- プロジェクトマネージャーが資格取得するメリット
- プロジェクトマネージャーの業務とは
- プロジェクトマネジメントスキルを証明する資格
- プロジェクトマネージャーの仕事に役立つそのほかの資格
- 実務経験を積んでから資格取得を検討するのがおすすめ
- プロジェクトマネージャーに関するよくある質問
- まとめ
プロジェクトマネージャーが資格取得するメリット
プロジェクトマネージャーとして仕事をするにあたって、必須となる資格は特にありません。しかし、現場で活躍しているプロジェクトマネージャーの中には、資格取得に励む方も少なくありません。なぜ必須ではないにもかかわらず、資格の取得に向けて勉強する方が多いのでしょうか。本章では、プロジェクトマネージャーに関する資格取得がおすすめされる理由について解説します。
実力やスキルの証明になる
もっとも大きな理由として考えられるのが、資格は実力やスキルを客観的に証明できるためです。一口にプロジェクトといっても、開発規模はさまざまです。「◯◯のプロジェクトに参画していた」という経験があったとしても、そこでどのような役割を担っていたのか、どの程度の開発規模であったのかによって、その人のスキルは全く異なります。
しかし、専門的な資格をもっていれば、共通の指標としてある程度のスキルが把握できます。採用する側の企業が自社に求めるスキル要件を満たしているかを判断する材料になることはもちろんですが、求職者側にとっても自身のスキルを証明する材料として資格は極めて有効です。
プロジェクトマネージャーが身に着けるべきスキルをより具体的に把握したい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
プロジェクトマネジメントについて体系的に学べる
プロジェクトマネジメントについて体系的に学べることも、プロジェクトマネージャーに関する資格取得がおすすめされる理由のひとつです。プロジェクトマネージャーには幅広い知識やスキルが求められます。具体的には、以下のような知識やスキルになります。
-
・システム開発に関する専門知識
・ビジネスや経営に関する知識
・課題発見や問題解決する能力
・ディレクションスキル
・マネジメントスキル
・コミュニケーションスキル
・大局的に物事を見る能力
プロジェクトマネージャーは学習することが多く、どこから学べばいいか迷う方や学習過程で混乱する方も多くいます。プロジェクトマネージャーに関する資格を目指して、参考書などで学習することは、プロジェクトマネージャーとして必要な知識を体系的に学べるメリットがあります。
資格手当が出ることもある
別の理由として、資格を取得・所有することによって収入アップにつながることがあるためです。企業によっては資格手当として毎月の収入に上乗せするケースもあり、難易度の高い資格ほど手当の金額も高額なため、資格手当が大きなモチベーションにもつながります。
また、現在SEやプロジェクトリーダーとして活躍している方が、資格を取得することによってスキルが認められ、プロジェクトマネージャーへの昇進・昇格につながる場合もあります。SEやプロジェクトリーダーよりもプロジェクトマネージャーは高額な年収が期待できます。
転職やキャリアアップに有利になる
プロジェクトマネージャーとして転職する場合、元の会社でどのような仕事をしていたかは守秘義務があるため詳細には説明できません。また、別の会社に他社の事例を話しても内容が伝わりづらいケースもあります。
しかし、資格を取得している場合には、転職活動を行う先の企業に明確にスキル・知識を示すことが可能です。資格の保有でエンジニアとしての力量全てを示せるわけではありませんが、一定のレベルに到達していることを保証してくれるため、転職において有利に働きます。
関連記事:プロジェクトマネージャーの転職市場状況について
プロジェクトマネージャーの業務とは
プロジェクトマネージャーは、業務範囲が広い職種です。主にプロジェクトの上流工程を担当します。具体的には、プロジェクトの企画・管理や人材採用(リソース確保)、メンバーマネジメントなどが業務範囲になります。本章では、プロジェクトマネージャーの業務範囲について、それぞれを具体的に解説していきます。
プロジェクトの企画・管理
プロジェクトの企画・管理はプロジェクトマネージャーのメイン業務です。特に、プロジェクト管理を担当しています。プロジェクトの企画に関しては携わりますが、すべてをプロジェクトマネージャーが行うわけではありません。
