。また、年収幅で見ると約520万円〜約1,000万円となり、重要ポジションであるがゆえに高い給与水準となっています。プロジェクトリーダーとなったのちも、さらに年収を伸ばせる可能性があるといえます。
Q4.プロジェクトリーダーには何年目からなれますか?
会社によって異なりますが、新卒でシステムエンジニア(SE)として入社した場合、3〜5年目になるとプロジェクトリーダー(PL)の役割を担うことが多いです。ただし、個人のスキルや成長速度、組織の構成などによっても異なる場合があるので、一概にはいえません。
まとめ
本記事では、プロジェクトリーダーに求められるスキルと資格について解説しました。プロジェクトリーダーはITエンジニアとして入社した方が真っ先に目標とすることも多く、技術的なスキルはもちろん、マネジメントスキルも試される職種です。
プロジェクトリーダーになるために、必須の資格はありません。しかしながら、プロジェクトを牽引する立場として成功するためには、IT技術とマネジメントの両方のスキルを兼ね備えていることが重要です。資格を取得することでこれらのスキルをアピールすることが可能です。
IT業界は慢性的な人材不足であり、プロジェクトリーダーも同様に不足しています。将来性のあるIT業界において、中核となるプロジェクトリーダーをぜひ目指してみてはいかがでしょうか。
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