- セキュリティコンサルタントの仕事内容
- セキュリティコンサルタントになるための方法
- セキュリティコンサルタントに求められるスキル
- セキュリティコンサルタントの将来性
- セキュリティコンサルタントに役立つ資格
- セキュリティコンサルタントの年収
- セキュリティコンサルタントに関するよくある質問
- まとめ
セキュリティコンサルタントの仕事内容
セキュリティコンサルタントの仕事内容は、企業の規模や業界などによって異なりますが、共通しているのは、企業の情報資産を保護し、セキュリティレベルを高めるという点です。この目標達成のために、幅広い業務を行います。セキュリティコンサルタントの仕事内容は大きく分けて「戦略立案」「マネジメント支援」「セキュリティ対策実装、運用体制構築、支援」の3つです。以下で、それぞれ詳しく解説します。
戦略立案
セキュリティコンサルタントの業務は、現状のセキュリティ体制を整理・分析し、顧客企業が目指すべきセキュリティ体制や、そこに至るまでの計画などの戦略を立案することです。このとき、「将来を見据えた戦略」を立案することが求められます。情報セキュリティの分野はトレンドの変化が激しいため、ビジネスの方向性に従ってセキュリティ体制の「あるべき姿」を仮定し、そこから逆算して中長期的な計画を立案しなければなりません。
したがって、情報セキュリティのみならず、顧客企業のビジネスや業務プロセスに対する理解も求められます。一定以上の経験を積んだミドル〜シニアレベルのセキュリティコンサルタントが担当するケースが多いでしょう。
マネジメント支援
顧客企業が求めるセキュリティレベルを維持・管理するための支援業務を行うことも業務の1つです。具体的な仕事内容としては、「外注先(業務委託先)のセキュリティ管理支援」や、「セキュリティポリシー策定支援」「ISMS認証取得支援」などが含まれます。また、セキュリティ監査を効率的かつ効果的に実施するための計画を策定したり、監査方法の改善ポイントを見つけたりといった業務を担うこともあります。セキュリティに関する適切な意思決定をサポートし、企業のセキュリティレベル向上に貢献することが役割です。
セキュリティ対策実装、運用体制構築、支援
セキュリティ対策の具体的なルール・手法を決定し、それらをどう運用していくかを定義します。顧客企業の実務に即した具体的なルール・手法を設定するために、技術的な知識が必要となるフェーズです。具体的には、以下の策定や支援、運用サポートを行います。
セキュリティアーキテクチャ策定
顧客企業が求めるセキュリティレベルを確保するため、システムの設計方針や設計思想、フレームワークなどを定義します。セキュリティ環境の変化に迅速に対応できる体制を構築することが可能です。情報システムのセキュリティレベルを決定する重要な要素になります。
既存システム、アプリケーションのリスク評価
現状のシステム構成や既に導入されているセキュリティ対策に対して考えられる全ての脅威を特定し、その影響度を評価します。このとき、ソースコードチェックや疑似攻撃での再現テストなどを用いた「脆弱性診断」を行うこともあるでしょう。評価を通じて、システムの脆弱性や設定ミスなどを特定し、適切な対策を行いサイバー攻撃や情報漏洩から守ることが目的です。
セキュリティ対策の立案・実装・運用サポート
リスク評価や脆弱性診断の結果を受けて、リスク削減に向けたセキュリティ対策(セキュリティ対策ツールの活用、セキュリティコーディングの実装、アクセス権限の整理など)を立案し、実装・運用までをサポートします。
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セキュリティコンサルタントになるための方法
中途入社(転職)を前提として、セキュリティコンサルタントになるための方法について解説します。異分野からセキュリティコンサルタントへ転職するためには、何らかのIT関連業務(開発、運用、保守)に従事した経験を持ち、専門的な知識・スキルを身につけている状態が望ましいでしょう。実際に、異分野からセキュリティコンサルタントへ転職した人材のキャリアパスを分析すると、転職前にセキュリティ関連業務を経験していることがわかります。
他職種からキャリアアップする
セキュリティコンサルタントになる一般的な方法は、関連する他職種からキャリアチェンジすることです。「事業会社のSE」「ファイアウォールソフトの営業職」「インフラエンジニア」「セキュリティエンジニア」「SE」などが挙げられます。セキュリティコンサルタントへのキャリアアップは、他職種で得た経験や知識を活かして活躍することができるでしょう。以下で、それぞれの職種について解説します。。
