ローカライズエンジニアとは?仕事内容や必要なスキルを紹介

最終更新日:2024年3月12日

ローカライズエンジニアとは、特定の地域を対象に作られたコンテンツやプログラム、ソフトウェアなどを、他地域でも利用できるように改良する作業を行う職種です。

言語の翻訳のほか、各地域の文化に合わせた語順の修正や新機能追加なども行います。語学スキルやIT知識に加えて、対象地域についての理解が必要とされるポジションです。

この記事では、ローカライズエンジニアに関心のある若手エンジニアに向け、ローカライズエンジニアの仕事内容と役割について説明します。

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この記事のまとめ

  • ローカライズエンジニアは地域ごとにサービスを最適化する職業
  • ローカライズは言語や単純情報の置き換えだけではない
  • マーケティングの観点が重要

ローカライズエンジニアとは

ローカライズエンジニアとは、特定の地域向けに作られたコンテンツ、プログラム、ソフトウェアなどを別の地域にも適用できるように改良していくエンジニアのことです。特に地域性の強いサービスで力を発揮します。

ローカライズの意味

ローカライズとは、コンテンツ、プログラム、ソフトウェアなどを特定の地域に合う形に最適化することです。特定の地域に合わせるためには、コンテンツ、プログラム、ソフトウェアなどの理解にくわえ、対象地域に対する理解も必要です。

扱っている対象と対象地域の両方を理解し、その二つをすり合わせていくことでローカライズができます。単に言語や単純情報を書き換えるだけではないという点も重要です。

ローカライズの必要性

ローカライズが必要な理由は、地域によって言語、文化、宗教、法律などが異なるからです。文章をそのまま翻訳したり、地域名を変えるだけでは足りない場合が多いでしょう。またここにマーケティングの概念が加わる場合もあります。

地域によって人気のあるサービスは異なるので、地域のニーズを理解したうえでサービスを変えていくこともあります。飲食店などをイメージするとわかりやすいですが、自国の料理を他国に持ち込んで飲食店を開業する場合、対象の国の味の好みに寄せていく場合が多いです。これも一種のローカライズと言えるでしょう。

国・地域の文化・風習によってはカルチャライズも必要

ローカライズと似ている概念として、カルチャライズがあります。カルチャライズとは、その国、地域の文化、風習に合わせることです。たとえばキャラクターが持っているアイテムを文化に合わせて変えるといったことが挙げられます。どら焼きがピザに、タバコがキャンディーになっている、といった話は有名でしょう。これも一種のカルチャライズです。

ローカライズ業務と翻訳の違い

ローカライズと翻訳の違い


ローカライズ業務の一部が翻訳です。ローカライズは翻訳を含め、その地域に合わせたブランディングやターゲティングも行います。翻訳はローカライズの中の重要な業務ですが、翻訳だけではローカライズは完結しないということです。

特に、直訳するだけでは意味合いが変わってきたり、文化的な理由から違和感を感じる場合もあります。重要なのは文面ではなく、対象地域の人たちにどのように伝わるかを考えることです。

ローカライズと翻訳の違いを表にまとめると以下のようになります。

  ローカライズ 翻訳
作業内容 言語の置き換え、デザイン仕様変更 テキストの置き換え
対象 ゲーム、アプリ、サイト、動画、システム サイト、字幕、メール、論文、技術書

ローカライズエンジニアの仕事内容

たとえば「英語圏向けのソフトウェアを、中国語や日本語、ヨーロッパ各国の言語に対応するように改良する」場合、主に通貨や数、時間、日付等の表示方法変更、文法に則した語順の修正などを行います。

また、日本語入力機能やひらがな、漢字等をはじめ、国ごとの文化に合わせて独自の機能を盛り込むこともあります。ただし、このように単純に情報を置き換えるだけではなく、その地域のニーズに合わせたコンテンツの改良も必要です。

そのためには、ITスキルや語学スキルにくわえ、マーケティングのスキル、考え方が重要になってきます。

ローカライズエンジニアの必須スキル

ローカライズエンジニアには、以下のようなスキルが必要です。


  • ・IT知識

    ・語学力

    ・対象製品への理解

    ・特定の地域の言語、文化、慣習への理解

IT知識

ローカライズエンジニアはワードやエクセルなどの基本的なPCスキルに加え、HTML、CSSなどのフロントエンドのプログラミング言語についての基礎知識が求められます。ただし、IT知識に関しては高いレベルが求められるわけではありません。そのため、「IT知識」に不安がある方でも心配はないでしょう。一つ一つ確実に身に着けていくことができます。

