ローコード開発とは
ローコード開発とは「可能な限りコーディングの工数を削減することを目的に作られた開発手法」です。日本国内では「高速開発」「超高速開発」と呼ばれることもありましたが、ローコード開発用のプラットフォーム(LCAP)が世界的に普及したことで、ローコード開発という名称が一般化しました。
ローコード開発が注目される背景には、「ITエンジニアの不足」や「品質と短納期の両立」といった課題があります。一般的なローコード開発では、ビジュアルプログラミングツールやLCAPなどを用いて開発を進めていきます。これらは、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)をベースとしており、モニターを見ながらのマウス操作などでプログラミングを行えることが特徴です。
また、近年はローコード開発をさらに発展させた「ノーコード開発」も普及し始めています。ノーコード開発では、「ソースコードを全く記述しない」ことをコンセプトにしており、こちらも専用のプラットフォームツールを使用することが前提です。クラウドサービスプラットフォームとして有名なアマゾンウェブサービスでもノーコード開発向けのサービス「Amazon Honeycode」をリリースするなど、世界的なトレンドになりつつあります。
従来の開発との違い
おおまかな開発方法 | 必要工数 | 求められるITスキル | |
---|---|---|---|
従来型開発 | ・プログラマーが設計しコーディングを行う ・手打ちでプログラムを作成する |
・相応の工数が必要 | ・高い ・ある程度の経験が必要 |
ローコード開発 | ・ツールで作成したプログラムの部品を組み合わせる | ・少ない工数で済む | ・ロジックが理解できればカスタマイズは可能 |
ローコード開発と従来型開発の違いを整理してみましょう。ここでいう従来型開発とは、ウォーターフォールモデルなどで採用されてきた実装工程(詳細設計、コーディング)です。従来型の開発手法では、上流で作成した要件定義書や設計書をもとに、プログラマーが詳細設計やコーディングを行い、「何もないところから手打ちでプログラムを作成する」方法が採られてきました。当然のことながら、実装する機能が複雑であれば相応の工数が必要になるわけです。
一方ローコード開発では、ツールで作成したプログラムの部品を組み合わせていく作業が中心です。したがって、手打ちによるコーディング作業や、部品ごとの設計作業などが省略されることになります。
また、ソースコードに対して人の手が接触する頻度が減ることで、バグの発生確率が低下したり、開発ツールが保証している部分のテストを省略できたりと、開発工数の圧縮が可能になるわけです。
ノーコード開発との違い
おおまかな開発方法 | 必要工数 | 求められるITスキル | |
---|---|---|---|
ローコード開発 | ・ツールで作成したプログラムの部品を組み合わせる | ・少ない工数で済む | ・ロジックが理解できればカスタマイズは可能 |
ノーコード開発 | ・用意されたロジックを組み合わせる ・プログラミングする必要がない |
・少ない工数で済む | ・低い |
ノーコード開発とローコード開発は、開発方法やプラットフォームに違いがあります。ノーコード開発は基本的に特定のプラットフォーム上で行われ、ローコード開発は先述したように「ローコード開発用のプラットフォーム(LCAP)」が使われます。
また、ノーコードツールはコーディングができませんがローコードツールならコーディング可能です。
ノーコードとは
ノーコードとは、その名の通り「コードを使わない開発」をするアプローチです。プログラミングの必要がなく、関連する専門知識は一切不要で開発できます。使用するツールはテンプレート・機能があらかじめ実装されており、小規模アプリケーションや単純機能を持つアプリケーション開発向けです。
ノーコードは非エンジニアや開発部門のメンバーでなくても開発に携われるメリットがあるのですが、「高い拡張性やカスタマイズの自由度を持たせる」といった点においては従来型やローコード開発と比べて劣るといえるでしょう。
ローコード開発の将来性
IT分野の調査・助言を行うガートナー社の調査によれば、ハイパーオートメーションやSaaSの普及でローコード開発の需要が高まるとされています。
実際にローコード開発技術市場は2019年から一貫して成長を続けており、その勢いは2022年以降も続くともいわれています。ミック経済研究所によると日本国内でのローコード開発の市場規模は2023年度で4560億円まで拡大するとされており、ガートナー社は2024年までに「世界のアプリ開発の65%以上がローコードで開発される」(※1)と予測しています。
