データサイエンティストとは?仕事内容や必要なスキル、目指し方を紹介

最終更新日:2024年9月9日

データサイエンティストとは、大量のデータを分析し、その中から意味のある情報を引き出し、ビジネスに活用する職種です。複数の専門知識が必要であることから、スキル習得には自己研鑽が求められます。ここでは、データサイエンティストはどんな職種なのか、仕事内容や概要、求められるスキルとその習得方法などを解説します。

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この記事のまとめ

  • データサイエンティストの仕事内容は主に、企業の経営課題の把握と戦略立案、データ取得/収集環境の構築と分析、仮説検証、提言が挙げられる
  • データサイエンティストのやりがいは、課題解決したときの達成感が大きい、データ専門の職種と して市場価値を高められる、企業経営に貢献できるなどがある
  • データサイエンティストからの代表的なキャリアパスは、エンジニア、コンサル、マーケターなどがある

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データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、データの分析をし、その結果をビジネスに活用する職種です。企業が保有するビッグデータの分析、解析結果をもとに課題の洗い出しや優先順位付け、課題設定や目標の明確化、仮説の立案などを行い経営戦略に貢献します

データマイニングを行うために、PythonなどのAI・機械学習プログラミングに適した言語を用いてプログラムを開発するのも業務です。データマイニングとは、データ分析や機械学習の技術を駆使して、大量のデータから有用な情報やパターンを自動的に発見する技術です。以前は事業企画部門やコンサルティング企業が担うことが一般的でしたが、現在ではビッグデータの重要性が認識されるようになり、データサイエンティストの需要が高まっています。

関連記事:データサイエンティストとは?仕事内容や必要なスキル、学習法を紹介

そもそもデータサイエンスとは

データサイエンスとは、統計学や機械学習などの技術や知識を組み合わせて、データの分析、抽出を行いビジネスにおける意思決定を支援することです。
データサイエンティストという職業が注目されるようになったのは2010年頃からですが、データサイエンスの考え方自体は1970年代からあったとされます。当時はリサーチャーと呼ばれる人たちがデータ分析、活用を行っていました。現在は技術の進歩により、大量のデータを高精度で分析・活用できるようになっています。

データサイエンティストの需要

現在、AI(人工知能)は特定の領域で人間の能力を上回り始め、AI時代が来ることが予想されています。AIに関する技術だけでなく、それを扱うデータサイエンティストに対する注目も増加傾向です。

2012年以降、日本でもデータサイエンス学部を設立する大学が現れ、修士・博士号を取得できる大学院も増えています。データサイエンスを学ぶ重要性や人材の価値が認められていることが分かります。このような背景から、データサイエンティストは今後、ますます需要が高まるといえるでしょう。

データサイエンティストの将来性

データサイエンティストの将来性については、AIに置き換わる可能性についての議論もあります。確かに、スーパーコンピューターや量子コンピューターによって得られる、高速かつ正確な計算処理が必要な領域では、AIに置き換わっていく可能性があるといえるでしょう。

ただし、根本的に社会をどのように変えるか、どこに価値を見出すかは、人間が話し合い、デザインし、実行する必要があります。したがって、AIの技術を活用するデータサイエンティストの役割は大切です。

単なる「解析屋」ではなく、データから現場の課題の本質を捉えて改善を提案し、成果を上げられる人材に対する需要は、今後も増加し続けるでしょう。

関連記事:データサイエンティストの将来性ー10年後はどうなる?

データサイエンティストが注目される理由

データサイエンティストが注目されるようになった理由には、近年、インターネットの普及やIoT機器の増加により膨大な量のデータが生成されるようになったことが挙げられます。こうしたビッグデータを分析し、必要な情報を抽出して企業の課題を解決することが、ビジネスの成功に不可欠となってきたからです。

データサイエンティストと混同しやすい職種との違い

データサイエンティストには、似たような職種が存在しています。それは、「AIエンジニア」「データアナリスト」「データエンジニア」の3つです。

それぞれ異なる役割を担っていますが、一部業務が重複したり連携したりすることもあります。データサイエンティストとの違いを理解しておくとより効果的に連携し、業務を遂行できるでしょう。以下でそれぞれ詳しく説明します。