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セキュリティエンジニアのキャリアパス - 同分野・異分野に分けて解説
インフラエンジニアがセキュリティエンジニアを目指す方法
事業会社の社内SE
社内SEは豊富なセキュリティ知識を有しているケースが多いため、セキュリティコンサルタントを目指しやすいです。なかでも、社内インフラの企画、導入、構築を主導したり、設計や運用計画の策定に携わったり、セキュリティポリシーの策定業務を担当したりしたことがあると、転職しやすいでしょうシステムの内部構造や運用に関する知識は、リスク分析や対策の策定に活かすことが可能です。
ファイアウォールソフトの営業職
ファイアウォールソフトの営業活動や、ソフトウェアのインストール・セットアップなどを経験してきた方も、セキュリティコンサルタントを目指しやすいでしょう。こうした営業職は、顧客企業のセキュリティ戦略やセキュリティポリシーを把握した上で提案するためです。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、サーバー、ネットワーク、OSなどインフラ部分の設計・構築・運用を一貫して担当する中で、セキュリティ対策も実施します。不正アクセスや外部からのサイバー攻撃に対応するためのネットワークセキュリティを整備することも業務の1つです。
また、サーバー・OS内部の脆弱性を検知してパッチを適用するため、セキュリティに対する技術的な知識・スキルを有しています。したがって、コンサルティングスキルを習得することでセキュリティコンサルタントを目指すことができるといえるでしょう。
中途入社でセキュリティコンサルタントを目指す場合は、上述したようなセキュリティに関連する業務を経験した後に、セキュリティコンサルティングサービスを提供する企業へ転職するケースが多いです。
セキュリティエンジニア
最初からセキュリティコンサルタントになりたいと考えている方は、セキュリティエンジニアがおすすめです。セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティを専門とするエンジニアで、システムの設計から運用に携わり、セキュリティに必要な考え方を学べます。
SE
システムエンジニアからセキュリティコンサルタントにキャリアアップすることも一般的です。システムエンジニアは、ITシステム全体の設計・構築・運用に関わります。システムエンジニアは、システムの設計段階からセキュリティを考慮し、安全性を担保したシステムを構築しなければなりません。
また、セキュリティコンサルタントは、さらに高度な専門知識と経験が求められます。システムエンジニアからキャリアアップする場合、システム全体の視点を持ちながら、より専門的なセキュリティに関する知識を身につけると良いでしょう。
セキュリティコンサルタントに求められるスキル
セキュリティコンサルタントは、企業のセキュリティ対策を支援し、サイバー攻撃から組織を守る役割を担うため、高度な専門知識だけでなく、幅広いスキルが求められます。また、顧客企業のビジネスを分析し、そこから必要な戦略や対策を考案する能力も必要です。ここでは、セキュリティコンサルタントに求められるスキルについて、それぞれ詳しく説明します。
情報セキュリティに関する経験・知識
セキュリティコンサルタントにとって、情報セキュリティに関する経験や知識は最も必要な知識です。セキュリティ対策の事例や最新技術を把握し、プロジェクトごとに最適な提案をする必要があります。また、サイバー攻撃の手段は日々進化しているため、セキュリティに関する知識もつねにアップデートしておくことが大切です。
アプリケーションやネットワークの知識
セキュリティを担保するには、アプリケーションやネットワークの知識も必要です。アプリケーションの規格に応じて必要・最適なセキュリティを提案する必要があります。
また、ネットワークについても同様です。通信方法によって必要な対策が異なるため、さまざまな事例から適切な手段や技術を選択できると良いでしょう。
セキュリティ製品の情報収集スキル
セキュリティコンサルタントは、既存のセキュリティ対策・ツールを組み合わせて、独自の戦略・対策を立案することもあります。膨大な数のセキュリティ製品の中から、クライアントのニーズに合った製品を的確に選ぶには、セキュリティ製品に関する情報収集スキルが求められます。
仮説構築スキル
セキュリティ対策は「予防」の要素が強い業務です。つまり、今後起こり得る事態を具体的に想定し、仮説として構築する力が必要になります。たとえば「サイバー攻撃を仕掛けられた場合の対応策」「被害を最小限にとどめるための対策」などを、ストーリー性を持って提示することができれば、顧客の信頼を得やすいでしょう。
文章力、プレゼンテーション能力
