Ruby on Railsとは?できることやメリットも紹介

最終更新日:2023年12月25日

Ruby on Railsは、Rubyというプログラミング言語で使用されるフレームワークです。優れたフレームワークが開発されることで、言語そのものの人気が高まるケースも少なくありません。Ruby on RailsもRubyの人気に大きく貢献し、MVCモデルが注目を浴びるきっかけにもなったフレームワークです。本記事では、Ruby on Railsの概要や特徴、得意とする開発、苦手とする開発について解説します。

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この記事のまとめ

  • Ruby on Railsとは、Ruby言語で開発されたWebアプリフレームワーク
  • RubyでWebアプリを効率的に開発するために開発された
  • Ruby on Railsを使用すると開発効率を上げるなどのメリットがある

Ruby on Railsとは

Ruby on Railsは、Rubyの代表的なフレームワークの一つです。2004年に開発され、エンジニアにはRailsとも呼ばれています。フレームワークとは、プログラムの枠組みを表し、アプリケーション開発で必要となる機能や基本的な仕組みがまとめられたものです。

関連記事:Rubyとは?特徴やできることを初心者にも分かりやすく解説

RubyとRuby on Railsの違い

Rubyはプログラミング言語、Railsはフレームワークです。Rubyはオブジェクト指向のスクリプト言語で、1995年に公開されました。開発者であるまつもとひろゆき氏が、好きな言語(Perl、Smalltalk、Eiffel、Ada、Lisp)の一部をブレンドしてRubyを作ったと言われています。

一方でRuby on Railsは、Web開発に特化した機能を備えたフレームワークです。Ruby on Rails単体では動作しません。Rubyを使って効率的に開発を進めるために利用されます。

Ruby on Railsの特徴

Ruby on Railsの最大の特徴は、MVCアーキテクチャに基づいて構築されたフレームワークであることです。MVCとは、UIと内部データを分けるデザインパターンの一つで、Model、View、Controllerに機能や役割を分割して作り上げる考え方を指します。

PHPやPerlなどのプログラミング言語は、デザインパターンを意識せずに作られています。あまり注目を浴びることのなかったMVCにとって、転機となったフレームワークがRuby on Railsです。
MVCパターンの影響を強く受けているRuby on Railsの活用が広まったことで、MVCが注目される機会が増えました。

Model

Modelは、主にデータベースとのやりとりやシステム処理を司る機能です。データベースとは、さまざまな情報を集めて保存したテーブルがまとめて格納されている場所のことです。
データベースから情報を取り出したり、書き込んだりする場合は、Modelに対して指示を与える必要があります。
Railsアプリケーションの場合は、使用しているデータベースのテーブルごとにModelが用意されています。リクエストにより呼び出されたアクションは、Modelを介してデータベースとのやりとりを実施し、データを取得したり新しいデータを格納したりします。

View

Viewは、画面への表示を司る機能です。html形式でブラウザにどのページを表示するか定義づける役割を担っています。
Modelを介して取得したデータを受け渡し用の変数にセットして、Viewを呼び出します。Viewは、変数を介して渡されたデータを使用し、html形式でControllerへ返却します。

Viewは、Railsアプリケーションの中に複数用意されています。1つひとつがhtml形式のテンプレートのようになっており、Modelから与えられたデータをもとに文書を作成します。

Controller

Controllerは、指示や指令を司る機能です。ModelとViewを繋ぐ役割を持ち、ModelやViewに対してControllerが命令を与えることで初めて実行されます
Controllerでは、データの表示はView、ロジックの実行はModelに切り分けます。ロジックをModelに書かずControllerに書くことも可能ですが、そのようなコードはファットコントローラーと呼ばれ、コードの管理をうまく行えません。
ファットコントローラーにならないように、データベース管理以外のロジックもModelに切り分けて、ControllerではModelで実行したメソッドの返り値を受け取るようにする必要があります。

