フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違いは?多角的に比較

最終更新日:2024年7月10日

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの仕事内容は、重複する部分もありますが、求められるスキルは異なります。本記事では、フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの仕事内容や必要なスキルについてまとめました。

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この記事のまとめ

  • フロントエンドエンジニアはWebアプリにおけるフロント側の開発を行う仕事で、WebデザイナーはWebサイトのデザインを行う仕事
  • フロントエンドエンジニアにはプログラミングやWeb開発の知識が求められるが、Webデザイナーにはデザインセンスやツールの知識が必要
  • どの職種を目指す場合でも、自身の適性や興味範囲を認識し、キャリアパスを明確にすることが重要

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違い

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの違いは複数あります。担当は同じフロントエンドですが、まずフロントエンドエンジニアはJavaScriptを含めて機能全般や設計も担当する場合が多いです。一方で、WebデザイナーはHTML、CSSによるデザイン制作がメインです。

フロントエンドエンジニアとは?

フロントエンドエンジニアとは、フロントエンドの開発を担当するWebエンジニアです。フロントエンドとは、システムのなかでユーザーと直接データのやり取りを行う箇所を指します。具体的には、Webページのボタンをクリックした際にWebページを動かしたり、フォームに入力された内容を確認したりするプログラムを開発します。

Webアプリ開発を行う場合、フロント側のプログラムを開発するフロントエンドエンジニアと、サーバ側のプログラムを開発するサーバサイドエンジニアが必要です。

関連記事:未経験からフロントエンドエンジニアになるには?志望動機の書き方も解説

Webデザイナーとは?

Webデザイナーは、Webサイトのデザイン制作を担当するクリエイター職です。ユーザーにとって使いやすく、魅力的なデザインを制作する役割があります。Webクリエイターやホームページデザイナーと呼ばれることもあります。

また、Webデザインのなかでも特にUI設計に関するスキルを保有している人をUIデザイナーと呼びます。

HTMLコーダー(マークアップエンジニア)とは?

フロントエンドエンジニアやWebデザイナー以外にも、HTMLコーダーあるいはマークアップエンジニアと呼ばれる職種もあります。一般的にHTMLコーダー(マークアップエンジニア)は、HTML/CSSを使ってWebページを制作(コーディング)します。

小規模なWebアプリの場合は、Webデザイナーもしくはフロントエンドエンジニアがコーディングを担当するケースが多く見られますが、大規模なWebアプリの開発ではコーディングを専門に行うポジションを設けることもあります。

ここまで各職種の定義を解説してきましたが、これらは公式の定義ではありません。実際の仕事内容は企業やプロジェクトによって異なるため、仕事内容を事前によく確認してから応募しましょう。

 

関連記事:未経験からマークアップエンジニアに転職するには?求人例も紹介

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの仕事内容

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの仕事内容について解説します。フロントエンドを制作しているという点ではどちらも共通していますが、担当範囲やスキルレベルに違いがあります。基本的にはフロントエンドエンジニアの方が難易度は高いと言えるでしょう。

フロントエンドエンジニアの仕事内容

フロントエンドエンジニアの仕事は、フロントエンドのプログラム開発がメインです。Webデザイナーが制作したデザインカンプをもとに、コーディングおよびプログラムの開発を行います。

プログラム開発では、主にJavaScriptという言語を使います。表示されたWebページのHTMLを変更し、ユーザーの動作に応じてWebページを動かしたり、アニメーションを作成したりするプログラムを開発します。

例えば、ユーザーがフォームに入力したデータの形式が正しいかをチェックしたり、入力内容に不備があった際にアラートやポップアップ画面を表示したりするプログラムです。また、Webページによっては、サーバ側のプログラムと通信を行い、サーバからデータを取得してデータ更新を行うプログラムも開発します。

関連記事:フロントエンドエンジニアの仕事内容とは?スキルや年収、やりがいも解説

Webデザイナーの仕事内容

Webデザイナーの主な仕事内容はWebサイトのデザイン制作です。Webページのカラーや各パーツの配置などを検討し、デザインツールを使ってデザインカンプを作成します。作成したデザインカンプは、Webディレクターやクライアントに提出してフィードバックをもらい、完成したらフロントエンドエンジニアに渡します。

