データサイエンティストに必要なスキル!スキルチェックの仕方も紹介

最終更新日:2024年7月16日

データサイエンティストは、企業や組織においてデータを分析し、経営や事業に有益な判断材料をもたらすエンジニア職種です。活躍範囲は多岐に渡り、需要の高い人気職種でもあります。

一方で、求められるスキルや知識の範囲が広く、専門性が高いことでも知られています。データサイエンティストを目指す場合には、全てを短期間で身につけることは困難であり、自分のスキルセットと求人内容を比較しながら、差を埋めていく努力が必要です。

この記事では、データサイエンティストを目指すITエンジニアに向けて、職種の概要、必要なスキルとスキルチェックの方法、スキル習得のためのステップや役立つ資格などについて解説します。

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この記事のまとめ

  • データサイエンティストは、データの分析を行い、企業や組織の事業に役立つ見識を提示する職種
  • データサイエンティストには、データサイエンススキル、データエンジニアリングスキル、ビジネススキルの3つのスキルが必要
  • 一般社団法人データサイエンティスト協会のスキルチェックリストによりスキル習得の効率化が図れる

データサイエンティストとは

データサイエンティストは、データサイエンスを用いて企業や組織に貢献するエンジニア職種です。経営や事業部門、マーケティングや営業などあらゆる分野に対し、データサイエンスによるメリットをもたらすことがミッションです。

データサイエンスとは、統計学的手法や機械学習をデジタル技術を用いて実現することで、データから有用な傾向を見出す方法です。企業や組織が事業上で扱うデータを収集、蓄積したり、外部から提供されるデータを用いて、データサイエンスの手法によって分析、解析をすることにより、根拠のある判断材料やこれまでになかった知見を得ることができます。

IT関連企業にとどまらずあらゆる事業分野で需要の高いエンジニア職種であり、今後も将来性が高いと予測されています。

関連記事:データサイエンティストとは?仕事内容や必要なスキル、学習法を紹介

データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストは、ビジネス上の課題の抽出や解決のためデータの分析を行い、有用な知見や傾向を事業にもたらすことが主な業務です。

データ分析に用いるデータを収集、加工、整理する基盤の用意もデータサイエンティストの仕事に含まれます。データ収集後は、各種のツールやプログラムを用いてデータを分析し、分析結果の報告も行います。データの分析結果により施策のサイクルを回し、課題解決や状況改善を実現することも業務の範疇です。

データサイエンティストの役割

データサイエンティストが所属組織において求められる役割のなかで比重が大きいものとして、「課題と対策の発見」と「分析結果の報告と提言」の二つがあげられます。データサイエンスの手法を用いてデータ分析を行う環境を構築することは重要な業務ですが、あくまでこの二つの役割を果たすための手段となります。

課題と対策の発見

課題と対策の発見とはデータの分析結果から事業上の課題を見出し、仮説をたててその改善策を提示することです。ここでいう改善策については、一度の試行で成果があがるとは限らず、繰り返し改善プロセスを進めることで成果につなげます。

分析結果の報告と提言

分析結果の報告と提言とは、データ分析の結果を経営や事業部門担当者などデータの専門家ではない相手に分かりやすくまとめて報告すること、そして経営や事業の方針を提言することです。事業や経営に対し提言を行い大きな影響を及ぼす点については、他のエンジニア職種にはない役割が求められているといえます。

データサイエンティストの需要状況

データサイエンティストの需要は今後も伸び続けていくと考えられます。なぜならば、AIの開発・活用が一般化したことにより、ビッグデータを中心にデータの重要性が高まっているからです。

現在、エンジニア市場全体が慢性的な人手不足となっています。ITの進歩とともにエンジニアの需要は上がっているものの、進歩に対して人材の育成が追い付いていないのが現状です。

IPAが発行する「DX白書2023」によると、デジタル事業に対応する職種の中でもとりわけデータサイエンティストは不足しているとされます。量に関しては72.3%以上の企業が「不足」していると回答しており、質に関してはデータサイエンティストも含めたDX推進人材について86.1%もの企業が「不足」しているという回答でした。

さらに、データサイエンティストにはITスキル以外にも統計学やビジネス面でのスキルが必要とされており、他のエンジニアと比べると難易度が難しいとされています。

データサイエンティストは将来的になくなる恐れはある?