Ruby on Railsの考え方

Ruby on Railsは、長年蓄積された考え方に基づいて作られており、以下3つの柱を軸に構成されています。


  • ・リソースフルルーティング

    ・オブジェクト指向

    ・MVCモデル

リソースフルルーティング

リソースフルとは、「リソースを満たす」「リソースを中心とする」という意味を持ちます。ルーティングとは、リソースに対するやりとりの道筋を決めることです。Ruby on Railsでは、処理の対象となる目的を持った情報の塊をリソースとしてとらえます。このリソースに対するCRUD操作を基本としたアクセス処理の流れを構成していきます。

具体的には、あるリソースへアクセスするために必要とされている、以下7つのアクションへの割り当てを自動的に行えるルーティングです。

index 一覧
show 個別詳細
new 作成
edit 編集
create 登録
update 更新
destroy 削除

リソースフルルーティングの利用により、7つのルーティングを1行で記述することができます。

オブジェクト指向

ベース言語であるRubyのオブジェクト指向を生かして、フレームワークは無駄のないオブジェクトで構成されています。オブジェクト指向とは、効率的なソフトウェア開発のために考えられた概念です。オブジェクトとはモノを意味します。さまざまなデータを 1つのモノとして、複雑なプログラミングをオブジェクトにまとめた開発形式です。
それぞれのオブジェクトが役割を持っており、そのオブジェクトに命令を出すことで作用します。
作業者は、このフレームワークをもとにして個別のオブジェクトを生成していきます。

MVCモデル

前述したように、Ruby on RailsはMVCモデルをフレームワークの基礎にしています。
アプリケーションをModel、View、Controllerの3つに分割して作り上げることで、作業区分が明確化され、並列開発ができるようになります。これにより、開発効率はもちろん、アプリケーションの保守性も高められます。
たとえば、ユーザーインターフェースで問題が生じた場合、顧客に対して、画面表示の役割を担当するViewに原因があると推察できます。
このように、課題解決の工数も最低限に留められる点がMVCの魅力です。また、MVCモデルはコンポーネント間の依存性が最小限に抑えられており、コードの再利用性も高くなります。

フレームワークを利用するメリット

フレームワークとは、アプリケーションを開発する土台として機能させるソフトウェアのことです。枠組みや骨組みといった意味をもち、土台となるフレームワークに必要な独自の機能を追加し、アプリケーションの開発を進めていきます。

フレームワークには、Webアプリケーションフレームワークやユーティリティ系フレームワークなどの種類があります。Webアプリケーションフレームワークは、その名の通り、Webアプリケーションの作成に利用されます。ユーティリティ系フレームワークは、データのソートや文字列操作、数学関数、テストなどのアプリケーションの機能や性能、操作性を向上させるためのものです。

フレームワークを利用する最大のメリットは、目的のアプリケーションをゼロから開発する必要がないため、開発工程を大幅に短縮できることです。ただし、フレームワーク特有のコードがあるため、プログラミング言語とは別に、各フレームワークの特徴を覚えなければいけません。

生産性の向上

汎用的に使用する機能や、基本的な構造がすでに仕上がっているフレームワークを使用することで、コードの記述量を大幅に減らせます。
アプリケーション開発の土台となるコードがあれば、あとは付け足したい機能を追加するのみでアプリケーションの開発が可能です。

メンテナンス性

フレームワークにはそれぞれ制約やルールがあり、それらに従ってコーディングする必要があります。コードの一貫性を維持しやすいため、不具合や仕様変更があった場合にも問題を素早く特定できるでしょう。

品質の維持

オープンソースのフレームワークは、多くの人の手により利用実績が積み上げられ、テストも実施されているため、高い信頼性があります。Ruby on Railsにはさまざまな制約が定義されており、開発自体を単純化しています。

Ruby on Railsが得意とする開発

Ruby on Railsが得意とする開発について解説します。

Webサイト構築

Ruby on RailsはWeb系に強く、Webサイト構築の際に活躍します。Rubyそのものが比較的短いコードで実装できるようになっているため、可読性が高く、エラーを発見しやすいことが特徴です。ブログやオウンドメディアでもRuby on Railsがよく使用されており、代表的なサービスとしてGunosyが挙げられます。Gunosyは国内外のさまざまな情報をユーザーに提供するまとめサイトです。