プロジェクトの企画は、ITコンサルタントがメインで行う場合も多いです。プロジェクトマネージャーはITコンサルタントが企画した内容に合わせて人員や予算を調整し、プロジェクトが始まったら現場の管理にあたるイメージです。
人材採用(リソース確保)
プロジェクトを発足する際に、人員が必要になります。参加人数やメンバーの決定はプロジェクトマネージャーが中心になって行うことが多いです。ただし、プロジェクトマネージャーにすべての裁量があるというわけではありません。
特に予算がかかる部分は自社や他社の経営者が決定権を持っている場合も多いため、プロジェクトマネージャーが内容をまとめて提案し、許可が出たらプロジェクトが始まる流れです。
メンバーマネジメント
プロジェクト開始後は、それぞれのメンバーが担当業務に取り組みます。そしてプロジェクトを進行するためには、スケジュールや成果物の状況を随時確認する必要があります。プロジェクトマネージャーはプロジェクトの進行と成果物の状態に責任を負うので、マネジメントを行います。
資料を用いた事務的なマネジメントと、メンバーと直接的にコミュニケーションを取るマネジメントの両方が必要です。
プロジェクトマネジメントスキルを証明する資格
プロジェクトマネージャーを目指す方にとって、資格は大きな武器になります。では、具体的にどのような資格取得に向けて勉強すれば良いのでしょうか。プロジェクトマネジメントスキルを証明する資格としては、プロジェクトマネージャ試験やPMP®、P2M試験、PMOスペシャリスト認定資格があります。本章では、プロジェクトマネジメントスキルを証明する4つの資格について紹介します。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって実施されている情報処理技術者試験(国家試験)の一区分です。プロジェクトマネージャーとして必要な能力を持っているかどうかを図る試験で、IPAの中でも難易度は高いです。日本国内でもっとも有名なプロジェクトマネージャー向けの試験といえるでしょう。
問題形式 | 【午前Ⅰ】多肢選択式(回答数30問) 【午前Ⅱ】多肢選択式(回答数25問) 【午後Ⅰ】記述式(回答数2問) 【午後Ⅱ】論述式(回答数1問) |
試験時間 | 【午前Ⅰ】9:30~10:20(50分) 【午前Ⅱ】10:50~11:30(40分) 【午後Ⅰ】12:30~14:00(90分) 【午後Ⅱ】14:30~16:30(120分) |
受験料 | 7,500円(税込) |
受験環境 | 全国の試験会場 |
関連記事:プロジェクトマネージャーの平均年齢は?何歳まで目指せる?
試験概要と難易度
プロジェクトを成功に導くために必要なステークホルダーとの調整、スケジュール管理、リソースの確保など、プロジェクトマネジメントの知識全般を問われる試験となっています。試験は多岐択一式のみではなく、記述式・論述式の問題も出題されますので、付け焼刃の知識ではなく、深く理解ししっかり説明ができる状態であることが求められます。
受験対象者 | これからプロジェクトマネージャーを目指す中堅ITエンジニアおよびプロジェクトマネージャーとしての経験を持ち、転職でスキルを示したいITエンジニア |
難易度 | 非常に高い |
合格率 | 15%程度 |
勉強時間(目安) | 約240時間 |
おすすめの本・参考書
『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2023年版』(三好 康之、翔泳社)
IPAのプロジェクトマネージャ試験に対応した教科書で、試験の最新動向に準じて毎年改訂が重ねられています。主な収録内容としては「進捗」「予算」「品質」など、プロジェクト管理に不可欠な要素が網羅されており、実践に即したコンテンツといえるでしょう。
また、過去19年分の過去問題集も収録されており、膨大な問題および解答データをWebからダウンロードできる特典も付属しています。単なる試験対策の教科書・問題集としてではなく、読者の合格体験記も掲載されており、具体的な学習方法や解答テクニックなど、受験生が知りたい内容も網羅しています。