AIエンジニアとの違い

データサイエンティストとAIエンジニアは、どちらもデータ分析に関わる職種ですが、データサイエンティストはデータ分析を行いビジネス課題の解決に役立てていきます。一方AIエンジニアは、AI技術を用いて機械学習モデルの設計や開発、運用を行うことが役割です。どちらもデータ分析のスキルとプログラミングのスキルが必要になります。

データアナリストとの違い

データアナリストは主にデータの収集と分析に特化しているのに対し、データサイエンティストは統計学やコンピュータサイエンスを基盤として、企業が抱える課題の解決に向けて取り組む仕事です。

両者の最大の違いは、データサイエンティストの方が担当する領域が広く、課題抽出や仮説構築、アルゴリズムや予測モデルの実装まで含まれることです。

関連記事:データアナリストとデータサイエンティストの違いは?

データエンジニアとの違い

データサイエンティストとデータエンジニアはどちらもデータに関わる業務を行いますが、役割やスキルなどが異なります。データエンジニアはデータの収集や保存、処理、分析基盤の構築・運用などデータ分析のための環境整備が役割です。データ収集やデータ前処理の作業などは、データサイエンティストが行うこともありますが、業務の中心として担っているのはデータエンジニアになります。

データサイエンティストが有益な情報を抽出しビジネス課題の解決を導き出すために、データエンジニアがデータ分析のための環境を構築するといえるでしょう。この2つの職種は、協力してデータを活用しビジネスに貢献する役割を担っています。

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データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストは、データの分析、加工、担当者からのヒアリングなどを行う職種です。最終的にデータをビジネス課題の解決に利用することが目的なので、データを分析することはもちろん、分析結果から提案なども行う必要があります。このような業務を通して、課題解決に役立ち、企業の利益向上や競争力強化に貢献します。

経営課題の把握と戦略立案

データサイエンティストは、データ収集・加工・分析の前に、下記3つの仕事を行います。

  • ・課題の洗い出しと優先順位付け

    ・ターゲットにすべき課題と達成目標の明確化

    ・上記をクリアするための仮説立案

このような業務を行い、分析結果を活用し自社の状況に合わせた戦略を立案する必要があるでしょう。

データ取得・収集環境の構築と分析

立案した仮説の立証に必要なデータを収集し、分析が可能なレベルに加工します。また、分析のもとになるデータをさまざまなシステム(業務システムやSNSなど)から収集できるような環境づくりも仕事の1つです。よくあるケースとしては、業務システムからAPIを通じて取得したデータを収集するプログラム(バッチ)作成、Hadoop・MySQL・NoSQLを用いたデータベース構築・運用などが挙げられます。分析に使える状態にすることが収集環境の構築です。

環境が出来上がったら、実際の分析作業に入ります。内容としては収集、加工をされたデータを組み合わせて解析し、統計的に有意なデータ項目を特定する作業です。「大量のデータ群から意味のある項目を見つけ出す作業」といえるでしょう。

仮説検証

分析結果をもとに、最初に立てた仮説をデータを用いて検証します。仮説が正しいことがわかればそれをレポートとしてまとめる作業に入りますが、正しくない場合は仮説の立案からやり直す作業が必要です。これを繰り返すことで、ビジネス課題の原因をデータ分析結果から見つけ出し、それを解消する施策につなげます。

提言

膨大なデータの中から、購買頻度など分析対象となるデータ項目を見やすく整理し、KPI(重要指標)として設定します。KPIは、企業や組織の目標達成度を評価するための具体的な指標です。KPIとして設定された項目の変化をレポートにまとめ、問題に対しデータに基づいた具体的な解決策を提言します。

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データサイエンティストの仕事例

データサイエンティストの仕事は、企業が抱えるさまざまな課題をデータ分析によって解決することです。しかし、「データを分析する」だけでは漠然としているといえます。また、手掛ける分野は多岐に渡るため実際にどのようなことを行っているのか、データサイエンティストの具体的な仕事例を紹介します。プロジェクトによって作業内容は異なりますが、スキルの応用は利くでしょう。

HR領域のデータを分析してメンタル不調や離職率を予測

人事領域に関するリスク予測を提供しているデータサイエンティスト協会「DS JOURNAL 委員会便り 第17号」の事例です。具体的には、人事部門に集まる評価・勤怠データ(出退社の時刻や業務量、内容など)をもとに、精神的な不調や離職の可能性を予測するモデル構築を担っています。

