- プロジェクトマネージャーに求められる7つのスキル・経験
- そもそもプロジェクトマネージャーとは
- プロジェクトマネージャーに向いてる人が持っている5つの資質
- スキルアップするためのポイント
- プロジェクトマネージャーの仕事に役立つ資格
- プロジェクトマネージャーになるには
- プロジェクトマネージャーのスキルに関するよくある質問
- まとめ
プロジェクトマネージャーに求められる7つのスキル・経験
プロジェクトマネージャーの主な業務は、プロジェクト全体の指揮と管理です。このプロジェクト管理に必要なスキルとは、豊富な専門知識や問題解決スキル、全体に的確に情報を周知できるリーダーシップやコミュニケーション能力、内部と外部とのやり取りをスムーズに行う交渉力などが挙げられます。
まずはプロジェクトマネージャーになるために求められる7つのスキルと経験を解説します。1つずつチェックしていきましょう。
関連記事:プロジェクトマネージャーに役立つおすすめの資格と難易度を解説
1.専門知識と豊富なプロジェクト経験
プロジェクトマネージャーとなるには、技術的なスキル、システム開発に関する知識、そしてプロジェクトへの従事経験が必要です。
プロジェクトマネージャ―は所属メンバーを率いてプロジェクトを牽引する立場です。このため、システム開発に関する技術的なスキルやシステム開発技法への知見が必要となります。また、プロジェクト内で発生するさまざまな課題については、ケーススタディとしてプロジェクト経験が役に立ちます。
2.問題解決スキル
先述のとおりプロジェクト推進ではさまざまな課題、問題、トラブルが発生します。エンジニアとしての立場から、技術的な課題の解決を行うことも必要です。また、クライアントの業務部門とシステム部門、自社とパートナー企業などの複数のプロジェクト関係者の間で発生する問題もあります。理想論ではなく、関係者全員が納得できる落としどころを探すような問題解決においても、プロジェクトマネージャーは重要な役割を果たすことが求められます。
3.リーダーシップ
プロジェクトマネージャ―はプロジェクトの先頭に立ち、メンバーを率いる立場です。メンバーに適切な業務と責任を割り振り、モチベーションを維持して、プロジェクト全体を推進します。チーム内の人間関係の面での配慮や、チームと所属企業との間に入ることもプロジェクトマネージャーの仕事に含まれます。
4.コミュニケーション能力
プロジェクトの関係者は、場合によりますが多岐に渡ることも少なくありません。クライアントの業務部門と情報システム部門、システムベンダー側の企業とそのパートナー、自分の所属する企業の上司や営業担当者、マルチベンダープロジェクトの場合には他ベンダーとの折衝もあり得ます。
プロジェクトマネージャ―はプロジェクト推進を行うという共通目的を持って、これらの関係者の間に入り、円滑なコミュニケーションを構築する役割も果たします。相手の立場を慮ってコミュニケーションできるスキルが必要です。
5.柔軟な対応力
プロジェクトマネージャーは、例外的な状況に対応しなければならないことも多々あります。クライアントからの要望が曖昧な場合もあれば、プロジェクトの過程で大きな変更が生じたり、思いがけないトラブルが発生したりすることもあります。それらの事態にあったときには、慌てることなく状況を確認して柔軟に対応できる力が必要とされます。
6.交渉力
コミュニケーション能力の項で記載したとおり、プロジェクトマネージャ―はプロジェクト関係者の間を取り持ち、プロジェクト推進という同じ目的に向けて動けるように立ち回ります。その際には、利害関係や過去の事柄が原因となり意見がぶつかったり、対立したりする場合もあるでしょう。
プロジェクトマネージャ―はこれらの間に入り、お互いが納得できる妥協点を探すため、細かい交渉を行っていくことも業務の範疇となります。お互いビジネスとしての立場もあり、金銭的な条件も絡む問題でもあり得ることから、プロジェクトの頓挫を避けるために粘り強く交渉をするスキルが重要となります。
7.ビジネスマネジメント
プロジェクトはビジネス上の課題を解消するために発足する場合が多いです。そのため、単にスケジュール通りに推進するだけでなく、ビジネスの背景や考えを理解しながら、課題解消や方針決定をしていくことが求められます。お客さまとの良好なリレーション、新規プロジェクトの提案、プロジェクト遂行上で発生するビジネスリスクの回避・軽減、契約や関連法規などのビジネスマネジメントに関する知識・スキルが必須です。
そもそもプロジェクトマネージャーとは
プロジェクトマネージャーとは、開発シーンに限らずプロジェクトに対して目標達成できるよう、プロジェクト全体を管理する職種を指します。当記事ではシステム開発の場面で重要な役割を持つプロジェクトマネージャーについて説明します。
プロジェクトマネージャーのミッションはQCD(Quality、Delivery、Cost)を確保してプロジェクトを推進することです。その仕事内容をまとめると下記のようになります。
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・システム開発計画(プロジェクト計画)の策定
・プロジェクトチームの編成
・プロジェクトの推進、管理
・評価およびレビュー(主にQCDに対して行う)
また、プロジェクトの推進はもちろん、必要な情報収集やトラブルの解決、全体の意思決定もプロジェクトマネージャーの役割です。
業務内容は多岐にわたり責任の大きいポジションですが、その分やりがいがあり役職も高い立ち位置といえます。仕事内容や役割について、詳しく見ていきましょう。
関連記事:プロジェクトマネージャーの平均年齢は?何歳まで目指せる?