今後は、ローコード開発技術を非IT部門が購入・利用し、ビジネスユーザーが直接、ビジネスアプリケーションの開発を行うケースが増えるかもしれません。また、すでにローコード開発をスタンダードにした開発体制をとる企業も出始めています。したがって、ローコード開発自体の将来性は十分に高いと言えるでしょう。
ただし、ローコード開発で作られたシステムの保守・運用・改修などはコーディングスキルを持った人材でなければ難しいのが実情です。そのため、プログラミングスキルを持ったエンジニアがローコード開発の技術を身に着けることで、キャリアアップの一助になると考えられます。
※1 引用元:『ローコード開発の現状--なぜ今注目されるのか、何がハードルなのか』ZDNET Japan
Googleトレンドで見るローコード開発の注目度
Googleトレンドでローコードの検索数、人気度の動向を見てみると2023年8月時点で過去5年前から人気が右肩上がりであることがわかります。特に2020年からは注目度が高まり、ローコード開発に注目が集まっていると考えられるでしょう。
2017年と比べると検索数は5倍ほど増加しています。システム開発の在り方を考える上で、ローコード開発は切り離せないワードであることがわかります。
ローコード開発が注目される理由
将来的にも検索数から考えても注目されているローコード開発。なぜ、このように注目が集まっているのでしょうか。ローコード開発が注目される具体的な理由は、急速に変化するビジネス要件への対応が求められることやIT人材不足で内製化の必要性が高まったこと、DXにより新しい価値を生み出すために試行錯誤が必要なことなどが挙げられます。以下では、これらのローコード開発が注目される理由について解説します。
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急速に変化するビジネス要件への対応が求められる
ビジネス要件は時代とともに急速に変化しています。従来であれば「情報システム部門」「SIer」など現場に近い人員が開発を担当する、もしくは外部に開発をお願いするという方法が主流でしたが、追加の要件が増えるにつれアプリケーション開発の敷居を下げる必要が出てきました。
ローコード・ノーコード開発は高い専門知識がなくても、また情報システム部門以外のメンバーも開発に携われます。注文に対し柔軟に応えやすくするため、ローコード開発に着目する企業もあります。
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IT人材不足で内製化の必要性が高まったため
ローコード開発の台頭とその注目度の高まりには、いくつかの理由が存在しますが、そのなかのひとつがIT人材の不足問題です。近年、企業のDX化が進んでおり、企業は自社のシステム構築や運用を強化する必要性を感じています。しかし、十分なIT人材を確保できず、このギャップを埋めるために内製化の動きが加速しています。この背景を受け、プログラミングの専門知識がない人でもアプリケーションの開発や修正ができるローコード開発に、多くの注目が集まっています。
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DXにより新しい価値を生み出すために試行錯誤が必要
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、今のデジタル時代にあわせて企業の業務や働き方を改革する動きを指します。「ITを活用しビジネスにかかわる全てをより良くしよう」という考え方が今の時代には求められています。
こうしたDX時代において、企業は新しくデジタル価値を創出しなくてはなりません。外注だけでアプリケーション開発を行うと多くの時間とコストがかかります。一方でローコード開発はシステム開発を内製化できる手段です。こうした時代にあわせて、企業はシステム開発の在り方を見直しつつあります。
「2025年の崖」問題への対応
2025年の崖とは、経済産業省が2018年に発表したDXレポート(※2)で警告されているものです。以下は、このレポートに書いてある課題の要約です。
・既存システムが過剰なカスタマイズにより複雑化・ブラックボックス化されており対応できるメンバーが限定されてしまう(専門家の不足や市場の変化に技量がついていけないなど)
・経営者がDXを望んでも、既存システムの問題を解決・見直しする中で現場サイドの抵抗が大きく実現できない
上記の課題を克服できないと、DXが実現できないだけでなく2025年以降に最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があります。この問題を乗り越えるために、企業は基幹システムの問題点を洗い出しシステムの刷新が求められているのです。
