組み込みエンジニアは専門性の高い職種
組み込みエンジニアとは、さまざまな機器に組み込まれた制御システムやソフトウェアなどを開発する技術職です。身近な例だと、家電製品やスマートフォンなどに実装されるコンピュータシステムを開発します。
組み込みエンジニアは、ソフトウェアやハードウェア、リアルオペレーションシステム、マイクロコントローラなど広範な知識を必要とする専門性の高い職種です。プログラミングスキルに関しても、C言語やC++といった比較的難易度の高い言語の習得が必須となります。
また、昨今では、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の普及が進み、これらを統合した組込みシステムが医療機器・自動車・製造ラインなどあらゆる場面で重要とされてきています。先端技術に対応するために、知識をアップデートし続けなければならないのも、組み込みエンジニアの専門性が高いといわれる理由の1つです。
最後に、組み込みエンジニアの仕事の特徴と年収を以下にまとめたので、参考にしてみてください。
特徴 | 幅広い知識を必要とし、特定の目的のために 制御システムやソフトウェアの設計・開発を 行う専門性の高いITエンジニア |
年収 | 約500~700万円 (スキルレベル1~5の年収の中央値を記載) |
出典:厚生労働省 「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書(p. 19)」
年収について詳しく知りたい方は「組み込みエンジニアの年収は?求人例や年収を上げる方法も解説」をご覧ください。
組み込みエンジニアは文系でもなれる?
組み込みエンジニアは文系でもなれます。しかし、プログラマーやシステムエンジニアとはまた違った専門的な知識が必要となるため、簡単になれる職種とはいえません。
ITエンジニアとしての実務未経験の場合は、必要な知識とスキルを身につけても、いきなり求人に応募するのはハードルが高めです。そのため、文系や未経験の方は、まずはITエンジニアとしての素養を身につけたり経験を積んだりすることをおすすめします。
ITエンジニアへの転職の前提として、業界理解や市場の調査が重要です。特に「文系だけどエンジニアになれるのか」「未経験だから何から始めれば良いのか分からない」といった不安や疑問がある方は、転職エージェントを活用するのも1つの手です。
文系・未経験から組み込みエンジニアになるための手順
文系・未経験から組み込みエンジニアを目指すには、以下4つの手順で進めるのがおすすめです。
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1.知識/スキルを習得する
2.資格を取得する
3.経験を積む
4.転職活動を行う
組み込みエンジニアは、専門的な知識・スキルが必要なため、転職活動を始めるにあたってアピール材料があるのが望ましいです。さらに、資格取得で専門性を高めると転職の際にアピールしやすくなります。また、組み込みエンジニアになる前段として、ITエンジニアの経験を積んでおくと、組み込みエンジニアへの転職の間口がより広がります。
組み込みエンジニアに必要な知識・スキルを習得する
組み込みエンジニアに転職するには、求められる知識やスキルを習得する必要があります。文系・理系問わず、組み込みエンジニアになるには以下のようなスキルが必要です。
必要な知識やスキル | 補足 |
---|---|
プログラミングスキル | C言語、C++は組込みシステム開発の基盤 (Pythonもあるとなお良い) |
ハードウェア/ソフトウェアの知識 | 用途を限定して使用されるのが組込みハードウェア、 これを動作させるのが組込みソフトウェア |
マイクロコントローラの知識 | ハードウェアを制御する小型かつ軽量の電子部品 |
情報セキュリティの知識 | セキュリティ脆弱性を考慮した組込みシステムの設計、 データの暗号化 |
IoT/AI(人工知能)の知識 | IoTやAI技術を統合した組込みシステム開発への対応 |
英語の読解スキル | 海外のWebサイトや製品の取扱説明書などからの情報収集 |
コミュニケーションスキル | チームメンバーとの連携、周囲との正確な情報共有 |
組込みシステム開発では、C言語やC++が使用されるケースが多いです。また、近年はAIの技術を組込みシステムに取り入れる事例が増えているため、Pythonも習得しておくと役立ちます。
