セキュリティエンジニアになるには?必要なスキルや知識も紹介

最終更新日:2024年7月8日

セキュリティエンジニアとは、セキュリティ対策やセキュリティ攻撃に対する対応、社内のセキュリティポリシー、体制、ルールの立案などを行うエンジニアです。従業員に向けたセキュリティ教育を担当することもあります。インフラ領域、アプリケーション領域に関するスキルや、セキュリティマネジメントなどの知識が必要とされる専門職です。

この記事ではセキュリティエンジニアへの転職を考えている方に向け、セキュリティエンジニアの概要、目指すステップ、必要スキルや知識、資格、年収などについて解説します。また、職種未経験の方がセキュリティエンジニアになる方法なども解説しているので、参考にしてみてください。

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この記事のまとめ

  • セキュリティエンジニアは企業や組織の情報資産をサイバー攻撃などから守るエンジニアで、今後も需要の拡大が予測される
  • セキュリティエンジニアは、技術的なスキルと知識、経営や法律など企業業務に関する知識の両方が幅広く求められる
  • 未経験からセキュリティエンジニアを目指すことは可能だが、難易度が高く、ほかのエンジニア職種で経験を積みキャリア形成することが多い
  • セキュリティエンジニアからのキャリアパスには、同じ領域のコンサルタントやアナリスト、ホワイトハッカーなどが挙げられる

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セキュリティエンジニアとは

セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティに関する技術と知識を持ったエンジニアです。企業や組織の保有するデータやシステムなども含めた情報資産を、サイバー攻撃などの外部から守ることがミッションです。企業のシステム全般のセキュリティに関与するため、インフラ領域・アプリケーション領域に関する知識も求められます。インターネット社会の現代においてセキュリティエンジニアは非常に重要な役割を担うため、転職市場でも需要の高い職種です。

関連記事:セキュリティエンジニアとは?仕事内容や必要なスキルを解説

セキュリティエンジニアの仕事内容

セキュリティエンジニアの主な業務は、「サーバーやネットワークの設計・構築・運用」や「セキュリティ対策の選定と導入・管理」「アプリケーション構築におけるセキュリティ対策」などが挙げられます。

また、サイバー攻撃が発生したときの対処や、企業内の情報セキュリティに対する意識向上などもセキュリティエンジニアの仕事です。

以下では、これらのセキュリティエンジニアの具体的な仕事内容について紹介します。なお、所属する企業、組織によっては一部の業務のみが担当領域となる場合もあります。

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サーバー・ネットワークの設計・構築・運用

セキュリティエンジニアは、サーバーやネットワークの設計・構築・運用などにおけるセキュリティの考慮を行います。インフラ領域は、直接的に外部との接点となるため、サイバー攻撃やウイルスへの対応が必須です。情報セキュリティはウイルスや攻撃とのいたちごっこの面があり、インフラ領域での対応も継続的に行う必要があります。

システムを襲う脅威が新しくなれば、セキュリティ対策も新たなバージョンに更新が必要です。そのため、運用時に機能追加や機能修正の作業が発生するケースもあります。

セキュリティ対策の選定と導入・管理

ハードウェアやソフトウェアによるセキュリティ対策製品の選定と導入・管理もセキュリティエンジニアの業務の一つです。セキュリティ対策には利便性と安全性のバランスが求められるだけでなく、投資できるコストも考えなければなりません。

たとえば、あるサイバー攻撃の被害が100万円だと想定したときに、1000万円のセキュリティ対策は不要でしょう。シンプルな例ですが、このようなことも踏まえて必要なセキュリティ対策について総合的に判断します。

サイバー攻撃への対処

自社にサイバー攻撃が発生したときの対処もセキュリティエンジニアの仕事です。たとえば社内のパソコンがマルウェアに感染したときに被害を広げないための対策や、サーバーに不正アクセスが発生したときの通信の遮断などの業務は、セキュリティエンジニアが対応します。

アプリケーション構築におけるセキュリティ対策

企業の提供するサービスやシステムなどのアプリケーション構築におけるセキュリティ対策もセキュリティエンジニアの業務範囲です。

システムやサービス、アプリケーションなどはプログラムを組み合わせて作成されています。そのため、それぞれにセキュアプログラミングを行い、仕組み全体でセキュリティ対策が取られていることが必要です。セキュリティエンジニアは、サービスやシステム開発において、プログラムや仕組み上のセキュリティ脆弱性を事前に回避する役割も担っています。

