ヒカ☆ラボ開催直前インタビュー子どもの頃の夢、かめはめ波を実現する「HADO」に肉薄! |株式会社meleap CEO 福田 浩士氏

みなさんは子どものころに「かめはめ波」を撃とうと練習した覚えはありませんか?もちろんいくら試しても現実に「かめはめ波」を出せるはずもなく、あれはマンガだからと、割り切ることでみなさん大人になっていったことでしょう。

ところが、株式会社meleapが開発している「HADO」は、あのころ諦めた「かめはめ波」を実現してくれます。「HADO」はAR技術とウェアラブルデバイスを用いたARスポーツで、プレイヤーは実際に「かめはめ波」を撃って戦うという、なんとも夢が詰まった仕様となっています。

きたる10/13(火)に開催されるヒカ☆ラボでは、そんな「HADO」を開発する株式会社meleapのCEO 福田浩士氏をお招きし、ARデバイスで実現できること、面白いARアプリの作り方を始め、ARのUI設計やウェアラブルセンサーによるモーション認識といった技術解説などをレクチャーしていただきます。

今回は、ヒカ☆ラボでの講演内容を深く理解してもらうために、事前に開発の経緯や今後の構想などプロダクトとしての「HADO」を中心にお話をうかがいました。
 

株式会社meleap

株式会社meleapでは、AR技術・空間認識技術・ウェアラブル技術を用いて臨場感ある体験を生み出すことを目指している。現在開発している「HADO」を「テクノスポーツ」と名付け、新たなスポーツジャンルとして市場を切り拓こうと活動中。2015年10月末に開催される「デジタルコンテンツ EXPO2015」で「HADO」完成版を公開予定。

株式会社meleap 福田浩士氏の画像


福田 浩士 氏

東京大学大学院を卒業後、株式会社リクルートに入社。2014年に独立し、株式会社meleapを設立。「HADO(ハドー)」という名のARスポーツを開発。空間認識技術と、ヘッドマウントディスプレイやモーションセンサーなどのウェアラブル技術を駆使した「HADO」は、体を動かし、仲間と協力しながら対戦する新しいゲームの形として、注目を集める。KDDI∞ Labo第7期にも参加。ヒザがガクガク震えるほど世界を面白くする!をテーマに活動中。

 

身体を拡張したい、魔法が使いたい、という思いから起業

-福田さんはもともとリクルートにいらっしゃったとお聞きしました。リクルートに入社されるまでのいきさつをお教えください

自分が大学院生だったころ、就職活動の時期になっても自分のやりたいことを見つけることができませんでした。ならば、ビジネスパーソンとして不可欠なスキルであり、当時の自分に欠けていたコミュニケーション能力の修行をしようと思い就職活動をしました。そして、営業力に定評のあるリクルートなら、コミュニケーション能力が高い人が大勢いて学ぶところが多いだろうと考え入社しました。

-そこからどのような経緯でリクルートを退社され、meleap社を設立されたのでしょうか?

修行が目的で入社したわけですが、実際に営業職として働いてみると、周りにはやはりコミュニケーション能力に長けた方がたくさんいて、圧倒されることが多々ありました。細かなレベルでいうと、人を不快にさせない言葉遣いだったり、ここぞというときに言うべきをことを言える発言力だったりと、仕事の端々で差を感じましたね。

ですが、表面的なことをいくらマネしても意味がなく、営業職として大事なのは、クライアントの課題を解決しようと心から思えるかどうかだと気付きました。例えば、クライアントのために、マニュアル的なことだけでなく、積極的に情報を集めて資料を作るといったことを自然にできる人が強いんです。

そのことがわかると同時に、営業は自分が本心から目指していたことではない、ということも確認できました。結局、本当にやりたいことを見つけないと、意味のない時間を過ごすことになるのだと。

そうして、入社2年目に入ったあたりで、やりたいことが見えてきたのでリクルートを退社し、株式会社meleapを起業しました。

meleap社設立までの経緯を語る福田氏の画像

学生時代はたまご屋を起業するなど、さまざまなことに挑戦したがどれもピンとこなかったという


-やりたいことというのは、どういったことでしょうか?

福田氏:一番は魔法を使いたいというものでした。

-「魔法」と聞くと非現実的なイメージがありますが、それはどういうことなのでしょうか?

福田氏:「魔法を使う」ということを別の言葉でいうと、身体の拡張をしたいということです。これは、人工物を人間の身体の一部として捉えるという考え方に基づいています。例えば、自動車や鉄道は足の機能の拡張だとみなせますし、テレビやラジオは目や耳の拡張ともいえます。つまり、自分の外部にあるものを自分の身体の一部として捉えることが身体を拡張するということになります。

これをもっと追求していき、例えば超能力のように離れたところにある物を手を伸ばさずつかんだ気になれる、こういった類いの感覚を実現できるようにしたいというのが、僕の目指す身体の拡張です。

僕の他にも、世の中には身体を拡張しようとしている人たちがたくさんいます。大学教授でも身体の拡張というテーマで研究している人もいて、身体拡張は割とポピュラーな考え方なんですよ。

身体拡張について真剣な表情で語る福田氏の画像

建築や機械工学、哲学の分野でも身体の拡張というテーマはよく取り上げられるとのこと


-なるほど。それではなぜ「魔法を使いたい」「身体を拡張したい」と思うようになったのでしょうか?