多くの企業がデータを活用するようになり、データサイエンティストの需要は高まりを見せています。一方で、将来データサイエンティストという職業はなくなるという意見もあります。その要因としては下記があげられます。

一つはAIの進化によりデータサイエンティストの仕事が代替されるというものです。データ分析部分に関しては一定の置き換えはあるかもしれませんが、課題の設定や施策の繰り返しによる改善の実施などは現状のAIでは代替が難しく、近い将来に代替されるとは考えられません。

別の要因として、データサイエンティストの定義や役割分担が曖昧であり、データアナリスト、データエンジニアなどの職種と混同しやすいことがあげられることがあります。しかし、こちらはあくまで名称の問題であり、職種の名前が変わったとしても現在のデータサイエンティストの仕事そのものがなくなるわけではありません。

スキルを持った人材が少ないため、データサイエンティストはなくなるとも言われています。実際に、データサイエンティストは需要に対して供給が足りておらず、高いスキルを持った人材は限定されていますが、だからと言ってなくなるわけではなく、高い価値が保たれると考えられます。

関連記事:データサイエンティストの将来性ー10年後はどうなる?

データサイエンティストに必要な3つのスキル

データサイエンティストに必要な3つのスキル

データサイエンティストに求められる一般的なスキルについて解説します。
データサイエンティストの定義は企業によって異なるため、これらすべてが必須スキルというわけではありません。あくまでも、データサイエンティストが担当する業務で必要になる可能性が高いスキルの総括としてご確認ください。

1.データサイエンススキル

データサイエンススキルとは、情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知識を理解し、活用する力のことです。一般的には次のようなスキルによって構成されます。

分析設計スキル

データサイエンティストは、何のために分析が必要で、何を用いてデータを抽出し、分析するのかを定義します。さらに、分析に用いる手法の選定スキルも必要です。こういったスキルは分析設計スキルと呼ばれ、データサイエンティストの必須スキルの1つです。

データ集計・可視化スキル

集計結果をできるだけわかりやすくあらわし、判読性を高めるためのスキルです。データサイエンティストはデータ集計・分析からビジネス課題に有効な知見を獲得しなくてはなりません。さらに、その知見を伝えるために、見る人が理解しやすく、思考に落とし込みやすい図・グラフなどを作成するスキル(可視化スキル)が求められます。

統計モデリングおよびモデルの評価、調整スキル

数学的な知見を用いて、データに隠されたパターン・意味をあぶりだすためのスキルです。統計モデルを適用することで、数字が持つ意味を表現しやすくなります。

2.データエンジニアリングスキル

データエンジニアリングスキルは、「データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力」と定義されています。具体的には次のようなものが該当します。

プログラミングスキル

データサイエンティストは、SASやSPSSなど統計用のツールを使用することもあれば、自らコーディングし、統計ツールを作成することもあります。特に、機械学習に強いPythonや統計解析に用いられるR言語、データベース操作に必要なSQLなどは、備えておく必要があるでしょう。

アルゴリズムの開発・実装スキル

データ分析に最適なアルゴリズムを考え、プログラミング言語を用いて実装するスキルです。AIによる機械学習を用いた分析をする場合もあり、このためのアルゴリズムを実装する場合もあります。

ビックデータの処理スキル

データサイエンティストは膨大な量の情報(ビッグデータ)を扱うことが多いです。ビッグデータは通常のデータと比べて容量が非常に多く、データの収集、蓄積、操作するためにはビッグデータに適した技術が必要となります。

そのため、1台のコンピュータだけで処理を行うのではなく、複数の端末に処理を分散させる(分散処理)スキルが求められます。

この分散処理スキルがあれば、コンピュータ1台あたりの負荷を軽減することができ、処理速度が高速化されてスムーズに処理を進められます。

分散処理の代表的なフレームワークとしては、HadoopやSparkの2つが挙げられます。ビッグデータに関する技術の発展は今後も見込まれますから、常に最新の技術をキャッチアップできるように情報収集を欠かさずに行いましょう。

データプレパレーションスキル

データプレパレーションとは、データ集計及び分析前に、データを使用可能な形に整えることを指します。データの整形・クレンジングの作業は、データ分析作業本体よりも時間を要すると言われることもあるほど、準備コストが高い業務です。業務効率を上げるために、データプレパレーションに関する知見は、ぜひとも備えておきたいところです。

システム開発(設計・コーディングなど)のスキル

システム開発スキルは、データサイエンティストの業務に役立つことがあります。特に、データ分析に必要な独自ツール開発や環境構築が必要な企業では、データサイエンティストがシステムの企画や設計、構築まで任されるケースもあるため、システム開発スキルが役立ちます。