プロジェクトマネージャ試験は極めて難易度が高い問題が出題されるため、試験までには不安や葛藤を抱く方も少なくありません。ときにはモチベーションが低下することもあると思いますが、合格体験記や具体的な学習方法を知ることによってモチベーションの維持にもつながるはずです。
おすすめの講座
プロジェクトマネージャ試験に向けた講座は、あまり多くは存在しません。プロジェクトマネージャ試験の対策講座としては、ITECやTACが実施をしています。午前・午後それぞれの試験対策や論文対策、公開模試も行っており、プロジェクトマネージャ試験に合格するためのサポート体制もしっかりとしています。
プロジェクトマネージャ 本科生・本科生プラス 資格の学校TAC
プロジェクトマネージャ 株式会社アイテック(iTEC)
取得する価値・メリット
プロジェクトマネージャー試験の取得は、自身のプロジェクトマネジメントスキルを証明し、高い評価を得るための重要な手段です。これは国家試験の一つであり、資格手当の増加や転職時の有利性をもたらします。特にIT業界でのキャリア形成において、この資格は仕事の幅を広げ、年収向上やキャリアアップのチャンスを大いに広げる可能性があります。
PMP®
PMP®は、プロジェクトマネジメントの世界標準である「PMBOK」に基づく国際的な資格で、グローバルに通用します。この資格は、米国のProject Management Institute(PMI)が認定し、1984年から提供しています。PMPを取得すると、プロジェクトマネジメントに関する体系的な知識と理解度を有していると広く認識され、海外でも高い評価を得ることが可能になります。
問題形式 | 四肢択一(出題数200問) |
試験時間 | 4時間 |
受験料 | 【PMI会員】405ドル 【一般】555ドル |
受験環境 | 指定会場 |
関連記事:プロジェクトマネージャーとディレクターの違いとは?
試験概要と難易度
受験対象者 | ・高校卒業またはそれに相当する資格を持っている人 60ヶ月間のプロジェクトマネジメント経験を含む、プロジェクト業務を指揮・監督する立場での7500時間の実務経験 ・大学卒業またはそれに相当する資格を持っている人 36ヶ月間のプロジェクトマネジメント経験を含む、プロジェクト業務を指揮・監督する立場での4500時間の実務経験 ・上記に加えて、35時間のプロジェクトマネジメント研修の学習実績 ※プロジェクトマネジメント経験は、プロジェクトマネージャの補佐やプロジェクトリーダー、SE職における各種マネジメント経験(見積り、WBS作成、進捗管理、品質管理など)も含まれる。 |
難易度 | やや高め |
合格率 | 60%程度 |
勉強時間(目安) | 100時間以上 |
おすすめの本・参考書
『PM教科書 PMP完全攻略テキスト PMBOKガイド第7版対応 改訂版』(鈴木 安而、PMアソシエイト著、株式会社NTTデータユニバーシティ監修、翔泳社)
最新のPMBOK第7版に対応したPMPの対策書です。著者はPMBOKの日本語版の監訳も行っています。
書籍の内容は、各学習単元ごとに確認問題を設けており、最後には模擬試験もつくなど、PMPの受験に向けた対策を備えた一冊です。申し込み手続きについても記載があるため、初めて受験する方の強い味方となります。
おすすめの講座
PMP®受験対策講座は、PMI認定トレーニングパートナーのオンライン講座がおすすめです。受験資格となる35時間の研修を満たすこともできます。PMP®の資格試験対策講座としては、JPSビジネスカレッジやI-Think、E-PROJECTが実施をしています。通学型からオンライン形式まで、さまざまなスタイルで講座が行われているので、ライフスタイルに合わせて講座を選ぶといいでしょう。
PMP®受験対策講座(35時間) JPSビジネスカレッジ
PMP®試験対策講座 [オンライン] 個人向け公開講座 アイシンク株式会社
PMP®講座 通学講座 E-PROJECT
取得する価値・メリット
PMP資格を取得することで、世界標準であるPMBOKをベースとしたプロジェクトマネジメントスキルを習得していることを証明できます。また、この資格はグローバルで知名度が高いため、オフショア開発など海外でのプロジェクトにおけるスキル証明にもなります。
P2M試験