福田氏:僕の幼少期の話になるんですが、親が土木関係の仕事に従事していたので、土木的なスケール感に関心を持つようになったんですね。それで、これは僕の独特な感覚だと思うんですが、例えば、ダムやトンネル、橋などを見ると、一瞬で視線の先に自分の意識が移り、まるでその地点から見ているかのような光景が目に浮かぶんですよ。こういう感覚って自分自身を拡張することと近いんじゃないかと感じて、興味を引かれたんです。

また、僕はマンガやアニメも好きなんですが、作品に出てくるヒーローたちが使う不思議な力って身体拡張と同じだと考えているんですよ。魔法を使えるようになったら、こういうヒーローみたいにすごくカッコイイ存在になれるだろう、というようなストーリーがどんどん思いつくんですね。そういったところからも魔法を使いたいと思うようになりました。

起業を考えた際も「身体が拡張できるかどうか」は非常に重要でした。「この世は魔法が使えないから理不尽だ。だから魔法を使えるようにしてやる」という思いが根本にあります。魔法を実現するためにはどうすればいいかとから始まり、たどりついたのがAR技術だったんです。

かめはめ波で戦う!テクノスポーツ「HADO」

-「HADO」を開発されるまでのいきさつをお聞きできますか?

福田氏:meleapはこれまでいくつかのAR技術を用いたプロジェクトをこなしてきました。正直なところ、「HADO」以外は実験的な目的でリリースしている部分が大きいので、プレイヤーの反応やマネタイズなどが第一ではなく、作ってみたら面白いんじゃないかなというと思いが先行して作りました。

会社としてはビジネス的な部分も大事なんですが、面白いことをやっていけばビジネスとしての成功は後からついてくると僕らは考えています。

将来的にはmeleapをソニーや任天堂を超えるほどのブランド力を持つ会社にしたいという思いがあります。ただ、それを実現するためには、ビジネス先行の発想ではつまらないものしかできないんじゃないかと考えています。なので、まずは面白さを優先してアプローチしています。

「HADO」に関しては、技術を駆使することで魔法が使えるようになった。じゃあ、これをどうしようかという話になる。チームでアイデアを出しあう中で「せっかく魔法を出せるのだから戦いたい」「お互いにかめはめ波を撃ちあうような形なら競技になるのでは?」という流れになったんです。そこから「これはスポーツ競技として盛り上げていったら、市場として確立できるんじゃないか」と思いついたんですね。

-「HADO」とはどういったスポーツなのかご説明いただけますでしょうか?

福田氏:シンプルにいうと、3人対3人のチームを作って、お互いに魔法を撃ち合ってた戦うというものです。敵プレイヤーのHP(ヒットポイント)が見えていて、そこを削りあうと。制限時間内にどれだけHPが削れたかで勝負すると。対人戦以外にも、仲間と協力してモンスターと戦うモンスターバトルも可能です。

ARスポーツ「HADO」のゲームスタート画面の画像

「HADO」の対人戦では、相手陣地のクリスタルを破壊しても勝利となる


実際にプレイする際には、プレイヤーはヘッドマウントディスプレイと腕にモーションセンサーを着用します。ヘッドマウントディスプレイは、ゴーグルに箱型のケースが付いた形のヘッドギアにスマートフォンを差し込む形でディスプレイとして活用します。

腕のモーションセンサーは、頭部のスマートフォンとBluetoothで通信し合うようになっています。例えば魔法の出し方でいうと、腕をどう振ったかをセンサーで取得して、アクションに応じてファイヤーボールが出たり、隕石が落ちてきたり、というような映像に切替えてという流れです。そして、サーバー経由で他のプレイヤーとデータをやりとりして、攻撃の判定を行うというような感じですね。

「HADO」を体験しているプレイヤーの画像

完成版では、これまでのイベントでは非実装だった魔法がいくつも用意されているという


-「HADO」の現在の開発状況はどのようなものでしょうか?

福田氏:モンスターバトルの方はもう完成しています。3人対3人の対人戦もほぼ完成していまして、10月末に行われる「デジタルコンテンツ EXPO 2015」で完成版としてお披露目をする予定です。

プレイヤーに楽しんでもらえるのが何よりの喜び

-まもなく完成ということですが、これまで開発されてきた中でのやりがいや苦労された点はどういったものでしょうか?