DWH、ETLなど分析基盤やデータ処理の設計・開発

DWHとは、データウェアハウス(Data Ware House)の頭文字をつなげた言葉です。

DWHとは最初から「活用」を意識したデータ用の大型倉庫のことで、データ活用のための仕組みが用意されています。DWHは目的別にデータが並べられ、明細データをそのまま時系列で蓄積します。データの削除や更新も行わないため、膨大なデータを保持し続けます。

またETLとは、「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(書き出し)」の3つの言葉の頭文字をつなげた言葉です。

膨大なDWHのデータをもとに、経営層は意思決定に活用したり、部門長は問題の早期発見に利用するようになりました。情報活用のベースとしてDWHが利用されるようになったのです。

しかし、ここで課題として浮かびあがったのがデータの収集です。DWHが必要とするデータを1つのシステムから取り出すシンプルなものならばいいのですが、企業には販売、購買、生産、顧客管理システムなど、多くの基幹システムがあります。

この課題を解決するために開発されたのがETLツールです。ETLツールとは、企業にある基幹システムなどの複数のシステムからデータを取り出し、受け渡す機能をもったツールです。

企業では、販売や購買、生産、顧客管理など多くの目的が異なるシステムが動作しています。それらのシステムからDWHが扱いやすいようデータを取集するためにETLが使われます。ETLを活用することで、複雑な業務システムから効率良くデータ収集できるようになり、費やされる時間の大幅な削減が可能です。

データベースに関する知識

データを扱うデータサイエンティストは、データベースに関する知識も必要です。単純なデータベースの知識だけではなく、大量のデータを扱うため効率的なデータ収集、データ処理、適切なデータベース設計が重視されています。

具体的な例を挙げると、データベース上にインデックスを設計することで、パフォーマンスのチューニングができるスキルもデータサイエンティストに求められます。データベースのチューニングとはデータベース性能を改善することです。データベースサーバーは1秒間に何万もの処理をすることもあります。 数分かかるSQL文を数秒で結果返ってくるようにするのがSQLチューニングです。

SQLの処理速度を改善するポイントは多くあるため、 チューニングするには様々な知識が必要です。大量のデータを扱うため、効率的なデータ設計をしていないとデータの処理に多くの時間を使うことになり、サーバーに対して大きな負荷を与えることになってしまいます。大きな負荷を与えないためにも、できるだけパフォーマンスを考えた設計を意識するのが大切です。

3.ビジネススキル

ビジネススキルは、顧客企業が抱えるビジネス課題を整理し、解決に導くためのスキルといえます。ビジネススキルは、主に「マネジメントスキル」「コミュニケーションスキル」「ドキュメンテーションおよびプレゼンテーションスキル」に分類されます。

マネジメント能力

データサイエンティストは、アシスタントやエンジニア、その他業務担当者とチームを組み、リーダーとして進捗管理やリソース管理、予算管理まで行うことも少なくないため、マネジメントスキルを備えておくと良いでしょう。

コミュニケーション力

他業務を担う担当者やクライアントに対して、データ分析に関する課題や要求事項などのヒアリングを行う機会も多いため、コミュニケーション力が欠かせません。また、データ分析の結果得られた知見を伝える際にもコミュニケーション力が必要となります。

ドキュメンテーション・プレゼンテーション能力

ビジネス課題の抽出や解決策の提案、その他定例的な報告会など、データサイエンティストは頻繁に資料作成・プレゼンを行う機会があります。よって、これらも重要なスキルの一つです

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データサイエンティストの転職に役立つスキル・経験

データサイエンティストが転職時に評価されやすいスキルを解説します。データサイエンティストの求人は、「アナリスト寄り(レポーティングおよび市場調査、効果検証など)」「エンジニア寄り(機械学習エンジニアに類似した業務内容)」の2つに分類でき、それぞれで傾向が異なるという特徴を持っています。

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アナリスト寄りの求人で評価されやすいスキル・経験

アナリスト寄りの求人で評価されやすいスキル・経験についてご紹介します。

アナリスト寄りの求人ではデータ分析やレポーティングを行う

アナリスト寄りの求人では、すでに収集されているさまざまなデータの分析や、レポーティングなどのスキル・経験が評価されます。そのため数学や統計学の知識に加えて、データ分析やレポーティングに使用するツールなどの操作スキルが求められます。