Webデザイナーによっては、コーディングおよびJavaScriptでのアニメーション制作まで担当する場合もありますが、基本的にはデザイン制作がメインです。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの年収

職業情報提供サイトjobtagによると、フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの平均年収は以下のようになっています。

フロントエンドエンジニア 550.2万円
Webデザイナー 480.6万円

フロントエンドエンジニアの方が担当する工程、技術の幅が広く、高いスキルが求められる場合が多いです。そのため、平均年収にも差があると考えられます。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの将来性

フロントエンドエンジニアもWebデザイナーも今後も需要が続く職業と考えられます。まずフロントエンドの技術自体は確実に需要が続くと言えるでしょう。その結果、フロントエンドエンジニアとWebデザイナーの需要も続くということです。

ただし開発の利便性が上がりツールやAIで自動化されるようになると、一人のエンジニアが担当できる範囲が広がります。そのためバックエンドエンジニアがフロントエンドまで対応するようなケースも増えていくでしょう。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーも市場の変化に合わせて、幅広いスキルを身に付けていく必要はあります。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーに必要なスキル・知識

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーに必要なスキル・知識について解説します。未経験からこれらの職種への転職を目指す方は参考にしてください。未経験からの転職であっても、事前に一定レベルのスキルを身に付けてから転職活動に臨む必要があるでしょう。

フロントエンドエンジニアに必要なスキル・知識

フロントエンドエンジニアに必要なスキル・知識として以下が挙げられます。


  • ・JavaScript

    ・UI/UX設計

    ・Web開発全体の知識


特に実戦的に手を動かして作るスキルが重要なので、最初のうちは作る技術を優先するのがおすすめです。

関連記事:フロントエンドエンジニアに必要なスキル|勉強法も一挙紹介

JavaScript

JavaScriptはWebページ制作で多く用いられるスクリプト言語です。ChromeやFirefoxなどの代表的なWebブラウザには、JavaScriptの実行環境があらかじめ内蔵されており、環境構築なしでJavaScriptを動かすことができます。

JavaScriptはProgateなどの学習サイトで勉強できるため、HTML・CSSとともに習得することをおすすめします。また、ReactなどのJavaScriptライブラリに関するスキルも併せて身につけておくと、面接時のアピール材料を増やせるでしょう。

関連記事:JavaScriptの勉強方法は?初級~中級者向けサイト15選を紹介

UI/UX設計

フロントエンドエンジニアは基本的にWebデザインは行いませんが、各UIパーツの細かい配置などは自分で決めることもあるため、ある程度のUI/UX設計の知識が必要です。

ユーザーにとって使いやすく、良質な体験ができるWebサイトを制作しなくてはいけません。UI/UX設計の基礎知識は書籍などでも学べますが、実際にWeb開発を行いながら学習を進めることで、実践的なスキルが身につくでしょう。

Web開発全体の知識

未経験からフロントエンドエンジニアを目指す場合、フロントエンドだけではなくWeb開発全体の知識があるとプラスになります。

例えば、サーバ側のシステムと通信を行うプログラムを開発する際は、サーバ側の知識もあるとスムーズに進められるでしょう。

また、サーバに負荷をかけないプログラムを開発するためには、インフラ関連の知識も必要です。特に、フロントエンドエンジニアからプロジェクトリーダーなど上流工程の職種を目指すのであれば、Web開発全体の知識は習得しておくべきでしょう。

関連記事:フロントエンドエンジニアの将来性と求められるスキル・資格を解説

Webデザイナーに必要なスキル・知識

Webデザイナーに必要なスキル・知識としては以下が挙げられます。


  • ・Webデザイン知識全般

    ・コーディングスキル

    ・デザインツールの知識


Webデザイナーも同様に、最初のうちは特に実際に手を動かして作るスキルが重要です。

Webデザイン知識全般

Webデザイナーには、Webデザイン全般の知識が求められます。メニュー・ボタン・フォーム・チェックボックスなどを装飾するための基礎知識がないと、魅力的なデザインは制作できません。