ローコード開発では、システムの保守・管理が簡単になったり、コストや開発時間を確保してサービス向上や新規事業を展開できたりするため、2025年の崖問題に対応するには、ローコード開発は適した手法だといえるでしょう。
※2 引用元:『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』経済産業省
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ローコード開発のメリット
ローコード開発の大きなメリットは「開発工数の圧縮(開発効率の向上)」です。しかし、このほかにもローコード開発のメリットは存在します。具体的には、ビジネスユーザーによるアプリ・システム開発やシャドーITの減少、スモールスタートに対応しやすい、マイクロサービスとの相性が良いなどがあります。以下では、これらのローコード開発のメリットについて解説します。
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ビジネスユーザーによるアプリ・システム開発
ビジネスユーザーとは、「会社内の業務やビジネスモデルを熟知している担当者」です。従来型の開発では、エンジニアがビジネスユーザーに対してヒアリングを行い、業務要件などを吸い上げたうえで開発を行っていました。一方、ローコード開発では簡単な機能であればビジネスユーザー自身が実装することも可能になります。現場の要求やアイディアを直接具現化しやすく、可用性の高いアプリケーション・システムの構築につながります。
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シャドーITの減少
シャドーITとは、「企業が公に認めていないITツール」を指します。シャドーITが増えることで、情報漏洩や意図しない不具合の発生が懸念されます。ローコード開発では、非IT人材であっても開発・承認を行える体制が構築できるため、シャドーITの減少に効果があると考えられます。
スモールスタートに対応しやすい
スモールスタートに対応しやすいことも、ローコード開発のメリットです。スモールスタートとは「小さく分散して素早く始める」ビジネススタイルを指し、現代のビジネス環境では注目を集めています。多くの企業やスタートアップは、まずは小さな範囲での実験や検証を行い、成功を確認した上で拡大する戦略を採用しています。ローコード開発はその手軽さや迅速性が、スモールスタートに対応しやすいのが特徴です。
マイクロサービスとの相性が良い
マイクロサービスは、汎用性の高い機能を最小単位でいくつも作成し、状況に応じて組合せながら必要な機能・システムを構築する開発手法です。プログラムの部品を手軽に生み出せるローコード開発は、マイクロサービスとも親和性が高いと考えられます。
設計内容の可視化
ローコード開発はGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)を使った開発がベースです。GUIとは画像や画面上に分かりやすく設計図が表示されているもので、設計を容易にしてくれます。ローコード開発はGUIにより設計内容を「見える化」でき、開発後のミスマッチ・修正工数の増加を防げるのもメリットの一つです。
品質の確保と開発工数の削減
ローコードは必要最低限の記述量で開発ができ、プログラミングする部分が従来に比べて少ないです。その分ミスが減少しバグの発生率も抑えられるため、修正にかかる時間・コストの削減が期待できます。
また、エンジニアが主体となって進める必要のある従来開発手法とは異なり、ビジネスユーザーが直接開発することも可能です。業務案件との相違が起こりにくくなるため、ユーザーの目線に立った品質の確保、開発工数の削減が見込めるでしょう。
人員の技術ハードルが下がる
システムやアプリケーションの構築をするためには、高度なITスキルを持つITエンジニアの存在が欠かせません。ITエンジニアがプログラミングやデータベースの設計など、多岐にわたる専門知識を駆使してシステムやアプリケーションを作り上げます。しかし、ローコード開発の登場により、この状況が大きく変わりつつあります。ローコード開発ツールを活用することで、人員の技術ハードルが大きく下がります。
具体的には、従来はITエンジニアが行っていたデータベースの設計やHTMLのコーディングなどの作業を、技術的なスキルがない人でも実施できるようになりました。これにより、効率的に開発プロジェクトを進めることが可能となりました。
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セキュリティ対策の負担が軽減する