企業の情報セキュリティに対する組織やルール作り

企業や組織において、ITシステムやデバイスを扱うすべての従業員がセキュリティ上の問題を発生させる可能性があります。このため、セキュリティ問題の発生時の対応やサイバー攻撃の手口などの知識を周知する必要があります。また、緊急事態が発生した場合の対処やセキュリティ向上のための取り組みには、組織・体制づくりも必要です。

セキュリティエンジニアは、企業や組織のセキュリティポリシー、ルールの策定や教育、組織におけるセキュリティ体制、マネジメントシステムの構築も担当する場合があります。

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未経験でセキュリティエンジニアになれる?

IT業界未経験でもセキュリティエンジニアになることは可能ですが、難易度がかなり高いです。実際には、セキュリティ以外の分野のシステムエンジニアとして従事して経験を積みスキルを高めてから、転職によりセキュリティエンジニアを目指す方法が一般的です。

以下では、セキュリティエンジニア未経験からセキュリティエンジニアに転職するキャリアについて、ケースごとに紹介します。

関連記事:セキュリティエンジニアへの転職を成功させる方法|年収や求人例も紹介

インフラエンジニアから転職する場合

セキュリティはサーバーやネットワークなどのITインフラと密接な関係があります。このため、セキュリティエンジニアになる場合には、インフラエンジニアからステップアップするのが一般的なルートの一つです。

サーバーへのセキュリティ対策ソフトの導入や、ネットワークにファイアウォールを設置するなど、セキュリティ対策にはインフラの知識が土台となるものも非常に多いです。そのため、インフラエンジニアで得た知識をアピールできれば、比較的セキュリティエンジニアに転職しやすいでしょう。

インフラエンジニア以外のSEから転職する場合

インフラエンジニア以外のエンジニア職種からセキュリティエンジニアになることも可能です。特にセキュリティに配慮したセキュアプログラミングは、脆弱性の少ないソフトウェア開発において必須のスキルです。

セキュリティエンジニアにはセキュリティに関する知識やスキルが必須ですが、他分野のSEであっても、これまでの経験やスキルを活かすことができます。

エンジニア未経験から目指す場合

エンジニア未経験からセキュリティエンジニアを目指すのは非常に困難です。セキュリティ領域の技術は、一般的なIT知識の上に成り立っています。他分野であっても、エンジニアとしての知識・スキルがベースとして必要となることが多いでしょう。

エンジニア未経験の方は、いきなりセキュリティエンジニアを目指すのではなく、まずはインフラエンジニアやシステムエンジニアを経験してから目指すと良いでしょう。

インフラエンジニアやシステムエンジニアなどの職種に就いたら、サーバーやOS、ネットワークに関する業務に積極的に取り組みましょう。さらに情報処理安全確保支援士などの資格の取得など段階的にステップアップすることで、セキュリティエンジニアに必要なスキルが徐々に身につきます。

関連記事:未経験でセキュリティエンジニアになれる?求人や必要なスキルを紹介

転職エージェントの活用も一つの手

IT職種未経験からセキュリティエンジニアを目指す場合には、転職エージェントを活用してアドバイスをもらいながらキャリアプランを作っていくことも一つの選択肢です。

IT未経験の方でも、ITリテラシーや論理的思考などのセキュリティエンジニアに必要となる素養を持つ人もいます。転職エージェントの活用には、未経験可の転職情報を得る以外にも、第三者から見たエンジニアとしての適性などの評価を受けられるメリットがあります。

もちろん、理想的な転職先を探す上でもエージェントの利用は有効です。

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セキュリティエンジニアになるには

セキュリティエンジニアになるには、インフラやITの基礎スキルやセキュリティに関する高い知識・スキルが必要です。

セキュリティエンジニアはインフラやアプリを専門分野に持つエンジニアに比べて、高度かつ専門的なスキルと知識が求められます。しかし少しずつ段階を積んで成長していけば、着実にセキュリティエンジニアを目指してステップアップできます。