Webアプリケーション開発

SNSをはじめとしたWebアプリケーション開発も、Ruby on Railsが得意とする開発領域です。日本国内の大手レシピサイトクックパッドは、Ruby on Railsで開発されたアプリケーションです。

ECサイト構築

Ruby on Railsを使用して、決済機能のついたECサイトを構築できます。ECサイト構築では、会員ログイン機能やオンラインストアに必要な情報があります。Rubyだけで決済機能を実装することは難易度が高く、Solidusというフレームワークや、pay.jpというAPIを使用して実装できます。Ruby on Railsを使用すれば、それらの機能をスピーディかつ簡単に実装可能です。ECサイトは機能が多く複雑ですが、Ruby on Railsの導入によって、開発期間の大幅な短縮が期待できるでしょう。

業務システム開発

社内で使用される業務システムにもRuby on Railsは使用されています。勤怠管理システムや給与計算システムをはじめとした、多種多様な業務システムの開発を支えています。社内に開発チームを持つ企業であれば、自社の運用に合わせた機能を柔軟に追加できる点も魅力です。

プロトタイピング

Ruby on Railsは簡単にアプリケーションを作成できるため、アイデアのデモやプロトタイプの構築に向いています。また、挙動を作成し検証する場合もRailsを使用すると開発速度の改善が可能です。

アジャイル開発

Ruby on Railsは「設定より規約」の原則を採用しています。そのため、開発に使用する際に細部の設定を必要とせず、コードの記述に集中できます。

Ruby on Railsが苦手とする開発

Ruby on Railsが苦手とする開発について解説します。

アプリやゲーム開発

Ruby on RailsはWeb系に強いフレームワークです。Webサービスへの開発には長けているものの、スマホアプリやゲーム開発ではほかの言語に劣るケースもあります。たとえば、スマホアプリ開発ならJavaやSwift、ゲーム開発ならC#という主要言語があり、これらの言語と比較すると見劣りしてしまうのが現状です。

人工知能開発

近年では、AIの技術が急速に発展しており、今後も需要が高まると予想されています。しかし、Ruby on Railsは人工知能の開発には適していません。Ruby on Railsで人工知能や機械学習の開発をしている事例はほとんどなく、実用性が低いのも事実です。

大人数での開発

Ruby on Railsは、大人数での開発には向いていません。その理由は実行速度の遅さです。Ruby on RailsのベースであるRubyは、インタプリタ方式が採用されています。インタプリタ方式とは、コード実行の際にプログラムを1行ずつ機械語に翻訳しながら実行する方式です。
小規模の開発であればそれほど問題はないかもしれませんが、大規模な開発になると、より実行速度の速い言語やフレームワークに移行する必要があるでしょう。

Ruby on Railsを学習するメリット

Ruby on Railsを学習するメリットについて解説します。

柔軟性が高い

Ruby on Railsは柔軟かつスピーディにサービス内容を変化させることができます。Ruby on Railsを使用して記述するコードを最小限に抑え、納期を短縮できれば、経営判断に合わせて開発ができるからです。トレンドに合わせて適切な変化を加えて魅力あるサービスを提供できます。

初心者が学習しやすい

Ruby on Railsは記述制約が厳格に定められているため、Rubyだけで記述するよりも格段に少ないコード量で実装が可能です。決められた記述ルールに則ってコードを記述していくだけで、手軽に資産を構築できます。これは、プログラミング初心者にとって学習しやすい要素の一つです。

ライブラリが豊富にある

Ruby on Railsには多くのライブラリが用意されています。ライブラリを活用することで、スピーディな開発が可能です。
ライブラリとは、汎用性の高いプログラムを再利用できる形でまとめたものです。Rubyでは、ライブラリのことをgem(ジェム)とよび、同じ名前のgemというコマンドを使用して管理しています。
主要なGemとして以下5つが挙げられます。