P2M試験は、日本プロジェクトマネジメント協会が認定する資格で、プロジェクトマネージャーの知識とスキルを評価します。2001年にエンジニアリング振興協会が発行し、2002年以降は日本プロジェクトマネジメント協会が運営しています。ITから製造業や建設業界まで、多様な業種の事業責任者や管理者が受験し、プロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントの知識とスキルを証明します。
問題形式 | 【PMC資格試験】四肢択一(出題数50問) 【PMSプログラム試験】四肢択一(出題数50問) 【PMS資格試験 】四肢択一(出題数100問) 【PMR資格試験】論文、面接、ワークショップ |
試験時間 | 【PMC資格試験】75分 【PMSプログラム試験】75分 【PMS資格試験 】150分 【PMR資格試験】記載なし |
受験料 | 【PMC資格試験】17,000円(税込) 【PMSプログラム試験】22,500円(税込) 【PMS資格試験 】39,200円(税込) 【PMR資格試験】220,000円(税込) |
受験環境 | CBT試験 |
試験概要と難易度
P2Mとはプログラム&プロジェクトマネジメントの略で、プログラムマネジメントとは複数のプロジェクトを連結・統括して管理する手法のことです。資格は以下の4種類に分かれています。
・PMC
プロジェクトマネジメント・コーディネーター。選択式50問。
・PMS
プロジェクトマネジメント・スペシャリスト。PMSプログラム試験、プロジェクトマネジメント・スペシャリスト(PMS)資格試験のいずれかで取得可能です。選択式50問または100問。
・PMR
プログラムマネジャー・レジスタード。一次試験(論文、面談)と二次試験(論文、ワークショップ、面談)の両方に合格する必要があります。
・PMA
2023年12月時点で未実施
受験対象者 | 複数プロジェクトや大規模プロジェクトでのマネジメントに関わりたいエンジニア |
難易度 | 試験種類によって異なる。 ※上位試験のほうが難易度が高い |
合格率 | PMC:60%程度 PMS:65%程度(PMSプログラム試験)、約50%(プロジェクトマネジメント・スペシャリスト資格試験) PMR:78.5%程度 PMA:未実施(2023年6月現在) |
勉強時間(目安) | PMC:25時間程度 PMS:15時間程度 PMS:45時間程度 |
おすすめの本・参考書
『改訂3版プログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック』(日本プロジェクトマネジメント協会)
PMCとPMSは試験範囲に「P2M標準ガイドブック記載内容および関連する基礎的な事項を出題範囲としています。同書以外からの出題もありますが、P2M標準ガイドブックを理解していればほぼ解答できる範囲です。」と記載されており、P2Mの受験では必須の書籍です。
おすすめの講座
P2Mを運営する日本プロジェクトマネジメント協会が年6回の講習会を開催しています。PMC資格試験の対策講座などがあり、P2M標準ガイドブックの要約と試験対策上の重要部分を示した講義テキスト、理解度テストなどが行われています。講師陣も経験豊富なため、受講者にとっては実例などわかりやすい内容になっています。
P2M講習会・講座セミナー等について 日本プロジェクトマネジメント協会
取得する価値・メリット
P2M資格試験にはプロジェクトマネジメントの知識が出題されるため、プロジェクトマネジメントの知識の証明になります。また、プログラムマネジメント(複数のプロジェクトを横断的に管理する手法)について学べるため、複数プロジェクトのマネジメントを行うプロジェクトマネージャーやプロジェクトマネージャーの統括者(部門長など)を目指す際にも役立ちます。
例えば、大規模開発の際には、インフラ開発やソフトウェア開発、品質管理などの小規模プロジェクトが並行して進んでいきます。プログラム&プロジェクトマネジメントを学ぶことで、同時並行で進む複数のチーム(プロジェクト)の関連性を把握し全体を統括管理するスキルを習得できるでしょう。
PMOスペシャリスト認定資格
PMOとは「プロジェクトマネジメントオフィス」の略称で、その主な役割はプロジェクトマネージャーの業務をサポートし、企業内のプロジェクトマネジメントのルールや手順を標準化することです。このPMOの役割を効果的に果たすためには特定のスキルが必要となります。そのスキルを証明し、PMOの専門性を認定するための資格がPMOスペシャリスト認定資格となります。この資格を取得することで、PMOとしての専門知識と能力を公的に証明することが可能となります。