多くのローコード開発ツールは、セキュリティ対策を取り入れた形で設計・提供されています。これにより、開発者はシステムの基本的なセキュリティ対策をゼロから構築する必要がなくなります。ローコード開発ツールが持つセキュリティ機能を利用することで、開発のスピードを維持しつつ、安全性の高いシステムを構築することが可能となります。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発には多くのメリットがある反面、ローコード開発によって起きるデメリットも存在します。具体的なローコード開発のデメリットは、制限が多いことや上流工程の工数が増加する可能性があること、複雑な要件や動的なアプリには不向き、システム設計や開発工数計算の知識が必要、システムがブラックボックス化しやすいなどがあります。以下では、これらのローコード開発のデメリットについて解説します。
制限が多い
原則として、ローコード開発で可能なことは開発ツールやプラットフォームが取り決めている仕様の範囲内に限定されます。したがって、通常のコーディングによる従来型開発よりも制限が多くなりがちです。
上流工程の工数が増加する可能性
ローコード開発では、上流工程(Fit/Gap分析や業務プロセス分析、要件定義、基本設計)の工数がそれほど変わらないこともあります。これは、ローコード開発の制限を回避しつつ業務要求を実現したり、ビジネスユーザーが不慣れな分析・設計業務に携わったりするためです。
特に、上流工程のウェイトが大きいウォーターフォールモデルでは、工数削減効果が発揮されないかもしれません。逆に、設計・開発・テストを細かく繰り返すアジャイルモデルであれば、ローコード開発の恩恵は大きいと考えられます。
複雑な要件や動的なアプリには不向き
ローコード開発はツール機能に制限があるため、定型的な業務や小規模案件向きという特徴があります。複雑な開発案件だと適していないシーンも多く、株価のチャートなど動的なアプリには不向きである点がデメリットの一つです。適していない案件を開発する場合、従来型開発を選ぶことで解決できるでしょう。
システム設計や開発工数計算の知識が必要
ローコード開発は、多くの場合は企業内部で実施されます。ローコード開発を採用する際、企業は構築するシステムのイメージを独自に検討しなくてはいけません。また、システムの内容を考えるだけでなく、開発にかかる工数の見積もりも重要です。工数の見積もりを適切に行わないと、開発の進行が予定よりも遅れるリスクが高まります。したがって、計画するシステムの機能や要件を明確にし、それに伴う作業の工数を正確に見出すことが不可欠です。
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システムがブラックボックス化しやすい
ローコード開発は、操作がしやすく直感的にコードを生成できる一方で、コードの内容を直接確認するのが難しい側面があります。この特徴が、システムの内部をブラックボックス化してしまうリスクを持っています。その結果、特定の担当者のみが操作可能になったり、意図しない動作が生じるといった問題が起こる可能性が考えられます。
このような問題を回避するためには、以下のような対策が必要です。
-
・管理者を明確に指定する・発手法をチーム内で定期的に共有する
ローコード開発ツール一覧
ローコード開発ツールには、さまざまな種類のツールが存在しています。大きくはフリー(無料)で利用できるローコード開発ツールと有料のローコード開発ツールとに分類されます。これらのローコード開発ツールは、開発規模によってツールを選択する必要があります。以下では、これらのローコード開発ツールを無料・有料に分けて紹介します。
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フリー(無料)で利用できるローコード開発ツール
・Pleasanter
簡単な操作のみで業務アプリを素早く作成できるツールです。初心者向けにアプリ作成ガイドも公開されており、サポートも付いています。
・iPLAss
「カスタムWebアプリケーション」「モバイルアプリケーション」を迅速に構築でき、展開可能なOSSローコード開発ツールです。JavaやGroovyなどを用いたカスタムコードの記述も可能です。
・Open Lowcode
「財務アプリ」「タスク管理アプリ」などをスピーディに開発できます。拡張する場合は別途有料プランを選ぶ必要がありますが、最小限のコストで拡張できるのが特徴です。
以上の3つはフリー利用可能なローコード開発ツールです。ただし、サポートや有料機能が使いたい場合は製品版をダウンロードする必要があります。
有料のローコード開発ツール
・Microsoft Power Apps
豊富なテンプレートから選ぶことができ、ドラッグ&ドロップの簡単操作でアプリ構築が可能です。Office365などMicrosoft社製品との親和性が高く、200種類以上の外部サービスとの連携機能があります。30日間の試用版も用意されています。
・Canbus.