ここではセキュリティエンジニアになるための方法をステップ別に紹介するので、参考にしてみてください。

インフラやITの基礎的スキルを身につける

セキュリティエンジニアにはセキュリティの知識が必要ですが、その前段階として、インフラやITの基礎スキルを身につけていることが必要となります。具体的には、サーバーやOS、ネットワークの知識などです。これらはシステムやアプリケーションの開発には必須の知識となります。

インフラのスキルを身につけるためには、インフラエンジニアとして仕事をするのが最も効率的ですが、ほかのITエンジニア職種でも業務を通じて習得可能です。将来、セキュリティエンジニアとして転職したいのであれば、インフラに携われる業務に積極的に参加しましょう。

資格やスクールなどでセキュリティの知識とスキルを身につける

インフラやITの基礎的スキルを身につけたら、資格やスクールなどを利用してセキュリティの知識とスキルを身につけましょう。具体的には、自分でサーバーを立ててソフトウェアのファイアウォールを導入してみたり、セキュリティ関係のWebサイトを購読して最新のセキュリティ情報を入手したりするのがおすすめの方法です。

またセキュリティ関係の資格合格を目指して勉強するのも良いでしょう。セキュリティに関連する資格は、レベルや専門領域によりさまざまな資格が設けられているので、自分の興味のある資格や転職先で評価されそうな資格を調べて、合格に向けて勉強しましょう。資格取得は、スキルを身につけられるだけでなく、転職活動時にセキュリティエンジニアとしてのやる気や専門性が認められて有利になります。

セキュリティについてどう学習していいか分からない、独学が苦手という場合にはスクールの活用がおすすめです。専門的な知識を持つ講師がカリキュラムに沿って教えてくれるため、効率的に知識やスキルを習得できます。

セキュリティエンジニアへの転職活動を開始する

ある程度のセキュリティの知識とスキルが身についたと判断したら、いよいよセキュリティエンジニアになるための転職活動の開始です。

転職活動時には、これまでのエンジニアとしての業務経験とセキュリティエンジニアになるために学んできたことを整理しましょう。具体的には、業務で使用したことがあるサーバーやOSの種類、ネットワークの設計や構築、自主的に学んできたセキュリティに関する知識などです。履歴書や職務経歴書を念入りに作り込み、面接対策も十分に行って、セキュリティエンジニアへの転職活動を開始しましょう。

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セキュリティエンジニアの需要と将来性

IPAが発行している「情報セキュリティ白書2023」でも、情報セキュリティ人材の不足とDX実現への必要性が明記されています。2021年に当時の内閣が閣議決定した「サイバーセキュリティ戦略」においてもその重要性が記述され、ITスキル標準であるITSS+にもセキュリティに関する基準が加えられました。

セキュリティエンジニアは需要が右肩上がりに高まり、今後も必要とされるエンジニアの一つです。技術領域では関連範囲が多いため、各種エンジニアからのキャリアップ先としても有望視されています。

またセキュリティエンジニアとしてのスキルがあれば、コンサルタントやアナリストとしてのキャリアアップも可能です。セキュリティを強固にしたいがどうすれば良いか分からないといった企業も多いため、知識を活かしたコミュニケーションや分析にも需要があるということです。

関連記事:セキュリティエンジニアの将来性は?やめとけと言われる理由

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セキュリティエンジニアに必要なスキルと知識

セキュリティエンジニアに必要なスキルや知識は非常に多岐にわたります。

セキュリティエンジニアは、基礎的なITスキルやサイバーセキュリティに関する知識はもちろん、経営や法律、規格認証などについての知識も必要です。また、セキュリティエンジニアのなかでも上流工程を目指していきたいのであれば、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルを高めていく必要があります。

以下では、セキュリティエンジニアに必要なスキルと知識を紹介します。

基礎的なIT技術系のスキルと知識

IT全般の技術系のスキルと知識は、エンジニアとして業務をする上で必要不可欠です。それはセキュリティエンジニアも例外ではありません。また、ほかのエンジニアとの円滑なコミュニケーションのためにも、ITの基礎知識を保有していることを示せる基本情報技術者試験レベルのスキルと知識は必須といえます。