プロジェクトマネージャーの仕事内容
プロジェクトマネージャーの仕事内容を大きく4つに分けました。前線で作業するエンジニアや、顧客とのやり取りが中心の営業とは異なる立場ではありますが、ときにはエンジニアのような仕事を行ったりクライアント対応をしたりと、オールマイティな働き方が求められます。
仕事内容を1つずつチェックしてみましょう。
システム開発計画(プロジェクト計画)の策定
システム開発計画(プロジェクト計画)の策定は、プロジェクト推進に欠かせない工程であり、PMの腕が問われる作業です。システム開発計画の中では、ビジネスの目標設定やスケジュールの策定、スコープ・リスク・コスト等のプロジェクトに関わる事項のマネジメントの考え方を整理した上でプロジェクトメンバーに周知徹底させることが求められます。
プロジェクトチームの編成
プロジェクトは様々な役割を持つメンバーが集まって進めるものです。そのため、自分の担当するプロジェクトの特徴を正確に捉え、どのようなスキルセットを持つ人が必要なのかを明確にした上で、プロジェクトチームを編成する必要があります。これがうまくいかないと、役割外のタスクを実施する人が出てきたり、知識や経験の浅いメンバーの作業によって品質低下リスクを抱えることになります。
プロジェクトの推進、管理
プロジェクトマネージャーはプロジェクトが定められたスケジュールで推進することが求められます。そのため、クライアントと定例などを開催し、進捗を報告したり、WBSなどを使って遅延が発生していないかを管理します。当初想定していないタスクや仕様変更が発生した場合には、予算調整やスケジュール調整が求められます。内部のタスク管理、外部向けの進捗報告など、プロジェクトに関わる全体管理を行うのがプロジェクトマネージャーの仕事といえます。
評価およびレビュー(主にQCDに対して行う)
プロジェクトは各工程で設計成果物を作ったり、テスト実施時の証跡を作成したりします。その中でプロジェクトマネージャーの役割は、メンバーが作成したそれらのドキュメントに対して全体整合性をチェックし、必要に応じて修正依頼を出します。
リリースを終えてプロジェクトを完了するタイミングでは、プロジェクト全体を通じてマネジメントに問題はなかったのか、品質はどうだったのかなどの評価を行い、次の類似プロジェクトに生かせる部分をまとめておくことも重要な仕事です。
プロジェクトマネージャーの役割
プロジェクトマネージャーの仕事内容であげたプロジェクト推進を行うべく、下記の役割を果たします。
・プロジェクト運営における意思決定
・プロジェクトの推進
・プロジェクト進行の阻害となるトラブルの解決
・プロジェクト推進に必要な情報提供
・チーム内外との円滑なコミュニケーション促進
プロジェクト運営における意志決定
プロジェクトマネージャーにとって意思決定は重要な役割です。プロジェクトを運営していると、課題や不測の事態が発生することは多くあります。当初のプロジェクト計画に従って推進することが困難であると考えられる場合には、方針変更やスケジュールの調整、リソース調達などに動く必要があり、その方針となる意志決定を行うのがプロジェクトマネージャーの仕事です。
プロジェクトの推進
プロジェクトマネージャーはプロジェクトを推進していく役割を担います。プロジェクトメンバーに対して目的や目標を明確に伝え、メンバーの成果物に対してレビューを行うなどをしながら推進していきます。プロジェクトに部署やチームを横断した関係者がいる場合、適切なステークホルダーを含む打ち合わせの設定や、全体スケジュール管理なども求められます。
プロジェクト進行の阻害となるトラブルの解決
プロジェクトにトラブルはつきものです。軽微なものであれば、各メンバーが判断して対応していくことも可能ですが、プロジェクト進行の阻害となるような大きなものであればプロジェクトマネージャーが能動的に解決に動いていく必要があります。その際、トラブルの本質を見極め、いつまでに解消していればプロジェクトとして問題ないのか、誰がその課題を解消できるのかを考えながらトラブルシューティングをしていく必要があります。