問題形式 | 【PMOスペシャリスト(★)】択一式 【PMOスペシャリスト(★★)】記述式 |
試験時間 | 【PMOスペシャリスト(★)】90分 【PMOスペシャリスト(★★)】120分 |
受験料 | 【PMOスペシャリスト(★)】 <初回受験> 一般:14,300円(税込) NPMO会員:9,900円(税込) <再受験> 一般:5,500円(税込) NPMO会員:3,300円(税込) 【PMOスペシャリスト(★★)】 <初回受験> 一般:16,500円(税込) NPMO会員:11,000円(税込) <再受験> 一般:5,500円(税込) NPMO会員:3,500円(税込) |
受験環境 | 自宅(オンライン) |
試験概要と難易度
PMOスペシャリスト認定資格は、PMOが現場で働くうえで、必要なスキルを持っていることを証明する資格試験です。ランク分けがされており、★1~★3までの3種類の試験が定義されていますが、★3については2023年6月時点では策定中で、受験はできません。
受験対象者 | ・現在PMOとして働いている方 ・将来的にPMOを目指している方 |
難易度 | ★1 PMOの基礎知識と技術の習得が必要 ★2 ★1と比較して難易度は高い |
合格率 | ★1 非公開 ★2 56%程度 |
勉強時間(目安) | 最低25時間以上 |
受験環境 | オンライン試験 |
おすすめの本・参考書
PMOスペシャリスト認定資格に関する書籍は現在のところ確認できませんでした。
おすすめの講座
日本PMO協会が提供する約7.5時間のe-ラーニング講座が学習の中心になります。e-ラーニング講座はスマホやパソコンから利用でき、試験と同じスタイルの4択問題の確認クイズもあります。6ヶ月間は何度でも利用できるため、じっくりと学習に取り組むことも可能です。e-ラーニング講座の詳しい内容は、PMOスペシャリスト認定資格の公式サイトを参照ください。
【認定資格】プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格 - 日本PMO協会
取得する価値・メリット
PMOスペシャリスト認定資格の取得は、PMO業務についての深い理解を得るための重要な手段であり、その知識とスキルを公的に証明できます。資格を取得することで、キャリアアップや転職活動において大きな利点となります。さらに、PMO業務は一般的なビジネス業務と多くの共通点を持っています。そのため、PMOスペシャリスト認定資格を取得することは、全体的なビジネススキルの向上にも寄与します。
各試験の比較
プロジェクトマネージャー試験は、IT系のプロジェクトマネージャー向けのオーソドックスな試験となっています。また、PMPは世界的なプロジェクトマネジメント基準であり、ITに限らずプロジェクトマネジメント全般を対象としている試験です。
P2Mはプロジェクトマネジメントに加えてプログラムマネジメントという複数のプロジェクトを管理する手法も対象としていることが特色となっています。PMOスペシャリスト認定資格はプロジェクトマネージャーの次のキャリアパスとして、PMOというポジションを狙う方や現在PMOの方がスキルを証明する資格になります。
プロジェクトマネージャーの仕事に役立つそのほかの資格
プロジェクトマネージャーは、主に開発プロジェクトのチームを取りまとめ、プロジェクトそのものを滞りなく進行する役割があります。プロジェクトマネジメントスキルは必須ですが、さまざまな分野のマネジメントを行うプロジェクトマネージャーにとっては、プロジェクトマネジメントスキルだけでは必要十分とはいえません。プロジェクトマネージャーとして押さえておきたいスキルは、ITにより事業運営の改善を図るITコンサルティングスキルです。
ITコンサルティングスキルを証明する資格
ITコンサルティングスキルを証明する資格としては、ITストラテジスト試験やITコーディネータ試験、基本情報技術者試験があります。本章では、ITコンサルティングスキルを証明する資格であるITストラテジスト試験やITコーディネータ試験、基本情報技術者試験について詳しく紹介します。また「なぜITコンサルティングスキルが必要なのか」についても解説します。
なぜITコンサルティングスキルが必要なのか