組み込みエンジニアが業務で求められる知識やスキルは、ほかのITエンジニアと共通する部分もあります。しかし、組み込みエンジニアには組込みシステム開発に特化した深い知識が必要となるので注意してください。
組み込みエンジニアに必要なスキルや経験が備わっているか確認するには、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が提供している「組込みスキル標準(ETSS)」を参考にすると良いです。ETSSは人材の育成・活用を目的として、組込みソフトウェア開発者のスキルが体系化されているため、自分のスキルがどういったレベルか確かめるのに有効です。
組み込みエンジニアに必要な知識やスキルについて、より詳しく知りたい方は「組み込みエンジニアになるために必要な勉強」をご覧ください。
組み込みエンジニアに関連する資格を取得する
組み込みエンジニアに関連する資格を持っていると、転職活動を有利に進められる可能性があります。保有資格は、一定のスキルがあることの証明になったり、学習意欲を伝えられたりするからです。
組み込みエンジニアとの関連性が高い資格として、主に以下の2つが挙げられます。
資格名 | 試験の概要 |
---|---|
組込み技術者試験(ETEC) | ・組込みソフトウェア開発の一定以上の知識がある 技術者を対象とした試験 ・試験の種類はクラス2、クラス1の2種類・合否判定はなく、 スコアに応じてグレードA~Cで評価される |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | ・組込みシステムの企画、開発を行う技術者の 育成を目的とした試験 ・午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱの4つの試験で合否が判定される |
ただし、上記の資格は未経験者がいきなり取得するのは難易度が高いです。文系から組み込みエンジニアを目指す場合には、ITの基礎的な知識を確実に身につけるところから始めましょう。たとえば、ITパスポート試験や基本情報技術者試験、応用情報技術者試験などに合格できたら、組み込みエンジニアに関連する資格に挑戦すると良いです。
資格に興味がある方は、「組み込みエンジニアに役立つおすすめ資格6選!参考書籍や求められるスキルも解説」を参考にしてみてください。
ITエンジニアとしての経験を積んで基盤を作る
組み込みエンジニアを文系・未経験から目指すためのステップとして、ITエンジニアとしての経験を積むことが重要です。ITエンジニアの経験が全くない未経験の場合、知識やスキル、資格を持っていても、それだけでは実際に現場で活躍できるかは分からないからです。
組み込みエンジニアになるには、下積みとしてITエンジニアの業務を経験し、基盤を作ることをおすすめします。未経験だからこそ、焦らず段階を踏みながらスキルを磨き、組み込みエンジニアに転職するための準備を進めていきましょう。
組み込みエンジニアになるための転職活動を行う
組み込みエンジニアになるために転職活動を始める際は、まず応募書類を作成しましょう。多くの場合、転職活動は書類選考から始まります。そのため、ポートフォリオ・履歴書・職務経歴書といった応募書類の中で、いかに自分の意欲や価値をアピールできるかがポイントです。
ITエンジニアの転職では、応募書類などのフォーマットが厳密に定められているわけではありませんが、書き方にはそれぞれ傾向があります。そのため、せっかく知識やスキル、経験があるのに上手くアピールできないと、採用の機会を逃しかねません。
応募書類の作成方法について詳しく知りたい方は、「ITエンジニア・クリエイターの履歴書作成マニュアル【テンプレート付き】」をご覧ください。
文系や未経験から組み込みエンジニアを目指す場合は、「IT業界の転職活動をどう進めていったら良いのか分からない」と不安を抱えている方もいるでしょう。一人で転職活動を進めるのが不安な方は、転職エージェントのサービスを活用するのがおすすめです。
レバテックキャリアはIT業界大手の転職エージェントです。文系・未経験の方でもITエンジニアに転職できるよう、無料で応募書類の添削や求人紹介、面接対策などを行っています。組み込みエンジニアへの転職でお困りの方は、ぜひレバテックキャリアのサービスをご活用ください。