データ分析結果のレポーティング経験

アナリストの重要な業務に、データ分析した結果をまとめるレポートの作成があります。データをツールを用いて分析し、レポートにまとめて報告するため、ツールの利用経験や実務経験が評価されやすいです。

SPSS、SASなどの統計ツールや、R、Pythonなどの開発言語を用いてデータ分析やレポーティングを行った経験が実務スキルとして評価されます。

データ分析の経験やアナリストとしての実務経験

アナリストの主な役割は、情報を分析し、レポーティングによって経営層の意思決定をサポートすることです。データサイエンティストも同様の役割を担うことから、アナリストとしての実務経験は評価されるでしょう。例えば、会員データの分析から解約者の予測モデルを作成し、解約を防ぐための対策案を提示する、といった経験があれば評価の対象になります。

データベースの基本知識、SQLスキル

アナリスト寄りの求人では、日常的に大量のデータを取得・加工する業務が含まれます。したがって、DB操作に必要なSQLスキルは評価につながります。

効果検証のスキルおよび効果検証方法のデザインスキル

ある施策がなぜ成功・失敗したのかをデータから読み解くためには、効果検証のスキルが必須です。特に、A/Bテストなどを用いてマーケティング・プロモーションの効果検証を行った経験や、効果検証方法自体をデザインした経験があれば、評価の対象になります。

市場調査などの業務経験

データサイエンティストは、データ分析の目的を明確にしておかなくてはなりません。データ分析の目的はビジネス課題と直結しているため、市場調査による裏付けが必要になることもあります。よって、市場調査などの業務経験は評価される傾向にあります。

エンジニア寄りの求人で評価されやすいスキル・経験

エンジニア寄りの求人で評価されやすいスキルをご紹介します。

システム設計、開発、運用のスキル・経験

エンジニア寄りの求人では、実際にプログラミングしてシステム設計や開発、運用ができるスキル・経験が求められます。例えばPythonやR言語などは、機械学習や統計学のためのプログラミング言語として定番です。

機械学習や統計に用いられるライブラリ・フレームワークの活用スキル

scikit-learnやTensorFlowなど、機械学習の分野で用いられる代表的なフレームワークは、データ分析ツールの開発に役立つため、評価の対象になります。各種の統計向けライブラリの活用スキルも業務に役立つため、評価につながります。

データベースの基本知識、SQLの読み書き

統計分析および機械学習用のツールから適切にデータを取得するため、データベースの操作スキルを習得しておくと良いでしょう。データ分析基盤の構築などでも、SQLに関するスキルは役立ちます。

PoCなど実証モデル運用の経験

機械学習などを用いたPoCの経験も評価の対象です。PoCとは日本語で「概念実証」と翻訳され、ある施策について「実現可能性」「効果・効用」を技術的な観点から検証するプロセスです。ある施策を実施する前に、コンパクトな試作品を実装し、検証、実現可否の判断を行うことで、適切な投資判断を促します。

パブリッククラウドの活用経験

近年、機械学習やデータサイエンスの舞台は、オンプレミス環境からクラウド環境へと移行しています。特に、AWSやGCPなど、メジャーなクラウド環境は多くの企業・プロジェクトで活用されているため、パブリッククラウドの活用経験は評価の対象になり得るでしょう。

データサイエンティスト協会によるスキルチェックの方法とは

データサイエンティスト協会は、データサイエンティストに必要とされているスキルのチェックリストとしてまとめて公開しています。2023年9月7日時点の最新版は「データサイエンティスト スキルチェックリスト ver.4」です。

これはデータサイエンティストに求められるスキルを「データサイエンス力」「データエンジニア力」「ビジネス力」の3つに分類し、それぞれに複数のカテゴリを設けてスキルレベルを設定しています。

スキルチェックリストは、機械学習の進化やビジネス環境の変化などに応じて、カテゴリの変更や項目の追加などの改定が行われてきました。2023年9月7日時点ではバージョン4.00が公開されていますが、今後、さらに改定されることも考えられます。データサイエンティストとして今後活躍するためには、スキルを身につけることに加えて、将来、求められるニーズの変化にも対応できる柔軟性も必要です。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ではITSS+(プラス)データサイエンス領域としてデータサイエンティスト領域のタスクリストを定め、公開しています。こちらも合わせてスキルチェックに活用可能です。

