データベースエンジニアがきついと言われる理由
データベースエンジニアは多くのシステム開発において必要不可欠と言えるポジションですが、責任の重さや必要なスキルの幅広さから「きつい」と言われることもあります。データベースエンジニアがきついと言われる理由を6つ解説します。
1人での作業が多い
データベースエンジニアは1つの開発チームに1人しか配属されないことが多く、1人で設計から開発、運用までを行わないといけません。そのため作業範囲が広くなり、トラブルにも1人で対応しなくてはならず、大きなプレッシャーがかかります。
求められるスキルが多い
データベースエンジニアはデータベースに関する深い知識が求められます。さらに、企業によってはサーバーやネットワークなど他のインフラの運用・保守なども任される場合があるため、それらの知識も備えておく必要があります。また、時代によって技術トレンドは変わっていくので、転職してからも学習し続けることになるでしょう。しかし、業務が多忙で、学習時間の確保に苦労する場合も多いです。
責任が重い
1つめの「1人での作業が多い」でも説明したように、データベースエンジニアには大きなプレッシャーがかかります。データベースに不具合があったりパフォーマンスが低かったりすればシステムが使えず、その期間はサイトからの収益が得られなくなってしまいます。
更に顧客からの信頼も失ってしまいます。また、データベースにセキュリティ上の問題があって顧客情報などが漏えいすると、賠償金が発生するおそれもあるため責任の重い仕事と言えます。
長時間労働が発生する場合もある
データベースエンジニアは、納期直前やデータベースに障害が発生したときなどに長時間労働や残業が発生する場合があります。システムが24時間稼働している場合、稼働中のシステムのデータベースが正常に動き続けるように、監視する必要もあります。場合によっては、監視のために夜勤や休日出勤が発生します。残業時間の平均や休日出勤の有無は企業によって異なるので、転職前にリサーチすることが大切です。
古いシステムに対応しなくてはいけないケースもある
古いシステムは過去の技術で構築されており、データベースエンジニアはその対応に追われる場合があります。たとえば、古いシステムでは「複数のサービスで1つのデータベースを共有して使っており、そのデータベースがダウンした際に、関連するすべてのサービスが停止してしまう」といった状況が散見されます。データベースエンジニアはシステムの稼働を維持しながらトラブルを未然に防ぐ管理も担うため、過去の仕様に対応するスキルも求められます。
緊急時に対応する必要がある
突発的にサイトにアクセスが集中した場合や外部からDDoS攻撃を受けた場合、データベースやサーバーが負荷に耐え切れず、サイトがダウンしてしまうおそれがあります。この場合、たとえ深夜でも会社に出勤、あるいはリモートで会社のパソコンに繋いで復旧作業を行う必要があります。このような緊急対応が頻繁に発生すると、精神的にも肉体的にも疲労が増してしまいます。
データベースエンジニアの大変さに対する解決方法
データベースエンジニアの大変な点を6つ挙げましたが、それぞれに対応策があります。
解決方法について詳しく解説していきます。
1人での作業が多い→周囲とコミュニケーションを多く取る
データベースエンジニアは1人での作業が多く孤独になりがちなので、周囲に相談できる人を作ることをおすすめします。あるいは、チームでの情報共有やレビューを積極的に行うように呼びかけてみましょう。チーム内で進捗や課題を共有することで孤独感が減り、1人で業務上の困難に立ち向かわなくてはいけないというプレッシャーもなくなります。
また、社内だけでなく、SNSやTechCommit、teratailなどのエンジニアコミュニティを活用し、社外のエンジニアとコミュニケーションを取ることもおすすめです。社外のスキル情報が得られ、遭遇したことがないトラブルも1人で対処しやすくなります。
求められるスキルが多い→資格を通じてスキル・知識を高める
データベースエンジニアに求められるスキルは幅広いので、まずは資格取得を通じてスキルアップすることをおすすめします。資格という明確な目標があった方が勉強を続けやすくなるうえに、学習方針を立てやすいです。
具体的には、MySQLやPostgreSQLなどのデータベース管理システムの使い方、データ構成をデータモデルで表現するスキルを習得しましょう。また、外部からの攻撃による情報漏えいを防ぐためにセキュリティ知識も身につける必要があります。
責任が重い→トラブルに備えておく