別職種のエンジニア経験がある場合、ローカライズエンジニアとして必要なIT知識は概ね満たしている可能性が高いです。

語学力

英語や中国語など、世界的に使用者が多い言語を習得するのがおすすめです。TOEICやTECC、中国語検定などに挑戦して高スコアを目指すことで、スキルを身に付けつつ客観的なスキル証明にもなります。IT業界での業務経験があるものの語学力はそこまでないという方は、語学力の習得に力を入れ、逆に語学力はあるがIT業界での業務経験はないという方はITスキルの習得に力を入れるのがおすすめです。

対象製品への理解

ローカライズエンジニアは対象製品を特定の地域に向けて売り込む必要があります。特定の地域に合うようにマーケティングしていくことがローカライズエンジニアの仕事と言えるでしょう。そのためには、当然対象製品への理解は必須です。対象製品を深く理解したうえで、その地域にどのように売り込めば最適かを考え実行します。

特定の地域の言語・文化・慣習への理解

ローカライズでは、特定の地域の言語・文化・慣習への理解が不可欠です。機械的に言語などを置き換えるだけでなく、地域の考え方に合わせていく必要があるからです。また文化・慣習への理解と言っても切り口はいろいろです。

トレンドの把握が重要な場合もあれば、法律や条例の理解がより重要な場合などもあるでしょう。ネットやSNSでのリサーチで十分な場合もあれば、実際にその地に足を運んで調べることが必要な場合もあります。

すべてを把握することは難しいので、サービスに合わせてどの部分の理解に重点を置くかの切り分けなども必要になってきます。

ローカライズをするうえでのポイント

ローカライズをするうえで重要なポイントを紹介します。地域の文化や習慣の理解と言ってもその内容は多岐にわたるため、ここで紹介するポイントを押さえたうえで理解の優先度を決めることも重要でしょう。

国・地域ごとに好まれる見せ方・レイアウトを考慮する

国・地域によって、見せ方のトレンドや言語に合わせたレイアウトがあります。あらかじめその国・地域の製品を確認し、ある程度合わせていくことが重要です。たとえば言語ごとの文字に合わせたレイアウトにすることは最低限必要ですが、それだけだと魅力的に見えない場合もあります。

消費者として違和感を感じたことのある方は多いはずです。見にくかったり魅力的に見えなかったりすることを防ぐには、考慮が必要です。

画像・記号・色の使い方にも気を配る

国・地域によって、画像・記号・色の使い方が異なります。ある国では良い意味合いの記号が、別の国では悪い意味合いの場合もあります。ある国では警告の意味合いが強い色を別の国では明るい・楽しいといった意味合いに捉えている場合もあります。その国・地域ではどのように捉えているのかを知り、気を配ることが重要です。

ローカライズエンジニアの主な活躍場所

ローカライズエンジニアがローカライズを行う対象にはどのようなものがあるのかご紹介していきます。

Webサイト

Webサイトは情報を伝えるための媒体なので、特にローカライズが重要と言えるでしょう。どのようなWebサイトならその地域のマーケティングに最適か、どのようなWebサイトに需要があるかなどを考えます。

より具体的には、サイトデザイン、SEOが重要です。特にSEOはそのキーワードやコンテンツの内容で、対象地域で上位表示されるように考えていく必要があります。

アプリ・ゲーム

アプリ・ゲームは国際化とアプリストア最適化が必要です。国際化は、対象となる国に合わせて言語などを用意します。言語ごとに読み込むファイルを変える仕様にしておくと、言語以外はそのままでユーザーがアプリを操作できるようになります。

アプリストア最適化は、アプリストアで優先する検索キーワードや画像などを最適化する作業のことです。アプリはどれだけ良いものであっても、ユーザーの目に触れなければ利用されることがありません。そのため、アプリストアで対象地域の人に魅力的に見せる必要があります。

ゲームアプリは特に競合が多く流行り廃りも激しいので、ローカライズ戦略がアプリダウンロード数に大きく影響します。

マーケティング

広告などのマーケティングもローカライズが必要です。例として、動画広告とSNS広告について挙げます。動画広告は地域ごとに用意されているケースもありますが、すべての地域に合わせて用意するのは大変です。

そのため、音声だけ差し替える、字幕を入れる、などの方法で対処している場合も多いです。また特定の地域に特化しすぎず、ある程度汎用性を残すということも一つのローカライズ戦略です。

SNS広告では、地域ごとにアカウントを変えるケースも多いです。地域ごとに用意したアカウントからそれぞれ広告を出します。この点から、SNSはローカライズ戦略との相性が良いです。