経営に関する知識

セキュリティエンジニアは経営に関する知識もあると良いでしょう。特にコンサルティング領域に携わるセキュリティエンジニアには必要な知識です。

企業にセキュリティ事故が発生すると、金銭的な被害が発生したり、顧客からの信頼が失われる原因になったりと、企業の経営に大きな影響を与えます。セキュリティエンジニアとして、セキュリティ事故発生時にどの程度の被害や影響が発生するのか、事前にリスク管理するための知識があるのとないのとでは大きく差があるでしょう。

法律に関する知識

セキュリティ対策には法律と密接に関係しています。そのため、セキュリティエンジニアはセキュリティに関する法律も押さえておく必要があるでしょう。

たとえば生存する個人に関する個人情報保護法の知識はセキュリティエンジニアにとって知っておくべき内容です。ほかにもサイバーセキュリティ基本法不正アクセス禁止法など、セキュリティに関する法律はいくつもあります。しかし法律に関するすべての知識を自分で身につけるのは困難であるため、いざというときに頼れる外部の法律の専門家とのコネクションがあると良いでしょう。

規格認証に関する知識

セキュリティに関する規格と認証についての知識もセキュリティエンジニアには必要です。企業はこれらの認証を取得することで、事業の展開を有利に進め、顧客からの高い信頼も得られます。

たとえば、ISO27001という情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する規格があります。こちらの規格認証が得られれば、企業や組織において、情報セキュリティに関するルールやマネジメント組織が整っている証明となります。しかし、この規格認証を取得するためには、規格に沿ったセキュリティマネジメントシステムの構築と運用が必要で、セキュリティエンジニアは組織の全体を認証取得に導く行動が必要です。

サーバーやネットワーク、OSの知識

サーバーやOS、ネットワークなどのインフラの知識はセキュリティエンジニアとしての生命線です。それぞれの構築や運用方法に加えて、セキュリティ面ではどのような考慮が必要なのかについても押さえておきましょう。

近年ではクラウド環境へITインフラを構築するケースが増えています。当然ながら、クラウドの利用および環境に関するセキュリティについてもセキュリティエンジニアに求められる知識となります。

サイバーセキュリティに関する知識

サイバーセキュリティとは、デジタル化された情報の改ざんや漏えいを防ぐ手段のことで、情報セキュリティの中核を担う技術です。サイバーセキュリティに関する知識は、ニュースサイトなどで簡単にキャッチアップできます。最新のセキュリティ事情やサイバー攻撃に関する情報、新たに登場するサイバー攻撃の手口や事例、業務で導入しているセキュリティソフトのバージョンアップ情報なども把握しましょう。

特にソフトウェアの脆弱性の情報はゼロデイ攻撃への対策として重要です。ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアの脆弱性が発見されてから、対策が提供される前に狙う攻撃のことです。自社で導入しているソフトウェアの脆弱性が発覚した場合は、迅速に修正プログラムを適用する必要があります。

関連記事:セキュリティエンジニアに求められるプログラミングスキルとは

マネジメントスキル

マネジメントスキルは、チームメンバーやスケジュール、成果物の品質などを管理するスキルのことです。セキュリティエンジニアがマネジメントスキルを活かす機会として、企業や組織における情報セキュリティマネジメント(ISMS)の構築と運用が挙げられます。組織全体の情報セキュリティへの対処状況の管理は、管理対象が大きいだけに求められるスキルのレベルも高いものとなります。

コミュニケーションスキル

セキュリティエンジニアは、クライアントやチームメンバー、組織の従業員とコミュニケーションを取る必要があります。コミュニケーションの方法は、会話、メール、プレゼンテーション、電話、チャットツール、資料の共有などさまざまです。どのコミュニケーション方法でも、適切に情報共有できることが重要です。

またヒアリングや交渉などコミュニケーションスキルの中でもビジネスに特化したスキルも必要になります。

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独学でセキュリティを勉強するための参考書

セキュリティに関する参考書も多く販売されており、独学で知識を深める際に大いに役立ちます。

スキル習得の面では、スクールや学習サイトを利用したほうが効率的ですが、セキュリティマネジメントやセキュリティ攻撃についての知識習得には書籍がおすすめです。以下では、セキュリティエンジニアに必要な知識の習得に役立つおすすめの書籍をピックアップして紹介します。