人手不足が深刻化するとともに、従業員の健康管理やリテンション施策(離職防止策)が注目されるようになりました。人材に関するリスク予測をデータサイエンティストが担うことで、より正確かつ的確な対策を打つことが可能です。

特許取得をした金融分析のパッケージソフトウェア開発業務

データサイエンティスト協会「DS JOURNAL 委員会便り 第16号」では、「商流ネットワークの把握や取引予測を実現するためのモデル開発」に関わった経験が紹介されています。データサイエンティストは、企業の現状(キャッシュフロー)と、それを取り巻く環境(商流)を、取引明細データを用いて把握するための動態モデリングモデル開発を行いました。

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データサイエンティストに求められるスキル・知識

データサイエンティストに求められるスキル・知識として、「データサイエンススキル」「データエンジニアスキル」「ビジネススキル」が挙げられます。必要なスキルや知識を持つことで、効果的に働くことができるでしょう。データを扱うスキルだけでなく、結果を活かすために幅広いスキルが必要です。以下で、それぞれ詳しく説明します。

関連記事:データサイエンティストに必要な勉強は?学習ロードマップを解説

データサイエンススキル

データサイエンススキルとは、情報処理、統計学、人工知能などのスキルを指します。後述するデータエンジニアリングスキルと重複する部分もありますが、データサイエンススキルは主に知識を身につけて考える力とまとめられるでしょう。単に知識を習得するだけではデータサイエンススキルにはなりませんが、手を動かして何かを作るというよりは、知識を活かして分析するスキルが中心です。

データエンジニアリングスキル

データエンジニアリングスキルは、データサイエンススキルを活かして実際に手を動かすスキルです。設計には統計学の知識なども必要なので、データサイエンススキルが土台になりますが、データエンジニアリングスキルでは、たとえば、プログラミングによって分析することなどが求められます。ただし単にプログラミングができるというだけではなく、データサイエンスに基づいた設計をもとにプログラミングしていくといったイメージです。

ビジネススキル

データサイエンティストの最終的な目的はビジネス課題の解決です。ビジネス課題を解決するためにデータサイエンススキルやデータエンジニアリングスキルを活用します。データ分析を通じて、課題の発見と、課題をどうすれば解決できるのかを理解する力が必要です。

業務知識・分析対象に関する知識

ビジネススキル全般も重要ですが、特に課題解決の対象となる業務知識が必要です。たとえば金融機関の課題を解決するなら金融機関の業務に関する知識、物流業界の課題を解決するなら物流業界の業務に関する知識、といったイメージになります。また企業ごとに業務フローなどは異なるので、対象となる企業の業務まで落とし込んで理解を深めているとデータサイエンティストの仕事はより良いものになるでしょう。

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データサイエンティストが活躍する主な領域とは

データサイエンティストは、データ分析の専門知識と技術を活用して、さまざまな業界で活躍しています。一般的には、大量のデータを保有しているWeb系企業が多いです。近年、データの量が増加している中、データサイエンティストの重要性は高まっているといえるでしょう。ここでは、Web系企業を中心に、データサイエンティストが担う業務内容について説明します。

ECサイト開発

ECサイトは、ユーザーの行動履歴を収集・解析し、購入予測に基づいた商品の提案を行うことで、ユーザーの関心を引き続け、購買行動を促すことが求められます。たとえば、関連商品の提示やメールの配信、パーソナライゼーションによるユーザーとのコミュニケーションなどです。

このように、ECサイトはデータ解析に基づくマーケティングが欠かせない業界の一つです。施策を通じて、顧客ロイヤルティを高め、顧客満足度の向上、購入数や購入額の増加などを目指します。

ソーシャルゲーム開発

ソーシャルゲームサービスにおいては、利用者の行動データを分析し、その結果に基づいて改善を行うことが求められます。たとえば、新規ユーザーの獲得やアクティブユーザーの定着、課金額の向上などが目標とされます。そのため、プレイヤーがどのように行動するかを可視化し、傾向やパターンを把握することが重要です。

