【CTOの職務経歴書】高校時代に作ったプログラムがクラスで流行!人を楽しませた感覚が忘れられず、ITエンジニアに|株式会社アカツキ CTO 田中勇輔氏【前編】

「CTOの職務経歴書」シリーズは、レバレジーズ(現レバテック)のアナリスト兼営業マンがインタビュー取材を通して注目企業のCTOに迫る企画です。

レバテック営業担当、林の写真

こんにちは。林です! 今回の「CTOの職務経歴書」は、スマートフォンサービスの企画開発、ソーシャルアプリの企画開発を行う、株式会社アカツキCTOの田中勇輔氏にご登場いただきます。

かつてはユーザー系のSIerでERPの導入や社内の技術標準化を担当していた田中氏が、どういう思いや経緯でゲームの世界に飛び込んだのか。お話を伺いました。

アカツキとは? 「ゲームの力で世界に幸せを」をミッションとしてスマートフォンサービスの企画開発、ソーシャルアプリの企画開発を中心としたサービスを提供。代表作に『サウザンドメモリーズ』など。2014年・15年の2年連続で、世界的調査機関GPTWの「働きがいのある会社」ベストカンパニーに選出。 http://aktsk.jp/

自分のプログラミングで人を楽しませることができるという原体験

―まずは、学生時代のお話を振り返っていただきたいのですが、田中さんはどのような学生でしたか。 田中氏:私が小学生のころに『アクトレイザー』というスーパーファミコン用ゲームがあって、それにハマって以来ゲームが好きになり、学生時代の10年間ほどは、ほぼ毎日数時間はゲームをやっていましたね(笑)。

―では、そのころからゲームを作りたいという思いがあったのでしょうか。

田中氏:いえ、当時はそこまで具体的な考えはありませんでした。ただ、プログラミングは高校に入ったころからやっていて、ITエンジニアになりたいという気持ちは芽生えていましたね。

コンピュータというものに最初に興味を抱いたのは、中学生のころに父がパソコンを使っているのを見て、おもしろそうだと思ったのがきっかけです。そこから、父に“買ってくれアピール”を続け(笑)、ようやく自分のパソコンを買ってもらったのが、中学を卒業するころだったと思います。

―プログラミングをされるようになったのもそのころですか?

田中氏:そうです。買ってもらったパソコンでも独学で簡単なプログラムを書いていましたが、よりプログラミングらしいものを作り始めたのは高校に入ってからです。

私が通った高校は工業高校だったのですが、BASICでプログラミングができる「ポケットコンピュータ」という端末が教材として支給されていたんです。1980年代の製品なので、今から考えれば表示機能も記憶容量もたかが知れていたのですが、当時はそれでもおもしろくて、授業中もプログラミングに熱中していました。

―その当時は、どのようなものをプログラミングされていたのでしょうか。印象に残っているものがあったら教えてください。

田中氏:定番中の定番だったブロック崩しゲームをはじめ、思いつくままに、独学でいろいろなものを作りました。そのなかでもいちばん印象に残っているのは、動体視力を計測するプログラムですね。

実はこの動体視力のプログラムは最初に作ったものなのですが、なぜ印象に残っているかというと、クラス内で流行ったんですよ(笑)。自分が書いたプログラミングで人を楽しませることができるという感覚がとても新鮮でした。

学生時代について笑顔で語る田中氏の写真
学生時代はポケットコンピュータに夢中になっていたと語る田中氏

エンジニアやプログラマーといった職種を意識したのも、ゲームに限らず、自分が興味を持っているプログラミングを通じてお金がもらえる仕事があることを知ったのが大きかったですね。

プログラミングができる仕事に就きたかった

―高校卒業後は、専門学校に通われていますが、ここでは何を学ばれたのでしょう。

田中氏:高校時代にエンジニアになりたいという意識ができていたので、基礎的なITの知識を学ぶために専門学校に行きました。ただ、今にして考えると、学校で学んだというよりは、気の合う仲間と協力して何かを作り出すことを楽しんでいましたね。

カリキュラムの一環でコンテスト形式の研究発表をしたことがあるのですが、チームでLANを使ったチャットツールを作ったら見事に優勝したんです。高校時代は自分の周りにプログラミングをやる人があまりいなかったのですが、そうしてチームを組んで、メンバーでプロダクトの形にしていく楽しみを知ったことは、アカツキでの今の開発スタイルに通じるものがあるかもしれませんね。