CRMや勤怠管理など、あらゆる業務がクラウド化できるツールです。料金プランだとユーザー数無制限であるため、社員数に関係なく定額料金で使用したい企業におすすめです。無料体験版もあります。
・AppSuite
4つのステップで簡単に業務アプリを作成できるAppSuite。その他にも既存台帳のCSV取り込み、既存アプリをコピーして編集する機能も充実しています。クラウド版では30日間、パッケージ版では60日間の無料お試し期間が用意されています。
以上の3つは有料のローコード開発ツールです。この他にも多数のツールが有償で公開されているため、適したツールを選びましょう。
ローコード開発活用例
ローコード開発は、さまざまな企業や団体で導入されています。特に古いシステムを持つ企業は、DX化対応のためにローコード開発を活用しています。以下ではローコード開発の活用例として、レガシーマイグレーションやシステムのサイロ化の解消、Notesマイグレーションといったローコード開発活用例を紹介していきます。
レガシーマイグレーション
マイグレーションとは、システムやデータなどの移行を意味しています。古いシステムを新しいシステムに移行することを「レガシーマイグレーション」と呼びます。多くの企業は、2000年代に構築した古いシステム(レガシーシステム)を現在も利用しており、これが今後の課題となっています。
レガシーシステムの問題点は、以下のようなものがあります。
-
・古い技術ベースで、新技術への対応が難しい・システムがブラックボックス化し、変更が困難
・市場の変化に対する迅速な対応が難しく、コストが増加するリスクがある
ローコード開発は、レガシーシステムのマイグレーションに効果的です。ローコードツールは、設計から実装までの機能が豊富で、モバイル対応や既存システムとの連携も容易です。そのため、開発の効率化とコスト削減が期待でき、市場の変動にも柔軟に応じることが可能となります。
システムのサイロ化の解消
サイロ化は、企業や団体の部門間で障壁ができてしまい情報共有が難しくなる現象のことです。特にシステムのサイロ化は深刻な問題となっており、異なるシステム間での情報の断片化は、業務効率の低下を引き起こします。
システムのサイロ化の解消には、システム基盤の統合が挙げられます。ローコード開発ツールを活用することで、異なるシステムを一つの基盤にまとめ、情報の連携をスムーズに行うことができます。それにより、部門間の情報共有が円滑になり、企業全体の生産性が向上します。
Notesマイグレーション
1989年にロータス・デベロップメント社が開発した「Notes」は、多くの企業で導入されているグループウェアです。しかし、発売から30年以上の時を経て、新しいシステムへの移行(Notesマイグレーション)の必要性が高まっています。
Notesの問題点は、以下のようなものがあります。
-
・部署ごとの個別最適化による拡張性・保守性の低下・サポート終了に伴うセキュリティ問題
・データ蓄積によるレスポンスの遅延
・アプリケーションとデータベースの関係による情報検索の困難さ
・Notes専門の技術者不足
これらの問題を解決するために、ローコード開発ツールが活用されています。ローコード開発ツールを利用することで、Notesの要件を満たしつつ、開発期間の短縮やシステム連携が可能となります。これにより、企業はより効率的なシステムを構築できるようになります。
ローコード開発ツールを選ぶポイント
ローコード開発ツールを選ぶ際、いくつか気を付けたいポイントがあります。先述のようにローコード開発は有料・無料含めると複数あるため、業務内容や使い勝手にあわせたものを選ぶ必要があるでしょう。
目的に合った機能のあるツールを選択