また、プレイヤーの属性や好みに合わせたマーケティング施策や新しいコンテンツの提供、ゲーム内でのコミュニケーションツールの改善などを行うのも業務です。ソーシャルゲームサービスのデータ分析においては、データサイエンティストがゲーム企画・開発チームと密に連携し、ビジネス目標達成に向けた施策の立案や実行を行うことが求められています。

Webサイト開発

Webサイトは、ビッグデータを扱うことが求められ、多数のアクセスに耐えるための高い処理性能が求められます。Webサイトのビジネス上の目標を達成するために、サイト内のデータ分析を行い、性能を向上させる重要な役割を果たすのがデータサイエンティストです。

たとえば、ユーザーがサイト内でどのようなアクションを起こしているかを追跡し、その行動を解析することで、ユーザーの嗜好やニーズを理解することができます。この情報を基に、より魅力的でターゲットに合ったサービスやコンテンツを提供することができるでしょう。

さらに、Webサイトでは、広告収益を最大化するための分析が重要視されます。データサイエンティストは、アクセス解析やクリック数、コンバージョン率などの指標を活用して、広告の配信や配信先を最適化するための施策を考案します。

BtoB企業でのデータ分析部門

近年、クライアント企業の分析に携わるデータサイエンティストのニーズが増えています。特に、コンサルティング会社やメーカー、金融機関などは、クライアント企業の市場や競合状況を分析するために、データ分析部門を設置しています。このような企業は、自社の視点に偏らず、客観的な分析を提供することができるため、信頼性が高いといえるでしょう。

さらに、ヘルスケア業界や広告業界、アパレル業界、電力業界などでも、データ分析の重要性が増しています。たとえば、ヘルスケア業界では、患者の健康状態や治療法の効果を分析することで、より良い医療サービスを提供することが可能です。また、広告業界では、消費者の嗜好や行動を分析することで、ターゲットとなる顧客に的確な広告を届けることができます。

製造業でのDXの推進

製造業でのデータサイエンティストの役割は、AIやセンサーデータをなどを活用し、効率的な生産やコストの削減、品質管理の向上などの目標を達成することです。人手不足や労働者の高齢化などの問題に対処します。

たとえば、製造工程のデータを分析し、無駄を省くと生産効率をあげられるでしょう。また、不良品の発生要因を特定し、品質向上を目指すこともできます。しかし、製造業ではデータの利活用をするための環境が整っていないことが多く、データサイエンティストには利活用できるよう基盤を整える業務から割り当てられることも多いです。

エネルギー業界での新規事業企画

エネルギー業界での新規事業企画では、データサイエンティストの技術の活用が進んでいます。エネルギー供給の安定性や環境問題などの課題を、データ分析やセンサーデータを活用し効率的な予測をして解決をする役割です。

たとえば、センサーデータから異常なパターンを検知し機械の故障などを事前に予測することで、稼働率を向上させ、メンテナンスコストを削減します。また、建物のエネルギー消費データを分析し、最適なエネルギー利用方法を提案しエネルギーロスの削減を実現します。

このように、データサイエンスはさまざまな業界で活用されるようになっており、今後ますます需要が高まることが予想されます。企業にとって、データ分析が持つ価値を理解し、積極的に取り組むことが、競争力を維持するために不可欠な要素です。

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データサイエンティストのやりがい

データサイエンティストのやりがいとして、「課題解決したときの達成感が大きい」「データ専門の職種として市場価値を高められる」「企業経営に貢献できる」の3つが挙げられます。
やりがいを知っておくことは、将来に対するモチベーションを維持し、キャリアを成功させる上で非常に重要です。何をやりがいと考えるかは人それぞれですが、一般的なやりがいとして以下でそれぞれ詳しく説明します。

課題解決したときの達成感が大きい

データサイエンティストは、ビッグデータの処理や課題抽出と設定、仮説検証、分析を行います。仮説が実証されたり、ビジネスの意思決定につながる有用な知見を得られたりしたとき、達成感を感じることができるでしょう。

データ専門の職種として市場価値を高められる

データサイエンティストは、必要なスキルや知識が多岐にわたる職種です。最低限、以下のスキルや知識は必要です。

  • ・数学(確率・統計、線形代数学など)

    ・統計処理手法

    ・データマイニング手法

    ・幅広いIT知識(ITシステム、データベース、プログラミングなど)

