COBOL資格の取得メリットとは?学習方法やキャリアパスも解説

最終更新日:2024年10月11日

COBOLの歴史は長く、50年以上前から幅広く利用されてきたプログラミング言語です。しかし、COBOLを用いたシステムの稼働期間が長くなるにつれ、COBOLエンジニアの高齢化が進み、それに伴ってCOBOLエンジニアの市場価値が高まっています。本記事では、COBOL資格を取得することでCOBOLエンジニアの市場価値がどのように向上するのかを解説し、資格取得に向けた学習方法やキャリアパスについても紹介します。

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この記事のまとめ

  • COBOLエンジニアのスキルは様々な理由により、希少性が高まっている
  • COBOL以外の技術を組み合わせることで市場価値を高めることに繋がる
  • 自身のキャリアパスを考慮し、強みや志向に合った方向性を見つけることが重要

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COBOLとは

COBOLは、銀行など金融機関、医療機関などのシステムに広く用いられるプログラミング言語です。COBOLの構文は英語に近いため、可読性が高いのが特徴です。そのため技術者以外にも理解しやすく、システムを長期間運用保守することに適しています。また、大量データ処理やレポート出力に強く、精度の高い計算を行えることから、機密性の高いデータを大量に処理する必要があるシステムで用いられています。その堅牢さにより、COBOLで構築されたシステムは長期間にわたり運用されています。

関連記事:COBOLとは?学ぶメリットや将来性などをわかりやすく解説

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COBOLの資格

ここでは、COBOLに関連する資格を紹介します。COBOLのスキルに直接関連する資格だけでなく、その後のキャリアパスを踏まえ、必要となりそうなシステム管理やシステム移行、プロジェクト管理に役立つ資格もまとめます。

資格名 提供団体 難易度 対象者 関連
IBM メインフレーム開発者
プロフェッショナル認定
IBM 中級 COBOLエンジニア、
システム管理者
COBOL資格
AWS 認定ソリューション
アーキテクト - アソシエイト
AWS 中級 システムエンジニア、
システムアーキテクト
その他資格
(キャリアパスによって必要)
PMP®
(プロジェクトマネジメント・
プロフェッショナル)
PMI 上級 プロジェクトマネージャー その他資格
(キャリアパスによって必要)

IBM メインフレーム開発者 プロフェッショナル認定証

COBOLプログラミングの基礎から応用までをカバーしたIBM提供の認定資格です。7つのコースで構成されており、IBMのCOBOLスキルを証明できます。認定を受けるとキャリア証明書を取得できます。

コース名 内容
エンタープライズ
コンピューティング入門
メインフレームの基礎、インフラ、セキュリティ
IBM COBOLの基礎 COBOL入門、コンポーネント、構造と構文
IBM COBOLコア テーブルの扱い方、編集方法、スイッチの使用方法、
数値の使用方、構造化COBOL
IBM COBOLソフトウェア
開発プラクティス
IBM COBOLソフトウェア開発に関するコアプラクティス、
システム、方法論
IBM COBOLデータと
ファイルの管理
COBOLコードの基本的な要素、データを取扱うプロセス
IBM COBOL基本テストと
デバッグ
IBM COBOLのテストとデバッグのトピックと技術に関する知識
IBM COBOLソフトウェア
開発プロセス
COBOL、メインフレーム・コンピューティング、
およびソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)

AWS 認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト

クラウドアーキテクチャに関する認定資格であり、COBOLシステムのクラウド移行に役立ちます。取得することでクラウド移行スキルを証明でき、モダナイゼーションプロジェクトに対応するスキルを身につけることができます。

PMP (プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル

プロジェクトマネジメントに関する世界的な認定資格です。プロジェクト管理スキルが向上します。COBOLを用いたプロジェクトを遂行するプロジェクトマネージャーを目指す場合に必要となるスキルです。

関連記事:COBOLエンジニアの転職に必要な経験・スキルとは?

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COBOL資格取得のための学習方法

次に、書籍、オンライン講座などCOBOL資格取得のための学習方法を紹介します。

書籍を活用する

書籍は、資格取得の前段階でCOBOLの基礎知識を固めるために利用するのが良いでしょう。

目的 書籍 対象者
基礎から学びたい 開発現場で役立つCOBOL
プログラミング入門 第2版
COBOL初心者
【改訂新版】実践COBOL
プログラミング入門
最新のCOBOLの理解を深めたい 標準COBOLプログラミング第2版 中級~上級者

オンライン講座を受講する

オンライン講座は、動画を用いて理解を深めたい場合に活用しましょう。質疑応答が行える場合もあるため、個別の疑問点を解消しやすい点がメリットです。ここでは、モダナイゼーション関連も含めた講座を紹介します。

COBOL・モダナイゼーション関連製品セミナーでは、座学やハンズオンを中心としてCOBOL・モダナイゼーション関連製品について理解を深めることができます。オンラインでの受講も可能であり、各講座受講後に修了証書が交付されます。

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COBOLエンジニアのキャリアパス

COBOLエンジニアのキャリアパスごとの想定年収をまとめました。ハイブリッドエンジニアは、複数のプログラミング言語(Python、Java、C#)を扱うスキルが必要な求人情報から算出しています。