ローコード開発ツールを選ぶ上で大切なのが、提供している機能一覧をチェックすることです。目的に合うツールを選択しましょう。ローコード開発ツールの場合、すでに機能が搭載されたノーコード部分とコーディングが必要な部分の2つの要素が存在します。
選ぶときにポイントとなるのが、ノーコード部分で開発に必要な要件をどれだけ満たせるかです。ツールを比較する場合は、「どのツールが最も工数少なく開発できるか」という視点で選んでみるとよいでしょう。
実際に使用する人が使いこなせるかどうかを事前に確認
非IT人材がローコード開発を担う場合、複雑な操作や手順が必要だったりコーディングが必要な部分が多いツールであれば、本来削減できたはずのコストや時間が結局はかかってしまいます。
実際にツールを使用する人が使いこなせるかどうかは確認しておきましょう。有料ツールの使用を検討している場合でも、試用期間であらかじめ試してみることをおすすめします。
関連記事:転職エージェントに履歴書を提出する理由とは?作成のポイントも解説
ツールのサポート体制
ローコード開発ツール導入後、開発内容によっては設計や運用時につまづくこともあります。解決されない問題を抱えていると品質低下に影響するため、サポート体制があるかどうかも確認しておきましょう。
-
・段階別のサポートがあるか(導入、運用支援など)・サポートの手段(通話、メール、オンラインでの対応か)
・サポートコンテンツが充実しているか
・サポートは有料か無料か
このような観点でサポート体制をチェックすると、適切なツールを見つけやすくなります。
ローコード開発に関するよくある質問
ローコード開発に興味がある方には、ローコード開発に関連する多くの質問や疑問があるでしょう。ローコード開発に関するよくある質問としては「ローコード開発にデメリットは?」「ローコードとノーコードの違いは?」「ローコード開発の仕組みは?」などがあります。以下では、ローコード開発に関するよくある質問に回答します。
Q1. ローコード開発にデメリットは?
注目度の高いローコード開発ですが、以下のデメリットがあります。
-
・複雑な案件、動的なアプリには不向き・制限があり従来型開発と比べると自由度は低め
・非IT人材でも開発可能だがツールの習熟度によって困難が生じることもある
問題点は導入前に洗い出しておき、対策を講じることが大切です。
Q2. ローコードとノーコードの違いは?
ローコードは必要最低限の記述量でアプリケーション開発ができるのに対し、ノーコードはコーディングを必要としない点が異なります。両者の特徴は異なっていますが、非エンジニアでも開発に携わる可能性が高まるという点では類似しています。
Q3. ローコード開発の仕組みは?
ローコード開発はビジュアルプログラミングツールやLCAPなどを使い開発を進めるツールです。GUIをベースにしているため、モニターを見ながらのマウス操作などで簡単にプログラミングを行えます。
まとめ
本記事では、ローコード開発に興味がある方に向けて、ローコード開発の概要や従来型の開発手法との違い、注目される理由、将来性、メリット・デメリットなどについて解説しました。
ITエンジニアの不足や、品質と工数削減の両立などの背景から、昨今のシステム開発には「少数で素早く、高品質なものをつくる」ことが要求されている傾向があります。こうした要求に応える手法として注目を集めているのが、ローコード開発です。ローコード開発には、単なる工数削減や効率化以外にも、マイクロサービスとの相性が良い、スモールスタートがしやすいといったメリットがあり、今後更に需要が高まっていくと予想されています。ローコード開発に興味がある方は、この機会にローコード開発の学習をはじめてみてはいかがでしょうか。
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