プロジェクト推進に必要な情報提供
プロジェクトではさまざまな情報が常にやりとりされています。たとえば営業がクライアント先に行った先で得た情報を開発メンバーは把握できていなかったり、開発を進める中で出てきた制約事項が営業に説明できなかったりすると、プロジェクトは予定どおりに進められなくなります。プロジェクトマネージャーは各メンバーがプロジェクトを推進するにあたって必要な情報を与えてあげる必要があります。
チーム内外との円滑なコミュニケーション促進
プロジェクトマネージャーの立場では、チーム内外と円滑なコミュニケーションを促進することも重要な役割です。コミュニケーションが取れていないプロジェクトは、一部のメンバーが古い情報を参照していたり、タスクの抜け漏れが発生したりと、細かい問題が積み重なる傾向にあります。そのため、チーム内外と率先してコミュニケーションを促進していく必要があるでしょう。
プロジェクトマネージャーの年収
厚生労働省による日本版O-NETによると、プロジェクトマネージャ(IT)の賃金(年収)は660.4万円となっています(出典:令和4年賃金構造基本統計調査)。比較対象として、システムエンジニアを含むソフトウェア開発技術者の賃金(年収)は550.2万円でした。
必要となる経験、スキルの差異と業務内容の難易度、責任範囲の大きさが年収にも反映されているといえるでしょう。
また、レバテックキャリアにて職種「プロジェクトマネージャ―」の条件で検索を行い、取得されたデータから30件を抽出。年収の上限、下限の中間値の平均を取って平均年収を算出しました。(2023年12月時点)
上記の算出方法によると、プロジェクトマネージャ―の平均年収は約806万円となりました。ITエンジニアの中でも、スキルが必要な分、年収も望める職種であることが分かります。
プロジェクトマネージャーの将来性
レバテックキャリアにて、職種「プロジェクトマネージャ―」で検索を行うと、2698件の求人・転職情報がありました(2023年12月現在)。プロジェクトに一人しかおかれないポジションにもかかわらず、これだけの求人・転職情報が存在していることは、プロジェクトマネージャ―の重責を果せる人材の不足を意味しています。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のIT人材白書2023では、一定期間の「IT企業のIT人材の職種の割合」をまとめています。この対象期間中でプロジェクトマネージャ―の比率は増加しており、プロジェクトマネージャ―職への需要が高いことを裏付けています。
プロジェクトマネージャ―の業務はプロジェクト関係者の間に入り、プロジェクトを推進することです。この業務はAIやRPAによる業務自動化、効率化の対象ともなり得ない内容であり、プロジェクトマネージャ―の将来性は高いと推測できます。
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違い
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーでは、企業によって細かな違いがあります。推進するプロジェクト規模にもよりますが、全体の進捗を管理し責任を持つという点では両者共通です。
プロジェクトリーダーとは、プロジェクトの進行そのものを推進します。開発現場で全体の指揮をとることが多く、ほとんどのプロジェクトにおいて経験豊富なエンジニアやプログラマーが担当します。
一方でプロジェクトマネージャーは、予算やスケジュール管理などのマネジメントが中心。もちろん現場の作業指示に関わることもありますが、基本的には外部対応が多くプロジェクトリーダーとも仕事内容は異なります。
関連記事:
SEからプロジェクトマネージャーを目指す方法
プロジェクトマネージャーとディレクターの違いとは?
