プロジェクトリーダー(PL)とは、「プロジェクトを遂行する上でのチーム責任者」に対して称される職種です。企業によって業務内容や求められる条件が異なりますが、プロジェクトを横断的に管理するポジションであるため、チームに大きな影響を与える存在であることは確かです。
この記事では、プロジェクトリーダーが持っておくべき資格や求められるスキルについてご紹介します。
1. プロジェクトリーダー(PL)に必須の資格はない
プロジェクトリーダーは責任者としても重大なポジションにある職種です。プロジェクトの成功に多大な影響を与えるこの職種に必要な資格はどのようなものでしょうか。
実は、プロジェクトリーダーになるために特定の資格を取得する必要はありません。 これは企業にもよりますが、資格を持っていなくてもプロジェクトリーダーに選ばれる可能性があります。
プロジェクトリーダーには、エンジニアとしての実務経験や管理職としてのマネジメントスキル、強力なリーダーシップが求められます。これらは特定の資格を有しているからといって無条件に適性があると判断できるものではないため、慎重な人選によって決められているのです。
そのため、プログラマーとして入社した新入社員は、次のキャリアとしてSE、さらに上のプロジェクトリーダーを目指すケースが多いようです。
2. プロジェクトリーダーに必要なスキル
プロジェクトリーダーは開発工程においてさまざまな調整や管理業務を担っています。そんなプロジェクトリーダーには技術的なスキルのみならず、マネジメントにかかわるスキルも強く求められます。以下では、必要な知識とスキルを具体的に説明します。
高度なIT知識
プロジェクトリーダーはプログラマーやSEの上流にあたる役割である以上、プログラミングをはじめとした高度なITスキルは不可欠です。開発担当者とコミュニケーションをとる際、技術的なスキルが身についていないと具体的に何を話しているのか理解することができません。
また、他のプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーともコミュニケーションがままならず、プロジェクトリーダーとしての信頼性や資質を問われてしまうことも。グループ内の開発担当者から相談を受けた際には、適切なアドバイスができず信頼関係が崩壊することも考えられるでしょう。
優秀なプログラマーやSEが必ずしも優秀なプロジェクトリーダーになれるとは限りませんが、技術的なスキルは最低限身につけておくべきです。
マネジメントスキル
管理全般にかかわるマネジメントスキルは、プロジェクトリーダーにかかわらず多くの企業で重視されるものです。しかし、マネジメントという言葉は漠然としていて、具体的に何を指しているかわからない場合があります。以下では、具体例とともにプロジェクトリーダーの仕事に必要なマネジメントスキルについて解説します。
スケジュール管理力
プロジェクトを成功させるために、スケジュールの遵守は基本項目です。しかし、原因不明のエラーが頻発したり、開発担当者が病気やケガで出勤できなくなったりと、想定外のアクシデントに見舞われることも考えられます。
また、過去の経験から「このままだと納期が遅れてしまう可能性がある」と予測することも可能です。いずれにしても、当初のスケジュール通りに納品できるように、人員の補充や作業工程の見直しなど、前もって有効な対策を検討する能力が求められます。
人員管理力
開発工程は人間による作業である以上、担当者の生産性や能力にも大きく左右されるものです。モチベーションが低下しているメンバーがいると、それが他のメンバーにも波及しチーム全体に悪い影響を与えてしまうことも考えられます。
メンバーとコミュニケーションをとりながら、不満に感じていると・不安に感じていることを聞き、モチベーションの管理につなげていくことも重要です。また、技術的な能力の問題で明らかに難易度の高い業務に従事しているメンバーがいる場合は、役割を変更するなどの対応も求められます。
品質管理力
納期ばかりを優先させた結果、完成したシステムに大きなバグが残っていたり、エラーが頻発したりしたら意味がありません。品質の良し悪しは企業の信頼性に直結し、品質が悪いと二度と受注できなくなる可能性もあるでしょう。
スケジュールと品質管理の両立が実現できて、初めて一人前のプロジェクトリーダーだといえます。
3. プロジェクトリーダーのスキル習得に役立つ資格
以上ではプロジェクトリーダーに求められるスキルを一通りおさらいしました。以下ではスキル習得に役立つ資格について紹介します。
記事の冒頭でも話したように、プロジェクトリーダーになるために必須の資格はありません。しかし、客観的にスキルが証明できる資格を持っていれば、転職や独立の際に有利になることは確かです。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者試験のひとつで、毎年4月の第3日曜日に実施されます。IPAが実施している試験のなかでも特に難易度の高い高度情報処理技術者試験のひとつに数えられ、2019年度の合格率はわずか14.1%。