まず、データベースのバックアップを効率的に行う仕組みの開発に取り組みましょう。自動バックアップやスナップショット機能を使って定期的にデータベースのバックアップを行い、万が一データが破損した場合でも迅速に復旧できる体制を整えることが大切です。
また、データベースの運用・保守マニュアルを定期的に見直しましょう。障害発生時の連絡フローや具体的な対応手順を記載したドキュメントを作成し、チーム全体で共有します。
更に、サイバー攻撃(近年ではマルウェア感染、不正アクセスなど)に備え、最新のセキュリティ対策の導入も検討しましょう。主な対策には、ファイアウォールや侵入検知システム(IDS/IPS)を活用して攻撃を未然に防ぐ、データ暗号化やアクセス権限管理の厳格化を行い機密情報の漏えいリスクを低減するといったものがあります。
長時間労働が発生する場合もある→転職前に企業の労働状況を調べる
エンジニア職の時間外労働は企業によって異なるので、転職前に残業時間や休日出勤の有無を調べることが大事です。openworkや転職会議などの企業口コミサイトを通じ、労働環境の情報を得ると良いでしょう。また、転職エージェントを活用し、IT業界を熟知したプロから企業の詳細情報を得ることもおすすめします。
古いシステムに対応しなくてはいけない→古いシステムの改修を提案する
古いシステムはパフォーマンスが悪く、いつ不具合が発生してもおかしくありません。そこで、問題点を明確にし、全体的な改修を行うことを提案してみましょう。提案の際は、不具合や障害発生時にかかる時間やコストと比較し、改修によって得られる効果(たとえばダウンタイムの減少や運用コストの削減)を数字で上層部に示すことが大切です。
最新のデータベース管理システム(DBMS)に変更したり、オンプレミスで動くプログラムをクラウドに移行したりする対策が考えられます。現代の技術を取り入れてシステムを改修すれば運用・保守の手間も減り、長い目で見れば労働時間削減に繋がります。
緊急時に対応する必要がある→問題解決能力を身につける
問題解決能力を身につけることで、サーバーダウンなどのトラブルが起きた際、どこに問題があり、どんな変更を加えれば良いのか瞬時に判断できるようになります。ロジカルシンキング研修などに参加し思考方法を学んだり、小さな問題でも原因や解決方法を紙に書き出して可視化させ、論理的に考える習慣を身につけたりすることが大切です。
前項で挙げた突発的なアクセス集中に関しては、クラウドサーバーが備えている「オートスケール」機能を利用し、トラフィックに応じて自動的にサーバー台数や性能などのリソースを拡張できるようにするといった対処法があります。
また、DDoS攻撃によるサーバーダウンに関しては、DDoS対策ツールを利用して攻撃を自動的に検知し、そのIPからのアクセスをブロックする方法で対応しましょう。
データベースエンジニアに転職するメリット
データベースエンジニアの仕事には、大変な面だけでなくさまざまなメリットがあります。以下の3つについて分析します。
-
・責任が重い分やりがいも大きい
・給与が高い
・需要が安定している
責任が重い分やりがいも大きい
データベースエンジニアの仕事は確かに責任は重いですが、成果に繋がったときの喜びも大きいと言えます。たとえば、パフォーマンスが良いデータベースを構築することでサイトの来訪者数が向上した場合などが挙げられるでしょう。また、社内にデータベースエンジニアが1人しかいない場合も多いため、成果を出せれば唯一無二の人材になることができ、会社に対する貢献意識を強く持てます。
給与が高い
データベースを扱うエンジニアは給与が高く、安定している傾向があります。レバテックキャリアの掲載求人(※2024年9月)を元に、データベースエンジニアおよびデータベースを扱う職種の年収データをまとめました。どの職種も平均年収が650万円を超えています。
職種・ポジション | 仕事内容 | 平均年収 | 想定年収 | 中央値 |
---|---|---|---|---|
データベース エンジニア |
データベースを 設計・開発・運用 |
663万円 | 300万円 〜2,000万円 |
687万円 |
インフラ エンジニア |
ITインフラを 設計・開発・運用 |
661万円 | 286万円 〜1,449万円 |
580万円 |
セキュリティ エンジニア |
外部からの攻撃や 不正アクセスから システムを守る |
697万円 | 297万円 〜1,500万円 |
660万円 |
サーバーサイド エンジニア |
