【CTOの職務経歴書】可能性を追い求めて大学を中退し、エンジニアの道へ―。一切の迷いも不安もなかった| 株式会社エウレカ 石橋準也氏【前編】

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「CTOの職務経歴書」シリーズは、レバレジーズ(現レバテック)のアナリスト兼営業マンがインタビュー取材を通して注目企業のCTOに迫る企画です。

レバテック営業担当、林の写真

こんにちは。レバテック営業の林です。 今回の「CTOの職務経歴書」は、Facebookを使った恋愛・婚活マッチングサービス「pairs」や、カップル専用アプリ「Couples」などの自社サービスをリリース。急成長を遂げている株式会社エウレカ?執行役員CTO の石橋準也氏にお話を伺いました。

大学入学と同時に、未経験からアルバイトでエンジニアの仕事を始めた石橋氏。そこから2度の転職を通して、エンジニアの枠を超えた幅広い業務に携わり、現在、CTOとしてエウレカ社を牽引されるまでになった軌跡を追います。

エウレカとは? 2009年設立。日本と台湾、合計で230万人に利用されているFacebookを利用した国内最大級の恋愛・婚活マッチングサービス「pairs」を初め、カップル専用アプリ「Couples」などの運営を手掛ける急成長企業。 http://eure.jp/

社会人の基礎とユーザーファーストを叩き込まれた、焼き鳥店でのバイト

―まずは、中学や高校時代について、お話を聞かせてください。部活動や熱中されていたことはありますか。

石橋氏:中学校はサッカー部、高校時代は帰宅部とごく平凡な学生生活を送っていました。ただ、パソコンはその時から好きでした。プログラミングはしていませんでしたが、授業の一環でHTMLを触ったのを機に、エディターで自分のページを作ったり、高校の文化祭で出す動画編集などには携わっていました。もともと、何かをつくることに興味があったんだと思います。

ちょっと変わった経験ということでいえば、実家が北海道でフランチャイズの焼き鳥店を経営していて、夏休みの一か月ぐらい、家業を継ぐために北海道の統括店で修業をしたことがあります。

―えっ、焼き鳥店ですか! 意外です。

石橋氏:とても礼儀に厳しいお店で、「アルバイトがお店に迷惑をかけることは、最悪仕方がない。だけど、お客様に迷惑をかけることは絶対に許さない」という筋の通った方針を持っていました。

エンジニアの仕事とは直接の関係はないのですが、社会人としての基礎とユーザーファーストの精神は、そこで叩き込まれたように思います。

―プログラミングをされるようになったのは、大学入学と同時に始めたアルバイトがきっかけだとか。専攻は建築だと伺っていますが、なぜエンジニアのアルバイトを選んだのでしょうか。

石橋氏:一度、実家の金銭的な事情で、大学に行くのをあきらめたことがあるんです。その時、たまたま兄が働いていた東京の会社が、アルバイトで雇ってくれるという話になりまして。ならば、働きながらお金を稼ぎ、東京の大学に行こうと決意したんです。何の仕事をやるかというのは二の次でした。

じきにHTMLの本が送られてきて、「とりあえずこれだけを覚えて東京に来い」と言われました。そこで、初めてWebの会社でエンジニアのアルバイトをやるんだと分かったんです(笑)。

―自分の意思とは関係なく、巡りあわせでエンジニアの仕事に出会われたというわけですね。具体的にはどのようなサービスを展開している会社だったのでしょうか?