スキルチェックリストの活かし方

スキルチェックリストは体系的かつ網羅的に構成されています。スキルチェックリストに記載されているスキルを全て身につけるのは困難ですが、自分の強みと弱みを整理するためのツールとして活かせます。

まずは全体を通してチェックを行い、現状分析をするところから始めます。

自分の強みの活かし方を考える

スキルチェックリストをざっと見て、自分の得意分野や業務で行っている分野など、自分の強みを捉えて活かし方を考えましょう。

例えばビジネス力に長けていれば、自社や顧客のマネジメント層に、わかりやすく技術を伝えられる仕事ができますし、画像処理が得意な方なら動画や音声処理の業務へとスキルを広げられます。

自分の弱みを理解し強化する

逆にデータサイエンティストとしての弱みを理解して強化するためにもスキルチェックリストは役立ちます。データ分析やデータ処理は得意だが、その技術をどのように活用すれば良いのかわからない方は、ビジネス力の一つである、課題の定義のスキルを磨くと良いでしょう。

またツールの使い方はわかるが、そのツールで出来る統計学的な処理が理解できていない方は、基礎数学のスキルを学び、知識を強化するのもおすすめです。

未経験からデータサイエンティストを目指すステップ

未経験からデータサイエンティストを目指す場合には、スキルの習得が必要となります。段階を踏んでスキルを習得するステップについてご紹介します。

ステップ1.基礎知識を習得する

データサイエンスの基礎として必要な知識の習得を行います。ベースとなるのは統計学とIT全般に関する基礎知識、プログラミングなどのシステム、アプリケーションの開発スキルです。

ステップ2.データセットを使って分析経験を積む

データを入手して、実際に分析を行ってみます。データは公開されているものや、学習教材などを活用するとよいです。

データ分析には機械学習モデルと統計モデルの二つが大きく存在しており、両者を身に着けて、適宜選択できるようになる必要があります。それ以外にも、データの取り扱い、プログラミング言語とフレームワークやライブラリに慣れ親しむ機会ともなります。

ステップ3.分析実務に必要な技術を磨く

より実務に近いフェーズとして、実際にデータ分析基盤を作成します。データベースの構築、チューニング、セキュリティ対策までを含めて、実業務に耐えうる内容を目指すことが重要です。

構築した基盤に対し、データの収集も行ってみましょう。業務データは手に入りませんが、Webスクレイピングなどを用いてデータの収集、蓄積を行うとスキル向上に役立ちます。

データ分析の結果をレポーティングなどにより可視化もしておきましょう。実業務でも、データ分析をして終わりではなく、他者に成果を見せることが重要です。

さらには、データサイエンスの一連の業務を実際のビジネスで適用するイメージを付けておきます。業務に関する知識が必要となりますので、転職先などを想定して学習します。

データサイエンティストに役立つ資格

データサイエンティストとしてスキルアップできる資格を、「基礎レベル」「標準レベル」「上級者レベル」に分けてご紹介します。

基礎レベル

データサイエンティストになるための基礎的な知識を身につけられる資格を紹介します。これからデータサイエンティストを目指す方や、データサイエンティストの仕事を始めたばかりの方は、ご参考にしてください。

データサイエンティスト検定

データサイエンティスト検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会が運営する資格試験です。

データサイエンティスト検定の対象者は、データサイエンスの初心者やデータサイエンティストを目指すビジネスパーソンなどです。データサイエンス分野だけでなく、数理、AIに関する知識も求められます。

情報処理技術者試験

情報処理技術者試験はデータサイエンティストに限らず、多くのエンジニアやプログラマーが取得している、情報処理技術者としての技術力や知識を評価する国家資格です。初心者向けの「ITパスポート試験」やITエンジニアのエントリレベル向けの「基本情報技術者試験」など、情報処理技術について幅広い内容の試験が実施されています。後述する「データベーススペシャリスト試験」は情報処理技術者試験における上位の資格です。

OSS-DB技術者認定試験

OSS-DB技術者認定試験とは、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが実施しているオープンソースのデータベースの知識と技術の認定をする資格です。データベースシステムの設計や開発、導入、運用ができる技術者を評価する「Silver」と、大規模データベースシステムの改善や運用管理、コンサルティングができる技術者を評価する「Gold」の2つが実施されています。

画像処理エンジニア検定

画像処理エンジニア検定は公益財団法人画像情報教育振興協会により行われている、画像処理分野の設計・開発に向けた知識、スキルを評価する検定です。ベーシックとエキスパートの2段階で構成されています。試験範囲の一部に含まれる深層学習による画像の認識・生成は、データサイエンスとも関わりのある分野です。