Devise ログイン認証機能を簡単に実装できるGemです。メールアドレスの登録だけではなく、SNSのアカウントを用いた会員登録にも対応しています。
kaminari ページネーションの実装を手助けしてくれるGemです。ページネーションとは、ブログなどの画面下で何ページ目かを示すボタンのことです。
Paperclip ファイルアップロード機能を実装するGemです。画像や動画のアップロード、保存、削除を実装できます。
Active Admin 管理画面を簡単に実装できるGemです。モデルを直接操作するための管理画面を作成でき、カスタマイズも可能です。
Faker 大量のダミーデータを作成できるGemです。Webアプリケーション開発や業務システム開発では、テストのために大量のダミーデータが必要になることがあります。Fakerを使用すれば、ダミーデータを簡単に作成できます。

求人数が多く高年収

日本でもRubyを活用した開発案件は多くあり、なかでもRuby on Railsの習得を必須としている案件がよく見られます。以下は、レバテックキャリアに掲載中の、Ruby on Railsと同じくWeb開発で多く用いられるPHPのフレームワーク、Laravelの求人数と年収の比較です。

※平均年収について、上位10件の最高値を平均にした値です。

フレームワーク 求人数 平均年収
Ruby on Rails 1,451件 672万円
Laravel 1056件 642万円

Ruby on Railsとよく比較されるフレームワークがLaravelです。求人数の違いを見ると、Ruby on Railsが400件ほど上回っており、平均年収も高いことがわかります。(※2023年12月現在)

関連記事:
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Ruby on Railsの学習方法

Ruby on Railsを学習する方法は以下の3つです。


  • ・書籍で勉強する

    ・プログラミングスクールに通う

    ・オンラインサービスを活用する


それぞれの特徴を確認していきましょう。

書籍で勉強する

独学で知識を網羅的に学びたい方におすすめの方法です。Ruby on Railsは人気のフレームワークなので、初心者向けから実務経験者向けまで幅広く展開されています。自分のレベルに合わせて書籍を選択すると良いでしょう。

一方で途中でつまずいた際に解決が難しい、情報が古い可能性があるなど完全未経験者では壁に当たる可能性があります。

プログラミングスクールに通う

効率的に学びたい、プログラミングの記述方法以外も学びたい方におすすめの方法です。実務での経験やカリキュラム外の話をしてくれるメンターと学べるため、最も実践的なスキルが身につきます。

また、プログラミング学習は挫折率が高いですが、メンタリングを通じてモチベーションを高めてくれるプログラミングスクールも存在します。挫折経験がある方にもおすすめです。

一方で、他の学習方法と比較して必要な費用が高く、20代の社会人や学生の方には難しい方法でもあります。予算などに応じて選択してはいかがでしょうか。

オンラインサービスを活用する

無料で知識を身に付けたい方におすすめの方法です。Ruby on Railsは人気のフレームワークなのでインターネット上に多くの学習サイトが配信されています。また、多くのオンラインサービスは有料コンテンツを用意しています。より実践的なスキルを身に付けたい方は追加投資を検討してはいかがでしょうか。

Ruby on Railsに関するよくある質問

最後にRuby on Railsに関する質問に回答します。

Q1. Ruby on Railsでは何ができますか?

Ruby on Railsは、データベースの管理、HTML、CSS、JavaScriptの生成、セッション管理、ルーティングなど、ウェブアプリケーション開発に必要な多くの機能を提供しています。また、MVC(Model-View-Controller)アーキテクチャを採用しており、コードの整理と管理を容易にします。これにより、開発者はアプリケーションのロジック開発などに集中して効率的に開発できます。

Q2. RubyとRuby on Railsの違いは何ですか?

Rubyはプログラミング言語、Ruby on RailsはWebアプリケーションフレームワークです。Ruby on Railsを使用するとデータベースやHTMLなどを効率的に開発できます。

一方Rubyはプログラミング言語で、Ruby on Rails同様Webアプリの構築に優れています。

Q3. Ruby on Railsを使うメリットを教えてください

Ruby on Railsを使用するメリットは以下の3点です。


  • ・生産性の向上

    ・メンテナンス性の向上

    ・品質の維持


特にRuby on Railsはログイン機能などWebアプリ開発に使用する機能が既に実装されているため、生産性の向上で使用される機会が多いです。

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