    ・ロジカルシンキング

    ・ドキュメンテーション

そのため、業務を通じてこれらのスキルを磨くことが必要不可欠であり、その過程の中でデータ専門の職種として市場価値を高めることができる点は、やりがいの1つです。

また、最新技術を習得し、さまざまなプロジェクトに取り組むことで、自己成長を促すことができます。自らの成長に注力しスキルを高めると、より多様な業務に携わることができ、高い報酬を得ることもできるでしょう。

企業経営に貢献できる

データサイエンティストの仕事のゴールは、企業課題の解決です。そのため、企業の幹部などとやり取りすることが多く、データサイエンティストの判断が企業の将来に影響してきます。組織の末端ではなく企業活動の中心になれるので、やりがいにつながるでしょう。

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データサイエンティストは「やめとけ」といわれる理由

データサイエンティストは、必要性ややりがいのある仕事ですが、「やめとけ」と言われることもあります。具体的な理由としては、「技術のアップデートが早く領域も広い」「試行錯誤しながら作業するため今季が必要」「会社からの期待と対応可能範囲にギャップがある」などです。

「やめとけ」と言われる理由を理解しておくことで、自身の適性が合っているか判断したり適切なキャリアの選択ができるようになったりするでしょう。ここでは、それぞれ詳しく説明します。

技術のアップデートが早く領域も幅広い

データサイエンティストが扱うビッグデータは、特別な技術知識が必要な分野であり、さらなる技術発展が見込まれています。

また、データ分析技術だけでなく、機械学習やAI技術など、幅広い分野での知識も必要です。これらの高度で専門的な知識を維持するためには、常に最新情報をキャッチアップしながら、スキルアップを継続する必要があります。そして、常に新しい技術に対応する柔軟性と創造性を持ち続けることが求められるでしょう。

試行錯誤しながら作業するため根気が必要

データサイエンティストの行う業務は、定型化されていません。そのため、必要なデータの引き出し方や分析方法を試行錯誤することが必要です。

思い通りの結果が出ない場合や、作業に多くの時間がかかる場合、あるいは全てを1から見直す必要がある場合もあります。このように、データと向き合い、根気強くコツコツと作業を続ける必要があるため、大変さや辛さを伴うことが少なくありません。また、データの精度や信頼性を確保するため、正確さに対する意識と、粘り強い努力が必要になります。

会社からの期待と対応可能範囲にギャップがある

データサイエンティストという比較的新しい職種について、一部の人々は即座に問題を解決できる職種と考えている場合があります。しかし、データ分析は結果を出すには時間がかかることもあるため、過度な期待が現実とのギャップを生み出し、プレッシャーに感じる人も居ます。

また、経営層に導き出した解決策を理解してもらえない、あるいは価値が認められないことがあります。このような場合、仕事が評価されないと感じることもあるでしょう。

さらに、企業によってはデータサイエンティストの役割が明確に定義されていないことがあります。その結果、データ分析だけでなくデータエンジニアリングやITサポートなどさまざまな業務をこなすことが求められ、業務範囲が広がりすぎる可能性もあるでしょう。

こうしたギャップから、データサイエンティストになることをやめておいたほうがいいという人もいます。

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未経験からデータサイエンティストになるには

未経験からデータサイエンティストになることは決して簡単ではありませんが、適切な学習と経験を積むことでなれる可能性は十分にあります。まずはどのようなルートがあるのかを知ることが必要です。ルートには複数の方法があります。どの方法がベストかは、もともとのスキルや現在の職種によって変わるでしょう。以下で、それぞれ詳しく説明します。

専門の学校で勉強する

データサイエンティストの需要が高まるに伴い、国内の大学や専門学校ではデータサイエンスに特化した学部・学科を設けるところが出てきました。こうした大学や専門学校で勉強をし、卒業することができれば、データサイエンティストとして活躍するために必要なスキルを身につけられるでしょう。

他業種からキャリアチェンジする

データサイエンティストに近い業種としては、システムエンジニアやマーケティング職が挙げられます。システムエンジニアのプログラミング知識は、データ解析の際に使用するプログラミングに活用することができますし、マーケティング職のマーケティング知識は数字から物事を判断し説明する業務に活用することができるでしょう。