プロジェクトマネージャーは、営業に同行してクライアントへの提案(課題に対するIT企画など)を行い、受注した後には案件の責任者兼コンサルタント(プレイングマネージャー)として従事するケースもあります。したがって、ITコンサルティング系の資格を持っていると仕事の幅が広がり、将来的にはITコンサルティング会社への転職にも役立ちます。
関連記事:SEからプロジェクトマネージャーを目指す方法
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験はIT戦略、経営戦略を行う人材に向けた国家試験です。ITコンサルティングスキルを示すことのできる資格となっています。本項では、ITストラテジスト試験の試験概要やおすすめの本・参考書、おすすめの講座、取得する価値・メリットについても詳しく解説します。ITストラテジスト試験の受験の参考にしてください。
試験概要と難易度
ITストラテジスト試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって実施されている情報処理技術者試験(国家試験)の一区分であり、ITSSスキルレベル4の最難関試験の一つです。IT技術を利活用した経営戦略や企画能力、企画推進力、プロジェクトマネジメントスキルなどが問われます。プロジェクトマネージャーやITコンサルタント、CIOなどを目指す人に適している資格試験です。
受験対象者 | プロジェクトマネージャーやITコンサルタントといった最上流工程を担うエンジニア職をつとめ、IT戦略を策定する経営レベルの業務へも関わっていく人材 |
難易度 | 非常に高い |
合格率 | 15%程度 |
勉強時間(目安) | 100時間以上 |
受験環境 | 全国の試験会場 |
おすすめの本・参考書
『情報処理教科書 ITストラテジスト 2024~2025年版』(広田 航二、翔泳社)
ITストラテジスト試験の試験対策書で、難関部分である午後I・午後II試験に特化しています。論文の記述についても、骨格の組み立て、論述と具体的なテクニックを学ぶことが可能です。試験解答作成のノウハウを詳細に記載してあり、業務経験が少ない受験者でも合格できるテクニックが詰め込まれています。また、過去の問題が豊富に含まれており、実際の試験のシミュレーションもできます。
おすすめの講座
ITストラテジスト試験の試験対策講座では、資格の学校TACの「ITストラテジスト本科生・本科生プラス」やITECの「ITストラテジスト【ST】情報処理技術試験」などがおすすめです。これらの試験対策講座は、ITストラテジスト試験の試験対策の実績があり、午前免除制度にも対応しています。
ITストラテジスト本科生・本科生プラス(資格の学校TAC)
ITストラテジスト【ST】情報処理技術試験(ITEC)
取得する価値・メリット
ITストラテジストの資格は、IT戦略の策定能力など、ITコンサルタントとして必要なスキルを公的に証明するものです。この資格は、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアをさらに進め、IT部門のリーダーや最高情報責任者(CIO)などの高位のポジションを目指す方々にとって、その能力と適性を示す重要な手段となります。資格の取得は、自身の専門性とリーダーシップを明確に示すことができ、より高いキャリアパスを追求するための信頼性を確立できます。
ITコーディネータ試験
ITコーディネータ試験は、IT経営を推進するプロフェッショナルを対象とした資格試験で、多様な業種や企業規模に適用可能な"ITコーディネータプロセスガイドライン"に基づいて出題されます。この資格は、経営者に対してIT利活用の助言や支援を行う人材を育成することを目的としており、2001年から提供されています。通商産業省が国家プロジェクトの一環として設けたこの制度は、資格取得者に対して経営者への積極的なアドバイスなど、重要な役割を果たすことを期待しています。
試験概要と難易度
ITコーディネータ試験は経済産業省の推進資格であり、経営戦略やIT企画の立案などIT利活用人材の育成を目的とした資格です。試験の内容は、IT技術を利用した経営戦略・企画能力・企画推進力などが問われます。資格が認定されるためには、ペーパー試験に合格することと6日間の実務研修の受講・修了が必要で、実務スキルを習得しやすい試験構造になっています。
受験対象者 | 経営とITを橋渡しする立場の方 |