他のWebサイトを見て「なぜこのサイトはユーザーを惹き付けるのか」を言語化し、自分の制作物に落とし込めるスキルが必要となるでしょう。また、レスポンシブデザインなどの各手法についても理解を深めておくと重宝されます。

コーディングスキル

Webデザイナーはデザイン制作がメインの仕事ですが、Web制作全般を担当することも多いため、HTML・CSSの知識も身につけておくことが推奨されます。

また、サイト制作現場で多く使われるJavaScriptライブラリのjQueryも習得しておくと、仕事の幅が広がるでしょう。加えて、WordPressなどのCMSを使ってサイトを制作する場合には、テーマのカスタマイズやプラグインの導入方法などの知識が求められます。

デザインツールの知識

WebデザイナーにはPhotoshopIllustratorなどのデザインツールの知識も欠かせません。デザインツールを使って画像の細かな調整やレイアウトの変更などを行えるスキルが必要です。

また、最近ではFigmaのようなコラボレーションツールと呼ばれるデザインツールが利用されることも多いため、使い方を習得していると良いでしょう。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーに有利な資格

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーのそれぞれに有利な資格を紹介します。必須ではありませんが、資格の勉強を通じて、上記で解説したスキルを身につけることが可能です。高年収を目指すうえでも資格があると有利に働くため、積極的に挑戦しましょう。

フロントエンドエンジニアに有利な資格

フロントエンドエンジニアに有利な資格として、以下が挙げられます。


  • ・CIW JavaScript Specialist

    ・HTML5プロフェッショナル認定試験

    ・応用情報技術者試験


民間資格は実戦的なスキルを問う内容、国家資格は汎用性の高い知識を問う内容の資格がおすすめです。

CIW JavaScript Specialist

CIW JavaScript Specialistは、JavaScriptのスペシャリストであることを証明する資格です。JavaScriptの基礎文法やWeb開発の基礎などを身につけられます。世界各国で実施されているグローバルな資格であり、高い知名度があります。

HTML5プロフェッショナル認定試験

HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5・CSS3・JavaScriptの知識があることを証明する資格です。フロントエンド領域全般について出題されます。試験はレベル1と2で構成されており、Web開発未経験の方にはレベル1からの挑戦がおすすめです。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の次のレベルとして位置づけられている、情報処理技術者試験の一つです。基本情報技術者試験よりも高度な問題が多く出題されるため、取得していると高いスキルの証明になると言えます。

Webデザイナーに有利な資格

Webデザイナーに有利な資格として以下が挙げられます。


  • ・ウェブデザイン技能検定

    ・Photoshop®クリエイター能力認定試験

    ・Illustrator®クリエイター能力認定試験


Webデザイナーの場合は実戦的なスキルに特化した資格がおすすめです。コーディングだけでなく、ツール関連の資格も取得すると現場で役立ちます。

ウェブデザイン技能検定

ウェブデザイン技能検定は、Webデザイナーに必要な知識を問われる資格です。国家資格のため、Webデザイナーを目指すなら優先的に取得することをおすすめします。学科試験と実技試験に分かれており、それぞれ対策が必要です。

Photoshop®クリエイター能力認定試験

Photoshop®クリエイター能力認定試験は、世界基準のグラフィックツールであるPhotoshopの活用能力を問われる資格です。

指示に従って1つのグラフィックコンテンツを作り上げる、実践的な問題が出されます。Photoshopは写真・画像の加工には欠かせないツールのため、資格を通じて基礎スキルを身につけることをおすすめします。

Illustrator®クリエイター能力認定試験

Illustrator®クリエイター能力認定試験は、細かい文字設定やレイアウト作成ができるIllustratorの活用能力を問われる資格です。実技試験もあり、学習を通じて実践的なスキルを身につけられます。出題範囲はそれほど広くないため、Illustrator®クリエイター能力認定試験と併せて取得しておくと良いでしょう。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーはどっちが良い?