ただし、いずれの場合においても、データサイエンティストには幅広いスキルと経験が必要になります。データサイエンティストとして活躍するためには、自身に足りていない知識を自覚し、貪欲に身につける姿勢が重要です。

関連記事:データサイエンティストになるには?目指し方や必須スキルを解説

開発エンジニア職から目指す

開発エンジニアとしての経験は、データサイエンティストへの転身において大きな強みになります。PythonやRといったデータ分析に用いられるプログラミング言語の習得や機械学習などの使用経験は
重要視されるでしょう。

また、システム開発で培った問題解決能力やシステムを理解する力は、データ分析においても役立ちます。まずは、開発エンジニア職で実務経験を積み、データサイエンティストへ転職をするというキャリアプランもルートの1つです。

データアナリストやコンサルタントから目指す

データアナリストはデータ分析の経験が豊富です。この経験は、より高度なデータ分析である機械学習などへとスムーズに移行する基盤となります。コンサルタントは、ビジネス知識を磨くことができ、課題を理解しデータに基づいた解決策を提案する経験を積むことが可能です。両職種ともデータサイエンティストへキャリアアップするために目指すこともルートの1つとして考えられるでしょう。

資格取得を通して学ぶ

データサイエンティストとしてのスキルを客観的に証明するのは難しいといえます。プロジェクトによって役割や担当業務が異なるからです。そこで、資格を取得すれば一定の知識、スキルが客観的に明確になるでしょう。以下で、データサイエンティストになるために役立つ資格をいくつか紹介します。

統計検定®

統計検定®は、一般財団法人 統計質保証推進協会が主催する、統計学に関する知識を評価する統一試験です。合格率は準1級で35.3%、2級〜4級で約50〜80%程度であり、比較的合格しやすい資格といえるでしょう。

  • ・統計検定1級~4級

    ・統計検定 統計調査士

    ・統計検定 専門統計調査士

    ・統計検定 データサイエンス基礎

    ・統計検定 データサイエンス発展

    ・統計検定 データサイエンスエキスパート

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験

基本情報技術者試験応用情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が主催するIT技術者向けの認定試験です。ITを活用したサービスや製品、システムなどを作る際に必要な知識やスキルを問われます。

以前は基本情報技術者試験も応用情報技術者試験も合格率は20%程度でしたが、基本情報技術者試験の難易度は改定によって下がりました。そのため、基本情報技術者試験の難易度はここ数年は40%程度まで上がっています。応用情報技術者試験は以前と変わらず20%程度です。
まずは、基本情報技術者試験でしっかり基礎を身につけてから応用情報技術試験へ挑戦することをおすすめします。

アクチュアリー資格試験

アクチュアリー資格試験は、保険業界の第一線で活躍できる高度専門職「アクチュアリー」になるための資格です。アクチュアリー試験では、第1次試験の中に「数学(確率・統計・モデリング)」が含まれており、データサイエンティストの仕事に役立つ試験としてデータサイエンティスト協会が推奨しています。合格率は10%〜20%程度と難易度が高いです。

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は、情報処理技術者試験と同様に情報処理推進機構(IPA)が運営している試験です。この資格を取得することで、データベースに関わる企画・要件定義・開発・運用・保守などの業務に必要な知識とスキルを有していると認められます。

しかし、この試験は合格率が18.5%と非常に難関です。受験する場合は、十分な対策を行い、万全の状態で試験に臨むことが必要になるでしょう。データサイエンティストとしてキャリアアップを目指す方にはおすすめの資格です。

データサイエンティスト検定

2021年4月に導入されたデータサイエンティスト検定とは、データサイエンティスト協会が認定する民間資格です。

この検定は4つのレベルから構成されており、2024年8月現在は最も難易度が低いリテラシーレベルのみが提供されています。初心者向けの検定として位置づけられ、データサイエンティストを目指す方に最適な資格です。

G検定・E資格

G検定E検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施・認定している試験です。ディープラーニングとは、機械学習の1つで、コンピューターが大量のデータから自分でパターンを見つけ出し、学習する技術のことをいいます。

G検定は、ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して事業応用する能力を持つ人材を認定するための資格です。AIに関する基礎知識を深められ、ビジネスにおけるAI導入の課題など実践的な知識も得ることができます。