関連記事:セキュリティエンジニアになるための効果的な勉強方法

『図解入門 よくわかる最新情報セキュリティの技術と対策』

『図解入門 よくわかる最新情報セキュリティの技術と対策』(秀和システム、若狭 直道)

情報漏洩対策、マルウェア対策などだけでなく、ソーシャルエンジニアリングなど、セキュリティの基礎から応用まで幅広く網羅されている一冊です。基礎から一通りのセキュリティの内容を学ぶことができるようになっているため、入門書として活用できます。

『この1冊ですべてわかる 情報セキュリティの基本』

『この1冊ですべてわかる 情報セキュリティの基本』(日本実業出版社、島田 裕次)

情報セキュリティの必要性からサイバー経営、情報セキュリティは何から手をつけるべきかといった内容が解説されています。経営視点でセキュリティを学ぶことができ、顧客の視点でのセキュリティへの取り組みを知る上で役立ちます。

『絵でわかるサイバーセキュリティ』

『絵でわかるサイバーセキュリティ』(講談社、岡嶋 裕史)

サイバーセキュリティについて絵で分かりやすく解説している書籍です。内容としてはセキュリティに関する基本的なものです。初歩的な内容以外にも、プロトコルやIPアドレスなどネットワークの概念、暗号化、ハッシュ、PKIなどのサイバーセキュリティの専門用語についても解説されています。

『ホワイトハッカー入門 第2版』

『ホワイトハッカー入門 第2版』(インプレス、阿部 寛樹)

現役のホワイトハッカーがハッキングの方法とそれを防ぐためのノウハウについてまとめた書籍です。実際の環境構築やハッキングについてではなく、基礎的な内容であるため、入門書として読みやすいです。この書籍で基本を学び、後から実際に試すといったステップアップが可能です。

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セキュリティエンジニアへの転職に役立つ資格

セキュリティエンジニアとしてのステップアップやスキルを証明する手段として、資格の取得が効果的です。セキュリティエンジニアへの転職に役立つ資格として、「情報処理安全確保支援士試験」「CompTIA Security+」「公認情報セキュリティマネージャー(CISM)」などが挙げられます。

ほかにもさまざまなIT関連の資格が役立ちますが、ここではセキュリティに特化した資格を紹介します。

関連記事:サイバーセキュリティのおすすめ資格11選!難易度と勉強方法も紹介

情報処理安全確保支援士試験

情報処理安全確保支援士試験は情報処理推進機構(IPA)が運営している情報処理技術者試験の一つで、経済産業省の認定する国家資格です。情報セキュリティの専門家としての知識とスキルを認定するものです。

合格後、登録を行うことで情報処理支援士(登録セキスぺ)となることができ、情報セキュリティの専門家としての信頼性を担保することができます。試験合格後には、年に1回のオンライン講習と3年に1回の実践講習を受講することが、資格を維持するための条件となっています。平成28年までは情報セキュリティスペシャリスト試験と呼ばれていました。

CompTIA Security+

CompTIA Security+はグローバルなIT業界団体であるCompTIAによって実施されているセキュリティに関する国際資格です。ベンダーニュートラルな試験であり、国際的にも認められた資格です。セキュリティ関連業務の2年程度の実務スキルが問われます。日本語での試験配信にも対応しており、有効期限は3年です。2024年4月23日より試験が改訂されたため、出題範囲などをしっかりと確認してから試験に臨みましょう。

下記の点に重点をおいた試験内容となります。

  • ・エンタープライズ環境でのセキュリティ態勢を評価し、必要とされる適切なセキュリティソリューションを推奨と実装

    ・クラウド、モバイル、IoTなどハイブリット環境の監視と保護

    ・ガバナンス、リスク、コンプライアンスの原則を含む、適用される法律とポリシーへの認識と適用

    ・セキュリティイベントやインシデントの特定、分析、対応

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公認情報セキュリティマネージャー(CISM)

公認情報セキュリティマネージャー(CISM)はISACA(情報システムコントロール協会)による国際資格です。情報セキュリティマネージャーを対象に情報セキュリティに関するマネジメント力を認定します。情報セキュリティに関する業務への従事5年、情報セキュリティマネジメント業務3年程度の知識を有することが問われます。

試験対象の領域は下記の割合です。

  • 1. ドメイン1 - 情報セキュリティガバナンス(17%)