プロジェクトマネージャーに向いてる人が持っている5つの資質
ITエンジニアとして働き続けていれば、時間の経過とともに自動的に立場が向上しいつかはプロジェクトマネージャ―にたどり着く、ということはまずありません。プロジェクトマネージャ―として活躍できる人には、一定の資質が存在しています。
この資質は生まれついて持っているという意味ではなく、ITエンジニアとして活躍しながら身に着けるものです。プロジェクトマネージャーとしていつかはプロジェクトの推進を行いたいという人向けに、適性ともいえる5つの資質を解説します。
関連記事:PM(プロジェクトマネージャー)に向いている人、向いていない人とは
1.物事を俯瞰的に見られる
システム開発プロジェクトのメンバーとして働く場合は、自分の担当する範囲に注力することが求められます。プロジェクト全体での整合性や開発スケジュール上での他範囲への影響までは考慮できていることは稀です。
しかし、プロジェクトマネージャーの場合にはその責任範囲がシステム開発プロジェクト全体となると考えると分かりやすいです。局地的なプログラムや機能といった範囲での視点とともに、プロジェクト全体を構成する要素を俯瞰して見渡し、全体での最適化を考えられる資質が必要とされます。
2.クライアント視点で考えられる
システム開発プロジェクトを行う場合、必ずそのシステムを欲するクライアントがおり、クライアントの求めることを実現するためにシステム開発が行われます。このクライアントは社外のクライアントの場合もあり得ますし、社内プロジェクトの場合は部署や業務担当者となることもあります。
プロジェクトマネージャ―はシステム開発プロジェクトに対し責任を負う立場です。プロジェクト内部での成果達成ももちろん必要ですが、クライアントの求めたもの、クライアントの課題を解決するものを作り上げることが何より重要視されます。クライアントが求めるものを最大限に考慮し、クライアントの立場からもシステム開発を見つめる視点がプロジェクトマネージャ―には求められます。
3.柔軟な対応が得意
プロジェクトを推進するにあたり、まったくの手探りからその進め方を調べ上げることは現実的ではありません。通常は、一般的なプロジェクト推進のための方法論や企業ごとに蓄積されたノウハウを踏襲してプロジェクト推進、マネジメントを行います。
しかし、いかに類似の事例を参考に進めようとも、まったく同じプロジェクトは存在しません。クライアントの業務特性や連携先システム、利用するソフトウェアバージョンなど様々な要素によりシステムごとの特性が生まれ、その特性に起因したトラブルやリスクが付き物です。
この問題発生に対し、毎回状況の判断を行いながら最適解となる対応方法を探すこともプロジェクトマネージャ―に求められる役割の一つです。柔軟性を持って、ケースによって変わる対応方法を探す資質がプロジェクトマネージャ―となる人には求められます。
4.どのような環境でも円滑な人間関係を構築できる
プロジェクトは多くのステークホルダーが関わるものです。そのため、さまざまな立場の人がさまざまな意見を持っています。プロジェクトマネージャーは全員が納得できるような落としどころを模索しつつ、方針を定めていく調整力や交渉力が求められるため、どのような環境であっても円滑な人間関係を構築できる力が必要です。
5.隠れた問題点を言語化する能力が高い
プロジェクトには、予期せぬ問題が発生する可能性があります。これらの問題が早期に発見されない場合、プロジェクトのスケジュールや予算に悪影響を与える可能性があります。プロジェクトマネージャーは、隠れた問題点を言語化することで、早期に問題を発見し、対応策を講じることができます。
スキルアップするためのポイント
キャリアアップの目標ともされるプロジェクトマネージャーですが「人数不足により何となく担当することになり、どのようにスキルを磨けば良いのかわからない」という人や「漠然と目指しているけれど今の自分に何が足りないのかわからない」という人も多いです。ひと口にプロジェクトマネージャーといっても、プロジェクトにより必要な要素は微妙に異なるため、その場に応じた柔軟な対応が求められます。
そこで、スキルアップするために意識したいポイントをまとめました。5つのスキルアップのためのポイントを見ていきましょう。
プロジェクトの目的を明確にする
プロジェクトマネージャーとは目標達成が最終到着地点であるため、当然目標を定めて行動する姿勢が求められます。なんとなく業務を行うのではなく、具体的な目標を立ててどのようなアプローチが有効かを常に意識しておきましょう。
また、目的は自分の中だけで完結しても意味がありません。メンバーと共有し、達成するためにはどのような行動をすべきかを一緒に考えることが大切です。
常にリスクを意識する
プロジェクトはいつでも円滑に進むわけではなく、突発的なトラブルも発生しやすいです。プロジェクトマネージャーはこうしたトラブルにも柔軟に対処する必要があるため、あらかじめできる限りのリスクヘッジができると良いでしょう。
一般的には、リスクとは過去の事例や経験を元に想定できます。新しくプロジェクトリーダーになり経験が少ない場合、リスクマネジメントは難しいものと捉えて周囲の意見を取り入れるのもおすすめです。
コミュニケーションを大切にする