E検定は、ディープラーニングの倫理を理解し、適切な手法を選択して実装できる能力があるかを測る資格試験です。ディープラーニングの倫理だけでなく、実際のデータ分析やモデル構築などに必要な実践的スキルを取得できます。高度な専門知識が求められるため、エンジニア向けの資格といえるでしょう。

また、E検定の受験資格は「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」が条件となっています。

スクールで学ぶ

スクールを活用することで、体系化されたカリキュラムと講師によるサポートが受けられます。統計学が理解できないなど、独学では乗り越えにくい壁やモチベーションの低下を防ぐ効果があり、効率よくスキルや知識を磨くことができるでしょう。

Udemy

Udemyでは、オンラインで学べるデータサイエンティスト養成講座を開講しています。現職(マーケター、事業企画、コンサルタント、SE、PGなど)の仕事内容に応じて、弱点となりやすいスキルを補強できる点が特長です。頻繁にセールされており、安価でスキルを身につけるケースがあるので、こまめにチェックすることをおすすめします。

文系からデータサイエンティストを目指せるがハードルは高め

文系大学の出身者であってもデータサイエンティストとして活躍している人は少なくありませんが、それでも理系出身者と比較するとハードルが高いのは否めない事実です。スキルを磨いて業務に耐えうるスキルセットを確保することはもちろん、場合によってエンジニアやマーケティング職から入り、キャリアチェンジを目指すことも視野に入れたほうが良いでしょう。

とはいえ、文系大学で学んだこともデータサイエンティストとしての業務に活用できるケースがあります。データサイエンスの分野では企画力や問題解決力、プレゼンテーション、経営戦略の検討など、いわゆるビジネス力が求められますが、これは文系大学で効率的に身につけることができる知識です。

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転職先を選ぶ際のチェックポイント

データサイエンティストが転職先を選ぶ際、ほかの職種とは異なる視点からチェックする必要があります。それはデータサイエンティストが比較的新しい職種であり、企業側もデータサイエンティストに対する理解が十分に深まっていない可能性があるからです。

データサイエンティストが転職先を選ぶ際には、データ分析に価値を置いているか、提案を受け入れてくれそうか、企業に十分なデータが蓄積されているか、といったことを確認する必要があります。

上記のようなポイントを満たしていればデータサイエンティストとして十分な仕事をできる可能性が高いです。しかし、そうでないと思うように業務を進められず、提案しても受け入れてもらえない場合もあるでしょう。

条件面などだけでなく企業のデータサイエンティストに対する考え方なども確認することも必要です。

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データサイエンティストに向いている人の傾向

データサイエンティストに向いている人の傾向として、「倫理的に思考できる」「知的好奇心が強い」「数学や統計学が好きで情報収集・分析が得意」「忍耐力がある」などが挙げられます。
知っておくと、データサイエンティストとして活躍するために、どのようなスキルを身につけておけば良いのか明確な目標を設定できるでしょう。ここでは、それぞれを詳しく説明します。

論理的に思考できる

データサイエンスは企業の課題の洗い出しから企業の課題解決の流れを筋道立てて計画し、着実に作業を進めていく必要があります。データの収集や加工、分析、結果という一連の流れにおいて、論理的な思考力に基づいて適切な手法を選択し、分析を進めることが必要です。

経験を積めば経験に基づく判断ができますが、基本的には計画と論理に基づいてコツコツ問題をつぶしていく形で作業を進めます。論理的思考の考え方や定義づけは複数ありますが、データサイエンティストには筋道立てて考え、作業する能力が重要です。

知的好奇心が強い

データサイエンスは技術の進歩が早い分野で、学び続ける必要があるため知的好奇心が強い方が向いています。学ぶことがストレスになる状態だと、記憶しにくいでしょう。知的好奇心があって、好きで技術を学んでいる状態が理想的です。

数学や統計学が好きで情報収集・分析が得意

データサイエンティストは、大量のデータから複雑なデータを解析し、そこから必要な情報を抽出するため、データ分析の基礎となる数学や統計学の知識が必要です。数値データを扱うのが苦にならない人や統計的な考え方を楽しめる人は向いているといえるでしょう。