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーのどちらが良いかは、その人の能力や、「何を重視して仕事を行いたいか」によって異なります。そこで、フロントエンドエンジニアとWebデザイナーが向いている人の特徴をそれぞれ紹介していきます。

フロントエンドエンジニアが向いている人の特徴

フロントエンドエンジニアが向いている人の主な特徴は次の3つです。


  • ・すでにエンジニアとして活躍しており、JavaScriptでのフロントエンド開発に興味がある人

    ・Web制作だけでなくWebアプリ開発全般(バックエンド開発やインフラなど)に興味を持てる人

    ・プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなど開発部門のリーダーとして活躍するポジションを狙いたい人


Webデザイナーと比較するとフロントエンドエンジニアは業務の幅が広いため、まとめると業務の幅を広げたい人に合っていると言えるでしょう。

Webデザイナーが向いている人の特徴

Webデザイナーが向いている人の主な特徴は次の3つです。


  • ・開発(プログラミング)よりもデザインを中心に行いたい、また自分のデザインセンスに自信がある人

    ・細かいデサインの調整作業を苦に思わない人

    ・将来WebディレクターやWebマーケターといったWeb制作における企画・戦略を行うポジションを狙いたい人


Webデザイナーはフロントエンドの中でもデザイン部分に特化しているので、デザインが好きな人の方が合っているでしょう。また技術だけでなくマネジメントやマーケティングに関心がある人もWebデザイナーを踏み台にキャリアアップが可能です。

エンジニアがキャリアパスを考えるポイント

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーのどちらを目指す場合でも、大切なのが自身のキャリアパスを明確にすることです。希望するキャリアのイメージを固めることで、今後身につけるべきスキルや、積極的に関わるべき案件などが見えてくるためです。ここでは、エンジニアやクリエイターがキャリアパスを考える際のポイントを解説します。

関連記事:フロントエンドエンジニアのキャリアパス例は?身に着けるべきスキルや将来性も紹介

業務適正を認識する

まずは自己分析を行い、自分の業務適正を認識することが大切です。「スペシャリストかゼネラリストか?」など、向き不向きを判断します。

そのためには、これまでの業務経験や身につけたスキル・知識を振り返る必要があります。例えば「過去に小さいプロジェクトのリーダーを任され、優秀な結果を出したことがある」場合は、ゼネラリストに向いている可能性が高いでしょう。

転職において評価されるスキルを把握する

キャリアパスや転職先を考える際は、転職市場で評価されやすいスキルを習得できるかどうかを確認しましょう。

なぜなら、将来性のあるスキルを得られる企業に転職したほうが、自分の市場価値を高められ、年収アップにもつながるためです。IT系のニュースサイトやセミナーなどで、将来性のあるスキルや技術をチェックしてみてください。

転職エージェントに相談する

キャリアパスを検討する際は、転職エージェントの活用もおすすめです。転職エージェントでは、アドバイザーから自分に適した求人を紹介してもらえるため、自分の適性を把握できます。

また、面接対策や書類添削などのサービスを受けられる点も転職エージェントを利用するメリットです。特に、転職したい職種が未経験の方は積極的に利用することをおすすめします。レバテックキャリアでは、IT業界を熟知したアドバイザーが転職サポートを行うことに加え、高収入が期待できる求人も多くあります。

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーに関するよくある質問

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーに関するよくある質問と回答を紹介します。フロントエンドエンジニアとWebデザイナーのどちらを目指すべきか迷っている場合や、キャリアプランに迷っている場合の指標になるはずです。

Q1. フロントエンドエンジニアとWebデザイナーのどちらが良いですか?

フロントエンドエンジニアとWebデザイナーでは基本的にフロントエンドエンジニアの方が上位職とされ年収も高めですが、どちらが良いかは人によって異なるでしょう。スキルアップや業務の幅を広げていきたい人はフロントエンドエンジニア、本格的な開発よりもデザインに特化したい人はWebデザイナーといった切り分けです。

Q2. Webデザイナーからフロントエンドエンジニアになることは可能ですか?

Webデザイナーからフロントエンドエンジニアになることは可能です。Webデザイナーの経験があればフロントエンドのデザイン制作は可能なので、JavaScriptや設計のスキルを身に付ければフロントエンドエンジニアとしての業務ができるようになるでしょう。

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