    2. ドメイン2 - 情報リスクの管理(20%)

    3. ドメイン3 - 情報セキュリティプログラムの開発と管理(33%)

    4. ドメイン4 - 情報セキュリティのインシデントの管理(30%)

シスコ技術者認定

シスコ技術者認定は、ネットワーク機器大手のシスコシステムズが実施しているネットワーク技術者向けのベンダー資格です。

セキュリティに関する区分としては、CCNP SecurityとCCIE Securityの2つの区分が実施されています。試験はコンピュータを使って解答するCBT方式で日本全国のピアソンVUE公認テストセンターで実施されています。

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の運営する資格試験で、経済産業省の認定する国家資格である情報技術者試験の一つです。情報セキュリティマネジメント試験は、セキュリティマネジメントの実施者を対象としており、セキュリティエンジニアとしては基礎的な分野の試験にあたります。セキュリティエンジニアとしてクライアントに求められる内容となるため、業務上役立つ資格といえます。

SPREAD情報セキュリティサポーター能力検定

SPREAD情報セキュリティサポーター能力検定は一般財団法人草の根サイバーセキュリティ推進協議会(Grafsec) が主催する資格試験です。試験内容としては情報セキュリティに関する基礎的な知識が問われます。資格試験としての難易度は低いので、情報セキュリティの入り口的な試験といえるでしょう。

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セキュリティエンジニアの年収

2024年5月時点でレバテックキャリアにて公開している求人・転職情報には、職種「セキュリティエンジニア」で420件(内募集中158件)が登録されています。ここからランダムに30件を抽出し、最高年収と最低年収の中間値から平均年収を算出すると、セキュリティエンジニアの平均年収は約756万円と推定できます。

セキュリティエンジニアの年収は、本人の保有スキルとそのレベル、実務経験の有無、経験年数などにより大きく幅があります。最高年収が1000万円を超える求人・転職情報も多々存在しており、高年収も期待できるでしょう。

エンジニア未経験の方は最初は低い年収からスタートし、スキルアップ転職などを経て年収を上げていくのが一般的です。エンジニア経験者の方は前職の年収が考慮されますが、セキュリティに関連するスキルがない場合は年収が下がる可能性もあります。スキルアップすれば前職のキャリアも加わり、さらなる年収アップを狙うことが可能です。

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関連記事:セキュリティエンジニアが年収1000万円を目指すには?想定年収や将来性も紹介

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セキュリティエンジニアに向いている人の特徴

セキュリティエンジニアへの転職を検討する際に、気になるのが適性です。自分がセキュリティエンジニアに向いているかどうかについて知ることは、キャリアを検討する上で重要な要素です。

セキュリティエンジニアに向いている人の特徴としては、「几帳面」「辛抱強い」「知的好奇心がある」「責任感が強い」などが挙げられます。ここでは、セキュリティエンジニアの適性について紹介します。

几帳面な人

あらゆる範囲に対して気を配り、一つずつ対応のできる几帳面な人はセキュリティエンジニアに向いています。情報セキュリティは組織全体の中の一部でも隙があれば、そこを突いて攻撃されてしまうため、綻びのない対策が必要となります。細かいところは気にならないという大雑把な方にはあまり向いていません。

辛抱強い人

情報セキュリティ確保を行う仕事はあまり表立った成果が見られない業務といえるでしょう。また、継続的に作業を行い対策を完遂することが求められます。

セキュリティ上のトラブルが発生した場合には、強いショックを受けるものですが、その後の対応や再発防止策の検討までもが迅速に求められます。

セキュリティエンジニアにはこれらの仕事をやり切ることのできる辛抱強い人が適しているといえます。

知的好奇心がある人

情報セキュリティ分野は技術の発展が活発でトレンドの移ろいが速い分野です。その背景には、サイバー犯罪者の手口の多様化、巧妙化などが存在しますが、セキュリティエンジニアはこれらの変化に対応し続けるため、情報セキュリティに関する学習を続けることが必須です。知的好奇心があり、知識やスキルの継続的な学習ができる人はセキュリティエンジニアに適性があるといえます。

責任感が強い人

セキュリティエンジニアの守る情報資産は企業や組織にとって重要性が高く、一つのミスが大きな損害に繋がってしまいます。そのため、責任感を持ってやり遂げることにやりがいを感じられる人が向いているといえます。

