こんにちは。レバテック営業の山田です。
今回は大ヒットゲーム『艦隊これくしょん~艦これ~』を配信する
株式会社DMM.comへインタビューに伺いました!
実はゲーム業界の中では後発企業であるDMM.com。
今や市場で存在を無視できない位に事業が成長した背景にある「3つの理由」を
DMM.com Laboの河村氏と佐藤氏にお話していただきました。
さらにインタビュー後半では『艦これ』を支えたプラットホーム側の裏話、
今後の展望、そして将来のビジョンに向かうために求めるエンジニア像をお届けします。
ゲーム事業開発本部 ゲームシステム部 部長
河村 明男 氏
2003年入社。DMMのシステム部が8名しかいなかった頃から在籍し、DMMの基礎を作ってきた。
金沢でDMMのシステムのベースや各種サービスを作ったのち、社内公募にてゲーム事業の立ち上げのメンバーになる。
現在はゲームシステム部のマネージャーとして、DMMが社内で作成しているゲームタイトルの制作と統括する。
ゲーム事業開発本部 PFシステム部 部長
佐藤 恵介 氏
2011年入社。元々営業職からエンジニアに転身し現在はDMMに。
入社後、すぐにオンラインゲーム事業を始めるタイミングで声をかけられ、プラットフォームの開発に携わる。
2014年6月より、PFシステム部の部長として活躍される。
1. DMM.comがゲーム業界後発でも成功した3つの理由
-本日はよろしくお願いします。
河村氏・佐藤氏:よろしくお願いします。
-さっそくなのですが、DMMさんは『艦これ』を代表にゲーム事業でかなり成功されていますが、実は意外とゲーム事業に参入されたのは最近なんですね。
河村氏:役員にゲームが大好きな者がおりまして、ずっと「ゲーム事業をやりたい」って言っていたんですよね。
ちょうど2011年頃は業界でもゲーム開発が流行っていて「タイミング的に今しかないよね」と話が盛り上がったんです。
会社としても、「まだ手をつけていないけどチャンスはあるよね」ってことで開発がスタートしました。
-2011年といえば、GREEさんやDeNAさんが盛り上がりを見せる時期ですね。
ゲーム業界で後発での参入というのは、とても難しいのではないかと思うのですが・・・成功の要因ってなんだと思われますか?
河村氏:プラットフォーム戦略、ニッチ市場、操作感や世界観を重視した開発など、これらが複合要因になったんだと思います。
理由①プラットフォーム戦略
-当時プラットフォームが依然ある中で、たとえば既に他社さんで作られているプラットフォームにゲームを提供する、というやり方は考えなかったのでしょうか。
河村氏:弊社はプラットホームベースのビジネスがベースです。そのため、ゲームを他社プラットホームに提供しても手数料などもとられますし、あまりメリットが無いよね~っていうところを最初から話していました。
佐藤氏:ゲームを提供することは全く考えていなかったですね。弊社のビジネスはプラットフォーム戦略を敷くことが非常に多かったので、そこを踏襲したこともあり、まずはプラットフォームの作成に注力しました。
河村氏:あと内部にプラットフォームを運営しているチームがあることは開発においても強みになりました。
運営チームと直接やりとりしながら開発できるので、細かい相談や機能の相談がしやすく、柔軟な対応ができます。
理由②ニッチ市場の開拓
佐藤氏:で、まずはプラットフォーム作成から、他社さんができないようなニッチなゲームの開発という風に進めていきました。
-ニッチなゲームというのは・・・
河村氏:いわゆるR18って言われるやつです。上場している企業さんはどうしても手を出しにくいジャンルなので、差別化要因のひとつだと思っています。
もう一つの差別化要因としてPCブラウザゲームの提供ですね。
PCブラウザ向けのゲームプラットフォームを提供しているところって、そんなに多くないですから。
佐藤氏:デバイスにとらわれずにPCにもしっかり力をいれています。
理由③デバイスを特定せずに、操作感、世界観を重視した開発
-あえてPCに目を向けられたのですね。
佐藤氏:実はデバイスにはあまりこだわりがないんですよ。
ほとんどの企業がスマホに絞って開発を進める中、うちはスマホだけ、PCだけと言うようにデバイスを限定していないんです。
-では、DMMさんでゲームのデバイスを決定する要素は何でしょうか?