文章力やプレゼンテーション能力は、顧客企業への提案、報告書作成、社内への報告など、あらゆる場面で必要不可欠なスキルです。顧客が提案内容を理解し、協力体制が築かれなければプロジェクトの成功に繋がりません。そのため、顧客企業の担当者が理解しやすいような言葉を選び、分かりやすく説明する文章力・プレゼンテーション能力が必要になります。
その他、実務に必要なスキル
セキュリティコンサルタントは、柔軟かつ抜け目のないセキュリティ対策を実装しなければなりません。そのため、ISMS認証基準に対する理解やセキュリティ対策に関する技術的なスキル(ウイルス対策、ファイアウォール、暗号化、セキュアプログラミングなど)も身につけておく必要があります。
セキュリティコンサルタントの将来性
経済産業省の資料、「情報セキュリティ分野の 人材ニーズについて」によれば、サイバーセキュリティ人材は将来にわたって不足が懸念されています。この状況に対して、近年、サイバー攻撃の脅威はますます高まっており、企業や組織の情報セキュリティ対策の重要性は増しています。
また、サイバーセキュリティは、企業・組織によって必要とされる対策が異なるため、個別の対策が必要です。技術の進歩が激しいこともあり、今後はクラウドやIoTなど新興分野への対応も増えていくでしょう。
これらの事情を踏まえると、セキュリティコンサルタントは今後も需要が増えていくと予想されます。そのため、将来性のある職種であるといえるでしょう。
セキュリティコンサルタントに役立つ資格
顧客の情報や営業秘密など、企業にとって重要な情報資産は、企業の競争力や存続に関わる重要な要素となっているため、セキュリティは多くの企業、サービスで重視されています。そのため、セキュリティに関連した資格を保有していると強力なアピールポイントになります。また、資格を持つことは、単なるスキルアップだけでなく、自身の専門性を客観的に証明することができる手段の1つです。さらに、顧客企業からの信頼性の向上にも繋がるでしょう。ここからはセキュリティコンサルタントに役立つ資格を6つ紹介します。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験は、IPAが主催する情報処理技術者試験のうち、情報セキュリティに関する最上位の試験です。情報セキュリティに関する幅広い知識が求められます。
情報セキュリティリスクの分析・評価を行い、情報システムの安全を確保するセキュリティエンジニアだけでなく、技術・マネジメントの両面から助言・提案を行い経営層を支援するセキュリティコンサルタントにも役立つ資格です。
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)は、ISACA(情報システムコントロール協会)が運営している情報セキュリティの資格です。ISACAは、情報システム監査、情報セキュリティ、リスク管理、ITガバナンスの国際的専門団体で、CISMは情報セキュリティの高度な知識と経験を証明する資格として、世界中で広く認められています。
CISMはマネージャーという名前から分かるように組織の情報セキュリティをマネジメントする人に役立つ資格といえます。国際的に認知されている資格のため、外資系やグローバル企業での活躍を考えている方にもおすすめできる資格です。
この資格は5年以上の実務経験を要件としています。認定を受けるには情報セキュリティに関する5年以上の実務経験、そのうち3年はセキュリティマネージャーの経験が必要です。
ITストラテジスト試験
IPAが主催する資格の中でも最高難易度に位置するのがITストラテジスト試験です。企業のビジネスモデルや業務プロセスに対して、情報技術を活用した改革・高度化戦略・最適化などを提供する人材をターゲットにしています。セキュリティ対策を含めたIT戦略立案の能力・知識の証明になり得るでしょう。
システム監査技術者試験
システム監査技術者試験は、情報システムのガバナンス・マネジメント・コントロールの適切性などを総合的に点検・評価・検証する人材に向けた資格です。セキュリティコンサルタントが担う「リスク評価」や「セキュリティ監査」といった仕事に役立つでしょう。また資格自体の難易度も高いことから、能力・知識の証明にもなります。
関連記事:サイバーセキュリティのおすすめ資格11選!難易度と勉強方法も紹介
CISA(公認情報システム監査人)
CISA(Certified Information Systems Auditor)とは、日本語で「公認情報システム監査人」と呼ばれる情報システムの監査やセキュリティに関する国際資格です。主な出題範囲は情報システム監査やITマネジメント、情報システムの調達・開発・導入から情報資産の保護と多岐に渡ります。