組み込みエンジニアの求人例
2024年11月時点でレバテックキャリアに掲載されている組み込みエンジニアの求人から4つの例を紹介します。
求人情報をチェックすると、企業が求めている人材のスキルや経験、マインドなどを把握するのに役立ちます。また、組み込みエンジニアの年収は企業によって異なるため、「どういったスキルや経験があるとどのくらいの年収が見込めるか」といった転職市場の状況を知る参考にもなるでしょう。
【組込・制御エンジニア】未経験者歓迎/電気・電子設計技術/自動車関連、宇宙・航空関連など
【業界】
・IT/通信
・SIer
【業務内容】
・電気電子/プラント/ソフトウェアといった各分野における、自動車関連や宇宙/航空関連、産業用ロボットなどの案件
・設計(アナログ回路、デジタル回路、無線回路、電源回路、マイコン回路、LSI、レイアウト、生産設備など)
・解析
・評価 など
【スキル・経験】
・エンジニアとしての就業経験問わず(未経験歓迎)
・専門学校、高等専門学校、大学、大学院を卒業後4年以内の方(文理不問)
【マインド】
・ものづくりに興味のある方
・スペシャリスト指向がある方、新しい技術の習得に対して常に意欲的に取り組める方
【年収】
530~700万円
【勤務地】
東京都
【組込・制御エンジニア】ソフトウェア開発/未経験・第二新卒歓迎
【業界】
・IT/通信
・ソフトウェア
【業務内容】
組込みソフト設計、アプリケーション設計、データベース設計、テスト設計などをお任せいたします。
【スキル・経験】
・関係者を巻き込む力
・顧客と信頼関係を構築する力
※未経験、第二新卒の方歓迎です
【マインド】
チームワークにて独自製品の開発を行うため、積極性やチャレンジ精神、協調性がある方
【年収】
320~500万円
【勤務地】
岐阜県
【組込・制御エンジニア】未経験者歓迎/大手家電メーカーや自動車・産業用ロボットメーカーの製品開発業務
【業界】
・IT/通信
・スマートフォンアプリ/Webサイト
・メーカー
・電気/電子/機械/半導体
・物流/流通
・商社
・サービス
・コンサルティング
【業務内容】
・大手家電メーカーや自動車・産業用ロボットメーカーを対象とした製品開発業務
・機械設計または、電気設計のいずれか
・設計スキルを問わないレイアウト設計の案件もあり
【スキル・経験】
特になし
【マインド】
・ものづくりの業界に興味関心がある方
・未経験からエンジニアデビューを目指している方
・機電系エンジニアとしてのスキルを身につけたい方
・安定企業で長期的なキャリアを築きたい方
【年収】
350~700万円
【勤務地】
京都府
【組込・制御エンジニア】第二新卒・実務未経験OK/産業用ロボットを自律制御する研究開発/画像認識・機械学習
【業界】
・IT/通信
・ソフトウェア
・メーカー
・電気/電子/機械/半導体
【業務内容】
・開発未経験から人気の「研究開発」に携われる希少な募集
画像認識・機械学習・ROSの技術を活用し、産業用ロボットを自律制御するための研究開発を行っていただきます。
【スキル・経験】
・PythonもしくはC++のほか、1つ以上の言語を使用できる方(実務未経験OK)
・複数言語が扱える方
・アルゴリズムが理解できる方
【マインド】
・研究開発を通して世の中に貢献したいという意識の高い方
・ロボットに関してご興味があり、学んでいきたいという思いの強い方(ご経験は問いません)
・ポテンシャル採用:研究開発技術とビジネス構築手法について案件を通して習得していただきます。
【年収】
450~600万円
【勤務地】
神奈川県
まとめ
この記事では、文系出身でも組み込みエンジニアになれること、組み込みエンジニアの仕事内容や業務に必要なスキル、転職するための手順、求人例などを紹介しました。
組み込みエンジニアは理系のイメージを強く持たれがちです。しかし、知識・スキルを身につけ、さらに資格を取得することで文系・未経験の方でもなれるチャンスが広がります。ただし、転職活動を始める前に、プログラマーやシステムエンジニアなどITエンジニアとしての経験を積んでおくのが望ましいです。
※本記事は2024年11月時点の情報を基に執筆しております
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