―就職に際しては、エンジニアという基本的な立ち位置のほかに、業種や条件といった具体的な希望はあったのでしょうか。

田中氏:正直に言うと、ほとんどなかったんです(笑)。もちろん、給与や福利厚生などは平均以上がいいな、くらいのことは考えていましたが、まずはIT業界に入ってプログラミングを仕事にしたいということと、あとは東京に出たいということくらいでしたね。

私が採用試験を受けたのは、ゲームとはなんの接点もない、東京の化学系企業のグループ会社でしたが、1社目でうまく採用が決まったため、そのまま入社しました。

当時の私は、何をプログラミングするかよりも、プログラミングをすること自体に重きを置いていたので、他の企業も見てみようという考えもありませんでした。こう言ってはなんですが、アウトプットはどういう形でもよかったんですね(笑)。

プログラミングができる仕事に就きたかったと話す田中氏の写真
最初の就職は、「東京でプログラミングの仕事に就きたい」という思いしかなかった

最初の就職で学んだこと、現在のCTOとして役立っていること

―最初に勤めたその会社では、どのような業務に携わっていらっしゃいましたか。

田中氏:グループ会社に向けてERPパッケージを導入したり、アプリケーションを提供するインフラを管理したりしていました。よく言われる「24時間365日止まらないインフラ」というやつですね。

その後、比較的早い段階から上流の業務をやるようになって、たとえば社内の開発ツールや管理ツールをRuby on Railsで作るようなこともしていました。

―Rubyはどなたかに習ったのでしょうか。

田中氏:いえ、独学です。この当時はABAPやJavaなども書いていましたが、本格的にRuby on Railsを使い出したのがこのころですね。

考えてみると、技術的な面で誰かに教えてもらったことはあまりないんです。やりたいことがあれば自分で勉強するというのは当たり前だと思っていましたし、当時の会社は技術をそれほど要求される環境ではなかったんです。

身振り手振りを交えながら語る田中氏の写真
独学で修得したRuby on Railsを使ってインフラ管理ツールを自作していたという

―今、振り返ってみて、最初の就職で田中さんが得たもの、学んだものというのは何だったと思いますか。

田中氏:どちらかというと、技術以外の部分が多いですね。たとえば、顧客の要件をどうやって引き出すかという点です。BtoB案件で失敗するケースというのは、たいてい顧客の要件を理解できていないからなんです。

顧客の要件に応えるためには、しっかりとヒアリングをする必要があるということを知ることができました。これはユーザー系のSIerだからこそ学べたことです。

それから、人を育てることの難しさを実感したのもこのころです。途中からは人を育てるポジションを任されていましたが、自分ができたことを全員ができるとは限りませんし、人によって能力も習熟スピードも違います。

チーム単位で見ると、人が育つチームと育たないチームがあります。人が育たないチームではミドルマネージャーが、会社としてのビジョンをきちんと部署の目標や戦略にまで落とし込み、共有できていないことが多い。したがって、PDCAがうまくいかないんですね。

こういう事例を見ることができたのは、現在、CTOとしての人材育成に役立っています。

笑顔で最初の就職先での経験を語る田中氏の写真
最初に就職した会社では顧客要件の引き出し方や人を育てる難しさを学んだ

もっとバリバリ開発したいという思いで転職を選択

―田中さんは2012年にアカツキへの転職を果たされます。そのきっかけや経緯はどのようなものだったのでしょう。

田中氏:もともとアウトプットにこだわりがなかったとはいえ、当時の業務は自由度も少なく、会社の意思決定もウォーターフォールで面白味がなかったんですね。プログラミングという点でも、もっとバリバリ開発がやりたいという希望がありました。

その一方で、最初に就職した会社なので、恩義という部分ではしっかりお返しをしたいとも思っていましたし、ジレンマを感じていました。

―当時の状況について、こうすればもっと良くなるといったことも考えていらしたんでしょうか。

田中氏:考えていましたね。私はそのころからアジャイル的な手法が好きで、誰か一人が決めるのではなく、情報をオープンにして議論のなかで解決策が生まれてくる方がいいという信念があります。今、振り返ると、当時の環境は真逆の状況だったことが分かります。

結局、その会社では6年間働きました。もちろん在籍中は全力投球しましたし、十分にやるべきことをやったという気持ちで、転職をすることにしました。そのときに出会ったのがアカツキのCEO、塩田元規です。

(つづく)

後編を読む自己組織化に向けて、ポジティブな情熱を持ち続けることが最高の開発を生む。

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