難易度 | 比較的易しい |
合格率 | 50%程度 |
勉強時間(目安) | 50時間以上 |
受験環境 | 全国の試験会場 |
おすすめの本・参考書
『IT経営推進プロセスガイドライン Ver3.1』(特定非営利活動法人ITコーディネータ協会)
経営を推進する上で企業経営者、IT経営推進者、IT経営支援者がどのように活動するかについて、実行基準(進め方)と判断基準(基本原則)を示した書籍です。ITコーディネーター試験は本書が主な出題範囲となるため、受験の際には必須となります。
おすすめの講座
ITコーディネーターの試験対策講座は、ITコーディネーター協会が主催するケース研修の実施を委託している認定研修機関が、独自で開催しています。ITコーディネーターの試験対策講座を実施する認定研修機関は、ITコーディネーター協会の公式サイトに記載されています。
ITC試験対策講座 株式会社アイ・ケイ・シー
ITC資格試験対策 パーソル総合研究所
取得する価値・メリット
経営戦略からIT戦略、資源調達、IT導入、IT運用までの一貫した工程を学べるため、これらの工程をマネジメントするプロジェクトマネージャーの業務に役立ちます。また、実務研修で全ての工程を模擬的に体験できるので、実務経験の補強になるでしょう。プロジェクトマネージャーのキャリアの先にあるIT部門長やCIOといったポジションを目指す際にもおすすめの資格です。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IT業界でのキャリアを始めるための登竜門的に扱われる資格です。この試験は、ITエンジニアやITエンジニアを目指す方が、自身の基本的な知識と技術を証明するために取得する資格です。学習を通じて、デジタル人材として必要な知識と技術を習得することができます。基本情報技術者試験に合格することは、IT関連の基本的な知識と技術を身につけていることの証明になります。
関連記事:未経験からプロジェクトマネージャーになるには?資格や適性を解説
試験概要と難易度
基本情報技術者試験は幅広い範囲を網羅していて、大きく分けるとテクノロジー系、マネジメント系、ストラテジ系の問題が問われます。テクノロジ系とはIT技術やコンピューターの基本に関する内容、マネジメント系はプロジェクトマネジメント、サービスマネジメントなどに関する内容、ストラテジ系はシステム戦略、経営戦略などに関する内容となっています。
受験対象者 | ・IT企業で働き始めたエンジニア ・IT業界を目指す方 |
難易度 | 情報処理技術者試験の中では難易度は低い |
合格率 | 22~27%程度 |
勉強時間(目安) | 200時間程度 |
受験環境 | 全国の試験会場 |
おすすめの本・参考書
『令和06年 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室 (情報処理技術者試験)』(栢木 厚、技術評論社)
基本情報技術者試験のための参考書としては王道のもので、参考書と問題集がセットになっています。イラストや図解を交えて理解しやすく説明されています。こちらの書籍をしっかりこなせば、基本情報技術者試験合格に必要な知識が身に付きます。
『情報処理教科書 出るとこだけ!基本情報技術者 テキスト&問題集 [科目A][科目B]2024年版)』 (矢沢 久雄、翔泳社)
基本情報処理技術者試験の合格を目指す方向けのテキスト・問題集です。経験豊富な講師による解説、新試験制度の対策ガイド、過去5回分の問題解答、Webアプリでの学習、新試験の模擬試験など、多様な学習リソースがあります。シラバスVer.8.1に対応しており、基本情報処理技術者試験に挑戦したい方に最適です。
おすすめの講座
基本情報技術者試験は独学で十分合格できる内容なので、独学がおすすめではあります。ただし、資格講座も複数あります。具体的には、TAC、資格の大原などで基本情報技術者試験の試験対策講座が行われています。独学が苦手な方や、オンライン講座を希望する方は選択肢に入れるのも良いかもしれません。
情報処理 資格の学校TAC[タック]
情報処理技術者・情報処理安全確保支援士 資格の大原 社会人講座
取得する価値・メリット