プロジェクトの失敗経験があるマネージャーの中では、その原因が「コミュニケーション不足」と答える人が多いです。やり取りの少ない風通しが悪い現場は、プロジェクトに対して大きな影響を与えると頭に入れておきましょう。
プロジェクトの方向性を決定できるのは、プロジェクトマネージャーです。最終判断が任されているからこそ、普段からメンバーの意見に耳を傾け、どこで何が起きておりどんな状況なのかを相手の立場に立って考えられるとベストです。
業界の幅広い知識を身につける
実際に作業の現場で手を動かさなくても、何をしているのか、それはどんな難易度なのかを理解することはできます。実作業をプロジェクトマネージャーがしないとしても、管理する上で知識は持っておくに越したことはありません。
業界の知識や技術はもちろん、クライアントの業界知識も勉強できるのが理想的です。
実務経験を積む
あらゆるビジネススキルが求められるプロジェクトマネージャーがスキルを高めるためには、とにかく実務経験が重要です。
実務をただ何となくこなすのではなく、前述の通り目標を持ってどう行動するかを考えながら日々を過ごすと、自然とプロジェクトマネージャーへのスキルアップが身につきます。
まずはマネジメントの経験を積むのも大切なため、小さなプロジェクトでも徹底したマネジメント力を発揮できるようにしておきましょう。
プロジェクトマネージャーの仕事に役立つ資格
前項で触れた通り、プロジェクトマネージャ―を目指す場合には、プロジェクトマネジメントスキルを示せる資格の取得が一つの有効な手段となります。知識の体系的な習得と、ポジション変更や転職において資格保有をスキルの証明とすることが可能です。
関連記事:プロジェクトマネージャーの転職市場状況について
プロジェクトマネージャ試験
ITエンジニア向けの日本の国家資格として、情報処理技術者試験があります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催し、経済産業省により認定されます。
この情報処理技術者試験の中でも、プロジェクトマネージャ―に向けた資格がプロジェクトマネージャ試験です。プロジェクトマネージャーに求められる能力(組織運営、管理能力)や知識(リスク管理、リスク分析、評価)が問われる試験となっています。
日本国内のIT業界では、非常に知名度が高く、スキルを示すのに有効な資格です。
PMP
PMP®はPMI(米国プロジェクトマネジメント協会) 本部が主催しているプロジェクトマネージャ向けの国際的な資格です。プロジェクトマネジメントのノウハウを体系的にまとめたガイド「PMBOK (Project Management Body of Knowledge) 」をベースにしています。
PMP®はプロジェクトマネージャーのグローバルスタンダードと言える資格で、IT業界以外でもプロジェクトマネジメントに関する知識・ノウハウを習得していることを示せます。
ITコーディネータ試験
ITコーディネータ試験は特定非営利活動法人ITコーディネータ協会によって運営される経済産業省の推進資格です。「IT経営の実現」をミッションとし、経営へのIT利活用を推進する人材として定義されています。
プロジェクトマネージャーやITコンサルタントに向けた資格試験です。プロジェクトマネージャーが担う役割や仕事内容に繋がる試験内容、資格として、長期的に運営されています。
P2M試験
P2M試験とは、プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメントに関する資格試験のことであり、日本プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント協会(JPPM)が主催しています。試験にはFoundation、Practitioner、Expertの3種類が存在し、自分のレベルに合ったレベルを受験することが可能です。
P2M試験は、コンピューターベースでの出題形式であり、試験時間はP2M Foundationが60分、P2M Practitionerが150分、P2M Expertが180分です。試験は日本語で行われ、合格基準は各試験ごとに異なります。
P2M試験に合格することで、プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメントに関する知識やスキルを証明することができ、その分野でのキャリアアップや、プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメントを実践する際の指針として役立ちます。
プロジェクトマネージャーになるには
ITエンジニアにとって、プロジェクト全体を統括するプロジェクトマネージャーは責任とやりがいに繋がるポジションです。また、年収の向上を図る上でも目指したい職種となります。本項では、一般的にITエンジニアがプロジェクトマネージャ―を目指す場合のキャリアパスについて記載します。
関連記事:未経験からプロジェクトマネージャーになるには?資格や適性を解説
まずはプログラマーやSEとして経験を積む
最初はシステムの開発担当として、システム開発プロジェクトに従事するところから始まります。ポジションとしては、プログラマーやシステムエンジニア(SE)、そのほかのエンジニア職から始まるのが一般的です。