Webアプリの サーバー側で動く プログラムを開発 |
658万円 | 300万円 〜1,400万円 |
650万円 |
需要が安定している
SNSやECサイト、動画配信サービスなどのWebアプリを開発する際にはデータベースが必要です。また、給与管理システムや売上管理システムなどの社内で扱うシステムを開発する際にもデータベースが欠かせません。そのため、優れたデータベース技術を持ったエンジニアを幅広い業界の企業が欲しています。2024年9月時点でレバテックキャリアには、データベースエンジニア求人が267件掲載されています。
特に、昨今はビッグデータと呼ばれる大規模で形式が不揃いなデータを分析し、企業成長に活かすことの重要性が高まっており、そのスキルを持ったデータベースエンジニアの将来性は高いと言えます。
関連記事:データベースエンジニアの転職!年収や求人例、将来性も紹介
データベースエンジニアに転職するポイント
最後に、データベースエンジニアに転職するポイントを紹介します。ポイントは次の4つです。
-
・最新技術を身につけて市場価値を高める
・適性があるかどうか知っておく
・キャリアプランをしっかり固める
・転職エージェントを活用する
最新技術を身につけて市場価値を高める
今後需要が伸びる最新技術を身につけることで、市場価値を高められます。これからのデータベースエンジニアが身につけたいスキルは次のとおりです。
-
・最新のサイバー攻撃に対応するセキュリティ知識
・NoSQL(DynamoDB・Cassandraなど)
・クラウドサーバー(AWS・GCP・Azureなど)
たとえば、DDoS攻撃(1台のパソコンから大量にデータを送りつけてサーバーダウンを狙う)は、現在ではDDoS攻撃(複数のパソコンから大量にデータを送りつける)に進化しており、DDos攻撃の対策では攻撃元を判別することは難しくなりました。サイバー攻撃の手口は日々進化しているため、常に手口と解決方法を調べて対策を練る必要があります。
最近では自社でサーバーを管理するよりも、AWSやGCPなどクラウドサーバーを活用する企業が多くなりました。また、ビッグデータを活用するためにRDBMS(データを表形式で管理するソフト)だけでなくNoSQL(データを表形式以外で管理するソフト)を導入する企業も増えています。
適性があるかどうか知っておく
自分の性格や考え方がデータベースエンジニア向きかを理解したうえで、転職を決めましょう。データベースエンジニアに向いている人・向いていない人の特徴は次のとおりです。
データベースエンジニアに 向いている人 |
データベースエンジニアに 向いていない人 |
---|---|
細部に至るまで こだわることのできる人 |
大雑把な性格の人 |
新しいスキルを 習得するのが好きな人 |
現在保有しているスキルのままで 働き続けたい人 |
障害や緊急時にも 柔軟に対応できる人 |
仕事のルーティンが 崩れることが苦手な人 |
キャリアプランをしっかり固める
データベースエンジニアに転職した後、どのようにキャリアを積み上げていくかキャリアプランを固めることが大切です。たとえば「5年後にプロジェクトマネージャーにキャリアアップする。10年後までにはITコンサルタントを目指す」という方向でプランを決めます。目標が定まっていれば、データベースエンジニアの仕事が「きつい」と感じても乗り越えやすくなります。
転職エージェントを活用する
転職エージェントを活用し、転職のプロに求人紹介や自己分析サポートなどを行ってもらえば、ミスマッチな企業に転職してしまうことを防げます。特にレバテックキャリアはITエンジニアに特化したエージェントであり、データベースエンジニアの仕事に明るい担当者も多く在籍しています。仕事内容や必要なスキルを踏まえて求人を探してくれます。
関連記事:データベースエンジニアとは?仕事内容やスキル、資格、年収も解説
まとめ
データベースエンジニアはきついこともありますが、「やりがいがある」「給与が高い」「需要が安定している」などメリットも多くあります。データベースに対する興味を強く持っているなら、適性を判断したうえで転職するのがおすすめです。
データベースエンジニアを目指す・目指さないに関わらず、エンジニアとして将来どの分野に特化したいのか、キャリアプランを固めたうえで転職活動を始めることが大切です。自分に合った求人を探したい場合は、レバテックキャリアに相談することをおすすめします。
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