河村氏:ゲーム内容やゲーム性で選んでいます。
佐藤氏:例えばこの操作感、スケールはスマホでの再現は難しいと判断すれば、PC向けで作ります。スマホでの操作感が重要となれば、スマホ向けとして開発を進めます。
河村氏:デバイスのターゲットを絞っていないので、UnityやFlashといった、いろいろなツールを利用して開発しています。
この辺もゲーム性と併せて、最適なものを選ぶようにしています。
-ゲーム性ですか。
たとえば「β版をつくってみたけど面白くなかった」という場合、納期が決められている中、クオリティのギャップはどう解消されますか?
佐藤氏:クオリティ重視じゃないですか?納期よりも、どっちかっていうと。
河村氏:リリースしてしまってから、「あ、これクソゲーだ」って言われるよりはいいですよね。
佐藤氏:実際、ある程度作ってからボツとかあるよね、結構。
-それはキツいですね・・・!
佐藤氏:(河村氏に向かって)内製チームで、1本開発が凄い長いのがあったよね。
河村氏:あぁ・・・あれは2012年6月開発開始で、リリースが2013年10月位なので、約1年半ぐらいやりましたね。
初期のゲームはコンサルティングの方も交えて作っていたのですが、なかなかOKがもらえなくて3回くらい内部で作り直してるんですよ。
そこで、ある日役員に「そろそろリリースした方がいいんじゃないですか?」と直談判しまして。それでなんとかリリースできる状況になりましたね。
2. 市場参入当初、ノウハウはゼロだった
他社さんが出した本・ドキュメントを読みながらひたすら手探りで・・・
-ゲーム事業ができた当初、社内にゲーム開発のノウハウはあったのですか?
河村氏:全然なかったです。
部門もそもそもありませんでした。人依存のノウハウもごくごく僅かで、0に近い。
-プラットフォーム作成も?
佐藤氏:皆無ですね(笑)
河村氏:初めは本当に調べながらのスタートでしたね。
これ言っていいのかわかんないですが、他社さんのAPIとかの仕様書見てどういうことをやってるのかっていう下調べから、プラットフォームも始めました。
佐藤氏:他社のゲームプラットフォームを実際に利用してみて、参考にして作ると言うのを繰り返しやっていました。
-とにかく地道にノウハウを溜め続けたのですね。
実際にゲーム開発をされて、苦労された部分はどんなところでしたか?
河村氏:そうですね…。負荷周りですかね。
普通のWebサービスでの負荷のかかり方とゲームの負荷のかかり方が若干違うなっていうのが、実際にゲームをリリースしてからの所感です。
特にメンテナンス明けなどは、一斉にお客さんが集まられますので、そういったとこの負荷周り。データベースの負荷はかなり気にしてましたね。
データの転送量などの把握をした設計にしないとネットワークの帯域がいっぱいになって通信が遅くなるっていうのが、何回かありましたね。
-そういう負荷周りに関してはどう解決されたのですか?
河村氏:もうとにかくログを調べたり、どこがボトルネックかを探すことに尽きます。
負荷周りの話も、インフラのチームがボトルネックがどこかをハッキリさせることから始まりました。
その時は原因がネットワークの帯域の問題でしたので、ネットワーク回線を増強したり、起動時のアプリケーションの一括読み込み方式を分割読み込み方式に変更したりしました。
-ほんとに手探りだったんですね。
佐藤氏:全部手探りでしたね。
河村氏:データベース周りは全然、なんとなく今までの経験でわかるので、全然気にしていませんでした。
苦労したのは、そういうネットワーク周りですね。本当に。
『艦これ』は社内で注目されていなかった
-そうやってプラットホームとしてのノウハウを蓄積する中で、『艦これ』の提供が始まるわけですが・・・
佐藤氏:まあ『艦これ』がDMMのゲームプラットホーム事業を一番伸ばした要因ですよね。
河村氏:一気に登録ユーザーが伸びたのはそこからですね。
※「艦これ」=「艦隊これくしょん〜艦これ〜」
DMM.com POWERCHORD STUDIO提供、株式会社角川ゲームス企画制作により2013年4月にサービスを開始した、「艦娘(かんむす)」と呼ばれる擬人化された艦船を育てて戦う戦略シミュレーションゲーム。
現在、約230万人の会員を抱える。
http://www.dmm.com/netgame/feature/kancolle.html
佐藤氏、河村氏はプラットホーム側スタッフとして「艦これ」を支えている。
ー今でこそ事業部をグッと伸ばした『艦これ』ですが、提供開始当初の社内の反応はいかがでしたか?