標準レベル

データサイエンティストの標準的なレベルの資格を紹介します。すでにシステムエンジニアとして働いていて、ある程度のITスキルをお持ちの方や、データサイエンティストとして働いていて、さらにステップアップしたい方におすすめです。

統計検定®

統計検定は一般財団法人 統計質保証推進協会が実施している統計に関する検定試験です。4級から1級までの試験に加えて、「統計調査士」、「専門統計調査士」、「データサイエンス基礎」、「データサイエンス発展及びエキスパート」の区分の試験が実施されています。

特に準1級は、大学レベルの統計学の基礎的レベルの取得を前提とし、応用的な統計学の知識が必要です。統計検定2級までの内容に加えて、各種統計解析法の使い方なども身につけられます。

オラクルマスター

オラクルマスターは日本オラクル社が提供している「オラクルデータベース(Oracle Database)」を扱うスキルを認定する資格です。「Bronze DBA」「Silver DBA」「Gold DBA」「Silver SQL」の4つの区分の試験が実施されています。オラクルデータベースの体系的なスキルが身につけられる資格として、27万人以上の資格取得者が誕生しています。

Python 3 エンジニア認定データ分析試験

Python 3 エンジニア認定データ分析試験は一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営している、プログラミング言語Pythonを利用するデータサイエンティスト向けの試験です。Pythonを使ったデータ分析の基礎や方法が問われます。

上級者レベル

データサイエンティストの上級者として合格を目指したい資格を紹介します。すでに実務経験を持つ方や、高度な知識を目指したい方にとっておすすめの資格です。

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は情報処理推進機構が実施している国家資格です。ITパスポートや基本情報技術者よりも上位の資格であり、データベースの専門家としてのスキルを示すことができる資格です。データベースの設計や管理をするエンジニア向けの内容の試験であり、これらはデータサイエンティストが扱うビッグデータと深い関係があります。

アクチュアリー資格試験

アクチュアリーとは、「保険数理士」や「保険数理人」とも呼ばれ、保険業界の第一線で活躍できる高度専門職です。公益社団法人日本アクチュアリー会により、アクチュアリー資格試験が実施されています。

基礎科目が出題される第1次試験と、専門科目が出題される第2次試験からなります。第1次試験科目に「数学」があり、その内容は「確率・統計・モデリング」です。データサイエンティストの業務と共通しており、試験勉強がデータサイエンティストとしての知識・スキル習得に役立ちます。

人工知能プロジェクトマネージャー資格試験

一般社団法人新技術応用推進基盤が運営する人工知能プロジェクトマネージャー資格試験は、AIのビジネス活用を推進するリーダー層を対象とした試験です。

AIに関する知識やプログラミング技術だけでなく、データの所有権などの法律分野の知識も必要となります。

データサイエンティストのスキルに関するよくある質問

データサイエンティストに関するよくある質問と回答をまとめています。スキル習得にお役立てください。

Q1. データサイエンティストに必要なスキルは何ですか?

一般社団法人データサイエンティスト協会では、データサイエンティストには「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の三つのスキルが必要としています。活躍の仕方によって比重は変わりますが、これら三つのスキルは必須であるといえるでしょう。

Q2. データサイエンティストとはどのような仕事ですか?

統計学的手法や機械学習を駆使してデータを分析し、事業や経営に有益な見識をもたらすことがデータサイエンティストに求められる成果です。データ分析によって得た見識をビジネスに役立てることが主眼となります。
この成果に向けて、データを格納・分析する基盤の構築、データ収集の仕組みを構築したり、データの分析に向けたツールの活用やAIなどを用いたプログラムの作成も行います。

Q3. データサイエンス力とはどんなスキルですか?

データサイエンス力は数学、統計学的な知識を用いて、データの理解・検証、可視化、予測などを行う能力を指しています。一般社団法人データサイエンティスト協会のチェックリストで必要なスキルを確認できます。

まとめ

データサイエンティストに求められるスキルや知識は広範かつ専門性が高く、全てを網羅的に習得することは容易ではありません。

求人は主にアナリスト寄りの求人とエンジニア寄りの求人に分かれており、求められるスキルや経験にも差異が見られます。

まずは自分のスキルセットを把握し、希望する転職先で評価されやすいスキルとの差分を埋めていく努力が必要です。

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