職種 平均年収 中央値 想定年収
COBOLエンジニア/スペシャリスト 585万円 525万円 300~2,000万円
ハイブリッドエンジニア 709万円 650万円 300~2,000万円
システムアーキテクト 799万円 800万円 380~1,200万円
プロジェクトマネージャー 741万円 753万円 340~1,600万円

COBOLエンジニアのスペシャリストは、後述するCOBOLエンジニアと比較して想定年収の平均にそれほど違いはありません。一方で、ハイブリッドエンジニア、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャーの想定年収の平均はCOBOLエンジニアスペシャリストより124万円から214万円多く、中央値は75万円から225万円多くなっています。

次に、COBOLエンジニアのキャリアパスについて、求められるスキルと合わせてそれぞれ解説します。

COBOLエンジニアのスペシャリスト(主にレガシーシステム)

1つめは、COBOLエンジニアのスペシャリストです。これは、COBOLを深く理解するエンジニアであると同時に、銀行など金融機関、医療機関などのシステムを構築する上で必要な知識を押さえたスペシャリストを指します。

求められるスキル

COBOL自体の理解や実務経験だけでなく、銀行など金融機関、医療機関などの業界のシステム構築や運用保守に特有の知識が求められます。例えば金融システムでは、高精度なトランザクション処理などリアルタイムでの大量データを処理する必要があるため、これらを実現する技術力が不可欠です。

また、多くのCOBOLシステムは、メインフレームやAS/400などのレガシーシステムのプラットフォームで稼働しているため、これらのシステムに精通していることが大切です。開発当時の状況を知る者がいない、引き継ぎが不十分であるといった場合には、ソースコードを読み解いて動作を理解するリバースエンジニアリング力も必要です。

他プログラミング言語や技術に精通したハイブリッドエンジニア

2つめは、COBOL以外のプログラミング言語やモダンな技術に精通したCOBOLエンジニアです。主にモダナイゼーションプロジェクトなどでCOBOLシステムの移行に関わります。

求められるスキル

COBOL以外に、PythonやC#などのプログラミング言語を複数理解していることや業務経験があること、フロントエンド領域とバックエンド領域をカバーできること、複数業界でのシステム構築や運用保守経験があることなど幅広いスキルが求められます。

また、モダナイゼーションプロジェクトなどでは、COBOLと移行先の技術要素を理解し、互換性を担保できること、移行元システムでのセキュリティ要件を満たす設計を行えること、移行後の運用保守を円滑に行えることが必要となるでしょう。

システムアーキテクト

3つめは、システムアーキテクトです。COBOLでの経験を活かし、大規模で複雑なシステムのアーキテクチャを設計・最適化する役割を担い、レガシーシステムとモダンシステムの統合、性能向上、スケーラビリティの実現などに関わります。

求められるスキル

システムの分析能力および設計力、システム最適化スキルが求められます。また、最新の技術動向への理解、システム設計、パフォーマンス改善などの実績や経験があることが前提となります。

プロジェクトマネージャー

4つめは、プロジェクトマネージャーです。技術的なバックグラウンドを持ち、COBOLシステムの保守運用やマイグレーションなどのプロジェクト管理を行い、プロジェクトを成功に導きます。

求められるスキル

プロジェクト進行中のリスクを取り除くスキルが求められます。例えばCOBOLのレガシーシステムに関連するプロジェクトでは、マイグレーション中のデータ移行トラブルなど、予期せぬ問題が発生することがあります。このようなCOBOLシステム特有の課題に対して適切にリスクを管理するスキルが必要になります。

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COBOLエンジニアの需要と将来性

次に、プログラミング言語としてのCOBOLの需要と、COBOLエンジニアの求人情報を元にした需要と将来性について解説します。

COBOLエンジニアの需要

プログラミング言語の人気を指標化しているTIOBEインデックスによれば、COBOLは19位にランクインしています(※2024年9月現在)。他のプログラミング言語は、Pythonが1位、Javaが3位、PHPが13位でした。しかし、特定分野においてCOBOLを用いたシステムは稼働し続けているため、COBOLエンジニアの需要はあると言えるでしょう。

COBOLエンジニアの想定年収

最後に、COBOLエンジニアの求人情報から算出した想定年収を紹介します。
以下は、レバテックキャリアに登録されているCOBOLエンジニアの求人情報307件(※2024年8月現在)のうち、30件の求人情報を元に算出した平均年収、中央値、年収の範囲です。

平均年収 中央値 想定年収の範囲
572万円 575万円 300~1,200万円

COBOLエンジニアの将来性

COBOLエンジニアの将来性は、長期間稼働し続けているシステムの運用状況や今後の技術の進化により変化します。しかし、COBOLエンジニアが減少しても、稼働中のシステムの運用保守は必要であるため、スキルの希少価値が上がることが考えられます。また、COBOLで構築されたシステムをモダン技術を用いたシステムに移行する可能性もあります。

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まとめ

COBOLエンジニアが減少していますが、稼働し続けているシステムの運用保守が求められるため、COBOLエンジニアのスキルの希少性は高まっています。その中で、COBOL資格を取得することはスキルを証明でき、転職に役立ちます。そして、COBOL以外の技術やプロジェクト管理スキルを組み合わせることで、市場価値を高めることも可能です。COBOLエンジニアとしてのキャリアを選択する場合は、その後のキャリアパスを考慮し、自分の強みや志向に合った方向性を見つけることが重要になるでしょう。

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この記事の監修

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