石橋氏:ガラケーのポータルサイト運営や、その流れでファッションイベントなどを手掛けていた企業の、システム開発を行うグループ会社でした。例えば占いのキャリア公式サイトとか、PCやガラケーのECサイト、ブログのランキングサイトなどの開発・運営、動画配信サービスなどを開発していました。

―エンジニアという仕事をゼロから始められて、いかがでしたか。周りはプログラミングを勉強したうえで入社したスタッフが大半だったのではないかと思います。どのようにキャッチアップされたんでしょうか。

石橋氏:最初の半年ぐらいは、マークアップ・エンジニアとして、主にHTMLを書いていました。そこからウェブエンジニアの仕事にシフトし、グッと仕事が楽しくなったのを覚えています。プログラムの世界に目覚めたというのでしょうか。まずは『10日でおぼえる』シリーズでPHPをゼロから勉強して、後はいろんな本を手当たり次第に買って読んでいました。早く上達したくて、家でもずっとプログラミングをしていましたね。

また、アルバイトとはいえ、週5勤務に加え、土日や深夜も含め、フルコミットで働いていました。結構、ムチャぶりをする会社ではありましたが(笑)、実務に即投入されたのもよかったと思います。エンジニアになって1か月目に、ECサイトを一人で作ったりしていましたから。結局、このアルバイトをきっかけに、大学を中退し、エンジニアの道に進む決断をしたんです。

プログラミングをはじめたきっかけについて話す石橋氏の写真
アルバイトながら、週5、土日、深夜もエンジニアの仕事にどっぶり浸かっていたという石橋氏。
早く上達したくて、家でもずっとプログラミングに没頭していたとか

学生との二足のわらじを履くのをやめて、エンジニアに

―思い切った決断ですよね。直接のきっかけは何だったんでしょうか?

石橋氏:僕が通っていた大学は、非常に厳しいカリキュラムで有名でした。課題の提出直前には、1週間ほぼ徹夜の状態が続くということも珍しくはありませんでした。つまり、大学も仕事も全力でコミットしなくてはいけないなかで、中途半端になるぐらいなら、どっちかに絞ったほうがいいんじゃないかと考えたんです。そのほうが、今後の自分のためになるだろう、と。

加えて、僕が大学1年でエンジニアになった06年は、ある意味、IT業界にとってエポックメイキングな年でした。Googleのエリック・シュミットがクラウドコンピューティングについて初めて言及し、サン・マイクロシステムズのCTOグレッグ・パパドポラスが、「世界に"コンピュータ"は5つあれば足りる。つまりGoogleやYahoo!、Amazon.comなどの数社だけがコンピュータを持てば、もうほかに地球上のコンピュータなど不要になるであろう」と語った年でもあります。

この世界はまだまだ進化するに違いない、そう考えるとすごくワクワクしたことを覚えています。建築の世界よりも、こっちの世界のほうが自分にとっては可能性があるんじゃないか、と思ったわけです。

日進月歩で発展していくITの世界をキャッチアップしていくことのほうに、自分が伸びていくチャンスがある。その思いは強くなるばかりで、翌年の07年、大学2年の時に中退を決意し、3年の初めには退学届を出しました。不安? 不思議なくらいなかったですね。期待感のほうが大きくて、迷いも一切ありませんでした。

エンジニアの道に進んだきっかけについて真剣な眼差しで語る石橋氏の写真
Googleのエリック・シュミットらの言葉に、「ITの世界の可能性を確信した」と語る

―結局、こちらの会社には4年間いらしたんですよね。さまざまな仕事を手掛けるなかで、一番、印象に残っている案件はありますか。

石橋氏:トータル4年間で30案件ほど担当したでしょうか。技術的にチャレンジングな案件が多く、それらをほぼ単独でこなしていました。特に当時、PHPでWebアプリケーションフレームワークのデファクトがないなか、日本固有のガラケーに合わせたピュアオブジェクト指向のフレームワークなんかも手掛けていました。絵文字やセッション管理、文字コードなどガラケー特有の挙動をどう最適化するか。大学に通いながら、1ヶ月程度で作り上げたことを覚えています。

―幅広くご活躍されているなかで、なぜ再び、他の会社に転職しようと思われたんでしょうか。

石橋氏:4年間みっちりエンジニアとして仕事をしていくなかで、もっとビジネスマンとしての経験や、より規模の大きいシステム開発の経験を得たいと思い始めていた時期でもありました。そこで、縁のあった次の会社に転職を決意したんです。