福田氏:プレイヤーに実際に触れてもらって喜んでもらえるのが、何より嬉しいです。これまでもイベントなどでプレイヤーの反応を見る機会はけっこうあったのですが、面白いと感じた方は素直にお褒めの言葉をくださいます。

HADOのプレイヤーからの反応について笑顔で語る福田氏の画像

プレイヤーの意見はどんなものでもいいフィードバックになると福田氏は語る


これまで「HADO」に触れていただいた方の中で、一番年上の方はおそらくジャーナリストの田原総一朗さんですね。以前、ラジオでご一緒させていただいたときに、体験していただきました。最初はかめはめ波がどういうものなのかご存知なかったようですが、触っていただくうちに面白がってくださいましたね。

逆に、つまらないと感じた方は、本当につまらなそうな顔をされるんですよ(笑)。今はあまりいらっしゃらないですが、開発初期の段階ではうまく楽しんでもらえないということが結構ありました。

楽しんでもらえない要因として、操作の難しさひとつにはありました。魔法を出す際、それぞれの魔法の出し方に腕の動きがピッタリ一致していないと魔法が発動しないということがあり、爽快感がなかったんです。この問題を解決した今は、多くのプレイヤーに楽しんでもらえるようになりました。

あとは、たまによくわからなかったという感想を持たれたることがありますね。わからない理由としては、その人にとってファンタジー的な世界観になじみがなかったり、バーチャルな体験が新しすぎるとのもあると思います。今までやったことがないから、どうやればいいかわからない。この点はプレイヤーがゲーム慣れしているかどうかでも変わってくるので、難しいところです。

「HADO」を体験しているプレイヤーの画像

モンスターバトルは初めて体験する方や子どもにも楽しんでもらいやすいという


-現在の課題にはどういったものがあるのでしょうか?

福田氏:どういうUIにすれば、よりプレイヤーに楽しんでもらえるかが課題のひとつですね。スマートフォンゲームやテレビゲームの場合、プレイヤーは画面から離れているため、ゲーム画面の全体を把握しやすく、画面の中にたくさんの情報を入れても理解できます。

一方で「HADO」のようにヘッドマウントディスプレイを着用してプレイする場合、ヘッドギアに挿入したスマートフォンの画面がプレイヤーの視界そのものになります。そのため、プレイヤーはゲームの動作に意識が取られると、他の要素が気が配りにくくなります。

例えば、画面上にいろいろな数値を表示しても、プレイヤーは敵の攻撃を避けて、自分の攻撃を敵に当てて、ということに手一杯で、画面の端々まで見る余裕がないんですね。プレイするのが2回目、3回目になってくると、みなさん余裕が出てきて細部まで気にしてもらえるのですが、どうしても初めての人には難しい。ヘッドマウントディスプレイでのUIをどうやったらわかりやすくできるかは、「HADO」の抱える課題です。

「HADO」をプロスポーツとして成り立たせたい

-「HADO」のマネタイズはどういったものでしょうか?

福田氏:基本的にBtoBでやっています。テーマパーク、レジャー施設、ショッピングセンター、イベントなどで使っていただき、その使用料をいただくというのが現段階のビジネスですね。

ただ、ゆくゆくはBtoC、コンシューマー向けに販売していき、裾野を広げていきたいと考えています。「HADO」はゲームではなく、スポーツとしての位置づけを目指していますので。

スポーツとして成り立たせるためには、プレイヤーの人口がある程度ないと意味がないですし、プレイできる場所が限定されていてもダメです。自宅、会社、学校などで空き時間があったときに、ある程度のスペースがあればできるという条件を設定して、コンシューマー向けを目指していきます。

だから、今はプレイヤーとサポーターを増やしていくためにはどうするかを構想している段階です。スポンサーが付き、プロプレイヤーが現れるようなプロスポーツになるのが将来的な目標ですね。プロプレイヤーが現れれば競技として大きく盛り上がりますし、何より魂を込めて朝から晩までやっている人がいないと面白くないですから。

僕らは、「HADO」のようにデジタルデバイスを用いたスポーツを「テクノスポーツ」と名づけています。スポーツの歴史として見ると、アナログスポーツがあり、モータースポーツがあり、テクノスポーツはその次にくるものと考えています。そして「HADO」はテクノスポーツの最初の競技なんです。最終的にはテクノスポーツによる新しい五輪を作るところまで持って行こうというのが僕らの夢としてあります。

笑顔の福田氏の画像

「meleapを楽しい会社にしたい」と語る福田氏。現状ではまだ60%くらいの楽しさでしかないとのこと

ヒカ☆ラボ当日はAR開発の展望やノウハウを盛りだくさんでお届け!

-ヒカ☆ラボ当日の講演内容をお聞きかせください

福田氏:基本的にはARを使ってどういうことができるかをお話しようと思います。テーマとしては「ARデバイスでできること」「どんなARアプリが面白いのか」「全身で感じるARの活用法」「ARのUI設計」「ウェアラブルセンサーによるモーション認識」などを考えています。あとは実際に「HADO」を体験していただく時間も設ける予定です。

-最後に、当日参加する方、もしくは参加しようかとお考えの方に向けてメッセージをお願いいたします

福田氏:「HADO」はAR技術やウェアラブルデバイスを使って、今までにない体験を生み出そうとしています。最先端の技術に興味がある、斬新なサービスを作りたいと考えている方はぜひお越しください。

楽しそうにポーズを披露している福田氏の画像

楽しいことが好きと語る福田氏は、撮影時もノリノリでポーズを披露

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