基本情報技術者試験は、ITエンジニアのキャリアにおける重要なステップとされています。この資格を取得することは、エンジニアとしての基本的なスキルと知識を持っていることの公的な証明となります。さらに、企業やプロジェクトによっては、この資格を持つことで資格手当が支給される場合もあります。つまり、基本情報技術者の資格を取得することは、エンジニアとしての専門性を証明するだけでなく、給与の向上にも寄与する可能性があるということです。
実務経験を積んでから資格取得を検討するのがおすすめ
本記事に登場しているプロジェクトマネージャー向けの資格およびITコンサルティングスキルを示す資格は、いずれも実務経験を積んだエンジニアに向けたものです。机上の理論だけでなく、実務でのシーンと照らし合わせることで理解が深まります。
まったくの未経験の状態で資格取得に取り組むよりは、実務経験を積んでから取得に挑むことをおすすめします。
プロジェクトマネージャーに関するよくある質問
プロジェクトマネージャーの仕事に興味がある方は、プロジェクトマネージャーに関してさまざまな質問があります。プロジェクトマネージャーに関するよくある質問としては、プロジェクトマネージャーの仕事内容やプロジェクトマネージャーにおすすめの資格、資格を取得したら年収は上がりやすくなるかなどがあります。本章では、これらのプロジェクトマネージャーに関するよくある質問とその回答をご紹介します。
Q1. プロジェクトマネージャーの仕事内容は?
プロジェクトマネージャーはプロジェクトの企画、管理、人員のマネジメントなどプロジェクトに関する幅広い業務を担います。直接的に手を動かして開発作業に着手することが少ないので、その分開発に直接携わるメンバーの管理やサポートを行います。
関連記事:プロジェクトマネージャーとは?役割・仕事内容・必須スキルを解説
Q2. プロジェクトマネージャーにおすすめの資格は?
プロジェクトマネージャーにおすすめの資格は複数あります。中でも特におすすめなのはプロジェクトマネージャ試験です。プロジェクトマネージャ試験はプロジェクトマネージャ向けの資格の中ではもっとも評価が高いでしょう。前段階の資格試験として、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験もおすすめです。
Q3. 資格を取得したら年収は上がりやすくなる?
資格を取得すると年収は上がりやすいです。もっとも重要なのはスキルや実務経験ですが、資格を取得することで一定の評価を得られます。資格そのものに手当てが設けられていて手当分の年収がアップする場合や、評価が上がってそれが年収に結び付く場合が考えられます。
まとめ
この記事では、プロジェクトマネージャーを目指す方に向けて、プロジェクトマネージャーに役立つ資格についてメリットや難易度などについて解説しました。
プロジェクトマネージャーは、スケジュール、成果物の品質、コストなどの制約条件を認識して、できるだけ早く問題を察知し、問題があった場合には適切に対策を行いながらプロジェクトを進めていく役割を担います。マネジメントスキルはもちろんのこと、最近ではITコンサルタントスキルを要求されるケースも増えています。
今回ご紹介した資格を取得することで、理論や知識について体系的に学ぶことができるほか、客観的なスキルの証明になるでしょう。プロジェクトマネージャーの仕事に興味がある方は、資格を取得してプロジェクトマネージャーへの転職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
関連記事:PM(プロジェクトマネージャー)に向いている人、向いていない人とは
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通したキャリアアドバイザーが、年収・技術志向・今後のキャリアパス・ワークライフバランスなど、一人ひとりの希望に寄り添いながら転職活動をサポートします。一般公開されていない大手企業や優良企業の非公開求人も多数保有していますので、まずは一度カウンセリングでお話してみませんか?(オンラインでも可能です)
転職支援サービスに申し込む
また、「初めての転職で、何から始めていいかわからない」「まだ転職するかどうか迷っている」など、転職活動に何らかの不安を抱えている方には、無料の個別相談会も実施しています。キャリアアドバイザーが一対一で、これからのあなたのキャリアを一緒に考えます。お気軽にご相談ください。
「個別相談会」に申し込む
レバテックキャリアのサービスについて