また、セキュリティエンジニアの仕事に終わりはなく、継続的に守り続けなければなりません。責任感を持って仕事をやり続けられることも求められる素養となります。

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セキュリティエンジニアのキャリアパス

セキュリティエンジニアを目指す際に、その先のキャリアパスを知っておくと将来を明確に見据えることができるでしょう。

セキュリティエンジニアのキャリアパスとして、「セキュリティコンサルタント」「セキュリティアナリスト」「ホワイトハッカー」などが挙げられます。これらは、セキュリティエンジニアとして身につけた専門的な知識が活かせる職種です。以下で詳しく説明していきます。

関連記事:セキュリティエンジニアのキャリアパス - 同分野・異分野に分けて解説

セキュリティコンサルタント

セキュリティエンジニア業務の中でも、特に上流工程に特化した職種がセキュリティコンサルタントです。

セキュリティコンサルタントは、企業や組織のITインフラおよびアプリケーションに対してセキュリティ診断を行い、脆弱性が発見された場合には適切な処置を提案します。また、セキュリティに対する組織作り、ルール作り、ISMS規格への認証支援なども業務に含まれます。

セキュリティアナリスト

セキュリティエンジニアの業務において、サイバー攻撃への対処がありますが、さらにこの方面に特化したキャリアパスがセキュリティアナリストです。サイバー攻撃に対する調査・分析・対応を行い、対抗手段となるソリューションを提案することがセキュリティアナリストの業務となります。

セキュリティエンジニアに必要となるスキルに加え、より深くサイバー攻撃やウイルスなどについての理解が必要となる専門職です。

ホワイトハッカー

セキュリティアナリストと近似するエンジニア職種として、ホワイトハッカーとなるキャリアパスも存在します。ホワイトハッカーはハッカーという名前ですが、知識やスキルを善良な目的で利用します。サイバー攻撃手法などに精通し、実際にハッキングを行うことなどにより、セキュリティ性能の高い仕組みを作ることがミッションです。

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セキュリティエンジニアに関するよくある質問

セキュリティエンジニアへの転職を検討する際、さまざまな疑問が浮かぶでしょう。

セキュリティエンジニアについてのよくある質問として、メリットや向いている人の特徴などが挙げられます。また、セキュリティエンジニアの仕事の流れを知りたいと考える人も多いようです。以下では、セキュリティエンジニアに関するよくある質問とその回答を紹介します。

Q1. セキュリティエンジニアの1日のスケジュールは?

以下は、セキュリティエンジニアの1日のスケジュールの一例です。

  • 10:00 出社

    10:05 連絡事項の確認

    10:15 問題点や脆弱性の確認

    10:30 案件タスクの実施

    12:30 昼食

    14:00 社内会議

    15:00 取引先への往訪

    16:30 案件タスクの実施

    18:15 報告書作成など

    18:30 退社

Q2. セキュリティエンジニアのメリットは?

セキュリティエンジニアは、セキュリティに特化しており、企業システムをサイバー攻撃から守る仕事です。つまり、セキュリティエンジニアは自身の専門スキルを活かして企業システムを守れるというやりがいがあります。また、専門性の高いスキルは需要が高く、望むキャリアパスを選択しやすいこともメリットです。

Q3. セキュリティエンジニアにはどのような人が向いていますか?

セキュリティエンジニアは、企業や組織のセキュリティを細大漏らさず守る役割を果たします。このためには、細かな点に気を配れ、粘り強く、セキュリティトレンドを継続的にチェックし、仕事に責任を持つことができる人が向いています。

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まとめ

セキュリティエンジニアの概要や必要なスキル、セキュリティエンジニアの目指し方などについて解説しました。セキュリティエンジニアは、企業や組織の業務のデジタル化、DXによる変革が推進されている状況から、欠かすことのできない存在であり、今後も高い需要が見込まれる職種です。

セキュリティエンジニアになるには、幅広い知識と高度なスキルが求められます。未経験からセキュリティエンジニアを目指すためには、インフラエンジニアになることや、資格を取得することが有効です。セキュリティエンジニアへの転職を検討しているのであれば、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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この記事の監修

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