システム開発プロジェクトに従事しながら、経験を積み、スキルを磨きましょう。システム開発に関する技術スキル、システム開発技法をプロジェクトで利用しているものから習得していきます。また、プロジェクトの全体の流れを身をもって経験しながら、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャ―の行うプロジェクトマネジメントにも知見を深めておきます。
上流工程を担当する
システム開発の担当者として経験を積んだ後、より上流の工程の業務に携わるポジションを目指します。設計や要件定義といった工程はシステム開発における上流工程と呼ばれ、影響範囲が大きく、システム開発の全体に向けた視点が必要となる業務です。
また、上流工程を担当すると同時に、小さい単位でチームをまとめるポジションやプロジェクトリーダーといったポジションに付けるようにしましょう。責任範囲を増やしてチームとしての成果を出す立場として活躍することが、プロジェクトマネージャーとなる前提として必要です。
資格の取得を目指す
システム開発担当者として従事し、上流工程を目指すと同時に、プロジェクトマネジメントに関する学習を行い、資格を取得することもプロジェクトマネージャーになるための1つの手段です。体系的にプロジェクトマネジメントに関する知識を習得し、実務で活用することでスキルを高められます。
プロジェクトマネージャーへのキャリアパス例
参考として、プロジェクトマネージャーへのキャリアパスの一例を挙げてご紹介します。
まずは開発プロジェクトのメンバーとして、ネットワーク技術や、インフラ知識も含めてIT全般のテクノロジーやシステム開発のメソドロジー(技法・手法)を身につけます。開発フローだけでも、アジャイルで行われているのか、ウォーターフォールで行われているのかで身につけるべきスキルは変わってきます。
次に、プロジェクトマネジメント研修などを通じて、プロジェクトマネージャーとしての視点を身につけていきます。スケジュールを立てて、数人のチームのリーダーとしてスケジュールどおりに進捗させるための知識と行動を身につけていきましょう。
最後に、小規模な本番開発におけるプロジェクトマネージャーを任せてもらい、実際にマネジメントを行っていきます。ここから先は規模を大きくしたり、業界を広げてみたり、さまざまなキャリアパスが考えられます。
プロジェクトマネージャーのスキルに関するよくある質問
プロジェクトマネージャーに求められるスキルは幅広く、まずはある程度の期間で経験を積むことが大切です。最後にスキルアップや適性など、プロジェクトマネージャーになるために必要な要素についてまとめました。プロジェクトマネージャーのスキルに関する疑問を質問形式でチェックしていきましょう。
Q1. プロジェクトマネージャーになるために必要なスキルはありますか?
-
・専門知識と豊富なプロジェクト経験
・問題解決スキル
・リーダーシップ
・コミュニケーション能力
・柔軟な対応力
・交渉力
・ビジネスマネジメント
などのスキルが必要といわれています。詳しくは本記事で解説しているため、振り返ってチェックしておきましょう。
Q2. プロジェクトマネージャーにはどのような人が向いていますか?
プロジェクトマネージャーに必要な資質とは、
-
・物事を俯瞰的に見られる・クライアント視点で考えられる
・柔軟な対応が得意
・どんな環境でも円滑な人間関係を構築できる
・隠れた問題点を言語化する能力が高い
以上の5点に集約できます。これらを満たす人材こそ、プロジェクトマネージャー向きといえるでしょう。
Q3. プロジェクトマネージャーの将来性はありますか?
レバテックキャリアでは数多くの求人が掲載されています。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のIT人材白書2023では、対象期間中でプロジェクトマネージャ―の比率は増加傾向にあり、プロジェクトマネージャー職への需要が高いことを裏付けています。
これらの理由から、今後もプロジェクトマネージャーは将来性のある職種です。
Q4. プロジェクトマネージャーはどのような仕事ですか?
プロジェクトマネージャーとは、端的にいうとプロジェクト全体を管理する仕事です。全体の指示だけでなく方向性の決定や予算感、納期や目標、品質確保、トラブル対応などすべてを担当する役割であり、非常に責任の大きい立場にあります。
まとめ
プロジェクトマネージャ―に向いた資質として、俯瞰的な視点、クライアントの視点からプロジェクトを見る目線があげられます。また、物事に柔軟に対応できることも資質の1つです。
しかし、この資質に関しては、ITエンジニアとしてシステム開発プロジェクトに従事することで身につけられます。プロジェクトマネージャ―を目指す場合には、プロジェクト経験を積みながら、技術的なスキル、システム開発に対する知見、ヒューマンスキルやプロジェクトマネジメントスキルの習得が必要です。それと同時に、先にあげた視点や物事に柔軟に対応するための選択肢を身につけるとよいでしょう。
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