基幹システム開発からウェブプロデュースまで、幅広い経験を積んだ前職

―転職した会社は、どのような会社だったんでしょうか。

石橋氏:いわゆるWebの会社というより、マーチャンダイジング、つまり自社ブランドの開発・流通事業、さらにはECサイトの運営、メディア事業など、かなり幅広くビジネスを展開している会社でした。今までやったことのないビジネスを経験できるのは、自分にとって魅力的でしたね。

―具体的にどういったポジションで、どのような案件を担当されたのでしょうか。

石橋氏:最初に配属されたのが経営戦略室という部署でした。といっても、その部署の社員は僕が第一号で、他にメンバーはナシ。いわゆる遊軍ポジションですね。

しかも、エンジニアリングの文化が根付いている会社ではなかったので、自分としてどうやってバリューを発揮するかが課題でした。会社にとって、今の課題は何だろうかと思案するなかで、問題意識として挙がってきたのがECの収益性でした。

前職時代について語る石橋氏の写真
入社早々、たったひとりでエンジニア視点から経営戦略を立案、実行していくことを求められた

早速、細かくコスト分解をしていったところ、物流とCS(カスタマーサービス)に驚くほど、ムダなコストをかけていることが判明したんです。そこでコスト最適化のために、システム、物流およびCSすべてを社内で手掛けるべきだと提案し、新プロジェクトを立ち上げました。

結果、10個ほどあったECサイトをすべて一つのインフラに統合。物流コストも複数あった拠点を一つに統合し、コストを低減することに成功しました。結果的にサービスの質向上も実現できたと自負しています。

―一般的なエンジニアという仕事の枠組みから考えると、かなり幅広い事業を扱われていたんですね。自分でやりたいと思ったことをやれる社風だったんでしょうか。

石橋氏:そういうはみ出したやり方をしていたのは、僕一人ですが(笑)、まずは一つひとつ、結果を出すことに注力した結果が、自然とそういう動き方に結びついたのだと思います。

また、物流・CS部門のマネージャーを務める一方で、IT部門のマネージャーとしても動いていました。自社・他社商品の流通を支える基幹システムの開発や、自社Webサービスなどのスクラッチ開発、インフラ構築、運用のマネジメントや実装も担当。並行して、自社Webサービスのプロデューサーも兼任していました。

―マネージャーというポジションに初めて就き、気をつけられていたポイントはありますか?

石橋氏:当時、15人が所属する部署のマネージャーで23歳と若かったので、統制をとっていくために相応の苦労はありました。例えば、業績が好調な時は問題なかったのですが、踊り場にさしかかって一時的に閉塞感が漂い始めた際に、どうメンバーのモチベーションを保っていくかが課題でした。

そこで、とにかくメンバーにはつねに未来を見せ続けようと意識していました。だから、僕が考えるインフラ統合プロジェクトの先には何があるのか。自社のWebサービスで今やっているプロジェクトでは、どういう展開を考えているのかなど、しつこく四半期に一回ビジョンを掲げて、話すように心掛けていました。

―なるほど。Webサービスのプロデューサーという仕事は、エンジニアとは異なる分野だと思いますが、御苦労はなかったんでしょうか。

石橋氏:むしろ異質の業務にトライするのは楽しかったですね。そもそもシステム、CS、物流いずれの部門も、単体で見ると利益を生み出さないコストセンターじゃないですか。一方、自社のWebサービスには、収益部門に転換する大きなチャンスがある。

BtoB、BtoCの両サイドから企画を考えてクライアントに提案したり、ユーザーに対して施策を工夫したりする。そんな事業をつくる楽しさを味わい、大きなやりがいを感じたことを覚えています。

前職での経験について笑顔で語る石橋氏の写真
エンジニアという仕事の枠にとどまらず、つねに自身のバリューを発揮することを念頭に、ビジネスの幅を広げてきたという

後編を読む先を見通す力をさらに研ぎ澄まし、最適な技術戦略を確実に実行していきたい

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