出題数も150問と非常に多く、試験時間は4時間です。800点満点中450点以上で合格となるため、難易度は標準といえるでしょう。
情報システムの障害や不適切な設計・運用は大変危険なので、情報システム監査は法令で義務となっています。セキュリティコンサルタントに限らず、多くの職種で役立つ資格です。
GIAC
GIAC(GIACはGlobal Information Assurance Certification)とは、セキュリティ監査やファイアーウォールの知識などを問われる世界で有名な国際資格です。出題レベルは基礎部分から専門的な分野までと多岐にわたります。
また、資格の有効期限も4年と定められており、取得すると直近のセキュリティ事情を習得している証明となります。
セキュリティコンサルタントの年収
レバテックキャリアに掲載されている求人にて、セキュリティコンサルタントの平均年収を算出したところ約823.3万円でした。経験年数や企業、プロジェクトの規模などによって変動はあります。高度な専門知識や経験を保有している人材ほど高収入が期待できるでしょう。ここでは、実際にレバテックキャリアに掲載された求人例を紹介します。
セキュリティコンサルタントの求人例
以下は、セキュリティコンサルタントの求人例です。
【想定年収】
1,000~1,800万円
【主な仕事内容】
・提案機会の創出および案件提案
・受注案件のデリバリ業務
・定期ミーティングなどの顧客とのコミュニケーション、議事録作成
・報告書等の資料作成、プレゼンテーションの実施
・コンサル事業そのものの事業計画作成
【必要なスキル・経験】
<経験>
・コンサルティングの実務経験
※下記セキュリティおよびシステムに関するエリアで1つ以上の経験
・情報セキュリティ/サイバーセキュリティに関するリスクアセスメントの実施経験
・情報セキュリティ/サイバーセキュリティに関する改善方針策定~改善対応まで一通りの経験
・事業会社内でリスク管理部門、内部監査部門での業務経験
・ISMS、Pマークなどの認証取得を1からの経験
・100人月以上のシステム開発プロジェクトにおけるPMOの経験
<マインド>
・プロジェクトを最初から最後までリードできる方
・顧客の期待値コントロールを主体的/意図的に進められる方
・自らの専門分以外の領域についても、然るべき品質でデリバリを提供できる方
・提案創出活動に対して主体的に関与することができる方
【働き方】
一部リモート
セキュリティコンサルタントに関するよくある質問
セキュリティコンサルタントに興味のある方は、平均年収やセキュリティ業務などについて気になる方が多いようです。また、将来性を知っておくと自身のキャリアプランを考える上で有益になるでしょう。ここでは、セキュリティコンサルタントに関するよくある質問について回答しています。似たような疑問をもっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Q1. セキュリティコンサルタントの将来性は?
セキュリティコンサルタントの将来性は非常に高いです。企業や組織はセキュリティリスクを最小限にするべく、専門家の助言を必要としているため、今後も需要は高いままと考えられるでしょう。ただし、常に必要とされる人材になるためには、継続した学習が必要です。
Q2. セキュリティエンジニアの平均年収はいくら?
レバテックキャリアの求人によると、セキュリティエンジニアの平均年収は約823.3万円です。国税庁が公表している日本の平均年収461万円と比べて高い傾向にあります。保有している資格やスキル、経験年数、所属企業によって年収の変動はありますが、セキュリティエンジニアの業務は需要が高く、専門的な知識が必要なため今後も高い傾向は続くでしょう。
Q3. セキュリティ業務とは?
セキュリティ業務とは、システム障害やサイバー攻撃を防ぐ情報セキュリティを確保するための一連の業務です。具体的には、情報システムやネットワークの脆弱性を見つけて対策する、セキュリティポリシーを設定する、セキュリティインシデントへの対応などを指します。
まとめ
サイバー攻撃などによる情報漏洩のリスクが高まっている中で、企業の情報セキュリティが適切に運用されているかを調査し、改善案の提案などを行うセキュリティコンサルタントのニーズは高まっています。セキュリティコンサルタントは他分野から積極的にIT人材を受け入れていることでも知られているため、セキュリティ専門の人材以外でも転職できる可能性があるといえます。転職を検討する際には、スキルの証明につながる資格の活用も検討してみてください。
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
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