また、ビジネス課題を解決するために必要なデータを収集し、分析する能力も求められます。正確かつ信憑性の高い情報を見つけ出し、意味のある情報を分析する能力は大切です。

忍耐力がある

データを分析し、企業の利益に繋げるために最適な施策を多角的に捉えるには、しばしば長時間データに向き合うことが必要です。それでもうまくいかないことも多いので、試行錯誤を繰り返すことになります。こういった点から、データサイエンティストには忍耐力が必須です。

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データサイエンティストの年収

2024年8月時点のレバテックキャリアの求人によると、データサイエンティストの求人数は1,094件で、平均年収は872.7万円になります。また、職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtagによるとシステムエンジニアの平均年収は684.9万円です。比較すると、ややデータサイエンティストの平均年収は高いといえます。

データサイエンティストの平均年収は高い印象がある人は多いです。しかし、スキルの有無によって高年収のデータサイエンティストもいれば、むしろエンジニアの全般の相場よりも年収が低いデータサイエンティストもいると考えられるでしょう。

関連記事:データサイエンティストの平均年収は高い?年収を上げる方法や将来性を解説

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データサイエンティストからのキャリアパス例

データサイエンティストの仕事を通して身につくスキルを大きく分けると、ITスキル、統計スキル、ビジネススキルです。これらのスキルを活かすことで、さまざまなキャリアパスを選択できます。

たとえば、ITスキルを活かすことで、データベースエンジニアやAIエンジニア、Web系のエンジニア、SIerのシステムエンジニアへの選択が可能です。また、ビジネススキルを活かして、コンサルタントやプロジェクトマネージャー、マーケター、リサーチャーになる道もあります。統計スキルを活かせば、メーカーの技術開発職や研究職なども選択肢になるでしょう。

これらの職種は会社員だけでなく、フリーランスや経営者としても働きやすい職種です。IT業界は技術だけでなく職種も日々変化しているので、上記に該当しない新しい職種や、既存のカテゴリーに当てはめずにオリジナルの働き方をすることも可能になります。

データサイエンティストのスキルはさまざまなところで需要があるので、キャリアパスの選択肢も豊富ということです。

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データサイエンティストに関するよくある質問

データサイエンティストに興味がある方の中には、仕事内容や活用例などが気になる方が多いようです。あらかじめ把握しておくことで、どんな業務を行うのか、どのようなスキルを身につければ良いのか、といったイメージがしやすいでしょう。ここでは、データサイエンティストに関するよくある質問に回答するので、ぜひ参考にしてください。

Q1. データサイエンティストの仕事内容は?

データサイエンティストの仕事は主に分析環境の構築・運用と分析・レポート作成です。分析環境の構築・運用は、業務システムのデータを収集して蓄積し、運用できるようにする仕組みを作ります。また、分析・レポート作成は、データを分析し、企業のビジネス戦略に沿った意思決定を支援するレポートを作成する業務です。

Q2. データサイエンスの身近な活用例は?

気象や地震、観測データなどのシミュレーションデータの分析によって、災害時に的確な情報を提供し、災害被害を軽減することができます。また、データサイエンスは医療や教育、エンターテインメント業界などにも応用され、人々の生活をより豊かにするための価値を創出しています。

Q3. データサイエンティストの平均年収は?

レバテックキャリアの求人では、データサイエンティストの平均年収はおよそ872.7万円です。しかし案件によっては上限2,000万円という高年収で募集しているものもあります。スキルや知識の有無によって年収の変動がある職種といえるため、知識やスキルを磨いておくことはおすすめです。

Q4. データサイエンティストはなくなるって本当?

データサイエンティストが完全になくなる可能性は低いです。AIの発展により仕事の一部はなくなる可能性がありますが、データから得られた結果をビジネスに結びつけ、意思決定を支援するためには人ならではの判断が必要です。仕事がなくなるどころか、重要性を増していくでしょう。

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まとめ

この記事では、データサイエンティストの仕事内容を中心に、求められるスキル・知識について解説しました。企業のビッグデータ活用が広まる中、データサイエンティストの需要も高まりつつあります。

しかし、データサイエンティストには複数の専門知識が必要であり、ハードルは決して低くありません。資格取得やスクールを活用して自己研鑽を積みながら、必要なスキルと知識を身につけると良いでしょう。

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