佐藤氏:「あ、これ擬人化するんだ」っていう(笑)
河村氏:自分はすぐに登録してましたね。「なんかこれ面白そうだな」って。
周りはあまり興味なさそうだったのですが。
佐藤氏:実際に『艦これ』がリリースされた当時も、「なんか最近ローンチされたらしいよ」くらいの感覚でしたね。
河村氏:去年の6月末辺りから『艦これ』の注目度が上がってきたみたいですね。
艦これのヒットの裏側は「キツい」の連続
ーご自身が育ててきたプラットフォーム上で大ヒット作が出てきた心境はいかがでしたか?
河村氏:『あ、なんか凄いの出たな』っていうくらい。
(一同笑い)
佐藤氏:僕はちょっとヒーヒーでしたけどね。その時は喜べなかったかもしれないです。
キツい。
ひたすらキツかったですよあの時は。
河村氏:ユーザー数がね、今までの倍倍で増えてたんですよ。
-むしろプレッシャーに感じられていたと。
佐藤氏:プレッシャーの方が当時は大きかったですね。
ー『艦これ』がヒットしてプラットホーム側として一番大変だったことは何でしたか?
佐藤氏:未だに忘れられないのですが、2013年の8月です。
弊社では8月なると半額キャンペーンをやるんです。
で、そのタイミングで『艦これ』もイベントをしたいという中、そこに耐えうるシステムを持っていないという状況だったんです。
今思うと凄く恥ずかしい話なんですが、もうシステムでさばくことができなくて。
むやみやたらにサーバーを3、40台ぐらいですかね。追加して避けたっていうのがありましたね。
あとはデータベース関連ですね。今まではアクセス解析のために普通のデータベースでやってたんですね。
RDBでMySQLで。
それがアクセスが増えるにつれて、とうとう億を超えたテーブルになってしまったんですね。当たり前なんですけど。
もう消すにも消せないと。
そこで急遽、2、3人で全く知識のないHadoopを最短でローンチしたっていう話はありますね。1ヶ月くらいですかね。
-Hadoopを1ヶ月でですか!それは凄い・・・
たとえ後で怒られても、その時必要だから行動する
-話はちょっと変わりますが、佐藤さんって入社が2011年で、2014年には部長ですよね。
順調にキャリアを積まれているなあと思いました。
河村氏:確かに、出世ですよね。
-ご自身がこうトントンとキャリアアップされた秘訣は何でしょうか?
佐藤氏:えーっと・・・
僕は「ここはやらなくてはいけない、改善しなければいけない」ということは必ずやってきました。
上の承認を待って・・・というのを僕はしません。
すぐ必要なものであれば、後で怒られようともやってきました。
そういう所は強いかもしれませんね。
-なるほど。例えばどのような改善をされたのですか?
佐藤氏:まず技術の部分。ほんとに当初は会員数やアクセスっていうのを一切考えられていませんでした。
プラットフォームがまあ50万人くらい登録されたらいいかな、という考えで設計されていたんです。
それでダメな設計が非常に多かった。それが2012年です。
ゲームのイベントや、プロモーションを出した瞬間にサイトが止まる。プラットフォームのページが映らない。
このようなことが、もう月に2、3回くらいありました。
多い時ですと2~3ヶ月の間にもう6回も7回も止まってるような状況。
その時は付け焼刃で、やれキャッシュ使ってその場限りの対応をやってみたりするんです。
けれども、もうこれ以上はどうにもこうにもできないなあっていう状況でした。
・・・と開発側は考えているんですけど、でもどうしても事業主側って、
サービスの裏にあんまり興味なかったりするじゃないですか。
-そうかもしれませんね。
佐藤氏:「リプレースするのにこれくらい時間かかるんだ」って言ってもなかなか承認がおりない。
というようなのが多いと思うんですね。
ただ、改善しなければ今後ゲーム事業を展開してく上で必ず足を引っ張る部分になります。
なので、そういう部分を改善するチームを作りました。
そこからどんどんリプレースしていって、今ではもうほぼ無いですね。
-後で怒られるかもしれないけどとにかくやる!という精神。かっこいいですね!
ちなみに、実際に怒られたことは?
佐藤氏:結構あります!
(一同笑い)
-印象に残るバトルエピソードがあれば、お聞きしたいです。
佐藤氏:あ~、バトルですか。ありますよ結構。一時はかなり頻繁にやってました。さすがに最近はないですけど(笑)
佳境の時は、やっぱりどうしてもわかって貰えないことが多かったです。
まずは口頭で説得するのですが、2時間も3時間も「なぜ必要か」を話しても全然通じない。
あまりに手ごたえがないと分かって、じゃあなんか資料作ろうと。
その説得のためだけに資料を作ったりもしました。
それでもダメなときは「ちょっとじゃあ飲みに行きましょう」と(笑)
そんな感じで延々と説得してましたね。
-根気強いですねー!実際通じましたか?