またローカライズ全般においてマーケティングの考え方が必要なので、ローカライズエンジニアにとってマーケティングは特に重要なスキルになります。

マニュアル

マニュアルもある程度のローカライズが必要です。しかし基本的にマニュアルはわかりやすさが重要なものなので、地域によって大幅に内容が異なることはないでしょう。言語や用語のローカライズ、統一は必要ですが、ローカライズ戦略というよりはミスのない正確性が重要と言えます。

ローカライズエンジニアの転職求人例

実際にどのようにローカライズエンジニアの求人が出されているのか、ご紹介していきます。

ゲームのローカライズ作業/英語圏

想定年収:400~1,000万円
雇用形態:正社員、契約社員、紹介予定派遣

■仕事内容について
<ローカライザー>
ゲームの翻訳業に対応。原文の品質をそのままに、広く英語圏の方に受け入れられるようなローカライズ業務にあたっていただきます。

<コーディネーター>
ゲームを英語圏向けにローカライズするにあたり、必要な翻訳以外のさまざまな業務を行うポジションです。
・翻訳されたもののゲームへの実装、実機確認
・校正
・翻訳関連資料作成、編集、管理など

■必須条件
<ローカライザー>
・英語が母国語かつ日本語が堪能な方
・文章を書くのが好きな方
・和英翻訳の経験が一年以上ある方

<コーディネーター>
日本語と英語のいずれかが母語、もう一方がビジネス以上(TOEIC800点/日本語検定一級以上相当)

ローカライズのディレクション全般業務

想定年収:400~800万円
雇用形態:正社員

■仕事内容について
主な仕事は、ヘルプ記事およびUI文言のローカライズ(日本語から英語・中国語簡体字・中国語繁体字)に関するディレクション業務全般です。
また、ローカライズのコーディネート業務だけではなく、多言語版ヘルプの品質・価値向上のための企画を検討し、積極的に推進することにも尽力いただきます。

<具体的な業務内容>
・ローカライズのディレクション業務全般
・翻訳会社との窓口業務、折衝、進捗管理
・ローカライズ関連データの管理/整備(翻訳メモリ、用語集、ガイドラインなど)
・多言語版ヘルプおよびUI文言の品質管理
・多言語版ヘルプの価値向上のための提案、推進

■必須条件
<経験>
・翻訳関連のプロジェクトマネジメントの実務経験がある
・TradosやMemsourceなどの翻訳支援ツールの使用経験がある

<スキル>
以下いずれかの英語のコミュニケーションスキルをお持ちの方
・英語を使用した業務経験が1年以上ある
・英語での読み書きができる

繁体字中国語対象としたゲームの翻訳

想定年収:400~1,000万円
雇用形態:正社員、契約社員、紹介予定派遣

■仕事内容について
主な業務は、ゲームの翻訳です。

<具体的な仕事内容>
・繁体字圏を対象としたゲームの翻訳/ローカライズ業務

■必須条件
<経験>
・1年以上のゲーム/アニメの和中翻訳

<スキル>
・繁体字中国語のスキル
・日本語が流暢な方
・中国語をネイティブレベルで話せる

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ローカライズに関するよくある質問

ローカライズに関するよくある質問と回答を紹介します。

Q1. ローカライズとは何ですか?

ローカライズとは、特定の製品を別の国・地域に合わせて変更することです。単に言語を置き換えるだけでなく、その国や地域のことを理解してい合わせていくことが重要です。

Q2. ローカライズと翻訳の違いを教えてください

翻訳はある程度対象の国のことを理解する必要がありますが、基本的には言語の置き換えです。一方で、ローカライズは文化や習慣を踏まえて合わせていく必要があります。

Q3. ローカライズをするうえでの注意点を教えてください

ローカライズをするうえでの注意点は、文化や習慣について画一的に押さえれば良いわけではないということです。法律、時事ネタ、トレンドなど幅広い観点から地域について知っていく必要があります。

まとめ

ローカライズエンジニアはコンテンツや媒体をローカル仕様に最適化するエンジニアです。そのためITスキルだけでなく、言語スキルや、マーケティングスキルが求められます。今は世界中に情報を発信できる時代です。そのため情報が氾濫していて取捨選択に難しさを感じている人が多いでしょう。

だからこそ、ローカライズを行い、その地域の人に刺さるものを用意することは特に重要と言えます。ローカライズエンジニアとしてスキルアップしたい場合、IT、語学などの必要スキルの中から自分の苦手分野をなくしていくことが重要です。

ローカライズには幅広い視野が必要なので、特定のことだけに特化するというよりはスキルや考え方も幅を広げていくと良いでしょう。

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