「プロジェクト全体計画(プロジェクト計画及びプロジェクトマネジメント計画)を作成し、必要となる要員や資源を確保し、予算、スケジュール、品質などの計画に基づいてプロジェクトを実行・管理する者」を対象者像として設定しており、まさにプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーに求められる資格試験といえるでしょう。
これまでプロジェクトリーダーとして活躍してきた人が、プロジェクトマネージャーへとステップアップする際にも、プロジェクトマネージャ試験の取得は大きな武器になるはずです。
プロジェクトマネージャー試験についてより詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事も合わせてご参照ください。
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「プロジェクトマネージャー試験(IPA)について」
PMOスペシャリスト認定資格
PMOスペシャリスト認定資格は一般社団法人日本PMO協会が実施している資格試験で、e-ラーニングシステムでのカリキュラムを受講後、オンラインでテストを受験します。
PMOスペシャリスト認定資格(PMO-S)はISO21500に準拠した資格で、さらに初歩的な資格試験として「プロジェクトマネジメント・アソシエイト」とよばれる即実践型の資格も存在します。
プロジェクトマネージャ試験に比べると難易度は低く、これからプロジェクトリーダーを目指している方にとっておすすめの資格といえます。試験の日程も調整しやすく、いつでも受講できるため、自分のペースで試験に臨むことができるはずです。
PMOにまつわる資格についてより詳しく知りたい方は、ぜひ下記記事も合わせてご参照ください。
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「PMOに役立つ資格」
応用情報技術者試験
この資格は、「情報処理技術者試験」のひとつであり、経産大臣に認定された国家資格になっています。 また、その他の高度な情報処理技術者試験(ネットワークスペシャリスト試験、プロジェクトマネージャ試験など)を受ける前にこちらの資格を取得すると、一部試験内容を免除してもらえることも特徴です。
さらに、資格レベルは第一種情報処理技術者試験やソフトウェア開発技術者試験と同等に扱われるため、転職時にも充分なアピールポイントとなります。 プロジェクトマネージャ試験を受験する前段として挑戦するエンジニアも多く、プロジェクトリーダーへステップアップする際においても大きな武器になることでしょう。
高度情報処理技術者試験
基本情報技術者試験(FE)、応用情報技術者試験(AP)の、更に上の段階となるIT知識や技術に関する資格です。 具体的には、ITストラテジスト試験やシステムアーキテクスト試験、情報セキュリティスペシャリスト試験、ITサービスマネージャー試験、プロジェクトマネージャ試験等をさしています。
この資格試験は長時間であるため、事前の十分な学習はもちろん、受験時の時間配分についてもシミュレーションが必須となります。
高度情報処理技術者試験はIT技術と知識についての大きなアピールポイントとなるため、プロジェクトリーダーへの昇進時はもちろん、プロジェクトマネージャーへのステップアップや転職の際にも極めて大きなアドバンテージになるはずです。
PHP5技術者認定上級試験
PHP5技術者認定上級試験は、実務経験が3年程度あるエンジニアが対象となる資格試験です。PHPに関する実践的なコーディング能力が試されるため、プログラミング実務にも携わりたいという方は取得するのがおすすめです。
内容は、プログラミング言語をはじめ、実務で用いるプログラミングスキルを問われます。 結果はスコアとして出され、スコア毎にレベルに分類される仕組みになっています。
この資格の取得によって、エンジニアとして高度かつ実用的なプログラミング技術を身に付けていることが証明されます。さらに、現場のことがわかっているプロジェクトリーダーとしての信頼を得やすいのもポイントです。
4.まとめ
今回は、プロジェクトリーダーに求められるスキルと資格について解説しました。プロジェクトリーダーはITエンジニアとして入社した方が真っ先に目標とすることも多く、技術的なスキルはもちろん、マネジメントスキルも試される職種です。
IT業界は慢性的な人材不足であり、プロジェクトリーダーも同様に不足しています。将来性のあるIT業界において、中核となるプロジェクトリーダーをぜひ目指してみてはいかがでしょうか。
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