佐藤氏:そうですね。はい。そのおかげで今ここにいられるのかなって。
-DMMさんには佐藤さんのように上昇志向が強い方が多いのでしょうか?
佐藤氏:結構多いですね。上昇志向が強いっていうのと、みんな想いが強い。
実際、想いが強い人間のほうが実現できるケースが多いですね。
例えば、河村もゲームがとにかく大好きだったんですよ。
やりたくて仕方なかったんですよね。そういう人間が非常に活躍しやすい所はありますね。
-エンジニアからも提案できる機会はあるのでしょうか?
河村氏:そうですね。例えばイベント周りとか設計など、いろいろアイデア出てきますよ。
チャットワークで「大喜利」っていう板作って、そこでシステムとかデザインとかプランナーとか関係なく「次のイベントどうする?」っていう、アイデアプレゼンみたいなことをやってます。
そこでエンジニア視点でこうしていこうとか、こういう工夫してみたら?とか、そういう発信ができるのは嬉しいですよね。
佐藤氏:あとは、毎日の朝礼や週一の定例で「気付いたことはやっていきましょうね」という姿勢作りは常にやっていますね。
3. 世界で大きく発展する事業へ
-では、最後に今後の方向性についてお聞かせ下さい。
河村氏:ゲームを作るラインの話では、フロント側の開発体制を強化したいなとは思ってます。
Flashのゲームも作りつつ、Unityも本格的に手を出していきたいなと。
的を絞るつもりはなくて、選択肢を広げていきたいなと考えてます。
これらに対応するエンジニア自身の強化も必要ですね。
あとは、プログラムの実装技術だけでなく、ゲームの演出とか操作性とかを考えたゲーム作りができるチームビルディングが現在のテーマです。
コンシューマーゲームの開発に近いスキルが、DMMで提供するゲーム作りでも必要になってくると考えています。
佐藤氏:プラットフォームは、はっきり言ってまだまだGREEさんDeNAさん追いついたとは全く思っていません。
実際、開発者様向けに提供するAPIの数も全然少ないので。
なので、そういった部分はまずやっていきたいです。
あとは・・・まだまだ負荷に対しては、完全に最良とは言えません。
新しい技術やノウハウを試験的に導入して、良ければ本採用って形のトライ&エラーを常にやっていきたいなと思っております。
そして将来的にはグローバル、ですね。
今、海外向けに何個か海外プラットホームを展開しようと思っております。
海外で他社が失敗したっていう話も聞いてる中で「DMMだったらできるんじゃないか」と今奮闘中です。
DMM.comが求める人材とは?
-そのようなビジョンを叶えるために、今どのようなエンジニアが求められているのでしょうか。
河村氏:やっぱりゲーム大好きっていうところもあるんですけど、そこが強すぎても良くなくて。
好きっていう気持ちは持ちつつも、ちゃんと技術の研究をしている人ですね。
あと、言われたことだけをやるんじゃなくて、自ら「こうしたらどうですかね」と提案できるタイプのエンジニアは大歓迎です。
言われたものだけ作ってるとその仕様書通りにはできるんですけど、
だいたいそういうのってクソゲーになっちゃうので(笑)
佐藤氏:そうですね。技術の部分で言うと何かしらの得意な技術、尖ったスキルを持っている方は非常に嬉しいですね。
あと、プラットフォームって実は、数字とにらめっこ、グラフとにらめっこっていうような状態なんですよ。
そういう細かな改善にモチベーションを感じるような人っていうのは嬉しいですね。
で、マインドの部分で言うと「問題提起できる人」がいると助かります。
満足せずに「ここはダメだよね」って言える人。
どんどんどんどん言ってくれて、さらには実行してくれる人。
ここまできたら完璧ですね。
そんな人が来てくれれば凄く嬉しいです。
-スキルが高いだけではなく、事業や組織に対してアクションできるマインドが大事なのですね。
そのような人が集まり、文化が作られていることがDMMさんのゲーム事業部の「成長の鍵」なのもしれませんね。
本日はお話、ありがとうございました!
現在もまだまだユーザー数が伸び続ける『艦これ』。
その輝かしいヒットの裏側には、ゼロからゲーム事業を立ち上げ地道に成長してきた軌跡がありました。
今後、舞台を世界へと発展させていくDMM.comのゲーム事業に注目です。
今回インタビューさせていただいたDMM.comさんでは、ゲーム事業以外にも下記のような職種を募集されていました。
興味のある方は【詳しくはこちら】よりぜひお問い合わせください!
※備考欄に「DMM.com志望」とご記入ください。